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第 2 章水産行政 機関と援助受け入れ状況 1. 水産行政 1-1. 水産担当行政機関ネパールの水産行政は農業組合省 (Ministry of Agriculture and Cooperatives: 以下 MOAC) が責任官庁であり 幅広く農民に情報伝達することによる近代的技術の移転および研究

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第2章 水産行政・機関と援助受け入れ状況

1.水産行政

1-1.水産担当行政機関

ネパールの水産行政は農業組合省(Ministry of Agriculture and Cooperatives:以下 MOAC) が責任官庁であり、幅広く農民に情報伝達することによる近代的技術の移転および研究 と普及の効果的な連携の開発を政策方針とし、これらの知識を基にした農業経営の促進 を使命にネパール国の農業、畜産業、水産業を統括しており、以下の三つの目標を掲げ ている。 ・農業の生産と生産性の向上を通した貧困の削減 ・商業基金と競争力の有る農業方式の確立による地域および世界市場におけるネパール 産農産物の競争力の育成 ・天然資源、環境、多様な生態系を保護することによる持続的農業開発の促進

MOAC の中で水産関連機関には、Department of Agriculture(農業部、以下 DOA)と Nepal Agriculture Research Committee(ネパール農業研究評議会、以下 NARC)の 2 機関 がある。 DOA は 1951 年に MOAC の一つの部として設置され、農業の多様化と商業化を通した 改革による食糧の安全と貧困の軽減を支援し促進することをその目的としている。DOA の中には計画・人材課、モニタリング・評価課、技術移転・調整課、会計課、人事課の 5 つの課と地方農業研修センター(5 箇所)、漁業開発・研修センター(11 箇所)、中央 漁業研究所(1 箇所)、研究所(16 箇所)および事務所・センター(26 箇所)を擁して いる他、地域農業開発を目的として、75 箇所の地方農業開発事務所(District Agriculture Development Office )、378 箇所の農業サービスセンター(Agricultural Services Center) を設置している。 NARC は農業研究により国民の経済的水準を向上させるため「ネパール農業研究評議 会条例-1991」のもと 1991 年に MOAC の中に設立された。NARC が掲げる目的は、①多 様な農業における高度な調査と研究の実施、②農業に存在する問題とその解決法の明確 化、③農業政策と戦略の体系化よる政府支援である。 役割と責務は、国家農業政策で必要とされる高度な農業研究、優先的な調査と研究の 実施、対象者への研究と助言の提供、ネパールでの農業研究の調整、観察、評価の実施、 研究活動報告書の作成がある。 NARC には農作物・園芸部、畜水産部、計画・調整部、人事部、経理部の 5 つの部署 があり、農作物・園芸部、畜水産部の下には国立農業研究所と国立動物科学研究所が置 かれ更にそれらの下に部署が置かれている。国立動物科学研究所の一つの部署に漁業研 究部(Godawari)が置かれている。 地方には地域農業研究場が設置されている。地域農業研究場は、ネパールを中・極西 部開発地域、西部開発地域、中部開発地域、東部開発地域の 4 地域に分けて設置されて おり、それぞれ Nepalgun 地方農業研究場、Lumle 地方農業研究場、Parwanipur 地方農業

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研究場、Tarahara 地方農業研究場が置かれ、その下に支所が設置されている。 以下に、水産関連機関を中心に作成した組織図を示す。 図7 農業組合省の組織 Minister Secretary Minister and

Evaluation Division Planning Division Agribusiness Promotion

and Statistics Division Gender Equity and Environment Division Administration Division

Department of Livestock Services Department of Agriculture (DOA) Agriculture Information and Communication Center Department of Food Technology and Quality Control Department of Cooperatives Seed Quality Control

Center National Agriculture Research and Development Fund Department of Fisheries Development (DOFD) Fisheries Development Center Fisheries Development Center

National Inland Water Fisheries and Aquaculture 他 他 他 他 Division Cooperative Offices Boards;

1. National Dairy Development Board 2. National Cooperative Development Board 3. National Tea and Coffee Development Board Council:

Nepal Agriculture Research Council Nepal Veterinary Council

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図 8 ネパール農業研究評議会の組織

DOA 、NARC とも水産関連の研究機関を有している。DOA の研究機関はカトマンズ Research

Project Division

Division Research Project

Council

Executive Director Livestock and Fisheries

Research Planning and Coordination Crops and Horticulture

Research Administration AdministratioFinancial

National Agriculture Research Institute (NARI) Executive Board Financial Administration Division Asset Management Division National Commercial Agriculture Seed Science Technology Fisheries Research Sheep and Goats

Regional Agri. Res.

Station, Nepalgunj Regional Agri. Res. Station, Lumle Regional Agri. Res. Station, Parwanipur Regional Agri. Res. Station, Tarahara

National Animal Science Research Institute (NASRI) Swine and Avian Bovine Pasture and Fodder Animal Nutrition Animal Breeding Animal Nutrition National Citrus Jute Ginger Sugarcane Hill Crops Oilseeds Grain Legumes National Wheat National Maize National Rice Biotechnology Unit Food Research Unit Commercial Crop Horticulture Research Agri. Botany Agri. Engineering Soil Science Entomology Plan Pathology Agronomy National Genetic Research Center (Gene Bank) Agriculture Environmental Unit Socio-Economic, Agriculture Research Policy Division Outreach Research Division Communication Publication and Documentation Division Training and Scholarship Division Monitoring and Evaluation Division Planning Division General Administration Division Personal Administration Division Surkhet Doti Jumla Dailekh Jumla(Horticulture) Birgunj Trisuli(Fisheries) Pasuwa(pasture) Pakhribas Belachapi Pokhara Bandipurt Pokara(Fisheries)

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市内のCentral Fisheries Laboratory を総括に全国に 11 箇所、NARC はカトマンズから車 で30 分程度の所にある Godawari の研究施設を総括に全国に 6 箇所の水産研究機関を有 している。両機関の役割分担は、DOA は技術普及を目的とした研修と養殖の基礎研究、 一方NARC は水産の高度な研究、技術開発、実証試験を担当する区分けがされているも のの、今回の調査では職務の重複や連携の不備が多いと思われた。また、関係者の個別 インタビューでも連携の不十分との回答や、政府上層部の意見でも改善の必要性が聞か れた。図9 に DOA 及び NARC の研究施設の位置図を示す。

*FDC: Fisheries Development Center、FDTC: Fisheries Development Training Center、 FRD: Fisheries Research Department、FRC: Fisheries Research Center

9 ネパール各地の水産研究・開発機関

①から⑪までの数字標記はDOA傘下の組織、 ○a~g英語表記はNARC傘下の組織である。 ①のCentral Fisheries Laboratoryが全 11 研究所の総括組織で過去に魚病対策のためにシニ

Central Fisheries Laboratory Kurekani FDC Hetauda FDC ④Fatepur FDC ⑤Lahan FDC Janakpur FDTC Bhandra FDC ⑧Syanta FDC ⑨Bhairahawa FDC Nepalganji FDC Dhangadhi FDC ○aGodawari FRD ○bTrishuli FRC ○cParawanipur FRC ○eTarahara FRC ○f Fewa FRC ○gKaligandaki FRC 1 3 2 4 5 6 7 8 9 10 11 a b c d e f g

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-32- アボランティアの派遣が行われてきた。NARCの組織は ○aのGodawari FRDが全 6 研究所 の総括組織で、現在、在来種種苗生産のシニアボランティアが派遣されている。また、 ⑥のJanakpur FDTCではネパール全土からの希望者を対象に養殖技術研修を実施してい る。 1-2.水産関連法規・規制 ネ パ ー ル の 主 要 な 水 産 関 連 法 規 は 、1960 年 に 交 付 さ れ た 水 生 生 物 保 護 法 - 2017JALCHAR SAMRACHHAN AIN-2017)があり、1998 年度に改正されている。内容は定 義、制限漁具および薬物等の禁止、魚道等増殖施設の設置義務とそれの保護、政府およ び担当省庁の権限、罰金規程、捕獲対象魚種の体長制限などである。一例として、以下 の魚種について産卵期に漁獲等の制限がある。

13 禁漁対象魚種と禁漁期間

魚種名 禁漁期間(Breeding season) Asala (Schizothorax spp and Schizothoryxus spp)

Sahar (Tor spp)

Katle (Neolisochilus hexagonolepis)

10 月~12 月、3 月~4 月 4 月~5 月、8 月~10 月 4 月~5 月、8 月~9 月 1-3.予算 DOA の 2010/2011(ネパール予算年度)の総額は 31 億 9、335 万 NRs(約 31 億 9,335 万円)計上さ れている 。その主な内 訳は、DOA 本省 2,533.9 万 NRs、地方農業理事会 4,312 万 NRs、漁業開発計画 1 億 220.7 万 NRs、食糧安全対策計画 4 億 8,108.9 万 NRs で ある。 NARC の年間予算は増加傾向にあり、2010 年度は 3 億 5 千万 NRs(3 億 4 千万円)で あった。財源は、ネパール政府からの補助金、ネパール政府或いは国際機関、援助国か らの助成金、研究・指導料等からなっている。予算の増加は、国が農業部門の研究開発 に積極的に取り組む方針としたためで、ドナー等からの支援が増えたことではない。 *:1NRs は約 1 円(2011 年 11 月現在) 図10 NARC 予算の推移 0 50000 100000 150000 200000 250000 300000 350000 400000 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 R s. ' 000 Fiscal year

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2.水産教育・訓練・研究 2-1.教育機関

国立Tribhuvan 大学の Institute of Agriculture and Animal Science(農業動物科学研究所、 IAAS)が唯一の水産教育が可能な教育機関である。数年後には、農業大学として独立す ることが予定されている。 私立の教育機関には獣医を養成する大学はあるが、水産教育を担う大学はない。 2-2.普及・訓練機関 水産の普及・訓練は、DOA が担当し、各地域に 11 ヵ所の漁業開発・研修センターが あ る 。 今 回 の 調 査 で 訪 れ た ジ ャ ナ カ プ ー ル 漁 業 開 発 セ ン タ ー (Fisheries Development Center, Janakpur)は種苗と成魚の生産・販売および技術研修が主な業務で、職員は上級 技術員 8 名、技術員 5 名、補助員 15 名、事務員 1 名、経理 1 名、ワーカー15 名。で年 間予算は、140 万 NRs で運営している。 敷地面積は約 31 ヘクタール、事務棟、研究棟、研修棟の他にふ化施設、総面積 13.2 ヘクタールの 82 面の素掘り池(表 14)を有している。水源は、ポンプで井戸水を汲み 上げて使用している。 表14:センター所有の水槽及び池 水槽及び池 容積 面積 個数 産卵槽 孵化槽 調整槽 ティラピア孵化槽 7m2 1m2 4m2 8 14 6 1 親魚池 肥育池 養成池 生産池 その他 合計 2.5ha 1.0ha 3.2ha 6.0ha 0.5ha 13.2ha 13 16 30 22 1 センターが扱っている魚種は、コイ、ソウギョ、ハクレン、コクレン、ロフー、ムリ ガル、ティラピアで、種苗生産数は、ふ化稚魚 3,000 万尾、稚魚 160 万尾、種苗 60 万尾、 成魚出荷量は 13t である。売り上げは、種苗販売が 250 万 NRs、成魚販売が 156 万 NRs、 研修より 190 万 NRs の合計 596 万 NRs と報告されているが、インタビューによると研 修参加者から経費は徴収していないとのことであった。 水産研修は、農民や新規養殖参入者を対象に①ふ化作業コース、②商業種苗生産コー ス、③複合養殖コースや、補助員等指導員を対象に技術員レベルの研修コース等 6 コー スを実施している。1 コースは 7 日間で参加者数は 20~22 名であり、年間 300 名程度の 研 修を 実 施 し てい る 。 こ れら の コ ー スの 教 員 は 同セ ン タ ー の技 術 員 以 外に も 、DOA や NARC の技術員が担当している。研修への参加は、各地にある地方農業事務所から選ば れた農民がこのコースに参加している。

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-34- 2-3.研究機関

1967 年に複数の水産センターと種苗生産施設が設立され、養殖業者への種苗供給や普 及支援が行われた。(Potential development intervention for fisheries and aquaculture in Nepal, 2008 FAO) 水産研究は 1991 年に設立された NARC が中心となって行っている。NARC の権限は 技術開発とネパール政府への政策アドバイスである。NARC の弱点はスタッフ不足であ る。地方には地域農業研究場が、中・極西部開発地域、西部開発地域、中部開発地域、 東部開発地域の4 地域に分けて設置されている。詳細は表 15 の通り。 表15 NRAC の下部組織 中・極西部開発地域 西部開発地域 Nepalgun 地方農業研究場 Surkhet 農業研究場 Doti 農業研究場 Jumla 農業研究場(園芸) Dailekh 農業研究場 Lumle 地方農業研究場 Baidam, Pokhara 農業研究場(養殖) Begnas, Pokhara 農業研究場(養殖) Malepatan, Pokhara 農業研究場(園芸) Bandipur, Tanahun 農業研究場(山羊) 中部開発地域 東部開発地域 Parwanipur 地方農業研究場 Dhunche, Rasuwa 農業研究場(牧草) Trisuli, Nuwakot 農業研究場(養殖) Ranighat, Parsa 農業研究場 Belachapi, Dhanusa 農業研究場 Tarahara 地方農業研究場 Pakhribas, Dhankuta 農業研究場 NARC の水産関連研究所は、中部開発地域のパルワニプール支所および東部開発地域 のタラハラ支所内にある漁業部と西部開発地域の Pokhara 漁業研究センター、中部開発 地域にある Trisuli 漁業研究所、国立動物科学研究所漁業研究部(Godawari)で行われて いる。今回の調査では漁業研究部(Godawari)、Pokhara 水産研究センター、Trisuli 水産 研究センターを訪問し調査を実施した。 ①Godawari 漁業研究部門 漁業研究部門の所長はスラッシュ・クマール・ワグル氏、Godawari FRC の研究棟は 無償資金協力で整備されたものであるが、築後 20 年前後が経過したにもかかわらず施 設は良好な状態が維持されている。20 年前には 2 階建てであった管理棟は 3 階が増築 さ れ て い た 。 ま た 、 室 内 も よ く 整 理 ・ 整 頓 さ れ て お り 、 施 設 ・ 機 材 と も に 不 断 の 維 持 管理がなされてきた様子が窺える。機材の一部は自助努力により更新されている。 施設は ADB の融資により整備された。2 階建てであった管理棟を 3 階に増設するな ど の 自 立 発 展 性 を 見 せ て い る 。 現 在 、 シ ニ ア 協 力 隊 員 が 在 来 種 魚 種 の ア サ ラ の 種 苗 生 産指導に取り組んでおり、活動 2 年目の今年度には種苗生産が起動にのりつつある。 主な活動は以下の通り。 ・固有魚種の採卵 ・コイ、中国ゴイ、インドゴイの採卵、ふ化管理と仔魚/稚魚の運搬

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・陸水学と生物学のための河川調査 ・固有種のサハール、カトレ、アサラの産卵、ふ化、生産管理の研究 ・ニジマスの産卵、ふ化、生産管理の研究 ・各成長段階における低コスト飼料の研究 ・魚の健康管理:寄生虫と魚病の制御対策 ・魚種の多様性:各地の河川、湖、小川からの固有主の採集と同定 ・ポストハーベスト:衛生的な乾燥魚の生産 ・魚の品質管理:魚の取り上げから生産、保管における危害分析重要管理点の解明 ・ニジマスの産卵、ふ化、生産管理の研究 ②Pokhara 水産研究センター Pokhara 市近郊のベグナス湖に本場が設置されており、他にフェワ湖とルパ湖に支所 が置かれている。ベグナス湖の本場では 1991 年から 1998 年まで JICA の淡水養殖プロ ジェクトが実施された。 センター長はジェイ・ビスタ氏。同センターは、水辺近くに住むカマイヤ(小作人)、 タルー(タライ地方に住む先住民族、土地を奪われた農民が多い)や貧しい地域住民を対 象 に 持 続 的 漁 業 と 養 殖 技 術 に よ る 食 糧 、 雇 用 、 収 入 の 創 造 と 改 善 を 通 し た 生 計 の 向 上 を目的に活動している。 Begnas 施設群は無償資金協力で、整備されたものであるが、築後 20 年前後が経過し た に も か か わ ら ず 施 設 は 良 好 な 状 態 が 維 持 さ れ て い る 。 ま た 、 室 内 も よ く 整 理 ・ 整 頓 さ れ て お り 、 施 設 ・ 機 材 と も に 不 断 の 維 持 管 理 が な さ れ て き た 様 子 が 窺 え る 。 機 材 の 一部は自助努力により更新されている。 主な活動は以下の通り。 ・養殖技術の開発 ・在来種の保全 ・在来魚種の異なる環境での養殖の可能性の研究 ・魚類の産卵、遺伝、栄養、健康の研究 ・網生簀養殖研究 ・網生簀での産卵試験 ・ソウギョの網生簀養殖 ・ハクレン、コクレン、ソウギョ、ロフー、コイの種苗生産 ・在来種 Sahar、Gardi の種苗生産 ・個人経営の種苗場に対する技術支援 ・親魚種の技術開発

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-36- ③Trisuli 水産研究センター カトマンズの北西、車で 2 時間ほどのヌワコット郡の Trisuli に 1970 年ニジマスふ化 場として設置された。水源は、年間 8~19℃の Trisuli 河にある発電所の用水を使い、冷 水性の魚種の飼育、また、湧水を使い温水性の魚種の飼育をしている。 センター長は、S.R.バスネット氏。同センターは在来種と外来冷水性魚種の種苗生産 と 養 殖 技 術 の 開 発 を 通 し て 養 殖 と 漁 業 生 産 の 促 進 を し 、 国 民 所 得 の 増 進 に 寄 与 す る こ とを目的に活動している。 青年海外協力隊のシニア隊員によって施設の一部が整備された。築後 20 年前後が経 過 し た に も か か わ ら ず 施 設 は 良 好 な 状 態 が 維 持 さ れ て お り 、 車 輌 も か な り 老 朽 化 進 ん で い る も の の 整 備 し て 未 だ 利 用 し て い る 。 ま た 、 室 内 も よ く 整 理 ・ 整 頓 さ れ て お り 、 施 設 ・ 機 材 と も に 不 断 の 維 持 管 理 が な さ れ て き た 様 子 が 窺 え る 。 機 材 の 一 部 は 自 助 努 力により更新されている。 主な活動は以下の通り。 ・ニジマスの種苗生産と養殖技術のパッケージ化 ・高価格在来種の大量種苗生産 ・Jalkapur と Gardhi の予備研究 ・ニジマスの種苗生産と養殖家への配布 ・廉価なマス用飼料の開発 ・ネパール水系の生産性の研究 ・養殖家に対する飼料生産の奨励 ・在来魚種の生育評価研究 3 つの研究センターの予算および職員数について表 16 にまとめた。 表16 主要なセンターの予算と人員 Godawari 漁 業 研 究 部門 Pokhara 水産研究セ ンター Trisuli 水 産 研 究 セ ンター 予算 人件費 維持管理費 設備投資 諸経費 4,749,000NRs 6,653,000NRs 4,075,000NRs 1,765,000NRs 6,090,000NRs 8,007,000NRs 2,181,000NRs 2,110,000NRs 4,500,000NRs 6,487,000NRs 1,081,000NRs 1,830,000NRs 合計 17,242,000NRs 18,388,000NRs 13,898,000NRs タルーとカマイヤ タルー族 はネパ ールの 西部山岳 地帯や マラリ ヤ流行地 であっ たタラ イ平原の ジャン グ ルに住む 先住民 族をい う。長い 間に他 民族の 侵略にさ らされ 、土地 を奪われ てきた 。 更に 1950 年代、タライのジャングルに DDT を大量散布しマラリヤ蚊を根絶したことに より、肥 沃な土 地を求 めて外部 から人 々が大 挙して押 しかけ てきた 。教育の 無い多 く の タ ル ー は 、 自 分 の 土 地 で あ る こ と も 分 か ら ず 、 知 ら ぬ 間 に 土 地 を 奪 わ れ 、 そ の 結 果、大地主の元でカマイヤ(小作人)として働くようになった。 2000 年 7 月にネパール政府によりカマイヤ自由宣言が行われたが、これ以降地主はカ マイヤを 雇うこ とがで きなくな り、カ マイヤ は自動的 に失業 してし まった。 全国に い る 9,000 家族(54,000 人)の大半が支援されていない状態である。

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職員数 上級研究員 研究員 技術職員 補助技術員 補助員 事務員 運転手 2 名 1 名 3 名 5 名 16 名 4 名 1 名 8 名 9 名 17 名 5 名 1 名 1 名 4 名 1 名 7 名 5 名 1 名 計 27 名 45 名 19 名 NARC ではこの 3 つのセンター以外に Parawanipur、Tarahara、Fewa、Kaligandaki の センターを有しており、水産業に関する研究を実施している。 また、他の分野との共同研究として、2002 年から Kali Gandaki でネパール電力公社と NARC との協同プロジェクトが行われている。これは、144MW の発電力を有するダム 湖 が 建 設 さ れ た こ と に よ り 、 在 来 種 へ の 影 響 を 削 減 す る た め に 、 種 苗 生 産 施 設 の 運 営、 魚道及び産卵礁の設置などを行っている。 2-4.地方行政関連 ネパールの行政組織は国の下に、5 つの開発地域(Development Region)東部開発地域、 中央開発地域、西部開発地域、中西部開発地域、極西部開発地域に分けられている。開 発地域はネパールの国土をタライと呼ばれる南部の肥沃な平野部から温暖な亜熱帯気候 の中部丘陵地帯(海抜 300~2,500m)を挟んで、北部の山岳部(海抜 2,500m 以上)で縦 断して仕切られており、5 つの開発地域には全てこの 3 つの条件の異なる地形が含まれ ている。

開 発 地 域 の 下 に 14 の県(Zone)、75 の郡(District)、約 4,000 の村(Village)、約 36,000 の 区 ( Ward ) が あ る 。 群 に は 行 政 機 関 と し て DDC ( District Development Committee)、村には VDC(Village Development Committee)が置かれている。一つの村 (VDC)の下に 9 の区が属している。 水産業に関する地方行政の管轄は漁業の取締と水産普及である。漁業の取締に関して はライセンスの発給、違法操業の監視を行っている。 3.海外との水産関係 3-1.外国からの援助受入状況 水 産 分 野 で は 現 在 援 助 受 け 入 れ は な い 。 但 し 、 研 究 ネ ッ ト ワ ー ク の 一 環 と し て ワ ー ルドフィッシュセンターなどとの連絡調整がある。 3-2.国際機関からの援助受入状況 FAO のアジア大洋州地域事務所が、2007 年 11 月、ネパールからの要請により漁業養 殖業の開発ポテンシャルに関するインタビュー調査を行っており、その報告書では、漁 業と養殖業を持続的開発の可能性のある産業とし、特に、5 地域での開発可能性を示唆 している。また、ネパールでは水産業は農業分野の中では主要産業ではないものの、貧 困地帯の栄養改善や都市部での魚食促進などに裨益するとしており、次のプロジェクト

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-38- 案を提案している。 ・全国規模での稲田養殖の拡充 ・公共及び民間の大規模鯉養殖生産の促進 ・Swamps 又は Ghols の地域密着型養殖 ・ニジマス種苗生産量増大への支援 ・漁獲処理技術の開発 ・全国規模での網生け簀養殖の増加 ・センターのサハラ繁殖の先導及び河川魚類の生物多様性と保護の研究 ・観賞魚の繁殖及び養殖技術開発 NARC では FAO(国際連合食糧農業機関)の技術協力プログラムの元、総額 33 万ド ルのコイ種苗生産システムの改良を目的とした。“ネパールの国家コイ種苗生産システム の改善”プロジェクトが 2010 年 12 月から 2012 年 11 月の期間、カスキ、ルペンデヒ、ダ ヌーシャ、スンサリ地域で実施されている。 このプロジェクトは 1994 年に“魚病診断の強化”プロジェクトが実施されて以来のネパ ールで FAO が実施する 2 度目のプロジェクトである。プロジェクトの背景は、近年、池 中養殖をはじめとする養殖システムの生産性が下がっている原因として、コイの早熟、 遅い成長、低い生残率、魚病が上げられており、親魚の貧しい遺伝的品質と悪い孵化場 運営の実践によるコイの種苗生産の遺伝的退化は貧しい生産効率を招くことが一般的認 識とされている。“ネパールの国家コイ種苗生産システムの改善”は FAO 地域オフィスと FAO 養殖サービスの協同開発として政府に提言し 2010 年 11 月に承認された。プロジェ クトの内容はコイの種苗品質問題に関連する重要事項に対応するために複数のアプロー チを効果的に行うことで、訓練とパイロット的な核となるコイの繁殖センターを選定し て優良孵化場管理の実践、技術基準の準備、効果的な孵化場と養魚場管理の実践の開始 と養殖場管理システムと親魚管理の国家能力の開発と遺伝改良、遺伝改良プログラムを 通して法規制の確立を焦点としている。コイ類の改良種はコイ親魚の遺伝的背景を元に 改良した原産国から再移入される。プロジェクトは高品質のコイ種苗を他の養殖種の持 続的な養殖と増殖事業と同様に一定に供給できるように国の生産と流通システムの確立 に明確に貢献することが期待される 2011 年 2 月 FAO の技術者、プロジェクト裨益者、関係者による最初のワークショッ プが実施されたことにより、正式にプロジェクトが開始された。ワークショップの重要 事項、国立および民間のコイ配布センター、種苗生産所、養殖場の訪問はコイ種苗シス テムと親魚利用の現状の最初の情報収集を行った。最初のワークショップでは、政府機 関、公共機関と民間セクターへのプロジェクトを紹介し、プロジェクトの枠組みへのコ メントとフィードバックを得る機関となった。これに基づき、達成するプロジェクトゴ ールの調整がなされた。プロジェクト活動は TCDC コンサルタント、FAO 技術職員及び ネパールの水産開発部局によって2011 年 5 月のコイの産卵期から 2012 年の 11 月までの 期間で実施される。

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4.我が国からの水産関連協力 4-1.JICA を通じた水産協力 我が国からの水産分野の協力は 1970 年代初め頃から JOCV を多数派遣して行われた。 当時の派遣地域は、従来養殖生産の中心地域ではなく、養殖の普及が遅れた主に高原部 や山間部であった。当初は協力隊員が政府機関の養魚場に単独で派遣されていた。その 後、トリスリでの協力隊員のグループ派遣に加えて、1991 年 11 月からは JICA 専門家の プロジェクト方式技術協力が始まった。プロジェクトの目標は、中部高原地域の河川及 び湖沼など天然水体の水産開発を推進することにより漁業生産の増大を図り、国民の動 物タンパク摂取量の向上と栄養改善に資する事を目的に、ネパール人技術者の調査・研 究能力の向上を図ることであった。日本側の投入は長期専門家 4 分野 チームリーダー /種苗生産、飼料開発、業務調整、淡水魚養殖、短期専門家14 分野、種苗生産、魚病、 湖沼・河川調査、淡水魚養殖、湖沼・河川踏査、漁業生物調査、親魚成熟調査、養殖場 管理、養殖池設計、湖沼物理、湖沼・河川調査、餌料化学分析、親魚成熟調査、動物プ ラ ン ク ト ン 分 類 、 湖 沼 ・ 河 川 調 査 、 餌 料 開 発 、 種 苗 生 産 / 飼 育 管 理 、 養 魚 池 管 理 、 湖 沼・河川調査、生殖腺成熟および親魚管理、中間育成、カウンターパート研修 11 名、水 産養殖研究管理、湖沼調査手法、湖沼・河川調査、養殖一般、餌料開発、放流技術で、 高知大学、養殖研究所日光支所、宮崎水産試験場、近畿大学等で受入れた。プロジェク ト運営経費は2.33 億円であった。 1996 年 11 月から 2 年間、親魚管理の向上、仔魚期の最適収容密度の解明、仔魚期飼育 での天然餌料最適利用、中間育成、収穫期での稚魚選別、網生け簀での中間育成、生産 コストの推定を活動内容としたフォローアップ協力が継続され、天然漁獲の生産、養殖 生産が向上した。投入実績は長期派遣専門家 2 名、リーダー/種苗生産、業務調整/淡 水魚養殖、短期派遣専門家 4 名、生殖腺調査、中間育成、水産経営分析、卵成熟・生殖 腺調査、カウンターパート研修 5 名、資源解析(京都大学)、養殖一般(近畿大学)、餌 料製造・分析(高知大学)、淡水魚養殖(第3 国研修フィリピン)などであった。 ネパール政府は国民の栄養摂取の改善を図るため、内水面での水産業の振興を農業水 産分野 の重点 政策 とし 、Pokhara など中部高原地域で魚類養殖などによる水産振興を重 点的に推進した。ネパール政府の要請を受け、ベグナス水産開発センターの整備・拡充 を図るため水産無償資金協力が1990 年と 1991 年に実施された。 また、2006 年には一村一品運動プロジェクトにより Nuwakot 県、Rasuwa 県の産品に ニジマスが選定され、3 年間で 400 トンの生産目標を掲げて、NARC 及び県の農業事務 所等との協同による販路拡大のキャンペーン、新規参入者への研修事業や資金貸与など が行われた。 その他、草の根無技術 協力としては、水産関係のプロジェクトは実施されていない が、農業プロジェクトとして、平成 17 年度カスキ郡ニルマルポカリ村コーヒー栽培に よる農業開発計画、平成 21 年度カブレ郡・シンドゥパルチョク郡・マクワンプル郡 農村開発プロジェクト、平成 22 年生活林づくりを通した山村復興支援プロジェクト が実施され、農業振興や森林保全と山村の復興支援に寄与している。 ネパー ルで の水産 振興 が成功 した 背景に は我 が国か らの 協力の 貢献 が大き く、 特に、 30 年間にわたる長期的な協力の継続、多くの研修員を日本で育てたことによる人材育成

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が鍵となった。しかしながらのその根底にはネパール人の勤勉さ、豊富な水資源がある。 同様にアフリカ地域では FAO や欧米諸国が長年に渡る技術協力を実施してきたにも係わ らず、協力の成果発現が低い。アフリカでの内水面振興が上手く行かない背景をネパー ル等アジアの事例と比較検討することが重要である。

図 8  ネパール農業研究評議会の組織
図 9  ネパール各地の水産研究・開発機関
表 13  禁漁対象魚種と禁漁期間

参照

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