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歴史的組積造建築物の耐震診断手法に関する研究
須 山 諭 1. はじめに 現在、 我が国内には約 570 棟の組積造建築物が現存して いる1)。 その多くはその地域の近代の歴史を象徴する建築物 として貴重な存在となっており、 組積造建築物の保存活用へ の社会的関心が高まっている。 これらの建築物の保存活用に は、 現行の建築基準法に適合する耐震性を確保する必要が あるが、 歴史的建築物の耐震性を評価する規準の1つである 重要文化財 (建造物) 耐震診断指針2)にも、 組積造建築に 対する診断法は示されておらず、 現状では、 個々のケースに 応じて様々な手法を用いて耐震診断が行われている。 本報で はそれらの診断事例を調査し、 整理、 分析を行った結果を述 べるとともに、 診断方法の適用性の検証を目的に、 九州大学 内に所在する煉瓦造建築物の耐震診断を行った結果を示す。 2. 診断事例に用いられている診断方法 2- 1建築物全体の診断方法 診断事例の調査範囲を表 1 に示す。 図1、 表 2 に診断に 用いられている診断方法の体系及び一覧を示す。 図1(a)より建築物全体の耐震性能をその建築物の保有水 平耐力が必要な耐力以上であるかにより評価している事例の うち、 1 つの事例で壁体の曲げ変形による剛性低下の影響 が考慮されており、 壁体の高さと幅の比が大きい場合につ いては、 負担せん断力を低減する手法が取られているが、 その他の 6 例では、 保有水平耐力を全ての壁体が終局せ ん断強度に達しているとして算定しており、 曲げ変形の影 響は考慮されていない。 壁体に生じるせん断応力度を算定し、 それがせん断強度以 下であるかにより耐震性能を評価する方法は、 せん断応力度 の算出方法により 3 つに分類される。 建築物を有限要素に よりモデル化しせん断応力度を算出している事例では曲 げ変形の影響が考慮されていると考えられる。 また、 中規 模の地震動のみを対象とした事例は 4 例あるが、 そのうち 3 例で終局せん断強度が用いられており、 事例により耐震 性能に対する要求性能が異なっているともいえる。 層間変形角が 1/120 以下となるかにより耐震性能の評価を行 う方法も見られるが、 算出方法の詳細は示されていない。 2-2 壁体の面外破壊に対する診断方法 図 1(b)に示す壁体の面外破壊に対する診断は、 面外方向 力をせん断力とする方法と曲げモーメントとする方法がある。 応力算定における壁体の解析モデルを梁又は柱といった線材 に置換する手法と有限要素によりモデル化する手法があり、 線材に置換する場合は応力算定用スパン及び支持条件が診 断方法により異なっている。 2-3 診断に用いるせん断強度 図 2(a)に各事例で診断に用いるせん断強度について後述す る決定方法を用いた事例の数を示す。 図 2(a)及び(b),(c)には 診断方法が不明であるため表 2 に記載していない事例も含ん でいる(表 3 参照)。 せん断強度の決定方法は、 実験に基づ く方法と、 文献・規準に示される値に準拠する方法がとられて 表 1 調査範囲 図 1 診断事例の体系 (b) 壁体の面外破壊に対する診断 (a) 建築物全体の耐震性能の評価 いる。 実験により決定した事例は15 例と多 いが、 3 つの事例では文献・規準に示され る値を用いて決定している。 調査対象文献 調査対象年数 建築学会構造系論文集 1936~2011年 建築学会技術報告集 1995~2011年 建築学会総合論文誌 2003~2011年 建築学会大会梗概集 1966~2012年 建築学会支部研究報告 1949~2011年 国宝・重用文化財修理等報告書 -保有水平耐力Quで 評価(7例) 壁体に生じるせん断 応力度τで評価(7例) 層間変形角で 評価(1例) 各壁体のせん断耐力 Qiの総和(6例) 各壁体のせん断耐力 Qiの総和(曲げ変形を 考慮しQiを低減)(1例) 有限要素によりモデル化し τを算出(1例) 層せん断力を壁量で 除した平均せん断 応力度(5例) 並列型多質点系振動解析に モデル化しτを算出(1例) 水平震度を逆算(1例) 中地震時と大地震時 (限界耐力計算)(1例) 基準加速度が 200cm/s の地震波(1例) [τの算出方法] [Quの算出方法] 対象とする地震動及び 診断に用いる許容値の種類 2 中地震時 (4例)※2 大地震時 (6例)※1 中地震時 (1例)※2 大地震時 (1例)※1 [層間変形角の算出方法] 不明(1例) 終局せん断強度 長期許容応力度 短期許容応力度 (1例) 終局せん断強度 (3例) 短期許容応力度(中地震時) 終局せん断強度(大地震時) 短期許容応力度 終局せん断強度 壁体を梁と 仮定(1例) 1.応力算定用スパン 2.支持条件 壁体を柱と 仮定(2例) 床、屋根を無視した非剛床仮定を置き 壁体を有限要素によりモデル化(2例) 1.壁体内法長さ 2.直交壁の有無により片持ち梁 又は両端固定支持(2例) 1.対隣壁間距離+壁厚 2.両端固定支持(1例) 1.対象階の階高 2.端部の固定度により両端ピン 支持又は両端固定支持(1例) 1.1階床から屋根レベル 2.スラブ、屋根位置で ピン支持(1例) 壁体に生じるせん断 応力度で評価(2例) 壁体に生じる曲げ引張 (圧縮)応力度で評価(5例) 壁体を梁と 仮定(2例) 基準加速度が 200cm/s の地震波(1例) 対象とする地震動及び 診断に用いる許容値の種類 2 大地震時 (2例)※1 水平震度を逆算(1例) 短期許容曲げ引張応力度 終局せん断強度 長期許容引張応力度 大地震時 (1例)※1 終局引張強度 大地震時 (限界耐力計算)(1例) 中地震時 (1例)※2 終局引張強度 終局曲げ引張強度 壁体の 解析モデル ※2:Co又はkを0.2又は 0.18とした地震動 ※1:Co又はkを1.0とした地震動, 若しくは建物全重量を基に 設定した地震動。 Co:標準層せん断力係数 k:水平震度50-2 ※ 1:1:開東閣 2:イラン・タブリーズ市の小学校 3:日東倉庫日本大通倉庫 4:大阪市中央公会堂 5:赤レンガ倉庫・牛津町会館 6:日本ハリストス正教会教団 復活大聖堂 (ニコライ堂) 7:A小学校校舎 8:碓氷峠鉄道施設変電所 (旧丸山変電所)蓄電池室 9:同志社彰栄館 10:北海道庁旧本庁舎 11:三井石炭鉱業株式会社 三池炭鉱旧万田抗施設 第二堅抗巻揚機室 12:同志社クラーク記念館 13:法務省赤れんが棟 14:国際子ども図書館 15:旧神戸居留地十五番館 ※ 3:A:既存RC造建築物の耐震 診断基準の1次診断を準用16) ※ 6 : Q:面外方向の せん断力に対して診断 M:面外方向の曲げ モーメントに対して診断 ※ 2 : 2階以上の床構造を示す ※ 7 : N1:軸力を壁毎に算定 N2:軸力を階毎に算定 ※ 8 : RC柱の接合状態 (柱なし,片側柱付き, 両側柱付き)による値 ※ 9 : 下限値, 平均値, 上限値を採用 図 2 診断で用いるせん断強度 (a) 決定方法 値不明 事例12 (b) 圧縮応力度と終局せん断強度 有無不明 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0 0.25 0.5 1面せん断実験 2面せん断実験 実験方法不明 終 局 せ ん 断 強 度 [N /m m 2] 実験時の圧縮 応力度[N/mm2] 事例13 ※黒塗り:圧縮応力度 によるせん断強度 の変動を考慮した事例 (c) 試験体数と終局せん断強度
表 3 診断方法が不明の診断事例 ※ 4 : 学校建築の値 , その他は 0.6 ※ 5 :H:壁体を直交壁に 支持された梁と仮定 V:壁体を床及び屋根に支持された柱 FEM:建築物全体を 有限要素によりモデル化 表 2 診断方法一覧 2 面せん断試験 1 面せん断試験 診断年 1924 2011 1916 1991 1925 1991 1922 1989 実験 (4) 実験 (3) 実験 (不明) 実験 (5) 0.50 16 17 18 19 0.50 0.25※2 文献 番号 事例 番号 ※1 終局 せん断 強度 [N/mm2] 決定 方法 (試験 体数) 終局せん断強度 竣工年 1.27 25 3 26 24 1面せん断実験 2面せん断実験 実験方法不明 0 2 4 6 8 10 12 14 16 事 例 数 実験 文献・規準 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0 1 2 3 4 5 6 下限値 平均値を低減 規準、文献の上限値 不明 診 断 用 終 局 せ ん 断 強 度 [N /m m 2] 試験体数 ※実験値からせん断強度 を決定する方法 ※ 10 : 階毎(3 階~地下 1 階)の値 ※ 11 : 下限値, 上限値を採用 ※ 12 :短期許容応力度 ※13:σ:壁体に生じる長期圧縮応力度 ※ 14 : 階毎(3 階 ,2 階~地下 1 階)の値 ※ 15 : 既存 RC 造建築物の1 次診断16) のRC壁のせん断強度を低減した値 ※ 16 : 6棟の建築物の 実験結果19 ~ 24)から決定 ※ 17 : 当時の煉瓦の資料から 決定(詳細不明) ※ 18 : 文献 17)に示される面外に飛び 出すのを押さえる終局せん断強度 ※ 1 : 16:京都旧技術資料館 17:山形県旧県会議事堂 18:鹿児島県旧庁舎本館玄関 19:旧名古屋控訴院地方 裁判所区裁判所庁舎 ※ 2 : 短期許容応力度 せん断強度の関係を示 す。 実験値の下限値を 用いる事例が 4 例みら れるのに対し、 平均値 を 80% 程度に低減して 試験体 試験体 B:建物の耐震診断入門17) C:煉瓦造建築物の 耐震診断規準18) D:平均せん断応力度と終局 せん断強度との比較により診断 E:有限要素によるモデルでの静的解析 F:建築物を並列型多質点系振動 解析にモデル化した動的解析 G:静的解析と動的解析を併用 H:地震時の層間変形角により診断 F:地盤の接地圧に対する基礎の診断 V:鉛直方向のせん断耐力に対する診断 R:小屋組の診断 P:塔屋の診断 図 2(b )に実験を行ってせん断強度を決定している事例の、 診断に用いる終局せん断強度と実験時の圧縮応力度の関係を 示す。 図 2(b)では圧縮応力度の値や有無が不明の事例を分 けて示している。 図 2(b)より各事例のせん断強度の差異は大 きく、 0.1[N/mm2]に満たない値を用いている事例が 2 例見られ る。 また、 実験時に圧縮応力度を作用させている事例は4 例 と少なく、 圧縮応力度の増加によるせん断強度の変動を考慮 している事例は事例 12 と 13 で、 評価式は表 2 に示している。 また、 圧縮応力度は事例 12 では各壁体ごとに、 事例 13 で は各階ごとに算定している。 図 2(c)に診断事例で行われている実験の試験体数と終局 いる事例も 1 例見られる。 低減の根拠は明確には示されてい ない。 試験体数は多い事例で5体、 少ない事例で1体のみ であり、 せん断強度のばらつきを適切に評価できるだけの十 分な試験体数で実験が行われているとは言い難い。 3. 保有水平耐力の算定方法 前項で述べた診断事例の分析結果を踏まえ、 図 3 に示す保 診断年 床構造※2 Iso値 (K) 解析 モデル ※5 応力 種別 ※6 1908 木造 0.8 1995頃 S造 0.8 不明 RC造 0.8 2009 RC造 0.96 1910 RC造 0.8 2005 木造 0.8 1918 木造 不明 1999頃 RC造 不明 1900頃 木造 0.8 1994 木造 0.8 1891 RC造 0.8 1998 RC造 0.8 1950 RC造 0.6 2011 RC造 0.7※4 1912 S造 (0.2) 2002 - -1884 木造 -1981 - (0.2) 1888 木造 -1970 S造 (0.18) 1905 木造 (0.2) 2010 - -1894 木造 -2008 木造 -1895 木造 -1991 木造 -1906 木造 0.2 1998頃 不明 -1881 木造 (0.2) 1998 木造 - -3 不明 15 11 実験 (3) -0.22※12 2 3 3,14 5 4 3 7 8 10 12 13 文献 ※18 -実験 (不明) 3 6 9 実験 (不明) 実験 (不明) 実験 (5) 基準 ※15 文献 ※16 実験 (3) -0.37 0.52※12,14 0.2+ 0.5σ※12,13 実験 (不明) 実験 (5) 実験 (不明) 実験 (2) 文献 ※17 実験 (1) -0.79~ 1.78※10 0.70 0.39 0.45 0.3,0.7※11 0.60 0.38,0.54 0.70※9 0.30,0.40 0.50※8 M Q 0.0026 0.2+ 0.9σ※13 0.06 0.22※12 実験 (不明) 不明 H V 12 11 10 F F -9 8 7 6 5 実験 (不明) 実験 (3) - -N1 R,P -0.45 0.05 0.30 不明 0.10 8.94+ 40.23σ※13 0.04 -実験 (6) 実験 (3) 実験 (5) -- -- - -Q H M M N2 不明 -- -N1 R M - -- -M M FEM FEM V 不明 -C E D D D D 1 A A 13 14 15 A A B B H G F F値 (Co) 文献 番号 事例 番号 ※1 建築物 全体の 診断 方法※3 終局 せん断 強度 [N/mm2] 決定 方法 (試験 体数) 終局せん断強度 終局曲げ引張強度 竣工年 屋根構造 決定 方法 (試験 体数) 終局曲げ 引張強度 [N/mm2] 4 面外破壊に 対する診断 その他の 項目 ※7
-50-3 有水平耐力 Quの算定手法を提案する。 Quは各壁体の負担 せん断力 Qiの和とし、 Qiは保有水平耐力時に各壁体が負担 するせん断応力度τu iに壁体の断面積 Awiを乗じたものとす る。 τuiは曲げ変形の影響を考慮するため修正係数αiを用 いて、 後述する基準とする壁体の終局せん断強度τuoより 低減する。 最小壁体長さは組積造設計規準20)などに従い、 適 切に決定し、 それ以下の長さの壁体の負担せん断力を無視 する。 また、 各壁体の終局せん断強度τuは常時の軸圧縮 応力度によるせん断強度の上昇を考慮できるものとする。 4. 曲げ変形の影響を考慮する方法 4-1 負担せん断力の修正係数αの算定 煉瓦壁体のせん断破壊は変形能力の乏しい脆性的な破壊 であるため、 壁体の高さ h と幅 D の比 h/D が大きく、 曲げ変 形が比較的大きな壁体の存在を考慮すると、 保有水平耐力時 に全ての壁体が終局せん断強度に達しているとすることは、 安全側の評価とは言えない。 文献 18)では h/D による低減係 数を用いて、 曲げ変形の影響を評価しているが、 ここでは以 下に示すような方法で曲げ変形の影響を考慮することとする。 各壁体は保有水平耐力時においても弾性体的な挙動をして いると想定される。 そのため、 各壁体の水平変位δiは壁体 を線形弾性体と仮定し図 4 に示すように求められる。 また、 生じているせん断応力度が終局せん断応力度τuに達し ている壁体を基準とする壁体 Woとし、 その終局せん断強 度をτu oとする。 剛床仮定が成立し、 ねじれによる変形及 び基礎の回転による水平変位が生じないという仮定を置き、 Woの水平変位δoがδiと等しいとしてτuoとτuiの比を算 定し、 この比を曲げ変形の影響を考慮するための修正係数 αiとする。 αiは下式により求められる。 ここに、 ho:基準とする壁体の高さ ,Do:基準とする壁体の長さ、 ν:ポアソン比、 κ:形状係数(=1.2)、 hi:各壁体の高さ ,Di:各壁 の長さである。 図 5 にαiと各壁体の高さ幅比 hi/Diの関係を 示す。 ho/Doは 0.5 とし、 ポアソン比は既往の文献15)より 0.17 としている。 また、 図 5 には文献 18)に示される低減係数も 示している。 αiが 1 を越える壁体は基準とする壁体より先に τuに達していることを示しており、 診断ではαiを 1 としてい る。 hi/Diが大きい壁体ではαiは小さくなっており、 負担せ ん断力を低減すべきと言える。 また、 hi/hoによってもαiは変 化しており、 曲げ変形の影響の評価はhi/Diだけでなく、 hiも 考慮すべきと言えるが、 文献18)では考慮されていない。 この ように様々な hiや hi/Diの壁体が混在する建築物を実際に診 断を行うには、 基準とする壁体を決定し、 その他の壁体の 負担せん断力を低減する必要がある。 4-2 基準とする壁体の決定方法 煉瓦壁体においても若干の塑性変形能力があると考え、 弾 性域での最大せん断ひずみをγy、 せん断破壊時のせん断 ひずみをγuとし、 煉瓦壁体のτ - γ関係を図 6 に示すバイ リニアによりモデル化する。 提案する基準とする壁体 Woの決 定方法は、 最も早く終局せん断強度に達する壁体 Wuを弾性 計算により求め、 その壁体のせん断破壊時に、 生じている せん断応力度がτuに達する壁体をWoとする方法である。 Wu のせん断破壊時の水平変位δuは、 塑性変形はせん断変形 にのみ生じると仮定し、 下式により求められる。 ここに、 δsu:せん断変形により生じる Wuの水平変位(弾 性変形)、 δb u:曲げ変形により生じる Wuの水平変位(弾 性変形)、 hu:Wuの高さ、 Du:Wuの幅である。 δuと Woの弾性域での最大水平変位δoが等しいとすること で、 hoと Doの関係式を求めることとする。 (3)式を(1)式に代入することにより、 αiを算定することが できる。 しかし、 対象建築物で主にせん断力を負担して いる壁体に対して Wuが特異な壁体である場合は、 保有 水平耐力を過小評価すると考えられる。 そのため、 実際 図 3 保有水平耐力の 算定フロー
2 i i 2 o o i o i D / h 1 2 D / h 1 2 h h κ ν κ ν α i ui 2 i i s 2 i i i h G 1 2 D / h 1 1 2 D / h 1 τ κ ν δ κ ν δ s 2 i i i 3 i i b 1 2 D / h I E 12 h Q δ κ ν δ wi i i s A G h Q κ δ Qi:各壁体の負担せん断力 δs:せん断変形により生じる水平変位 δb:曲げ変形により生じる水平変位 κ:形状係数(=1.2) G:せん断弾性係数 Awi:各壁体の断面積 E:ヤング係数[=2(1+ν)G] ν:ポアソン比 Ii:断面 2 次モーメント(=ti・Di3/12) ti:各壁体の壁厚 τui:各壁体が負担するせん断応力度 図 4 水平変位δiの算定=
δs+
δi δb hi Di 図 5 αi-hi/Di関係 0 0.5 1 1.5 0 1 2 3 4 5 6 hi/ho=0.5 hi/ho=1.0 hi/ho=1.5 αi hi/Di 文献18)の 低減係数
u u 2 u u y u h G 1 2 D / h τ κ ν γ γ bu y u su u γ δ γ δ δ 図 6 バイリニアによる τ - γ関係のモデル化×
τu γy γu せん断ひずみγ せ ん 断 応 力 度 τ
u u 2 y u u 2 o o o 21 h /D h 21 h /D h γ γ κ ν κ ν ・ ・ ・ (1) ・ ・ ・ (2) ・ ・ (3) 各壁体の形状 (高さhi,幅Di,壁厚ti) No 最小壁体長さ 以上であるか 各壁体の負担 軸力Niの算定 基準とする壁Woの決定 (Woの終局せん断強度をτuoとする) 剛床仮定が成立するか 捩れ変形は小さいか 除外 Yes No 評価方法を 再検討する 各壁体の負担せん断力 Qi=τui×Awi 保有水平耐力 Qu=ΣQi 各壁体の修正係数αi τui=αi×τuo Yes 終局せん断強度τuの決定 Woは対象建築物 に適しているか No Yes50-4 に診断を行う場合には基準とする壁体が対象建築物に適 切か確認する必要がある。 5. 耐震診断の実施 5-1 耐震診断の概要 表 4 に診断対象とする建築物の概要を示す。 1 階平面図は 文献 29)に示されている。 耐震性の判定は構造耐震指標 Is と 構造耐震判定指標 Iso の比較により行う。 Is は下式により求 められる。 ここに、 Qu:保有水平耐力, F:靱性指標,T:経年指標,SD:形状 指標 , Σ W:その階より上の建築物全重量 ,Ai:高さ方向の分布 係数で(n+i)/(n+1),n:建物階数 ,i:対象としている階の階数 ,Z:地 震地域係数 ,Rt:固有周期等に関わる係数である。 壁体の曲げ 変形を考慮して各壁体の負担せん断力を低減するため Iso は 0.6としている。 保有水平耐力の算定は図3 に示す算定フロー に従うこととする。 煉瓦壁の変形能力については定量的な評 価はできていないが RC 壁に比べて小さいと考えられるため、 靱性指標 F を 0.6 とする。 煉瓦壁体の終局せん断強度は図 7 に示すτ - σ関係30)のσ =0 の時のせん断強度の平均値 t i D u