土 木 学 会 論 文 集No. 581/VI-37, 27-37, 1997. 12
明 石 海 峡 大橋 海 中 基 礎 工 事 に お け る
超 大 型 ケ ー ソ ンの設 置
加 島
聰1・ 坂 本 光 重2・ 鈴 木 幹 啓3・ 樋 口 康 三4
1正会 員 工博 本 州 四国 連 絡橋 公 団 第一 建 設 局長 (〒651神 戸市 中央 区浜 辺通 り5-1-14) 2正会 員 工 博 本 州四 国連 絡 橋 公 団 第 一建 設 局 機械 課 長 (〒651神 戸 市 中央 区 浜 辺 通 り5-1-14) 3正会 員 本 州 四 国連 絡橋 公 団 第 一建 設 局 洲本 工 事事 務 所長(〒656洲 本市 桑 間312-1) 4正会 員 本 州 四 国連 絡橋 公 団 第 二管 理 局 坂 出管 理事 務 所 長(〒762坂 出市 川 津 町4388 -1) 明 石海 峡 大橋 主 塔 基礎 は海面 下60mを 支 持面 とす る, 直径80m高 さ70m体 積35万m3の 直 接 基礎 で あ り, 施 工 上 の最 大 の 難 関 は水 中 コ ン ク リー トの全 形 型 枠 とな る総重 量1万9千tf(18万6千kN)の ケー ソ ンの設 置 で あ った. 明石 海 峡 は最 大 潮 流速 が8knを 超 え, しか も1日 あた り1400隻 の船 舶 が 航 行す る海 上 交 通 の要 衝 の地 で あ り, ケ ー ソ ンの 設 置 にあ た って は, 強 大 な外 力 に 対 抗 す るた め の設 備 の 大 型 化 と と も に正確 さ と迅 速 性 の確 保 が課 題 で あ っ たが, 設置 誤 差10cm以 下 で設 置 す る こ とがで きた. 本 文 で は, ケ ー ソ ンの設 置 に あ たっ て, 何 が問 題 で あ り, そ れ を どの よう に解 決 した か につ い て述 べ る.Key Words:
caisson, tide, quick joint, linear winch, information control
1. は じめ に
明石 海峡 大橋 は 中央支 間1990m全 長3910mの 吊橋
で あ り, これ を支 え る2基 の主塔 基 礎 は海 面下60m
を支持 面 とす る, 直 径80m高
さ70m体 積35万m3の
直接 基礎 であ る. この 主 塔 基礎 は, 海底 地 盤 を支 持
面 まで掘 削 した後, この 掘 削作 業 と並行 して造 船 所
で建 造 したケ ー ソ ンを掘 削 面 に設置 し, ケー ソ ン 内
部 に水 中 コ ンク リー トを打 設す る設 置 ケ ー ソン工 法
で施 工 した.
海 中基 礎 の 全 形 を一 体 に した ケ ー ソ ンは, 外 径
80m内 径56m高
さ65mの 二重 円筒 形 で, 外側 の 二重
壁部 の底 面 を密 閉 した鋼 製 の浮 体構 造物 で あ る. 曳
航 や設 置 に使 用 す る礒装 品 を含 む総 重 量 は1万9千tf
(18万6千kN)で
あ り, 曳航 時の 吃水 は8mに
なる.
ケー ソ ンの曳 航 に は位 置 の制御 の しやす さ(操 縦
性)よ り複 数 の曳 船 を使用 す るが, 3000PS級 の曳船
を12隻 使用 して も曳航 速 度 は4knに 過 ぎない. した
が って, 係留 や 設置 作 業 は 強潮 流 を避 けた小 潮 期 の
潮止 ま り前後 の 憩流 時 に行 うこ とに なる.
ケー ソ ンは憩 流時 に現 場 海域 に進 入 し, 曳船 で 位
置 を保 ち なが ら, 海底 に設 置 した8基
の シ ンカー側
の 係 留 索 とケ ー ソ ン上 の ウ イ ン チ に巻 き込 ま れ て い る8本 の 係 留 索 を継 続 す る が, 係 留 索 は 直 径120mm の ワ イ ヤ ロ ー プ で あ り接 続 は 容 易 で な い. 小 潮 期 と い え.ども最 大 潮 流 速 は4knを 超 え る た め, 係 留 索 の 接 続 に失 敗 す る と ケ ー ソ ン は 漂 流 す る こ と に な る. 係 留 後, ウ イ ンチ を操 作 して 所 定 の 位 置 に導 き な が ら二 重 壁 内 に 注 水 して ケ ー ソ ン を海 底 面 ま で 降 下 させ る が, 吃 水 の 増 加 に と も な い 潮 流 が 増 加 す る. ウ イ ン チ の 係 留 力 は 降 下 途 上 で 決 ま る400tf (3920kN)で あ り, 仮 に 降 下 作 業 が 遅 れ て, 着 底 直 前 に4knの 潮 流 を 受 け る と潮 流 力 は400tf(3920kN) を超 え て 位 置 決 め 操 作 が 不 可 能 に な る. い ず れ の 作 業 も潮 流 速 を見 極 め な が ら の 作 業 に な る が, 潮 流 は 潮 止 ま りの3時 間 後 に は 最 大 潮 流 速 と な り, 6時 間 後 に は 再 び 潮 止 ま り と な っ た 後 に 反 転 す る 変 化 を 繰 り返 す. この よ う に, 決 して 待 っ て く れ な い 自然 現 象 に拘 束 さ れ る 作 業 を確 実 に施 工 す る 要 諦 は 次 の3点 とな る. ・十 分 な 容 量 を 持 ち, 確 実 に作 動 す る 施 工 設 備. ・正 確 で 迅 速 な 情 報 管 理 シ ス テ ム. ・施 工 設 備 を使 い こ なす 技 量. 具 体 的 に は, 操 作 力400tf(3920kN)・ 耐 力1000tf 27(9800kN) の 係 留 装 置 と係 留 索 を短 時 間 で 接 続 す る ク イ ッ ク ジ ョ イ ン ト, 50台 の 水 中 ポ ン プ で 構城 す る 注 水 装 置, 300を 超 え る 情 報 を2秒 間 隔 で 収 集 ・変 換 ・表 示 す る情 報 管 理 装 置 で あ り, また, 訓 練 海 域 に お け る1ヵ 月 を超 え る 訓 練 で 習 得 した 卓 抜 した 操 作 技 量 で あ る. こ れ らが 相 侯 っ て 設 置 作 業 は 極 め て順 調 に 進 捗 し 設 置 誤 差10cm以 下 の 高 精 度 の 施 工 を実 現 し た.ま た 降 下 途 上 に お い て, 従 来 は 明 確 で な か っ た レ イ ノ ズ ル 数 が108を 超 え る領 域 の 抗 力 係 数 を 測 定 した. 2. ケ ー ソ ン の 構 造 主 塔 基 礎 は 写 真 一1に 示 す よ う に, 舞 子 側(2P) と淡 路 島 側(3P)の2基 設 置 して い る が, ほ ぼ 同等 の 寸 法 の た め こ こ で は2Pに 代 表 して 述 べ る. ケ ー ソ ン は 潮 流 力 の 低 減 と位 置 決 め の 容 易 さ よ り円 形 と し た. 構 造 は 図 一1に 示 す よ う に, 外 壁 と 内 壁 を 有 す る二 重 壁 構 造 で あ り, 二 重 壁 部 の 底 面 を密 閉 して 浮 力 を確 保 した, この 二 重 壁 部 は, 注 水 し た水 の 遊 水 化 の 防 止 ・全 体 剛 性 の 確 保 ・水 中 コ ン ク リ ー トの 打 設 量 の 調 整 等 の た め 円 周 方 向 に16区 画 に仕 切 っ た. また, 内 壁 部 の 天 端 に は 礒 装 架 台 や 水 中 コ ン ク リ ー ト打 設 時 の 足 場 を 設 置 す る た め トラ ス 骨 組 の ス ト ラ ッ トを 格 子 状 に 配 置 した. 本 体 の 鋼 重 は1万5千tf (14万7千kN), 礒 装 品 を 含 む 総 重 量 は1万9千tf (18万6千kN), 曳 航 時 の 吃 水 は8mで あ る. 3. 全 体 工 程 ケ ー ソ ン の 組 立 に は80m×80m以 上 の ドラ イ ド ッ ク が 必 要 に な る た め, 瀬 戸 内 海 周 辺 の 造 船 所 で 製 作 した112の ブ ロ ッ ク を, 2Pは 津 市 の 造 船 所, 3Pは 玉 野 市 の 造 船 所 で 一 体 に 組 み 立 て, 曳 航 と設 置 に必 要 な 各 装 置 を 礒 装 した, 設 置 は 掘 削 工 事 の 先 行 した2Pか ら 開始 し, 津 市 か ら小 豆 島 沖 合 に 設 定 した 訓 練 海 域 ま で 約300マ イ ル 曳 航 して 係 留 の 上, 2ヵ 月 間 蟻 装 品 の 試 運 転 と 習 熟 訓 練 を 実 施 した. 訓 練 の 完 了 した1989年3月26日 の 夕 刻 に小 豆 島 を 出 発 し, 27日 昼 間 に 神 戸 市 沖 に 到 着 し て 仮 泊 した.28日 の 早 朝 に 現 場 海 域 に 入 域 し午 前 の 憩 流 時 に 係 留 して, 吃 水275mま で 注 水 降 下 させ, 写真-1 明 石海 峡大 橋 の 状況 (97年10月) 図-1 2Pケ ー ソ ン構 造 図
29日 の午 前 の潮 止 ま りに着底 させ た. この後, ,
ケー
ソ ンに搭載 した礒装 品 を撤 去 し, 3Pを 組 み 立 て てい
る玉野 市 の造船 所 に運搬 した.
3Pは2Pか
ら撤 去 した蟻 装 品 を1ヵ 月 で再 礒装 し,
小 豆 島 沖合 の訓 練 海 域 に曳航 ・係 留 した. こ こで1
ヵ月間, 試 運転 と習熟 訓練 を行 い, 6月8日
の午 後 に
小 豆 島 を 出発 して9日 の 夕刻 に淡 路 島の 大磯 沖 合 に
到着 して仮 泊 した. 10日 の早朝 に現場 海 域 に入 域 し
午前 の憩 流 時 に係 留 して, 吃水275mま
で注 水 降下
させ, 11日 午 後 の潮止 ま りに着 底 させ た. 以 上 述べ
た一連 の工程 を表 一1に 示 す. 2P・3Pと
も設 置誤 差
は10cm以
内で あ り,
ほぼ 同等 の手順 で施工 して い る
た め, 以下 は潮 流 条件 の厳 しい3Pに 代 表 して述べ る.
4. 曳航 と係 留
(1) 係留 装置 の構 成
ケ ー ソ ンの係 留 は あ らか じめ海底 に設 置 され て い
る シ ンカー側 の8本 の係 留 索 と, ケー ソ ンに搭 載 さ
れた ウ イ ンチ側 の8本 の係 留索 を接 続す る作 業 であ
る. 具 体 的 には, シン カ ー側 の係留 索 は揚 錨船 の 甲
板 に巻 き上 げて置 き, ケ ー ソ ン側 の係留 索 は ウイ ン
チで繰 り出 しなが ら索 取 船 で揚 錨船 まで運 び甲板 上
で接続 す る. 接 続 後 は直 ち に, 揚 錨 船 の ク レー ンで
接 続 金具 を吊 り下 ろ しなが ら, ウイ ンチ で係留 索 の
余 長 を巻 き取 る こ とに な る. したが って, 係留 索 は
図 一2に 示す よ うに, シ ン カー ・係 留索 ・
接 続 金 具
(クイ ッ クジ ョイ ン ト)・ フェ ア リー ダ ・リー デ ィ
ン グブ ロ ック ・ウイ ンチ で構 成 す る こと にな る. 以
下, これ らの各装 置 の課題 と解決 策 につ い て述べ る.
(2) ウイ ンチ
ウイ ンチの仕 様 は巻込 力 と巻込 速度 で 表 され るが,
係 留索 の接 続時 と位 置 決 め 時で異 なる. 係留 索 の 接
続 時 には係 留索 を200m程 度繰 り出 し, 接 続後 に
100m程 度 の 余 長 を巻 き込 む こ と に な る が, 憩 流 時 の 短 時 間 に 制 限 さ れ る た め30m/分 程 度 の 巻 込 速 度 と 20tf(196kN)程 度 の 巻 込 力 が 必 要 に な る.位 置 決 め 時 に は 潮 流 力 ・波 力 ・風 力 に 対 抗 して ケ ー ソ ン を 所 定 の 位 置 に誘 導 す る た め の400tf(3920kN)程 度 の 巻 込 力 が 必 要 に な る が, 移 動 距 離 は 数mの た め 巻 込 速 度 は2m/分 程 度 で 十 分 で あ る. す な わ ち, 低 張 力 ・高 速 巻 込 と大 張 力 ・低 速 巻 込 の 仕 様 ポ イ ン トの 異 な る ウ イ ン チ が 必 要 に な る.瀬 戸 大 橋 で も20tf(196kN)×20m/分 と130tf(1270kN) ×2m/分 の ウ イ ン チ が 必 要 に な り, 一 般 的 な 多 層 巻 込 の ドラ ム ウ イ ン チ と 直 径76mmの ワ イ ヤ ロ ー プ を 使 用 した が, 下 層 の ワ イ ヤ ロ ー プ の 型 崩 れ や, 上 層 の ワ イ ヤ ロ ー プ が 下 層 ワ イ ヤ ロ ー プ の 間 に 落 ち込 む 段 落 ち が 生 じ て 対 策 に 苦 慮 し た. ワ イ ヤ ロ ー プ は 張 力 に よ り半 径 方 向 に 絞 ら れ て 堅 く細 く な る た め, 低 張 力 で 巻 き込 ん だ柔 ら か い ワ イ ヤ ロ ー プ の 上 に 大 張 力 の 堅 い ワ イヤ ロ ー プ を 巻 き込 む と前 述 の 不 具 合 が 生 ず る. 今 回 の ワ イ ヤ ロ ー プ は 張 力400tf(3920kN) 直 径120mmに な る た め, ドラ ム ウ イ ン チ で は よ り厳 しい 不 具 合 と な る こ と が 予 想 さ れ る た め, こ の 防 止 措 置 が 必 要 に な る. こ れ を 防 止 す る に は400tf(3920kN)の 張 力 を ドラ ム 以 外 の 機 構 で 受 け持 つ 必 要 が あ り, トラ ク シ ョ ン 表-1 ケ ー ソ ン の 設 置 工 程 図-2 係 留装 置 の構 成ウ イ ン チ と リ ニ ア ウ イ ンチ の2種 類 考 え ら れ る が, こ こで は 経 済 性 や 機 構 の 簡 略 化 よ り リ ニ ア ウ イ ン チ を採 用 し た. リニ ア ウ イ ン チ は 図 一3に 示 す よ う に, ワ イ ヤ ロ ー プ を懊(ウ エ ッ ジ)を 利 用 した グ リ ッ パ で 保 持 し, この グ リ ッパ を 油 圧 シ リ ン ダ で 動 か し て ワ イ ヤ ロ ー プ を巻 き込 む(繰 り出 す)も の で あ る. した が っ て, ド ラ ム ウ イ ン チ の 前 部 に こ の リニ ア ウ イ ンチ を 設 け, 20tf(196kN)×20m/分 を ドラ ム ウ イ ンチ, 400tf・(3920kN)×2m/分 を リニ ア ウ イ ン チ で 行 え ば 前 述 の 不 具 合 は 解 消 で き る. こ の 機構 で は, 張 力 は 懊 に よ りワ イ ヤ ロ ー プ の 半 径 方 向 の 圧 縮 力 に 変 わ り, 懊 と ワ イ ヤ ロ ー プ の 摩 擦 力 で 保 持 す る た め ワ イ ヤ ロ ー プ の 滑 りや 素 線 の損 傷 が 懸 念 され た.こ の た め, 模 ・グ リ ッ プ ・ワ イ ヤ ロ ー プ を試 作 し て 引 張 試 験 を行 っ た と こ ろ, 滑 りは 生 じな い もの の, 耐 力 が1000tf(9800kN)の ワ イ ヤ ロ ー プ が850tf (8330kN)で 破 断 した. 素 線 の 破 断 は徐 々 に 進 んで い る(音 で 判 別)た め, 途 中 で ワ イ ヤ ロ ー プ を ば ら し て調 査 し た と こ ろ, 長 手 方 向 で は グ リ ッ プ, 半 径 方 向 で は ス トラ ン ド同 士 の 当 り面 で 破 断 さ れ て い た. こ れ よ り, 破 断 の 原 因 は 圧 縮 力 に よ り素 線 の 接 触 部 が 変 形(断 面 縮 小)し て い る た め と考 え ら れ た. こ の た め, 図 一4に 示 す よ う に, ス トラ ン ド同 士 の 間 隙 に三 角 形 の フ ィ ラ ー と 素 線 を 追 加 し, 素 線 間 の 圧 縮 力 を 緩 和 し て (線 接 触 を 面 接 触) 耐 力1000tf (9800kN) を 確 保 した. (3) ク イ ッ ク ジ ョ イ ン ト ケ ー ソ ン の 係 留 の 要 諦 は, 係 留 索 の 迅 速 ・確 実 な 接 続 に あ る.係 留 索 の 接 続 は, 係 留 索 の 端 部 に設 け た ソケ ッ ト同 士 を 嵌 め 合 わ せ て 両 者 の 孔 に ピ ン を 挿 入 す る 方 法 が 一 般 的 で あ り瀬 戸 大 橋 で も こ の 方 法 を 踏 襲 し た が, 直 径76mmの 係 留 索 の接 続 に40分 以 上 費 や し た. こ れ は ピ ン の 重 量 が70kgf(686N)と 重 く, ま た, ソ ケ ッ トの 孔 が 揚 錨 船 の 揺 れ に よ りズ レ て 数 回 の や り直 しが 必 要 に な る た め で あ る.今 回 は 係 留 索 の 直 径 が120mmで あ り, ピ ンの 重 量 も200kgf (1960N)に な る た め接 続 時 間 が 長 く な る こ と が 予 想 さ れ る が, 逆 に 憩 流 時 間 は 短 い た め, 短 時 間 で 確 実 に 接 続 で き る継 手 の 開 発 が 必 要 に な っ た. 開発 に あ た っ て は, 装 置 の 重 量 よ り入 力 に よ る こ と な く機 械 力 で 接 続 す る もの と し, 前 述 の リ ニ ア ウ イ ン チ の グ リ ップ 機構 を ヒ ン トに 図 一5に 示 す ク イ ッ ク ジ ョ イ ン トを 開 発 した. こ の 装 置 は, シ ン カ ー 側 の 係 留 索 に オ ス 金 物 ・ウ イ ン チ 側 に メ ス 金 物 ・メ ス 金 物 の 内 部 に テ ー パ リ ン グ とテ ー パ リ ン グ に 沿 っ て ス ラ イ ド す る ス ラ イ ド金 物 で 構 成 し て い る. 揚 錨 船 上 の5tf (49kN)程 度 の ウ イ ンチ で オ ス 金 物 を メ ス 金 物 内 に 引 き込 む と, ス ラ イ ド金 物 は オ ス 金 物 に 押 さ れ て 後 退 開 口 し, オ ス 金 物 が 入 り き る と ス ラ イ ド金 物 は バ ネ カ に よ り前 進 縮 口 し て 接 続 を完 了 す る.オ ス 金 物 と ス ラ イ ド金 物 の 当 り面 は テ ー パ 状 に な っ て い る た 図-3 リニ ア ウ イ ンチ作 動 原理 前部 と後部 の シ リ ンダが 交互 に伸 縮 を繰 り返 す 図-4 ワイ ヤ ロー プの改 善 断面 図-5 ク イ ッ ク ジ ョ イ ン ト作 動 原 理 30
め, オ ス金物 の 張力 は圧 縮 力 と して メス 金物 に伝 わ
り, メス金物 は フー プテ ンシ ョンと して受 け るた め,
力 の流 れ も取 り扱 い も単 純 明快 な機 構 で あ る. 本 装
置 は, 実 大 の試験 機 を製作 して1000tf(9800kN)の
耐 力試 験 と実 作業 と同様 な 手順 で接 続 試験 を行 った.
この試 験 に よ る と, 接 続 その もの は数秒 で完 了 し,
装 置 の運搬 か ら余 長 の巻 き込 み まで30分 以 内 に完 了
す る見 通 しを得 た.
(4) 曳航
ケ ー ソ ンは憩 流 時 に潮流 に逆 らっ て現 場 海域 に 進
入 し, 係留 が 完 了す る ま で曳船 の連 携作 業 で位 置 を
保持 しな けれ ば な らない ため, 曳航 力 と ともに位 置
の 制御性 能が必 要 に なる. 曳航 時の 対水 速度 を4kn
とす る と, 曳 船 の必 要 出力 は4万PS以
上 にな るが,
国 内で 調達 で きる曳船 の 出力 は3200PS∼3400PSで
あ り, 10隻 以上 の 曳船 が必要 にな る. 曳航 中や 係留
中 の位 置 は付 近 の 地形 や 主 要 な構造 物 の見通 しに よ
って把握 し, 曳船 の 回頭 方 向 と出力 に よって制御 す
るが, 指 揮 者 の勘 と経験 に頼 る作 業 の ため極 力 単 純
にす るこ とが望 ま しい. したが っ て, 曳 航船 団 は 図
一6に 示す よ うに,
曳航 方 向の 前後 各4隻 の曳 線 に よ
り主 と して曳航 力 を, 左 右 各2隻 の 曳船 に よ り主 と
して位 置決 め性 能 を確保 す る よ うに12隻 配置 して そ
れ ぞれ の機 能分 担 を図 っ た.
(5)係 留
ケー ソ ンを係 留す るシ ンカ ーは, 潮流 力 ・波 力 ・
風 力 に耐 え る とと もに所 定 の位置 へ の誘 導 が容 易 な
配置 が 望 ま し く,
角 形の ケ ー ソ ンで は瀬戸 大 橋1)に見
られ る よう に直 行 配置 が 多用 され てい る.し か し今
回 は形状 が 円形 の ため位 置決 め は 中心 の み で足 り る
と ともに, 潮 流 は東 西流 が卓 越 して お り, この潮 流
力 の緩和 を目的 に図 一7に 示す よ うに, 東 西方 向 は
平 行 に, 南 北 方 向 は60度 開 い た 放 射 状 に 配 置 し, 南 北 の シ ン カ ー で も東 西 の 潮 流 力 を負 担 す る 配 置 に し た. ケ ー ソ ン と シ ン カ ー の 距 離 は 工 事 占 有 海 域(東 西1km・ 南 北500m)の 制 約 と係 留 時 の 作 業 性 に よ り 200mと した.こ の 配 置 に お け る, 各 係 留 索 に 作 用 す る 張 力 は 吃 水 と潮 流 速 に よ っ て 異 な り, 代 表 的 な 施 工 段 階 に お け る 係 留 索 の 最 大 張 力 は 表 一2に 示 す よ う に, 385tf(3770kN)に な り, こ れ よ り係 留 装 置 の 巻 込 力 は400tf(3920kN), 耐 力 は25倍 の 安 全 率 を 考 慮 して1000tf(9800kN)に した. な お, 最 大 張 力 は 係 留 索 毎 に 異 な る が, ワ イ ヤ ロ ー プ ・ク イ ッ ク ジ ョ イ ン ト ・リ ニ ア ウ イ ン チ は 設 計 と製 作 の 手 間 よ り 同 一 の 仕 様 と し, シ ン カ ー は 鋼 ス ラ ブ を 積 層 した も の で あ り重 量 調 整 が 容 易 な た め, 850tf(8330kN)∼ 1150tf(11270kN)で 構 成 し た. 以 下, 3Pを 例 に実 際 の 係 留 作 業 を 表 一3と 図 一8を 参 照 し な が ら述 べ る. (1)12隻 の 曳 船 で 曳 航 さ れ て 現 場 海 域 に進 入 し た ケ ー ソ ン を 曳 船 の 連 携 作 業 よ り所 定 の 位 置 に 図-6 ケ ー ソ ンの曳航 船 団 この他 に4隻 の警 戒船 を配置 して い る 図-7 シ ンカー と係 留 索 の 配置 表-2 係 留 索 に作 用 す る最 大 張 力(計 画値) *風 速 は10m/秒, 波 高 は1mで あ る誘 導 す る. (2)12隻 の う ち両 側 の4隻 は索 取 り作 業 に 支 障 す る た め 前 後 の8隻 の う ち の4隻 を両 側 に 展 開 した 後 に 切 り離 す. (3)切 り離 さ れ た 曳 船 の う ち1隻 は 索 取 船(A)に な り1番 係 留 索 の メ ス 金 物 を 揚 錨 船(A)に 運 ぶ. (4)切 り離 さ れ た 曳 船 の う ち1隻 は 索 取 船(B)に な り4番 係 留 索 の メ ス 金 物 を揚 錨 船(B)に 運 ぶ. (5)メ ス 金 物 を揚 錨 船 に 渡 した 索 取 船(A)と(B)は 引 き 続 い て8番 と5番 の 係 留 索 の メ ス 金 物 を揚 錨 船(C)と(D)に 運 ぶ. (6)揚 錨 船 上 で は オ ス 金 物 を メ ス 金 物 内 に 引 き 込 み, 接 続 した 係 留 索 を 海 中 に 吊 り降 ろ す. (7)1番 と4番 の 係 留 索 を 吊 り 降 ろ した 揚 錨 船(A)と (B)は6番 と7番 の 係 留 索 に 移 動 し, 索 取 船(A) と(B)で運 ば れ た メ ス 金 物 を接 続 す る. (8)6本 の 係 留 索 と4隻 の 曳 船 で 西 流 の 最 強 をや り 過 ご し次 の憩 流 時 に 揚 錨 船(A)と(B), 索 取 船(A) と(B)は 同 様 な 容 量 で2番 と3番 の 係 留 索 を接 続 す る. ま さ に, 潮 流 に 追 わ れ な が ら, 潮 流 を待 ち な が ら の 作 業 で あ る こ とが わ か る. 最 も懸 念 さ れ た係 留 索 の 接 続 は メ ス 金 物 の 引 き 出 し開 始 か ら余 長 の 巻 取 り ま で30分 ∼40分 で 完 了 して お り, ク イ ッ ク ジ ョ イ ン トの優 秀 性 を 実 証 し た. 5. 降 下 と 着 底 (1) 注 水 ポ ン プ の 構 成 ケ ー ソ ンは16区 画 に分 割 さ れ た 二 重 壁 部 の 浮 力 に よ り吃 水8mで 浮 上 して い る た め, 降 下 さ せ る に は 二 重 壁 内 へ の 注 水 が 必 要 に な る. この 注 水 方 法 と し て は, ケ ー ソ ンの ス キ ン プ レ ー トに 設 け た バ ル ブ に よ り外 水 を流 入 させ る バ ル ブ 注 水 と, 水 中 ポ ン プ で 外 水 を 汲 み 上 げ る ポ ン プ 注 水 が 考 え ら れ る. バ ル ブ 注 水 は 水 位 差 を 利 用 で き る た め 動 力 が 不 要 な利 点 が あ るが, バ ル ブ の 開 閉 が 不 能 に な っ た 場 合 に は ケ ー ソ ンが 傾 斜 横 転 す る 危 険 が あ る. ポ ン プ 注 水 は 力 を要 す る 難 点 が あ る が, ポ ン プ の 故 障 は 降 下 の 停 止 と な る フ ェ ー ル セ ー フ で あ り, 表-3 3Pの 係 留 ス ケ ジ ュ ー ルq989年6月10日) 図-8 係留 時 の船 団 の展 開例 9時30分 ごろの 状況 を示 す 32
信 頼 性を優先 して ポ ンプ注水 を採 用 した.
ポ ンプの能 力 は揚 水 量 と揚程 で 決 まる. 必 要 な 揚
水 量 は, ケ ー ソ ンの 降下 高 さ50mと 潮 止 ま り間隔 よ
り決 ま る必 要 降 下 速 度8m/hに
二 重 壁 部 の 面 積
2500m2を 乗 じた2万m3/hで
あ り, 市 場性(リ ー ス
調 達〉 と信 頼性 よ り10m3/hの
水 中 ポ ンプ を各 区画
に2台 つ つ合計32台 使用 す る. 揚程 は50mで
あ り,
1段 で揚 水 す る と必 要動 力 が5000kWを
超 え る と と も
に, リー ス調達 の困難 な高 揚程 ポ ンプ にな るた め 揚
程 の低 減 が必 要 にな った. この た め, 図 一9に 示 す
よ うに, 水 中 ポ ンプ よ り ケー ソ ンの天 端 まで 伸 ば し
た揚 水管 の途 中の2箇 所 に注 水 口 を設 け た. 最初 は
最下 段 の注水 口 を開い て 注水 し, 水 位 が最 下段 の 注
水 口 まで上 昇 した時 点 で この注水 口 を閉 じて 中段 の
注水 口 か ら注水 す る. 同 様 に, 中段 の注 水 口 まで 水
位 が 上昇 した時 点で これ を閉 じて, 最 上 段 か ら注 水
す る と揚 程 は市 販 ポ ンプの揚程 の20m以
下 に なる.
注水 す る二 重 壁部 の 内側 スキ ンプ レー トの 強度 は
10tf/m2(98kN/m2)で
あ り, 吃水 は8mで
あ るか ら
各 区 画 の注水 高 の許 容誤 差 は2mに
な る. したが って,
各 区 画2台 つつ 注水 してい る32台 の ポ ン プの うち の
1台 で も故 障 す る と,
その 区画 の注水 が 遅 れ る ため残
りの 区画 の15台 のポ ンプを停止 させ な けれ ば な らな
い. また, 2台 故障 した区画 が現 われ る と降下 が不 可
能 にな る. 特 に, 着底 は 潮止 ま りの短 時 間 を狙 っ て
行 う もので あ り, 着底 直 前 に故 障 す る と致命 的 な ダ
メ ージ を招 きか ね ない た め信頼 性 の向 上 が不 可 欠 に
な る. この た め, 2台 の予備 ポ ン プ とケー ソン天端 に
各 区画 へ の注水 口 を有 す る リ ング状 の 配 管 を設 け,
ポ ンプの 故障 した区 画 に は直 ち に予 備 ポ ンプか ら注
水 で きる構 成 に した.
訓 練 海域 で は, 注水 ポ ンプの機 能 ・傾 斜 の発生 と
そ の修 正 ・水 位計 の精 度等 の確 認 の ため, 実 際 に ケ
一 ソ ン 内 へ の 注 水 が 必 要 に な る. ま た, 着二底 後 の 再 測 量 に お い て 規 定 以 上 の 誤 差 が 発 見 され た 場 合 に は 再 浮 上 が 必 要 で あ り, 各 区 画 に1台 つ つ 再 浮 上 ポ ン プ を設 け た.以 上 の3種 類 の 水 中 ポ ン プ の 構 成 を表 一4に示 す. (2)降 下 と着 底 3Pは, 6月10日14時34分 に 係 留 を完 了 し所 定 の 位 置 に 導 い た 後, 吃 水20mま で 降 下 し て 再 下 段 の 注 水 口 を 閉 じて 翌 日 に 備 え た. 翌 朝 の8時10分 よ り注 水 を 再 開 し, 吃 水34mで 中 段 の 周 水 口 を 閉 じて 再 下 降 を 開 始 した. 降 下 に と も な い 係 留 索 が 弛 ん で ケ ー ソ ンの 位 置 が ず れ る た め, 途 中 で2回 所 定 の 位 置 に 誘 導 して い る. 15時4分 に 吃 水56.3mに 達 し, こ こ で 最 終 的 な位 置 決 め の 後, 15時35分 よ り注 水 を 開 始 し, 15時52 分 に着 底 し た. 当 日の 潮 止 ま り は15時57分 で あ り, 計 画 と寸 分 狂 わ な い 施 工 で あ っ た. ま た, 設 置 誤 差 も10cm以 下 で あ り測 量 誤 差 の 範 疇 で あ る. な お, 実 際 の ス ケ ジ ュ ー ル を表 一5に 示 す. 6. 情 報 の 収 集 と 管 理 (1) 情 報 管 理 と装 置 構 成 係 留 を完 了 した 後 の 設 置 作 業 は, 平 面 上 の 目標 位 置 へ の 誘 導 と基 礎 底 面 へ の 降 下 で あ り, 操 作 対 象 は8 台 の ウ イ ン チ と32台 の ポ ン プ で あ る. ウ イ ン チ の 運 転 は ワ イ ヤ ロ ー プ の 巻 き 込 み と繰 り 出 し, ポ ン プ の 運 転 は 揚 水 と停 止 の 極 め て 単 純 な 操 作 で あ る. し た が っ て, 運 転 そ の もの よ り 「い つ ・な に を ・ど れ だ け 」 操 作 す る か?が 重 要 に な る. 例 え ば, 目標 位 置 に誘 導 す る に は, 目標 位 置 との 誤 差 ・各 ウ イ ン チ に 作 用 して い る 張 力 ・潮 流 の 方 向 と速 度 の 把 握 が 必 要 で あ り, 操 作 後 は そ の 効 果(誤 差 の 収 束 量)の 把 握 が 必 要 に な る. こ れ らの 情 報 は 種 々 雑 多 で あ り総 数 300を 超 え る と と も に, 時 々刻 々 変 化 し, さ ら に 出 所 が 広 い 範 囲 に 点 在 す る. 加 え て, 設 置 作 業 は 潮 止 ま り を 中 心 と す る 憩 流 時 に 限 ら れ る 作 業 の た め, 速 く ・正 確 に 収 集 し ・解 りや す い 形 に整 理 して 指 揮 者 図-9 注 水 装置 の 構成 全 周 の リ ング配管 か ら 任 意 の 区画 に注水 バ ルブ を 開 く と 注水 で きる 訓練 完 了後 に 上 部 に 移設 置本注水
予備注水
排水浮上
表-4 注 水 ポ ンプ の構 成に提 供 す る こ と が 重 要 に な る. こ の た め, 図 一10に 示 す よ う に, 各 所 に配 置 し た セ ン サ で 収 集 し, 電 算 機 で 処 理 してCRTに グ ラ フ ィ ッ ク 表 示 し た. 主 要 な 情 報 は, ケ ー ソ ンの 平 面 位 置 ・海 底 面 ま で の 距 離 ・
潮流 の方 向 と速 度 ・各 装 置の作 業 状 況 であ り, 表 一6
に示 す3画 面 に分 けて表 示 した. な お, これ らの情
報の収 集 と表示 はオ ン ラ イ ンで あ り, 画 面の 更新 ピ
ッチ は約2秒 で ある.
(2) 位 置情 報
ケー ソ ンの形 状 は円筒 の た め 中心 位 置 を測 量す れ
ば よい. 測量 に先立 ち, ケー ソ ンの設 置位 置 と陸 上
の光波 測 距儀 の座標 値 を電 算機 に入力 して測 量 を 開
始 す る. 測 量網 は図 一11に 示 す よ うに, 2距 離 測 量
をメイ ンに し, 前方 交 会 法 と測 距 測角 法 をバ ック ア
ップ と して3系 統 設 けた. メ イ ン系 で は, 2台 の測 距
表-5 3Pの 降 下 着 低 ス ケ ジ ュ ー ル(6月10日 ∼11日) 図-10 情 報 管理 装 置 の構 成 表-6 CRT画 面 と表 示 内容 34儀 で ケ ー ソ ンの中心 に設 け た反射 プ リズ ム を視 準 し,
2距 離 と仰 角 をケ ーソ ンに テ レメー タ送信 す る.
ケ ー
ソンで は受信 した デ ー タ にケ ー ソ ンの傾 斜 を乗 じて
下面 の 中心 位 置 を決 め, 目標 位 置 と の誤 差 と して
CRT画
面 に表 示 した. また, この画 面 に は, 各 ウイ
ンチ の張 力 ・ケー ソ ンの 傾斜 ・潮 流 の 方向 と速 度 等
も合 わせ て表 示 し, 指揮 者 は この画 面 を見 なが ら ウ
イ ンチの操 作 指令 を発 した.
バ ックア ップ系 は メイ ン系 の故 障 時 と測量 開 始 時
や最終 位 置 決め 時 の確認 測量 に使 用 す る もので, 音
声 で送 信 して別 の電算 機 で位 置 を求 め た. これ らの
測 量値 は10cm以 内 に入 る もので あ り,
設 置 中は適 時,
3系 統 の値 を確 認 しなが ら作 業 を進 め た.
(3) 注水 降下 情 報
ケ ー ソ ンは50m以 上 注水 降 下 させ るが, 降 下途 中
にお い て注水 口 の変 更 と, 着底 直 前 に最 終位 置 決 め
のた め に停 止 しな けれ ば な らない. また, 16区 画 の
水 位 を均等 に保 っ て水 平 に降下 させ な けれ ばな ら な
いた め, 降下 中 は ケー ソ ンの高 さ ・傾 斜 ・各 区 画 の
水 位 を管 理 しなけれ ば な らない. ケー ソ ンの高 さは
先 に述 べ た光 波測 距 儀 の仰 角 で求 め る こ とが で き る
が, 設 置作 業 で は絶対 高 さ よりむ しろ着底 面 まで の
距 離が 重 要で あ り, 4箇 所(東 西 南北)に 超 音波 測 探
器 を配 置 して着底 面 まで の距 離 を直接 測量 した. ケ
ー ソ ンの 傾斜 す る要 因 は, 各 区画 の注 水 量の ア ンバ
ラ ンス ・潮流 力 ・係留 索 の張 力の鉛 直 成分 の差 等 で
あ るが, 注水 の ア ンバ ラ ンスが支 配 的 なため 各 区 画
に水位 計 を配 置 して水 位 を計 測 した. これ らの着 底
面 までの 距離 ・各 区画 の水 位 ・傾 斜 の方 向 と大 き さ
等 の情 報 もCRT画
面 に グラ フィ ヅク表示 し, 指 揮 者
は この画面 を見 なが ら注 水 ポ ンプの操 作指 令 を発 し
た.
(4) 潮 流情 報
ケー ソ ンの係留 や 降 下着 底 は潮 止 ま りを中心 とす
る憩 流時 に行 わ な けれ ば な らな い ため, 潮止 ま りの
把 握 が必 要 に なる. 潮止 ま りの時 間の予 測 は可能 で
あ るが, 気象 条件 に よっ て ず れ る可 能性 が ある と と
もに, 現 場 海域 は潮 流 が速 くそ の変 化 も複 雑 であ る.
この ため, 潮 流 の流 速流 向計 を搭 載 した測 量 船 を 配
置 して実 際の 潮流 を観測 した. この流 速流 向計 は 超
音 波式 で あ り, 上 層 ・中層 ・下 層 の流 速 と流 向 を計
測 し, デ ー タは テ レメ ー タで ケー ソ ンに送 信 した.
受信 した デ ー タは予想 潮 流 と合 わ せ てCRT画 面 にグ
ラ フィ ッ ク表示 し, 指 揮 者 は この 画面 を見 なが ら,
現場 海 域へ の進 入 開始 ・係 留 開 始 ・注水 開 始 ・着 底
開始 の指令 を発 した.
(5) 習 熟訓 練
係 留 と設置 作 業 の 中枢 にな る, リニ ア ウ インチ ・
クイ ッ クジ ョイ ン ト ・情 報 管理 装 置 等 は新 し く開 発
した もので あ り, 機 能 の 確認 と と もに取 り扱 い に 習
熟 させ な けれ ばな らない. また, 情 報 を収 集表示 し
て も指令 を発 す るに はノ ウハ ウが 必 要で あ り, こ れ
を会 得す るに は実際 に操 作 して体 感 す るのが確 実 で
あ る.こ の ため, 小 豆 島 沖 に訓 練 海域 を設 け, ケ ー
ソ ン を回航係 留 して試運 転 と習 熟 訓練 を実施 した.
試 運 転の 主要 な確 認 項 目 は, ウ イ ンチの 巻込 力 と巻
込 速 度 ・注水 ポ ンプの揚 水 量 ・情 報管 理装 置 の精 度
と表 示項 目の適否 等 で あ り, 実 際 に操 作 して規 定 仕
様 の範 囲 にあ り, 使 用上 不 具 合 が な い こ とを確 認 し
た後, 設 置作 業 に従 事す る50人 の作 業 員 と4隻 の揚
錨 船 を特 定 して習 熟訓 練 に移 った. 係 留索 の接 続 訓
練 は, メス金 物 の引 き出 しか ら余長 の 巻 き込 み ま で
を30分 で完 了す る まで訓 練 を繰 り返 した と ころ, 各
船 と も3回 ∼4回 で 目標 に達 し実施 工 に適 用 で きる
見 通 しを得 た.
平 面 位 置 の 誘 導 訓練 で は, 係 留 直 後 を 想定 して
10mの 誤差 を1m以 下 にす る誘 導 と,
着底 直前 を想定
して1mの 誤 差 を10cm以 下 に す る誘 導 の2種 類 に分
けて実 施 した. これ らは, 当所 は誘 導 開始 か ら完 了
まで30分 以上 要 してい たが, 回数 を重 ね るご とに技
量 が 向上 し10回 程 度で10分 以 内 に完 了 す る よ うに
な った. 特 に, リニ ア ウイ ンチ は1cmオ
ー ダで係 留
索 の巻 き込 み と繰 り出 しが 容易 にで きるた め, 高 精
度 の設 置 に明 るい 見通 しを得 た.
注水 降下 の訓 練 で は, 20mの 降 下 と再 浮 上 を2回
繰 り返 し, 降下 に ともな う係 留 索 の 張力 の変 化 ・注
水 ア ンバ ラ ンスの発 生量 を, 次 いで, 強 制的 にlmの
ア ンバ ランス を発生 させ て傾 斜 量 と修正 時 間 を確 認
図-11 位 置 の計 測 要領 (1) メイ ン測量 (テ レメータに よ り デー タ送信) (2) バ ックア ップ測量工 (音声通信) (3) バ ックア ップ測量 (音声通信) ケ ー ソ ン セ ン タ ー 基準点1 基準点2 基準点A 基準点Cした. こ れ に よ る と, 降 下 に と も な い 張 力 は 弛 む が 10分 程 度 で も と の 位 置 と 張 力 に 回 復 で き る(増 し締 め)こ と, 注 水 量 の ア ンバ ラ ンス は 微 量(数cm)で あ る こ と, 1mの ア ン バ ラ ン ス は10分 程 度 で 回 復 で き る こ と等, 実 施 工 上 の 問 題 は 見 当 た ら な か っ た. ま た, メ イ ン 測 量 系 故 障 時 の バ ッ ク ア ッ プ 測 量 系 に よ る誘 導 や, 注 水 ポ ン プ 故 障 時 の 予 備 ポ ン プ に よ る注 水 等 の トラ ブ ル 対 応 等 の 訓 練 も実 施 し た. こ れ ら の 試 運 転 と 訓 練 に, 最 初 に施 工 し た2Pで は 2ヵ 月, 続 い て 施 工 した3Pで は1ヵ 月 を 要 し た が, 各 自 が 係 留 と設 置 の 作 業 に お け る 担 当 職 務 の 位 置 付 け を 明 確 に把 握 す る と と も に, 機 器 の 操 作 と操 作 時 の ケ ー ソ ン の 挙 動 を 体 感 す る(体 で 覚 え る)こ と が で き, 極 め て 有 効 で あ っ た. な お, ケ ー ソ ン 上 の 犠 装 品 の 搭 載 状 況 を写 真 一2に 示 す. 7. 抗 力 係 数 の 測 定 (1) 計 画 抗 力 係 数 ケ ー ソ ン が 曳 航 と係 留 時 に 受 け る 外 力 は 潮 流 力 が 支 配 的 で あ り, 曳 航 船 団 や 係 留 装 置 の 計 画 に あ た っ て は 抗 力 係 数 の 算 定 が 重 要 に な る. 抗 力 係 数 は 物 体 の 形 状 と レ イ ノ ズ ル 数 に よ っ て 決 ま る こ とが 知 ら れ て い る が, 今 回 の ケ ー ソ ン の よ う な, 二 重 円 筒 形 の 抗 力 係 数 の 研 究 例 は 見 当 た ら な い. こ の た め, 尺 度 1/100の 模 型 に よ る水 槽 実 験 を行 い, 抗 力 係 数 は 吃 水8mで0.7, 吃 水50mで0.75の 結 果 を 得 た. こ れ を 既 往 の 研 究2)の 円 柱 の 抗 力 係 数 と比 較 す る と図 一12 に 示 す よ う に, 無 限 円 柱 の 抗 力 係 数1.2に 対 して58% 一63%aの 値 に な る が, こ れ に は 一 般 的 に 三 次 元 影 響 と い わ れ る 無 限 円 柱 と有 限 円 柱 の 差 を含 ん で お り, 空 気 力 学 で は 縦 横 比(部 材 長/部 材 径)に よ り表 一 73)に示 す 補 正 係 数 が 提 案 さ れ て い る. 模 型 の 縦 横 比 は4以 下 で あ る こ とか ら補 正 係 数 は0.6に な り, 前 述 の58%∼63%と ほ ぼ 一 致 す る. す な わ ち, 二 重 円 筒 形 と円 筒 形 の 差 は 少 な い よ う で あ る. 一 方, 抗 力 係 数 は レイ ノ ズ ル 数 に よ っ て も 異 な り, 図 一12に 示 す よ う に, 105を 超 え る と 急 激 に 減 少 し, 106を 超 え る と増 加 す る 不 連 続 な 傾 向 を示 す が, 107を 超 え る 研 究 例 は 見 受 け ら れ な い. レ イ ノ ズ ル 数 は 流 体 の 運 動 粘 性 係 数 に 反 比 例 し, 流 速 と 物 体 の 大 き さ に比 例 す る た め, 模 型 実 験 で は105実 施 工 で は108程 度 に な る. 実 施 工 で は0.7以 下 に な る 可 能 性 は あ る もの の 安 全 性 を 考 慮 して0.7と して 計 画 を 進 め た. ケ ー ソ ン の 係 留 装 置 は係 留 索 の 張 力 計 を備 え て お り, ま た, 係 留 中 に4knを 超 え る潮 流 を受 け る た め, 既 往 の 研 究 例 に 無 い レ イ ノ ズ ル 数 が108を 超 え る 領 域 の 抗 力 係 数 を 測 定 し た. こ れ は, 8本 の 係 留 索 と潮 流 力 の 総 和 が0に な る と し て 求 め た 潮 流 力 と(当 日 は 平 穏 で あ り風 と 波 は 無 視 し う る), ケ ー ソ ンの 受 圧 面 積 ・潮 流 速 度 よ り抗 力 係 数 を 求 め た もの で あ る. こ の 結 果 は 図 一13に 示 す よ う に, バ ラ ツ キ は 見 ら れ る が0.2∼0.5の 範 囲 に あ る. 高 レ イ ノ ズ ル 数 に お け る 抗 力 係 数 の 研 究 例 が 見 ら れ な い た め 妥 当 性 の 検 証 は で き な い が, 今 回 採 用 し た0.7以 下 に 低 減 で き る可 能 性 の あ る 貴 重 な デ ー タが 提 供 で きた と考 え て い る. 写 真-2 ケー ソン上 の 蟻装 品の 配 置状 況 図-12 レイ ノズ ル 数 と円 柱 の抗 力 係 数 お よ びス トロ ー ハ ル数 の 関係 表-7 部材 の 縦横 比 に対 す る補 正 係 数11 36
8. お わ り に 2P・3Pと もに 誤 差10cm以 下 で 設 置 す る こ とが で き た. この 施 工 で 得 た 知 見 を も と に 成 功 の 要 因 を 整 理 す る と次 の よ う に な る. (1)低 張 力 高 速 巻 込 用 の ドラ ム と高 張 力 低 速 巻 込 用 の 油 圧 シ リ ン ダ を コ ン バ イ ン し た リ ニ ア ウ イ ン チ は 円 滑 に 稼 働 し, 1cmオ ー ダ で 係 留 索 長 を 制 御 で き る. (2)リ ニ ア ウ イ ン チ を使 用 し た 場 合, 通 常 の ワ イ ヤ ロ ー プ の 耐 力 は グ リ ッ プ 部 の 圧 縮 力 に よ り 15%程 度 低 下 す る が, ス トラ ン ド間 に 素 線 と フ ィ ラ ー を挿 入 す れ ば耐 力 の 低 下 を 防 ぐ こ と が で き る. (3)平 面 位 置 ・海 底 面 ま で の 距 離 ・各 区 画 の 水 位 ・ 潮 流 速 と方 向 等 を リア ル タ イ ム に 表 示 す る 情
報 管 理装 置 は極 め て有効 であ る.
(4)作業 に従 事 す る 作 業 員 に実 際 に装 置 を操 作 さ
せ, 操 作 の習 熟 と操 作 時 の ケー ソンの挙動 を体
感 させ る習熟 訓練 は極 め て有効 で あ る.
(5)抗 力係 数 は水槽 実 験 の結 果 よ り0.7と して計 画
を進 めた が, レイ ノズ ル数 が108領 域 の実 施 工
で計 測 した抗 力係 数 は0.2∼0.5の 範 囲 にあ り,
今後 は低 減 で きる可能 性 が あ るデ ー タを得 た.
今 回の ケ ー ソ ンの設 置 は規 定 時 間 に確 実 に来 襲 す
る潮流 め 間隙 を狙 った, 自然 現 象が 相手 の 作業 で あ
る.2万tf(19万6千kN)近
い 浮体 を海面 下60mの
地 盤 に10cm以 下 の精度 で設置 した事 実 か らは, 超 人
的 な力 や劇 的 な展 開 を想 像 しが ちで あ るが, 実 際 は
淡 々 と施工 して いる. 成 功 の 要 因 は, 十 分 な装備 ・
的確 な判断 ・装 備 を使 い こ なす技 量 ・定 め られ た 時
間 に定 め られ た職務 を実 行 した協 力体 制 で ある. こ
の面 で, 装 備 の製 作 を担 当 され た ケー ソン製作JVと
設置 を担 当 され た下 部工JVの
皆 さん に敬 意 を表 す
る とと もにお礼 を申 し上 げ て報 告 を終 える.
図-13 鋼 ケ ー ソ ンの レイノズ ル 数, 潮 流 速 度 と抗 力 係 数 の 関係 上 段 潮 流 速 度 (m/s) 下 段 レ イ ノ ズ ル 数 (×108) 参 考 文 献 1) 杉 田 秀 夫: 橋 梁 基 礎 の 海 中 工 事, 土 木 学 会 論 文 集, 第 361号/VI-3, pp.11-20, 1985年9月. 2) (社) 国 際 科 学 技 術 協 会: 海 洋 構 造 物 の 振 動 問 題, pp. 240, 1988年9月. 3) 日本 海 事 協 会: 係 留 シ ス テ ム 設 計 指 針, pp.72, 1983 年. (1997. 4. 14受 付)LAYING-DOWN
OF LARGE-SCALE
CAISSON
AT AKASHIKAIKYO
BRIDGE
FOUNDATION
WORK
Satoshi
KASHIMA,
Mitsushige
SAKAMOTO,
Motohiro
SUZUKI
and Kozo HIGUCHI
The foundation of main tower the Akashi Kaikyo Bridge, which has the scale of 80 ms dia. by 70ms height, amounting volume of 350 thousand cubic meters, is the direct foundation mounted on an excavated seafloor 60 meters below the sea level. The utmost difficulties for its construction work were the laying down of 19 thousand tons of steel caisson as the wholeshape mold for the casting of underwater concrete. The strait's harsh physical conditions such as swift tidal currents of up to eight knots, as well as heavy sea traffic in which 1, 400 ships cruise every day, required swift laying-down operation of large scale construction facilities, with the setting accuracy within 10cros.
This paper introduces the problems concerning the laying-down of steel caisson, and the ways and means employed to overcome those difficulties.