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岩盤不連続面のせん断強さと凹凸破壊の関係

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Academic year: 2022

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(1)

岩盤不連続面のせん断強さと凹凸破壊の関係

寳谷 周

1*

・矢島 良紀

1

・佐々木 靖人

1

1独立行政法人 土木研究所(〒305-8516 茨城県つくば市南原1-6)

*E-mail: houtan44@pwri.go.jp

ダム基礎の調査設計において,節理や断層などの不連続面沿いのせん断強さを,表面形状や壁面強度な どから間接的に推定する方法の開発が望まれている.著者らは,不連続面の強度推定法を検討するための 基礎研究として,不連続面模型を用いた一面せん断試験を行なった.表面形状と材料強度の影響を調べる ためにそれらの条件を変えて試験を行なうとともに,ピークせん断応力直後で終了する試験を行なってア スペリティの破壊箇所を抽出し,破壊面積とダイレーション角との関係などを明らかにした.

Key Words : rock joint, direct shear test, shear strength, shear area, dilation angle

1. まえがき

コンクリートダムの基礎岩盤において,節理や断層が ダムの安定上問題になることは少なくない.その際,こ うした不連続面のせん断強さを適切に評価することが重 要になるが,強度の推定には,原位置せん断試験などに よる直接測定以外に確実な方法がないのが現状である.

原位置試験は,多数実施できないなどの問題をかかえて おり,不連続面の形状や壁面強度などから間接的にせん 断強さを推定する方法の開発が望まれている.

岩盤不連続面のせん断強さの推定に関しては,これま で数多くの研究がなされ,なかでも,Barton1)によるJRC 値を用いたせん断強度式がよく知られている.しかし,

Bartonの式に代表される経験的な強度式は,いずれもか み合った不連続面を対象とし,ダム基礎で問題となる開 口節理や充填物を含む断層などには適用できないのが難 点である.ダムのスケールで多様な性状の不連続面の強 度を推定するためには,ある程度単純化した物理モデル に基づく推定法を検討する必要がある.

そこで,筆者らはその基礎的研究として,不連続面の せん断抵抗力を構成する基礎摩擦角,ダイレーションお よびアスペリティ破壊の3成分がせん断強さに与える影 響と相互の関係を調べることを目的に,垂直応力,表面 形状および材料強度を変えた不連続面模型の一面せん断 試験を行った.本実験では,特にアスペリティの破壊が ピークせん断応力の発現にどのように関わるかを調べる ために,ピーク直後でせん断を終了する試験を行い,試 験前後での表面形状の変化から,破壊されたアスペリテ ィを特定した.それをもとに,アスペリティの破壊面積

とダイレーション角との関係を調べ,アスペリティの破 壊形式について考察した.

2. 実験方法

(1) 供試体とラフネスの計測

供試体は,稲田花崗岩の粗さが異なる3種類の亀裂面 を10cm×20cmの寸法でモルタルにより複製したもので ある.3種類の亀裂面A,BおよびCのZ22)を用いて計 算したJRCは,14.9,8.0,および5.4である(図-1).

図-1 供試体の形状

 第 37 回岩盤力学に関するシンポジウム講演集

(社)土木学会 2008 年1月 講演番号 84

(2)

供試体の作成方法は,花崗岩の亀裂面(片面)をシリ コーン樹脂で型取りし,その型からさらに対になる型を 取り,上下用の型を別々のモールドにセットしてモルタ ルを流し込んで作成した.このため,上下供試体のかみ 合せは完全ではなく,上下を合わせたとき部分的に1~ 3mm程度の隙間が生じた.

供試体材料のモルタルは,硬軟の差をつけるために,

配合の異なる2種類のものを用いた(表-1).打設後は4 週間の水中養生を行った.

表面形状の計測は,非接触式変位計(スポット径 1.2mm×2.5mm,測定範囲300mm±100mm,分解能50μm,

キーエンス社製LB-300)と,ステッピングモータ駆動方 式によるXY軸自動ステージシステムを用いて,0.5mm 間隔で計測を行った.

(2) せん断試験機および試験条件

使用したせん断試験機は,せん断時に垂直圧を一定に 保つ機構を内蔵し,垂直載荷200kN,せん断載荷2,000kN の載荷能力を有する機械である.

供試体のバリエーションは,不連続面模型A~Cに,

凹凸のない平滑面(F)を加えた4種類の表面形状と,2 種類の材料(20:軟,70:硬)の組み合せによる合計8 種類である.試験条件は,垂直応力を0.5,1,2,4MPa の4種類とし,せん断変位が10mmに達した時点で終了す る通常の試験と,ピークせん断応力直後で終了する試験 の2種類を行なった.

試験は,予備載荷後,垂直圧を一定にして変位制御で せん断を行った.載荷速度は,ピークせん断応力付近ま では0.1mm/min,それ以降は0.2mm/minとした.

3. 試験結果

(1) せん断強さ

垂直応力とピークせん断応力との関係を図-2に示す.

表面形状に着目すると,A>B>Cの傾向が明瞭であり,

形状が粗いものほどせん断強さが大きい.材料強度の影 響では,形状Aでは違いが認められないが,形状B,Cで は軟質供試体(20)の方がやや大きい.硬質供試体

(70)には,図中に矢印で示したような低強度側へのバ ラツキがあり,平滑面(F)の強度を下回るものがある.

(2) ダイレタンシー特性

供試体のせん断時における典型的な挙動は,せん断初 期に沈下(圧縮)し,その後浮き上り(膨張)に転じて 10mmまでのせん断変位の間,浮き上り続けるものであ る(図-3a, b).ダイレーション角は,ピークせん断応力 の前後に最大となるものが多い(図-3c).

表-1 モルタル供試体の配合および強度

配 合 強さ(MPa)

使用

セメント セメ

ント CaCO3

大井

一軸 圧縮 引張

20 普通ポル

トランド 1 1 0.43 4.3 20.9 2.4

70 無収縮グ

ラウト剤 1 プレミックス

グラウト 6.4 71.8 5.4

0 1 2 3 4 5 6

0 1 2 3 4 5

垂直応力σ(MPa)

せん断応力τ(MPa)

A20 A70 B20 B70 C20 C70 F20 F70 C70

F70 φ=39.5°

F20 φ=40.9°

A70

B70 B20 A20

C20

矢印 :低強度側へ外れた試験値

図-2 せん断試験結果

(a)せん断変位-せん断応力

0 1 2 3 4 5 6 7

せん断応力τ(MPa)

(b)せん断変位-垂直変位

-1 0 1 2 3

垂直変位(mm)

(c)せん断変位-ダイレーション角

-30 -20 -10 0 10 20 30

0 2 4 6 8 10

せん断変位(mm)

ダイレーション角(°)

σ=0.5MPa σ=1MPa σ=2MPa σ=4MPa ピークせん断応力 ピークせん断応力直後

で終了した試験

図-3 せん断挙動の例(A70供試体)

(3)

-5 0 5 10 15 20 25

0 1 2 3 4

垂直応力σ(MPa)

ピークダイレョン角(°)

A20 A70 B20 B70 C20 C70 A70

A20

B20 B70 C70 C20

矢印 :図-2の低強度側へ外れた試験

図-4 ピークせん断応力時のダイレーション角

ピークせん断応力時のダイレーション角(以下,ピー クダイレーション角)は,表面形状では粗い方が,材料 強度では大きい方が,垂直応力では低い方が大きな角度 になる傾向がある(図-4).なお,低強度側へ外れた試 験のピークダイレーション角は,それ以外の試験との間 に明瞭な差は認められない.

(3) アスペリティ破壊面積

ピークせん断応力直後で試験を終了した供試体につい て,アスペリティの破壊面積を算出した.アスペリティ 破壊箇所の抽出は,試験前後の形状計測結果の比較(差 し引き)をベースに,目視による供試体の観察結果を参 考にして供試体ごとに閾値(概ね0.3mm)を設定して行 った(図-5).このとき,供試体端部に生じた明瞭な引 張り破壊箇所は除外した.アスペリティ破壊面積の算出 は,上下供試体の各々について破壊箇所を抽出し,両者 を重ね合わせたときに重複する破壊箇所(破壊面積全体 の3%以下)を上盤側から除き,両者を足し合わせて算 出した.供試体全面(10cm×20cm)に対する面積比と して表したものを図-6に示す.アスペリティ破壊面積は,

表面形状では粗い方が,材料強度では小さい方が,垂直 応力では高い方が大きな面積になる傾向がある.なお,

低強度側へ外れた試験は,それ以外の試験に較べて面積 は小さめである.

4. 考察

(1) せん断強さ

せん断試験の結果,表面形状が粗いものほど大きな強 度が得られたのは,Bartonのせん断強度式をはじめとす る従来の知見通りである.しかし,形状が比較的滑らか なもの(B,C)で,硬質供試体の方が軟質なものより

図-5 せん断箇所の抽出例(A704MPa 上盤側)

0 5 10 15

0.5 1 2 4 0.5 1 2 4 0.5 1 2 4

面積比(%) 上盤側

下盤側

0 5 10 15

0.5 1 2 4 4 0.5 1 2 4 0.5 1 2 4

せん断面積比(%)

A20 B20 C20

A70 B70 C70

σ

(MPa)

σ

(MPa)

矢印 :図-2の低強度側へ外れた試験

アス壊面積比(%)

図-6 ピークせん断応力直後のアスペリティ破壊面積

小さな強度を示したことは,従来の知見と一致しない.

このような現象については,岸田ほか3)などの報告があ り,材料強度が大きい場合,ダイレーションの増大によ る少数のアスペリティへの応力集中の影響によって強度 が低下する場合があることが指摘されている.今回の実 験についてみると,平滑面の強度が軟質供試体の方がや や大きいということもあるが,供試体のかみ合い状態の 悪さもその一因となっていると考えられる.すなわち,

供試体作成時のかみ合せの悪さは,軟質供試体の方では,

拘束圧下でアスペリティの変形によってある程度解消さ れるのに対し,変形しにくい硬質供試体ではかみ合せの 悪さが改善されず,アスペリティへの応力集中が助長さ れた可能性がある.Bartonの行った実験では,ほぼ完全 に密着した岩石の引張り破壊面を供試体として用いたた め,このような現象が生じにくかったものと考えられる.

(4)

0 1 2

0 2 4 6 8 10

せん断変位(mm)

せん断応力τ (MPa

σ=2MPa F70(平滑面)

B70

図-7 平滑面より低い強度を示す試験の例

硬質供試体のせん断強さにおける低強度側へのバラツ キについても,上述のような供試体作成時のかみ合せの 良し悪しが影響したものと考えられる.同条件の他の試 験に較べて低い強度が得られた試験の特徴として,ダイ レーション角は変わらず,せん断面積が小さいという傾 向は,この解釈と矛盾しない.

(2) 基礎摩擦角

基礎摩擦角は,凹凸のない平滑面の摩擦角であり,本 試験では軟質供試体でφ=40.9°,硬質供試体でφ

=39.5°の値が得られた.凹凸のある面の強度は,通常 平滑面より大きな強度を示すが,今回の試験では,硬質 供試体の一部にこれを下回る強度を示すものが認められ た.材料強度の大きい供試体において,せん断変位が進 んだ状態で基礎摩擦角より強度が低下する例は,岸田・

津野4)により報告され,削れ粉によるベアリング効果に よるものと解釈されている.しかし今回の例では,図-7 に示すように,せん断初期の段階から平滑面の強度を下 回る場合があり,せん断によって生成される削れ粉の影 響は考えにくい.平滑面のせん断強さが何らかの理由で 過大に得られた可能性も否定できないが,強度低下の要 因として先に述べた,かみ合せの悪さによる少数のアス ペリティへの応力集中によって説明することは可能であ る.すなわち,接触するアスペリティがごく少ないため に局所的に一軸圧縮強さに近い応力が加わる状態を仮定 した場合,そこでは低拘束圧下でみられるような通常の 摩擦のかわりに圧縮破壊が生じることが予想される.そ して,そのときのせん断抵抗力が,基礎摩擦角として現 れる通常の摩擦抵抗力より小さいとき,上に述べたよう な現象が生じると考えられる.

(3) ダイレーションとアスペリティ破壊

a) ダイレーション角とアスペリティ破壊面積の関係 せん断時のピークダイレーション角は,垂直応力の増 加に応じて減少することが認められた.一方,アスペリ ティ破壊面積は,垂直応力の増加に応じて増大する傾向 が見られた.したがって,両者は図-8に示すように負の

0 5 10 15 20

-5 0 5 10 15 20 25

ピークダイレーション角(°)

破壊面積比 A20 A70

B20 B70 C20 C70

図-8 ピークダイレーション角とアスペリティ破壊面積の関係

度数 A20(σ=4MPa)  A70(σ=4MPa) 

アスペリティの傾斜角(°)

-60 -45 -30 -15 0 15 30 45 60 せん断前 せん断後

0 4000 8000 12000 16000

0 200 400 600 800 1000

-60 -45 -30 -15 0 15 30 45 60

非破壊域 非破壊域

アスペリティ破壊域 アスペリティ破壊域

図-9 試験前後のアスペリティ傾斜角の頻度分布

相関関係にある.このとき,表面形状が同じで材料強度 が異なるものどうし(例えばA20とA70)が同一直線上 にプロットされないのは,材料強度によってアスペリテ ィの破壊形式が異なる可能性を示している.そこで,ピ ークせん断応力で終了した,垂直応力4MPaで試験を行 った形状Aの供試体について,試験前後の表面形状の変 化をもとに,材料強度の違いによる破壊形式の違いを調 べた.

b) アスペリティ傾斜角の変化

A20 およびA70 供試体の試験前後におけるアスペリテ ィ傾斜角の変化を,アスペリティ破壊域と非破壊域に分 けて表したものを図-9に示す.ここで,アスペリティ傾 斜角とは,0.5mm間隔の形状計測点間の,せん断方向起 点側からの見かけの仰角である.まず,試験後の供試体 の高さに有意な減少が認められなかった非破壊域につい てみると,いずれも試験前後を通じて0°付近をピーク とした正規分布を示す.一方,アスペリティ破壊域につ いてみると,A70 では,試験前に18~24°に見られるピ ークが試験後は9~12°へ移動する.この試験でのピー クダイレーション角が12.2°であることを考慮すると,

(5)

これより大きな傾斜角のアスペリティが多く破壊され,

せん断後はピークダイレーション角に近い傾斜に変化し たと解釈できる.それに対し,A20 では,試験前に-6~- 3°に見られるピークが試験後も移動せず,目立った変 化が認められない.ピークダイレーション角は1.6°で あるが,これより急傾斜のアスペリティが特に多く削ら れていないことは,A70 と異なる点である.

c) アスペリティ破壊箇所の分布と形状

A 20とA70 のアスペリティ破壊箇所を比較したものを 図-10に示す.上下盤を合わせたアスペリティ破壊面積 比は,A20が14.2%,A70 が7.2%である.破壊箇所の分 布は,A20 では全体に細かく分散しているのに対し,

A70の方はやや大きな箇所が局所的に分布している.

図-11に,両者の破壊箇所の形状の違いが表れた代表 的な断面を示す(断面位置は図-10参照).この図は,

試験前後に計測したほぼ同位置の形状を重ねて表示した ものである.上下盤は適当に離して配置している.断面

①と③は,A20とA70における概ね同じ位置の断面であ るが,A70 では急斜面がピークダイレーション角に近い 角度で直線的にせん断されているのに対し,A20 では急 斜面に沿って,表面を剥ぎとるように削られ,急斜面自 体は残されている.断面②と④でも同様に,A70では上 盤側の直径1cm程度の凸部が根こそぎせん断されている のに対し,A20 では凸部はせん断されず,不明瞭ではあ るが,変形したような形状の変化が認められるのみであ る.

d) アスペリティの破壊における材料強度の影響 A20とA70供試体について,試験前後のアスペリティ 傾斜角の変化,アスペリティ破壊箇所の分布および形状 を比較した結果,アスペリティの破壊形式には,供試体 の材料強度(変形性)によって,次のような違いがある と考えられる.

材料強度が大きい場合は,アスペリティが変形しにく

く,主にダイレーションの角度より急な凸状の斜面が直 線的にせん断される.このとき,ダイレーション角は,

その角度でアスペリティをせん断するのに要する力と,

アスペリティに沿った乗り上げに要する力の和が最小に なるような角度になるものと推測される.

それに対し,材料強度が小さい場合は,急傾斜をなす 凸状の斜面が,拘束圧下でのせん断時には弾性変形によ って緩傾斜化し,表面を削ぐようなせん断が生じる.ま た,この急傾斜部の緩傾斜化によってダイレーション角 は抑えられ,緩傾斜面においても接触が生じやすくなり,

比較的広い範囲がせん断される.

図-10 アスペリティ破壊箇所の分布

図-11 代表的なアスペリティ破壊箇所の断面

0 10

0 10 20 30

0 10

0 10 20 30

0 10

0 10 20 30

0 10

0 10 20 30

(mm)

(mm)

変形?

付着箇所

削られた箇所 上盤

下盤

せん断方向(上盤側)

試験前形状 試験後形状 A20 ①断面

A70 ③断面

A20 ②断面

A70 ④断面 ピークダイレ

ーション角 1.6°

12.2°

(6)

5. 結論

本研究では,基礎摩擦角,ダイレーションおよびアス ペリティ破壊が,不連続面のせん断強さに与える影響と それらの相互関係を調べることを目的として,垂直応力,

表面形状および材料強度の条件を変えた不連続面模型の 一面せん断試験を行なった.その結果,以下のことが明 らかになった.

1)せん断強さについては,同じ形状において,硬質な 材料よりも軟質な方が大きなせん断強さを示す場合が ある.これは,供試体のかみ合せがやや悪いとき,変 形性が大きい材料では,拘束圧下でかみ合せが改善さ れることがあるためと考えられる.

2)基礎摩擦角は,材料により一定の値をとるが,常に 一定のせん断抵抗力として働くとは限らない.これは,

凹凸のある硬質供試体の一部に,平滑面のせん断強さ を下回るものが認められるためである.不連続面のか み合せが悪く,かつ,材料の変形性が小さい場合のよ うに,アスペリティの接触面積が極めて小さくなる条 件では,摩擦力より小さな力でアスペリティ破壊が生 じ,摩擦によるせん断抵抗成分が減少することが考え られる.

3)ピークダイレーション角とアスペリティ破壊面積と の関係は,同じ形状および材料の場合,負の相関を示 す.しかし,材料強度(変形特性)が異なる場合は,

同一形状でダイレーション角が同じでも,アスペリテ ィ破壊面積が異なる場合がある.これは,材料の変形 特性によってアスペリティの破壊の形式が異なり,急 傾斜のアスペリティがダイレーション角に沿って破壊 される場合だけでなく,アスペリティが変形し,緩傾 斜のものも含めて広く薄く削られる場合があるためと 考えられる.

不連続面のせん断強さの推定を可能にするためには,

今後,基礎摩擦角,ダイレーションおよびアスペリティ 破壊の3成分について,それぞれの予測方法とせん断抵 抗力としての寄与分を検討していく必要がある.

ダイレーション角とアスペリティ破壊箇所の予測方法 としては,具体的な形状を用いたシミュレーション的な 手法が考えられる.ただし,せん断モデルを構築するた めには,材料の変形特性などによるアスペリティの破壊 形式の違いをより詳細に解明する必要がある.

アスペリティ破壊成分のせん断抵抗力の見積りは,破 壊形式が複雑で,破壊形状や面積から力学的に推定する ことが難しいため,ピークせん断応力,基礎摩擦角およ びピークダイレーション角からの逆解析により検討する 必要がある.そのためには,接触面積が小さい場合の摩 擦抵抗に関する検討と,アスペリティの変形を考慮した ダイレーションによるせん断抵抗に関する検討が必要で ある.

参考文献

1) Barton, N. : Review of a new shear-Strength criterion for rock joints.

Engineering Geology . 7, pp. 287-332, 1973.

2) Tue, R., and Cruden, D.M.. : Estimating joint roughness coefficients. Int. J.

Rock Mech. & Min. Sci. & Geomech. Abstr. 16, pp. 303-307, 1979.

3) 岸田 潔,谷本親伯,藤崎 淳:ラフネスおよび壁面 強度を考慮した岩盤不連続面せん断挙動の評価,第 27 回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集,pp.241- 245,1996.

4) 岸田 潔,津野 究:摩擦とラフネスを考慮した岩盤 不連続面の一面せん断挙動のモデル化,土木学会論文 集,No.680/III-55,pp.245-261,2001.

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