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公共調達における競争性の徹底を目指して

−公共調達と競争政策に関する研究会報告−

平成15年11月

公共調達と競争政策に関する研究会

11−03−007

082−00−A

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はじめに 昨今の入札談合に対する社会的批判の高まりを背景として,「公共工事の入 札及び契約の適正化の促進に関する法律」が平成13年4月に施行され,国や 地方公共団体等の行う公共工事の入札・契約について,透明性の確保,公正な 競争の促進等の観点からの取組が進んでいる。また,近年,公共調達において 発注官庁の職員が入札談合に関与している事例が発生しており,発注機関の職 員の関与を防止するため,平成15年1月,「入札談合等関与行為の排除及び 防止に関する法律」が施行された。 「公共調達と競争政策に関する研究会」は,平成15年6月以降,計7回の 会合を開催し,公共調達においても民間における調達と同様に,「より安くよ り良い調達」,すなわち「(一定のコストに対して)最も価値の高い調達」が 行われることが必要であるとの基本的考え方に基づき,公共調達における一層 競争的な環境の実現と,入札談合の効果的な防止を図るため,公共調達の入 札・契約方法等に関するさまざまな課題を抽出し,その改善のための方策につ いて検討を行ってきた。 今般,当研究会の検討結果を取りまとめ,国,地方において今後取り組むべ き施策について提言を行うものである。提言の内容は多岐にわたっており,ま た,提言の実現のためには,現行の入札・契約制度の運用のみならず,制度的 な対応を必要とするものも含んでいるが,本提言を踏まえて,今後,公共調達 における競争性の徹底を目指した取組が具体的に進展していくことを期待す るものである。

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○ 公共調達と競争政策に関する研究会 会員名簿 座長 金子 晃 淺沼 健一 有川 博 板脇 能衍 市川 正美 碓井 光明 金本 良嗣 神田 秀樹 佐藤 清彦 鈴木 一 高橋 敬 永岡 文庸 畠中 薫里 村上 政博 慶應義塾大学名誉教授 (株)淺沼組取締役社長 国家公務員共済組合連合会常務理事 大阪府建築都市部副理事 大成建設(株)取締役副社長 東京大学大学院法学政治学研究科教授 東京大学大学院経済学研究科教授 東京大学大学院法学政治学研究科教授 横須賀市財政部契約課長 (財)建設経済研究所常務理事 (株)本田技研工業購買二部一般購買ブロッ クリーダー (株)日本経済新聞社論説委員 政策研究大学院大学助教授 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 (五十音順 敬称略) (オブザーバー) 宮川 正 日下部 聡 西脇 隆俊 楠 茂樹 内閣府総合規制改革会議事務室長 経済産業省経済産業政策局産業組織課長 国土交通省総合政策局建設業課長 京都産業大学法学部講師 ○ 検討の経緯 開催回 開催日 議 題 第 1 回 平成 15 年 6 月 3 日 公共調達と競争政策の在り方に関する論点について 第 2 回 6 月 24 日 (1) 本研究会の主要論点について (2) 地方公共団体の入札・契約の在り方に関するアン ケート調査結果 第 3 回 7 月 24 日 入札・契約における競争性の確保について 第 4 回 7 月 31 日 地域振興・中小企業の受注機会拡大のための発注方法 と競争性の確保について 第 5 回 9 月 2 日 (1) 入札談合に対する発注者の取組について (2) 米欧における公共調達制度について 第 6 回 10 月 7 日 本研究会の取りまとめに向けて 第 7 回 11 月 7 日 報告書(案)について

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目 次 第一部 公共調達制度の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1 公共調達制度の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (1) 公共調達とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (2) 公共調達と入札談合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (3) 入札談合の背景と公共調達制度・・・・・・・・・・・・・・・2 2 入札談合の排除と公共調達制度改革の進展・・・・・・・・・・・・・3 (1) 国・地方公共団体等による取組の進展・・・・・・・・・・・・3 ア 公共工事入札・契約適正化法等の制定・・・・・・・・・・・・3 イ 国・地方公共団体等における取組の進展・・・・・・・・・・・3 (2) 会計検査院の取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 (3) 公正取引委員会の取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 ア 公共調達制度に関する公正取引委員会の最近の主な取組・・・・4 イ 独占禁止法等の厳正な運用・・・・・・・・・・・・・・・・・5 3 公共調達制度の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (1) 現行の公共調達制度の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (2) 公共調達の参加資格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 ア 欠格要件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 イ 積極要件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 (3) 発注方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 ア 一般競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 イ 指名競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 ウ 公募型指名競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 エ 随意契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 (4) 地域振興・中小企業の受注機会拡大のための発注方法・・・・・8 ア 総論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 イ 地域要件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 ウ 共同企業体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 エ 分割発注・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 オ ランク制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 カ 地元業者の下請使用(地元産品の利用)・・・・・・・・・・・11 (5) 契約者の選定基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 ア 最低価格自動落札方式・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 イ 総合評価落札方式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

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(6) 入札・契約における発注者の設計・管理体制と民間の技術力 の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 ア CM(Construction Management)方式・・・・・・・・・・・13 イ 設計・施工一括発注方式・・・・・・・・・・・・・・・・・14 ウ 入札時VE(Value Engineering)方式・・・・・・・・・・・14 (7) 入札・契約における競争性確保のための発注者の監視体制・・14 ア 契約者選定手続の適正な監視・・・・・・・・・・・・・・・14 イ 公正・中立な苦情処理・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 4 入札談合に対する発注者の取組・・・・・・・・・・・・・・・・・15 (1) 入札談合に対する発注者の探知・・・・・・・・・・・・・・15 (2) 入札談合に対する発注者措置(指名停止・損害賠償)・・・・・15 ア 指名停止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 イ 損害賠償・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 第二部 欧米における公共調達制度の概要・・・・・・・・・・・・・・17 1 米国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 (1)1984年「契約における競争法」の制定による競争性の徹底・17 ア 背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 イ 「完全かつ公開の競争」の原則に基づく入札・契約方式・・・17 ウ 地域振興・中小企業の受注機会拡大のための施策・・・・・・18 エ 監視体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 オ 不服申立制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 カ 反トラスト法違反行為に対する厳正な対処・・・・・・・・・19 (2) 1994年の公共調達の改革による発注者の裁量性の拡大・・19 2 欧州・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 (1) EU(EC)指令の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・19 (2) 契約者選定基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 (3) 予定価格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 (4) 地域振興・中小企業の受注機会拡大のための方策・・・・・・20 (5) 監視体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 (6) 不服申立制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 第三部 公共調達における競争性の徹底を目指して(提言)・・・・・・22 1 基本的な視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 (1) 競争性の確保の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 (2) 現状の問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 ア 入札・契約における競争の実効性確保・・・・・・・・・・・22 イ 入札談合に対する発注者としての厳正な対処・・・・・・・・22

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(3) 「競争」の在り方の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・23 2 競争に付すべき案件についての入札方式の在り方・・・・・・・・・23 (1) 競争性の高い一般競争入札の適用範囲の拡大と適切な参加 資格の設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 (2) 指名競争入札の対象範囲の限定と要件の明確化・・・・・・・24 3 中小企業の受注機会拡大・地域振興のための発注方法等と競争性 の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 (1) 競争性の確保の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 (2) 中小企業の受注機会拡大・地域振興のための個別の方策と 競争性の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 ア 地域要件の設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 イ 共同企業体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 ウ 分割発注,ランク制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 エ 地方公共団体による公共調達における地元業者の下請使用や 地元産品の利用の要請・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 4 複数年度継続案件に対する国及び地方公共団体の債務負担行為の 活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 5 随意契約の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 6 価格以外の要素も含めた多様な評価基準に基づく契約者選定方式の 必要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 (1) 競争入札における総合評価方式の活用の促進・・・・・・・・28 (2) 会計法令における現在の枠組・・・・・・・・・・・・・・・29 (3) 今後の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 (4) 競争的交渉方式の導入の検討・・・・・・・・・・・・・・・30 7 民間の技術力の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 (1) 設計段階からの事業者の関与の明確化・・・・・・・・・・・31 (2) 入札段階・施工段階における事業者からの技術提案 の受け付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 8 不服申立制度の整備・拡充・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 (1) 不服申立制度の整備・検討の必要・・・・・・・・・・・・・31 (2) 今後の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 9 品質の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 (1) ダンピング防止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 (2) 入札ボンド制度の導入・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 10 発注担当部局に対するコスト削減のためのインセンティブの付与・33 (1) インセンティブの付与の必要性・・・・・・・・・・・・・・33 (2) 今後の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

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11 入札談合に対する取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 (1) 談合情報に対する発注機関の対応・・・・・・・・・・・・・34 (2) いわゆる官製談合の防止・・・・・・・・・・・・・・・・・35 (3) 公正取引委員会との連携の強化・・・・・・・・・・・・・・35 (4) 入札談合に対する発注者における適切な対処・・・・・・・・35

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第一部 公共調達制度の現状と課題 1 公共調達制度の現状 (1) 公共調達とは 民間企業が事業に必要なさまざまな物品・役務を市場から調達するように, 国・地方公共団体等も,職務遂行に必要なさまざまな物品・役務を日々市場 から調達している。また,道路,橋梁等の社会資本を整備して国民に提供す る必要もある。 国・地方公共団体等による調達(公共調達)においては,支出に当たって, 毎年度,議会の議決を得ることが必要とされているほか,調達手続について は,会計法令1に規定されており,公共調達は,公正性と経済性を確保するた め,競争入札によることが原則とされている。 (2) 公共調達と入札談合 公共調達の対象品目は多岐にわたるが,中でも公共工事においては,入札 談合等の不祥事が頻発しており,各発注者において改善策が講じられてきた。 平成13年4月には,国,地方公共団体等の行う公共工事の入札・契約の適 正化を促進することにより,公共工事に対する国民の信頼の確保等を目的と した入札契約適正化法2が施行され,同法に基づき,国,地方公共団体等が統 一的・整合的に取り組むべきガイドライン(適正化指針)3が定められ,各発 注者において運用が進められている。 しかしながら,同法施行後も必ずしも入札談合等不正行為が減少している わけではない。また,同法の運用が徹底しないなどの指摘もある。公正取引 委員会による入札談合事件の処理状況(第1図,第2図参照)をみても,同 法施行後必ずしも顕著な減少傾向にあるとはいい難く,法的措置件数に占め る入札談合事件の比率も依然高率である。 入札談合は,カルテルの典型事例であり,最も悪質な独占禁止法違反行為 の一つであるばかりでなく,競争的契約の実質を失わしめ,予算の適正な執 行及び事務事業の適切な実施を阻害し,会計法令上も問題となる行為であり, その排除・防止は各発注者においても重要な責務である。 1 国等の調達手続については会計法(昭和 22 年 3 月 31 日法律第 35 号)等において,地方公共 団体等の調達手続については地方自治法(昭和 22 年 4 月 17 日法律第 67 号)等において,それ ぞれ規定されている。 2 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(平成 12 年 11 月 27 日法律第 127 号) 3 「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(平成 13 年 3 月 9 日閣議 決定)

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(3) 入札談合の背景と公共調達制度 我が国において入札談合が根強く残る理由として,以下のような指摘がな されている。 ①いわゆる「天の声」による談合が少なくない。 ②談合の抑止力が不十分。 ③現行の公共調達の制度・運用は,談合を招きやすいものとなっている。 このうち,①については,入札談合等関与行為防止法4により制度的措置が 講じられた。また,②については,平成15年10月,公正取引委員会が開 催した独占禁止法研究会の報告書が取りまとめられ,独占禁止法の禁止規定 の実効性を確保するために課徴金制度を見直すこと等の提言が行われたと ころである5。 ③については,入札契約適正化法及び適正化指針の制定により,公共工事 の入札・契約の適正化のための取組が進められている。しかし,こうした取 組は現行制度を前提とした上で運用の適正化等を図るものであり,公共工事 の発注をはじめとする公共調達の適正化については,より根本的な課題とし て,例えば現在の競争入札制度が価格による評価を原則としていることなど, 会計制度やその運用についての見直しを求める意見もある。 4 「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」(平成 14 年 7 月 31 日法律第 101 号) 5 「独占禁止法研究会報告書」(平成 15 年 10 月 28 日公表) 法的措置件数等の数の推移 1 7 18 1 0 33 3 0 1 0 9 8 5 7 5 6 0 9 1 9 5 7 7 9 0 8 7 5 2 0 10 20 30 40 50 60 70 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 件 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 入札談合 その他 対象事業者等の数 名 注)対象事業者数は入札談合に係るもの。事業者 等の「等」は事業者団体を表す。 〔第1図〕 課徴金額等の推移(入札談合に係るもの) 3 1 . 0 4 0 . 2 2 9 . 2 1 7 . 2 2 9 . 0 5 7 0 3 0 8 6 7 6 2 4 0 5 0 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 億円 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 課徴金額 対象事業者数 名 〔第2図〕

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2 入札談合の排除と公共調達制度改革の進展 (1) 国・地方公共団体等による取組の進展 ア 公共工事入札・契約適正化法等の制定 入札契約適正化法は,国,地方公共団体等の行う公共工事の入札・契 約について,透明性の確保,公正な競争の促進,適正な施行の確保及び 不正行為の排除の徹底を基本原則として,発注者に対して,入札・契約 にかかる情報の公表,丸投げの全面的禁止等施行体制の適正化,不正事 実(談合等)の公正取引委員会等への通知等を義務付けている。また, 同法において,国は,各発注者が適正化指針に従って講じた措置の状況 をフォローアップして公表することとされている。 また,適正化指針では,発注者が取り組むべき事項として,入札・契 約手続に関する入札監視委員会等の第三者機関の設置,苦情処理の方策 の実施,一般競争入札等の適切な実施等の入札・契約方法の改善,不良・ 不適格業者の排除等を掲げている。 イ 国・地方公共団体等における取組の進展 このほか,国・地方公共団体において,次のような公共調達制度改革の 取組が進められている。 国においては,国土交通省は,平成14年3月,入札制度の運用改善策 として,一般競争入札等の試行拡大,地方公共団体における電子入札導入 の促進,随意契約ガイドラインの充実等を内容とした「入札契約適正化徹 底方策検討委員会報告」を公表した。また,平成15年4月には,同報告 の実施状況を検証しつつ,地方公共団体等における情報公表の促進のため のマニュアルの策定,混合入札の促進等を内容とした「入札契約適正化の 徹底のための当面の方策について(平成15年度)」を公表した。 地方公共団体においても,一般競争入札の対象拡大,地域要件の緩和, ランク制の見直し,損害賠償予定条項6の契約書への明記等様々な取組が行 われている。 (2) 会計検査院の取組 会計検査院では,平成4年度の検査報告において,「中央省庁発注の印刷 物の調達について」を取りまとめるなど,契約方式の選定,競争契約におけ る資格審査や指名の適否,契約履行状況の把握とそれに基づく指名・契約方 式の見直しの有無といった視点からの検査が実施されている。その後におい ても,建設・運輸関係の公共事業における契約制度の運用状況の分析(平成 9年度報告),老人福祉施設整備に係る契約事務の実施状況の分析(平成1 6 「第一部 4(2)イ 損害賠償」(p16)参照

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0年度報告),農業農村整備事業に係る公共事業における入札契約事務の運 用状況の分析(平成12年度報告)等7,会計検査の立場から,国等の契約事 務の適正化に向けて積極的な取組が進められている。 (3) 公正取引委員会の取組 ア 公共調達制度に関する公正取引委員会の最近の主な取組 公正取引委員会は,これまでも,国・地方公共団体の入札・契約制度等 に関する調査等,競争政策の観点から,公共調達制度及びその運用改善に 向けた取組を行っている。最近の主な取組は以下のとおりである。 (ア) 競争政策の観点からみた地方公共団体による規制・入札等について (調査報告)(平成11年) 公正取引委員会は,地方公共団体が行っている規制及び入札,契約手 続に関して実態調査等を行い,「競争政策の観点からみた地方公共団体に よる規制・入札等について」を取りまとめて公表し (平成11年6月28 日),同報告書において,事業者団体への一括発注,地元企業優先発注等 について競争政策上の問題点を指摘している。 (イ) 地域要件及び分割発注に係る建設省(当時)との共同要請(平成11 年) 公正取引委員会は,平成11年12月,建設省(当時)と連名で,都道 府県知事に対し,「行き過ぎた地域要件の設定や過度の分割発注は,入 札に参加するメンバーが固定化されること等を通じて入札談合を誘発・ 助長するおそれがあるなど,市場における競争が制限・阻害されること 等につながるため,競争の確保に十分配慮すること」を要請した。 (ウ) 国・地方公共団体における入札・契約制度改革の取組について(調査 報告)(平成14年) 公正取引委員会は,公共事業の入札・契約を対象として地方公共団体 からヒアリング調査等を実施し,国及び地方公共団体の入札・契約制度 改革の状況及び予定価格の事前公表等主な論点に関する考え方について 「入札談合防止に向けた国・地方公共団体における入札・契約制度改革の 取組について」を取りまとめて公表した(平成14年6月27日)。 7 個別の検査報告掲記事例としては,外務省の物品・役務の調達に係る契約事務処理体制にお いて透明性や競争性が確保されていない事態(平成 12 年度報告),防衛庁の練習機の調達,航空 燃料の調達や,艦船の検査・修理にかかる契約事務において透明性や競争性が十分確保されて いない事態(平成 9,10,12 年度報告),郵政省の郵便物区分機の調達に係る契約事務処理に おいて競争性が十分確保されていない事態(平成 9 年度報告)等についてのものがある。また, 地方公共団体等が国の補助事業を実施する際に,最低制限価格制度の趣旨を逸脱するような高 額の最低制限価格を設定し,契約の競争の利益が阻害されている結果になっているケースを多 数指摘し,補助金を交付している各省庁において改善が図られている。

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イ 独占禁止法等の厳正な運用 公正取引委員会は,事業者による独占禁止法違反行為に対して厳正に対 処するとともに,同法違反行為への発注者側の関与,発注方法等が入札談 合を誘発・助長していたなどの状況が認められた場合には,違反行為の排 除と併せ,発注者に対しても所要の改善を要請してきている。 このような発注者に対する要請は,従来,事実上の要請にとどまるもの であったが,平成15年1月に施行された入札談合等関与行為防止法によ り,入札談合等に発注者の関与が認められた場合には,発注者に対して同 法に基づく改善措置要求を行えるようになった8。 3 公共調達制度の概要 (1) 現行の公共調達制度の概要 我が国の公共調達制度は,国等については会計法及び予決令9において,地 方公共団体等については地方自治法及び同法施行令10においてそれぞれ定め られている。 公共調達制度は,国・地方公共団体のいずれにおいても,制度上は,価格 を評価基準とした一般競争入札が原則とされ,一定の場合に指名競争入札又 は随意契約を行うことができることとされている。このほか,国・地方公共 団体等が一定額以上の産品・サービスを調達する場合には,WTO 政府調達 協定に則った調達が義務付けられている11 12 また,公共調達において,契約担当官等は,競争入札の実施に当たり,仕 様書・設計書等から予定価格を定めなければならず,予定価格を超える価格 で入札した者を落札者とすることはできない(会計法第29条の6第1項, 地方自治法第234条第3項等)。このような予定価格は,予算の範囲内で 契約を行うための上限価格としての意味を持つとされている13。 8 同法では,一定の行為を「入札談合等関与行為」と定義し,同行為の排除のための行政上の措 置(公正取引委員会から各省各庁の長等に対する必要な改善措置の要求等),同行為を行った職 員に対する賠償請求・懲戒事由の調査等について規定している。(参考資料 4(p34)参照) 9 「予算決算及び会計令」(昭和 22 年 4 月 30 日勅令第 165 号) 10 「地方自治法施行令」(昭和 22 年 5 月 3 日政令第 16 号) 11 WTO 政府調達協定 (平成 8 年 1 月 1 日発効)は,国・地方公共団体等による調達に関して, 内国民待遇の原則及び無差別待遇の原則の適用,苦情申立・協議・紛争解決に関する実効的な 手続を定めている。 12 例えば,建設サービスの調達の場合,6 億 6000 万円以上の国の調達,22 億 2000 万円以上 の地方公共団体の調達は,WTO 政府調達協定の適用対象となる。 13 適正化指針においては,予定価格について,「入札の前に公表すると,予定価格が目安とな って競争が制限され,落札価格が高止まりになること(略)談合が一層容易に行われる可能性 があること等にかんがみ,国においては,入札の前には公表しないこととしている。」とされ ている。ただし,「地方公共団体においては,法令上の制約はないことから,各団体において 適切と判断する場合には,事前公表を行うこともできるものとする」とされている。

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(2) 公共調達の参加資格 現行の会計法令では,一般競争入札が原則とされているが,一般競争入札 を適切に行うには,これに参加する者が,当該契約について責任を負い得る 者であり,かつ,当該契約を完全に履行する能力を有することが必要である。 ア 欠格要件 現行の会計法令は一定の欠格要件を定めており,当該契約の締結能力の ない者等については入札参加を認めていないほか,物件の品質・数量に関 して不正を行った者等,一定の要件に該当する者を入札に参加させないこ とができることとされている14。 イ 積極要件 現行の会計法令は,上記アの欠格要件のほか,発注者が積極要件を定め ることを認めており,必要がある場合には,契約の種類・金額に応じて実 績,従業員数,資本金その他経営状況等に関する事項について一般競争入 札の参加資格を定めることができることとされているほか,特に必要があ ると認める場合には,更に当該入札への参加資格を定めることができるこ ととされている15。実態をみると,現在行われている一般競争入札におい ては,通常,経営事項評価点数16,施工実績等に関する入札参加資格が設 定されている。 (参考) 米国の入札ボンド制度 米国においては,公共工事の入札参加者が落札したにもかかわらず, 契約に至らない場合の発注者のリスク(再入札費用等)に対応するため, 入札参加者に契約見込額の5∼20パーセントの入札保証を受けること を義務付ける「入札ボンド制度」が採用されている。 入札ボンド制度は,公共工事の受注者の選定過程で企業の経営状況の 良否を判断するため,発注者のリスク回避の手法として大きな効果を有 するといわれている。また,ボンドを引き受ける保証会社等の市場関係 者の判断が受注者選定に反映されるため,より的確な企業の経営状況の 評価が可能であるほか,不良・不適格業者の排除に有効であると指摘さ れている。 (3) 発注方法 現行の会計法令では,一般競争入札が原則とされているが,一定の場合に 14 予決令第70 条及び第 71 条,地方自治法施行令第 167 条の 4。 15 予決令第72 条及び第 73 条,地方自治法施行令第 167 条の 5 及び第 167 条の 5 の 2。 なお,地方公共団体が設定する地域要件については,「第一部 3(4)イ 地域要件」(p9)参照。 16 「第一部 3(4)オ ランク制」(p10)参照。

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は指名競争入札又は随意契約も認められている(会計法第29条の3,地方 自治法第234条)。 なお,米欧の公共調達においては,こうした発注方法のほか,複数の事業 者との交渉を通じて契約者を選定する方法も認められている17 ア 一般競争入札 一般競争入札とは,契約に関する公告を行い,一定の資格がある不特定 多数の希望者すべてを入札において競争させ,最も有利な条件を提示した 者との間に契約を締結する方法である。 現行の会計法令で一般競争入札が原則とされているのは,できるだけ広 い範囲で競争させることにより,公正性と経済性を確保するためとされて いる。 他方で,一般競争入札については,事務手続の煩雑,不良・不適格業者 の排除が困難等の指摘があり,一般競争入札の拡大に向けた取組も見られ るものの,実態としては,公共工事については一部の大規模工事等にしか 用いられていない1819。 イ 指名競争入札 指名競争入札とは,発注者が,技術力・経営状況等について適当と認め る複数の業者を指名し,指名業者のみを入札において競争させ,最も有利 な条件を提示した者との間に契約を締結する方法であり,現行の会計法令 では,競争に参加できる者が少数で一般競争入札を行う必要がない場合, 一般競争入札によることが不利である場合等一定の場合に限って認められ ている20。 一方で,指名競争入札は,一般競争入札と比べて事務手続が簡便である, 不良・不適格業者の排除が容易である等の利点があり,現在では多くの入 札で指名競争入札方式が採られているのが実態である。 17 「第二部 1(1)イ(イ) 競争的プロポーザル」(P17)及び「同 2(1) EU(EC)指令の概要(P19)参照。 18 公正取引委員会は,平成 15 年に「地方公共団体の入札・契約の在り方に関するアンケート 調査結果」(47 都道府県・13 政令指定都市を対象に実施。以下「地方公共団体アンケート」とい う。)を取りまとめている。(参考資料 1(p1)参照。) 地方公共団体アンケートによれば,一般競争入札の対象範囲拡大のための課題として,事務 手続の煩雑さを挙げたのが46 団体にのぼり,不良業者の排除が困難であることを挙げた団体 も27 団体あった(回答は 2 つまで選択可)。また,一般競争入札については,全体の 3 分の 1 に当たる19 団体が WTO 対象案件に限定しており,1 億円未満にまで対象を広げている団体 は3 団体にとどまった。 19 適正化指針においては,「資格審査及び監督・検査に係る体制の充実,事務量の軽減等を図 りながら,一般競争入札が原則とされていることを踏まえ,対象工事の見直し等により適切な 一般競争入札の実施に努める」こととされているほか,平成15 年 3 月に閣議決定された「規制 改革推進3 か年計画」(再改定)においても,一般競争入札の拡大が求められている。 20 会計法第29 条の 3 第 3 項,地方自治法第 234 条第2項・同施行令第 167 条。

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しかし,他方で,指名競争入札については,①指名に至る過程が不透明, ②指名に当たって入札参加意欲が考慮されない上,指名の辞退も事実上困 難であり形式的な入札を招きやすい,③入札参加業者が固定化して入札談 合を誘発しやすい等の指摘がある。 ウ 公募型指名競争入札 公募型指名競争入札とは,指名競争入札の一類型であるが,指名業者の 選定に当たって,事業者の入札参加意欲を反映するとともに,当該案件に 係る技術的適性を把握するため,案件ごとに,有資格者のうち一定の範囲 の者から簡便な技術資料の提出を募り,技術資料を提出した事業者の中か ら入札参加業者を指名するという手続を採る方法であり,近年,国・地方 公共団体等において,導入・対象範囲の拡大が進められている21 公募型指名競争入札については,資格を満たす業者も発注者に指名され ない限り入札に参加できないため,発注者の恣意性が完全には排除されな いとの指摘もあるが,資格を満たす業者はすべて指名するなどの取組も進 められている(大阪府等)。 エ 随意契約 随意契約とは,入札によることなく,発注者が適当と認める者を選んで 契約を締結する方法であり,会計法令上は,契約の性質又は目的が競争を 許さない場合等,一定の場合に限って認められている。 随意契約は,競争によることが困難な場合等に使用される方法であり, 競争入札を原則とする現行の会計法令を補完する面もあるが,他方で,そ の運用方法によっては,経済性・公正性が確保されなくなり,官民の癒着 を招くおそれもある。 随意契約の運用においては,本来競争に付すべき案件が随意契約とされ ているとの批判がある一方,対外的な説明(会計検査,情報公開等)を回 避するため等から,随意契約を行い得る案件についても形式的に入札に付 され,それが入札談合を誘発しているとの指摘がある。 (4) 地域振興・中小企業の受注機会拡大のための発注方法 ア 総論 公共工事の競争入札においては,地域振興・中小企業の受注機会拡大の 政策的要請を背景として,入札参加の条件として「当該地方公共団体に本 社・営業所を置いていること」を義務付ける「地域要件」を付したり,共 21地方公共団体アンケートによれば,53 団体で公募型指名競争入札が導入されており,1 億円 未満の工事を対象としている団体が11 団体,3 億円未満の工事を対象としている団体は 30 団 体にのぼった。

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同企業体(JV)を結成させて地元企業の参加を義務付けるケース等があ る。 また,中小企業に関する国等の契約については,昭和41年に制定され た官公需法22があり,同法は,中小企業者の発展に資することを目的とし て,国に対して,中小企業の受注機会の拡大のための施策を講じるよう努 力することを求めている。 イ 地域要件 地方公共団体は,一般競争入札及び指名競争入札に参加する者に必要な 資格を定めることができるが23,具体的な要件の内容については地方公共 団体の裁量に委ねられている。また,契約の性質又は目的により,当該入 札を「適正かつ合理的に行うため特に必要があると認めるとき」には,事 業者の所在地を入札参加資格として設定することができるとされている24 多くの地方公共団体においては,地元企業育成等の観点から,入札参加 資格として「県内に本店又は営業所を有すること」と規定する等,競争入 札への参加を地元業者に限定する制度を採用しており,地域要件と呼ばれ ている25。 地域要件については,適正化指針において,「地域の中小・中堅建設業 者の育成のほか,将来における維持・管理を適切に行う観点から合理性を 有する場合もあるが,過度に競争性を低下させるような運用とならないよ うに留意するものとする。」とされている。また,「規制改革推進3か年 計画」(再改定)においても,「競争性の確保の観点から,過度に競争性 を低下させるような運用とならないようにするための具体的な推進方策を 検討する」こととされている。 ウ 共同企業体 共同企業体(特定建設工事共同企業体)は,大規模かつ技術的難度の高 い工事の施工に際して,技術力等を結集することにより工事の安定的施工 を確保する場合等,工事の規模,性格等に照らして必要が認められる場合 等に組織される。 共同企業体を組織するかどうかは,本来,それぞれの事業者が自主的に 判断すべきことであるが,公共工事においては,発注者が,共同企業体に よる入札参加及び地元中小企業の参加を義務付けるなど,地元企業の振興, 22 「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」(昭和 41 年 6 月 30 日法律第 97 号) 23 地方自治法施行令第 167 条の 5,第 167 条の 11。 24 地方自治法施行令第167 条の 5 の 2。 25 地方公共団体アンケートによれば,「原則として地元業者を優先する地域要件を設定してい る」と回答した団体が44 団体と7割を超えている。

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中小企業の受注機会の確保を目的として用いられる場合がある26。 エ 分割発注 発注者は,中小企業の受注機会の確保,工期,施行計画等を総合的に勘 案して,必要に応じて,1つの大規模物件を複数の中小規模物件に細分化 して発注することがある。 このような分割発注については,官公需法に基づく「平成15年度中小 企業者に関する国等の契約の方針」(閣議決定)において,「国等は,物 品等の発注に当たっては,(略)価格面,数量面,工程面等からみて分離・ 分割して発注することが適切であるかどうかを十分検討し,可能な限り分 離・分割して発注を行うよう努めるものとする」とされている。 他方,分割発注については,行き過ぎた運用が行われた場合, ① 細分化された物件が適正ロットに満たず,工事が非効率的(高コスト) となる ② 特殊な機材,工法を必要とする工事について施工能力を有する業者が 入札から排除されると,結果として落札業者によるいわゆる丸投げを誘 発・助長する ③ 地域要件の設定,ランク制等と併せて過度の分割発注が行われた場合, 入札参加業者が固定化することにより談合を誘発・助長する といった問題が生じると指摘されている。 オ ランク制 公共工事を受注しようとする者は,その経営に関する客観的事項につい て,国土交通大臣又は都道府県知事の審査(経営事項審査)を受けること が義務付けられている27 国・地方公共団体等では,品質の確保,競争入札における適正な競争や 受注機会の公平の確保といった観点から,経営事項審査の結果(経営事項 評価点数)及び工事成績等入札参加業者の規模や技術力に応じて,業者を 複数のランクに分類し,ランクに応じて入札に参加できる案件を限定して おり,このような制度はランク制と呼ばれている。 ランク制の採用及びその内容については発注者の裁量に委ねられている が,行き過ぎた運用が行われれば,建設業者の棲み分けを促し,競争を制 限する効果を有しているとの指摘がある。 現在,多くの国・地方公共団体等においてランク制が採用されているが, 26 なお,国土交通省は,「入札契約適正化の徹底のための当面の方策について(平成 15 年度)」 において,入札契約の競争性・透明性の向上等の一つとして,特定建設工事共同企業体と単独 の建設業者の双方に入札参加を認める混合入札の促進を掲げている。 27 建設業法第27 条の 23 第 1 項。

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一部の地方公共団体においては,競争促進等の観点から,ランク数の削減 (三重県等),ランク制の廃止(横須賀市等)等の取組が行われている。 カ 地元業者の下請使用(地元産品の利用) 地方公共団体は,地元経済の活性化等の観点から,入札参加業者又は落 札業者に対し,地元業者の下請使用や地元産品の利用を求めることがある。 (5) 契約者の選定基準 ア 最低価格自動落札方式 民間企業の調達においては,通常,価格や品質,アフターサービス等さ まざまな要素を総合的に勘案して契約の相手方を選定しているが,公共調 達においては,原則として,予定価格の制限の範囲内で,一定の仕様に対 する最低価格の入札者を落札者とするという「最低価格自動落札方式」が 採られており(会計法第29条の6,地方自治法第234条第3項),予 定価格制度と一体となって,契約者選定に当たって契約担当職員の恣意性 を排除する仕組みとなっている。 また,最低価格自動落札方式の例外として,低入札価格調査制度及び最 低制限価格制度が設けられている。 低入札価格調査制度とは,各発注者において,あらかじめ,当該者の入 札価格では契約内容に適合した履行がされないおそれがあると認められる 場合等の基準を定め,入札価格が当該基準に該当した場合には必要な調査 を行い,前記のおそれが認められた場合等には,当該者と契約を締結せず, 当該者の次に低い価格で入札した者と契約することができるという制度で ある28 最低制限価格制度とは,審査体制等を考慮して地方公共団体のみに認め られた制度であり,当該契約の内容に適合した履行の確保のために特に必 要があると認めるときには,あらかじめ最低制限価格を設定し,当該価格 以上の価格で入札した者のうち,最低の価格で入札した者と契約すること ができるという制度である29。 低入札価格調査制度と最低制限価格制度の違いは,入札価格が事前に定 めた基準に該当した場合に,その内容を調査した上で契約の適否を判断す るか(低入札価格調査制度),それとも,その内容を調査することなく自 動的に契約の対象外とするか(最低制限価格制度)という点であり,適正 化指針においては,低入札価格調査制度の活用を促進するため,「入札参 加者の企業努力によるより低い価格での落札の促進と公共工事の品質の確 28 会計法第29 条の 6,予決令第 84 条ないし第 89 条,地方自治法施行令第 167 条の 10 第 1 項。 29 地方自治法施行令第167 項の 10 第 2 項。

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保の徹底の観点から,(略)実施要領の策定を含めた審査体制の整備等を 図りつつ最低制限価格制度からの移行に努める」こととされている。 なお,一般競争入札の拡大に当たっては,参入の自由化により,いわゆ るダンピング受注が増大するとの指摘があるが,適正化指針では,「いわ ゆるダンピング受注は,建設業の健全な発達を阻害するとともに,特に, 工事の手抜き,下請へのしわ寄せ,労働条件の悪化,安全対策の不徹底等 につながりやすいことから,各省各庁の長等においては,現行の低入札価 格調査制度及び最低制限価格制度を適切に活用し,ダンピング受注の排除 を図る」こととされている。 イ 総合評価落札方式 上記のとおり,現行の会計法令では価格により契約者を選定することが 原則となっているが,価格以外の要素を重視する必要がある場合には,価 格に加え,技術・性能等価格以外の条件も含めて入札させ,予定価格の制 限の範囲内にある者のうち,価格以外の条件と価格を総合して評価し,国 等にとって最も有利な者が契約者として選定する方式があり,このような 契約者の選定方式は「総合評価落札方式」と呼ばれている(会計法第29 条の6第2項,地方自治法施行令第167条の10の2第1項)。 総合評価落札方式については,国土交通省において,全発注金額の2割 以上を総合評価落札方式とするなど,導入・試行が進められている30ほか, 地方公共団体においても導入・試行が進められようとしている31。 他方で,同方式は現行の会計法令においてはあくまで補完的な位置付け であり,国の機関が総合評価落札方式を用いる場合には,原則として,個 別案件ごとに,主務大臣と財務大臣との協議が行われている32。地方公共 団体が総合評価落札方式を用いる場合には,事前に落札者決定基準を定め ること,学識経験者の意見を聴くこと等が必要である33 30 国土交通省は,平成15 年 4 月に公表した入札契約適正化のための当面の方策(「2(1)イ 国・ 地方公共団体等における取組の進展」(p3)参照)において,「総合評価落札方式については,全発 注金額の2割以上を目途に試行の拡大を図るとともに,(中略)また,地方公共団体への普及を 念頭に事例集の作成を行う。」こととしている。 31 地方公共団体アンケートによれば,総合評価落札方式等については,導入・試行済みの団体 が16 団体で,導入予定 1 団体を含めても 3 分の 1 以下にとどまっているが,他方で「定型的 な案件については事務量が増加するため不適切だが,高度な企画力・技術力を要求される案件 については積極的に導入していきたい」との回答が38 団体と過半数を占めた。 32 予決令第 91 条第 2 項。ただし,公共工事については,平成 12 年 3 月の大蔵大臣と建設大 臣(いずれも当時)等の協議において,総合評価落札方式の対象とする工事の範囲,落札方式, 総合評価の方法等が定められており,大蔵大臣と事前に協議を整えた各省各庁の長等は,それ に依る限り,個別案件ごとに財務大臣と協議する必要はない。 33 地方自治法施行令第 167 条の 10 の 2 第 3 項及び第 4 項。なお,地方公共団体の場合,従前 は地方自治法及び同施行令上の規定がなかったため,総合評価落札方式が採用できなかったが, 「規制緩和推進3 か年計画」(平成 10 年 3 月閣議決定)を踏まえ,平成 11 年 2 月,同施行令が改

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なお,総合評価落札方式については,同方式に慣れていない発注者にお いては,その適切な運用が今後の課題であるとの指摘がある。 また,総合評価落札方式を採用する場合,落札者の選定に当たり,価格 と価格以外の条件をどの程度の比重とするかなどを定める必要があるが, 現行の評価方式であるいわゆる除算方式(基礎点と加算点の合計を入札価 格で除した値を評価値とする方式)では,ほとんどは分母にくる入札価格 の大きさで決まってしまい,価格入札方式とほとんど変わらないとの指摘 もある。 (参考 欧米の競争的交渉方式) 競争的交渉方式とは,契約者選定に至るまでの段階で,複数の事業者に 対して,技術力や経験,設計に望む体制等を含めた提案書(プロポーザル) の提出を求め,交渉的プロセスの中で各提案者と交渉を行った上,それを 公正に評価して業務に最も適した事業者を選定する方式である。 我が国の現行の会計法令では,発注方法としては競争入札と随意契約し か制度化されていない34が,公共調達案件の複雑・高度化を背景として, WTO 政府調達協定では一定の場合に交渉方式によることが認められてい る(第14条)ほか,米国では既にこのような方式が競争入札と並んで制 度化されており,EUにおいても導入に向けて検討が進められている(第 二部参照)。 (6) 入札・契約における発注者の設計・管理体制と民間の技術力の活用 現在の公共工事においては,発注者は,自ら設計を行うか,又はコンサル タント業者に設計を委託し,施工のみを事業者に請け負わせる,いわゆる工 事一括請負方式が原則とされている。 しかしながら,発注者側の技術力が民間事業者と比べて相対的に低下して きていること等を背景として,設計段階から事業者の関与を受けることによ って効率的な施工を行うとともに,民間企業の技術力を活用するため,以下 のとおり様々な方式が提案されている。 ア CM(Construction Management)方式 CM 方式は以下の2種類に分けられるが,発注業務の量的・質的補完に 資するなどの利点があり,米欧の公共調達においては既に取り入れられて いる。また,我が国においても,国土交通省が,CM 方式活用の基本的な 指針として,平成14年2月に「CM 方式活用ガイドライン」を取りまとめ て公表するなど,導入に向けての取組が進められている。 正され,総合評価落札方式の導入が可能となった。 34 我が国では,例えば建設コンサルタント業者の選定において,このような方式が用いられて いるが,あくまでも随意契約の一類型としての位置付けにとどまっている。

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(ア) ピュア CM 方式 発注者の補助者・代行者たるCMR(Construction Manager)が発注 者の側に立って設計・発注・施工の各段階において工程管理,品質管理, コスト管理等の各種マネジメント業務を一元的に行う方式 (イ) アットリスク CM 方式 CMR が,各種マネジメント業務を行う上で,特に調達総額について 責任を負うなど工事のリスク,責任も主体的に負担するCM 方式 イ 設計・施工一括発注方式 設計・施工一括発注方式とは,一つの企業ないし事業体に対し,設計と 施工を一括して発注(設計の契約と工事の契約を一体的に締結)する方式 であり,同方式の導入も一部で進められている35 ウ 入札時VE(Value Engineering)方式 入札時VE 方式とは,民間の技術力の活用により,公共工事のコスト縮 減等を図るため,事業者からコスト縮減が可能な技術提案(代替案)を受 け付け,審査した上,各業者がそれぞれの技術提案に基づいて入札を行う 方式である。契約者を価格のみで選定する場合と,価格以外の要素も含め て選定する場合がある36。 (7) 入札・契約における競争性確保のための発注者の監視体制 公共調達の競争性確保のためには,発注者の契約者選定手続の適正性につ いて必要な監視を行うとともに,入札・契約にかかる事業者の苦情を適切に 処理するシステムの構築が進められている。 ア 契約者選定手続の適正な監視 適正化指針においては,入札・契約手続の透明性の確保のため,入札監 視委員会等の第三者機関において,入札・契約手続の運用状況の報告を受 ける,一般競争入札参加資格の設定の経緯,指名競争入札における指名の 経緯を審議する等の方策を講ずる必要があるとされている37。 35 「入札契約適正化法及び適正化指針の措置状況調査結果について」(平成 15 年 10 月 3 日国土 交通省・財務省・総務省公表)によれば,設計・施工一括発注方式を導入しているのは,国で は約4 分の 1,都道府県・政令指定都市では 5 分の 1 となっている。また,市町村レベルでは ほとんど導入されていない(全体の 1.7 パーセント)。 36 VE 方式としては,入札時 VE 方式のほか,契約後に,受注者がコスト縮減の可能な技術提 案を行い,契約内容(仕様)の一部を変更する方式(契約後 VE 方式)もある。 37 地方公共団体アンケートによれば,第三者機関を設置している団体は全体のうち半数(30 団 体)であり,このうち外部組織としているものが 14 団体であった。

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イ 公正・中立な苦情処理 苦情処理については,適正化指針において,一般競争入札の参加資格を 与えられなかった理由,指名競争入札における非指名理由,総合評価落札 方式において落札者とならなかった理由等について,まずは各発注者が説 明を行うとともに,事業者が発注者の説明に不服のある場合には,必要に 応じて入札監視委員会等の第三者機関を活用する等中立・公正な苦情処理 の枠組の整備が適切であるとされている。 なお,WTO 政府調達協定の適用対象とする契約については,同協定の 第20条において苦情処理手続の整備が定められ,「政府調達苦情検討委 員会」が設置されている。同委員会には,契約締結又は契約執行の停止要 請,関係行政機関に対する文書の提出等の要求等を行えるなどの権限が与 えられている。 4 入札談合に対する発注者の取組 (1) 入札談合に対する発注者の探知 従来から,発注官庁は公正取引委員会に対して談合情報の提供を行ってい るが,入札契約適正化法においては,入札談合があると疑うに足りる事実が あると発注者が認めた場合には,公正取引委員会に通知することが義務付け られている。他方で,実際に公正取引委員会に提供される談合情報や通知だ けでは,公正取引委員会において直ちに調査を開始するのが困難な場合が多 いのが実情である38。 (2) 入札談合に対する発注者の措置(指名停止・損害賠償) ア 指名停止 入札談合を行った事業者に対しては,発注者において指名停止措置が講 じられている。各発注者は,中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央 公契連)39において作成されている指名停止等の措置要領モデルを参考に して,独自の指名停止措置基準を作成,運用しているところ,同措置要領 モデルは,平成15年5月の改定により,①悪質な刑法談合の場合には全 国で指名停止を行う(ただし,独占禁止法違反案件については,従来どお りブロック単位での対応を原則とする。),②談合情報が寄せられ調査が 実施された案件について,誓約書を提出したにもかかわらず,独占禁止法 違反等があった場合には,指名停止期間を加重する,③独占禁止法違反に 38 地方公共団体アンケートによれば,調査過程において事情聴取以外の調査を「実施している」 と回答した団体は20 団体と 3 分の1であった。また,その内訳は「工事費内訳書の分析」が 19 団体,「過去の入札状況等の分析」が4 団体あった。 39 国土交通省等国の公共工事発注機関や公団・事業団など30 機関で構成されている協議会。 このほか,国の地方支分部局・都道府県などで構成される「公共工事契約業務連絡協議会」,各 都道府県及び同下市区町村で構成される「(各都道府県の)公共工事契約業務連絡協議会」がある。

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対する指名停止期間の上限を9か月から12か月に引き上げるなど,入札 談合に対する指名停止措置の強化等が行われたところである。 他方で,地方公共団体アンケートによれば,各地方公共団体による指名 停止の措置状況には以下のようなばらつきが認められた40 ① 指名停止の期間について,短期については1か月∼12か月,長期 についても3か月から24か月と非常にばらつきがあった。 ② 指名停止の実施時点については,中央公契連作成の指名停止モデル どおり41と回答した団体が41団体と約7割であったが,排除勧告の段 階で一律実施と回答した団体も8団体あった。 ③ 指名停止の対象となる違反事業者の地理的範囲については,独占禁 止法違反行為を行った事業者であれば,発注が行われた団体・地域を 問わないと回答した団体が46団体と4分の3を超えていた。 ④ 独占禁止法違反業者に対して,指名停止にとどまらず,競争参加資 格の取消しに関する基準を定めていると回答した団体も5団体あった。 イ 損害賠償 近年,入札談合により損害を被った国・地方公共団体等が,事業者に対 して独占禁止法第25条42や民法第709条の規定に基づいて損害賠償を 行う事例が増えている43。従来,入札談合に対する損害賠償請求には,被 害者による損害額の立証が困難との問題があったが,平成8年の新民事訴 訟法第248条の規定に基づき,裁判所の職権により相当な額の損害額を 認定することが可能となり,同法に基づき損害額を確定した判例の蓄積が 進んでいる。 また,国・地方公共団体においては,契約書に事前に入札談合を行った 場合における損害賠償予定条項を盛り込む動きが強まっている44 40 参考資料1(P1)参照。 41 指名停止の実施時点については,地方公共団体アンケートを実施した時点(平成 15 年 4 月) では,①勧告応諾時,②課徴金納付命令の確定時,又は,③審判開始決定時とされていた(な お,同年5 月の改定により,③については審判確定時とされた。)。 42 独占禁止法違反行為を行った事業者又は事業者団体は,公正取引委員会による審決が確定し た場合,被害者に対して無過失損害賠償責任を負うこととなる。 43 地方公共団体アンケートによれば,入札談合事件があり,地方公共団体自らが損害賠償を行 った事例があるという団体は11 団体と5分の1にのぼった。 44 地方公共団体アンケートによれば,4 分の 3 にあたる 40 団体が契約書に損害賠償予定条項 ないし違約金条項を設定している。また,国土交通省は,同省が平成15 年 6 月以降に入札手 続を行う工事等について,入札談合があった場合には請負代金の10 パーセントを違約金(損害 賠償額の予定)と支払わせる旨の条項を契約に設けている。

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第二部 欧米における公共調達制度の概要 1 米国 (1)1984年「契約における競争法」の制定による競争性の徹底 ア 背景 米国においては,1984年に「契約における競争法」(Competition in Contracting Act,以下「1984年法」という。)が制定され,資格要件を満た すすべての事業者に対して公共調達手続への参加を認める「完全かつ公開の競 争」を原則とする契約者選定方式が義務付けられた。 この1984年法の制定以前においては,競争入札の原則がありながらも,発 注機関にとって,多くの事業者が競争に参加するよりは,特定の少数の事業者と 取引した方がリスクが少なく管理がしやすいことを背景として,実際上は特定の 事業者との随意契約が多く締結され,国家予算が非効率に使用されるなどの問題 があった。 イ 「完全かつ公開の競争」の原則に基づく入札・契約方式 (ア) (価格競争型)競争入札 1984年法においては,①時間的に可能,②落札者を価格のみ によって選定することが可能,③スペックが明確であるため入札に関して交渉 する必要がない,④複数の事業者の入札を合理的に期待できるという4つの基 準を満たす場合には競争入札によるものとされた。競争入札においては,価格 のみから最も有利な相手が契約者として決定される。 (イ) 競争的プロポーザル 1984年法の制定以前,発注者が複数の事業者に提案書(プロポーザル) の提出を求め,契約相手方を選定するという競争的プロポーザルは例外であっ た。しかし,公共調達がより複雑になっていることから,1984年法は調達 実態の変化を踏まえ,発注者が最も価値の高い調達を行うことができるように するため,競争的プロポーザルをそれまでの例外的位置付けではなく,入札と 並ぶ調達方法の一つとした。 すなわち,競争入札に関する前記の4つの基準を満たさない場合には,競争 的プロポーザル方式の採用が認められるとして,価格及び技術の総合評価を行 い,発注者にとって最も価値ある相手方と契約することとされた。また,競争 的プロポーザル方式の採用に当たっては,調達者側は契約者選定を行う上での 価格及び技術に関する評価要素を明確に示す必要があるとした。 (ウ) 資格要件 受注を希望し,かつ資格要件を満たした者は原則的にすべての入札に参加す

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ることが可能である。ただし,参加に際しては,保証会社の保証を受ける必要 があるため(入札ボンド制度),経営状況の審査等は事実上保証会社において 行われているといえる。 競争的プロポーザル方式においても,受注を希望し,かつ資格要件を満たし た者はすべて競争に参加できる。 (エ) 予定価格 日本のように上限拘束性を持つ予定価格の制度はなく,上限拘束性のない 「合理的価格」を算定する手続が規定されている。 ウ 地域振興・中小企業の受注機会拡大のための施策 1984年法及び連邦調達規則は一定規模以上の企業(大企業)を除いた上で の「完全かつ公開の競争」を認めているが,この場合でも,資格要件を満たす中 小企業はすべて競争に参加できる。 地元業者優先のための施策に関しては,連邦レベルの規定はないが,州の公共 調達においては自州内の企業を優先する法令等を設けている例がみられる。例え ば,ワシントンD.C.においては,地元企業の入札価格について,3%のボー ナスが認められ,他の地域の競争者の入札価格との比較をする際の優遇措置が設 けられている。 エ 監視体制 公正な競争の監視については,各調達機関において競争弁護官(Competition Advocate)を置くことが義務付けられており,契約過程の審査を行っているほか, 会計検査院(GAO)が調達機関と契約者との契約に係る記録を検査することが できる。法令違反等を行った企業については,最大3年間,公共調達への参加を 認めない措置が講じられ,当該措置はすべての行政機関の公共調達への参加に適 用される。 なお,競争弁護官の役割には,競争に関わる個人及び組織の説明責任の確保を 推奨することも含まれており,例えば,契約担当者等に対する表彰も含まれてい る。 オ 不服申立制度 不服申立制度については,契約過程について不服がある場合,競争参加者は, 発注機関のほか,連邦地方裁判所,連邦抗告裁判所,連邦会計検査院のいずれに 対しても不服申立てを行うことが可能である。例えば,連邦会計検査院に対して 不服申立てが行われた場合,不服申立てが契約締結後10日以内になされていれ ば,原則として契約の凍結が認められる。

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カ 反トラスト法違反行為に対する厳正な対処 以上の1984年法による調達改革は,調達側と供給業者との間で不正行為が 横行しているとの状況を前提にしたものであったが,この時期には,調達担当官 の倫理基準や反トラスト法違反行為に対する刑事罰の強化も行われ,カルテル等 に係る罰金額は「利得又は損害の2倍に相当する額」まで科されることとされた (1984年量刑改革法)。 (2) 1994年の公共調達の改革による発注者の裁量性の拡大 1984年法の枠組みに対して修正を行ったのが,1994年の「連邦調達簡素 化法」である。同法に基づく公共調達の改革は,民間企業の調達方法を導入するこ とにより公共調達に当たってのコストの低減を目指し,調達担当官の誠実な業務執 行を信頼して担当官が裁量権を行使する上での制約を緩和した。その一例が,過去 の実績についての評価の権限の付与である。米国の調達システムでは最低価格の入 札者以外に落札させることができ,その場合には品質が優れていることについて「客 観的な」証拠を提出する必要があった。調達官庁が有する過去の評価記録等は当該 官庁の主観的なものとみなされていたが,1994年の改革により評価の際に使用 できることとした。 また,1994年の「連邦調達簡素化法」は,契約者に求める価格データの提供 義務を緩和し,調達担当官による価格の合理性の判断権限を拡大した。これにより, 入札参加者側の参加コストが小さくなり,入札価格が低下するほか,より多くの企 業が入札に参加することによる競争促進が見込めることになると考えられた。 2 欧州 (1) EU(EC)指令の概要 EUにおける公共調達については,各加盟国を拘束するEU指令(500万ユー ロを超える案件が対象)があり,実際の施行手段・方式は,直接,加盟国の制度に 基づき行われている。 1971年,ECは,加盟国間の公共工事の契約に関わる手続きを調整する指令 を発した。その主な内容は,各加盟国事業者に対し公共調達が平等取扱いの下で開 かれたものにするため,共同体レベルでの契約公告の実施,他の加盟国の入札参加 者に対し差別的となるような技術使用の禁止,契約締結のための客観的基準の適用 の3点であった。 この1971年のEC指令と1989年の追加的指令を統合したのが,1993 年の公共調達手続に関する指令である。同指令は,契約者選定手続として,①公開 手続,②制限的手続,③交渉手続の3つを定めている1 公開手続においては,資格要件を満たすすべての者が公告に応じて申込みを行う 1 我が国においては,EC 指令の①が一般競争入札,②が公募型指名競争入札,③が随意契約に相当する。

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