岡 山 県 下 に 発 生 し た 流 行 性 肝 炎 特 に 病 原 体 に 関 す る 研 究
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(2) 1452. 真. 鍋. 正. 富. 脾 臓,胆 汁等 を使 用 した. 実 1.孵. 験. 成. し. 績. これ等 の各 臓 器 を無 菌的 に 採 取 し,抗 生物. 化 鶏 卵 に よ る分 離 実 験. 質 を 夫 々 添 加 して孵 化 鶏 卵 の5〜7日 尿 腔 内 に0.25ml宛. 孵 化鶏 卵 に よ る病 毒 分 離 は既 に俵10)によ り. 卵 の漿. 接 種 した.俵10)に 倣 い一. 行 わ れ た.そ の際 分 離 病 毒 が孵 化 鶏 卵 に よ り. 定 期 日後 死 亡 した鶏 胎 児(若. 累 代 保 存 され て い たの で著 者 の対 照 にす るた. 宜 乳 剤 として次 代 接 種 材 料 として用 い累代 を. め,金 光,森 本 の両 株 の分 譲 を受 け た.. 行 つ た.累 代 の若 い時 期 に 於 て は鶏 胚 の死 亡 が 確 実 で は な いが,接 種 した ものは 生 死 に拘. 孵 化 鶏 卵 に よ り分 離 の 実 験 に 用 いた 患 者 材 料 は 石 原,小 川某 で共 に 急性 肝 炎 の病 名 で 入. わ らず 鶏 胎児 を集 めpoolし. 院 し重 篤 な 症 状 の も とに 死 亡 した患 者 肝 臓,. た(第1表).. 第1表. 孵 化 孵 化 卵(6日. 註.. i)○ ii)次. 生存. ●7死. 卵 に. よ る 石. 〜8日. くは肝 臓)を 適. 卵)C.. 原,小 A. F.. 川 株 累. た 後累代を行つ. 代 表. 0.25ml.. 亡 例 を 示 し附 し た 数 字 は 死 亡 日数.. 代 累卵 は孵 化 卵 胎 児 乳 剤 を 用 う.. 孵 化 鶏 卵 に患 者 材 料 を接 種 し分離 に努 め る. 斑 点 が 散 発 す る こ とが あ り,又 胎児 全 般に亙. と同時 に 同一 材 料 を マ ウス 腹腔 内 に接 種 し累. り出血 斑 点 が 密 発 しあ た か も血 液凝 塊 を以 て. 代 を継 続 した.死 亡 患 者 肝 臓乳 剤 を孵 化 鶏 卵. 充 た された 様 な外 観 を 呈 す る場 合 も少 くない.. の5〜7日. 斯 る出 血斑 の 出現 が 特 徴 とい う訳 で は ないが,. 卵 の 漿尿 腔 内 に 接種 す る場 合孵 化. 卵 胎 児 を 次 代接 種 材 料 とす るが,死 亡鶏 胎児. 認 め られ る場 合 が比 較 的 多 い.胎 児 肝臓 は腫. は 詳 し く観 察 す る に鶏 胎 児 外 面 に 針 状 の 出血. 大 す る と共 に 出血 斑 を認 め る こ とが あ るが一.
(3) 岡山 県 下 に発 生 した 流行 性 肝 炎 特 に 病原 体 に関 す る研 究. 様 で は な い.肝. 所 見 はHenle (1953)8)の. 合 が多 い に拘 らず,金 光,森 本 両 株 は 分 離 後. 臓 の 病 理 標 本 で 検 す る と肝 細. 胞 の 壊 死 が 認 め ら れ る こ とが 少 くな い.こ et al.(1950)6). 1453. 累 代 が数10代 に亙 り,既 に病 毒 の 固定 の時 期. の. に 達 した と推 定 され た が,胎 児 死 亡数 は 減 少. 7)又 はWildfuhr. し死 亡 日数 も また 遅 延 す る傾 向 が 強 い.そ の. 指 摘 す る 所 見 と相 通 ず る も の で あ. 後 石原,小 川 株 に も同 様 な傾 向 が見 られ る の. る.. で は な いか と注 意 しつ つ 累代 を続 行 した.両. 以 上 の所見 が認 め られ る際 で も,接 種 部 位 で あ る漿尿腔 液は 軽 く溷濁 を 呈 す る場 合 もあ. 株 は そ の後 共 に10〜15代 の累 代 では 胎 児 死 亡. るが 一般 に 透 明 であ り,羊 水 も また清 澄 であ. が減 少 す る金 光 株 と同 様 な傾 向が 認 め られ る. る.次 代 接種 には この鶏 胎 児(若 し くは 肝臓). に 至 つ た.こ の 傾 向 は 分離 病 毒 に於 て大 小 に. 粗乳 剤 を用 い 累代 を継 続 した.表 示 した如 く. 拘 わ らず 認 め る性 状 と も窺 わ れ た.. 累代 に於 け る孵 化 卵 胎児 の死 亡 は 極 め て不 揃 で あ るが累 代 を重 ね るに伴 い,. 5〜6代. 之等 の特 異 な 病 毒 の性 状 は 既 知 の病 毒群 に. に於. 見 られ ぬ も ので,累 代5代 に於 て漸 く定 着 性. て漸 く胎 児 の 死亡 が 確実 とな り,死 亡 日数 も. を 得 た 時期 に達 した と考 え られ,そ. また7〜9日. 後 の 累 代 に於 て 固 定 の 時 期 に到 達 す る もの と. に安 定 す るのが 観 察 され た.. 爾 後 この経 過 を 辿 る もの と推 測 して いた が. 推 測 され た が,本 病 毒 は他 の病 毒 の如 き増 殖. 石 原,小 川 株 及 び対 照 の金 光,森 本株 ともに. 性 獲 得 の経 過 は 辿 らな い もの と推 察 され る.. 胎 児 の死 亡 が 不確 実 な 場合 が 少 くな い こ とが. この事 実 はHenle. 認 め られ た,石 原,小 川 の両 株 は大 体 平 均 し. 相 通 ず る もの と思 料 され た(第2表).. た死 亡数 を示 し,死 亡 日数 も大 体平 均 した場 第2表. 各 病. して そ の. et al. (1950)6) 7)の 所 見 と. 肝臓 か ら の病 毒 分 離 に成 功 した患 者 の他 の 毒. の 孵 化 卵. 孵 化卵 累代 第10〜15代. 累 代. よ りの 累 代.
(4) 1454. 真. 鍋. 正. 富. 材 料即 ち脾 臓 若 くは 胆汁 等 を 接種 した場 合は. 病 理 標 本 で検 した成 績 で も陽性 結果 は得 られ. 病 毒分 離 は 不 成 功 に 終 つ た.. ず 累代35〜40代 継 続 したが,所 期 の 目的 を達 し得 な かつ た(第3表).. 同 時 に マ ウス腹 腔 内接 種 を行 つ た 成 績 で は マ ウス に 於 け る感 染 発 症 は1例 も見 られ ず,. 第3表 石 原 株 患者 材 料 を処 理. 石. 原. マ ウ スip.. Homogenizerで. 病 毒 を分 離 した と推 定 され た 石 原,小 川株. 分. 0.3ml宛. 離. 累 代. 接 種 し,次. 成. 績. 代 累 代 は 肝 臓 をpoolし. て. 砕 き 病 毒 粗 乳 剤 と し て 次 代 に 接 種.. のそ の 後 の孵 化 鶏 卵 累 代 は 鶏 胎児 の死 亡 数 が. 大 若 くは 出 血 も少 く感染 標 識 に 乏 しい憾が あ. 漸 次 不 規 則 とな り,死 亡 日数 も次 第 に延 長 し. る.も. 8〜14日 を示 す もの,又 生存 し雛 とな る も の. の生 死 に よ り相 当 の 差異 は あ る もの と推察 さ. も認 め られ るに 至つ た.こ の 様 な経 過 を辿 つ. れ たが,そ. た 場 合 の死 亡鶏 胎 児 若 くは 生存 鶏 胎 児 の外 観. つ た.. は 軽 度 の 充 血及 び 出血 に 止 り,胎 児肝 臓 も腫. とよ り接 種 され た病 毒 の増 殖 は鶏胎児. の程 度 を定 量的 に知 る方 法は なか. 偶 然 に も小 川 株 の孵化 鶏 卵35累 代 の死 亡鶏.
(5) 岡 山県 下 に 発 生 した流 行性 肝 炎特 に 病 原 体 に 関 す る研 究 胎児 乳剤 を マ ウス に接 種 した病 理 標本 を観 察 中肝 炎患 者 の肝 臓 所 見 を彷 彿 せ しめ る如 き定. 1455. 謂馴 化 病 毒株 で あ る. マ ウス の腹腔 内接 種 を行 つ た 結 果 で は 全 く. 型的 病狸 所 見 を 出現 す る事 実 を 発 見 した.そ. 感 染発 症 例 は 認 め られ な い が,初 期に 於 て は. れ で孵化 鶏 卵 累代 中 の 病 毒株 を マ ウス に継 続. 病 毒 の感 染 像 と認 む べ き軽 度 の所 見 が 見 られ. して接種 を行 い観 察 した.. た が 累 代 の進 む に つ れ漸 次 に所 見 は高 度 とな. 化 卵 累代 病 毒 の マ ウス移 植実 験. る傾 向 が認 め られ た の で,更 に継 続 して累 代. 実験 に使 用 した病 毒は先 の金 光,森 本株 と,. を 行 つ た 結 果同 様 に感 染 発 症 は な いが,病 理. 2)孵. 著 者 の分離 した石 原,小 川 株 で総 て孵 化 鶏 卵 に よ り数10代 に亙 り累代 を継 続 し各 病 毒 株 と も病原 性 は殆 ん ど大差 は な い と推 察 され る所 第4表. 註.. i)小. 用 株9代,石. ii)(〓)〜(‑)病 iii)病 毒 接 種14日. 第5表. 註.. i)(〓)〜(‑)病. 所 見 に は 一 定 の所 見 が 恒 に 認 め られ る不 顕 性 感 染 の 成立 して い る事 実 を 知 つ た.病 理 所 見 で確 め た 結 果表 示 した如 く(第4, 5表)初. 各 病 毒 の孵 化 卵 通 過 株 の マ ウス 病 理 変 化. 原 株10代,金. 光 株10代. 累 代 所 見.. 変 の 程 度 を 示 す. 後 に 於 け る所 見.. 各 病 毒 の 孵 化 卵 通 過 株 の マ ウス 病 理 変 化. 変 の 程 度 を 示 す.. ii)夫. 々 の 病 毒 の 累 代 数 石 原18,金. iii)病. 毒 接 種14日 後 に 於 け る 所 見.. 光24,森. 本27代..
(6) 1456. 真. 鍋. 正. 富. 期 の累 代 で は そ の病 変 は 疑わ しい ものが あ る. 実 質 内 に形 成 し,そ の 周囲 は組 織 球 性細 胞 と. が,累 代7〜10代. に歪 れ ば 明 か に定 型 的 な病. 混 在 して単 球 の出 現 が 見 られ た.更 に実 質内. 理 所 見 を 発現 す る.詳 細 に病 理所 見 の上 か ら. に 於 け る細 胞 浸 潤 は 一 様 に 全般 に亙 つ て認め. 窺 うに,初 期 で は一 般 に 肝 細 胞 の 溷濁 腫 脹 の. られ る場合 が 多 いが 門 脈 域 に殊 に強 い場 合 も. 度 が強 く,而 も排 列 の乱 れ た 部分 では 星芒 細. 少 くな い.之 等 の細 胞 も組織 球 と混 在す る単. 胞 の比 較 的 増 殖 した部 分 が 認 め られ,不 規 則. 球 で 占 め られ て い る こ とが 多 い.グ. に 肝細 胞 の消 失 に頻 す る もの も認 め られ た. 一 部 で は肝 細 胞 が 離 開 して原 形 質 は 溷濁 不 透. 鞘 内 の 円形 細 胞 の浸 潤 も また高 度 な場合 が少. 明 化 し,核 の濃 縮 した もの若 くは 甚 だ し く染. 多 彩 な 病 理 所見 を示 す の が 認 め られ た.. くな い,斯. 色 性 を 喪失 す る部 分 も散 見 され る.併 し小 葉. リソン氏. る諸 変 化 が 一般 に 混在 した 非常 に. 次 に 斯 るマ ウス に感 染 した 肝 臓乳 剤 を更 に. 内 に 認 め られ る細 胞 浸 潤 の度 は まだ 少 く,一. 孵 化 鶏 卵 に復 原 した場 合 に も容 易 に復 原 が可. 部 の グ リソン氏 鞘 に 小 円形 細 胞 の浸 潤 を散 見. 能 であ り,孵 化 卵 に対 す る起 病 性(鶏 胎児 死. す るの み で あ る.斯 る病 変 も累代 の進 行 に伴. 亡)も 次 第 に恢復 す る傾 向 が 認 め られ た が,. い次 第 に 著 明 な病 変 を 発 現 す る傾 向 が 見 られ. 累代 数 を重 ね るに 伴 い,分 離 当 時 の孵 化 鶏卵. る.肝 細 胞 の変 性 では 殊 に 空胞 性 若 くは 顆 粒. に対 す る病 原 性 を 取戻 す こ とは 出来 なか つた. 性 変 性 を 来 す と同時 に好 酸性 萎縮 の状 を 呈 す. (第6表).. るに 至 り,更 に特 有 の類 壊 死 若 くは壊 死 巣 を 第6表 石 原,小. 川,森. 孵 化 卵 孵 化 病 毒 マ ウス よ りの 復 原試 験. 本 各 株 の マ ウ ス 肝 臓 をpool.. 遠 沈 上 清 を 孵 化 卵C.. 註.. i)○ ii)各. 〜●. A. M.. Homogenizerで. 0.25ml接. 生 死 を 示 し 附 し た 数 字 は 死 亡 日数.. 病 毒 マ ウ ス 累 代 数(14〜20代). 粉 砕,. 2,000r.. p. m.. 種 次 代 累 代 は卵 胎 児 乳 剤に 依 る. 10′.
(7) 岡 山 県下 に 発 生 した流 行 性 肝 炎特 に 病原 体 に 関 す る研 究 3)患. 者材 料 を 直接 マ ウ ス接種 に よる病 毒. 念 を抱 き,青 森,野 田,佐 藤 某 の死 亡 した 臓 器(肝,脾. 分 離実 験 著 者 は既 に孵 化 鶏 卵 累 代 に よ り病 毒分 離 実. 1457. 若 くは胆 汁)を 採取 し,動 物 接 種. 迄 に 可 及的 迅 速 に処 理 す る こ とに 努 め た.今. 験 に成功 した と報 告 した が,そ の 時 マ ウスに. 回 の実 験 例 は3例. と も重 篤 な 急性 経 過 の も と. 直接 接種 して行 つ た 分 離 は失 敗 に 終 つ た.そ の後 孵化 鶏 卵馴 化 性 を 獲 得 した 病 毒 は 容易 に. に 死 亡 す るに 至つ た 患 者 臓 器 で あ り,実 験 材 料 と して最 も好 適 な もの と思 わ れ た.前 回 の. マ ウスに感 染 せ しめ る こ とが可 能 とな り,累. 実 験 に 倣 い3例. 代 もまた行 わ れ得 る もの で あ る と述 べ たが,. 種 す る と共 に,孵 化 鶏 卵 に 累 代 を行 つ た.鶏. Wildfuhr G.は 直接 患 者 材 料 を各 種 動物 に接. 卵 培 養 に 於 け る所 見 は前 回 の 実 験 と同様 に肝,. 種す る こ とに よ り,病 理 学 的 所見 に よつ て 感. 脾 臓 及 び 胆汁 等 を用 いた 場 合 初 代 よ りは鶏 胎. 染 の惹 起す る事実 を報 告 した.著 者 は 前 回 の. 児 の死 亡 は認 め られ なか つ た が,殊 に肝 臓 乳. 実 験以来 患 者 材 料 を直 接 マ ウスに 接 種 して分. 剤 を用 いた 場合 に既 に第2代 に於 て 胎 児 の死. 離 を試 み数 回 の失 敗 を 繰 返 したが,こ の時 の. 亡 が 始 り,累 代 の継 続 と ともに 胎 児 の死 亡 は. 失敗 は患 者 材 料 の不 適 に 起 因す る もの との疑. 確 実 とな り,死 亡 日数 は ほ ぼ10〜13日 で あつ. 第7表. 青 森 株 孵 孵 化 卵6日. 化 鶏. 卵 分 離. 卵C. A. F. 0.3ml.. と も各臓 器 を夫 々 マ ウス に接. 累 代 表.
(8) 1458. 真. 鍋. 正. 富. た.こ の時 の孵 化 卵 に 認 め られ る鶏 胎 児 の 変. が認 め られ た.又 佐 藤 株 に 於 て もそ の傾 向 が. 化 は 前述 の石 原,小 川 株 と同様 に諸 種 の病 変. あ り肝 臓 及 び 胆汁 に於 て死 亡例 が見 られ, 3. を 示 す が,胎 児 外 面 に於 け る小 出血 斑 点 の発. 例 とも脾 臓 よ りの分 離 は成 功 しなか つ た.特. 現 及 び 胎 児肝 臓 に 於 け る腫 大 及 び 出血等 が 認. に 肝 臓 よ りの病 毒 分 離 は確 実 な結 果 が得 られ. め られ た.他 の患 者 材 料例 え ば胆 汁 又 は 脾 臓. た(第7,. 等 は 胎 児 の死 亡 例 が7代. まで の累 代 に 於 て は. 8表).. 次 に マ ウ スに 同 一 の 患者 材 料 を 同 条件 の も. 少 い.爾 後 累代 を 重 ね るに従 い肝 臓 乳 剤 接種. とに接 種 した 成 績 で は 累代 初 期 に於 ては確 実. 卵 に特 に死 亡例 が 多 く又 病 変 も強 い 場 合 が 多. な所 見 は ない が,次 第 に累 代 を 重ね るに従 い,. い.之 を患 者 別 に 見 るに青 森 株 に於 て は肝 臓. 軽 度 の病 理 変 化 を 認 め たが,累 代 を継 続す る. の み に病 変 が認 め られ,野 田株 に 於 け る場 合. につ れ6〜12累. は肝 臓 次 で胆 汁 接 種群 に於 て も可成 の死 亡 例. を認 め 得 られ,而. 第8表. 註.. i)○ 〜 ●. 代 に於 て漸 く特 異 な病 理所見 も累 代 毎 に観 察 す る病 理標. 孵 化 鶏 卵 に よ る 分 離 累 代. 孵 化 卵 の 生死 を 示 し,附 した 数 字 は死 亡 日数..
(9) 岡 山県 下 に 発 生 した 流 行性 肝 炎 特 に 病原 体 に関 す る研 究 本 に於 て常 に同 様 な病 理 変 化 を見 る に至 つ た.. (第9,. 青 森株 に於 ては 累 代7代 に 於 て確 実 な病 理所. 代 を 継 続 してお り,孵 化 鶏 卵 で は 累代37代 マ. 見 が得 られ,野 田株 で は6代,佐. 藤株 に 於 て は. ウ スで は45代 に 及 ん でい るが,孵 化 鶏 卵 に 於. 12代 を 要 した が,こ れ 等 の 所見 は各 病 毒株 間. ては 漸 次 鶏 胎児 死 亡 例 が 減 少 し死 亡 日数 が 遅. に於 け る病 原 性 及 び累 代 マ ウス個 体 に 於 け る. 延 す る傾 向 が あ る.. 感受 性 の差 に よる もの と推 測 され るの で あ る.. 10表).之. 1459. 等 の分 離病 毒株 はそ の後 累. 次 に マ ウスに 於 て は 累代45代 に 及 ぶ 間 に,. もと よ り斯 る病 毒を 接種 した マ ウ スの肝 臓. 病 毒 が 失わ れ た の で は な いか と思 わ れ た 例 も. に於 け る所 見 に は種 々の差 があ り,感 染 の様. あ つ た が,大 体 に 於 て病 理 所 見 の差 は あ つ て. 相 に も程 度 の 差 は あ るが病 毒間 の病原 性 の差. も累 代 が可 能 で あ つ た.そ の病 理 所 見 は 而 し. とは考 え られ ぬ もので,そ の感 染 像 は明 か に. 乍 ら孵 化 鶏 卵 馴 化 の病 毒 と比較 し て感染 は や. 同様 の性 格 を 具備 して い る事 実 は 指 摘 され る. や 軽度 な傾 向 が あ り,爾 後 の 累 代 に よる病 毒. 第9表. 註.. i)○ ii)累. 〜●. マ ウ ス に よ る 分 離 累 代. 生 死 の 別 を 示 し附 し た 数 字 は 死 亡 日数.. 代 間 の 間 隔 は 附 し た 数 字 で 示 す.. iii)(〓)〜(‑)病. 理 所 見 の 程 度 を 示 す..
(10) 1460. 真. 第10表. 鍋. 富. マ ウ ス に よ る 分 離 累 代 表. の 保存 の 困難 性 が 予 想 せ られ た. 4)慢. 正. 性 肝 炎 患 者 肝 穿 刺 よ りの病 毒 分 離 実. 病 理 所 見 を検 した. 病 理 標 本 に於 け る所 見 は 多種 多様 で あ るが, 著 者 の 成功 した 高 取 某 に 於 け る所 見 で は,肝. 験 県 下 に於 け る流 行性 肝 炎 は漸 次 急 性 に 死 亡. 細 胞 は 細胞 質 が幾 分 疎 鬆 化 して お り,細 胞核. す る例 は 少 くな り,慢 性 肝 炎 と して取 扱 わ れ. は 染 色 性 の 不 良 化 した もの,若. くは消 失に頻. る患 者 が 大 部分 を 占め て い る現 況 で あ る.. した もの も認 め られ た.細 胞 浸 潤 は殊 にグ リ. 著 者 は慢 性 肝 炎 の診 断 の一 方 法 として現 今. ソ ン氏 鞘 に認 め られ,細 胞 は 組織 球 性細胞 内. 行 わ れ てい る肝 穿刺 に よ りて得 られ た 穿 刺 片. に 単 球(多 形核 を混 在 す る)を 含 んで い るの. よ りの病 毒 分 離 を行 つた.肝 穿 刺 片 は 臨 床 所. が 見 られ た.こ の高 取 某 は典 型 的 な慢性 肝炎. 見 に よ り確 実 に 慢性 肝 炎 と診 定 せ られ た 患 者. とし て僚 友 横 山 の取 扱 つ た患 者 例 で あ る.こ. よ り肝 穿 刺 器 を 応 用 して穿 刺 片 を切 除 した 一. の分 離 例 に 就 て 見 るに孵 化 鶏 卵 に よる分離で. 部 分 を譲 り受 け,他 の 一 部分 は組 織 片 とし て. は,確 実 な 鶏 胎 児 の 死 亡 が認 め られ た のは累.
(11) 岡 山 県 下 に発 生 した 流 行性 肝 炎 特 に 病 原 体 に関 す る研 究. 1461. 代5代 で あ り,そ の後 の累 代 は 比較 的 死 亡 率. 化 が 認 め られ,病 毒 の定 着 を 示 す もの と して. は安定 した儘 で経 過 した が,漸 次 累 代 を 重ね. 注 目 され た が,累 代10〜12代 を経 て確 実 に 病. るに従 い鶏 胎 児死 亡 は 減 少 す る傾 向 を 示 し,. 理 所 見 が認 め られ るに 至 つ た.前 の青 森 株 と. 前述 の分離 病 毒 と大 差 の な い病 原 性 を発 現 し. 比 較 して 累代 数 に 於 て差 異 は な い結 果 であ る. てい る様 であ る.. が,病 理所 見 に 於 て 軽 度 の 場 合 が 少 くな い. マ ウス に於 て は累 代5代 に於 て漸 く病 理 変 第11表. 肝 穿 刺 片. (第11表). よ. り の 病. 毒 分. 離 累. 高 取 某 の肝 片を 無 菌的 に 取 出 し,滅 菌食 塩 水 を 添加, Homogeniserで. 代 砕細均等なる. 乳 剤 と して接 種 に 用 う.. なお同 時 に行 つ た 広 直,大 亀 某 の2例 に就. 分 離 方 法 を 異 に して得 られ た 分 離 病 毒 を 用. て も同様 孵化 鶏 卵 に よ る分 離 実 験 を行 つた が,. い,既 に村 上等1)に よ り予 報 され た 実 験 方 法. 累以5代 で漸 く鶏 胎 児 の死 亡 が 認 め られ始 め. に 倣 つ て特 に 重要 な性 状 と考 え られ る もの の. たが,雑 菌 の混 入 に よ り累代 は遺 憾 な が ら中. み に 就 て行 つ た.先 の分 離 実 験 に 際 し病 理 学. 止 のや む な きに 至 り,爾 後 の実 験 は高 取株 に. 的 所 見 に 就 て は ほ ぼ 同一 の性 状 を 具備 す る も の と推 測 され た が,更 に 次 の諸 性 状 に 就 て も. よ り行 つ た. 5)分. 離 病 毒 の一 般 性 状. 比 較 を 試 み そ の 生物 学的 性 状 を検 討 した ..
(12) 1462. 真. i)耐. 熱 性 試 験:実. 倣 つ て 行 つ た1) 11).対. 鍋. 験 方 法 は従 来 の実 験 に 照 と し て 用 い た 金 光,. 正. 富. 以 上 の諸性 状 を 分離 病 毒毎 に 比 較 す るに, 孵 化 鶏 卵 及び マ ウス に対 す る定 着 性 に就 ては. 森 本株 と比較 して 著 者 の分 離 病 毒 もま た 熱 に. 多 少 の差 異 が 認 め られ る.青 森 株等 に見 られ. 対 し て よ く抵 抗 す る 事 実 が 認 め ら れ,耐. え得. る孵 化 鶏 卵 に 対 して強 い感 受 性 を 示す 事実 は. 述 べ た 時 末11)の 結. 同僚 稲 垣16)の述 べ た所 謂 急 死 毒 の 存在 も推定. る 限 界 は75℃. 30minと. され た.. 果 と ほ ぼ 一 致 した 結 果 で あ つ た. ii)消. 毒 薬 に 対 す る 抵 抗:不. 知 る た め に 行 つ た 実 験 で は,. 活化の限界を Marzonin(0.01. そ の他 の生 物 学 的性 状 は 殆 ん ど村上等 に よ つ て 記 載 され た性 状 と大 差 は な い.就 中耐 熱. 加の場合. 性 若 くは 異常 に 消 毒薬 に抵 抗 性 を もつ 諸性 状. 3週 間 以 上 の 保 存 に よ りな お か つ 病 理 変 化 が. は,類 似 病 毒 とよ く区別 され る特性 と認 め ら. 軽 度 な が ら 残 つ た.之. れ た(第12表).. %),. Formalin,. Carbol(0.2%)添. の性 状 は分 離 病 毒 株 に. よ り著 明 な 差 異 は 見 ら れ な か つ た. iii)濾. 過 実 験:既. にSeitz. す る 事 実 を 報 告 され て い る が,著. E. K.を. 総 括 及び 考 按. 通 過. 者 の実 験 で. 先 に村 上等(1955)に. よ り流 行 性肝 炎患 者. も病 毒 の 各 株 と も一 様 に 通 過 す る 事 実 を 確 め. 材 料 よ り肝 炎 病 毒 に擬 すべ き一 種 の病 毒を分. た.濾. 過 試 験 で も病 理 所 見 に よ り判 定 し た た. 離 した 報 告 が あ るが,著 者 は そ の方 法 を踏襲. め,濾. 液 の 病 理 変 化 は 乏 し い が,累. して 孵 化 鶏卵 に よ り同 種 の病 毒 を分 離 し得 た.. 代 と共 に. 病 変 は 次 第 に 恢 復 し て 行 くの が 認 め ら れ た.. iv)グ リセ リン抵抗:病. 毒 の保 存 に50%グ. 而 も孵 化 鶏卵 に累 代 培 養 す る こ とに よ り所謂 孵 化 鶏 卵馴 化 病 毒 を用 い る場 合 は,今 迄 分離. リセ リン食 塩 水 を使 用 した が,数 ケ 月の 保 存. 以 来 マ ウ スに感 染 が 成 立 す る こ とも困難 で あ. に よ く耐 え るの が見 られ た.保 存 後 マ ウ スに. つた 病 毒 が 容易 に マ ウ スに 感染 が成 立 す る と. 接 種 した 初 代 で は 比較 的 病 変 に 乏 しい憾 が あ. と もに 累 代 も可 能 とな つ た.そ の後 肝 炎患者. る が,累 代 と共 に恢 復 す る様 で あ る.. 材 料 を直 接 マ ウス に接 種 す る時,数 代 の累代. v)エ. ー テ ル 耐性:エ. ー テ ル に よ り侵 され. る こ と な く よ く耐 過 す る.. 第12表. 各分 離 病 毒の 一 般性 状 比較. を繰 返 す な らば マ ウス に於 け る感染 もまた可 能 とな る事 実 を見 出 した.更 に肝 穿 刺 片 よ り の病 毒分 離 も1例 に於 て成 功 した. 従 来 流 行 性 肝 炎 の病 毒分 離 は 数 多 の先人 に よ り各 種 の 動 物 接 種 に よ り試 み ら れ た に も拘 わ らず,未. だ 確 実 に 陽 性 結 果 を 得 られ た との. 記 載 は な い.最. 近 に 至 りHenle. 及 びWildfuhr(1953)の. et al.(1950). 分 離 例 は 注 目す べ. き業 蹟 で あ る が 末 だ 追 試 承 認 され る に 至 つ て い な い. 著 者 の 分 離 病 毒 が 肝 炎 の 病 毒 で あ るか の 決 定 的 な 断 定 は 困 難 で あ る が,兎 ら れ た 病 毒 の 一 般 性 状 が,爾 れ た,. Havens(1947)12),. Maccallun(1955)15)の. に 角 分 離 し得 来 までに記 載 さ. Wildfuhr(1953)8), 病 毒 と よ く一 致 し た. 性 状 を もつ 点 に 極 め て注 目す べ き ものであ る と推 測 さ れ る の で あ る. 註.. i)(〓)〜(‑)病 程 度 を 示 す.. 理 所 見 に よ る綜 合 判 定 の. 肝 穿 刺 片 よ りの病 毒分 離 は極 め て少 数例で あ り,而 も確 実 に そ の性 状 を確 め得 られ たの.
(13) 岡 山 県下 に発 生 した流 行 性 肝 炎特 に病 原 体 に 関 す る研 究 は僅 か に1例 に過 ぎな い が,近 年 頓 に増 加 の 一途 を辿 りつ つ あ る慢性 肝 炎 の診 断 に 当 り,. 1463. る こ とに よ り感染 及 び 累代 の可 能性 を 実証 し 得 た. 2)肝. 肝穿 刺 片 よ りの 病理 学 的 診断 と共 に,孵 化 鶏. 炎 患 者 材 料 を 直接 マ ウ ス に接 種 す る. 卵 に よ る病 毒 分離 もまた試 み るべ き一 法 で あ. 場 合 は殆 ん ど失 敗 す るが,供 試 材 料 が 適 当 で. り,興 味 深 き補助 診 断 と もな り得 る もの と推. あ り接 種 が 適 切 で あ れ ば,孵 化 鶏 卵 の累 代 を. 測 され た.. 行 わ な い場 合 で も分離 が成 功 す る も ので あ る こ とを 証 明 した.マ. 結. 論. ウス に よ る分 離 病 毒 の性. 状 も先 に分 離 した 孵 化 鶏卵 に よる分 離 病 毒 と. 岡山 県下 に発 生せ る流 行性 肝 炎 患 者材 料 よ り孵化 鶏 卵培 養 に よつ て一種 の病 毒を 分離 し. も概 ね そ の性 状 は 相 通 ず る性 格 を保 有 してい た. 3)肝. た村 上等 の方 法 に 倣 い,同 様 な病 毒の 分離 に. 穿 刺片 を孵 化 鶏 卵 及 び マ ウスに 接 種. 成功 す るに 至つ た の で,種 々な他 の病 毒分 離. す る こ とに よ り病 毒を 分 離 す る方 法 を試 み た. を行 つ た結 果 次 の所 見 を 得 た.. 結 果 ただ1例 に於 て分 離 に 成 功 した に過 ぎ な. 1)村. 上等 の孵 化 鶏卵 に よ る病 毒分 離 法 に. 倣 い一種 の病 毒 を分 離 し得 た.そ の病 毒の性. か つ たが,将 来慢 性 肝 炎 の診 断 に 資 す べ き.有 意 な方 法 と推 測 され た.. 状 は村 上等 の分離 病 毒 との性 状 と概ね 一 致 し. 稿 を終 るに 当 り,終 始 御 懇 篤 な る御 指 導 と御 鞭 韃. て お り,該 分 離方 法 が 用 い られ る事実 を証 認. を戴 き,か つ御 校 閲 の労 を賜 つ た 恩師 村 上 栄教 授 に. した.な お孵 化鶏 卵 に累 代 を 重ね る こ とに よ. 心 か ら謝 意 を表 す る.. り所 謂馴 化 病 毒 を得,そ れ を マ ウ スに接 種 す. 主 1) 村 上 等:第2回. 要. 日本 ウ イルス 学 会総 会 肝 炎 シ ン. ポ ジ ア ム. 1955. 2) 村 上 等:第3回. 日 本 ウ イ ル ス 学 会 講 演 要 旨,. 村 上 等:第4回. 日 本 ウ イ ル ス 学 会 講 演 要 旨,. 1956. 4). 村 上 等:岡. 5). 村 上 等:中,四. 山 医 学 会 総 会 抄 録,. J. Exp.. 7) Henle. Proc.. 73, 603, 8) Wildfuhr:. 573, 1953.. Biol & Med.. 11). 時 末:岡. 山 医 学 会 雑 誌 掲 載 予 定.. 12) Havens:. J. A. M. A.. 13) Rivers:. Viral P. 267,. 14) Van Rooyen:. Med.. 1947. infection. of. 1951. Virus Disieses. Virus. 195. f. d. Gee inner.. 134, 653,. and Rickettsial. of man,. P. 1164.. 1948. 15) Maccallum:. 1950. Zeitschr.. 20, 1665, 1941.. 発 表.. Med. 92, 271, 1950.. Soc. Exp.. Wochr,. 俵 等:未. man, 1955.. Klin.. 10). 1955.. 国 細 菌 学 会 講 演 要 旨,. 6) Henle et al.: et al.:. 献. 9) Siede, Meding:. 1955 . 3). 文. 16). 稲 垣:未. 発 表.. and Rickettsial. Disieses,.
(14) 1464. 真. Studies. on. the. Isolation. 正. Pathogenic in. I:. 鍋. of the. Agent. Okayama virus. 富. of Infectious. Hepatitis. Prefecture. by. tte. chick-embryo. and. mouse. By Masatomi Department. of Microbiology, (Director:. Manabe. Okayama. Professor. Dr.. University Sakae. Medical. School. Murakami). Employing the chick-embryo method by Murakami et al., the auhtor succeeded to isolate the similar pathogenic agents by the chick-embryo and mouse from the patients of infectious hepatitis in Okayama prefecture. The results were as follows:. 1) The natures of the pathogenic agents isolated by the author were nearly the same as those of the one reported by Murakami et al., and this fact proved that the method by Murakami et al. was of practical use for the isolation of the hepatitis virus. 2) The virus habituated by the successive cultivation in embryonated hens, eggs could cause the infection in the mouse. 3) The direct inoculation of the materials of the hepatitis patients into the mouse often failed in the isolation of the virus. It was proved, however, that the isolation was successful even withoul the successive cultivation in embryonated eggs if the used materials and the inoculation method were proper. The natures of the virus isolated by the mouse seemed to be the same as those of the one isolated by the chick-embryo. 4) The isolation of the virus by the direct inoculation of the liverpunctur material into mice or embryonated eggs succeeded only in one case. Theis method was considered, however, to be a useful method for the clinical diagnosis of chronic hepatitis in future..
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