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中国の消費市場におけるグローバル・ブランドと原 産国イメージの関係

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全文

(1)

中国の消費市場におけるグローバル・ブランドと原 産国イメージの関係

著者 李 玲

学位名 博士(商学)

学位授与機関 関西学院大学

学位授与番号 34504甲第472号

URL http://hdl.handle.net/10236/12634

(2)

博 士 学 位 論 文

学位    博士 (商

)

中国 の消費 市場 にお け るグ ローバル・

ブ ラン ドと原産 国イ メー ジの関係

2012年 度

関西学院大学大学院商学研究科

論文提 出者 李

論 文 題 目

審査委員会

主 査

副 査

藤        史

(関西学院大学商学部教授)

和   田    充   夫

(関西学院大学商学部教授)

川   端   

(関

西学院大学商学部教授

)

副 査

(3)

目 次

序 章 ・ ・ ・ ・ 口・ ロ ロ ロ ロ ロ・ ・ ロ ロ・ 口・ ロ ロ・ ・ ロ ロ・ ロ ロ・ 1

第 1節 問 題 の 所 在

 /1

2節

本 研 究 の 目的 /2 第

3節

論 文 の構 成 /5

1章

ブラン ドの 定 義 や 役 割 お よび 研 究 プ ロセ ス ロ・ ・ ロ ロ ロ ロ・ ・ 口・ 6 第 1節 ブランドの 定 義 および基 本 的 な役 割 /6

2節

製 品 ブランドを中 心 とするブランド研 究 のプロセス /6 第

3節

企 業 の構 成 概 念 および

CBの

研 究 /10

1.企

業構 成概 念 に関する歴 史 的研 究 /10

2.CB研

究 の流れ およびその発 展 /12

2章

グ ロー バ ル・ブラン ドに 関 す る研 究 レビュー ロ・ 口・ ・ ・ 口・ 0口 ・14 第 1節 グ ロー バ ル・ブランドの 定 義 および優 位 性 /14

2節

国 際 マー ケティング研 究 におけるブランド研 究 /15 第

3節

グ ロー バ ル・ブランディングに関 する研 究 /18

1.国

際ブランディングにおけるブランド研 究の概 観

/19

2.ブ

ランドの意 味 付 けに関する研 究 /19

3章

原 産 国 イメー ジ に 関 す る先 行 研 究 ロ ロ・ ・ ・ 口・ ・ ・ 口・ ・ ・ ・22 第 1節 原 産 国 イメー ジの 定 義 /22

2節 C00/COMイ

メー ジに関する先 行 研 究 レビュー /23

1。 初期 の

COOイ

メージ研 究 /23

2.製

品の属 性 評 価 における

C00イ

メージの研 究 /24

3.消

費者 エスノセントリズムの研究 /25

4.COMの

変 化 による影 響 /26

5.COM/COOイ

メージとブランドの関係 に関する研 究 /27

6.COOイ

メージと購 買意 向の関係 に関する研 究 /29

4章

国 際 化 プ ロセ ス に お け るプラン ドと

C00イ

メー ジ の 関 係 ロ ロ ロ・ ・ 31 第 1節 グ ロー バ ル・マー ケティングヘ の進 化 /31

2節

国 際 化 プロセスにおける

CBと PBの

関 係 /32

1.ブ

ランド間 の 関係 に関する考察 /32

(4)

2.国

際化プロセスにおけるCBと

PBの

関係 /33

3節

グローバル・ブランドと

C00イ

メージの関係 /35

5章

中 国 市 場 にお けるブランド消 費 の 現 状 と研 究 課 題 口・ ・ ・ ロ ロ37 第 1節 中国市 場 におけるブランド消 費 の現 状 と消 費者像 /37

2節

中国市 場 での

CBと PB/38

3節

研 究 課 題 の考 察 /38

6章

仮 説 構 築 と測 定 指 標 の 概 要 ・ ・ ロ ロ・ ・ ロ ロ ロ・ ・ ロ ロ・ 口41 第 1節 仮 説構 築 /41

2節

測 定指標 の概 要

/44

7章

仮 説 検 証 ・ ロ ロ・ ・ ・ ・ ・ 口・ ・ ・ ロ ロ・ 口・ ・ ・ ・ ・ 口・47 第 1節 調 査概 要 /47

2節

実証 分析 /50

1.ブ

ランド知識 と3つの情報の手掛りの関係 に関する分析 /51

2.情

報の手掛かりと購 買意 向との関係に関する分析 /64

3.人

口統計データを組み入れた分析 /70

終 章 結 論 と考 察 ・ ロ ロ ロ ロ・ ・ ・ ・ 口・ ・ 口・ ・ ロ ロ・ 口・ ・ 口・ 78

84

付 録(因子分析結果と信頼性係数クロンバックα

)・

 

 

 

ロ ロ

 

 

・ ロ

 

 

 

ロ95

(5)

序 章

第 1節 問 題 意 識

消 費者 は 日常 の購 買行 動 にお いて 、様 々 な購 買 リス ク に直 面 す る(Keller,2008)。

不確 実 性 の世界 で は 、情 報 を いか にキ ャ ッチす るかが第

1級

の重 要性 を持 つ(酒井 、

2001)。 特 に情 報 の流 れ が 売 り手 と買 い手 との 間で完 全 でな く、当該個 人 の資 質や 商 品 の性 能 が相 手 に正確 につ かみ 切れ な いた め 、 一種独特 の 「シグナル」 (signal)や ラベ ル がそ れ を近似 的 に(また は、非 近似 的 に)教 え る とい う ことにな る(酒井 、2001)。

情 報 理 論 の 視 点 で は 、 製 品 は 情 報 の 手 掛 か り の 配 列 だ と 考 え ら れ る lNes&Bilkey,1993)。 消 費者 行 動 の研 究 で は、個 々人 は情報 の手掛 りに基 づ き製 品 を評 価 し購 買意 思 決 定 を行 う と指 摘 され て い る(Bilkey&Nes,1982;Han&Terpstra,1988;

Samiee,1994)。 こ ういった 手掛 か りは内在 的(味覚 、デザ イ ン、性 能 な ど)ま た は外 在 的 (価格 、ブ ラ ン ド名 、保 証 な ど)で あ る (Nes&Bilkey,1993)。 内在 的手 掛 か りが欠 如す る、 あ る いは複 雑 で あ る場合 、消費者 は しば しば代 替 的な指標 と して無形 な外在 的手 掛 か りを使 用 す る (Huber&McCanni 1982;Tse&Gorn,1993;Zhang,1997)。

企 業 は事業 活 動 を グ ローバル に進 め る に従 って 、世界 を視 野 に入れ た販 売活動 に注 力す る。 つ ま り、 こ う した企 業 は従 来 の 自国消 費者 を超 えて 、 国際 的消 費者 まで惹 き つ け る努 力 を払わ な けれ ばな らな い。 と ころが 、企 業 の グ ローバル活 動 の拡 大 と国際 的消 費者 へ の理解 には大 きな ギ ャ シプが 生 じて い る。 先進 国 の市 場 が既 に飽和 化 して きて い る。 一方 、新 興 国市 場 で は購 買 力 を増や して いる消費者群 が急 増 して いる。多 国籍 企 業 は新 た な 市 場 を開拓す るた め に、新 興 国市 場へ の進 出 を加 速化 させ て いる。

一 方 、従 来 先 行 す べ き標 的市 場 の消 費者 の行 動 に関す る分 析 は まだ 発 展 途 上にあ る (Barron&Hillingshead,2004)。

国境 とい う隔た りが存在 して いるた め、購 買意 思 決定 に必 要 な情報 の手掛 か りを獲 得 す る には、 国 内消 費者 に比較 して 、 国際 的消 費者 にはかな りの労 力 を払わね ばな ら な い。 なぜ な らば、 国境 を越 え る と、情報 の入 手 困難性 が増す と同時 に、情 報 の確実 性 や 信 頼 性 が 欠 如 しが ち にな るか らだ。

となれ ば、 国 際 的消費者 は外 国 の製 品 を購 買す る際、製 品 の品質や 信 頼性 を確 実 に 証 明 し得 る情 報 の手 掛 か りを探索 す るよ うにな る。 国際 マー ケテ ィ ング また は消費者 行 動 にお いて 、原産 国イ メー ジは 1つ の情 報 の手掛 か りと して貴 重 で あ る。 消 費者 が 特 定 製 品 に関す る情 報 を持 た な い場合 、国家 の経済 発 展水 準 に基 づ いて製 造 品 の評価 や 品質判 断 を行 う (Bilkey&Nes,1982;Wang&Lamb,1983)。 原産 国イ メー ジ は国 によ って 異 な るか ら、製 造 品 の品質評価 に違 った効 果 を及 ぼす 。例 え ば、米 国や 日本 の消費者 は外 国製 品 よ りも 自国 の製 品 に強 い選好 性 を持 つ (Nes&Bilkey,1993;Nagashima,1977)。

(6)

米 国 消費者 は発 展 途 上 国 の製 品 に偏見 を持 って いた (Schooler,1971)。 同 じ先 進 国 の 中 で も、製 品評価 に与 え る影 響 も国 によ って ヒエ ラル キー が見 られ る(Reierson,1966)。

逆 に、イ ン ドといった発展途 上 国 の消 費者 は、米 国 の製 品 に選好 性 を示 しなが ら高 い ロイ ヤル テ ィを払 って いる (Bhardwai et al.,2010;Lin&Sternquist,1994)。 した が っ て 、 国家 によ って 、そ れ 以外 の国 の原産 国イ メー ジヘ の評価 、お よびそ の原産 国イ メ ー ジを用 いた製 品品質評価 に及 ぼす影 響 もかな り異な り、特 に先進 国対 発展途 上 国の 場 合 、そ の差 は さ らに広 が りを見せ る。

国際 的 消費者 に とって有効 性 の高 い情報 の手 掛 か りと して 、 ブ ラ ン ドは も う一つ の 選 択 肢 にな り得 る。 ブ ラ ン ドの基本 的な機 能 には、製 品 の識別 、 品質保 証 お よび意 味 付 け 0象徴 が挙 げ られ る。 ブ ラ ン ドの伝 統 的な ポ ジ シ ョンには、 消 費者 の情 報処 理 、 判 断や 選択 を導 くた め の基 礎 的な手掛 か りが 関係 す る (Pecotich&Ward,2007)。 と ころ が 、2000年代 まで ブ ラ ン ドの研 究 は国 内 に と どま って お り、国 際 ブ ラ ンデ ィ ング にお け る ブ ラ ン ドは あ くまで も単 な るマー ケテ ィ ング諸 政策 な い し製 品政策 の一部分 と し て しか扱 わ れ て いな い(大石 、2004)。

ブ ラ ン ドも原産 国イ メー ジ と同様 に、 同 じグ ローバル 0ブラ ン ドで あ って も、 国境 を越 え る と、 消 費者 によ るブ ラ ン ドの選 択 行 動 にお ける購 買意欲 を喚起 す る要 因 も異 な る。そ の違 い を生 じさせ る源 泉 とは、 消 費者 自身が理解 して い る、 あ るいは付 与 し よ う とす る ブ ラ ン ドの意 味付 けで あ る。例 え ば、米 国の消費者 は 自己 ア イデ ンテ ィテ ィ と伝 統 とい った ブ ラ ン ドの意 味付 け を重 要視 す る(Strizhakova et al.,2008)。 と こ ろが 、発展 途 上国 の消費者 は、米 国 の ブ ラ ン ドを社 会 的 プ レス テー ジを獲得 す るため の手段 と して捉 え、 自 らのステー タス を誇 示す る 「記号」 と して理解 して いる(Batra

et ale,2000;奈、2006)。

異 な る 国や 異 な る消 費 者 は 、 た とえ 世 界 標 準 化 され て い る ま った く同 じグ ロー バ ル・ ブ ラ ン ドに対 して も違 う動機 で購 買 して い る と解 釈 で きる。 なぜ な らば、 国家 、 民族 、 文化 、経済 発 展水準 な どに違 いが あ るか らこそ 、消 費者 が 製 品や ブ ラン ドに付 与す る「意 味付 け」「価 値付 け」も異な る。つ ま り、グ ローバル戦略 を成功 させ るには、

各 市 場(地域)が 有 す る ロー カル な市 場 の脈絡 の理解 と利 用 が欠 かせ な い(り│1端2009)。

消 費者 の購 買動機 を無視 した製 品提 供 には失敗 に終 わ る危 険性 が 高 く潜 んで い る。

2節

本 研 究 の 目的

国 際 市 場 にお いて 、多 くの多 国籍 企 業 は顧 客 の奪 い合 い に巻 き込 まれ や す い。「巨 大 性」 とい う標 語 を掲 げて いる中国 は多 くの企 業 に とって、非 常 に魅 力的な市 場だ と 捉 え られ て い る。 だ が 、実 際 の と ころ、熾 烈 な競 争 に耐 え られ な くな り撤退 に向か ざ る を得 な い ケー ス も少 な が らず発 生 して い る。

‑2‑

(7)

川 端 (2012)は 、 ロー カ リテ ィ問題 へ の捉 え方 によ って市 場参入 の成否 が分 かれ る と 説 くl。 川 端 によ る ロー カ リテ ィ とは 「場所 性」(土地 柄

)の

こ とで あ り、個 別 的で土 着 的 な ニ ュ ア ンス を持 つ個 人や 集 団 によ って 固有 の意 味 を付 与 され た 空 間(地域)で あ る。市場 の ロー カ リテ ィ を規 定 す る もの には、制度や慣行 といった 目に見 え る もの と、

日に見 えな いそ の土 地 が特 に有 す る埋 め込 まれ た 暗 黙知 が挙 げ られ て いる。 各 国家や 地 域 の消費者 は 同 じブ ラ ン ドや 原産 国イ メー ジ に対 して、異な る価 値や 意 味 を読み取 って い るの は ま さにそ の 「場所」 の特 性 を活 か した結 果 で あ る。

原産 国イ メー ジや グ ローバ ル・ ブ ラ ン ドは情 報 の手掛 か りと して 消 費者 の製 品評価 や 購 買意 向 に影 響 を及 ぼす の は 当た り前 の認識 で あ ろ う。と ころが 、米 国や 韓 国で は、

消 費者 のエ ス ノセ ン トリズ ム は原産 国イ メー ジの効 果 を阻害 し、最終 的 に購 買意 向へ の効 果 を和 らげた (Steenkamp et al.,2003)。 一方 、 中国 の消費者 は外 国 ブ ラ ン ドの プ レス テ ー ジ を重 要視 す るた め、 あ るいは グ ローバ ル・ ブ ラ ン ドを一種 の身分 を記す ツ ール と して捉 えた結 果 、エ ス ノセ ン トリズ ム を持 ちなが らも外 国 ブ ラ ン ドに対 して高 い購 買意欲 を示 して い る (Parker et al.,2011)。 世界 の贅 沢 品 の うち、約4分の 1は 中国 人 が購 入 して い る と言 われ る程度 、 巨大 な 消費パ ワー を見 せ て い る。

そ の消費 を リー ドして い るの は 中産 階 層2でぁ る。と ころが 、中国で企 業や 消費者 が ブ ラ ン ドに 対 して 関 心 を 持 つ よ う に な っ た の は

1990年

以 降 で あ り (Parker et al.,2011)、 また市 場 と して魅せ るよ うにな った の は最 近 の ことで あ るが ゆえ に、経済 や 産 業 に関わ る研 究 は多 数行 われ て きた もの の、消費者行 動 に関す る研 究 は ほ とん ど 進 んで いな い(Zhang,1996)。 また 、社 会 学 者 、経済 学者 の 間で の 中産 階層 とい う新 し い社 会 階 層 に関す る定義 を巡 って論 争が あ る水 準 まで盛 ん にな って いる。 しか しなが ら、 マ ー ケテ ィ ングの手法 によ り階 層 消費 の視 点か ら中産 階層 の消費行 動 を分析 した 体 系 的な研 究 は ほ とん ど存在 しな い(茶2006)。

した が つて 、 中国で市 場戦 略 を展 開す るの に重 要な鍵 は、 中産 階層 に合わせ た マー ケテ ィ ング戦 略 で あ る。 中国 の消 費者 特 に消費 の牽 引力 と して増 えつつ あ る中産 階層 の購 買行 動 に関す る分 析 は重 要な戦 略 的意 義 を持 つ。 また 、 国際 ブ ラ ンデ ィ ング分野 にお け る国際 的消費者 を中心 と した研 究 もあ ま り蓄積 され て いな い。加 えて 、原産 国 イ メー ジ に関す る研 究 は圧倒 的な 量 に近 づ いて いる とは いえ、欧米 の消費者 が研 究 の 中心 的対 象 の ま まで あ る (Speece&Nguyen,2005)。

先 進 国 の消 費者 と発展 国 の消 費者 は グ ローバ ル 0ブラ ン ドと原産 国イ メー ジ に関す る 「意 味付 け」 や 「価 値付 け」 は逆 にあ る と言 えよ う。川端 (2012)が 強調 され て いる 1ロー カ リテ ィ問題 に関す る議 論 は 2012年 4月 21日 に行 わ れ た 日本 商 業 学 会 関西 部 会 で配 布 され

た 川 端 基 夫 先 生 の報 告 資 料 に基 づ く。

2中産 階 層 とは 、年 齢 は25歳か ら35歳、 す な わ ち 、1980年後 生 まれ の いわ ゆ る 「80年後 」、年 収 入 は8万50万人 民元 (1万 〜5万 ドル)、 個 人 あ る いは 家 庭 の資 産 は2万10万 ドル で 、中等(中

流)意 識 とブ ラ ン ド消 費意 識 を もち 、また マ イ カ ー とマ イ ホー ム を持 って い る人 々か らな る社 会集 団 で あ る(察2006)。

(8)

よ うに、特 定 の地域 や 空 間が この地域 や 空 間 に生活 して いる個 人や集 団 に特殊 な意 味 を付 与す る。 こうい った意 味 は、地域 が特 有 な暗 黙知 の一形態 と して個 人や集 団 に物 事 へ の解 釈 を行 い説 明す る 「規 範感 覚 」の形 成 を促 す 。また 、例 え ば、中国で は、1979 年 前 生 まれ の人 と

1980年

後 の消 費者 との 間 で行 動 規 範 に大 きな差 が見 られ て い るよ うに、「規 範感 覚」は変化 しな い もので はな く、時代 の変化 と共 に変化 す る と考 え られ る。

した が って 、本研 究 は 中国消 費者 の消 費行 動 に焦 点 を合わせ る。 消費者 が外 国 ブ ラ ン ドや 製 品 を選択 し購 買意 思 決定 を行 う際 、情報 の手掛 か りとな るブ ラ ン ドの グ ロー バ ル 性 、原産 国イ メー ジの有効 性 につ いて検 証 を試 みた い。 ここで、 ブ ラ ン ドの グ ロ ーバ ル性 を取 り上 げた のは、 グ ローバル性 が 品質や 信頼 性 のみな らず 、 自 らの身分や 社 会 地 位 を 誇 示 す る シ グ ナ ル で あ る プ レ ス テ ー ジ も 提 供 し て い る か らで あ る (Steenkamp et al.,2003)。 原 産 国 と して 日本 、 米 国 と欧 州 を取 り上 げ た 。 先 進 国 の 消 費 者 に よ る発 展 途 上 国 の 捉 え 方 と逆 に 、 発 展 途 上 国 の 消 費 者 は 先 進 国 に 良 いイ メー ジ を持 っ て い る。 グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドと 同様 に消 費 者 の製 品 評 価 や 購 買 意 向 に正 の影 響 を及 ぼ し得 る の で 、 原 産 国 イ メー ジ は 中 国 社 会 向 け の情 報 の 手 掛 か りと して 適 切 だ と判 断 で き る。 さ らに、 情 報 の 手 掛 か りと して ブ ラ ン ドの グ ロー バ ル 性 と原 産 国 イ メ ー ジ の 有 効 性 を比 較 す る の も本 研 究 の 目的 で あ るた め 、 比 較 可 能 性 と い う面 か らもそ の 適 切 性 を満 た した と言 え よ う。

先 行 研 究 で は基 本 的 に 、 特 定 の 製 品 や ブ ラ ン ドあ る い は架 空 な 製 品 に よ る原 産 国 イ メ ー ジ の効 果 が検 証 され て い る。 単 一 の 情 報 の 手 掛 か りが 提 供 され る場 合 と多 属 性 モ デ ル と い う状 況 下 で 測 定 され た 情 報 の 手 掛 か りの効 果 は 常 に変 化 す る。 そ の た め 、本 研 究 で は 、 特 定 の 情 報 の 手 掛 か りよ り も、 消 費 者 の マ イ ン ドに あ る ブ ラ ン ドの 知 識 と 情 報 の 手 掛 か りとの 関 係 を検 証 す る こ と に よ っ て そ の効 果 を明確 にす る。 ブ ラ ン ド知 識 は顧 客 ベ ー ス 。ブ ラ ン ド0エク イ テ ィ の 中核 とな り、 実 際 の 購 買 につ な が る重 要 な ノー ドや 痕 跡 の 強 度 を表 す 指 標 で も あ る (Keller,1993)。 消 費 者 の マ イ ン ドに あ る情 報 につ いて は 、 そ の 土 地 や 地 域 の環 境 の 中か ら吸 収 す る部 分 が 多 く 占め て い る はず で あ り、 そ の 地 域 の 人 々 の行 動 を反 映 した もの と捉 え られ る。

ブ ラ ン ド知 識 と情 報 の 手 掛 か りとの 関 係 を検 証 した 上 で 、 有 効 とな る情 報 の 手 掛 か りを用 いて 、消 費 者 購 買 意 向 へ の影 響 を確 か め る。と同 時 に 、「社 会 地位 を誇 示 した い」

と い う文 化 を持 つ 中 国 人 消 費 者 に は実 際 の 消 費 行 動 にそ う い った 傾 向 が あ るか ど うか も検 証 す る。 そ の 際 、 品 質 、 信 頼 性 とプ レス テ ー ジ を一体 化 した ブ ラ ン ドの グ ロー バ ル 性 に よ る媒 介 効 果 を検 証 す る こ と に よ っ て 、 そ の 傾 向 を 明 らか にす る。 さ らに 、購 買 意 向 に負 の影 響 を 及 ぼ す 消 費 者 エ ス ノセ ン トリズ ム に よ る媒 介 効 果 の有 無 も併 せ て 検 証 す る。 中 国企 業 は製 品 ブ ラ ン ドよ り も企 業 ブ ラ ン ド戦 略 を 中心 にマ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 して い る た め 、 中 国 人 の 消 費 者 は企 業 ブ ラ ン ドヘ の 認 知 度 が 高 い と見 られ

(9)

る。しか しなが ら、欧州 の贅 沢 ブ ラ 製 品 ブ ラ ン ドの うち 高級 製 品 ブ ラ よ り正確 な現 れ で あ ろ うとも考 え ブ ラ ン ドと高級 製 品 ブ ラ ン ドを と 果 につ いて検 証す る。

3節

本 研 究 の 構 成

ン ドを 買 い 占 め る現 象 も リアル にな っ て い るた め 、 ン ドヘ の 認 知 度 も低 くな い。 か え って 、 誇 示 心 理 の られ る た め 、 本 研 究 で は 、 日本 、 米 国 と欧 州 の企 業 も に取 り入 れ て 、 そ れ ぞ れ が 消 費 者 行 動 に及 ぼ す 効

本 研 究 は 以 下 の よ う に構 成 され る 。ブ ラ ン ドの 重 要 性 は 生 成 期 か ら強 調 され て い る。

第 1章で は 、 ブ ラ ン ドの 基 本 的 な 機 能 や 研 究 プ ロセ ス につ いて 概 観 す る。 主 に、 製 品 ブ ラ ン ドと企 業 ブ ラ ン ドに分 けて 、 そ れ ぞ れ の 発 展 を歴 史 的 な視 点 か ら捉 え て い く。

第 2章で は 、 グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドに 関 す る研 究 レ ビュー を行 う。 こ こで 、 まず 、 グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドの 定 義 と優 位 性 を整 理 した 上 で 、 本 研 究 で 用 い る グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドの 定 義 を述 べ る。 次 に 、 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ と国 際 ブ ラ ンデ ィ ン グ に分 けて グ ロー バ ル 。ブ ラ ン ドに 関 す る先 行 研 究 を概 観 し、 特 に グ ロー バ ル 0ブラ ン ドの価 値 や 意 味 付 け に 関 連 す る研 究 に主 眼 を置 く。

第 3章にお い て 、 原 産 国 イ メー ジ に 関 す る先 行 研 究 を整 理 す る。 そ の 際 、 原 産 国 イ メー ジ の 定 義 や そ の 分 類 を述 べ な が ら、 初 期 の 原 産 国 イ メー ジ研 究 、 製 品 の属 性 評 価 にお け る原 産 国 イ メ ー ジ の効 果 、 消 費 者 エ ス ノセ ン トリズ ム 効 果 、 製 造 地 の 変 化 に よ る影 響 、 原 産 国 イ メ ー ジ と ブ ラ ン ドの 関 係 、 原 産 国 イ メー ジ と購 買意 向 との 関 係 に分 けて レ ビ ュ ー を行 う。 第 4章で は 、 国 際 化 プ ロセ ス にお け る原 産 国 イ メ ー ジ と グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドとの 関 係 を概 観 しな が ら、 企 業 ブ ラ ン ドと製 品 ブ ラ ン ドとの 役割 や 関 係 も明 らか にす る。

上 記 の研 究 レ ビ ュ ー を受 けて 、 第 5章で は 、 中 国 消 費 者 市 場 や 消 費 者 像 、 中 国 市 場 で の ブ ラ ン ドの研 究 史 を述 べ た 上 で 、 先 行 研 究 にお け る研 究 課 題 を導 き 出す 。 第 6章

で は 、 仮 説 構 築 と仮 説 検 証 に用 い る構 成 概 念 お よ び そ の測 定 指 標 につ いて 記 述 す る。

続 いて 、 第 7章で は 、 中 国 の 北 京 、 上 海 、広 州 で 行 った ア ンケー ト調 査 結 果 に基 づ き仮 説 を検 証 す る。そ の検 証 の 際 、3つの 部 に分 け て 共 分 散 構 造 分 析 モ デ ル を用 い る。

まず 、全 サ ン プル (n=607)によ る 、ブ ラ ン ド知 識 と情 報 の 手 掛 か りとの 関 係 を検 証 した 上 で 、 ブ ラ ン ド知 識 の 量 を低 、 中 、 高 に分 けて 、 各 水 準 の ブ ラ ン ド知 識 と情 報 の 手 掛 か りとの 関 係 を 明確 にす る。 次 に、 各 情 報 の 手 掛 か りとブ ラ ン ド購 買意 向 との 関 係 を 検 証 す る。 そ の 際 、 グ ロー バ ル 性 と消 費 者 エ ス ノセ ン トリズ ム に よ る媒 介 効 果 も同時 に検 証 す る。 最 後 に 、 人 口統 計 デ ー タ を取 り入 れ て 、 性 別 、 地 域 や 世 代 間 にお け る購 買 行 動 に 関 す る差 の検 定 を行 う。 終 章 で は 、 全 体 的 な 内容 を ま とめ な が ら、 実 証研 究 の結 果 に対 す る考 察 を行 う。 最 後 に、 今 後 の研 究 課 題 を示 す 。

(10)

1章

ブラン ドの 定 義 や 役 割 お よび 研 究 プ ロセ ス

1節

ブランドの 定 義 および基 本 的 な役 割

「ブ ラン ド」 (brand)は 、焼印 を押す とい う意 味 の 「burned」 か ら発 生 して きた 言葉 で あ る。長 い間 ブ ラ ン ドは商業 で 役割 を果 た して きた。 ア メ リカ 0マ ー ケテ ィ ング協 会(2007)に よ る と、 ブ ラ ン ドとは 「あ る売 り手 も しくは売 り手集 団 の商 品やサ ー ビス を識別 させ 、競合相 手 の商 品や サ ー ビス と差別 化 す るた め の名前 、用語 、記号 、 シ ン ボル 、デザ イ ン、 あ るいはそ れ らの組 み合 わせ」 と定 義 され る。 この定義 に留意 すべ き点 は、 ブ ラ ン ドが 商 品 の アイ デ ンテ ィテ ィを示 す もので あ り、競 争差別 性 を創 造す る もの と して 形成 され る とい う ことで あ る(和田、1984)。

様 々な研 究 (Aaker,1991;KeHer,2008;青 木 、1997;1999;有吉 、2008;鳥居 、1996;

和 田、1984)の 中か ら、一般 的 に消費者 に とって の ブ ラ ン ドの役割 は、① 購 買意 思 決定 に至 る まで に要す る時 間 と探 索 コス トを削減 で き る 「識別 」機 能 、② 購 買 リス ク3の低 減 また は 回避 が で き る 「品質保 証」機 能 、③ 商 品機 能 以外 の情緒 的な 自己表現 手段 と して の 「意 味付 け 。象徴 」機 能 な どが あ る。また 、企 業 にお け るブ ラン ドの役割 には次 の よ うな便 益 が挙 げ られ る。① ブ ラ ン ドに商標権 を付 与す る ことで、競合他社 と差 異 化 で き る競 争優位 を獲得 で き る。② 顧客 の ロイ ヤル テ ィ を得 る ことによ り、持 続 的な 財 務 成 果 が あ げ られ る。③ 競 合他社 の商 品 に比 較 して プ レミアム価 格 を上乗せ る こと で 、 よ り高 い収益 率 が得 られ る。

つ ま り、消費者 に とって 、購 買意思 決定 に至 る まで に現 れ る様 々な コス トや リス ク を軽 減 し、製 品機 能 以 上 の 目に見 えな い機 能 まで購 入 で き る ことが ブ ラン ドの果 たす 役割 とな る。一方 、企 業 に とって 、ブ ラ ン ドは、消 費者 行 動 に影 響 を与 え、売 買 で き、

将 来 の持 続 的収益 を確 保 で き る非 常 に価 値 の高 い法 的財産 で あ る。

2節

製 品ブランドを中 心 とするブランド研 究 のプロセス

古典 的なブランド研 究

ブ ラ ン ドの重 要性 はマ ー ケテ ィ ング生成期4か ら指 摘 され て いた(Show,1915;近 藤 、 1988;原 田、2010)。

18世

紀 の産 業 革命 を転機 に 自動化 生産 が実現 し、標 準化 製 品 の

消費者が製品を購入し消費する際に知覚するリスクとして、①機能的リスク:期待 した水準の機能 を製品が果たさない、②身体的リスク:製品が使用者などの身体や健康に危害を与える、③金銭 的リスク:支払った価格に製品が値 しない、④社会的リスク:製品が他者に迷惑をかける、⑤心理 的 リスク:製品が使用者の精神に悪影響を与える、⑥時間的リスク:製品選びの失敗による満足の いく他の製品を探す機会コス トが発生する、などが挙げられる(Keller,2008,p.8)。

一 般 的 に、 マ ー ケテ ィ ング とい う概 念 は、1906年か ら1911年の 間 に米 国 で 生 まれ た と言 わ れ て い る(Bartels,1988)が、 近 藤 (1988)は 19世紀 末 か ら1929年まで を生成 期 と呼 ぶ 。

(11)

大 量 生産 は可 能 とな った。そ の結 果 、有標 品 (ブラ ン ド品)化 で き る本 質 的要件 で あ る 品質 の恒 常 性 の維 持 と品質 の絶 え ざ る改 善 を図 りうるよ うにな った(山東 、1969)。 産 業 革命 以 降 、 生産 が 発達 した 一方 、既 存 の流 通 システム は生産 の発 展 を阻害 し、過剰 生産 の現 象 が 生 じ、販 売 にお いて競 争が 一 層激 しくな った。

既 存 の市 場 を もっ と徹 底 的 に開拓 す る ことによ って個 人 の未 形 成 な欲 求 の確 認 、新 製 品 の創 造 、既 存製 品 を改 良 し高価 格 を付 け る ことによ る差別 化 な どを通 じて 、経営 者 また は製 造 業者 は新 たな需 要 を創 造 しよ うと した (Show,1915)。 新 た な需 要創 造 をす る に当た って 、差別 化 で き る製 品 の提 供 は重 要 とな る。そ の際 、 ほ とん どいつ も トレ ー ド・マー クや ブ ラ ン ドや トレー ド・ネー ムが用 い られ た(Show,1915)。

ブランドロイメージ研 究

伝 統 的な 流 通 組 織 の下 で は、 生産 者 と消 費者 との間 に介 在 す る数 多 くの 中間商人が い るた め に5、 生産 者 の地位 は不利 にな って い る (Show,1915;Butler,1919)。 生産 者 は 自 らの地 位 を強 め るた め に、 生 産 物 の 品 質 また はサ ー ビス に関 す る 「特 別 の優 位 性 (special advantage)」 を広告 によ って 消 費者 に直接伝達 し、需 要創 造 を しよ うと した。

消 費者 が 知 覚 した イ メー ジ に基 づ いて行 動 す るた め(Boulding,1956)、 広 告 とイ メー ジ 形 成 と密 接 に関係付 け られ なが ら、 ブ ラ ン ド・イ メー ジの研 究 は進 んだ。

ブ ラ ン ド・イ メー ジ研 究 先駆者 の Gardner&Levy(1955)(青 木 、2000;三浦 、2008)は 、 消 費 者 の ブ ラ ン ド認 識 が 、 当該製 品 の実体 的特 徴 の違 いよ りも、 当該 ブ ラ ン ドに対す る情 緒 的な部 分 の相 違 によ り形成 され る ことを示 した上で、この よ うな ブ ラ ン ド・イ メ ー ジ 形 成 に お け る広 告 の 重 要 性 を 説 い て い る。 そ の後 、 Co H ey(1961)が 提 示 した DAGMAR(Defining Advertising Goal for Measured Advertising Results)モ デル6、 ぁ る い は Lavidge&Steiner(1961)の 「効 果 階 層」 (hierarchy of effects)と の関係 か ら、

ブ ラ ン ド・イ メー ジは広 告効 果 階層 の 中の一つ の段 階 と して捉 え られ た。

また 、Kirmani&Zeithaml(1993)は、ブ ラ ン ド・イ メー ジに大 きな影 響 を与 え る要 因 と して 「品質 知覚 (perceived quality)」 に 中心 を置 き、それ に対 す る広 告 の効 果 を明 ら か に した 。そ して 、KeHer(1993)は、ブ ラ ン ド・イ メー ジ を顧 客 ベ ー ス 0ブラ ン ド 0エ クイ テ ィの 中核 で あ るブ ラ ン ド知識 の重 要 な一構 成 要素 と見 な した。 ここで の ブ ラン

0イ メー ジ は、製 品や サ ー ビス の本 質 と異 な る部分 を担 い、顧客 の心 理 的な い し社 会

最 もオ ー ソ ドックス な い し伝 統 的 な 連 鎖 と して 「製 造 業者一 コ ミ ッシ ョン・ マ ー チ ャ ン トー ジ ョ バ ー ー 卸 売 業 者 ― 小 売 業者 ― 消 費者 」 の 関係 が 形成 され た。 これ らの 中間 商 人 を媒介 と して需給 調 整 は ス ム ー ズ に実 施 され るよ うにな った(近藤 、1988)。

DAGMARは階 層 モ デル の一種 で あ り、あ る銘 柄 や 対 象 が 特 定 の個 人 に受 容 され る まで に通 過 しな け れ ばな らな い一 連 の心 理 的段 階 を示 唆 して い る。そ の段 階 とは、銘柄 を知 る こ と→ 銘柄 理解 →確 信 → 行 為 局 面 で あ る (Colley,1961)。 広 告 計 画 の た め のDAGMARアプ ロー チ の精 髄 は 、所 与 の 時 間 内 に、 一 定 の オ ー デ ィエ ンス の 間 で達 成 され るべ き特定 の コ ミュニ ケー シ ョン課 業(例え ば 、知 名 を生 み 出 し、情 報 を伝 え 、態 度 を発 達 させ 、 あ る いは行 為 を誘 発 させ る ことな ど)と い う広告

目標 を定 義 した そ の簡 潔 な 言 明 の 中 に要約 され て い る (Aaker&Myers,1975)。

(12)

的な ニ ー ズ を満 たそ うと し、 ブ ラ ン ドの無形 要素 と深 く係 わ って いる(Keller,1993)。

ブランド・ロイヤルティ研究

ブ ラ ン ド・ イ メー ジの研 究 と並行 して ブ ラン ド・ ロイヤル テ ィの研 究 も盛 ん にな っ た 。 Copeland(1924)が 提 示 した 「ブ ラ ン ド固執」 はブ ラ ン ド 0ロ イ ヤル テ ィ研 究 の始 ま りとな る (Jacoby&Chestnut,1978)。 1950年代 以 降 、各種 の 日記 式パ ネル 調 査 のデ ー タ分 析 を契機 にブ ラ ン ド・ロイ ヤル テ ィの研 究 は本格化 した(青木 、2000)。 企 業 は一連 の努 力 を通 じて ブ ラ ン ドを確 立 し、更 に、売上 高・シェア0利益 を確 保 す るた め に、 中 間 的 な 目標 とな る ブ ラ ン ド・ロイ ヤ ル テ ィ の形成 あ るいは確 立 が 重 要 とな る。 ブ ラ ン

0ロイ ヤル テ ィが確 立 した暁 には、当該 ブ ラ ン ドは価 格 競 争 に巻 き込 まれ る ことな く、

高付 加価 値 を維 持 し、確 実 な収 益 を確 保 す る ことが で き る(和田、1984)。

ブ ラ ン ド・ロイ ヤ ル テ ィ研 究 で は単 な る反復購 買行 動 に限 らず 、主 に消 費者 の購 買 行 動 に至 る まで の心 理 的活 動 に関す る研 究 、購 買 に至 った場合 お よび購 買後 の行 動 に 関す る研 究 、 さ らには これ らの研 究 に関す る一連 の測 定 指標 や測 定 モデル の 開発 を扱 つた研 究 が 中心 にな った。や が て Aaker(1991)の ブ ラン ド・ エ クイ テ ィ論 の登場 によ り、ブ ラ ン ド・ ロイ ヤル テ ィは ブ ラ ン ド・エ クイ テ ィの核 とな り、そ の無形資産性 が提 示 され 、 マ ー ケテ ィ ング戦 略 の 目標 とな った。

ブランドロエクイティ研究

ブ ラ ン ド・エ クイ テ ィはマー ケテ ィ ング戦 略上新 たな視 点 を提起 し、そ の背景 と して 、 ブ ラ ン ド拡 張 の乱用 によ るイ メー ジの低下 、セ ール ス・プ ロモー シ ョンの効 果 の限界 、

80年

代 に盛 ん に行 わ れ た

M&Aブ

ー ム7にお ける売 買対 象 とな る 「ブ ラ ン ド」 資産 評価 の 問題 の重 要性 が挙 げ られ る(青,1996)。

Aakerに

よ る と、 ブ ラ ン ド・エ クイ テ ィ とは、「ブ ラン ド、そ の名 前や シ ンボル と結 び付 いた ブ ラ ン ドの資産 と負債 の集 合」で あ り、ブ ラン ド・ロイ ヤル テ ィ、名 前 の認知 、 知 覚 品質 、知 覚 品質 に加 えて ブ ラ ン ド連想 、特 許 、

 

トレー ドマ ー ク、チ ャネル 関係 の よ うな 所 有 権 に 関 わ る ブ ラ ン ド資 産 と い っ た 要 素 か らな る(Aaker,1991)。 一 方 、 KeHer(1993)の顧 客 ベ ー ス・ブ ラ ン ド。エ クイ テ ィの核 とな るの は ブ ラ ン ド知識 で あ り、

ブ ラ ン ド知識 は ブ ラ ン ド認知 とブ ラ ン ド0イ メー ジか らな る。 つ ま り、 ブ ラ ン ド・エ ク イ テ イ は ブ ラ ン ド、そ のネー ムや シ ンボル と結 びつ き、ブ ラ ン ド・ロイ ヤル テ ィ、ブ ラ ン ド知覚 、ブ ラ ン ド連想 な どを含 む一連 の資産価 値 を蓄積 し、向上 させ る ことによ り、

7第 1次 M&Aブー ム は 、1893年の 大 不 況 回 復 時 か ら1904年の 景 気 後 退 ま で 、第 2次 1919年か ら 1929年ま で 、第 3次 1960年代 後 半 か ら1970年代 初 頭 の 不 況 ま で で あ る(大石 、1990)。 1980年 代 か らの 第 4次 M&Aブー ム の 特 徴 と して 、財 務 日的 よ り も経 営 資 源 の 獲 得 (技術 、人 材 、ブ ラ ン ド、

チ ャ ネ ル 、 マ ー ケ テ ィ ン グ・ノ ウハ ウ)を 目的 に して い るM&Aが多 い こ と を 指 摘 して い る(大石 、 1990)。

(13)

遥 か に上 回 る利 益 を もた らす ことが可能 とな る。まさ にブ ラ ン ド・エ クイ テ ィはマー ケ テ ィ ングの長期 的な活 動 の成 果 を評価 す るの に非 常 に重 要 な概 念 で あ る。

ブランド・アイデンティティ研 究

Aaker(1996)に よ る と、 ブ ラ ン ド・アイ デ ンテ ィテ ィ とは、「ブ ラ ン ド戦 略策 定 者 が 創 造 した り維 持 した りす る には希 求 す るブ ラ ン ド連想 の一連 のユ ニ ー クな集 合」 で あ り、 これ らの連 想 は ブ ラ ン ドが何 を主張 した いのか 、お よび組織 が顧客 に何 を約束 で き るのか を示 して い る。

ブ ラ ン ド・アイ デ ンテ ィテ ィは、製 品 、組 織 、 人そ して シ ンボル と して の ブ ラ ン ド とい った 4つの視 点 か ら捉 え られ 、コア・アイデ ンテ ィテ ィ と拡張 アイデ ンテ ィテ ィか ら構 成 され て い る。そ して 、製 品属 性 のみ をブ ラ ン ド・アイデ ンテ ィテ ィの基礎 と置 く には重 大 な 限界8がぁ る とい う。 ブ ラ ン ド・アイ デ ンテ ィテ ィ には、 ブ ラ ン ドの機 能 的 属 性 、情 緒 的属 性 か ら組 織 属 性や パ ー ソナ リテ ィー まで 、す なわ ち製 品 レベル か ら企 業 レベル まで 幅広 く包 括 して い るた め、企 業 に とって 明確 的な ブ ラ ン ド・アイ デ ンテ ィ テ ィの創 造 、管 理 は最重 要 な課 題 とな る。ここで 、企 業 ブ ラ ン ド(以下 CBとす る)の重 要 性 が示 唆 され た 。

図表

ブ ラ ン ド概 念 の変遷

図表 1はブ ラ ン ド概 念 の変 遷 を示 して いる。 ブ ラ ン ドはマー ケテ ィ ング戦略上 の重 要 な概 念 と して 、終 始 一貫 して 認識 され て きた といえ る。 マー ケテ ィ ングの生成期 に お いて 、差 別 化 ので き る商 品 は需 要創 造 の基 礎 とな る。 競合他社 の商 品 と区別 し、 自 社 独 自の 品質や サ ー ビス を提 供 す る には、ブ ラ ン ドは重 要 な 役割 を果 た した ので あ る。

そ の後 ブ ラ ン ド0イ メー ジや ブ ラ ン ド・ロイ ヤル テ ィの研 究 は進 んだ。1980年代 まで 、

8 Aakerに よ る と 、製 品 属 性 を ブ ラ ン ド・ア イ デ ンテ ィテ ィ の 基 礎 とす る 限 界 とは 、差 別 化 が で き な い 、 模 倣 され や す い 、合 理 的 な 顧 客 の み を想 定 す る 、 ブ ラ ン ド拡 張 戦 略 を制 限 す る 、戦 略 の 柔 軟 性 を弱 め る な ど で あ る。

時 代 区分 主 た る プ ラ ン ド概 念 ブ ラ ン ド認 識

1950年

(識別 機 能 と して の ブ ラ ン ド)

基 本 的 な ブ ラ ン ドの 機 能 断 片 的 認 識

マ ー ケテ ィ ングの機 能 的 手段 1950〜 1985年

(手段 と して の ブ ラ ン ド)

ロイ ヤル テ ィ イ メー ジ

ヽ ン

ヽ /

断 片 的 認 識

マ ー ケ テ ィ ン グ・ミ ッ ク ス の 手 段 1988〜 1995年

(結果 と して の ブ ラ ン ド)

ブ ラ ン ド・ エ クイ テ ィ 統 合 的 認 識

マ ー ケ テ ィ ングの結 果 1996年

(起点 と して の ブ ラ ン ド)

ブラン ド・アイデンティティ 統 合 的 認 識

マ ー ケテ ィ ングの起 点 出所

)青

(1999)、 p.29、 (2010)、 p.50に基 づ き作 成

(14)

製 品が 市 場 に浸 透 して お らず 、大 量 生産 、大量 供給 が求 め られ る時代 で あ り、 しか も 企 業 に とって 、 もの を作 る ことが大事 で あ った た め、 ブ ラ ン ドは製 品の副次 的な存在 で あ り、 断片 的 に認 識 され て いた。

一方 、

1980年

代後 半 か ら台頭 して きた ブ ラ ン ド・エ クイ テ ィはそれ まで の古典 的 ブ ラ ン ド研 究 、 ブ ラ ン ド・イ メー ジ研 究 、 ブ ラ ン ド・ロイヤル テ イ研 究 に関す る重要 な構 成 要 素 を統 合 した。 分 断 され た 各研 究 にお いて も強調 され て きた ブ ラ ン ドの情 緒 0感 情 に関す る側 面 は ブ ラ ン ド・ エ クイ テ ィの提 唱 によ り正 当化 され た。 ブ ラ ン ドは企 業 に とって重 要 な無形 資産 と認識 され 始 め、マー ケテ ィ ング戦 略 にお いて重 要な競 争優 位 性 と して 強 調 され た 。

ブ ラ ン ド・エ クイ テ ィ価 値 は企 業 の長 年 のマー ケテ ィ ング活 動努 力の 中 に蓄積 され て きた 無形 的な価 値 で あ るが ゆ え、企 業 は持 続 的な競 争優位 性 を獲得す るた め に、マ ー ケテ ィ ング戦 略 の起 点 に立 って戦 略 を立 てな けれ ばな らな い。 こういった実践 的な 課 題 に答 え るた め、 ブ ラ ン ド・アイデ ンテ ィテ ィ概 念 が提 起 され た 。 また 、 ブ ラ ン ド・

アイ デ ンテ ィテ ィ論 を議 論 す る際 、 ブ ラ ン ド戦 略 は製 品 に と どま らず 、企 業全体 に及 んで議 論 を展 開す べ きだ と Aaker(1996)も 主張 した。こういった ブ ラン ド・アイデ ンテ ィテ ィの影 響 を受 けて 、企 業 は ブ ラ ン ド管 理 に際 して 、全社 的な ブ ラ ン ド管 理 の重要 性 を示 唆 した 。次 節 以 降 、CB研究 を レビューす る と しよ う。

3節

企 業 の 構 成 概 念 および

CBの

研 究

第 2節で は、製 品 ブ ラ ン ド(以下 PBとす る)の発 展 プ ロセ ス を概 観 した。Aaker(1996) によ る アイ デ ンテ ィテ ィ論 の提 唱 をき っか け に、CBの研 究 が 台頭 して きた 。本 節 で は、

企 業 の構 成概 念 を歴 史 的な視 点 によ って概 観 しな が ら、CBの概 念 の変 遷 を踏 まえた 上 でCBに関す る研 究 をみ て い く。

1.CB構

成概 念 に関する歴 史 的研 究

図表

企 業 の構 成概 念 に関す る研 究 の流れ

図表 2は各 年 代 にお け る企 業構 成 に関す る重 要 な概 念 お よびそ の視 点 を表 す。企 業 ブ ラ ン デ ィ ン グ の 研 究 は イ メ ー ジ 研 究 か ら ス タ ー ト し た (Balmer,1999;

年 代 1950年 1970年 1980年後 半 1990年

概 念 企 業 イ メー ジ 企 業 パ ー ソナ リテ ィー

企 業 アイ デ ンテ ィテ ィ 組 織 アイ デ ンテ ィテ ィ 企 業 レ ピュテ ー シ ョン

視 点 狭 い外 部 狭 い内 部 。広 い外 部 内 部 外 部・ 内部

出所 )筆 者 作 成

(15)

Gylling&Lindberg― Repo,2006)。 心 理 学者 は認知 の一種 、広 報 関係 者 はマ イ ン ドに起 こ るす べ て の ことをイ メー ジ とみなす(Grunig,1993)。 イ メー ジ研 究 は 1950年代 か らス ター トし、研 究 の先 駆者 と して 、Bouldingと Martineauが挙 げ られ る。Boalding(1956) によ る と、人 間 はイ メー ジ を信 頼 す るか ら、個 々人 の組 織 に対す るイ メー ジ とそ の人 が組 織 に向 けた行 動 とは重要 なつ な が りを持 つ とい う。Martineau(1958a)は、好 ま し いイ メー ジ によ って 、組織 には差別 的競 争優位 が あ る と示 した。 また 、企 業イ メー ジ か ら派 生 した意 味合 いは実 際 の購 買意思 決定 にお いて 役割 を果 た し、機 能属性や価格 属 性 よ りも感 情 的な意 味付 けの重 要性 を説 いた (Martineau,1958b)。 企 業 イ メー ジは組 織 を差 別 化 す るの に重 要 な 役割 を果 た した 。 また 、企 業イ メー ジは主 に消費者 向 けの 比 較 的 に狭 い外 部視 野 を持 った イ メー ジ形 成 の研 究対象 に他 な らな い。

しか しな が ら、概 念 の多 様 な解 釈 、否 定 的な連想 、管 理 の 問題 、異 な った個 人や 、 あ る いはス テー クホル ダー によ る組織 に対 す る知覚や 、そ の知覚 の重 要度 の差 異 とい った 点 か ら、企 業 イ メー ジの概 念 は扱 いに くい とされ る(Balmer,1999)。 そ の後 、イ メ ー ジ研 究 は企 業 レピュテー シ ョンの研 究 の 中で捉 え られ るよ うにな った。

1970年代 以 降 、これ まで顧 客 視 点 に立 った研 究 か ら内部 関係 者 つ ま り全職 員 の役割 に関す る研 究 へ と移 行 し、Kennedy(1977)は 企 業 イ メー ジの形成 には全職員 の重 要性 を 強調 した (Balmer,1999)。 Olins(1979)は 企 業 アイデ ンテ ィテ ィの管 理 につ いて、形 成 期 の 組 織 にお け る創 業 者 を写 す パ ー ソ ナ リテ ィー の構 築 に 関 す る仮 説 を提 示 した (Balmer,1999)。 加 えて 、企 業 アイ デ ンテ ィテ ィ概 念 の重 要 性 も力説 され た。企 業 アイ デ ンテ ィテ ィは、行 動 と外 見 が どの よ うに事実 を象徴 、反 映、強調す るか に関わ って お り(Olins,1978)、 企 業 の存在 をパ ブ リック(地域 関係 、顧 客 、従 業員 、報道機 関、既 存 と潜 在 株 主 、証 券 アナ リス ト、投資 銀行 を指す)に識別 して も らうた め のす べ て の手 段 を意 味 して い る(Margulies,1977)。 企 業 は企 業 アイ デ ンテ ィテ ィの管 理 、パ ブ リッ クの知覚 を変 え る能 力 によ ってそ のイ メー ジ に影 響 を与 え る(Margulies,1977)。

続 いて 、1980年代後 半 か ら、組 織 アイ デ ンテ ィテ ィの概 念 が取 り上 げ られ た。組 織 アイ デ ンテ ィテ ィ は組 織 メ ンバ ー によ って 知覚 され 理解 され る組 織 に関わ る(Hatch&

Schultz,2009)。 組 織 アイ デ ンテ ィテ ィ とい う概 念 は組織 の特定 の側 面 を定義 して表 さ れ る 際 に採 用 され る し、 組 織 が 持 つ 特 徴 を描 くの に 用 い られ る (Albert&Whetten,

1985)。 組 織 ア イ デ ンテ ィ テ ィ と い う観 点 は社 会 アイ デ ンテ ィテ ィ理 論 に基 づ くが (Albert&Whetten,1985)、 まだ新 しい分 野 で あ り、そ の源 を追跡す る とAlbert&Whetten (1985)の研 究 に行 き着 く (Hatch&Schultz,2009)。 Albert&Whetten(1985)は組 織 アイ デ ンテ ィテ ィ に関す る 中心 的、差別 的かつ恒久 的特徴 に関係 した 「組織 の タイ プ」 に関 す る質 問 を問 いか け る ことによ って組織 アイデ ンテ ィテ ィを定義 した。

1990年

代 以 降 企 業 レ ピ ュ テ ー シ ョ ン に 焦 点 を合 わ せ た研 究 が 始 ま った (Balmer&

Greyser,2003)。 レピュテー シ ョン とは、一般大衆 によ る一般 的な評価 で、企 業 の過去

(16)

の活 動 によ り生 じた 一連 の属 性 で あ り、 一定 の期 間 を経 て 、個 々人や グル ー プが受 け 取 った組 織 の製 品や サ ー ビス に関す る メ ッセ ー ジや 経験 の総和 で あ る(Balmer,1997)。

構 築す るの に時 間 を要す る こと と、組 織 の有 形 的な側 面 に焦 点 を合 わ せ て いる ことは、

企 業 イ メー ジ と企 業 レピュテー シ ョン とを区別 す る特徴 とな る(Balmer,1999)。 一方 、 イ メー ジ も レピュテー シ ョン も短期 間で傷 付 け られ る恐 れ が あ る。企 業 レピュテー シ

ョンは、企 業 の過去 の活 動 と結 果 の集 合 的な表現 で あ り、企 業 内部 と外部 にいる複数 のス テー クホル ダー に価 値 あ る成 果 を伝 え る企 業 の能 力 を説 明 して いる。

した が って 、企 業 はス テー クホル ダー との関係 にお いて 、1950年に主 に顧客 中心 の イ メー ジ創 造 か ら、 内部構 成員 によ る企 業 パ ー ソナ リテ ィー の形 成 、お よび顧客 を含 むす べ て の ス テー クホル ダー (例え ば、株 主)に対 す るイ メー ジ形 成 のた め の企 業 アイ デ ンテ ィテ ィ研 究 まで 、狭 い外 部 中心 か ら狭 い内部 並 び に広 い外 部研 究へ と進 んだ。

さ らに、従 業員 のみ な らず 、組 織そ の もの を視 野 に入れ て組織 アイデ ンテ ィテ ィヘ と 研 究 が広 が った 。 要す る に、 内部 か ら発 す る強 い組 織 アイデ ンテ ィテ ィに視 覚 を強 く 訴 え る企 業 アイ デ ンテ ィテ ィの創 造 を通 じて 、 あ らゆ るス テー クホル ダー との関係作 りにお いて 、 よ り良 い企 業 レピュテー シ ョンの獲得 に努 力 を払 うよ うにな って きた。

2.CB研

究 の流れ およびその発 展

上 節 の企 業構 成概 念 に関す る研 究 を概観 した結 果 、

CBは

PBと異 な る次 元 で議 論 さ れ る研 究 で あ るのが分 か る。King(1991)は 、既存・潜在顧客 が購 買意思 決定な どの場 面 にお いて 、そ の価 値 を判 断す る物差 しが 、製 品 レベル よ りも企 業 (組織)レベル まで 上 が つて きて い る と述 べ 、従 来 の枠 組 み を越 えて、企 業 の あ らゆ る側 面 を設 計 し、管理 す べ きだ と強調 した。また 、Aaker(1996)の ブ ラ ン ド・ アイデ ンテ ィテ ィ論 の中で 、組 織 と して の ブ ラ ン ドの概 念 の提 唱 によ りCBの重 要性 が 台頭 して きた。

1996年

か ら、単独 ブ ラ ン ドよ りもブ ラ ン ド0ポー トフ ォ リオ上 にあ る全て の ブ ラ ン ド間 の 関係 に関す る研 究 が大 い に注 目され るよ うにな った。特 に ブ ラン ド階層論研 究 にお け るCBの位 置 づ けお よび他 の ブ ラ ン ドとの関係 が議 論 され るよ うにな った。そ の 際 の

CBと

は 、 ブ ラ ン ド階 層 にお いて 、 最 も高 い レベ ル に位 置 す る ブ ラ ン ドで あ る

(Keller,1998)。

また 、1997年以 降 、欧米 で は会 計情 報 の有 用 性 が低 下 して きた 。多 くの無形資産 が オ ンバ ラ ンス化 され て いな い ことがそ の主 要 因の 1つ に指 摘 され て いる(伊藤 、2002)。

無 形 資産 会 計が重 要 な 問題 と して取 り上 げ られ た。 日本 にお いて も、

80年

代 か ら 90 年 代 にか けて企 業価 値(株式 時価 総 額)を決定 す る主 要 因子 が 、有 形資産 か ら無形資産 に シ フ トして い る ことが伊 藤 (2002)に よ って証 明 され た。 つ ま り、無形資産 が企 業価 値 を決定 す る主 要な 因子 で あ る とい う。 無形資産 の 中で 、

CBは

企 業 外 部 のみな らず 、

(17)

企 業 内部 も含 めた全 て のス テー クホル ダー と関わ って いる。全 て のステー クホル ダー を満足 させ る ことを通 じて 、CB価値 を向上 させ 、さ らに企 業価 値 の向上 に大 いに貢 献 で き るた め、無形資産 の 中で特 にCB価値 に着 目す る意 義 が 非 常 に大 き い と言 え る。そ の背 景 を受 けて 、CBに関す る研 究 は従 来 のマー ケテ ィ ング分 野 のみな らず 、経 営 、会 計 、フ ァイ ナ ンス といった分 野 か らも注 目を浴 び るよ うにな った 。ここで い うCBとは 、 顧 客 が購 入 0使 用 す るPBが象 徴 す る製 品や サ ー ビス を提供 し、それ らの背後 に控 え る 企 業 を規 定 し、企 業 の伝 統 、価 値観 、文化 、従 業員 お よび戦 略 を映 し出す もので ある

(Aaker, 2004)。

さ らに、2000年以 降 、企 業 の構 成概 念 を統 合 し、企 業 ブ ラ ンデ ィ ングが展 開 され た。

特 に、全 て のス テー クホル ダー との関係作 りを通 して価 値 創 造 とい う点 で は注 目を浴 び た(たとえ ば、Kapferer,1997;Balmer,1999;2001;Hatch&Schultz,2001;Dukeirich&

Carter,2009)。 こ こで、CB研究 に新 た な視 点 が現 れ た 。つ ま り、CBはマ ネ ジメ ン ト視 点 か ら捉 え られ るべ き概 念 で あ り、全 て のス テー クホル ダー に対 して 、価 値 の判 断基 準 と して提 供 で き る もので あ る。

本 節 で は、企 業 の構 成概 念 並 び に

CB概

念 の変 遷 を概 観 した 。

CBは

ブ ラ ン ドと して の役割 を持 つ とともに、企 業 と関わ る全 て のステー クホル ダー との関係作 りに も重要 な 役割 を果 た して い る。 競 争が激化 す る につれ 、ス テー クホル ダー の役割 も多様化 し て きた(例え ば、顧 客 で あ りな が ら、株 主 で もあ る)今 日、全 て のステー クホル ダー を 満 足 させ る ことによ る企 業 の価 値 創 造 は欠 かせ な い活 動 とな る。した が って 、CBは PB 以 上 に大 きな 役割 を果 たす 。

(18)

2章

グ ローバ ル ロブランドに関す る研 究 レビュー

1990年代 に入 る と、 ベ ル リ ンの 壁 と 旧社 会 主 義 の崩 壊 や 、WTO(世界 貿 易 機 関 )の 発 足 と FTA(自 由貿 易 協 定 )の 進 展 につ れ て 、 貿 易 障 壁 が 撤 廃 され 、 経 営 資 源 が 自 由 に移 動 で き る よ う にな っ た 。 グ ロー バ ル 化 時 代 を迎 え て 、 企 業 の 国 際 的 な 活 動 は活 発 にな る 一 方 で あ る。 企 業 に と っ て 、 持 続 的 競 争 優 位 性 を獲 得 す る に は 、 強 い ブ ラ ン ドの構 築 が 欠 か せ な い。本 章 で は 、グ ロー バ ル な 視 点 か らブ ラ ン ド研 究 を概 観 す る。そ の 際 、 まず 、 グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドの 定 義 と優 位 性 を述 べ た 上 で 、 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ と国 際 ブ ラ ンデ ィ ン グ に分 け て 、 そ れ ぞ れ の 分 野 にお け る グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドに 関 す る 先 行 研 究 を考 察 す る。

1節

グ ロー バ ル・ブランドの 定 義 お よび優 位 性

ブ ラ ン ドに対 す る 認 識 の混 乱 を避 け るた め 、 近 年 多 くの企 業 の 間 で 、 グ ロー バ ル 性 を意 識 して 企 業 ブ ラ ン ド名 を 世 界 規 模 で 統 一 した り(例え ば 、 パ ナ ソニ ッ ク)、 個 別 ブ ラ ン ドに多 数 の 主 力 製 品 と企 業 名 と を 関 連 付 けた り(例え ば 、P&G)する動 き が 見 受 け ら れ る。 グ ロー バ リゼ ー シ ョ ンが 進 ん だ 結 果 、 グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドの 開発 や 育 成 の 重 要 性 を意 識 して い る か らに他 な らな い。

た だ し、企 業 に よ る グ ロー バ ル 。マ ー ケ テ ィ ン グヘ の取 り組 み は極 く最 近 の こ とで あ る9。 例 え ば 、

P&Gは

1970年代 末 か ら、 ヨー ロ ッパ 市 場 で 、 国 境 を越 え た ブ ラ ン ド とテ ク ノ ロ ジー の組 み 合 わ せ を考 慮 し出 した が 、真 の グ ロー バ ル 化 は 10年後 に動 き 出 した。また 、資 生堂 は 1997年に 「オイデル ミン」を全 世界 向 け に一斉 販 売す る ことに よ って 、 グ ローバ ル・ブ ラ ン ド戦 略 を打 ち 出 した ので あ る。

グ ローバル 。ブ ラ ン ドとい う用語 が よ く使 われ るよ うにな って いる。 と ころが 、 グ ロー バ ル・ ブ ラ ン ドを定義せ ず にそ の用語 を研 究 に用 いる学者 は少な くな い(例え ば、

Holt et al.,2004;Kapferer,2005;Van Gelder,2003)。 先行研 究 にお け る グ ロー バ ル・

ブ ラ ン ドの定義 を大 き く3つ に分 け る と、企 業 の視 点 、消 費者 の視 点お よび地 理 的視 点 とな る。Barron&Hollingshead(2004)は、す べ て の市 場 にお いて 同様 な価 値 と類 似 し た ポ ジ シ ョ ン を持 つ ブ ラ ン ドを 、 グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドと定 義 して い る。 ま た 、 Cateora&Graham(2007)は 、 グ ローバ ル・ ブ ラ ン ドを、 あ る売 り手 の商品やサ ー ビス を 識別 させ 、競 合他社 との差 別 化 を図 るた め に世 界規模 で用 いるネー ム、用語 、サ イ ン、

シ ンボル(視覚 お よび/ま た は聴 覚)、 デザ イ ンあ る いはそ れ らの組 み合わせ と見 な して い る。

一方 、Dimofte et al.(2008)、 Rosenbloom&Haefner(2009)および Steenkamp et al.

9P&Gと資 生 堂 の グ ロー バ ル ・ ブ ラ ン ドに 関 す る 詳 細 は 大 石 (2001、 pp.57‑58)を参 照 され た い 。

(19)

(2003)は 、 グ ローバ ル 0ブラ ン ドを定義 して 、そ の概 念 を無理や り消費者 のマイ ン ド に押 し付 け るので はな く、 消費者 がそ のブ ラン ドをグ ローバル・ ブ ラン ドと して知覚 す るか ど うか によ ってそ の グ ローバ ル性 が 決 ま る と主張 して い る。また 、Townsend et

al。 (2009)は 、企 業 の グ ローバ ル化 の プ ロセ ス の成 熟 段 階 にお いて 、企 業 が所 有す るす べ て の ブ ラ ン ドと関連付 けなが ら、 ブ ラ ン ド0ポー トフ ォ リオ を支 え る上 で 、主 要な

3大

地 域(北米 、 ヨー ロ ッパ 、 ア ジ ア)の多 数 国 で販 売 され て い る ブ ラ ン ドを グ ロー バ ル 0ブラ ン ドと定 義 した。

様 々な グ ローバ ル ・ ブ ラ ン ドの定 義 に関す る先行研 究 に基 づ き、本 稿 にお いて、 グ ローバ ル・ ブ ラ ン ドとは、 ブ ラ ン ド名 、 シグナル 、 シ ンボル 、デザ イ ンな どが世界的 規模 で均 一化 され 、販 売地域 の消 費者 がそ の グ ローバ ル 性 を知覚 で きるブ ラ ン ドをグ

ローバ ル・ ブ ラ ン ドと定 義す る と しよ う。

強 いグ ローバ ル・ ブ ラ ン ドは、企 業 に とって 、① 地球 範 囲で の規模 の経済 性 を享 受 で き、 ブ ラン ド拡 張 基 盤 を提 供 し、特 に新製 品 の 開発 とR&Dコ ス トの効 率 性 を図れ る 帆aker&KeHer,1990;Barron&HoH ingshead,2004;Levitt,1983)。 ② 世界 規模 で の ア イ デ ンテ ィテ ィを構 築 し、堅 実 な顧客 購 買権 を 開発 で き る(Aaker,1996;Hsieh,2002;

Kapferer,1997;KeHer,1998)。 ③ 特 にパ ッケー ジ製 品産 業 に とって 、小 売企 業 へ の対 抗 武器 と して有効 で あ る (Barron&HoH ingshead,2004)。 ④ グ ローバル 組 織 間 の効 率 的 な調 整や 学 習機 会 が 増加 す る (Barron&HOH ingshead,2004;Quelch,1999)。 ⑤ 高度 人材 を獲得 し維 持 で き る(Quelch,1999)。 一方 、グ ロー バ ル 消費 者 に とって 、グ ローバ ル・

ブ ラ ン ドは品質 の シ グナル で あ り (Holt et al.,2004)、 よ り高 い知覚 品質 、 プ レステ ー ジや ステー タス を享 受 で き、尊重 に値 す る もので あ る (Johansson&Ronkainen,2004)。

つ ま り、強 いグ ロー バ ル 0ブラ ン ドは国際 消 費者 を勝 ち取 るの に重 要な鍵 とな る。

2節

国 際 マー ケティング におけるプランド研 究

グ ローバ リゼ ー シ ョンが 強 い傾 向 を見 せ て い る 中、国際貿易や 海外 直接 投資 な どは 目覚 しいス ピー ドで拡 大 して い る。そ れ に伴 い、 国際マー ケテ ィ ングに関す る研 究 も 増 え る一方 で あ る。 国 際 マー ケテ ィ ング に関連 した ジ ャー ナル の発行状況 を概 観 す る と、1976年か ら 1982年は 112本にす ぎな か った が 、1983年か ら1990年 まで に 230 本 、1990年 か ら2000年 まで 587本 と急 増 した (Nakata&Huang,2005)。 1976年か ら1982 年 まで はマー ケテ ィ ング 0ミ ックスや バ イ ヤー行 動 に焦 点 を当て た研 究 が主 流 をな し た (Nakata&Huang,2005)。 1990年か ら2000年 まで の ジ ャー ナル掲載 論 文 の トピック別 内訳 は図表 3に示 され る とお りで あ る。マー ケテ ィ ング戦 略 と組織 お よび進 出/経 営 方 式 に重 点 を移 しな が ら、 バ イ ヤー行 動や マ ー ケテ ィ ング・ ミ ックス は依 然 と して研 究 の 中心 で あ った。 また 、市場特 性や 市場 とマー ケテ ィ ング構造 に関す る研 究 も多 く存

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