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ヒューマノイドロボットの実用化に向けた二足歩行 技術の開発

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Academic year: 2022

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ヒューマノイドロボットの実用化に向けた二足歩行 技術の開発

著者 坂本 元

URL http://hdl.handle.net/10236/7781

(2)

Page 135 11/08/01 14:08

1980年代、オートメーション技術に関連して産業用ロボットが普及した。普段意識されることは少ない かもしれないが、現在、我々が享受している社会・生活は産業用ロボットに支えられている。産業用ロ ボットの成功とほぼ同じくして、人型のロボット(ヒューマノイドロボット)に関する技術開発も進めら れてきた。2000年に本田技研から ASIMO が発表され大きな話題となり、そして現在、小型ヒューマノイ ドロボットが一般家庭用として利用される状況が現実視される時代に入ってきている。ヒューマノイドロ ボットが一般家庭用として使われるためには、二足歩行性能の向上が求められる。本論文では、小型 ヒューマノイドロボットの歩行性能を向上させる具体的な技術として、荒れ地での高速歩行、エネルギ効 率とアピアランスの向上に向けての膝関節伸展歩行を取り扱っている。荒れ地での高速歩行においては足 を左右に開いた歩行姿勢と足裏形状のデザイン、関節伸展歩行においては平行リンク機構を利用した特異 点問題への対処という、いずれも実用ロボット開発者ならではの提案がなされ、実機を用いた実験によっ てその有効性が検証されている。ヒューマノイドロボットの二足歩行に関する研究は他にもあるが、本論 文では取り上げられたデザインのロボットはロボカップに出場している複数チームに供給されており、そ の実用性は極めて高いものと判断される。実験室内でしか有効性を検証していない数多くの研究事例の中 で、著者が実施した研究は、実用工学研究の実施例として高く評価されるものである。

論 文 内 容 の 要 旨

本論文はઈ章から成る。まず第ઃ章では、ロボットの歴史、ヒューマノイドロボットの研究開発概況を 述べ、それとともに、生活を支援するものとしてのヒューマノイドロボットの意義・可能性を論じている。

続いて、その実現に向けての主要技術課題に二足歩行技術の向上が求められることを述べ、章の最後で、

論文全体の構成を述べている。

第઄章では、本研究が対象とする二足歩行ロボットの歩行の技術動向と解決すべき課題、さらに、અ章 以降で取り扱うゼロ・モーメント・ポイント(ZMP)規範による歩行の基本的な考え方を紹介している。

これら、本論文を理解するための基本事項を踏まえた上で、ઃ)歩行の安定性を高め不整地を高速で移動 できる不整地歩行、઄)エネルギ効率が高くかつ歩行の外見がより人間に近い膝関節伸展歩行の実現によ り、実際に家庭にも入りうるヒューマノイドロボットの歩行技術を確立する、という研究の目的を述べて いる。

第અ章では、不整地における高速な動歩行を実現するものとして、膝を深く曲げて腰を低くし足を左右

【T:】Edianserver/関西学院/博士学位論文/第50集/

坂本 元

અ 校

− 127

博 士(工 学)

学 位 の 専 攻 分 野 の 名 称

坂 本

氏 名

2010年10月20日

学位授与年月日

学位規則第આ条第ઃ項該当

学位授与の要件

甲理第123号(文部科学省への報告番号甲第345号)

学 位 記 番 号

(副査) 教 授 (主査) 教 授 論 文 審 査 委 員

ヒューマノイドロボットの実用化に向けた二足歩行技術の開発

学 位 論 文 題 目

中 津 良 平

(シンガポール大学教授)

河 野 恭 之 北 村 泰 彦 片 寄 晴 弘

教 授

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Page 136 11/08/01 14:08

に聞いた歩行姿勢と前後に長い足裏形状のデザインを組み合わせによるデザインを提案し、その効果を実 機による傾斜度安定余裕の計測実験によって検証している。この有効性は、ロボカップ世界大会不整地歩 行種目において઄位のロボットに比べてઋ倍の歩行速度で踏破して優勝したことからも裏付けられてい る。

第આ章では、ヒューマノイドロボットの歩行のエネルギ効率の改善かつ歩行の外見をより人間に近づけ るものとして、一つの膝に二個のモータを使用した平行リンク機構による膝関節伸展歩行を提案してい る。従来タイプのものと比べて電力消費を39%軽減できること、また、膝の関節角度の軌道の実測により 提案手法が人間の歩行に類似していることを示している。踏破速度を競うロボカップ世界大会のテクニカ ルチャレンジ競技でઅ位の結果を獲得したことから、この歩行が実践的な歩行手法であることも確認して いる。

第ઇ章では、本論文の総合的な検討として、不整地での高速歩行、膝関節伸展歩行が、特に、生活を支 援するものとしての役割が期待される小型ヒューマノイドロボットに実装される際の有効性について論じ ている。本論文での提案技術はロボット実機に実装され、ロボカップ世界大会対戦型リーグに出場してい る内外のઅチームに供給されている。これらのチームが優勝を含めて上位入賞を占めていることから、提 案手法が実用技術として有効であると帰結する。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本論文は、小型ヒューマノイドロボットの歩行性能を向上させる具体的な技術として、荒れ地での高速 歩行、エネルギ効率とアピアランスの向上に向けての膝関節伸展歩行について報告している。現在、小型 ヒューマノイドロボットには、生活を支援するものとしての応用が期待されている。その中で、歩行性能 の向上は必要不可欠な技術開発事項の一つとして位置づけられる。歩行性能向上を主題とした研究は他に も存在する。一例を挙げれば、早稲田大学の WABIAN-2では、片脚にઉ自由度、腰に઄自由度を確保し、

腰の回転を用いての膝関節伸展歩行が実現されている。WABIAN-2に限らず多数の既存研究は中型以上 のロボットを想定したものであり、多くのモータの使用を前提としている。この制約は、我々の生活現場 に入り込む小型ヒューマノイドロボットにとって、実装コスト、エネルギー効率双方の視点で障壁となる。

著者は、この障壁を解決する極めて現実的な解決法を示した。

荒れ地での高速歩行においては足を左右に開いた歩行姿勢と足裏形状のデザイン、関節伸展歩行におい ては平行リンク機構を利用した特異点問題への対処の提案がなされ、その有効性は実機を用いた実験、お よび、ロボカップ競技における他の研究グループとの比較における優位性から裏付けられている。また、

提案手法はロボット実機に実装されており、ロボカップ世界大会対戦型リーグに出場している内外のઅ チームに供給されている。これらのチームが優勝を含めた上位入賞していることから、提案された手法が 実用技術として有効であると結論づけられる。

本論文の第અ章と第આ章の内容は、査読付きの国際会議において著者によって発表され、第આ章の内容 については International Journal of Humanoid Robotics(IJHR)の論文誌で公表されている。国内シンポ ジウム(EC2008)における同内容の発表により、芸術科学会優秀論文賞を受賞している。また、ロボカッ プ世界大会におけるઅ回の優勝を含む多数の上位入賞があり、国内予選での戦歴に対し、日本ロボット学 会の学会賞をઅ度受賞している。

審査委員は、本論文の内容を中心に面接と公開の論文発表会を行い、著者が論文内容と用いた技法につ いて十分な理解とともに関連する分野についても学識を有し、また将来の研究遂行に対しても十分な能力 を持つことを確認することができた。また、英語での論文執筆、国際学会での口頭発表も行っており、国

【T:】Edianserver/関西学院/博士学位論文/第50集/

坂本 元

અ 校

− 128

(4)

Page 137 11/08/01 14:08

際的な研究環境において英語で情報発信していく十分な能力を有すると判定した。以上のことより、審査 委員会は本論文の著者が博士(工学)の学位を授与されるに足る十分な資格を有するものと判定した。

【T:】Edianserver/関西学院/博士学位論文/第50集/

坂本 元

અ 校

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