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ホンドカヤネズミ(ネズミ科) Micromys minutus

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動物 1 カヤネズミ(ネズミ科) Micromys minutus この種の概要 主に休耕田や河川敷など水辺の草地、ヨシ原などに生息する。ススキ、オギ、チガヤ などイネ科の植物の葉を編んだ球状の巣を作る。県内では自然草地の減少によって、数を減らしてい ると考えられる。埼玉県レッドデータブックでは「準絶滅危惧」。 区別点 日本でいちばん小さいネズミ。野外で実際に姿を観察できることはまれ。ススキ、オギなど イネ科の植物の葉を細く裂いて球状の巣を作るので、その有無で生息状況を確認することが多い。 調査の状況 今回の調査では、上尾市、飯能市と本庄市の 3 地点で 8 件の確認情報が得られた。本庄 市では生体による確認で、他は巣の確認である。増減については、飯能市と本庄市では「昨年と変わ らない」、上尾市では「昨年より少なくなった」であった。飯能市では2010 年度から継続して観察 されている。 分布の状況 丘陵・台地帯は飯能市と本庄市の 2 地点で、低地帯は上尾市の 1 地点であった。 月変化 繁殖時期は、春(6~7 月)と秋(10~12 月)と言われている。今回の調査での巣の発見時 期は、飯能市では6 月と 9 月、10、11、12 月であり、上尾市では 12 月であった。本庄市では5月の 確認であった。 他文献からの情報 「埼玉県レッドデータブック」(2008)によると、県内では、局所的ではあるが 低地帯から低山帯にかけて分布するとしている。また、「狭山丘陵の哺乳類」(2011)によると、狭 山丘陵では点在する谷戸間の個体群の交流が難しくなっていることから、個々の谷戸内の湿性草地の 保全が本種の存続に大きくかかわっていることが指摘されている。このことは本県の丘陵部全般につ いても同様であると思われる。 その他の所見 2010 年度は 4 市町 5 地点で 8 件、昨年度は 2 市町 2 地点 3 件の確認情報があった。 生体の観察は難しいがヨシ原やススキ草地に分け入って巣を調査すると、確認件数が増加すると思わ れる。ヨシ原や自然草地などの減少によって、大きく影響を受ける種であり、河川敷を含め現況を幅 広く調査することが望まれる。

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動物 2

ホンドタヌキの月別確認件数・個体数

0 5 10 15 20 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 0 5 10 15 20 死体 生体 個体数

ホンドタヌキ(イヌ科) Nyctereutes procyonoides viverrinus

この種の概要 いわゆる里山の環境に多く、キツネと共に昔から人々に親しまれてきた在来の哺乳類。 県内では、近年、都市部でも目撃されることが多いため増加しているように思われるが、ハクビシン やアライグマとの競合や疥癬の蔓延などによって、個体数が急減していると考えられる。埼玉県レッ ドデータブックでは「地帯別危惧」。 区別点 直接姿を観察する機会の多い哺乳類である。夏毛は短毛で、やせて見えるのでイヌに似て見 える点に注意を要する。直接観察以外では、「ためぐそ(ため糞)」の有無により、生息状況を確認 することができる。 調査の状況 今回の調査では、19 市町 46 地点で 80 件の確認情報が得られ、昨年(16 市町 22 地点 で46 件)に比べて多くなった。また、ほ乳類の情報の中では、いちばん数が多かった。16 件が生体 の観察で、51 件が死体(50 件がロードキ)の発見、残りの 13 件が生活痕(足跡、ため糞)による確認 だった。増減は「初めての記録」が3 件、「昨年と変わらず」が 65 件、「昨年より多い」が 5 件、 「昨年より少ない」が1 件、「新規のため不明」が 6 件であった。 分布の状況 低山帯が5 地点、丘陵・台地帯が 3 地点、低地帯が 38 地点であった。河川敷や緑地な どを利用して、県南部の市街地近辺にも生息していることが推測できる。 月変化 2 月を除いた 1~12 月の各 月に確認情報があった。8 月から 12 月にかけて確認情報が増え、10 月が 最も多かった。 他文献からの情報 「埼玉県レッド データブック」(2008)によると、 低地帯での安定的な生息地は限られ ているとされるが、本調査では県南 部の中川・加須低地からの確認情報が多いのが特筆される。

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動物 3

ホンドキツネ(イヌ科) Vulpes vulpes japonica

この種の概要 里山の環境を好み、昔から人々に親しまれてきた在来哺乳類。ただし、タヌキよりは 肉食性が強く、より自然度の高い環境が必要。県内では亜高山帯から低地帯まで分布しているが、現 在の分布の中心は亜高山帯から低山帯にかけてである。平野部でもまとまった雑木林のある地域には 生息し、荒川などの河川敷沿いでは市街地に近いところで目撃されることもある。埼玉県レッドデー タブックでは、「地帯別危惧」。 区別点 外部形態から他のイヌ科哺乳類と間違えることは少ないと思われる。とがった口先、三角形 でたった大きな耳、長くて太い尾が特徴である。 調査の状況 今回の調査では、3 市 4 地点から 8 件の確認情報が得られた。新たに確認情報があった 所沢市の1 件と入間市の 1 件は死体の確認で、所沢市のもう 1 件は生体の確認であった。久喜市の 5 件いずれも残土置き場に作られた巣穴による確認であった。 分布の状況 丘陵・台地帯は所沢市と入間市の3地点で、低地帯は昨年に引き続いて久喜市の1 地点 であった。 月変化 久喜市では3 月、6 月、8 月、11 月、12 月の観察であった。3、12 月には新しい巣穴が確認 されている。所沢市では4 月と 5 月、入間市では 1 月に確認された。 他文献からの情報 「狭山丘陵の哺乳類」(2011)によると狭山丘陵では 1960 年代後半から 1970 年代前半にかけて絶滅したとされていたが、1980 年代から丘陵西北部を中心に目撃例が増え、現在で は少数個体が安定的に生息しているとされている。 その他の所見 「埼玉の鳥とけものたち」(1985)や「さいたまレッドデータブック」(1996)では、 北本市石戸宿周辺の生息情報が記載されている。また一昨年情報が寄せられた桶川市や昨年と今年情 報があった久喜市の確認地点はいずれも近接しており、県中央部の荒川河川敷周辺では継続的に生息 していると考えられる。埼玉県レッドデータブックの「地帯別危惧」の内訳は、台地・丘陵帯では「準 絶滅危惧」、低地帯の荒川以西で「絶滅危惧Ⅱ類」、大宮台地と中川・加須低地が「絶滅危惧ⅠB類」。

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動物 4

ニホンイタチの月別確認件数

0 1 2 3 4 5 6 7 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 確認件数 ニホンイタチ(イタチ科) Mustela itatsi この種の概要 水辺を好む在来の小型肉食獣。田んぼや水路などがあれば、比較的市街地まで進出で きる。県内でも山地帯から低地帯まで、県南の都市部を除きほぼ全域に生息している。埼玉県レッド データブックでは「地帯別危惧」。 区別点 埼玉県内では、特に間違えやすい種類はない。ただし、メスはオスより著しく小型で、オス の半分くらいしかない。長胴で足が短い。毛色は、夏毛ではチョコレート色であるが、冬は明るい黄 かっ色になる。 調査の状況 今回の調査では、9 市町 15 地点で 19 件の確認情報が得られた。13 件が生体で 5 件が死 体、1 件が糞の確認であった。死体のうち 4 件がロードキルによるものだった。増減は「初めての記 録」が3 件、「昨年と変わらず」が 16 件であった。 分布の状況 低山帯(1件)や台地・丘陵帯(4 件)および低地帯(14 件)から確認情報が得られた が、さいたま市、富士見市、鴻巣市、久喜市など荒川沿いの低地帯からの情報が多かった。また、河 川敷、休耕田など水辺での記録が多かった。 月変化 5 月から 12 月まで毎月 1~ 3 件の生体の確認情報があった。10 月には4 件のロードキルによる死体 の確認情報があった。 他文献からの情報 「狭山丘陵の哺 乳類」(2011)によると谷戸や小川 などの湿地・水辺環境の減少・消失 が進んでいる丘陵部では減少傾向に あるという。 その他の所見 昨年に引き続き今年度の調査では約半数が死体の観察情報であった。調査対象種とな っている哺乳類にロードキルが多く見受けられたことが懸念される。

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動物 5

ハクビシンの月別確認件数

0 1 2 3 4 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 確認件数 ハクビシン(ジャコウネコ科) Paguma larvata この種の概要 日本で唯一のジャコウネコ科の哺乳類。近年では外来種であるとの説が有力である。 県内では1978 年に名栗村(現飯能市)で確認されている。近年、山地帯から低地帯にかけて広く目 撃例が増えており、農業被害や住宅被害を引き起こす有害種として増加が危惧されている。 区別点 額中央に白線が入る。胴長・短足で尾が長いのが特徴。電柱や木や塀に登ることが多く、「電 線の上を歩く」のはハクビシン。 調査の状況 今回の調査では、7 市町9地点で 10 件の確認情報が得られた。昨年の2町2地点2件に 比べて確認情報が著しく増加した。7 件が生体、2 件が死体の確認で生活痕による確認が 1 件であっ た。生体による確認のうち1 件が罠による捕獲個体であった。増減は「初めての記録」が秩父市、宮 代町、さいたま市の4 件、「昨年と変わらず」が 3 件、「昨年より増えた」が坂戸市の 3 件であった。 分布の状況 山地帯は秩父市の2 地点、丘陵・台地帯は所沢市の 1 地点、低地帯は坂戸市、さいたま 市、坂戸市、久喜市、蓮田市、宮代町の6 地点であった。 月変化 5 月 3 件、8 月 3 件、10 月 1 件、 11 月 2 件と 12 月 1 件の確認情報があっ た。12 月の 1 件では親子 3 頭が確認され ている。今回の調査結果から季節変化を 考察することは難しい。 他文献からの情報 「埼玉のハクビシン の現状」(古谷益朗.2009)によると、 2001 年のハクビシンによる全国の農作物の被害金額はアライグマの 1/3(約 1 億円)であったが、徐 々にハクビシンの被害が増加し、2007 年度にはアライグマを抜かし、倍増(約 2.5 億円)している。 また、ハクビシンは雑食性で総合的なエサ減らしがハクビシン等の獣害対策のポイントとしている。 その他の所見 農作物への防除対策が行われているが生態系への被害についてはあまり明らかにされ ていない。アライグマとともにタヌキやキツネなどの中型哺乳類との競合やその他の在来種への影響 が懸念される。

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動物 6

アライグマの月別確認件数

0 1 2 3 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 確認件数 アライグマ(アライグマ科) Procyon lotor この種の概要 北米大陸原産のペット由来の外来種。外来生物法により特定外来生物に指定されてい る。日本では1962 年に愛知県犬山市の動物展示場から逃亡したのが最初で 2006 年には 47 都道府県 すべてで確認されている。県内では1982 年に初めて野生化した個体が発見され、2004年頃から急増 している。農業被害や住居被害が問題となっている。 区別点 尾のしま模様と目の周りの黒模様が両目でつながっているのが特徴である。自然の状態では 木のウロなどで繁殖するが、ハクビシン同様、家屋の屋根裏でも繁殖する。 調査の状況 今回の調査では、10 市町 9 地点 13 件の確認情報が寄せられ、昨年の 3 市町 3 地点で 4 件の情報から著しく増えた。生体の確認が2 件、足跡による生活痕の確認が 11 件であった。生体の 確認の2 件とも罠による捕獲個体であった。増減については「今年初めて記録された」が秩父市、熊 谷市、東松山市、蓮田市、白岡町の6 件、「非常に多い」が上尾市と桶川市の 2 件、「昨年と変わら ず」が飯能市、所沢市、熊谷市、さいたま市の6 件であった。 分布の状況 山地帯(1 件)から丘陵・台地帯(2 件)、低地帯(6 件)にかけて県内の広範囲の地点 から確認情報があった。上尾市内では8 月に 20 頭の捕獲があったという情報もあった。 月変化 5 月から 12 月まで、7 月を 除いた各月に 1~3 件の確認情報が あった。今回の調査結果から季節変 化を考察することは難しい。 他文献からの情報 「埼玉県アライ グマ防除実施計画」(2011)による と、現在の生息状況は県内46 市町 村に及び、2009 年度のアライグマの 捕獲頭数は2,388 頭に上っている。 東松山市を中心とした比企地域、秩 父地域を中心にその他の地域でも急速に分布を拡大しつつあることが想定されている。 その他の所見 在来のタヌキやキツネ、イタチなどと競合し、また、カエルやトウキョウサンショウ ウオなどの両生類などにも影響を与えている可能性が高い。防除を進める上でも、生息状況等を全県 的に調査する必要性がある。

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動物 7 シラコバト(ハト科) Streptopelia decaocto この種の概要 江戸時代中期に東南アジアから移入された外来種。県東部を中心に関東周辺の農耕地 などで局地的に生息している。埼玉県レッドデータブックでは「(繁殖鳥)(越冬鳥)絶滅危惧Ⅱ類」。 2012 年環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類(EN)にランクアップされた。 区別点 首の後の黒い模様により、容易に他のハトと区別ができる。ただし、飼い鳥であるジュズカ ケバトとはきわめてよく似ている。 調査の状況 11 市町から 17 件の報告 が寄せられた。行田市からは落鳥2 羽 の報告が得られた。 分布の状況 2012 年度は自然環境課 のシラコバト調査があったことにより 報告件数が増えた。県内では、低地帯 以外からの報告はない。以前生息して いた越谷では少なく、県北東部から北 部にかけての報告が多かった。岩槻区、 春日部市、伊奈町、熊谷市、行田市、川越市、川島町から記録があり、伊奈町は今回新たに報告され た所である。分布図からもわかるように局所的に生息しているようだ。 月変化 毎月少数の報告があった。7月、12月は県のシラコバト調査の時期であった。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)によると、1948 年頃には、越谷市に 30 羽程度生息 するだけであったが、その後数が増え、「天然記念物緊急調査報告・越谷のシラコバト」(1982)や 「埼玉の鳥とけものたち」(1985)の 1980 年代初期の分布図によると、低地帯のほぼ全域で生息が 確認されている。しかし、その後の調査では再び減少し、「鳩ヶ谷の生物6・県の鳥シラコバトに明 日はあるか」(2008)によると、確実に姿を見ることができる地域は岩槻区以北の東・西縁見沼代用 水沿いの市町村に限られているという。また、埼玉県レッドデータブックでも、現在再び減少してい るとされている。 その他の所見 「越ヶ谷のシラコバト」として国指定天然記念物に指定され、1965 年には県民の鳥に 指定されている。2012 年度の調査では県外の茨城県境町での生息も確認されている。

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動物 8

カッコウの月別確認件数・個体数

0 2 4 6 8 10 12 14 5月 6月 7月 生体 カッコウ(カッコウ科) Cuculus canorus この種の概要 夏鳥として渡来し、山地から平地で繁殖をする。ヨシ原、木のまばらにある草原、農 耕地、明るい林など開けた環境に生息する。オオヨシキリ、モズ類、ホオジロなどに託卵するが、こ れらの仮親たちの減少でカッコウも減少傾向にある。 区別点 ツツドリ、ホトトギスと外部形態は非常に似ているが、鳴き声が違うため、識別は容易。ま た、ツツドリ、ホトトギスの方がより山地に生息する。ただし、秋の渡りの時期には3 種とも平地で 観察できるが、その時期には鳴かないので識別は難しい。 調査の状況 今回の調査では、10 市町 14 地点で 20 件の確認情報があった。10 件が生体の直接観察、 10 件が鳴き声のみでの確認だった。増減に関しては「初めての記録」が 2 件、「昨年と変わらず」が 8 件、「昨年より多くなった」が 5 件、「昨年より少なくなった」が 3 件、「非常に少ない」が 1 件、 「新規のため不明」が1 件であった。 分布の状況 低山帯からの情報はなく、台地・丘陵帯と低地帯で確認された。台地・丘陵帯 2 地点、 及び低地帯 12 地点で、低地帯の記録が多かった。 月変化 5 月上旬から7月下旬 までの記録であった。最も早い 記録は行田市での5 月 16 日で、 最も遅い記録は久喜市で7 月 21 日であった。 他文献からの情報 「埼玉県動 物誌」(1978)では、秩父盆地 から低地までの観察例が紹介さ れている。「埼玉の鳥とけもの たち」(1985)でも、低山帯か ら低地帯の分布としている。 その他の所見 河川敷の開発が進みヨシ原の減少によってオオヨシキリが減少したこと、茶畑や農耕 地などの減少によってホオジロやモズ類が減少したことが本種に影響を与えていると思われる。一時 オナガに托卵する例が増えていたが、最近ではオナガの減少もあって本種が増加する可能性は少ない と思われる。

(9)

動物 9 オオタカ(タカ科) Accipiter gentilis この種の概要 平野部や丘陵部の森林で繁殖する猛禽類。近年、市街地に近い場所でも営巣場所があ れば繁殖する例が出てきている。埼玉県レッドデータブックでは「絶滅危惧Ⅱ類(繁殖鳥・越冬鳥)」。 区別点 ハイタカ、ツミと体の色や模様が似ているが、オオタカの方が大きく、カラスくらいの大き さ。ハイタカはハト程度の大きさで、ツミはさらに小さい。 調査の状況 今回の調査では、16 市町 24 地点で 38 件の確認情報があった。30 件が生体の直接観察、 8 件が鳴き声のみでの確認だった。「今年度初記録」が2件、「昨年と変わらず」が 30 件、「昨年よ り多い」が2地点、「昨年より少し、または非常に少ない」が4 地点であった。 分布の状況 低山帯が 2 地点、台地・丘陵帯が6地点、低地帯が 16 地点であった。東松山市、蓮田 市、入間市、狭山市からは繁殖の情報もあった他、さいたま市から若鳥の情報があった。 月変化 調査期間中各月で観察 された。繁殖期の前期及び後期 にあたる4 月と 6 月、巣立ち後 の8 月及び冬季の 11 月の記録 が多かった。 他文献からの情報 「埼玉県オ オタカ等保護指針」(埼玉 県.1999)によると、1997 年には 県内で40 カ所程度の営巣が確 認され、低地帯、台地・丘陵帯、 山地帯それぞれで20 ペア程度が繁殖していると推定している。「埼玉の鳥とけものたち」(1985) によると、台地・丘陵帯では7 カ所程度の営巣地が発見されている、とされている。 その他の所見 「埼玉県オオタカ等保護指針」(1999)や「猛禽類保護の進め方」(環境省.1997)などに より、保護のための方策は示され、比較的生息状況のわかっている種である。

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動物 10 ノスリ(タカ科) Buteo buteo この種の概要 低山から山地の森林で繁殖する猛禽類。冬期には平野部でも観察できる。埼玉県レッ ドデータブックでは「準絶滅危惧 (繁殖鳥・越冬鳥)」。 区別点 トビよりやや小さく、翼の後縁と尾が丸いのが特徴。飛翔時に翼下面の黒色班が目立つ。ケ アシノスリやオオノスリとは、翼や尾の模様で識別ができる。 調査の状況 今回の調査では、15 市町 24 地点で 32 件の確認情報があった。昨年の 6 市町 6 地点 15 件の情報に比べ大幅に増加した。すべて生体の直接観察であった。「今年初めて」が3 件、「新規の ため不明」が7件、「昨年と変わらず」が16 件、「多くなった」が 5 件、「非常に少ない」が 1 件 であった。 分布の状況 山地帯での確認が東秩父で 1 地点あった。低山帯での確認が 7 地点、台地・丘陵帯で 6 地点、低地帯で10 地点であっ た。 月変化 山地帯、低山帯での 3 地点3 件の記録(5、6 月)以外 は、冬期もしくは渡りの時期の 記録であった。特に冬季の11、 12 月の記録が多かった。 他文献からの情報 県内では、 山地帯から低山帯で繁殖するが、 「埼玉県レッドデータブック」によると、近年、台地・丘陵帯での繁殖が確認されている。 その他の所見 低地帯においては、ノスリが越冬する場所は自然度の高い場所である。さいたま市と 蓮田市で昨年に引き続いて冬期の情報が得られた。安定した越冬地と思われる。

(11)

動物 11

アオバズクの月別確認件数・個体数

0 1 2 3 4 5 6 5月 6月 7月 8月 9月 生体 鳴声 アオバズク(フクロウ科)Ninox scuulata この種の概要 青葉の季節に渡ってくるフクロウ。平地から山地に生息するが、多くは大木のある社 寺林や屋敷林などで繁殖している。近年、市街地では少なくなった。埼玉県レッドデータブックでは 「地帯別危惧」。 区別点 フクロウ類では最も黒く見え、尾が長い。フクロウ類では混同する種はいないが、林の中で 飛ぶのを見て、タカ類やヨタカと間違えることがある。 調査の状況 今回の調査では、5 市町 8 地点で 16 件の確認情報があった。5 件が生体の直接観察によ る確認で、11 件が鳴き声による確認だった。増減は「昨年と変わらず」が 15 件、「非常に少ない」 が1 件だった。 分布の状況 低山帯での観察が秩父市の 8 地点、台地・丘陵帯の観察が飯能市と所沢市の 2 地点、低 地帯の観察が川越市と蓮田市の 2 地点だった。 月変化 5月から 8 月の夏季に観察された。蓮田市の 3 件の確認記録を除いて、13 件は夜間の確認で あった。 他文献からの情報 「埼玉県 レッドデータブック」による と、低地帯における繁殖地で は、神社の大木に営巣する例 が多かったが、大木及び餌と なる昆虫類が少なくなったこ とにより繁殖地の減少が顕著 になっている。神奈川県 (2006)と東京都(2010)の レッドリストではともに絶滅 危惧Ⅱ類。 その他の所見 最も身近なフクロウ類であるが、行動域や縄張り分散など詳細な生態はあまり知られ ていない。市街地も含めて全県的な情報収集が求められる。

(12)

動物 12 チョウゲンボウ(ハヤブサ科) Falco tinnunculus この種の概要 山地の崖地で繁殖するハヤブサ科の猛禽類。近年は、低地帯の人工建造物でも営巣し ている。埼玉県レッドデータブックでは「(繁殖鳥)準絶滅危惧」。 区別点 ハト大の小形のタカ。背や雨覆の赤褐色が目立ち、翼の先が開かないハヤブサ科の中では、 長い尾を開きながらホバリングする姿がよく見られることより、比較的識別が容易。 調査の状況 今回の調査では、11 市町 25 地点で 43 件の確認情報があった。昨年の 9 市町 14 地点 25 件に比べて情報件数が倍増した。43 件すべてが生体の直接観察による確認だった。増減は「昨年 と変わらず」が39 件、「昨年より少ない」が 2 件、「新規のため不明」が 2 件だった。 分布の状況 台地・丘陵帯での観察が寄居町、所沢市の 2 件で、あとは低地帯での観察だった。 月変化 5 月~12 月の毎月観察さ れている。繁殖期の5,6 月と 12 月の冬季の記録が比較的多かった。 他文献からの情報 「埼玉県レッ ドデータブック」によると、本来 の営巣場所である絶壁のくぼみで の繁殖は、秩父山地でのごく少数 の確認しかないが、1980 年頃から 低地帯の高架橋などの人工建造物 でも営巣例が報告されるようにな った。「埼玉県動物誌」(1978)には、繁殖確認の記載はない。 その他の所見 市街地のビルでも営巣が確認されていて、県南部でもよく観察されるようになってき たが、今回の調査では、市街地内にサイトが設定されていないこともあって、市街地の中での観察例 は少なかったが、岩槻駅前の確認が1 件あった。

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動物 13 モズ(モズ科)Lanius bucephalus この種の概要 平地から低山帯にかけて広く分布する。人里の林縁、潅木林、屋敷林などで繁殖する。 秋には農耕地を中心に冬のなわばりを主張するモズの「高鳴き」を聞くことができる。 区別点 頭が大きく体も太め、かぎ型のくちばしと長い尾を持つ。その尾をまわしたり、上下によく 振る。体は褐色で、雄は背に灰色味があり、翼に白斑がある。また目を通る黒い帯が目立つ。 調査の状況 今回の調査では、22 市町 49 地点で 133 件の確認情報があった。123 件が生体の直接観 察、10 件が鳴き声による確認だった。増減は「今年初めて」が 6 件、「昨年と変わらず」が 103 件、 「昨年より多い」が15 件、「昨年より少ない」が 1 件、「非常に少ない」が 1 件、「新規のため不 明」が7 件だった。 分布の状況 低山帯が 7 地点、丘陵・台地帯 が8 地点、低地帯が 34 地点で、広範囲に観察 された。 また、鳥類では最も確 認情報が多かった。 月変化 確認情報と個 体数とも秋から冬にかけて(9 月から 12 月)が多かった。 他文献からの情報 東京都(2010)のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、神奈川県(2006)では減少種 に指定されている。 その他の所見 モズは近年、保全が求められている里山を代表する鳥類である。林、草地、農耕地な どで小動物を餌として生活しているモズが、今後も安定して存続できるかどうか、注目していく必要 がある。

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動物 14 ヒバリ(ヒバリ科) Alauda arvensis この種の概要 河原や畑、草地などの地上で繁殖する。麦畑など耕作地で営巣し、空高く舞い上がり、 長く複雑なさえずりをするため、昔から親しまれてきた。 区別点 特徴的なさえずりと興奮した時によく立てる冠羽のため、識別は容易。 調査の状況 今回の調査では、32 市町 35 地点で 77 件の確認情報があった。74 件が生体の直接観察、 3 件が鳴き声のみでの確認だった。増減に関しては「初めての記録」が 6 件、「昨年と変わらず」が 43 件、「昨年より多くなった」が 9 件、「昨年より少なくなった」が 17 件、「非常に少ない」が 1 件、「新規のため不明」が1 件であった。 分布の状況 低山帯が 7 地点、台地・丘陵帯が 7 地点、あとは低地帯での記録だった。 月変化 繁殖期の 5~7 月 を中心とするピークと10、 11 月をピークとする二山 の確認情報があった。1~ 3月の記録が少ないが、留 鳥の特徴が良く出た結果で ある。 他文献からの情報 「埼玉 県動物誌」(1978)では、 秩父盆地とその周辺の低い山地の山麓部から低地まで平地全域に分布とされている。「埼玉の鳥とけ ものたち」(1985)でも、山地帯から低地帯の分布としている。「東京都レッドリスト」(2010)で は、新たにレッドリストに掲載された。

その他の所見 東京都の調査(Bird Research vol.1 2005)では 1970 年代から 1990 年代にかけてヒ バリの生息地が急激に消失したことが明らかになっている。減少地域では畑の面積が急激に減少して おり、畑地の減少がヒバリの減少に大きく関係していると考えられている。県内でもヒバリが少なく なったという声が聞かれており、畑の減少との関連が予想される。

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動物 15 オオヨシキリ(ヨシキリ科) Acrocephalus arundinaceus この種の概要 夏鳥として湿地のヨシ原で繁殖する。オスはメスよりも少し早く渡来して、縄張りを 持つ。一夫多妻の鳥で、縄張り内には複数の巣と雌が共存することが多い。 区別点 オスは縄張り宣言をするため、ヨシ原で「ギョギョシ ギョギョシ」と大きな声でさえずり、 識別は容易。コヨシキリは似ているが、ずっと小さく、さえずりの識別も容易である。 調査の状況 今回の調査では、15 市町 32 地点で 80 件の確認情報があった。67 件が生体の直接観察、 13 件が鳴き声のみでの確認だった。増減は増減に関しては「初めての記録」が 2 件、「昨年と変わら ず」が63 件、「昨年より多くなった」が 9 件、「昨年より少なくなった」が 5 件、「非常に少ない」 が1 件であった。 分布の状況 低山帯が秩父市の1地点、台地・丘陵帯が寄居町の1件だけで、あとはすべて低地帯で の記録だった。 月変化 縄張りで囀る姿がよく見られる 5 月から7月の記録が多かった。いちばん早い記録は、上尾 市の4 月 11 日だった。遅い記 録は伊奈町の9 月 24 日だった。 他文献からの情報 「埼玉県動 物誌」(1978)では、低地から 秩父盆地内のヨシ原でよく見ら れるとされている。 その他の所見 10個体以上の 個体が観察された地点が、富士 見市、さいたま市、蓮田市の3 地点のみであった。河川敷、休耕田などのヨシ原の増減によって生息数が大きく影響を受けると思わ れる。現況を幅広く調査することが望まれる。

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動物 16 セッカ(セッカ科) Cisticola juncidis この種の概要 チガヤ、ススキ草原、河川敷や埋立地の草地、水田などで繁殖する。オスは繁殖期間 中に次々と巣をつくり、一つの巣ごとにメスを誘っては交尾し、卵やヒナの世話をメスにまかせる連 続的一夫多妻である。 区別点 オスは「ヒッ ヒッ ヒッ」と鳴きながら上昇し、「チャチャ チャチャ」と鳴きながら下 降を繰り返して縄張り宣言をする。このような特徴的な「さえずり飛行」をするので、識別は容易。 より大型のオオセッカが似たようなさえずり飛行をするが、県内では、わずかに越冬するだけで繁殖 はしていない。 調査の状況 今回の調査では、13 市町 28 地点で 69 件の確認情報があった。57 件が生体の直接観察、 12 件が鳴き声のみでの確認だった。増減に関しては「初めての記録」が 2 件、「昨年と変わらず」が 60 件、「昨年より多くなった」が 1 件、 「新規のため不明」が6 件であった。 分布の状況 寄居町の丘陵・台地帯から 1 地点、後はすべて低地帯の記録であり、 河川敷や調整池での観察が多いようだ。 月変化 繁殖期の 5 月から 9 月の記録が 多かった。冬季の12 月の記録はさいた ま市緑区のもの。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)では、県内平野部の湿地等で普通に見かけるとしてい る。「埼玉の鳥とけものたち」(1985)では、台地・丘陵帯から低地帯に分布とされ、「種の多様性 調査」でも、いちばん標高の高い記録は皆野町蓑山である。 その他の所見 草原の鳥であるが、河川の氾濫原や埋め立て地の草原など、恒常的に存在する環境で はなく、突発的に出現するような環境を好んで生息するという(「上田恵介」2006)。植物で言うな らパイオニア植物と言ってよい。

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動物 17 ガビチョウ(チメドリ科)Garrulax conorus この種の概要 東南アジア原産のペット由来の外来 種。外来生物法による特定外来生物に指定されている。1980 年代から関東でも繁殖が確認されている。 県内では、10 年ほど前から急激に目撃情報が増えている。下層植生の発達した林に生息する。 区別点 体色は茶褐色で、目から後ろにかけて白い眉斑が伸びるのが特徴で多種との混同はない。ク ロツグミ、キビタキ、オオルリ、サンコウチョウなどの囀りをまねることが多いので、夏季は注意を 要する。 調査の状況 今回の調査では、15 市町 28 地点で 88 件の確認情報があった。51 件が生体の直接観察、 34 件が鳴き声による確認だっ た。増減は「昨年と変わらず」 が69 件、「昨年より多い」が 7 件、「昨年より少ない」が9 件、 「非常に少ない」が1 件、「新 規のため不明」が2 件だった。 分布の状況 低山帯が7 地点、 丘陵・台地帯が12 地点、低地 帯が9 地点で、広範囲に観察さ れた。 月変化 毎月観察されている。5 月から 8 月と 10 月の記録が多かった。 他文献からの情報 「外来種ハンドブック」(日本生態学会.2002)によると、里山の放置によるヤ ブの増加がガビチョウの好適な生息場所を増加させていると推測している。日本での在来種への影響 についての詳細な報告はないが、本種が定着しているハワイでは在来種の個体群密度に影響を与えて いるとの報告がある。なお、「埼玉県動物誌」(1978)の「帰化動物と埼玉における現状」には、本 種は記載されていない。 その他の所見 ウグイスやシロハラ、アカハラなど、発達した下層植生の中や林内の地上部で活動す る在来の鳥類と競合する可能性がある。

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動物 18 クサガメ(イシガメ科) Chinemys reevesii この種の概要 平地の河川や池沼、それに繋がった水路や水田などに生息する。県内でも低地帯に広 く分布するが、人為的に放されることもあり、どこまでが自然分布なのかを区別するのは難しい。外 来種のアカミミガメとの競合が懸念されている。埼玉県レッドデータブックでは、「準絶滅危惧」。 区別点 甲羅の背に3本の隆起があることと、後縁部がギザギザしていないことでイシガメと区別で きる。 調査の状況 今回の調査では、6 市 11 地点で 12 件の確認情報が得られた。12 件とも生体の確認であ った。増減に関しては「非常に少ない」が1 件、「昨年と変わらず」が 8 件、「昨年より多くなった」 が1 件、「新規のため不明」が 2 件であった。 分布の状況 台地・丘陵帯が所沢市と本庄市の2 件、他の 10 件は低地帯(さいたま市、志木市、川 口市、行田市)であった。 月変化 5 月から 11 月に かけて観察されている。 他文献からの情報 「埼玉 県動物誌」(1978)では、 県内ではイシガメよりも数 が少ないとされている。 その他の所見 アカミミガ メと似たような環境に生息するが、今回の調査ではアカミミガメが23 地点で確認されたのに比べて、 クサガメは11 地点と大幅に少なかった。この傾向は昨年と変わらなかった。

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動物 19

ニホンヤモリの月別確認件数・個体数

0 1 2 3 4 5 6 7 8 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 0 2 4 6 8 10 12 14 16 生体 個体数 ニホンヤモリ(ヤモリ科) Gekko japonicas この種の概要 日本に定着した時期は不明だが、大陸からの外来種と考えられている。民家などの建 物とその周辺を利用し、野外で見かけることは少ない。県内でも、古い市街地などで見られることが 多いが局地的。夜行性で灯火の周りに集まる昆虫を捕食して生活するので、門灯や軒下で見ることが 多い。埼玉県レッドデータブックでは「準絶滅危惧」。 区別点 県内には、他に間違える種類はいない。 調査の状況 今回の調査では、昨年(5 市 5 地点で 8 件)に比べ大幅に増加し、8 市 13 地点で 32 件 の確認情報が得られた。すべて生体の確認であった。増減に関しては「初めての記録」が3 件、「昨 年と変わらず」が27 件、「昨年より少なくなった」が 1 件、「新規のため不明」が 1 件であった。 分布の状況 台地丘陵帯は所沢市の1 件のみで、他はすべて低地帯での確認だった。埼玉県レッドデ ータブックや「種の多様性調査」に記載されている市町村以外では、蓮田市で確認された。 月変化 生体の確認は5 月から 11 月であった。確認件数と個体数とも 8 月から 10 月にかけて増加し た。 他文献からの情報 「埼玉県動 物誌」(1978)では、1945 年 以後ほとんど姿が見られなくな り、1970 年頃から再び姿を現し はじめた、と記述している。 その他の所見 分布は局地的と されているが、具体的にどの程 度県内に生息しているのか、は っきりしていない。全県的なデータの収集が望まれる。

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動物 20 ニホントカゲ(トカゲ科)

Plestiodon japonicus

この種の概要 ニホンカナヘビとともに、県内では身近なは虫類。平地から低山の草地や石垣、庭先 などに生息する。埼玉県レッドデータブックでは、「地帯別危惧」。 区別点 全体に光沢があり、幼体は尾がコバルトブルーなのが特徴。ニホンカナヘビよりも乾燥した 場所を好むため、日当たりがよく、石ころが多いような所に多い。 調査の状況 今回の調査では、14 市19 地点で 52 件の確認情報が得 られた。すべて生体の確認であっ た。昨年(7 市 9 地点で 19 件)に 比べて確認件数は大幅に増加した が、ニホンカナヘビに比べて、得 られた情報は半分程度であった。 増減に関しては「初めての記録」 が11 件、「昨年と変わらず」が 23 件、「昨年より少なくなった」が 6 件、「非常に少ない」が 6 件、「昨年より多くなった」が 6 件であった。 分布の状況 低山帯 3 地点、台地・丘陵帯が 5 地点、低地帯が 11 地点であった。 月変化 4 月から 10 月まで確認されている。確認件数、個体数とも 8 月にピークがあった。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)によると、県内では標高 500m 以上の山地では発見は きわめて少なく、標高850m 地点が最高。 その他の所見 埼玉県レッドデータブックによる「地帯別危惧」の内訳は、低山帯と低地帯の荒川以 西と大宮台地が「準絶滅危惧」、低地帯の中川・加須低地が「絶滅危惧Ⅱ類」、山地帯が「情報不足」。

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動物 21

ニホンカナヘビの月別確認件数・個体数

0 5 10 15 20 25 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 生体 個体数 ニホンカナヘビ(カナヘビ科)Takydromus tachydromoides この種の概要 県内ではいちばん身近なは虫類。平地から低山の草地や藪、庭先などに生息する。ヘ ビのように細長いが、可愛いので愛(かな)蛇というのが名前の由来。 区別点 ニホントカゲと混同されやすいが、ニホンカナヘビは光沢がなく、相対的に尾が長いことで 区別できる。また、ニホントカゲの幼体の尾は青い。 調査の状況 今回の調査では、21 市町 39 地点で 106 件の確認情報が得られた。すべて生体の確認で あった。増減に関しては「初めての記録」が9 件、「昨年と変わらず」が 84 件、「昨年より多くな った」が1 件、「昨年より非常に少ない」が 4 件、「昨年より少なくなった」が 6 件であった。 分布の状況 低山帯が秩父市の 4 地点、台地・丘陵帯が寄居町、飯能市、東松山市、所沢市の 8 地点、 あとの27 地点は低地帯であった。 月変化 5 月から 12 月まで確認されている。確認件数は5月~9 月までが多かった。また、個体数は 9 月が最も多かった。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」 (1978)によると、県 内では、標高500m 以 上の山地まで一様に分 布し、1000m 以上の高 山でも姿を見ることが あるという。 その他の所見 同様に 人家近くにいるニホン トカゲやニホンヤモリと比べて圧倒的に多く情報が集まった。

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動物 22

アカミミガメの月別確認件数・個体数

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 0 10 20 30 40 50 60 70 80 確認件数 個体数 アカミミガメ(ヌマガメ科) Trachemys scripta この種の概要 アメリカ大陸原産の外来種。幼体がミドリガメという名称でペットとして大量に販売 されてきた。全国の河川や池沼で見られ、在来の淡水ガメとの競合や餌となる生物への影響が懸念さ れている。県内でも、広く分布している。外来生物法による特定外来生物に指定されている。 区別点 目の後方に鮮やかな赤い線が入ることで、容易に見分けられる。 調査の状況 今回の調査では、12 市町 26 地点で 83 件の確認情報が得られた。すべて生体の確認で あった。増減に関しては「昨年と変わらず」が69 件、「昨年より多くなった」が 6 件、「初めての 記録」が4 件、「新規のため不明」が 4 件であった。 分布の状況 寄居町、本庄市の2 地点が台地・丘陵帯、その他はすべて低地帯で、さいたま市の見沼 区の確認情報が多かった。 月変化 4 月から 12 月にかけて確認された。6 月の確認件数が多かったが個体数は 10 月が多かった。 他文献からの情報 「外来 種ハンドブック」(日本生 態学会.2002)によると、 1950 年代後半から幼体が 輸入され、60 年代後半から 野外で野生化した個体が見 つかるようになった。なお、 「埼玉県動物誌」(1978) の「帰化動物と埼玉におけ る現状」には、本種は記載 されていない。 その他の所見 今回の調査で、県内の広い地域で生息していることが推察できた。在来種への影響を 考える上でも継続的な調査が望まれる。なお、日本に輸入されたのは亜種ミシシッピーアカミミガメ が多いが、別亜種やアカミミガメ属の別種も含まれていたようである。この調査では、特に区別はせ

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動物 23

アズマヒキガエルの月別確認件数・個体数

0 1 2 3 4 5 6 5月 6月 7月 8月 9月 10月 0 20 40 60 80 100 120 生体 個体数 アズマヒキガエル(ヒキガエル科) Bufo japonicus この種の概要 海岸付近から高山まで、幅広い環境に生息する大型のカエル。埼玉を含む東日本の亜 種をアズマヒキガエルと呼ぶ。県内でも山地帯から低地帯まで広い地域に生息する。水辺から遠く離 れた市街地の庭にいることもあり、ガマガエルと呼ばれ親しまれてきた。 区別点 皮膚にたくさんの隆起があり、県内には似た種類はいない。 調査の状況 今回の調査では、6 市 9 地点で 13 件の確認情報が得られた。すべて生体の確認であった。 増減に関しては「初めての記録」が2 件、「昨年と変わらず」が 9 件、「非常に少ない」が 1 件, 「新規のため不明」が1 件であった。 分布の状況 秩父市の2 地点が低山帯、飯能市と鳩山町の 2 地点が台地・丘陵帯、川越市、さいたま 市と川口市5 地点が低地帯であった。 月変化 7 月をのぞいて 5 月から 10 月にかけて確認されている。個体数は 5、6 月が多かった。 他文献からの情報 「種の多様性調査」に は、県内での亜高山帯 の記録もある。山地産 の小型のものを、ヤマ ヒキガエルとして別亜 種としたこともあった ようだが、現在は一般 的ではない。 その他の所見 産卵期 を除き、水辺からは離れたところで生活をする。近年、局地的に減少している可能性を指摘する声が あるが、詳細はわかっていない。親しまれているカエルにしては情報が少ないが、市街地内の調査サ イトが少ないことが原因なのかもしれない。

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動物 24

ニホンアマガエルの月別確認件数・個体数

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 0 50 100 150 200 250 300 350 生体 鳴声 個体数 ニホンアマガエル(アマガエル科)

Hyla japonica

この種の概要 海岸付近から高山まで、幅広い環境で生息している。県内でもほぼ全域に分布してい る。雨が降りそうになると繁殖期以外でも鳴く。主な生息場所は水田やその周囲の樹林地で、繁殖期 以外はヨシなど水辺の植物や木の上などで見られる。日本固有種であり、最も小型のカエル。 区別点 吸盤が発達している。シュレーゲルアオガエルやモリアオガエルの若い個体に似るが、鼓膜 の後に黒い線が入ることで区別できる。幼体は全身が褐色で、うすいまだら模様があるので、全身が 黒いヒキガエル類などと区別できる。 調査の状況 今回の調査では、15 市 28 地点で 69 件の確認情報が得られた。そのうち鳴き声だけで の確認は14 件であった。増減に関しては「今年初めて」が 15 件、「昨年と変わらず」が 41 件、「昨 年よりも少かった」が6 件、「非常に多い」が 1 件であった。 分布の状況 低山帯が秩父市の2地点、台地・丘陵帯が3 地点、その他 27 地点が低地帯だった。 月変化 4月から12 月にかけて観察されている。幼体の記録は少ない。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」 (1978)では、数はそ れほど多くない、とさ れている。 その他の所見 今回の 調査では、外来種のウ シガエルを除いて他の 両生類よりも確認情報 の件数が多かった。あ る程度の乾燥にも耐えることができ、吸盤を使って垂直な面の移動も可能なことから、多種の両生類 に比べて圃場や水路の整備にも適応力があるとされるが、都市化に伴い湖沼や水田の消失が進む中で 今後の減少が危惧される。

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動物 25

トウキョウダルマガエルの月別確認件数・個体数

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 5月 6月 7月 8月 9月 10月 0 20 40 60 80 100 120 140 160 生体 鳴声 個体数

トウキョウダルマガエル(アカガエル科) Rana porosa porosa

この種の概要 関東平野から仙台平野にかけて分布するダルマガエルの亜種。県内では水田地帯を 中心に、低山帯から低地帯にかけて生息している。埼玉県レッドデータブックでは「準絶滅危惧」。 区別点 小型のウシガエルに似るが、ウシガエルは背中線や背側線がない。県内にはトノサマガエル は生息しないが、トウキョウダルマガエルが「トノサマガエル」と呼ばれていたため、聞き取り調査 等では注意を要する。 調査の状況 今回の調査では、13 市 19 地点で 30 件の確認情報が得られた。そのうち鳴き声だけで の確認は5 件で、5 月 1 件、6 月 3 件、7 月1件の情報があった。増減については「昨年と変わらず」 が27 件、「多くなった」が2件、「新規のため不明」が1件であった。 分布の状況 本庄市と日高市の2 地点が台地・丘陵帯で、あとは低地帯での観察だった。 月変化 5 月から 10 月にかけて観察されている。確認件数は 6 月、個体数は 8 月が最も多かった。 他文献からの情報 県内 では「トノサマガエル」 と呼ばれていたため、ト ノサマガエルとの混乱が 生じていた。「埼玉県動 物誌」(1978)では、疑 問を呈しながらも、トノ サマガエルとトウキョウ ダルマガエルの両種の記 載がある。半水棲で、水 辺から離れることはまれ である。環境の乾燥化に 弱いため埼玉県レッドデ ータブックによると、生存が今後最も危惧される種となっている。 その他の所見 ため池や水田の減少と共に数が少なくなっている。水田地帯での調査を含め、県内全 域での調査が望まれる。

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動物 26 ウシガエル(アカガエル科) Rana catesbeniana この種の概要 北アメリカ原産の外来種。食用を目的とした養殖のため導入されたが、放逐され、全 国の多くの地域で繁殖している。県内でも広い地域に生息している。外来生物法による特定外来生物。 区別点 県内では最大のカエルであり、成体であれば他のカエルと間違えることはない。鳴き声が特 徴的なので、それだけでも調査が可能である。ほとんどのオタマジャクシが越冬してから成体になる。 調査の状況 今回の調査では、14 市町 32 地点で 80 件の確認情報が得られた。60 件が生体の確認、 20 件が鳴き声での確認だった。増減に関しては「昨年と変わらず」が 72 件、「去年より多くなった」 が5 件、「初めての記録」が 3 件であった。 分布の状況 低山帯での確認は秩父市の3 地点、台地・丘陵帯での確認は所沢市、本庄市と鳩山町の 43 地点、残りの 24 地点は低地帯での確認であった。 月変化 5 月から 11 月まで観察された。幼体については、6 月に 2 年目の幼体が、9 月から 11 月に かけてはその年に産卵された幼体が報告されている。 他文献からの情報 「埼玉 県動物誌」(1978)による と、埼玉県に入ってきたの は1936 年頃で、川口市や 浦和市が最初の生息地のよ うである。また、「1965 年頃までは、東部、南部の 平坦地の水域にかなり多く 生息していたが、最近の数 年間で著しく減少した」と 記述されている。 その他の所見 「外来種ハンドブック」(日本生態学会.2002)によると、日本への導入は 1918 年が 最初であり、その後半世紀にわたって、原産地からの輸入などが繰り返されてきた。

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動物 27

メダカ(メダカ科) Oryzias latipes と カダヤシ(カダヤシ科) Gambusia affinis この種の概要 メダカは北海道を除く全国に分布し池沼や水田の水路などに生息する。県内では、台 地・丘陵帯から低地帯にかけて生息するが、護岸やほ場整備のため生息地は局地的になっている。 埼玉県レッドデータブックでは、メダカ南日本集団(ミナミメダカ)が「絶滅危惧Ⅱ類」。 観賞用に販売されているヒメダカと区別するために、野生のメダカをクロメダカと呼ぶこともある。 カダヤシは北米原産の外来種である。和名「蚊絶やし」が示すように、ボウフラ駆除を目的に世界 各地に移入され、日本にも1916 年に最初に持ち込まれ、1970 年以降各地に放流され広がった。メダ カの稚魚の補食など在来の小型水生生物への影響が指摘されている。外来生物法による特定外来生物。

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動物 28 メダカは卵生であり、雌が水草などに産み付けた卵に雄が精子をかけて受精させるが、カダヤシは よく知られているグッピーと同様に卵胎生で、体内で卵を受精して孵化させ、たくさんの仔魚を出産 する。また雄(約3cm)に比べて雌(約 5cm)の方が大きい。 区別点 メダカはカダヤシに比べて尻ビレが大きく、尾ビレの後端が真っ直ぐである。カダヤシは尾 びれの形が団扇のように後端が丸くなっていることで見分けられる。黒矢印参照 また、カダヤシの雄のしりびれは細長くなり、交尾器に変化している。白点線矢印参照 メダカの雌雄の違い メダカの雄は背びれの後部に切れ込みがある。白矢印参照。 メダカの雄の尻びれは雌に比べて大きくなっている。黄矢印参照 メダカの雌の胸びれは雌の方が大きい。赤矢印参照、 調査の状況 捕獲調査の報告が9 団体から寄せられた。川越市新河岸川新城橋・川越市鯨井資源化セ ンター用水路・川越市小堤八幡神社・飯能・川口・鶴ヶ島飯森川・所沢菩提樹池・東松山高坂・深谷 ・本庄からはメダカだけが、志木柳瀬川から両者が、鶴ヶ島大谷川からはカダヤシだけが報告された。 報告地点が少ないもののメダカのみの報告が多かったのは、やや予想外であったが喜ばしいことであ る。捕獲データ数が少ないため、両者の種間関係まで言及することはできないが、都市近郊の水質の 良くない河川、用水路などでは、メダカと思っていたものがすべてカダヤシであったということも聞 いており、今回の調査だけでメダカが多いとは言えない。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)によると、カダヤシは 1970 年頃から県南東部の汚れ た水域で大繁殖をし、東部低地の吉川・三郷付近では本種が多く、メダカは少ない、との記述がある。 「さいたまレッドデータブック」(2008)によると、メダカは近年、加須低地一帯などに多産地をわ ずかに残しているものの、ほぼ全県的に産地の数が激減しているという。 その他の所見 2013 年 3 月 1 日、神奈川県立生命の星・地球博物館は、国内の野生メダカ 2 種に、 生息地域から「キタノメダカ」(これまでメダカ北日本集団とされていた)と「ミナミメダカ」(こ れまでメダカ南日本集団とされていた)という和名を付けた。 両者とも絶滅危惧種であり、安易な移動・導入を行って遺伝子汚染を起こすことがないように、適 切に保護していくことが望まれる。

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動物 29

クマゼミ(セミ科) Cryptotympana facialis(Walker)

この種の概要 国内の分布は本州(関東地方以西)、四国、九州、対馬、沖縄。西日本に多い南方系 のセミ。近年、関東地方で増加しており、緑化木の移植と共に幼虫が移入されたためではないかと考 えられている。県内でも県南部を中心に観察例が増えている。 区別点 大型であること、鳴き声がシャアシャアに近い声で容易に区別できる。 調査の状況 今回の調査では、14市町(北本市、さいたま市、志木市、和光市、行田市、久喜市、 東松山市、熊谷市、入間市、越谷市、日高市、蕨市、川口市、寄居町)の19地点から21件の確認 情報が寄せられた。 分布の状況 確認情報が寄せられた19地点のうち、 低地帯15地点、台地・丘陵帯4地点であった。 月変化 確認された21件のうち、7月が1件、8 月が16件、9月が4件となっており、盛夏の8月 の確認が多い。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)には、浦和、飯能、秩父橋立、皆野での鳴き声報告が 記載され、県内での定着は否定できないと記述されている。「埼玉県昆虫誌Ⅰ」(埼玉昆虫談話会・ 1998)には16か所、「種の多様性調査」には、秩父市、皆野町、県南部など12か所の記録がある。 その他の所見 県内のこれまでの記録には、公園整備に伴う植木の移植によって幼虫が運ばれてきた と推測されるものも多い。人為的な移入によると考えられる場所で、今後世代交代が続くか調べる必 要があると思われる。また、今回の調査では局所的に多く確認できるところがあるものの、県全域的 に分布している様子は伺われない。今後も動向に注視しつつ継続的な調査が望まれる。

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動物 30

ヒグラシ(セミ科) Tanna japonensis(Distant)

この種の概要 国内では北海道から九州、奄美まで分布。スギ・ヒノキ林に多く、広葉樹林にも生息 する。曇りの日や夕刻に鳴き、その鳴き声から「カナカナ」とも呼ばれている。 区別点 特徴的な鳴き声で早朝や夕方に鳴くので、区分は容易。 調査の状況 今回回の調査では、16市町(秩父市、北本市、志木市、和光市、飯能市、行田市、さ いたま市、入間市、蓮田市、所沢市、川越市、上尾市、川口市、熊谷市、寄居町、小鹿野町)の21 地点から46件の確認情報が寄せられた。 分布の状況 確認情報が寄せられた21地点のうち、 低地帯12地点、台地・丘陵帯3地点、低山帯6地点 であった。 月変化 確認された46件のうち、7月が14件、 8月が19件、9月が13件となっている。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)には、「低山地から山地にかけてごく普通、平地には 見られない」と記述されている。「埼玉県昆虫誌Ⅰ」(埼玉昆虫談話会・1998)には、大利根町など の低地帯から大滝村の山地帯まで69地点の記録が記載されている。「種の多様性調査」には、大滝 村、飯能市、所沢市、和光市など14地点の記録がある。 その他の所見 今回の調査では低地帯からの報告が一番多く、山地、丘陵帯のセミというイメージは 伺えない。県内にはもっと広範に生息しているものと考えられるが、鳴き声による確認方法では調査 時間帯によっては確認されないことも危惧される。

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動物 31

ミンミンゼミ(セミ科) Hyalessa maculaticollis(Motschulsky)

この種の概要 国内の分布は北海道から九州まで生息。胸背が黒色地に緑色斑か緑色地に黒色斑をも つセミ。県内でも盛夏には低地帯から低山帯まで普通に見られる。 区別点 ミーンミンミンという鳴き声で容易に区別できる。 調査の状況 今回の調査では、25市町(秩父市、北本市、さいたま市、志木市、和光市、飯能市、 川口市、入間市、行田市、朝霞市、白岡市、川越市、上尾市、蕨市、鴻巣市、加須市、蓮田市、所沢 市、越谷市、熊谷市、深谷市、東松山市、川島町、鳩山町、寄居町)の48地点から92件の確認情 報が寄せられた。 分布の状況 確認情報が寄せられた48地点のうち、低地 帯40地点、台地・丘陵帯4地点、低山帯4地点であった。 月変化 確認された92件のうち、7月が23件、8月が 43件、9月が25件、10月が1件となっており、盛夏 の8月を中心に暑い盛りの時期の確認が多い。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)には、「県内の平地及び低山地にかけて個体数も多く、 普通種」と記載されている。「埼玉県昆虫誌Ⅰ」(埼玉昆虫談話会・1998)には1山地帯の記録も記 載されている。「種の多様性調査」には、大滝村、飯能市、所沢市、さいたま市、加須市など18地 点の記録がある。 その他の所見 首都圏では数が増えていて、これは幼虫が乾燥にも比較的強いためとか、公園に植栽 された樹木が大きくなり屋敷林的に変化しているためとも考えられている。今回の調査でもセミのな かでは一番確認数も多く、県南部を中心に広く生息している様子が伺える。

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動物 32 0 2 4 6 8 10 12 14 16 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 ジャコウアゲハ月別確認件数・数(成虫) 件数 数 ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科) Byasa alcinous alcinous

この種の概要 青森県を除く本州以南で見られるが、東北地方北部では局部的。翅は細身で尾状の突 起は長く、♂は黒色でビロードのような光沢がある。♀は南では黒色化の傾向があるが、一般的に黄 褐色。胸部と腹部の側面に暗赤ないし黄色の毛が密生。食草はウマノスズクサ科の各種。 区別点 ♂はオナガアゲハに似るため、捕獲しないと区別が難しいが、腹部に赤い斑紋があればジャ コウアゲハ。♀は食草付近などを非常に緩やかに飛ぶことから、区別は比較的容易である。 調査の状況 11 市町、18 地点から昨年より 多くの確認情報が寄せられたが、増減は変 化なしとの報告が8割近く、安定はしてい るようだ。 分布の状況 山地帯以上を除く、低山帯、 台地・丘陵帯、低地帯で幅広く確認された。 月変化 今回の調査で最も早い記録は 5 月 5 日(さいたま市)、最も遅い記録は 12 月 7 日(行田市) だが、特異な例と思われる。5 月と 7~8 月に増加する。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)では丘陵地では少なく、「個体数が少なくなった蝶の 内の一つ」と記載されている。「埼玉県昆虫誌」(埼玉昆虫談話会.1998)には、個体数の増減の変 動が観察されるとあり、低山帯を含め41 市町村で記録されている。 その他の所見 食草は河川敷、道路・線路端にも見かけるが、つる性植物のため、刈り払い対象とな りやすい。食草の増減や刈り払い時期が個体数の増減に大きな影響をもたらす可能性がある。同じウ マノスズクサを食草とする外来種ホソオチョウの増減にも留意する必要がある。

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動物 33 0 2 4 6 8 10 12 14 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 ナガサキアゲハ月別確認件数・数(成虫) 件数 数

ナガサキアゲハ(アゲハチョウ科) Papilio memnon thunbergii

この種の概要 かつては近畿以西に生息していたが、今は関東地方まで拡大し、東京周辺では普通の チョウに。♂♀とも後翅に尾状突起がない(♀には稀に突起がある)。♂の翅表は黒色、後翅裏面基 部に赤斑があり、♀の地色は淡い黒色で、前中室の基部に赤褐色の紋、後翅に白班をもつ。食樹はザ ボン、ネーブル、ユズ、ナツミカンなどのミカン類。栽培ミカン類への依存度が高いといわれている。 区別点 黒いアゲハで尾状突起がな く、食樹付近などを緩やかに飛ぶ。 調査の状況 14 市町、22 地点から確 認情報が寄せられ、昨年より確認範 囲が広がった。7 割以上が変化なし との報告だが、行田市等で初記録と なった。 分布の状況 低地帯、都市部での確認が多いが、台地・丘陵帯、低山帯でも確認されている。 月変化 最も早い確認は 5 月 12 日の嵐山町で、最も遅い確認は 10 月 13 日の飯能市であった。5 月の 他、7 月から 9 月での確認が多く、数は 8 月がピークである。 他文献からの情報 埼玉昆虫談話会会報「寄せ蛾記」(143 号/20011.9、牧林功)によれば、2000 年 に北本市で確認されたのが最初で、2005 年前後から県内での記録が増え、2009 年から記録が急増し ているとのこと。東京都内では2006 年に一気に拡大したとのこと(「東京都の蝶」2012)。 その他の所見 温暖化による分布の拡大かとの指摘もあるが、秩父や奥武蔵の記録もあり、ミカン栽 培との関係も検討する必要がある。

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動物 34

クロコノマチョウ(ジャノメチョウ亜科) Melanitis phedima oitensis

この種の概要 国内では本州、四国、九州などに分布。北と南へ拡大、定着化がすすみ、本州では 1955 年から見られ、確認が増えている。夏型は6~7月頃から現れ、秋型は9~10月頃に羽化。秋型の 成虫で越冬。食草は、ススキ、ジュズダマ、ヨシなどのイネ科植物。成虫は樹液や腐果を吸汁。日中 は林内の暗所に止まっていることが多い。 区別点 季節により形や色、紋に変化があり、ウスイロコノマチョウに似ることから同定には注意を 要するが、県内には生息していない。 調査の状況 今回の調査では、2市(飯能市、所沢市)2地点でしか確認されなかった。地味なチョ ウであることも影響していると思われる。 分布の状況 南部の台地・丘陵帯2地点での確認となったが、昨年の記録と合わせると、入間川水系 の低山帯、台地・丘陵地には生息していると思われる。 月変化 通常は、春に越冬個体が観察され、初夏に 1 回目の発生、秋に 2 回目の発生が行われるが、 今回は越冬個体(5 月)と秋型(9 月)が確認されたようだ。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)には記録はなく、「埼玉県昆虫誌Ⅰ」(埼玉昆虫談話 会.1998)には、1981 年以降記録が増え、「北上し、棲息地域を拡大していることが十分考えられる」 とある。最近の埼玉昆虫談話会会報「寄せ蛾記」では、2007 年日高市・飯能市、2008 年上尾市・所沢 市、2009 年坂戸市、2010 年さいたま市などの記録がある。 その他の所見 飯能市の調査員は 2005 年に初めて確認し、2009 年にヨシの茂る谷津田で大発生した 後、個体数は落ち着いている。発生に波はあるが、着実に定着しているようだ。

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動物 35 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 ツマグロヒョウモン月別確認件数・数(成虫) 件数 数 ツマグロヒョウモン(タテハチョウ科) Argyreus hyperbius hyperbius

この種の概要 国内では近畿、東海以西に生息していたチョウ。徐々に生息域が北上し、北関東、北 陸、東北まで分布を拡大している。食草は各種のスミレで、パンジーなどの栽培種も好むことが分布 拡大の要因とも言われる。♀はカバマダラに擬態しているというが、県内には生息していない。 区別点 ♀の前翅の先端部に白帯の入った黒色部があるので、他のヒョウモンチョウの仲間と区別し やすい。♂は他のヒョウモンチョウ類に似るが、後翅裏面がまだら模様なので区別は容易。 調査の状況 23 市町、47 地点で確認さ れ、事実上県内全域で見られるといって よい。約7 割が昨年と変化なしとの報告 すっかり定着・安定している。 分布の状況 低山帯、台地・丘陵帯、低 地帯すべて確認され、標高や市街化に関 係なく広く分布している。 月変化 5 月から 11 月まで確認された。 5 月上旬から各地で確認され、11 月 20 日に秩父市から報告されている。最盛期は9月で、越冬後徐々 に増えて秋に数を増す典型的なパターンである。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)には、戦後採取記録があるが偶産種とし、「埼玉県昆 虫誌Ⅰ」(埼玉昆虫談話会.1998)では「本県には土着していないと考えられる」とあるが、埼玉昆 虫談話会会報「寄せ蛾記」(143 号/20011.9、牧林功)によれば、2000 年前後から県内で確認されは じめ、2005 年頃から各地での確認が急増しているとのこと。 その他の所見 畑や庭、河川の土手、街中など様々な場所で観察され、幼虫の報告も多い。

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動物 36 0 5 10 15 20 25 30 35 40 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 アカボシゴマダラ月別確認件数・数(成虫) 件数 数 アカボシゴマダラ(タテハチョウ科) Hestina assimilis この種の概要 在来種は奄美大島、徳之島、喜界島に分布。県内では 1995 年にさいたま市などで採取 され、その後急速に分布拡大中。これは中国産の亜種とみられ、ゴマダラチョウとの競合が懸念され ている。要注意外来生物リストでは、注意喚起が必要な外来生物。食樹は、県内ではエノキ。 区別点 白と黒のごまだら模様のゴマダラチョウに似るが、後翅が少し凹み、表面の縁沿いに赤い斑 紋があり比較的区別しやすいが、一見アサギマダラに似る。年3回発生すると見られるが、春型は白 色で黒色部が少なく、赤い紋はない(写真参照)。 調査の状況 19 市町 42 地点から確認さ れ、県北や東部への拡大が明らかになっ た。越谷市、白岡市等で初記録となった。 分布の状況 低地帯での確認が多いが、 台地・丘陵帯や低山帯でも確認されてい る。 月変化 今回 4 月から 10 月まで確認され、最も早い記録は 4 月 7 日(さいたま市)、遅い記録は 10 月 6 日(さいたま市、川口市)であった。4 月は通常は幼虫段階のため、特異な例と思われる。 他文献からの情報 「埼玉県動物誌」(1978)には記録はなく、「埼玉県昆虫誌Ⅰ」(埼玉昆虫談話 会.1998)には、1995 年の採集・目撃例。埼玉昆虫談話会会報「寄せ蛾記」ではここ数年、本種の記 録が急増しており、秩父地域各地での生息、飯能市ではオオムラサキとの交尾も確認された。 その他の所見 調査結果や文献情報から、現在県内全域、市街地、山間部にかかわりなく急速に分布 を広げていることが伺え、幼虫の報告も多い。近縁種への影響に留意する必要がある。

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