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陶
然 一富
お よ び 生産
一敗
種 木 健 次
l. 問題の所 在
人 間は, 部分 的に その本 史 を歩み は じ め た現 代社 会におい ても, 特 定の社会 的形 態 く資 本 制. 計 画経 済l の下に, 共 同 く社 会 抑 労 働によっ て自然 素 材 くNatu rstoffl ‑ その
本 源 的 形 態における大 地 くErde芸 ter r e I ‑ から迂 回 的であれ な お多くの素 材 的富 を 得て
い るo そ して はと ん ど全 部の労 働 生産 物と r人 間の労働 九 お よ び一 部の自然 素 材は交 換
のうちにco m prendre さ れており, それら を制 御 するもの は たで商 品. 資 本によ る商 品. 資 本の生 産だ けである かのようであるo ところ が, 人 間労 働 く1abori Arbeitニ と 自 然 素 材そのものは, 産 業 くind ustryl の, 従っ て人 間と自 然との素 材交 換 くStoffw e cks elつ と して の労働 過 程 くArbei tsproze s sl の本 質 的な二要 因であり, マルクスの言葉を借 りて言え ば, r く自 鮒 素 材の形 態を変 化さ せ る... こ の形 態 変 化 労働その もの におい て, 人 間は た え ず 自 然 力 くNatu rkraftl によっ て支 え ら れて いるJ の であるo つまり,素 材 的 富くstoffliche r
Reich tu m l ‑ 使 用価 値 くGebr a uchsw e rtう はこ の 二要 因の結 合し たもの であり, こ の富く使 用 価 値l の r産みの父J と して の 亡有 用 和 労 働 くndtzliche A rbei tl は その r母J であ る大 地 くE rdel , 人 間の協 力な しに天 然に現存 する物質 的 基 体くein m ate rielle s S ub ‑
stratl ‑ 自然 素 材とともに, いか な る社 会 的形 態と も 関わ りのない人 間の生 存 条件であり,
r人 間と自 然との間の素材 変 換二 物 質 代 謝J の 二要 因である. マ ルクスはこ の点をすで に折資 本 論A の中で, や ‑ 人間 労 働 力 能に重心 を おい て である が ‑ そ して これこそ本稿でとり ぁっか うー 論 点で もあ る が ‑ 指 摘 しえて いた
t . り
資 本 制 的な商 品 生 産と市場の経 済 制 度といえ ども, こうし た r ‑ 般 的 . 人 間 的 諸 法 別
く2 J
くall ge m ein m en sch liche Ge setz eJ を有し, かつそ れ か ら逸 脱 すること はできないo と
ころで, 今日, 経 済 学者の聞か ら, こう し た r 主 体であ る人 間と客 体で あ る自 然 とは どこ までも 同じであ るJ という 事 柄か ら生じ る r統一J にか か わ る r生 産 一 般 くProduk tio n im
allgem einenうJ が形 態 規 定と して の学から 区別. 分 離さ れ ることの必 要が言わ れ だ し たtt
r
l ,
こうし た経済 学における問題 関J仁一は, マ ルクス が r ‑ つの合理的な抽 象J と呼ん だ 理論 課 題 ‑ 現 実の歴 史 的な生 産 段 階, とりわけ 資 本制の もとにお け る そ れの体 系 的 把 握 ‑ と はある面では逆 行 程 を も意 味 するもの である.
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2 桂 木 健 次
周知の こと だ が, マ ル クス は商 品 生 産と市 場がつく りだ し た特 殊 . 歴 史 的な形 態 ‑ し かも 当 時におい ては 西欧に限定さ れ た ‑ として の資 本制 経 済制度の経 済 学 的体 系 化を行
っ たの であ り, そこ で の古典 派経 済 学へ の学 説 的批 判におい て, r 生 産の 一 般 的 条 件J と して の素 材 的富の生 産にか んする諸 命題と は本 質 的に区別さ れ た特 殊形 態の経 済メカニ ズ ム にか か わ る経 済学 的諸カ テ ゴリ ー を定 立さ せ たの である. だ が こ の こと は, マ ルクスが なにもこ の時 定の型の経 済をも制 約 する生産 一 般 く素 材 的 富の生 産にお け る人 間と 自然と の物質 代 謝l の意義を軽 視ないし捨 象し たこと を意 味し ない. マ ルクス は, 彼の視 野 を 素 材 的 富生 産 く使 用 価 値 生 産う と価 値 生 産, あ るいは労 働 過 程 く物質 代 謝l と価 値 増 殖 過 程 との統一 におき, 後者の援 済 的形 態 規 定 を 明示 することのた めの前 提 的な 理論作 業として 両 面にわ た る区別と統 一 を古 典 派経 済 学へ の批 判 的 検 討におい て行って いるo
ところで, 古典 派の中におい ても, ス ミス 肝諸 国 民の富A にお け る交 換と分 業の原理体 系 を 純 化さ せて資本 蓄積 論 として の価値 体 系 . 経 済 学 的 諸カテ ゴリー をあ み出し た リカ ー ド
ウとは別に, 異 端 者シス モ ンディ は, 基 本 的に素 材 的 富 く効 用l, とりわ け生 活 必 需 品お よび便 益 品の生 産 と 公 正な分配に関わ るr 社会の均 衡J に立 脚し, そこか ら商 品価 値の生 産と市場によ る分 配にお け る不 均 衡の問 題 性を考察し たo こ の彼の方 法 論は, 経 済 本 質 論 的かつ比 較 経 済 史 的なアプロ ー チ を特 徴と しており, し かも徹 底して勤 労 賞 民 く労 働 者,
農 民l の福 祉 実 現の政 策 体 系 を 打 ち 出そうと して いたt. 4J
シス モ ンディは, 1 8 3 4 年に発 表し た論 文r 工業に おける勤労 者の状 態に つい TJ くR e vu e m e n s uelle d,丘conomi e politique
, 7.8, 1 8 3 41 お よ び 肝経 済 学 研 究A くEtudes s u ,
舜
1占, c ono mie poli ti que, tem e 1.2, Paris, 1 8 3 7 ‑ 3 8.l へ のr 序 削く5 1の中で, 市場 向 け 産 業の発 展に伴う富の増 加と貧 困の増 加 という二律 背 反 を富と その分 配の問 題と して考え て検 討して いるo 彼は, r経 済 学の諸 問 題の中で最 も 重要である と思わ れ ることJ は r自 らの労 働によっ て富の創 造に貢 献 する者の間で富が満ち わ た ら せ る幸 福の分 け 前J の問 題
であ る と考え るto6 Jイ ギ リス の工業労 働 者が要 求して いる労 働 組 合 ぐtrade s, u nionl,
1ノヨ
ン くフラ ン スプ の暴 動は ヨ ー ロ ッ パを包む危 機の 一 端であ り, そ れ は財 産の差別 . 階級の 差 別というr所 有の問題J であっ て, 深 くr 章 楓 道 徳 的 進 歩にとっ て最 も 望ま しい富の 分 配J の形 式にか か わっ て いるご,
古 典 派におい て, 富 くwe alt h 芸richessel とはチ エ ル ゴ ー , ス ミス以 来, もとも と 実体 的 く物 抑 な経 済力 テ ゴリ ー であ り, 国 民の生 活に根 ざす 欲 望と有用性, 死 活 的な重要 性をも
つ r生 活必 需 品お よび便 益 品J , 人 間の健 康にか か わ る r 衣. 食. 住J を さ して いたごユリ カ ー ド ウ の場 合は, 富 と価 値の区別 を 自覚し な が らもな お, 富 裕の尺 度 を 富 とは区別さ れ て貨 幣性をもつ市 場 価 格に求め が ちである が,
tl O J
古 典 派 全 体と して の富 概 念は, 次の マ ルサ ス の定 義のう ちに認められ ようo r富 とは人 間に必 要な. 有 用な. ま た は快 適な物 質 的対 象 物であ って, そ れを 占有し たり, 生 産し たり するの に 一 定の人 間の努 力を要し たものJ三1 り
こ もでは, 有 用なもの C 効 用二 使 用 価 値 を もつ ものl 全てが必 ずしも 富と は み な さ れてお
自 然, 富および生 産一般 3 らず, 空気 . 光 . 雨な ど ‑ 今日でいう 自 然 的環境と して の対 象 軌‑I ‑ は捨 象されるo ま た, 非 物質 的な対 象物とも 区別さ れて いる.
ところ がシ ス モ ンディの場 合, 富 概 念は古 典 派一 般のさす物 質 的対 象 物かつ労働 生 産 物 かつ有 用 物のみを 意 味し ないo r人 間が享 受を望む物 質 財 を金 橋成 員のた めに生産 する人 間 労 働の全 生 産 軌 をさ し, 生 活上の物質 財の享 受く肉体 的享 楽の享 受1 お よび精 神 財の 大 半 偶 神 的享 楽の大 半1 が含 まれて いる三12 ,そのう ち物 質的 富は人 間の生 活 と健 康にか か わり, 全 構 成員の最大の幸 福の保 障, 人 間の欲 望 とその発展に供しており, そ れ は活 力. 余 暇. 精 神 上の健 康を規 定して いるo r 人 間そ れ自 身が富に属 し, あるいは富は人 間に属
して いるJ こと が らであっ て, こ の際, 富は r 人 間の状 態の修食削 r 人 間と所属 する物と
の 関 胤, すな わち r 人 間の労 働が生 産し た物の豊 富さJ r人 間の欲 望が消費 する物の豊 富 さJ でなければならないo こうして, 諸 国 民の富と は r社 会 くco m m u nel の幸 胤 に関 する定 義であ り, r 真に豊か な国 民J の言 葉はr亡人 間の労 働が生産し人 間の欲 望が消費す る物のj 豊 富さ が貧 者 も 富 者にも最 大の物 質 的 享 楽 をもた らしう る国 民J をさすの であ ると1 3 ,
シス モ ンディの こ の富 把 振におい ては, スミス以 降の実物 財として の概 念 ‑ 生 活 必 需 品お よび便 益品 ‑ を踏 襲しつ つも, r 欲 望の充 足J すな わち効 用 くutili t占1, 使 用 価 値の 意 義が強め ら れ, ボ アギエ ペ ‑ ルお よ び J.B . セ ‑
く川
に表わ さ れ た大 陸 系 経 済 思想が認め ら れ るo これ まで の学 説 的常 識に とっ て, 富 くriche ss el を 効 用くutilit占I に関わ らせ る 富の把 握は, すで にリカ ー ド ウ やマ ルサスによって斥 けられた学 説であるのだ が,
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シス モ ンディの富 把握は, 形 態 的な意 味 汀 第二次 富, 商業 的 乱l と は区別さ れ た実 体 的な意 味 くr第 一 次 的 乱 j を内容にもつ以 上, すぐ れて こう し た大 陸 系の富 概 念との共通 根を有し て いるo つまり, ス ミス ‑ リカ ー ド ウ. マ ルサス の系 譜では生 活必 需 品お よ び便 益 品の計 量 あるいは その生 産の難易の測定の如何 く実 物 と価 値との区 別と関 勘 が焦 点を な して い た とすれ ば, チ エ ルゴ ー く‑ ス ミス ーl ボァギエ ペ ‑ ル . セ ‑ の系 譜では, その実 物 的 内 実と質の面が重 視さ れて いた. セ ‑ は, r人 間の さ ま ざ ま な欲 望 を 充 足さ せ ることの出 来 る事 物のもつ能 力 仁二効 刷J こそ富の本質であ る か ら, r生 産は物の創 造では決してなく,
効 用の創 造であ るJ と み て r 効 用の創 造 もしくは増 大が あ る ところに のみ真の生 産が あ るJ と 述べて いるCo
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こうして セ 一 におい ては, T物が通常かつ自 然の状態にあ る場 合J, 従っ て
生 産と消 費と が均 衡して いる限り, その物の r 価値 くv ale a u rlJ が その物のもつ 効 用の尺
度と なりうるの であっ て, 効用 と価 値と富と は同 義を意味 する と言うの で あ るCo
m 従っ て,
富 を生 ずるのは r労 働の行 為J く人 間の勤 労l, r自然の提 供 する諸 要 乱 く空 気. 日光. 水 な どj の作 用, お よ び r資本の作 削 との結 合によ るの であ り, 人 間労 働 く人 間の勤 労と 以前の勤 労の生 産 物た る資 本の作 即 の外に, こうした自 然 的 要 因C r 自然 的 乱l が富の 生 産に欠か せ ないということにな るo 勿 論, こ の場 合, こ の富の価 値におい て実体 く効 用
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ないし使 用 価値コ と形 式 く交 換 価 値J と は均 衡 もしくはパラ レ ル であるo
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