域学連携による関係人口づくり : 長崎県対馬市を 事例に
著者 前田 剛
出版者 法政大学人間環境学会
雑誌名 人間環境論集
巻 21
号 1
ページ 51‑84
発行年 2020‑10‑31
URL http://doi.org/10.15002/00023617
1.はじめに
本土に比べ、人口減少率や域外流出率が高い離島地域において、人口減少対 策・流出抑制対策は、交通、医療福祉、教育等生活サービスや財源維持の観点で 最重要政策となっている。
東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけようとする国の地方創 生に従い、地方公共団体は、長期人口ビジョンや地方版総合戦略の策定過程で、
地元の人口だけでは目標人口を維持できないことを認識し、多くの自治体が地方 版総合戦略における KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)に 移住者を増やす政策目標を掲げている。その目標を達成するため、地方創生推進 交付金等国の財政支援を受けながら様々な移住定住促進施策に取り組んでいる。
新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの普及に伴う地方分散への転機 において、国の「まち・ひと・しごと創生基本方針 2020」ではリモートワーク 推進による移住推進が掲げられ、自治体の施策をさらに充実化する動きが生じて いる。
さらに離島自治体については、「離島振興法」有人指定離島は離島活性化交付 金を活用することができ、「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域 に係る地域社会の維持に関する特別措置法」特定有人国境離島地域指定離島は雇 用機会拡充等に対する財政支援を得ることができ、移住定住に関する国からの支
域学連携による関係人口づくり
―
長崎県対馬市を事例に
―前田 剛
援は手厚い。
支援強化・施策充実化の一方で地域間競争が過熱化し、2019 年、移住相談会 で「サクラ」動員問題が生じた。国全体で人口が縮小する中、人口誘致合戦には 限界があり、地方創生政策自体が形骸化しかねない。筆者は、「観光と移住」の 関係性について研究する中で、I ターン者などの移住者は、同質的な地域社会に 異なる質を補完することで、新たなサービスの提供や文化・環境保全活動の再構 築・再興に貢献しており、そのため人口は「量」として捉えるのではなく、「質」
として重視すべきだと指摘した。
質を重視する場合、地域と本人との関係性の構築、つまり「関係人口」づくり が重要になってくる。関係人口とは、2016 年頃から生まれた新しい概念で、「長 期的な『定住人口』でも短期的な『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多 様に関わる者」と定義づけられる。地域の担い手が少なくなっている地域におい て、関係人口は、地域づくりの担い手として重要な役割を果たしうる存在である とされる。そのため、「『ふるさと』に想いを寄せる地域外の人材との継続的かつ 複層的なネットワークを形成し、地域へ貢献する人材の『ふるさと』との関わり を深め、継続させることが重要」と指摘されている(総務省、2018)。
地域に想いを寄せ、関わりを深め、関わりを継続する関係人口を形成するに は具体的にはどのような政策推進が有効なのであろうか。本論では、対馬市が 2013 年度から取り組んでいる「域学連携」を事例に、域学連携が関係人口づく りに果たす役割を分析し、離島という「場の教育」の重要性を提示する。また、
コロナ禍によって、学生を受け入れることができなくなる中、対馬市が域学連携 の新展開として進めている「対馬グローカル大学」を取り上げ、ポストコロナ時 代・ウィズコロナ時代における域学連携のあり方を考察する。
2.域学連携の推進背景と特徴
⑴ 推進背景と定義、特徴
域学連携とは、大都市圏の学生や教員のアウトリーチで過疎地域を元気にしよ うと総務省が提唱した政策である。
提唱の背景には、①地域課題の解決手法の一つとして大学連携が注目されてい ること、②高等教育機関としての大学をめぐる環境が大きく変化していることが あった。②について、教育基本法の改正を受けた学校教育法(2007)第 83 条第 2 項に「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社 会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」ことが明記された ように、大学への社会的要請として、研究・教育の成果を積極的に社会に公表・
還元していくことが求められた。その頃から大学連携による地域づくりが増加し たが、実態として大学教員の属人的一過的な貢献であったため、国として組織的 継続的貢献にシフトさせようと域学連携を提唱し支援に乗り出したのである。
総務省は域学連携を「大学生と大学教員が地域の現場に入り、地域の住民や NPO 等とともに、地域の課題解決又は地域づくりに継続的に取り組み、地域の 活性化及び地域の人材育成に資する活動」と定義し、その普及定着のために、調 査研究、モデル実証事業や財政支援に取り組んだ。
地 方 大 学 が 地 域 貢 献 や 人 材 育 成 に 資 す る 文 部 科 学 省 の COC(Center of Community:「地(知)の拠点整備事業」)との棲み分けを図るため、総務省の 域学連携は、過疎地、離島など大学のないような地域に首都圏や京阪神等の大学 からアウトリーチで学生たちが一定期間滞在し、地域実践活動に取り組むことを 対象とした。大学は、①研究者という専門家集団、②よそ者視点をもつ若い学生 集団、③留学生を含めた異文化集団、というマンパワーが存在するが、COC は 大学組織及び教員が中核的存在であることに対し、域学連携は学生が中核的な存 在として捉えられるところにも違いがある。
⑵ 先進地調査を通じた域学連携の類型
一般財団法人自治総合センターによる域学連携の実態調査結果によれば、回答 が得られた全国 32 道府県 1,154 市区町村のうち 53.1% が域学連携による地域づ くり活動に取り組んでいる。
全国自治体で域学連携が広まりつつある中、筆者は、対馬市の域学連携の政策 立案・政策推進において、域学連携の先進地調査を 2013 年度から 2016 年度にか けて実施した。岐阜県中津川市、京都府京丹後市、石川県珠洲市、長野県飯田
市・木島平村、鹿児島県屋久島町、沖縄県北大東村に訪問し、行政担当者等へヒ アリングを実施した。多大学の大学教員によるネットワークである飯田市の「学 輪 IIDA」や屋久島町の「屋久島学ソサイエティ」、多大学の学生自主運営によ る中津川市の「木匠塾」、廃校を利活用した金沢大学の研究分室である珠洲市の
「能登学舎」、学生による地元の子供たちへの学習支援である北大東村の「なかよ し塾」など、域学連携の取り組みは広範囲に及ぶことが分かった。どの事例も共 通して言えるのは、地域に寄り添った大学側の貢献姿勢があり、地域での実践や 体験を通じた学生の「場の教育」プログラムが設けられていることであった。
全国多様な活動事例があり、域学連携の活動パターンや型を示すことは容易で はないため、目黒(2014)による域学連携の全国事例調査に基づく提示を援用す ると、域学連携の活動は受入側の視点で次の 4 つの類型に分けられる。
1 つ目は、「専門性期待型」である。地域では得られにくい専門性を学生や教 員に補完してもらい、地域づくりに役立てようという活動である。
2 つ目は、「感性期待型」である。多くの過疎地域に共通して、大学生にあた る 20 歳前後の若者が不足するため、そうした若者のフレッシュな感性や都市的 な視点によって企画提案、実践してもらう活動である。
3 つ目は、「労働力期待型」である。少子高齢化によって継続が難しくなった 行事への支援活動や、人材不足によってできなかったアイデアの実行等である。
4 つ目は「体験期待型」で、地域暮らしの現状や課題を肌で感じ、過疎問題や
表 1 受入目的から見た域学連携の活動類型
タイプ 視 点 例
専門性期待型 専攻する専門知識を期待するタイプ 地域課題の解決策検討、地 元向け講習等
感性期待型 20 歳代のフレッシュな感性や、外部か らの目線・視点を期待するタイプ
資源の魅力発掘、課題発見、
解決策のアイデア提案等 労働力期待型 学生等のマンパワーを地域活性に期待
するタイプ
祭りの手伝いや里山保全活 動等
体験期待型 地域の実情等を知ってもらうために体 験活動を中心に組み立てるタイプ
職業体験、地域行事体験等
(出典:目黒、2014)
地域づくりにリアリティを持ってもらおうという活動である。
離島で総務省の域学連携事業の採択を受けて域学連携に取り組んだのは北海道
(礼文町、利尻町・利尻富士町)、鹿児島県屋久島町と対馬市のみであるが、離島 は優れた研究・教育資源を有するため、古くからフィールドワークや実習等の対 象となってきた。域学連携と呼べる事例は全国離島多数あり、どの事例も 4 つの 類型のいずれかに該当するものである。
⑶ 若者の地方(離島)体験への期待
上記 4 つの類型も中で特に大きな期待は専門家集団としての大学の専門性であ る。普段見慣れた地域資源に様々な科学的アプローチで光りを当て、産業振興や 雇用創出につながる可能性がある。
対馬市の例として、対馬の伝統発酵食品「せん」(東京農業大学)やニホンミ ツバチ(京都産業大学)の対馬固有価値が解明され、対馬の付加価値向上や産業 振興につながる研究が行われている。地域課題についても、例えば、水産業が 基幹産業である対馬において深刻化する「磯焼け」に対し、環境 DNA メタバー コーディング法を用いて海域ごとに生息する魚種を明らかにすることで、磯焼け の現状把握が試みられている(九州大学)。また、近年の豪雨による生活や産業 基盤への影響をリモートセンシングで迅速に把握しようという動きもある(九州 大学)。いずれも最新の科学技術が応用されており、大学の専門性が無ければ、
地域だけでは見い出すことが困難な知見ばかりである。
都市部の若い学生の感性にも期待がある。対馬市に農林漁業インターンで来島 した首都圏の大学生は、定置網のオフシーズンの収入確保策として、釣り堀の開 設を提案した。船酔いや天候のリスクが無く、遊漁船や磯での釣りができない女 性や家族でも気軽に楽しめるサービスであり、ある程度のニーズはあろう。経営 学部という専門性のみならず、都市部の若い女性の視点や感性が踏まえられた提 案であった。他には、対馬をフィールドにリーダーとしての人材育成教育を受け る学生は、対馬の地域資源(対州馬や舟グロー)を活用したトライアスロン「ツ シマスロン」を考案した。自転車・マラソン・水泳の「セルフトライアスロン」
を行う発想と行動力は地域側には無い感性である。
毎年数多くの学生・教員を受け入れる中で、筆者が特に重要と感じているの は、体験への期待である。以下、対馬市の域学連携事業に参加した学生たちの感 想を一部抜粋する。
「都会で働くことしか見えていなかった。田舎で暮らし、働くという選択 肢を知った。肌感覚で新しい選択肢を得たのは、私の中で大きな収穫」「日 本の少子高齢化や地方創生、環境問題などこれまで他人事だったことを身 近な問題として考えられるようになった」「生物多様性に対して全く興味が なく、生物多様性は生きもの好きの人たちが守るものと思っていた。しか し、生物多様性の保全は実は自分たちの暮らしを守ることであることを学ん だ」「倒壊する空き家、耕作放棄地の拡大、放置されるインフラ、そして失 われる文化や誇り。国や学者や集落の撤退戦を唱えるが、乱暴な議論だと強 く思った。その一方で、集落を維持するために税金を投じることに強い疑問 を感じた。将来、集落が存続できるのか、そういう厳しさを目の当たりにし た」「東京で地方創生を語るばかりでなく、現場で地域の現状・課題を知れ たことはよかった。今まで、過疎や地域おこしなんて UI ターンで若い人が 入っていけばあとはどうにかなるという認識しかなかった。その程度の認識 で地方創生に関する公務を志していたなんて、今となっては恥ずかしく思え る」
上記の感想を記述した学生のほとんどが都会生まれ都会育ちの都市学生であ る。学生たちにとって、どれも都会や大学では得がたい気づきであった。
大学院生や科目履修生等を含む我が国の学生数は、795 大学 2,916,078 人であ る。図 1 のように学生の 7 割は 3 大都市圏に偏在している。大都市部の大学の学 生出身データを参照してみると学生の多くが都市部出身である。大学関係者のヒ アリングでは、地方出身の学生といっても地方の都市部出身の学生が多いとい う。
今のような社会構造において、大学や都市にいては過疎問題の本質を捉え、真 の地方創生の視点を持つことは難しい。地方創生や人口減少対策が重視される一
方で、イメージとリアリティのギャップが拡がっている。来島した学生へ事業へ の参加動機を聞くところ、そうした状況に疑問や違和感を覚えており、対馬にリ アリティを求めて飛び込んで来る。
離島地域は、都市に新鮮な農林水産物だけでなく、観光レクリエーションの場 を提供する。そのことによって都市部は消費経済を離島地域にもたらし、離島地 域の産業・雇用・交通・財政等を支えている。都市―離島地域の相互補完性から すれば、都市部の学生たちが、離島の地域社会の現状や島づくりを体験しておく ことは、持続可能な離島経営において極めて重要なことと言えよう。
図 1 2020 年度都道府県別学生数
データ: 文部科学省「学校基本調査」令和 2 年度(速報)「大学の都道府県別学校数及 び学生数」
3.対馬における域学連携
⑴ 対馬市の域学連携の体系
国境離島・対馬市では、域学連携を重要な施策の 1 つとし、基礎自治体には珍 しく、域学連携に関する政策分野別基本計画「対馬市域学連携地域づくり推進 計画」(日本計画行政学会第 17 回計画賞最優秀賞受賞)を 2014 年度に策定した。
この計画に基づき、対馬全体を国内外複数の大学のサテライトキャンパス「対馬 学舎」に見立て、現場での「学び」というサービスへの対価として、離島地域に不 足しがちな労力や若いエネルギー、専門性を学生・教員に提供してもらっている。
プログラムには大きく 4 つの柱を設けている。①総合的に地域おこしを実践形 式で学ぶ「島おこし実践塾」の開催、②分野ごとの学生実習「現場学」(中長期 インターン)の受入れ、③対馬に関する「学術研究奨励補助」、④対馬をフィー ルドとした大学の合宿・研究等のサポートである。また、複数の大学と連携協定 を締結し、ESD による地方創生(立教大学 ESD 研究所)、伝統発酵食「せんだ んご」の速醸実証(東京農業大学)、自動運転の社会実装(明治大学自動運転社 会総合研究所)等、分野ごとの共同研究に取り組んでいる。
図 2 域学連携による学びの体系図
①の島おこし実践塾は、毎年夏に島外の大学生や地元高校生等約 30 名の塾生 を受け入れ、対馬市上県町志多留集落・厳原町内山集落等で開催している短期実 践合宿である。講義と実践、グループワーク、塾長(市長)へのプレゼンテー ションを組み合わせた濃密なプログラムである。現場の第一線で活躍する講師の 奮闘ぶりや住民のやさしさ・温かさに触れた塾生たちの満足度は高く、その後、
実習や研究で再来島したり、卒業後、対馬市島おこし協働隊(総務省地域おこし 協力隊)や集落支援員として移住する者もいる。
対馬市では、そうした学生の成長の様やニーズがあることを知り、②と③の プログラムを設けることとした。①→②→③と発展的に参加する学生もいれば、
①→③、③→②など様々なパターンがあり、1 つのプログラムに参加すると他の プログラムに参加するような工夫を施している。
②の実習プログラムは、地域課題、地域ニーズや学生のニーズ、そして受入側 のキャパシティ等を踏まえながら設計している。その際の配慮として、対馬でし か体験できないような際立った学びの要素を取り入れつつ、学生の専門性や関心 を踏まえ、大学で学んできたことの応用・実践のために価値創造的なミッション を設けている。また、学生の幅広い職業観や地域観を養うために、産業体験や地 域交流、地域行事のお手伝い等、地域生活の支援や体験活動も組み合わせてい る。滞在期間も、学生・地域双方の成果や満足度を高めるため、原則 1 か月以上 としている。
実習プログラムには日本の学生だけでなく、海外の学生も参加する。対馬市と 連携協定を締結する釜山外国語大学校からは、毎年度、日本語学部の学生を実習 で受け入れている。同大学校の実習生は、対馬観光物産協会において、母国語と 日本語を駆使しながら、韓国人観光客のインバウンド対応に従事した。彼ら彼女 らは対馬に長期滞在し、地域の方々や日本の学生たちと深く交流した。国境の 島・対馬において、真の国際交流が行われていることは大変意義深い。
③の学術研究について、国境離島である対馬への訪問は、他地域に比べて交通 費が高くなり、滞在が長期化すればするほど宿泊費等経済的な負担は大きくな る。そのため、旅費や宿泊費含め学生の経済的負担を軽減する補助制度を設け、
研究の奨励を図っている。この研究補助をきっかけに何度も対馬に通う学生もお
り、この補助は研究を奨励するだけでなく、対馬ファン・リピーターの形成にも 貢献している。中には、KH 氏のように、補助の後も研究のために何度も来島し、
研究以外にも幅広く対馬のことに関心を持ち、②の学生実習に参加したり、所属 する研究室や他大学の研究室との合同合宿を誘致するなど、多角的な関わりを持 つ学生もいる。
これらの活動成果を対馬に還元し、地域活性化や、市民の誇り意識の醸成のた め、年に一度「対馬学フォーラム」を開催している。このフォーラムは、先進地 域事例調査(飯田市の学輪 IIDA 及び屋久島町の屋久島学ソサイエティ)を踏ま えて企画したもので、2015 年度から続けているイベントである。
同フォーラム開催の背景として、大学との連携や研究者による調査研究におい て、しばしば地域側から問題視されている「受入疲れ」と「成果の未還元」が あった。分野によっては類似の調査が行われ、また、毎年同様の実習が繰り返さ れることがある。成果報告について、地域側に還元されないことがあり、対馬同 様に調査研究が盛んな西表島や屋久島では「調査公害」という指摘もある。ま た、特に学生の場合は代り映えの無い提案になりがちで、毎年繰り返すうちに報 告会への住民参加も減少していく。これらの場合、学生も研究者も意図的に成果 を還元しなかったり、受け入れ側を疲れさせようとしているわけではなく、機会 があれば地域側に恩返ししたいという考え方のほうが強く、地域の調整役として の行政に成果還元の場のセッティングと、還元方法の検討が求められよう。
表 2 対馬学フォーラムの来場者数とポスター発表数
年度 来場数(人) ポスター
発表数 備 考
島内 島外 計
2015 220 80 300 62 環境省ミニフォーラム同時開催 2016 187 101 288 54 企画集会同時開催(5 企画)
2017 131 102 233 60 エクスカーションあり。ASCM(ア ジア保全医学会)同時開催 2018 200 80 280 52 現役学生・教員による「出張 ! オー
プンキャンパス」同時開催
2019 254 82 336 55 〃
そこで当市では学生・研究者が一方的に住民に成果を報告するのではなく、住 民側が評価や情報提供できるよう双方向性を重視し、ポスター発表形式を採用し た「対馬学フォーラム」を企画した。今では島外の研究者や大学生だけでなく、
地元の小中高生、地域団体関係者も参加する大ポスター発表大会に発展してい る。毎年、フォーラムを楽しみにしている研究者、市民は数多く、フォーラムで 発表することを目標に、研究やふるさと学習に取り組む児童生徒、大学生が見ら れる。
⑵ 量的成果
域学連携の成果について、毎年度、対馬市では学生・教員の来島記録簿を作成 し、学生に対しては意識調査を実施しているため、それらのデータを用いなが ら、量的側面、質的側面に分けて効果を整理する。
まず、量的側面について、2013 年度から 2019 年度までの学生・教員の来島延 人数と滞在延人数は下表のとおりである。
2019 年度において、国内外 60 の大学等 512 名の学生、92 名の教員・研究員が 来島し、延滞在人数は 3,388 名(学生は 3,078 名)であった。2019 年度は年度末 に新型コロナウイルスの影響で来島が減ったものの、毎年 600 名を超える学生・
教員が来島している。
表 3 域学連携による年度別来島人数等(対馬市)
単位:人
年度 来島延人数 滞在延人数
大学数 学生リピーター 移住者
学生 教員 学生 教員
2013 未カウント
2014 480 200 未カウント 5
2015 661 196 2,698 314 未カウント 1 2016 593 132 3,285 368 87 未カウント 1 2017 569 185 3,023 555 80 104 2 2018 539 139 2,630 341 53 203 2 2019 512 92 3,078 310 60 115 2
来島目的別に見てみると、学生は大学主催の実習、学術研究のための来島が多 く、中でも、長崎県立大学 1~2 年生全員の必修科目「しまなび」プログラム(1)
による来島が最も多かった。
島おこし実践塾や学生実習、学術研究奨励補助等対馬市主催の事業で来島する 学生は、予算の関係上、量的には多くはないが、滞在日数や再来島回数は多い。
しかしながら、時系列の推移を見てみると減少傾向にある。近年、大学・学生を 取り巻く環境、特に就職活動の変化、地方でのインターンや体験プログラムの機 会増加等により、学生が地方で体験したくともできない、あるいは選択肢が増え て、他の優位性のある地域に学生を取られてしまう等の理由が考えられる。内閣 官房まち・ひと・しごと創生本部事務局によれば、地方インターンシップに参加 できなかった都市部の大学生の事情として、スケジュールや経済面で断念したと
(1) 長崎県立大学が包括連携協定を締結する県内 7 つの離島(五島、新上五島、小値賀、宇 久、的山大島、壱岐、対馬)を第 3 のキャンパスと位置づけ、離島に関する事前学習を基 に、約 800 名の学生が 7 つの離島に分かれて 8 月~9 月に現地フィールドワークを行い、
課題解決の具体的方策を考えるもの。対馬市ではプログラム開始の 2014 年度から毎年学 生を受け入れている。
図 3 2017~2019 年度目的別来島延人数
いう理由が多いことを指摘している。スケジュール面では、大企業での短期イン ターンによって、学生の自由度が低くなっていることが伺える。
大学別では、近距離に近い福岡市内や長崎県内の大学からの来島が多かった が、遠距離にある首都圏大学からの来島も多い。また、韓国の大学生も複数来島 しており、これは対馬の研究・教育資源の豊富さや立地特性を反映していると言 える。
⑶ 質的成果
域学連携において、対馬市主催プログラム(島おこし実践塾、学生実習)に参 加した学生に事後アンケート調査を実施している。学生の対馬への関わり方の希 望を見てみると、図 4 に示すように、すぐさま移住を希望する学生はわずかであ る。旅行での再来島やイベントへの参加、対馬関連の商品購入等ソフトな関わり 方を望む傾向が見られる。別のプログラムへの参加や学位論文研究、イベントの 企画やボランティア活動等、濃い関わり方を望む学生も複数存在する。関わり度 合いの差はあるが、何かしら地域に関わり続けたいという意識が生じており、域 学連携が関係人口の形成にプラスに働いていると言える。
前述のとおり、対馬市では 4 つのプログラムいずれかに参加すると他のプログ ラムに参加したくなる工夫を施しており、①あるいは④→②→③と発展的に参加 する学生もいれば、①④→③、③→②または①など、様々なパターンで再来島す る。2018 年度の来島学生のうち 203 名は同年度内、前年・前々年度に来島した 学生リピーターであった。
これは質的には大きな成果である。というのは、単に域学連携によって「関係 人口」が形成されただけでなく、関係人口による多面的な地域との関わりが生じ ているからである。
関係人口は、地域での学びの深さや度合いによって生じるものである。対馬市 のケースでは、とりわけ島おこし実践塾や学生実習に参加した学生の関係人口化 が強い。実践塾、学生実習、学術研究、大学等実習サポートの 4 つの型を用意す ることで、学生が次に持ちうるニーズに応え、リピート参加を促していると考え られる。
リピート回数が多い学生や、中長期間滞在する学生は、卒業後、移住を検討す る者が少なくなく、実際に 10 名程度が対馬市に移住している。移住希望の受け 入れにおいては、対馬市島おこし協働隊員(総務省地域おこし協力隊員)や集落 支援員に採用されるケースが多く、全国的に人財不足に悩まされている同制度の 運用においては、域学連携が隊員の予備軍形成に重要な役割を果たしていると言 えよう。学生の中には休学・兼業しながらの移住ニーズがあることから、対馬市 では同制度を活用して「学生研究員」のポストも設けている。
図 4 参加学生の対馬への関わり方の希望
(N:2014=10 人、2015=27 人、2016=18 人、2017=20 人、2018=6 人)
新規学生の誘致においては、そうした移住先輩学生、リピート学生や指導教員 の口コミが大きく影響している。KJ 氏は、学生研究員として 1 年間対馬に滞在 し、地域の実情に即した研究活動に取り組みつつ、後輩学生の指導や来島学生の サポートにあたった。KJ 氏の経験や感動をもとに、新規の学生を呼び込み、受 入指導やサポートにあたることで人財確保の好循環を生み出していると考えられ る。
域学連携を継続することで、以下のように学生の多面的な対馬との関わりが生 じているが、その中で、域学連携に参加した学生 2 名が卒業後、対馬市職員とし て 2018 年度に採用された。うち 1 名は社会福祉士枠である。HH 氏は、離島や 過疎地域での地域福祉に関心があり、2016 年度の学生実習に参加し、卒業論文 も対馬をフィールドに研究を実施した。その後、対馬に就職し、地域福祉に貢献 したいとのことで対馬市の採用試験を志願した。熱意と行動力がある専門人財の 移住は大変喜ばしいことであった。
もう 1 名の SH 氏は島おこし実践塾や学生実習、学術研究等、在学中に何度も 来島した学生である。対馬市に入庁し、対馬市が域学連携の滞在拠点として借り 上げていた民間下宿施設の一室に住み込みながら、学生の受入支援に従事した。
そのことで、多くの学生の施設利用とリピート利用を促している。
学生の新規誘致を図る上で、映像によるイメージ形成も重要である。その点、
2016 年度の島おこし実践塾に参加したメディア専攻の KM 氏が、大学での専門 指導を活かし、島おこし実践塾のプロモーションビデオや、移住者のドキュメン タリー製作に取り組んだ。実際に学生誘致・移住者誘致の PV として活用できる 映像成果であった。
KM 氏のように学生の専門知識や技能が大変頼りになるケースが増えつつあ る。2018 年 3 月出版の『対馬の鳥と自然』(川口誠・前田剛編著、長崎新聞社)
の編集や、2017 年 10 月開催の「ツル等大型鳥類保全国際会合」(佐護ヤマネコ 稲作研究会主催)において、生態学専攻の TY 氏(2017 年度島おこし実践塾生)
の貢献は大きく、鳥に関する専門知識を活かし、書籍の共著や国際会合での通訳 などほぼボランティアとして関わった。TY 氏は博士課程に進学したのち、2020 年 4 月から学生研究員として対馬に移住し、大学院生を兼業している。
○多面的な対馬との関わり:
〈島外からの関わり〉
・ 経済支援…ふるさと納税、オリジナル真珠ジュエリーのオーダー等
・ 教育支援…対馬の子どもたちとの LINE による学習の質問回答(学生実習
「夏休みこども寺子屋」参加学生)
・ 映像製作…ドキュメンタリー製作(2016 年度島おこし実践塾生の KM 氏)
・ 企画支援…エコツアーの企画とゼミ旅行としての試行調整(2017 年度学 生実習生の SM 氏・YY 氏)
・ 専門支援…鳥類保全に関する国際会議での通訳、書籍(『対馬の鳥と自然』)
の共著(2017 年度島おこし実践塾生の TY 氏)
〈再来島〉
・ 学位研究…卒業論文及び修士論文(島おこし実践塾・学生実習・学術研究 奨励補助参加学生多数)、博士論文(学生実習参加学生 2 名)
・ 教育支援…地元高校生への学習指導(2016 年度島おこし実践塾の MT 氏)
・ 教育実習…上対馬高等学校での教育実習の実施(2015 年度島おこし実践 塾・学生実習生の ON 氏)
・ 取材…ドキュメンタリー製作(KM 氏)
・ 旅行…お世話になった方々への再会、卒業前の挨拶回り、卒業後の再来島
・ 移住…対馬市等への就職
4.域学連携による関係人口化分析
⑴ 域学連携による学生の行動・意識変化に関するテキストマイニング
前章では、域学連携の成果として、関係人口の形成及び関係人口による多面的 な地域との関わりを示した。
では、域学連携によってどのように関係人口が形成されるのであろうか。何か しら地域に関わり続けたいという学生の意識は、対馬での学びを通じ、自身の行 動や習慣、意識、考え方が変化したことによって生じていると考えられる(図 5)。
学生への事後アンケート調査では、具体的に行動・意識等がどのように変化し たのか自由記述回答を求めている。このデータの解釈について、域学連携の行政 担当者でもある筆者の主観的な解釈を回避するために、テキストマイニング手法 を用いて分析を行った。自由記述から語を取り出し、頻出語の出現パターンの似 通った語をネットワーク状に描き、学生たちの意識の可視化を試みた。分析には 樋口耕一が作製・公開している KH Coder を用いた。
分析データは 2013 年度から 2019 年度までの間、域学連携の学生実習(2013 年度は島おこし実践塾参加者含む)に参加した学生 111 名の自由記述を対象とし た。
分析手順は、KH Corder によってテキストファイルの前処理を行い、「共起 ネットワーク」を用い、出現パターンの似通った語を線で結んだネットワーク図 を描画した。分析にあたっては、出現数による語の取捨選択に関しては最小出現 数を 2 に設定し、描画する共起関係の絞り込みにおいては描画数を 60 に設定し た。また、強い共起関係ほど太い線で、出現数の多い語ほど大きい円で描画し、
語の色分けは各語がネットワーク構造の中でどの程度中心的な役割を果たしてい るかを示す「媒介中心性」で表現した。
図 5 学生実習に参加した学生の行動や習慣、意識、考え方などへの変化
(N:2014=10 人、2015=27 人、2016=18 人、2017=20 人、2018=6 人)
「学生の行動や習慣、意識、考え方などへの変化」に関するテキストマイニン グの結果は図 6 のとおりである。
出現頻度の高い「考え方」「変わる」「変化」という語がどのような文脈で用い られているのか、学生の実際の記述を、KH Corder の KWIC コンコーダンスの コマンドによって以下のとおり抜粋する。
〈価値観の変化〉
・ 価値観が広がり、物の見方、考え方が変わった
・ 都会は便利で何でもあると思っていたけれど、対馬のように自給自足の生 活をして自分たちで何でも賄えている地域のほうがとても豊かであるとい 図 6 「学生の行動や習慣、意識、考え方などへの変化」についての自由記
述の共起ネットワーク
(168 文、95 段落、総抽出語数 4,087 語、異なり語数 767 語)
う考えに変わった
・ 今までは、お金があって何でも買える暮らしが豊かな暮らしだと思ってい たが、それだけではないと気づかされ、自分の生活を見直すきっかけに なった。自分にとってどんな環境が生きやすい環境であるのか考えさせら れた
・ 今まで地域づくりというものをあまり理解していなかったが、少し分かっ たと思う。より現実的に自分の将来について考えるようになった。また、
都会の豊かさと田舎の豊かさ、どちらが良いかということについての考え 方も大きく変わった。自分で釣った魚を食べたり、地元の野菜を食べて暮 らしてみたいと思った
〈地域・地域づくり・産業等の捉え方の変化〉
・ 「過疎地」という概念や自分自身の生き方が変わった
・ 地域活性化に関しての考え方は大きく変わったというか、進化した。地域 が元気になる仕掛けをするだけでなく、様々な人で連携した地域活性化に 焦点をあてるようになった。今まではイベントだったり仕組みだったり、
そういった取組みやシステムにばっかり目を向けていたことは反省した い。また、対馬にいって大きな影響を受けたことから、積極的に学外のイ ベントなどに参加するようになった
・ 地方活性化により興味をもった。これまでは漠然としていた興味分野だっ たが、地方の現状および今すべきこと、実際に動いている人を間近で見 て、地方を活性化するにはどうしたらいいか、それはそこに住む人にとっ てどうなのかということを考えるようになった
・ 島に対する見方が変わった。もっと極端に不便な場所かと思っていたが、
割と何とかなった。教育や子どもに対する視野が広がった
・ ヤマネコ米生産に関しての良い点だけでなく、手間がかかるなどという現 実的な問題なども知ることができたので、環境保全型の農業に関する考え 方が少し変わった。人と動物の共生に対する考え方も変わった
・ 釣り、漁業に関する考えた方が変化した
・ 地方には子どもが減っているというものの、地方に住む子どもたちは確実 に存在する。過疎化が進んでいく中で、どうすればすべての子どもに充実 した教育を届けることができるのかについて深く考えるようになった。私 自身は都市部で育ったので、今回の実習で初めて気づくことができた問題 点であった
〈行動・習慣・意識の変化〉
・ 生態系の問題や、過疎、地域おこしについて問題自体は知ってはいました が、あまり真剣に考えたことがありませんでした。参加後はそうした問題 を自分のこととしてきちんと考えなければいけないと思うようになりました
・ どこか遠い世界の話ではなく顔もわかるし話もしたことがある人が実際に 暮らしている場所で起こっていることに対しての行動をするというのは意 識の上でかなりモチベーションにも差がある。また実際に自分が体験した ことについては自信をもって周りに伝えることができるのでそれだけでも かなり変化したと思う
・ 当たり前のありがたさに気づくことができた。都会にいると忘れがちな近 所の人との挨拶の大切さ食べ物に感謝する気持ちを再度思い出すことがで きた。また、自分の軸って何だろうと深く考えるきっかけにもなった。自 分にとって大切なこと、大切にしていきたいこと、自分がやりたいこと、
目指したい姿など、自分についてもたくさん考えるきっかけにもなった
・ 生活習慣(朝起き)や食習慣(野菜や魚が得意になる)の変化がありまし た
このように、域学連携による体験は、価値観から生活習慣まで、様々な変化を 学生たちにもたらしており、特に、地域に暮らす人たちを具体的にイメージしな がら地域活性化を考えられるようになった等は大きな意識変化と言えよう。
以下の学生の実際の記述に示すように、現場で「知る」「触れる」「感じる」
「気づく」こと、「活動」「経験」「痛感」「実感」することで視野を広げ、新たな 視点・異なる視点・多角的な視点を得ている。
・ 地域はたくさんの問題を抱えていることを初めて知った
・ 今まで自分の中で正しいと思っていたことにはもっと多面的な意味合いや 問題があると知り、常に考えるようになった。また、現地で活動したり、
地域おこしを仕事にしていくことに興味が湧いてきた
・ 自分が関わっている地域の活動への関わり方が変化した。実際に地域のモ ノを売るという行動を起こし、自分の限界を知った。それでも、自分ので きること、できないことを認識したおかげで、次のステップに進むことが できた
・ 地域の方々との交流により様々なお話を伺うことができた。その中でいろ いろな価値観に触れ、自分自身を見つめなおすきっかけとなった
・ 結局、大学では机の上でも勉学を中心に取り組んでいたが、現場で経験を 積む必要性を感じた。それは現場で必要なスキルを、身をもって学んだか らだ。今後は、地元でもあるいはもう一度対馬に行って、取組みを実践し たいと考えている
・ 地方は地方で閉鎖した空間になっていると感じた。交通インフラを整備 し、経済面のサポートをすれば、人々は移動すると考えていた。しかし、
必ずしもそうではないという見方ができるようになった
・ 地方の活動に目を向けるようになりました。今まで田舎とは自然が多く、
生物も多様に生息している場所という良い部分しか見えていませんでし た。しかし、実践塾を通じ、解決しなくてはいけない問題も多く存在する ことを気づかされ、その難題を解決しようする人々の活動に興味を持つよ うになりました
・ 対馬で活動することで良くも悪くも狭い世界なので人とのつながりが生ま れ自分が何か活動をしていなくても活動をしている人とつながっているこ とで何か自分にできることはないかを探すきっかけが生まれやすくなった
・ 人との接し方も変化した。それまで話したことがなかったメンバーにも声 をかけていく姿勢は対馬で様々な方と交流した経験が生かされている。以 前から仲が良かった人達に対してももっと会話を広げようという意識が芽 生えた
・ 物事を多角的に考える姿勢を身につけることができた。また、地域おこし や観光の現実を目の当たりにし、自分の勉強不足を痛感したため、学びへ の姿勢が積極的になったと感じた
・ 参加者との交流を通し、様々な学問領域から地域に関わる術があることを 実感することで、改めてなんのために学んでいるのかということを定期的 に見直す必要があることを考えさせられた
・ もともと「生物多様性」の観点から対馬のプログラムに参加したが、結局 は「自然環境」を変える、維持するためには「社会環境」に対するアプ ローチが必要であることが実感され、そうした社会学方面の取り組みにも 興味を持つようになった
⑵ 「学びの要素」に関するテキストマイニング
学生の行動・意識変化を生じさせる「学びの要素」について、学生への事後ア ンケート調査のうち、「最も学びになったことは何か」「対馬では何を学べるか」
という 2 つ質問に対する自由記述をテキストマイニングによって可視化した。
図 7 と図 8 に示すように、「自然」といったものから「過疎」「少子高齢化」と いった地域課題まで、学びの要素も多様である。ツシマヤマネコといった対馬固 有のものは学びの要素として大きいように推測されるが、重要な要素にはなって いない。むしろ、離島地域に共通するような普遍的な課題、地域づくり活動、生 活文化等が主要な要素になっていると考えられる。本土と比べ、地域社会や産業 の構造、地域課題、地域づくり活動等、離島は明確で分かりやすい。森里海をコ ンパクトなまとまりとして有する離島は多様な学びのニーズにも応えられる。離 島での「場の教育」には多様で分かりやすい学びの要素があり、離島は、域学連 携や域学連携による関係人口化において、本土とは異なる強みを有しているので はなかろうか。以下、学生の実際の記述を一部抜粋する。
〈価値観〉
・ 今後の本土の問題、少子高齢化など。また昔の生活や価値観を学べる
・ たくさんの価値観があることを学べる。自然の偉大さや豊かさを改めて感
図 7 「最も学びになったことは何か」についての自由 記述の共起ネットワーク
(166 文、95 段落、総抽出語数 3,518 語、異なり語数 793 語)
図 8 「対馬では何を学べるか」についての自由記述の 共起ネットワーク
(195 文、128 段落、総抽出語数 3,302 語、異なり語数 746 語)
じた
・ 実習期間中に様々な方の話を聞けたことが自分にとって一番の糧になっ た。今までは自分の周りにいる価値観や育った環境が似た人とばかりかか わってきたが、対馬で出会った人は価値観や考え方も様々で、自分の中に はなかった考え方や生き方をしている人もたくさんいて、刺激を受けた し、自分の視野も広がった
・ まず対馬に来て、東京との違いを感じた上で、様々な集落間の違いを感じ た。どんな関係も人と人の関係だなと思ったのと、バックグラウンド、価 値観が全く同じ人はいないし、だからこそ、出会いはとても素敵で楽しい ことだと思った
・ 価値観の違いがあり、島の生活感に触れることで視野が広がった。また島 の子供達ならではの特徴もあり、自然が豊かな中で育った人にしかない暖 かさがあり私にないものを知れた
〈対馬独自の学びの要素〉
・ 対馬においては、よく言われるように、既に進行している少子高齢化社会 に向けて、私たち個人が何をすることができるのかを、実体験を通じて学 ぶことのできる場所である
・ やはり対馬は地域おこしをすごく積極的にやっていて、人が活き活きとし ている地域だな、と感じたので地域活性を学びたい人物にとっては最適な 土地
・ 対馬には起業している人が多くいると感じたため、将来的に起業したいと 思っている人をインターンシップとして受け入れることで、そのノウハウ を教える
・ 対馬では、人口が少ない分、やりたいことがあれば自分が主体となって動 くとこができるし、実際にそのようにして働いている方も沢山いて、その 様子を間近で見たり関わったりすることで、自分で主体的に動く大切さ等 を学べた
・ 対馬で経験したこと、学んだことを活かして物事を考えつつ、実際に現地
に行き肌で感じた対馬の地域が抱える諸問題は、長期的に地域にかかわる ことで初めて解決への糸口が見えてくるもの。対馬やほかの地域を考える にあたっての、現実的な視点を学べる
・ 何かを学ぼうという意思がある人であればどんなことだって学べるフィー ルドが対馬なのではないか。今回の実習でたまたま期間のかぶっていた学 生は自分とは全く違う目的、違う視点で対馬を見ていたしそういう様々な 視点を持って同じフィールドで学ぶ学生同士が出会うことだって学びにつ ながると思うので幅広い分野で学生を呼び込む姿勢があれば学生も食いつ いてくるのではないか
・ 様々なことを学べると思う。対馬は多くの魅力があるから。本土の都市で はできない、対馬独自の文化を学ぶことができる
〈離島・島独自の学びの要素〉
・ 島とはどんな場所か、また自分はどんなことができるのか、ということを 知れる
・ 島という環境ならではの良さと問題
・ 離島の生活事情
・ 離島・国境の島に対する政策
・ 離島ならではのリアルな生活世界のあり方や、魅力、課題を学ぶことがで きた
・ 離島という閉鎖空間の現実が学べる。「地方活性化」ということを考える と、かなり難易度の高い行政地区だと思う
・ 離島の医療や離島での生活は陸続きの本土や都会とは大きく異なる。そこ で生活の違いが生んだ文化などを学べると面白い
・ 島ならではの産業。自然と隣り合わせの生活の在り方に触れられるのはと ても貴重な経験だった。対馬だからこそ経験できることだと思った
・ 島ならではの教育の形、島の子どもたちの実態
・ 私は自分のテーマの他には特に、教育の問題に関心を持った。今までは全 くと言ってよいほど関心はなかったが、離島という環境ならではの問題を
たくさん知る機会があり、教育について深く考えることができたと同時に 自分の関心の幅も広がった。これは都会で暮らしていたらわからなかった し考えもつかなかったこと
⑶ 自由記述の考察
対馬市の域学連携に参加する学生の多くは都市出身者である。地方創生におい て、「消滅可能性」「限界集落」というネガティブなイメージが先行し、地域には 元気がない、地域は衰退している、困っているものと誤って捉えられてしまうき らいがある。過疎という厳しい状況でありながらも、信念を持ち課題に立ち向か う人々の姿や暮らしの中での家族愛や郷土愛、笑い声、楽しみ、喜びといった、
人間らしさ・温かさがある。地方創生という政策論や大学の講義では見落としそ うな生身の個人の姿や尊厳に、地域住民や地域づくりの当事者との交流、調査研 究や実践を通じて学生たちは素直に感動している。そして、学生たちは地域の問 題を他人事ではなく自分事として捉え直している。
地方創生は人の集中と減少によって生じる諸問題に対する政策群で、都市部へ の一極集中の緩和と地方への分散、及び地方の人口減少対策の均衡的解決に向け た施策が主を成している。大きく、地方での「暮らしづくり」(移住定住支援)
と「生業づくり」(起業・創業支援)、そして、地方の暮らしや仕事に、都市部住 民が魅力を感じられるような「イメージづくり」(情報発信)の 3 つに分けられ る。
筆者自身、2005 年に対馬に魅了されて移り住んだ移住者である。その動機は、
学生時代にツシマヤマネコの保全活動に関わり、リピーターとして通い、対馬の 方々と交流し、社会における自分自身の位置づけや役割を強く認識したことによ る。移住し対馬で暮らしてみて感じるのは、住まい、子育て、教育、医療福祉、
交通、買い物など、地域で暮らす厳しさだ。「島暮らし」は良いことばかりでな く、厳しさに向き合う覚悟が必要で、移住定住・起業はハードルが高い。そうし た中、地域の活力を維持する上で、移住よりもハードルが低く、将来的に移住の 予備軍ともなりうる関係人口は地方創生において重要なキーワードである。
現場での深い学びを経て関係人口化している学生たちの感想は、地方創生施策
の検討において大変参考になるものである。
5.域学連携をめぐる政策論
前述のとおり、関係人口は地域での「深い学び」があってこそ生まれるもので あり、域学連携はきっかけづくりとして極めて大きな役割を有している。一般財 団法人地域活性化センターが月刊「地域づくり」2019 年 11 月号で域学連携の特 集を組むほど、地域づくりにおいて重要視されている反面、政策論として域学連 携は消えつつある。
地方創生における大学関連の議論は、大学機能別分化政策や東京 23 区内の大 学学生収容定員抑制政策(「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出 による若者の修学及び就業の促進に関する法律」)、地方大学との産官学連携促 進、ハードとしての首都圏大学のサテライトキャンパス設置促進等である。東京 圏への転入超過要因として、大学進学や大学卒業後就職時の転入が挙げられるこ とから、政策論として「学生を地方に分散させ定着させるか」が主要テーマに なっている。
そうした政策は地方創生において一定の効果があると考えられるが、東京一極 集中を是正し、地方への人口還流を生み出し、地域づくりの人財確保に努めよう という方向にあっては、域学連携によって東京圏からのアウトリーチに力を入 れ、関係人口づくりを促すべきである。にもかかわらず、域学連携を提唱した総 務省は、同省ホームページ「地域力の創造・地方の再生」の「過去の事業」一覧 に域学連携の取り組み記録を残すのみで、特別交付税による財政支援も 2016 年 度に終了させている。域学連携を事業化し継続できている基礎自治体はごく一部 である(総務省のモデル事業採択自治体の中では、石川県奥能登、長野県飯田 市、岐阜県中津川市、兵庫県洲本市、熊本県菊池市、対馬市程度)。
人口急減による税収減や合併算定替による地方交付税の減少等、基礎自治体を 取り巻く財政状況は年々厳しさを増し、域学連携における受入コストを基礎自治 体が負担することは困難である。一方、国からの大学への運営費交付金や私学補 助の削減、2018 年度から大学進学者数が減少に転じる「2018 年問題」等から大
学を取り巻く環境も厳しく、大学側からの予算捻出も困難となっている。奥能登 のように、能登半島の自治体及び関係する大学が共同出資し協議会を形成する ケースもあるが、他の自治体は単独予算、もしくは国の交付金を活用して事業を 継続している。対馬市の場合、単独予算のみの継続は不可能で、離島活性化交付 金、地方創生交付金を活用してきた。
財源の確保策について、2019 年 2 月、域学連携の概念を提唱し、域学連携の 推進に関わった総務省の MS 氏にヒアリングを行った。
MS 氏は、域学連携の意義について「大企業の専門性のある仕事ほど AI に奪 われてしまう。人間にしかできないコミュニケーションやホスピタリティ、クリ エイティビティ、マネジメント力が必要となる。また、社会で働く上では志が 必要。だからこそ、リベラルアーツや地方での体験が必要」であり、ますます地 方での体験が都市部の学生に求められるだろうという。財源確保策については、
「補助金や交付金に頼るのは持続可能ではない。対馬のようにこれだけの学生の 受け入れ実績があれば、ガバメントクラウドファンディングを活用し、国の財源 に頼らない、新たな財源を確保すべき。学生たちが社会人になれば寄付する可能 性は高く、数百万~1,000 万は毎年集まるのではないか。ただし、ものによる返 礼ではなく、思いやテーマに対して寄付してもらい、現地での何かしら組み合わ せた体験を返礼として提供する。女子学生は子育て世代になれば子供たちにも同 じような地方体験をさせてあげたいと思うはず。大学からの支出は全く期待でき ない」という。
今や国の政策ではなくなってしまった域学連携の継続は、基礎自治体の自主性 と独立採算に任せられている。ガバメントクラウドファンディングによる財源確 保の成否も、域学連携によって関係人口をいかに形成できるか、関係性を維持で きるかに左右されると言えよう。
6.域学連携の新展開
⑴ 新型コロナウイルスによる域学連携への影響と SDGs を踏まえた施策転換 コロナ禍で域学連携の状況は一変した。都市からの来島に対する地元側の警戒
感と、医療体制が脆弱な離島への大学側の配慮から、ほとんどの実習、調査研 究、合宿等が中止・延期となった。
ポストコロナ時代・ウィズコロナ時代において、域学連携によって関係人口を 形成し、維持できるのだろうか。
域学連携に参加した学生の中で、大学在学中に地域おこし協力隊員や集落支援 員として長期滞在する学生もいるが、大半の学生は時間が経つにつれて次第に対 馬との関係が薄れていく。そのため、関係人口として関わり続けられる仕組みづ くりは長年の取り組み課題である。また、研究者・学生への研究・教育機会を提 供する一方で、地域人財、つまり持続可能な島づくりの担い手の育成が課題と なっていた。
そこで、2020 年度からは対馬の島づくりを担う人材育成を強化するため、島 おこし実践塾や学術研究奨励補助金等、市民が参加できる制度として見直した。
新たな取り組みとして、域学連携の主要大学教員と議論を重ねながら、「対馬 グローカル大学」を構想した。離島には高等教育機関は無いが、域学連携のネッ トワークをフル活用し、市民の教養や専門性を高め、市民力をエンパワーメント しようという試みである。
国境離島である対馬は、ローカルな過疎問題に加え、海洋プラスチックごみ、
外来生物、磯焼け等グローバルな環境問題に悩まされている。持続可能な島づく りのためには、地球規模の視野を持ち、地域視点で行動していくグローカル人財 の育成が必要不可欠である。対馬市は 2020 年 7 月 17 日に国の SDGs 未来都市の 選定を受けた。17 すべての目標達成の基礎はゴール 4 の「教育」であり、当市 ではこの対馬グローカル大学を SDGs 未来都市の主要施策に位置付け、域学連携 施策との統合を図っている。
⑵ 対馬グローカル大学の概要
当初、対馬グローカル大学は市民に対して対面形式で講義やゼミ、フィールド ワークを提供する予定であった。コロナ禍で研究者の来島が困難になり、また、
島内でもイベントや集会等が自粛され、出だしでつまずく形となった。
当市は地域おこし協力隊制度を活用し、「学生研究員」を置いている。域学連
携で何度も来島した学生で、長期間対馬に滞在したいと希望する者を任用し、地 域視点に寄り添ったアクションリサーチに取り組んでもらっている。現在、生態 学と市民科学を専門とする TY 研究員が対馬グローカル大学の運営を担ってい る。Z 世代であるため、SNS やビデオ会議アプリ等の操作は手慣れており、業務 終了後夕方になると大学院等の研究会にオンラインで参加している。TY 氏を通 じてオンラインの有用性と可能性を実感し、対馬グローカル大学の運営を対面か らオンライン形式に切り替えることとした。
対馬グローカル大学は、① web 講義、②オンラインゼミ、③チャットによる 仮想研究室、の 3 つを柱としている。
①は対馬での研究や実践の成果、各分野の学問・実践論を市民に分かりやすく 解説いただくものである。島内外の専門家・実務家の全面的な協力を得ながら、
公益財団法人日本離島センターの MA 氏による離島振興論といった総論から、
環境、社会、歴史文化、経済、基礎科学や方法論に至るまで約 60 講義を集める ことができた。「いつでもどこでも誰でも」を売り文句に、オンデマンド形式・
ライブ形式で講義を提供している。
②は、連携協定を有する大学の主要教員を講師に、環境、まちづくり、教育、
ビジネス、持続可能性、食の 6 つに分かれ、月 1 回オンラインでゼミを行うもの である。
③は、チャットツールを用いた受講生・講師・スタッフのオンライン上の交流 スペースで、受講生の疑問・質問、関心事項等にみんなで情報交換しようという ものである。
①~③を約半年間で学び、最後は市長名での修了証書を発行する。将来的には 修了者を「市民研究員」として登録し、その後も自主的な研究・実践活動を促す ことで、域学連携や SDGs の全島展開につなげたい。
受講生は 100 名を超えた。市民受講生は漁師、農家、UI ターン者、高校生や 学校教員等様々である。また、島外で暮らす対馬出身の高校生・大学生・社会 人、そして、来島経験のある都市部の高校生・大学生・研究者・旅行者等対馬 ファンも多い。
対馬は都市部から遠く、また島が大きい。行くにも島内で集まるにも地理的な
ハンデキャップが人の行き交い・出会い・つながりを阻害してきた。コロナ禍で オンラインが注目され、コミュニケーションの形が大きく変わろうとする中、対 馬グローカル大学は対馬に関わる・関わろうとしているすべての人が瞬時にアク セスできるハブとなる。域学連携という生身でのつながりをベースにオンライン でつながり続け、コロナ収束の先には、オフライン世界の域学連携による関係人 口の再拡大が生じると考えている。
7.まとめ~域学連携による人財の好循環~
本論では、政策としての域学連携の展開を整理し、対馬市の事例を取り上げな がら、離島振興における量的・質的効果や関係人口形成に果たす域学連携の役割 を示した。
また、大都市部学生の離島地域における「場の教育」の重要性についても指摘 し、地方創生・離島振興の推進においては、政策としての域学連携を継続・強化 すべきことを指摘した。コロナ禍によって「場の教育」機会が失われようとして いるが、これまでの大学・学生との関係性をオンラインを通じて維持することが 関係人口の再拡大につながることも指摘した。
最後に、域学連携による人財好循環モデルを提示する。高等教育機関が無く、
学生にあたる 20 歳前後の若者や専門人材が少ない離島地域において、若い活力 や専門性、情報、人的ネットワークといったものが域学連携によってもたらさ れ、島づくりの前進に確実につながっている。学生たちは、実践を通じて、現場 で求められる心構えや役割、スキル等を学び、島暮らしを体験することで、関係 人口となり、何度も対馬に来島している。中には卒業後に UI ターンする者も現 れ、域学連携によって、交流・移住定住人口・関係人口が増え、人財の好循環が 生じている。
持続可能な島づくりのためには、人の流れを途切れさせず、島づくりを継続さ せるためには人財循環を促す必要がある。対馬は、過疎化によって生じる雇用や 教育、交通、医療、福祉等の市民生活面での課題も山積し、その姿は本土が直面 するであろう 10 年先の姿が現れている。アメリカの留学生で 2014 年度島おこし
実践塾に参加した SH 氏は、海外から対馬を見た面白さとして「現代において伝 統や暮らしが継承される過去と、過疎に悩まされる現在、地方創生時代が迫る未 来とが重なる課題先進地域」と述べている。課題山積だからこそ、様々な挑戦が あり、その中に、未来の日本へのヒントがある。対馬という場は、社会における 自分の位置付けや役割、自分をとりまく自然・社会環境とのつながりを実に認識 しやすい。加えて、国境の島であるがゆえに直面する固有の課題が多く、越境す る諸問題も学び取りやすい。真のグローカル人財の育成を対馬で担えると実感し ている。
このように課題先進地域であり、日本の未来を示すモデルとなりえる対馬が、
常にチャレンジを続けるためには、志のある人財が必要である。対馬には持続可 能な社会の実現を目指し、有能な若者たちが対馬に次々と移り住んでいる。
その先駆けとなっているのが、対馬北部の S 集落でソーシャル・ビジネスの 法人を経営する KM 氏である。KM 氏は海洋生態学者で、大学勤務を辞め、島 おこし協働隊員生物多様性保全担当として対馬に移住した。S 集落で持続可能 な社会の実現に向け、3 年間の任期中に、域学連携、企業連携、環境配慮型農産 物のコーディネート、農地再生や古民家再生等に取り組んだ。在任中に起業し、
KM 氏の活動に共感したコンサルタント等専門人財 2 名が対馬に移住し、KM 氏 の法人経営に加わった。専門家集団、中間支援組織として、任期終了後も対馬市 の域学連携等のコーディネート業務や、住民団体の支援を通じ、対馬の持続的な 発展に貢献している。
そうした組織が立ち上がると、さらに専門人財を招き、独立・起業すること で、対馬には無い新たなビジネスを展開し、対馬の活性化や環境保全に貢献し、
新規移住者の雇用も創出している。
学生たちは、そうした若い移住者たちの志や経験に学び、予測困難な現代社会 における課題解決能力を養うことで、将来、対馬に限定せずとも地方に移住し、
KM 氏のように自ら地域づくりの実践や後輩の現地指導役を担い、あるいは企業 人や研究者等になり関係人口として外部からサポートを行う。そうした人財循環 の輪を構築し、関係人口や移住の予備軍育成に努めていくことは、地方創生の持 続化や SDGs の推進において極めて重要である。
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図 9 域学連携による人財好循環モデル