博士学位論文(東京外国語大学)
Doctoral Thesis (Tokyo University of Foreign Studies)
氏 名 本田ゆかり 学位の種類 博士(学術)
学位記番号 博甲第208号 学位授与の日付 2016年3月12日 学位授与大学 東京外国語大学
博士学位論文題目 大規模コーパスに基づく日本語教育語彙表の作成
Name Honda, Yukari
Name of Degree Doctor of Philosophy (Humanities) Degree Number Ko-no. 208
Date March 12, 2016
Grantor Tokyo University of Foreign Studies, JAPAN Title of Doctoral
Thesis
Creating a corpus-based educational word list for learners of Japanese
大規模コーパ スに基づ く 日本語教育語 彙表 の作 成
Creating a corpus-based educational word list for learners of Japanese
東 京 外 国 語 大 学 大 学 院 地 域 文 化 研 究 科 博 士 後 期 課 程
言 語 教 育 学 講 座
2015 年 9 月
本 田 ゆ か り
目 次
第 1 章 は じ め に ... 1
1.1 節 本 研 究 の 目 的 ... 1
1.2 節 構 成 ... 4
第 2 章 先 行 研 究 の 概 観 ... 6
2.1 節 従 来 の 語 彙 調 査 に 基 づ く 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 ... 6
2.1.1. 従 来 の 日 本 語 語 彙 調 査 ... 6
2.1.2. 基 本 語 彙 と は ... 8
2.1.3. 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 の 選 定 ... 10
2.1.4. 語 彙 表 間 の 一 致 率 ... 19
2.1.5. 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 特 徴 と 問 題 点 ... 22
2.2 節 コ ー パ ス に 基 づ く 教 育 語 彙 表 ... 24
2.2.1. コ ー パ ス と は ... 24
2.2.2. コ ー パ ス に 基 づ く 英 語 教 育 語 彙 表 ... 26
2.2.3. 日 本 語 の コ ー パ ス ... 33
2.2.4. コ ー パ ス に 基 づ く 日 本 語 教 育 語 彙 表 ... 41
2.3 節 日 本 語 コ ー パ ス 研 究... 48
2.3.1. 語 の 単 位 ... 48
2.3.2. 漢 字 の 表 記 ... 55
2.4 節 先 行 研 究 の ま と め ... 61
2.4.1. ま と め ... 61
2.4.2. 問 題 の 所 在 と 本 研 究 の 意 義 ... 62
第 3 章 研 究 方 法 ―コ ー パ ス に 基 づ く 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 作 成 方 法― ... 65
3.1 節 目 的 ( 語 彙 表 の デ ザ イ ン ) ... 67
3.1.1. 語 彙 表 の 総 語 数 , 対 象 者 , 利 用 範 囲 ... 67
3.1.2. 見 出 し 語 の 単 位 と 表 記 ... 69
3.2 節 コ ー パ ス の 選 定 と 最 適 化 の 方 法 の 検 討 ... 70
3.3 節 分 析 用 基 礎 統 計 の 調 査 と 検 討 ... 72
3.3.1. 頻 度 表 の 作 成 ... 73
3.3.2. 散 布 度 の 選 定 と 計 算 方 法 ... 73
3.3.3. 有 用 度 指 標 ... 74
3.4 節 教 育 的 配 慮 と し て の 単 語 親 密 度 調 査 の 利 用 ... 76
3.5 節 語 彙 の 選 定 と レ ベ ル 分 け の 方 法... 77
3.5.1. レ ベ ル 分 け と 語 数 設 定 の 方 法 ... 77
3.5.2. 各 レ ベ ル の 語 彙 の 選 定 方 法 ... 78
3.6 節 語 彙 表 の 評 価 方 法 ... 78
第 4 章 コ ー パ ス に 基 づ く 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 作 成... 81
4.1 節 語 彙 表 の 基 礎 資 料 と な る コ ー パ ス の 選 定 と 再 構 築 ... 81
4.1.1. BCCWJの サ ブ コ ー パ ス バ ラ ン ス の 評 価 ... 82
4.1.2. 実 験 用 コ ー パ ス の 作 成 ... 83
4.1.3. 媒 体 間 の 語 彙 の 重 な り ... 84
4.1.4. 各 媒 体 の 語 彙 的 特 徴 ... 90
4.1.5. 語 彙 分 布 の 類 似 性 ... 97
4.1.6. コ ー パ ス の 確 定 ... 99
4.2 節 分 析 用 基 礎 統 計 の 算 出 ... 102
4.2.1. 頻 度 表 の 作 成 ... 102
4.2.2. 散 布 度 の 付 与 ... 103
4.2.3. 有 用 度 の 算 出 と 付 与 ... 107
4.2.4. 単 語 親 密 度 の 付 与 ... 107
4.2.5. 削 除 し た 語 彙 ... 109
4.3 節 語 彙 の ラ ン キ ン グ と レ ベ ル 分 け... 112
4.3.1. 語 彙 分 布 の 分 析 ... 113
4.3.2. レ ベ ル 分 け と 語 数 ... 121
4.3.3. 語 彙 の 選 定 と 日 本 語 教 育 的 観 点 か ら の リ ス ト の 補 正 ... 124
4.3.4. 4.3.の ま と め ... 130
第 5 章 語 彙 表 の 評 価 ... 132
5.1 節 日 本 語 教 育 用 テ キ ス ト に お け る テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 132
5.1.1. 日 本 語 能 力 試 験 過 去 問 に お け る 本 研 究 作 成 語 彙 表 の テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 133
5.1.2. 中 ・ 上 級 用 読 解 テ キ ス ト に お け る テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 136
5.2 節 一 般 テ キ ス ト に お け る テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 138
5.2.1. テ キ ス ト の 選 定 ... 139
5.2.2. 一 般 テ キ ス ト に お け る 本 研 究 作 成 語 彙 表 の テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 142
第 6 章 本 研 究 の 結 論 と 展 望 ... 147
6.1 節 結 果 の 概 要 と 考 察 ... 147
6.2 節 本 研 究 の 意 義 お よ び 今 後 の 課 題... 150
図 表 目 次 表 1 国 立 国 語 研 究 所 の 現 代 語 語 彙 調 査 ... 7
表 2 語 彙 調 査 に 基 づ い て 作 ら れ た 主 な 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 表 ... 11
表 3 『 日 本 語 能 力 試 験 出 題 基 準 』 語 彙 の レ ベ ル 別 語 数 ... 15
表 4 日 本 語 能 力 試 験 (2010年 改 訂 前 ) の 認 定 基 準 ... 15
表 5 1,2級 「 出 題 基 準 」 語 彙 の 選 定 資 料 ... 17
表 6 「 基 本 語 二 千 」「 基 本 語 六 千 」 の 各 語 彙 表 間 で の 共 通 度 ... 20
表 7 各 語 彙 に お け る 共 通 語 彙 の 品 詞 別 割 合 ... 21
表 8 主 な 日 本 語 の コ ー パ ス ... 33
表 9 BCCWJの 構 成 ... 40
表 10 BCCWJ 出 版 サ ブ コ ー パ ス の 内 訳 ... 40
表 11 コ ー パ ス を 利 用 し た 主 な 日 本 語 教 育 語 彙 表 ... 41
表 12 国 際 交 流 基 金 が 新 試 験 対 応 語 彙 表 作 成 の た め に 使 用 し た デ ー タ ベ ー ス ... 43
表 13 最 小 単 位 の 分 類 ... 50
表 14 本 研 究 で 作 成 す る 語 彙 表 の デ ザ イ ン... 69
表 15 BCCWJ領 域 内 公 開 デ ー タ 10 媒 体 の 頻 度 表 (100 語 ) の 順 位 相 関 ... 82
表 16 BCCWJ領 域 内 公 開 デ ー タ 10 媒 体 の 頻 度 表 (500 語 ) の 順 位 相 関 ... 82
表 17 BCCWJ領 域 内 公 開 デ ー タ 10 媒 体 の 頻 度 表 (1000 語 ) の 順 位 相 関 ... 83
表 18 実 験 用 コ ー パ ス ... 84
表 19 上 位 1000語 ま で の 重 な り ( 語 数 ) ... 85
表 20 上 位 2000語 ... 86
表 21 上 位 3000語 ... 86
表 22 上 位 4000語 ... 86
表 23 上 位 5000語 ... 87
表 24 上 位 6000語 ... 87
表 25 上 位 7000語 ... 87
表 26 上 位 8000語 ... 88
表 27 上 位 9000語 ... 88
表 28 上 位 10000 語 ... 88
表 29 1種 類 お よ び 2種 類 の 媒 体 の み に 現 れ る 語 の 数 ... 89
表 30 書 籍 : ベ ス ト セ ラ ー (OB) の み に 出 現 す る 語 彙 ... 91
表 31 Yahoo!知 恵 袋 (OC) の み に 出 現 す る 語 彙 ... 92
表 32 国 会 会 議 録 (OM) の み に 出 現 す る 語 彙 ... 93
表 33 広 報 誌 (OP) の み に 出 現 す る 語 彙 ... 94
表 34 教 科 書 (OT) の み に 出 現 す る 語 彙 ... 95
表 35 白 書 (OW) の み に 出 現 す る 語 彙 ... 96
表 36 媒 体 の グ ル ー ピ ン グ ... 98
表 37 BCCWJの 語 数 ( 短 単 位 ) の 割 合 ※ 記 号 ・ 空 白 削 除 後 ... 99
表 38 上 位 1万 語 中 特 有 の 語 彙 が 占 め る 割 合 ... 100
表 39 コ ー パ ス か ら 削 減 す る 割 合 と 語 数 ... 101
表 40 調 整 前 と 調 整 後 の コ ー パ ス バ ラ ン ス... 102
表 41 再 構 築 し た コ ー パ ス の 総 語 数 ( 未 知 語 ・ 空 白 ・ 記 号 等 を 除 く ) ... 103
表 42 2万 語 に 分 割 し た テ キ ス ト の 数... 104
表 43 頻 度 順 に 見 た 100万 語 と 200 万 語 の DP 平 均 比 較 (LB:書 籍 ) ... 105
表 44 頻 度 順 に 見 た 100万 語 の DP平 均 比 較 ... 106
表 45 削 除 し た 項 目 ... 110
表 46 頻 度 ラ ン ク 1000語 ま で の 累 積 頻 度 ... 113
表 47 頻 度 ラ ン ク 1万 語 ま で の 累 積 頻 度 ... 113
表 48 1万 語 ま で を 1000語 区 切 り に し た 場 合 の DP の 値 ... 116
表 49 頻 度 お よ び 散 布 度 (DP) の 記 述 統 計 (1000語 区 切 り ) ... 118
表 50 頻 度 と 分 布 の 傾 向 に よ る グ ル ー ピ ン グ ... 120
表 51 レ ベ ル 分 け の 内 容 ... 122
表 52 各 レ ベ ル の 有 用 度 指 標 と 単 語 親 密 度 の 範 囲 と 平 均 値 ... 128
表 53 JLPT過 去 問 に お け る 本 研 究 作 成 語 彙 表 の テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 133
表 54 JLPT過 去 問 に お け る 「 出 題 基 準 」 語 彙 リ ス ト の テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 134
表 55 「 中 級 読 解 」 ... 136
表 56 「 日 本 語 教 育 通 信 エ ッ セ イ 」 ... 137
表 57 日 本 語 教 育 用 テ キ ス ト に お け る 本 研 究 作 成 語 彙 表 の テ キ ス ト カ バ ー 率 .. 137
表 58 テ キ ス ト カ バ ー 率 調 査 に 用 い た テ キ ス ト ... 139
表 59 一 般 テ キ ス ト に お け る 本 研 究 作 成 語 彙 表 の テ キ ス ト カ バ ー 率 ... 142
表 60 一 般 テ キ ス ト カ バ ー 率 に お け る 「 出 題 基 準 」 と の 比 較 ... 145
図 1 語 彙 表 作 成 の 方 法 ... エ ラ ー! ブ ッ ク マ ー ク が 定 義 さ れ て い ま せ ん 。 図 2 10000 語 中 1 種 類 お よ び 2種 類 の み の 媒 体 に 現 れ る 語 彙 の 数 ... 89
図 3 媒 体 の ク ラ ス タ リ ン グ ... 98
図 4 頻 度 順 に 見 た 100万 語 と 200万 語 の DP 平 均 比 較 (LB:書 籍 ) ... 105
図 5 頻 度 ラ ン ク 1~1000語 ま で の 累 積 頻 度 ... 114
図 6 頻 度 ラ ン ク 1~1万 語 ま で の 累 積 頻 度 ... 114
図 7 散 布 度 (DP) 値 の 分 布 ( 頻 度 上 位 1~1000 ま で ) ... 116
図 8 散 布 度 (DP) 値 の 分 布 ( 頻 度 上 位 4001~5000ま で ) ... 116
図 9 散 布 度 (DP) 値 の 分 布 ( 頻 度 上 位 9001~10000 ま で ) ... 117
図 10 ク ラ ス タ 分 析 の 結 果 (1) ... 119
図 11 ク ラ ス タ 分 析 の 結 果 (2) ... 120
図 12 有 用 度 の 平 均 値 ... 129
図 13 単 語 親 密 度 の 平 均 値 ... 129
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第 1章 は じ め に
1.1 節 本 研 究 の 目 的
本 研 究 は , 大 規 模 日 本 語 コ ー パ ス を 用 い て , 語 彙 の 重 要 度 を 統 計 指 標 に よ り 定 量 化 し , 難 易 度 を 日 本 語 教 育 の 観 点 で 解 釈 し て , 日 本 語 学 習 の た め の 語 彙 リ ス ト を 作 成 す る こ と , そ し て , そ の 成 果 を 用 い て 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 改 善 に つ な げ , 日 本 語 の 書 き 言 葉 を 理 解 す る こ と を 主 な 目 的 と し た 基 本 語 彙 を 選 定 す る こ と に あ る 。 日 本 語 教 育 で は ,従 来 か ら 語 彙 調 査 の 結 果 を 資 料 と し ,専 門 家 の 主 観 的 な 判 断 や 判 定( 以 下 ,「 専 門 家 判 定 方 式 」)に よ っ て 複 数 の 語 彙 表( 以 下 ,「 従 来 型 」)が 作 ら れ て き た 。し か し ,そ の よ う な 語 彙 表 が 教 育 現 場 や 研 究 な ど 様 々 な 目 的 で 利 用 さ れ る こ と に つ い て は 問 題 点 も 指 摘 さ れ て い た 。そ の 後 ,2009年 に 国 立 国 語 研 究 所 よ り『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス 』(Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese: 以 下 ,BCCWJ))
モ ニ タ ー 版 が 公 開 さ れ た 。 そ れ 以 降 , 日 本 語 教 育 で も コ ー パ ス 準 拠 の 語 彙 表 が 作 ら れ 始 め た 。 コ ー パ ス 準 拠 で 語 彙 表 を 作 成 す る 場 合 , そ の 出 現 頻 度 に は コ ー パ ス に 含 ま れ る 媒 体 の バ リ エ ー シ ョ ン や サ ブ コ ー パ ス の バ ラ ン ス が 直 接 影 響 す る 。 そ の た め , 利 用 す る コ ー パ ス が 作 成 し よ う と し て い る 語 彙 表 の 目 的 に 合 っ て い る か ど う か を 検 討 す る こ と は 非 常 に 重 要 で あ る が , そ の よ う な 例 は 過 去 に な い 。 ま た , コ ー パ ス 準 拠 の 語 彙 表 で あ っ て も 語 の レ ベ ル 分 け は 専 門 家 判 定 方 式 で 行 わ れ て い た り , 既 存 の 従 来 型 語 彙 表 の 成 果 に 依 存 し て い た り す る こ と も あ る 。
従 来 型 の 語 彙 表 の 中 で も , 日 本 語 教 育 の 現 場 や 研 究 目 的 で 幅 広 く 用 い ら れ て き た の が ,『 日 本 語 能 力 試 験 出 題 基 準 』( 国 際 交 流 基 金・日 本 国 際 教 育 支 援 協 会 編 集 2007)( 以 下 ,「 出 題 基 準 」)の 語 彙 セ ッ ト で あ る 。し か し ,「 出 題 基 準 」は 日 本 語 能 力 試 験 の た め に 作 ら れ た も の で あ り ,現 状 の よ う な 幅 広 い 利 用 を 想 定 し て 作 成 さ れ た も の で は な い 。 そ の た め ,日 本 語 能 力 試 験 問 題 作 成 以 外 の 広 範 囲 な 利 用 に は 問 題 が 生 じ る こ と も あ る 。 李 (2013) は ,「 出 題 基 準 」 に つ い て ,「1.作 成 か ら 30 年 以 上 経 っ て お り , 語 彙 の 変 化 に 対 応 し て い な い 」「2.海 外 受 験 者 へ の 配 慮 か ら ,文 化 な ど に 関 連 す る 語 彙 が 含 ま れ
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て い な い 」「3.難 易 度 設 定 は ,テ ス ト 作 成 の た め の も の で あ り ,教 育 目 標 で は な い 」と い う 3 点 を 問 題 点 と し て 指 摘 し て い る 。
そ の 後 ,2009年 に 国 立 国 語 研 究 所 よ り BCCWJモ ニ タ ー 版 が 公 開 さ れ ,領 域 内 公 開 版 も 一 部 の ユ ー ザ ー の 間 で 利 用 可 能 に な っ た 。こ れ ら を 利 用 し て 作 ら れ た の が ,「 日 本 語 を 読 む た め の 語 彙 デ ー タ ベ ー ス 」( 松 下 ,2011)と「 日 本 語 教 育 語 彙 表 」( 李・砂 川 , 2012)で あ る 。ど ち ら も 語 彙 選 定 に は コ ー パ ス の 出 現 頻 度 や 統 計 指 標 を 利 用 し て い る 。
松 下(2011)で は ,モ ニ タ ー 版 が 使 用 さ れ て い る 。モ ニ タ ー 版 は「 書 籍 」や「Yahoo!
知 恵 袋 」 と い う 限 定 的 な ジ ャ ン ル の テ キ ス ト で 構 成 さ れ て い る 。 こ の コ ー パ ス 出 現 頻 度 に 基 づ く と い う こ と は ,「 書 籍 」 や 「Yahoo!知 恵 袋 」 の 高 頻 度 語 彙 お よ び 分 布 の 安 定 し た 語 彙 を 日 本 語 教 育 に お い て も 「 重 要 」 と み な し て い る と い う こ と で あ る 。 し か し , 日 本 語 学 習 者 は , 新 聞 , 雑 誌 な ど , こ れ ら 以 外 の 様 々 な ジ ャ ン ル の テ キ ス ト を 読 む で あ ろ う し , も っ と 幅 広 い テ キ ス ト ジ ャ ン ル に お い て 高 頻 度 に 出 現 す る 語 彙 を 重 要 語 彙 と し て 優 先 的 に 学 習 し て い く べ き で あ ろ う 。し か し , 松 下 (2011) で は , こ の モ ニ タ ー 版 が 日 本 語 教 育 語 彙 表 作 成 に 適 し た コ ー パ ス で あ る か ど う か を 検 証 し た 記 述 は 見 当 た ら ず , コ ー パ ス 出 現 頻 度 や 統 計 指 標 を 使 っ て 客 観 的 に レ ベ ル 分 け 等 を 行 っ て い る も の の , そ れ が 本 当 に 妥 当 な も の で あ る か ど う か は 疑 問 が 残 る 。
一 方 ,李 ・ 砂 川(2012)は モ ニ タ ー 版 よ り も 幅 広 い ジ ャ ン ル の テ キ ス ト を 収 録 す る 領 域 内 公 開 版 を 利 用 し て い る 。 さ ら に , 日 本 語 教 科 書 の デ ー タ も 使 っ て い る 。 こ の よ う に , 李 ・ 砂 川 (2012) で は , 使 用 す る コ ー パ ス が 日 本 語 教 育 語 彙 表 作 成 と い う 目 的 に 合 う も の と な る よ う な 配 慮 が な さ れ て い る 。 し か し , 語 彙 選 定 や レ ベ ル 分 け の 方 法 に つ い て は ,「 語 彙 の 難 易 度 指 標 は ,機 械 的 に 決 め ら れ る も の で は な い 。日 本 語 教 師 の
『 経 験 』 や 『 勘 』 が 反 映 さ れ る 必 要 が あ る 。」( 李 ,2013,p.13) と い う 考 え 方 か ら 専 門 家 判 定 方 式 に 依 存 し , そ の 方 法 論 は 従 来 型 に 近 い 。
本 研 究 で は , 語 彙 選 定 に お け る 主 観 的 要 素 を 可 能 な 限 り 排 除 し , コ ー パ ス バ ラ ン ス に つ い て 詳 細 に 検 討 し た う え で , 日 本 語 の 書 き 言 葉 を 読 ん で 理 解 す る た め に 必 要 な 語 彙 を 中 心 と し た 語 彙 リ ス ト を 作 成 す る 。 近 年 , イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及 に よ り 世 界 中 の
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ど の 地 域 に い て も 日 本 語 に 触 れ る こ と が 可 能 に な っ た 。 現 在 , 日 本 語 学 習 者 は , 国 内 で 約 15.7 万 人 (2013年 , 文 化 庁 調 べ ), 海 外 で 約 399万 人 (2012年 , 国 際 交 流 基 金 調 べ ) で あ る 。 国 内 学 習 者 数 よ り も 海 外 学 習 者 数 の ほ う が 圧 倒 的 に 多 い が , イ ン タ ー ネ ッ ト な ど の 媒 体 を 利 用 す れ ば , 学 習 リ ソ ー ス が 限 定 さ れ る 海 外 の 学 習 者 で も 日 本 語 を 読 む 機 会 は 得 る こ と が で き る 。 そ し て , 日 本 語 の テ キ ス ト を 読 む 力 を 向 上 さ せ る た め に は , 多 様 な 書 き 言 葉 テ キ ス ト に お い て 高 頻 度 で 出 現 し , 分 布 の 安 定 し た 語 彙 か ら 学 習 す る の が 効 果 的 で あ る 。 し か し , 既 存 の 日 本 語 教 育 語 彙 表 に は そ の よ う な 観 点 で 作 ら れ た 例 が な く , 日 本 語 を 読 ん で 理 解 す る た め の 重 要 語 彙 は 何 か と い う ニ ー ズ に 応 え る も の が な い 。
日 本 語 教 育 語 彙 表 は ,権 威 的 ,代 表 的 な も の が 一 つ あ れ ば よ い と い う も の で は な い 。 そ れ ぞ れ の 目 的 に 応 じ て 作 ら れ , 活 用 さ れ る べ き で あ る 。 日 本 語 の 書 き 言 葉 を 読 ん で 理 解 す る た め に は , 書 き 言 葉 に お け る 重 要 語 彙 を 選 定 し た 語 彙 表 が 役 立 つ 。 イ ン タ ー ネ ッ ト な ど の 利 用 し や す い 媒 体 を 通 し て 日 本 語 の テ キ ス ト を 読 み , 生 の 情 報 が 得 ら れ れ ば , 日 本 に 馴 染 み の な い 国 や 地 域 に お け る 学 習 者 も 日 本 と い う 異 文 化 に 対 す る 理 解 を 深 め る こ と が で き る 。 そ し て , そ れ は 世 界 各 国 に 親 日 家 を 増 や す と い う 日 本 語 教 育 の 大 き な 目 的 に も つ な が る 。
本 研 究 で 作 成 す る 日 本 語 教 育 語 彙 表 は , 書 き 言 葉 を 収 集 し た 大 規 模 コ ー パ ス を 用 い て , 日 本 語 を 読 む こ と を 中 心 と し た と き に 重 要 な 基 本 語 彙 を 選 定 す る も の で あ る 。 コ ー パ ス の 利 用 に 際 し て は , コ ー パ ス の バ ラ ン ス が 本 研 究 の 日 本 語 教 育 語 彙 表 作 成 に 適 し て い る か ど う か を 十 分 に 検 討 す る 。 そ し て , 語 彙 の 選 定 は , 語 彙 の 重 要 度 を 統 計 指 標 に よ っ て 定 量 化 し て ラ ン キ ン グ し , 単 語 親 密 度 ( 天 野 ・ 近 藤 ,1999) に よ っ て 日 本 語 教 育 的 観 点 か ら の 語 彙 の 難 易 度 を 加 味 し て そ の ラ ン ク を 再 配 列 す る 方 法 を と る 。 た だ し , 単 語 親 密 度 は 日 本 語 教 育 的 な 難 易 度 を そ の ま ま 反 映 す る と い う も の で は な い 。 そ の た め , 単 語 親 密 度 特 有 の 影 響 で 日 本 語 教 育 的 に 基 本 的 な 語 彙 が 下 位 の レ ベ ル に 配 置 さ れ た 場 合 , 元 の ラ ン ク に 戻 す な ど の 調 整 も 行 う 。 こ の よ う な 方 法 で 日 本 語 の 特 に 書 き 言 葉 の 実 情 に 合 っ た 基 本 語 彙 を 選 定 し レ ベ ル 分 け を 行 う 。 本 研 究 は 既 存 の 日 本 語
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教 育 語 彙 表 に お い て 不 十 分 で あ っ た 点 の 改 善 を 試 み , 日 本 語 教 育 語 彙 表 開 発 研 究 の さ ら な る 発 展 に つ な げ よ う と す る も の で あ る 。
1.2 節 構 成
本 研 究 の 構 成 は 以 下 の 通 り で あ る 。
第 1 章 で は , 本 研 究 の 目 的 と 構 成 に つ い て 述 べ る 。
第 2 章 で は , 先 行 研 究 を 概 観 す る 。 ま ず , 従 来 か ら 作 ら れ て き た 語 彙 調 査 に 基 づ く 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 の 歴 史 に つ い て ま と め る 。 複 数 の 語 彙 表 が 作 ら れ て い る の で , そ れ ら の 語 彙 表 間 の 一 致 率 に 関 す る 研 究 な ど も 踏 ま え , 従 来 型 の 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 特 徴 と 問 題 点 に つ い て ま と め る 。
次 に , コ ー パ ス に 基 づ く 教 育 語 彙 表 に つ い て 見 て い く 。 こ こ で は , コ ー パ ス 準 拠 の 語 彙 表 開 発 が 進 ん で い る 英 語 教 育 の 語 彙 表 に つ い て 先 に 触 れ る 。 そ し て , 現 在 利 用 可 能 な 日 本 語 コ ー パ ス に つ い て 紹 介 し , 日 本 語 教 育 に お け る コ ー パ ス 準 拠 の 語 彙 表 の 現 状 に つ い て ま と め る 。
さ ら に , 日 本 語 コ ー パ ス 研 究 の 中 で 進 め ら れ て き た 語 の 単 位 と 漢 字 表 記 の 問 題 に つ い て 見 て い く 。 日 本 語 は 英 語 の よ う に 分 か ち 書 き の 習 慣 が な く , ど こ ま で を 一 語 と 認 定 す る か は 難 し い 問 題 で あ る 。 ま た , 表 記 の 問 題 も 複 雑 で あ る 。
第 2 章 の 最 後 に は , 先 行 研 究 に つ い て ま と め , 今 後 ど の よ う な 日 本 語 教 育 語 彙 表 が 必 要 と さ れ る か と い う 問 題 に つ い て 考 察 す る 。
第 3 章 で は , 研 究 方 法 に つ い て 述 べ る 。 こ こ で は , ま ず , 本 研 究 で 作 成 す る 語 彙 表 の デ ザ イ ン や 対 象 者 , 利 用 範 囲 な ど に つ い て 説 明 す る 。 そ し て , 語 彙 表 作 成 に 用 い る コ ー パ ス の 選 定 方 法 , お よ び , サ ブ コ ー パ ス バ ラ ン ス の 調 整 方 法 に つ い て 述 べ る 。 次 に ,コ ー パ ス を 頻 度 リ ス ト 化 し ,散 布 度 ,有 用 度 な ど の 分 析 用 基 礎 統 計 の 算 出 方 法 と , 単 語 親 密 度( 天 野 ・ 近 藤 ,1999) の 付 与 に つ い て 述 べ る 。 さ ら に , 語 彙 の 選 定 と レ ベ ル 分 け の 方 法 に つ い て 説 明 す る 。
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第 4 章 で は , コ ー パ ス に 基 づ く 日 本 語 教 育 語 彙 表 作 成 の 実 際 に つ い て 述 べ る 。 第 3 章 で 説 明 し た 方 法 で , コ ー パ ス の 選 定 と 再 構 築 を 実 施 し , 分 析 用 基 礎 統 計 を 算 出 し た う え で , 語 彙 の ラ ン キ ン グ と レ ベ ル 分 け を 行 う 。
第 5 章 で は , 完 成 し た 語 彙 表 を 評 価 す る た め に テ キ ス ト カ バ ー 率 調 査 を 行 う 。 テ キ ス ト カ バ ー 率 調 査 に は , 日 本 語 教 育 用 に 加 工 さ れ た テ キ ス ト と , 日 本 人 向 け に 書 か れ た 一 般 の テ キ ス ト を 利 用 す る 。
第 6 章 で は , 本 研 究 の 結 論 と 展 望 に つ い て 述 べ る 。 本 研 究 で 作 成 す る 語 彙 表 と そ の 評 価 に つ い て 結 果 を ま と め , 考 察 す る 。 そ し て , 本 研 究 の 意 義 と , 今 後 の 課 題 と し て 残 さ れ た 問 題 に つ い て 記 す 。
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第 2章 先 行 研 究 の 概 観
第 2 章 で は , 先 行 研 究 を 概 観 す る 。2.1.で は , 従 来 か ら 行 わ れ て き た , 語 彙 調 査 に 基 づ く 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 歴 史 を 振 り 返 る 。2.2.2.2 節 で は , コ ー パ ス に 基 づ く 教 育 語 彙 表 に つ い て 扱 う 。 ま ず , コ ー パ ス 準 拠 の 語 彙 表 研 究 が 進 ん で い る 英 語 教 育 の 語 彙 表 に つ い て ま と め る 。そ し て ,2010年 ご ろ か ら 進 ん で き た 日 本 語 教 育 に お け る コ ー パ ス に 基 づ く 語 彙 表 の 例 を 見 て い く 。2.3.で は , 日 本 語 コ ー パ ス 研 究 に つ い て , 語 の 単 位 と 表 記 に 焦 点 を 当 て , ま と め る 。2.4.で は , 先 行 研 究 を 踏 ま え て 問 題 提 起 を 行 い , 本 研 究 の 意 義 に つ い て 述 べ る 。
2.1 節 従 来 の 語 彙 調 査 に 基 づ く 日 本 語 教 育 基 本 語 彙
こ こ で は 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 歴 史 を 概 観 し , そ の 特 徴 や 問 題 点 に つ い て 述 べ る 。 2.1.1.で は , 日 本 語 コ ー パ ス 開 発 以 前 に 盛 ん に 行 わ れ た 日 本 語 の 語 彙 調 査 に つ い て ま と め る 。2.1.2.で は , 基 本 語 彙 の 概 念 に つ い て 定 義 す る 。2.1.3.で は , 過 去 に 開 発 さ れ た 主 な 日 本 語 教 育 語 彙 表 に つ い て 見 て い く 。2.1.4.で は , こ の よ う な 日 本 語 教 育 語 彙 表 間 の 一 致 率 を 調 査 し , 基 本 語 彙 選 定 の 妥 当 性 を 検 証 し た 研 究 に つ い て 概 観 す る 。 最 後 に 2.1.5.で は , 従 来 の 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 お よ び 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 特 徴 と 問 題 点 に つ い て 整 理 す る 。
2.1.1. 従 来 の 日 本 語 語 彙 調 査
従 来 の 日 本 語 教 育 語 彙 表 や 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 と 呼 ば れ る も の は , 語 彙 調 査 に 基 づ い て 作 ら れ た も の が 多 い 。 現 代 日 本 語 の 語 彙 調 査 は 1950 年 代 ご ろ か ら 国 立 国 語 研 究 所 に よ っ て 行 わ れ て き た 。 そ の 種 類 は , 新 聞 , 雑 誌 , 教 科 書 , テ レ ビ 放 送 な ど 多 岐 に わ た る 。 こ れ ら の 語 彙 調 査 の 大 き な 目 的 の 一 つ は , 国 語 教 育 や 日 本 語 教 育 に 役 立 つ 基
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本 語 彙 の 選 定 に 基 礎 的 な 資 料 を 提 供 す る こ と で あ り , こ れ ら を も と に 様 々 な 語 彙 表 が 作 ら れ た ( 表 1)。
表 1 国 立 国 語 研 究 所 の 現 代 語 語 彙 調 査
調 査 対 象 資 料 の 期 間 調 査 方 法 述 べ 語 数 異 な り 語 数 調 査 単 位
① 新 聞 1 か 月 昭 和 24 年 6月 全 数 調 査 24 万 1.5 万 β'
② 婦 人 雑 誌 昭 和 25 年 標 本 調 査 15 万 2.7 万 α
③ 総 合 雑 誌 昭 和 28 年 ~29 年 標 本 調 査 23 万 2.3 万 β
④ 雑 誌 九 十 種 昭 和 31 年 標 本 調 査 53 万 4.0 万 β
⑤ 新 聞 3 紙 昭 和 41 年 標 本 調 査 300 万 21.3 万 短
200 万 - 長
⑥ 高 校 教 科 書 昭 和 49 年 全 数 調 査 59 万 1.6 万 W
45 万 4.1 万 M
⑦ 中 学 校 教 科 書 昭 和 55 年 全 数 調 査 25 万 0.8 万 W
20 万 1.8 万 M
⑧ テ レ ビ 放 送 平 成 元 年 4~6月 標 本 調 査 14 万 2.6 万 長'
⑨ 雑 誌 70 誌 平 成 6年 標 本 調 査 105 万 4.8 万 Β
( 山 崎 (2009) の 表 を も と に , 編 集 し た )
表 1の ① は 朝 日 新 聞 1946 年 6 月 の 1 か 月 分 の 調 査 で あ る 。 初 期 の も の で , 標 本 調 査 で は な く 全 数 調 査 が 行 わ れ て い る 。調 査 単 位 は 後 に 開 発 さ れ る β 単 位1に 近 い も の で あ る 。 ② ③ ④ は 語 彙 調 査 の 発 展 期 に 当 た り , こ の 頃 に 調 査 方 法 や 語 彙 調 査 の た め の 理 論 で あ る 計 量 語 彙 論 が 確 立 し た ( 山 崎 ,2009)。 ③ に は , 単 位 語 , 見 出 し 語 , 使 用 度 数 , 使 用 率 , 述 べ 語 数 , 異 な り 語 数 な ど の 基 本 的 な 用 語 が 定 義 さ れ て い る 。 ま た , 日 本 語 は 分 か ち 書 き の 習 慣 が な い た め , 語 の 認 定 に あ た っ て は 揺 れ が 生 じ や す い が , ②
③ ④ を 通 じ て β 単 位 が 開 発 さ れ ,こ の 問 題 が 解 消 さ れ た( 山 崎 ,2009)。β 単 位 は ⑤ の 短 単 位 と ほ ぼ 同 じ も の で あ る 。 ま た , ④ に は 基 本 語 彙 の 客 観 的 な 選 定 方 法 も 収 録 さ れ て い る 。
そ の 後 ,1965年 か ら 語 彙 調 査 に コ ン ピ ュ ー タ が 導 入 さ れ ,調 査 語 数 が 拡 大 し た 。調
1 語 の 単 位 ( 国 立 国 語 研 究 ,1984, p.81)
β 単 位 ( 短 単 位 と も 言 わ れ る ) 型 紙/ど お り/に/裁 断/し/て/外 出/着/を/作 り/ま し/た/。
長 単 位 型 紙 ど お り/に/裁 断 し/て/外 出 着/を/作 り ま し た/。
M単 位 ( 形 態 素 morphemeの 略 ) 型/紙/ど お り/に/裁 断/し/て/外 出/着/を/作 り/ま し/た/。
W単 位 ( 語 wordの 略 ) 型 紙 ど お り/に/裁 断 し て/外 出 着/を/作 り ま し た/。
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査 単 位 も , 短 単 位 と 長 単 位 と い う 2種 類 が 併 用 さ れ る よ う に な っ た 。 ⑥ ⑦ は 高 校 の 教 科 書 と 中 学 校 の 教 科 書 を 対 象 と し た 全 数 調 査 で あ る 。 ⑧ は 話 し 言 葉 を 取 り 上 げ た 最 初 の 調 査 で ,テ レ ビ 局 6局 7 チ ャ ン ネ ル の 音 声 と 文 字 の 両 方 を 対 象 と し て い る 。こ の よ う に し て 語 彙 調 査 は 進 め ら れ , 調 査 方 法 や 語 の 単 位 の 認 定 方 法 な ど も 進 歩 し て き た 。
2.1.2. 基 本 語 彙 と は
こ こ で は 基 本 語 彙 の 概 念 に つ い て 定 義 す る 。 先 行 研 究 で は 基 本 語 彙 を 以 下 の よ う に 定 義 し て い る 。:
(1) 使 用 率 が 大 き く ,し か も 対 象 と す る 言 語 作 品 あ る い は 言 語 体 系 の 中 に い く つ か の 層 を 設 け て 考 え る こ と が で き る 場 合( 例 え ば ,雑 誌 で あ れ ば ,実 用 記 事・文 芸 作 品・趣 味 な ど 掲 載 す る 内 容 別 の 層 を 設 け ,ま た 平 安 時 代 物 語 で あ れ ば 作 品 別 に 層 を 設 け る こ と が で き る ),で き る だ け 多 く の 層 に わ た っ て 出 現 す る 語 の 集 合 。(『 国 語 学 大 辞 典 』, 樺 島 ,1980, p.143)
(2) あ る 目 的 の た め に 語 彙 調 査 に よ っ て 選 定 さ れ た 使 用 率2が 高 く , 使 用 範 囲 の 広 い 語 を 選 ん だ も の を 一 般 的 に 基 本 語 彙 と い う 。( 秋 元 ,2002, p.37)
(3) 基 本 語 彙 は , あ る 目 的 の た め に 頻 度 や 重 要 性 を 考 慮 し て 選 定 さ れ た も の で あ る 。 そ れ ぞ れ の 分 野 で 調 査 し た 言 語 資 料 を 基 に ,頻 度 が 高 く て 使 用 範 囲 が 広 く ,当 該 分 野 で 重 要 な 語 を 客 観 的 に 選 定 し て い る 。( 近 藤 ・ 小 森 ,2012, p.217)
つ ま り , 基 本 語 彙 と は 語 彙 調 査 に 基 づ き , 様 々 な 分 野 に 幅 広 く 高 頻 度 で 出 現 す る 語 彙 で あ る 。 こ れ に 対 し , 専 門 語 彙 は 特 定 の 分 野 に 顕 著 に 多 く 現 れ る 語 彙 で あ る 。 外 国
2 頻 度 ( 使 用 度 数 ) が デ ー タ の 延 べ 語 数 の 影 響 を 受 け る も の で あ る た め , そ れ を 相 対 化 す る た め に 考 案 さ れ た 指 標 。 語 wの 使 用 率 = 語wの 使 用 度 数
そ の 文 章 の 中 の 全 て の 語 の 使 用 度 数 × 1000( 国 立 国 語 研 究 所(1984)
p.83)
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語 教 育 で は 一 般 に 2000語 か ら 3000語 程 度 の 基 本 語 彙 を 学 習 し た 後 ,学 習 者 の 興 味 や 学 習 目 的 に 応 じ て あ る 特 定 分 野 の 専 門 語 彙 を 指 導 す る と 学 習 効 率 が 上 が る と 言 わ れ て い る ( 中 條 ,2009, p.10)。
一 方 , 基 本 語 彙 と 類 似 し た 概 念 に 基 礎 語 彙 が あ る 。 基 本 語 彙 が 頻 度 や 使 用 範 囲 に 基 づ き 客 観 的 に 選 定 さ れ る の に 対 し , 基 礎 語 彙 は C.K. Ogden の Basic Englishの 考 え 方 に 基 づ い た も の で ,人 為 的 に 選 ば れ た 語 彙 で あ る 。Ogden は ,人 間 の 言 語 表 現 の 内 容 を 心 理 学 的 に 分 析 し た 結 果 ,850 語 で 日 常 生 活 の こ と が ら は 全 て 表 現 で き る と し , こ れ を 基 礎 語 彙 と し た 。 先 行 研 究 で は 以 下 の よ う に 定 義 さ れ て い る 。:
(1) そ れ に よ っ て 生 活 の 大 部 分 の 必 要 を ま か な う こ と が で き る 語 彙 で ,語 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て 必 要 な 意 味 を 表 す こ と が で き る よ う に 選 ば れ た 語 ,あ い さ つ な ど 対 人 接 触 に 必 要 な 語 ,質 問 や 聞 き 返 し な ど 情 報 を 獲 得 す る た め に 必 要 な 語 ,お よ び 人 に 質 問 し て 知 る こ と が 心 理 的 に 困 難 な ,生 理 上 の 必 要 を み た す た め の 語 か ら 成 る こ と が 考 え ら れ る 。(『 国 語 学 大 辞 典 』, 樺 島 ,1980, p.143)
(2) 日 常 の 言 語 生 活 に 必 要 な 最 小 限 の 語 を ,一 定 の 数 だ け 主 観 的 な 判 断 に よ っ て 体 系 的 に 選 定 し た も の 。( 秋 元 ,2002, p.37)
(3) 特 定 の 言 語 社 会 に お い て 生 活 し , 知 識 , 情 報 を 得 る た め の 基 盤 と な る 語 彙 の こ と 。 日 常 生 活 で 使 用 さ れ る 語 彙 の 中 で も 共 通 性 ,頻 度 が 極 め て 高 い も の 。( 近 藤・小 森 , 2012, p.217)
す な わ ち , 基 礎 語 彙 と は , 日 常 の 生 活 言 語 生 活 に 必 要 な 最 小 限 の 語 を 心 理 学 的 な 見 地 か ら 選 定 し た も の で あ る 。 頻 度 や 分 布 か ら 客 観 的 に 選 ば れ る 基 本 語 彙 に 対 し て , 基 礎 語 彙 は 専 門 家 の 主 観 的 判 断 に よ っ て 選 ば れ る も の で あ る の で ,類 似 概 念 で は あ る が , は っ き り と し た 違 い が あ る 。
こ の よ う に 言 語 教 育 で 使 わ れ る 語 彙 表 は , 基 本 語 彙 , 専 門 語 彙 , 基 礎 語 彙 な ど に 分 け る こ と が で き る 。 た だ し , 日 本 語 教 育 に お い て は 「 基 本 語 彙 」 と 「 基 礎 語 彙 」 と い
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う 用 語 が 必 ず し も 明 確 に 使 い 分 け ら れ て お ら ず( 近 藤・小 森 ,2012, p.217),「 基 本○○」
と い う 名 称 の 語 彙 表 で あ っ て も ,基 礎 語 彙 の 観 点 か ら 選 ば れ た 語 彙 で あ る こ と も あ る 。 ま た , 基 本 語 彙 と さ れ て い て も 判 定 の 際 に 専 門 家 の 主 観 に お い て , 基 礎 語 彙 の 影 響 か ら 生 活 語 彙 や 具 体 物 を 表 す 語 彙 な ど が 「 基 本 的 」 な 語 彙 と さ れ て い る 可 能 性 も な い と は い え な い 。
基 本 語 彙 と 基 礎 語 彙 は 異 な る も の で あ る に も か か わ ら ず , 日 本 語 教 育 に お い て 明 確 に 使 い 分 け ら れ て い な い こ と は 利 用 者 側 に も 誤 解 を 生 み 問 題 で あ る 。 利 用 者 は 少 な く と も そ の 語 彙 表 が ど の よ う な 語 彙 を 集 め た も の な の か と い う こ と を 理 解 し て 教 育 や 研 究 に 使 う べ き で あ る 。
本 研 究 で 選 定 す る 語 彙 は 基 本 語 彙 で あ る 。 語 彙 選 定 は 日 常 生 活 に 必 要 か ど う か な ど の 基 礎 語 彙 的 な 観 点 で 行 わ ず , コ ー パ ス の 出 現 頻 度 と 語 彙 分 布 の 安 定 性 を 重 視 す る 。 日 本 語 教 育 で は こ れ ま で 多 く の 基 礎 語 彙 や 専 門 家 判 定 方 式 に よ る 基 本 語 彙 が 選 定 さ れ て き た が , 専 門 家 判 定 方 式 に 頼 ら ず に 客 観 的 に 選 定 し た 基 本 語 彙 は ほ と ん ど な い 。 一 方 , 学 習 者 を 取 り 巻 く 環 境 は 変 化 し て い る 。 生 活 語 彙 に 特 別 焦 点 を 絞 る こ と な く 日 本 語 の 実 際 の 使 用 を 反 映 し た 語 彙 を 選 定 す る こ と に よ っ て , 生 活 場 面 に 限 ら な い 様 々 な 場 面 で の 日 本 語 の 理 解 に つ な が り , 学 習 者 の 多 様 な ニ ー ズ に も 応 え る こ と が で き る と 考 え る 。
2.1.3. 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 の 選 定
こ こ で は 主 な 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 歴 史 を 振 り 返 る 。 な お , 本 研 究 は 外 国 語 と し て 日 本 語 を 学 習 す る 場 合 の 日 本 語 教 育 語 彙 表 作 成 を 目 的 と し て い る の で , こ こ で は , 外 国 人 日 本 語 学 習 者 を 対 象 と し た も の と , 日 本 人 を 対 象 と し た 国 語 教 育 の 教 育 基 本 語 彙 と は 区 別 す る ( 表 2)。
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表 2 語 彙 調 査 に 基 づ い て 作 ら れ た 主 な 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 表 語 彙 表 の 名 称
( 通 称 を 含 む ) 出 典 発 行
年 編 著 者 名 収 録
語 数 特 記 事 項
「 基 礎 日 本 語 」 『 基 礎 日 本 語 』 1933 土 居 光 知 1100 日 本 語 を 1000 語 に 絞 っ て み る と い う 発 想 か ら 作 ら れ た 語 彙 表 。
「 基 本 簡 易 ニ ッ ポ ン 語 」
『 基 本 簡 易 ニ ッ ポ ン 語 』
1942 情 報 局 300 日 本 語 を 普 及 さ せ る た め に 作 成 さ れ た 語 彙 表 か ? 日 本 語 基 本 語 彙 『 日 本 語 基 本 語
彙 』
1944 岡 本 禹 一 2012 成 人 日 本 語 学 習 者 を 対 象 に ,
「 学 習 上 の 便 宜 と し て 第 一 次 の 基 礎 に な る 語 彙 の 標 準 と す る 」も の を ,専 門 家 の 判 定 方 式 に よ っ て 選 定 し た 。 日 本 語 教 育 に お
け る 基 礎 学 習 語
『 日 本 語 教 育 』 2,4.5
1963
~64
加 藤 彰 彦 1393 語 彙 調 査 ,日 本 語 教 科 書 ,辞 書 の 共 通 す る 語 彙 を 調 べ た 。 Practical
Japanese-English Dict ionary
Practical
Japanese-English Dict ionary
1970 1978
玉 村 文 郎 3209 語 彙 調 査 に 基 づ き ,専 門 家 の 修 正 を 加 え て 選 定 し た 。 留 学 生 の た め の
基 本 語 彙 表
大 阪 外 国 語 大 学
『 日 本 語 ・ 日 本 文 化 』2
1971 樺 島 忠
夫 , 吉 田 弥 寿 夫
1803 高 校 教 科 書 の 語 彙 調 査 に 基 づ き ,留 学 生 を 対 象 に 作 成 さ れ た 語 彙 表 。
外 国 人 の た め の 基 本 語 用 例 辞 典
『 外 国 人 の た め の 基 本 語 用 例 辞 典 』
1971, 1975
文 化 庁 国 語 課
2500 3691
「 日 本 語 を 学 ぼ う と す る あ ら ゆ る 外 国 人 に と っ て ,ど う し て も 身 に 付 け な け れ ば な ら な い と 思 わ れ る 基 本 的 な 語 を 集 め ,そ の 活 用 ・ 意 味 ・ 使 い 方 な ど を 開 設 す る 」 も の 。方 法 は ,語 彙 調 査 を 資 料 と し た 専 門 家 判 定 方 式 。 A Classified List
of Basic
Japanese Vocabulary
A Classified List
of Basic
Japanese Vocabulary
1977 J.V.
Neustupný
1796 モ ナ シ ュ 大 学 日 本 語 学 部 入 学 試 験 受 験 者 を 対 象 と す る 。 既 存 の 教 科 書 か ら 入 門 期 の 基 本 語 彙 1750 語 を 選 定 し , ト ピ ッ ク 別(18 分 野 ,144 項 目 ) に 分 類 し て い る 。 日 本 語 教 育 語 彙
資 料 (1)(2)―低 学 年 初 級 500 語
『 日 本 語 教 育 語 彙 資 料 (1)(2)―
低 学 年 初 級 500 語 』
1979 国 立 国 語 研 究 所
500 初 級 の 学 習 者 が 最 初 に 学 ぶ 生 活 語 彙 を 偏 り な く 選 定 し た も の 。
日 本 語 教 育 基 本 語 彙 七 種 比 較 対 照 表
『 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 七 種 比 較 対 照 表 』
1982 国 立 国 語 研 究 所
6073 「 外 国 人 に 対 す る 日 本 語 教 育 を 直 接 の 目 的 と し て 選 定 あ る い は 編 集 さ れ た ,既 存 の 語 彙 表 七 種 に つ い て ,そ れ ら に 収 録 さ せ た 語 彙 を 集 め ,そ れ ぞ れ の 語 彙 項 目 に つ い て 各 語 彙 表 間 の 異 同 を 比 較 対 照 さ せ た も の 」
国 語 研 教 育 基 本 語 彙
『 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』
1984 国 立 国 語 研 究 所
6060 留 学 生 等 外 国 人 の 日 本 語 学 習 者 が ,は じ め に 学 習 す べ き 日 本 語 の 一 般 的・基 本 的 な 語 彙 に つ い て 妥 当 な 標 準 を 得 る こ と を 目 的 と す る 。『 分 類 語 彙 表 』 を 材 料 と し て 用 い , 専 門 家 に よ る 判 定 方 式 で ,基 本 語 の 6060 語 の う ち , よ り
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基 本 的 な も の を 「 基 本 語 二 千 」(2030語 ) と し て い る 。 日 本 語 教 育 基 本
2570語
『 NAFL
Inst itute 日 本 語 教 師 養 成 通 信 講 座 8 日 本 語 の 語 彙 ・ 意 味 』
1987 玉 村 文 郎 2570 「 日 本 で 生 活 し , 学 習 ・ 研 究・研 修・業 務 な ど の 活 動 を す る 外 国 人 の た め の 必 修 語 彙 と し て 選 定 し た も の で ,い わ ば < 最 小 必 修 語 彙 > と 目 さ れ る も の 」
「 初 級 日 本 語 教 科 書 に よ く 使 わ れ る 語 」
『 日 本 語 教 育 機 関 に お け る コ ー ス ・ デ ザ イ ン 』
1991 日 本 語 教 育 学 会
3121 大 学 進 学 の 予 備 教 育 機 関 で 使 用 し て い る 日 本 語 の 教 科 書 5 種 に 使 用 さ れ て い る 語 彙 を 調 査 し て い る 。
品 詞 別 ・A~Dレ ベ ル 別 1 万 語 語 彙 分 類 集
『 品 詞 別 ・A~D レ ベ ル 別 1 万 語 語 彙 分 類 集 』
1991
※ 1998 年 改 訂
専 門 教 育 出 版
10000 専 門 教 育 出 版 主 催「 日 本 語 学 力 テ ス ト 」の 基 準 を 定 め る た め の 出 題 基 準 語 彙 。各 種 語 彙 調 査 か ら 選 定 委 員 が 選 ん だ 語 彙 を レ ベ ル 分 け し て い る 。
「 簡 約 日 本 語 」 『 簡 約 日 本 語 の 創 成 と 教 材 開 発 に 関 す る 研 究 』
1992 野 元 菊 雄 1000 1000
「 国 際 共 通 語 と し て の 日 本 語 を 世 界 に よ り 広 く 進 め る 」 た め に「 エ ッ セ ン ス と し て の 日 本 語 を 創 り 出 す 」こ と を 目 的 と す る 。
「 出 題 基 準 」 『 日 本 語 能 力 試 験 出 題 基 準 』
1994
※ 2002 年 改 訂
国 際 交 流 基 金 ・ 日 本 語 国 際 教 育 協 会
10000 「 日 本 語 能 力 試 験 」の 出 題 基 準 語 彙 。各 種 語 彙 調 査 か ら 選 定 委 員 が 選 ん だ 10000 語 の 語 彙 を 4 級 か ら 1 級 の レ ベ ル に 区 分 し て い る 。
児 童 生 徒 に 対 す る 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査
『 児 童 生 徒 に 対 す る 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』
1999 工 藤 真 由 美
6001 外 国 人 児 童 生 徒 が ,日 本 の 小 中 学 校 で の 教 育 を 受 け る に あ た り ,は じ め に 学 習 す べ き 日 本 語 の 妥 当 な 標 準 を 得 る こ と を 目 的 と す る 。国 語 研 教 育 基 本 語 彙 の「 基 本 語 2000」 の ほ か ,外 国 人 児 童 向 け の 日 本 語 教 科 書 ,子 供 向 け の 辞 典 な ど を 含 む 6 種 の 資 料 に 基 づ き 語 彙 調 査 を 行 い ,語 彙 を 選 定 し て い る 。
中 級 用 語 彙
―基 本 4000語
『 日 本 語 教 育 』 116
2003 玉 村 文 郎 4000 「 日 本 語 教 育 基 本 2570 語 」 に「 中 級 段 階 の 必 修 語 彙 を 想 定 し て 増 補 」 し た も の 。
語 彙 頻 度 調 査 を 実 施 し て そ こ か ら 語 彙 を 選 定 す る 方 法 に よ る 国 語 教 育 の 教 育 基 本 語 彙 表 は , 古 く は 戦 前 か ら 作 ら れ て い る 。 坂 本 (1943) は 『 日 本 語 基 本 語 彙 』 の 中 で 幼 年 児 童 読 物 に つ い て 語 彙 調 査 を 行 い ,「 幼 年 基 本 語 彙 」 を 発 表 し た 。 そ の 後 も , 田 中
(1956)『 学 習 基 本 語 彙 』や ,池 原(1957)『 国 語 教 育 の た め の 基 礎 語 体 系 』,坂 本(1958)
『 教 育 基 本 語 彙 』, 坂 本 (1984)『 新 教 育 基 本 語 彙 』 な ど が 開 発 さ れ た 。
外 国 人 に 対 す る 日 本 語 教 育 を 目 的 と し た 基 本 語 彙 の 選 定 も 第 二 次 世 界 大 戦 前 か ら 行
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わ れ て い る 。 以 下 , 主 な 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 表 に つ い て 作 成 年 順 に 記 す 。 表 2に 見 ら れ る 「 基 本 」 と い う 名 称 の 付 い た 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 中 に は , 頻 度 や 分 布 な ど に 基 づ い て 選 定 さ れ た 厳 密 な 意 味 で の 基 本 語 彙 で は な く 基 礎 語 彙 の 考 え 方 で 作 ら れ て い る も の も あ る が ,こ こ で は 日 本 語 教 育 を 目 的 と し た 語 彙 表 作 成 の 歴 史 を 広 く 捉 え た い の で , 基 礎 語 彙 の 主 な も の も 表 中 に 含 め た 。
初 期 に 作 ら れ た も の に は ,「 基 礎 日 本 語 」( 土 居 ,1933),「 基 本 簡 易 ニ ッ ポ ン 語 」( 情 報 局 ,1942) な ど が あ る 。こ れ ら は , 戦 中 , 諸 外 国 に お い て 日 本 語 を 普 及 さ せ る 目 的 の も と で , 必 要 最 低 限 の 語 彙 を 抽 出 す る と い う 立 場 か ら 作 ら れ た も の で あ る 。 こ の ほ か ,成 人 日 本 語 学 習 者 を 対 象 に ,「 学 習 上 の 便 宜 と し て 第 一 次 の 基 礎 に な る 語 彙 の 標 準 と す る 」 こ と を 目 的 と し た 『 日 本 語 基 本 語 彙 』( 岡 本 ,1944) が 発 表 さ れ た 。 こ れ は 辞 典 な ど を 参 考 と し , 専 門 家 が 語 を 認 定 す る 方 法 で 選 定 を 行 っ て い る 。
1960年 代 に 入 る と ,加 藤(1963~64)「 日 本 語 教 育 に お け る 基 礎 学 習 語 」が 発 表 さ れ た 。 こ れ は , 坂 本 (1958)『 教 育 基 本 語 彙 』 や 岡 本 (1944)『 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 』 な ど の 語 彙 調 査 や 日 本 語 教 科 書 お よ び 辞 典 な ど の 6種 の 資 料 に つ い て 共 通 し て 出 現 す る 語 彙 を 調 査 し た も の で あ る 。1970年 代 に は ,国 内 外 で 日 本 語 教 育 が 広 く 行 わ れ る よ う に な り , 日 本 語 学 習 者 の 数 も 増 加 す る 傾 向 に あ っ た 。
そ の 後 , 語 彙 調 査 で は コ ン ピ ュ ー タ が 導 入 さ れ , こ の 成 果 を 利 用 し た 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 開 発 も 進 ん だ 。 樺 島 ・ 吉 田 (1971)「 留 学 生 の た め の 基 本 語 彙 表 」 は 日 本 に 滞 在 す る 外 国 人 留 学 生 を 対 象 と し , 高 校 教 科 書 の 語 彙 調 査 に 基 づ い て 1803 語 の 基 本 語 彙 を 選 定 し て い る 。 ま た , 学 習 者 の レ ベ ル を 考 慮 し た 語 彙 表 も 作 ら れ る よ う に な る 。 国 立 国 語 研 究 所 (1979)「 日 本 語 教 育 語 彙 資 料(1)(2)―低 学 年 初 級 500」 は , 初 級 学 習 者 が 最 初 に 学 ぶ 生 活 語 彙 を ,わ ず か 500 語 で あ る が 偏 り な く 選 定 し た も の で あ る 。文 化 庁 国 語 課(1971)『 外 国 人 の た め の 基 本 語 用 例 辞 典 』や ,玉 村(1970, 1978)Practical Japanese-English Dictionary の よ う に ,辞 典 と し て 発 行 さ れ た も の も あ る 。こ れ ら も 語 彙 調 査 を 資 料 と し , 専 門 家 が 語 を 選 定 す る と い う 方 法 を 採 っ て い る 。 そ の ほ か , J.V. Neustupný (1977) が あ る が , こ れ は モ ナ シ ュ 大 学 日 本 語 学 部 入 学 試 験 受 験 者 を
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対 象 と し た も の で ,既 存 の 教 科 書 か ら 入 門 期 の 語 彙1750語 を 選 定 し た 語 彙 表 で あ る 。 こ の 時 代 あ た り か ら , 対 象 と す る 学 習 者 や そ の レ ベ ル や 目 的 な ど に 考 慮 し た 語 彙 表 も 増 え て く る 。
1980年 代 に 入 る と ,国 立 国 語 研 究 所 に よ る 特 別 研 究「 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 的 な 語 彙 に 関 す る 調 査 研 究 」並 び に「 比 較 対 照 研 究 」の 成 果 と し て ,『 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 七 種 比 較 対 照 表 』と ,『 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』が 発 表 さ れ た 。『 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 七 種 比 較 対 照 表 』 は ,「 外 国 人 に 対 す る 日 本 語 教 育 を 直 接 の 目 的 と し て 選 定 あ る い は 編 集 さ れ た 既 存 の 語 彙 表 7 種 に つ い て , そ れ ら に 収 録 さ れ た 語 彙 を 集 め , そ れ ぞ れ の 語 彙 項 目 に つ い て 比 較 対 照 さ せ た も の 」で あ る 。『 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』 は 「 留 学 生 等 外 国 人 の 日 本 語 学 習 者 が , 専 門 領 域 の 研 究 ま た は 職 業 訓 練 に 入 る 基 礎 と し て は じ め に 学 習 す べ き 日 本 語 の 一 般 的 ・ 基 本 的 な 語 彙 に つ い て の 妥 当 な 標 準 を 得 る 」 と い う 目 的 で 行 わ れ た 。 こ こ で は 「 基 本 語 六 千 (6060 語 )」 を 選 定 し , そ の う ち , よ り 基 本 的 な 2030 語 を 「 基 本 語 二 千 」 と し て い る 。 選 定 方 法 は , 日 本 語 の シ ソ ー ラ ス で あ る 『 分 類 語 彙 表 』( 国 語 研 究 所 ,1964) を 基 本 度 判 定 の 材 料 と し て 用 い る ,専 門 家 判 定 方 式 が 採 用 さ れ て い る 。こ れ は ,『 分 類 語 彙 表 』所 載 の そ れ ぞ れ の 語 に 対 す る 専 門 家 の「 基 本 度 意 識 」の 調 査 で あ る 。『 分 類 語 彙 表 』に は ,国 立 国 語 研 究 所(1962)『 現 代 雑 誌 九 十 種 の 用 字 用 語 』語 彙 表 所 載 の 高 使 用 率 語 と ,坂 本 一 郎(1958)
『 教 育 基 本 語 彙 』3所 載 の 22500 語 が 収 録 さ れ て い る 。 こ の よ う な 語 彙 を 専 門 家 判 定 方 式 で 選 定 し て い る 「 国 語 研 基 本 語 彙 表 」 は , 語 彙 調 査 を ベ ー ス と し て 選 定 さ れ た 語 彙 を 含 む 『 分 類 語 彙 表 』 収 録 語 か ら 選 ば れ て い る も の の , や は り 専 門 家 の 主 観 的 判 断 に よ っ て 選 ば れ た 語 彙 と 言 え る 。
こ の ほ か ,1980年 代 に 作 ら れ た 主 な 語 彙 表 に は 玉 村(1987)「 日 本 語 教 育 基 本 2750」
が あ る 。こ れ は ,「 日 本 で 生 活 し ,研 究・研 修・業 務 な ど の 活 動 を す る 外 国 人 の た め の 必 修 語 彙 と し て 選 定 し た も の で , い わ ば < 最 小 必 修 語 彙 > と 目 さ れ る も の 」 で あ る と さ れ て い る 。 詳 し い 選 定 方 法 な ど の 説 明 が な い も の の , 専 門 家 が 周 到 に 企 画 し , 慎 重
3 小 ・ 中 学 校 用 の 教 育 語 彙 表 で , 国 語 教 育 専 門 家 の 判 断 を 得 点 化 し て 選 定 し て い る 。
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に 選 定 し た 語 彙 で あ る と さ れ ( 飛 田 ・ 佐 藤 ,2002), 基 礎 語 彙 の 考 え 方 に 基 づ い た も の だ と 考 え ら れ て い る ( 秋 元 ,2002)。 ま た ,2003年 に は , 中 級 段 階 の 必 修 語 彙 を 想 定 し て 増 補 し た 玉 村 (2003)「 中 級 用 語 彙―基 本 4000」 が 発 表 さ れ て い る 。
1990年 代 に 入 る と ,日 本 語 教 育 語 彙 表 に は 多 様 化 の 傾 向 が 見 ら れ る 。語 彙 表 に 選 ば れ る 総 語 数 が 1万 語 に ま で 増 え ,学 習 者 の 習 熟 度 に 合 わ せ て レ ベ ル 分 け さ れ た 語 彙 表 も 複 数 作 ら れ た 。 中 で も 日 本 語 教 育 の 現 場 や 研 究 で 支 持 さ れ , 幅 広 く 利 用 さ れ て い る の が , 国 際 交 流 基 金 ・ 日 本 国 際 教 育 支 援 協 会(1994)『 日 本 語 能 力 試 験 出 題 基 準 』( ※ 2007 年 改 訂 ) に 収 録 さ れ て い る 語 彙 表 で あ る 。「 出 題 基 準 」 は , 国 際 交 流 基 金 お よ び 日 本 国 際 教 育 支 援 協 会 が 主 催 す る 日 本 語 能 力 試 験4の 問 題 作 成 者 向 け に 作 成 さ れ た も の で , 試 験 問 題 の 基 準 と な る 語 彙 や 文 法 項 目 の 全 て で は な い が 大 部 分 が 公 表 さ れ て い る 。
表 3 『 日 本 語 能 力 試 験 出 題 基 準 』 語 彙 の レ ベ ル 別 語 数 レ ベ ル ( 級 ) 各 レ ベ ル の 語 数 累 積 語 数
4級 800 800
3級 700 1,500
2級 4,500 6,000
1級 4,000 10,000
表 4 日 本 語 能 力 試 験 (2010年 改 訂 前 ) の 認 定 基 準 レ ベ ル 認 定 基 準
1級 高 度 の 文 法 ・ 漢 字 (2,000字 程 度 )・ 語 彙 (10,000 語 程 度 ) を 習 得 し , 社 会 生 活 を す る 上 で 必 要 な , 総 合 的 な 日 本 語 能 力 ( 日 本 語 を 900 時 間 程 度 学 習 し た レ ベ ル ) 2級 や や 高 度 の 文 法 ・ 漢 字 (1,000 字 程 度 )・ 語 彙 (6,000 語 程 度 ) を 習 得 し , 一 般 的 な こ と が ら に つ い て , 会 話 が で き , 読 み 書 き で き る 能 力 ( 日 本 語 を 600時 間 程 度 学 習 し , 中 級 日 本 語 コ ー ス を 修 了 し た レ ベ ル )
3級 基 本 的 な 文 法 ・ 漢 字 (300 字 程 度 )・ 語 彙 (1500 語 程 度 ) を 習 得 し , 日 常 生 活 に 役 立 つ 会 話 が で き , 簡 単 な 文 章 が 読 み 書 き で き る 能 力 ( 日 本 語 を 300 時 間 程 度 学 習 し , 初 級 日 本 語 コ ー ス を 修 了 し た レ ベ ル )
4級 初 歩 的 な 文 法 ・ 漢 字 (100字 程 度 )・ 語 彙 (800語 程 度 ) を 習 得 し , 簡 単 な 会 話 が で き , 平 易 な 文 , 又 は 短 い 文 章 が 読 み 書 き で き る 能 力 ( 日 本 語 を 150 時 間 程 度 学 習 し , 初 級 日 本 語 コ ー ス 前 半 を 修 了 し た レ ベ ル )
(「 日 本 語 能 力 試 験 JLPT」http://www.jlpt.jp/)
4 日 本 語 能 力 試 験 は 2010年 に 大 幅 な 改 訂 が 行 わ れ た が , 改 訂 後 の 出 題 語 彙 は 公 表 さ れ て い な い 。
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「 出 題 基 準 」の レ ベ ル は ,難 度 の 高 い 順 に 1級 ,2級 ,3級 ,4級 の 4つ の 級 に 分 か れ て い る 。 各 級 の 語 数 は 等 間 隔 で は な い 。4級 が 800 語 ,3 級 が 700語 で あ る の に 対 し ,2級 が 4500語 ,1 級 が 4000語 と 急 に 語 数 が 増 え , 特 に ,3級 と 2級 の 間 に 大 き な 差 が あ る の が 特 徴 で あ る 。 レ ベ ル に つ い て の 説 明 は ,3 級 が 「 日 本 語 を 300時 間 程 度 学 習 し ,初 級 コ ー ス を 修 了 し た 程 度 」,2級 が「 日 本 語 を 600時 間 程 度 学 習 し ,中 級 コ ー ス を 修 了 し た 程 度 」と あ る が( 表 4),日 本 語 教 育 に お い て「 出 題 基 準 」が 最 も 信 頼 性 の 高 い 語 彙 表 で あ る と す れ ば , 語 彙 習 得 上 の 数 の 目 安 と し て , 初 級 で 1500 語 程 度 , 中 級 で 6000語 程 度 と 考 え ら れ て い る と み て よ い で あ ろ う 。
3,4級 と 1,2級 で は ,語 彙 の 選 定 方 法 も 異 な っ て い る 。3,4級 の 語 彙 は ,当 時 の 調 査 に よ り 使 用 機 関 数 が 多 い と さ れ た 11種 類 の 初 級 用 日 本 語 教 科 書 を 基 礎 資 料 と し , 日 本 語 教 育 に 関 す る 語 彙 調 査 ( 国 立 国 語 研 究 所 編 『 日 本 語 教 育 基 本 語 彙 第 1 次 資 料― 上 位 2000 語 』), お よ び J.V. Neustupný (1977) “A Classified List of Basic Japanese Vocabulary” を 参 考 資 料 と し て 選 定 さ れ て い る 。つ ま り ,3,4級 の 語 彙 は ,語 彙 調 査 等 を 参 考 と し , 日 本 語 教 科 書 と い う 限 定 し た ジ ャ ン ル に お け る 使 用 域 に 基 づ い て 選 定 さ れ た も の で あ る 。
一 方 ,1,2級 の 語 彙 で は ,中 上 級 用 の 日 本 語 教 科 書 の 語 彙 か ら 選 定 す る と い う 方 法 は 取 ら れ ず , 語 彙 調 査 の 資 料 を も と に 日 本 語 教 育 の 立 場 か ら 修 正 を 加 え る と い う 方 法 で 選 ば れ て い る 。 中 ・ 上 級 用 教 科 書 は , 既 成 の 小 説 ・ 随 筆 ・ 論 文 ・ 記 事 な ど を 引 用 , 編 集 し た も の で 構 成 さ れ て い る こ と が 多 い 。 す な わ ち , 中 ・ 上 級 用 教 科 書 の 語 彙 は , 語 彙 教 育 の 立 場 か ら 検 討 し て 選 ば れ た も の で は な い の で , ト ピ ッ ク に 依 存 し た も の が 多 い 。こ の よ う な 理 由 に よ っ て ,1,2 級 で は 日 本 語 教 科 書 が 基 礎 資 料 と し て 用 い ら れ て い な い( 表 5)。し か し ,い ず れ も 語 彙 調 査 資 料 に よ っ て 候 補 語 を 出 し ,専 門 家 判 定 方 式 で 語 彙 を 認 定 し て い く と い う 方 法 論 に お い て は 同 じ で あ る 。
17 表 5 1,2 級 「 出 題 基 準 」 語 彙 の 選 定 資 料
語 彙 調 査 採 録 語 彙 数
国 立 国 語 研 究 所 編(1984)『 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』
6,060 国 立 国 語 研 究 所 編(1980)『 日 本 人 の 知 識 階 層 に お け る 話 し
言 葉 の 実 態 』
5,341
「3,4 級 出 題 基 準 」作 成 の た め の 提 出 語 彙 調 査 に よ っ て 得 ら れ た 語
4,487 外 国 人 の 日 本 語 能 力 に 関 す る 調 査 研 究 協 力 者 会 議 (1982)
『 外 国 人 留 学 生 の 日 本 語 能 力 の 標 準 と 測 定 に 関 す る 調 査 研 究 に つ い て 』
5,167
国 立 国 語 研 究 所 編 (1964)『 分 類 語 彙 表 』 32,600
国 立 国 語 研 究 所 編(1987)『 中 学 校 教 科 書 の 語 彙 調 査 Ⅱ 』( ※ 使 用 度 数 上 位 3,290語 の み )
3,290 国 立 国 語 研 究 所 編 (1984)『 高 校 教 科 書 の 語 彙 調 査 Ⅱ 』( ※
使 用 度 数 上 位 3,067語 の み )
3,067
合 計 60,012
こ の ほ か ,1990年 代 に 作 ら れ た 類 似 の 語 彙 表 に は , 専 門 教 育 出 版(1991)『 品 詞 別 A~Dレ ベ ル 1万 語 』( ※1998年 改 訂 )に 収 録 さ れ た 語 彙 表 が あ る 。こ れ は ,専 門 教 育 出 版 主 催 の 「 日 本 語 学 力 テ ス ト 」 の 語 彙 レ ベ ル を 定 め る た め に 作 成 さ れ た 語 彙 表 で ,
「 出 題 基 準 」 と 同 様 , 語 彙 調 査 資 料 を ベ ー ス と し た 専 門 家 判 定 方 式 で 語 彙 の 選 定 が 行 わ れ て い る 。 語 彙 レ ベ ル は A~D の 4 段 階 に 分 け ら れ て い る 。 こ こ で 用 い ら れ て い る 語 彙 調 査 資 料 は ,国 立 国 語 研 究 所(1984)『 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』,国 立 国 語 研 究 所 (1964)『 分 類 語 彙 表 』 や , 国 語 辞 典 な ど を 含 む 6種 で あ る 。
90 年 代 に は ,こ の よ う な 試 験 問 題 作 成 の 基 準 と な る 語 彙 表 の 作 成 が 進 ん だ ほ か ,こ れ 以 前 に も 作 ら れ て き た 限 ら れ た 基 本 語 彙 で 表 現 す る こ と を 目 的 と す る タ イ プ の , い わ ゆ る 「 表 現 の 語 彙 表 」 も 継 続 し て 作 ら れ て い る 。 野 元 (1992) の 『 簡 約 日 本 語 の 創 成 と 教 材 開 発 に 関 す る 研 究 』は ,土 居(1933)『 基 礎 日 本 語 』や 情 報 局(1942)『 簡 約 基 本 ニ ッ ポ ン 語 』な ど の 流 れ を く む も の で ,「 国 際 共 通 語 と し て の 日 本 語 を 世 界 に よ り 広 く 進 め る 」 た め に 「 エ ッ セ ン ス と し て の 日 本 語 を 創 り 出 す 」 と い う 立 場 で 作 ら れ て い る 。 第 一 次 で 1000語 , 第 二 次 で 1000 語 の 合 計 2000語 が 選 定 さ れ て い る 。
そ の ほ か , 日 本 語 学 習 者 が 多 様 化 し た こ と を 背 景 に , 特 定 の 目 的 の 日 本 語 教 科 書 な ど を 調 査 し て 作 ら れ た 語 彙 表 も 作 ら れ た 。 日 本 語 教 育 学 会 (1991)「 日 本 語 の 初 級 教
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科 書 に よ く 使 わ れ る 語 」 は , 大 学 進 学 の 予 備 教 育 機 関 で 使 用 さ れ て い る 日 本 語 教 科 書 5 種5に 使 用 さ れ て い る 用 語 を 調 査 し て ま と め た も の で あ る 。 ま た , 工 藤 (1999)『 児 童 生 徒 に 対 す る 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』は ,「 外 国 人 児 童 生 徒 が 日 本 語 の 小 中 学 校 ( 特 に , 小 学 校 ) で の 教 育 を 受 け る に あ た っ て , 初 め に 学 習 す べ き 日 本 語 の 基 本 的 な 語 彙 に つ い て の 妥 当 な 標 準 を 得 る 」 こ と を 目 的 と し て 作 ら れ た 語 彙 表 で あ る 。 資 料 は『 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』「 基 本 二 千 」や「 簡 約 日 本 語 語 彙 表 」の ほ か , 子 供 向 け の 辞 典 や 日 本 語 教 科 書 な ど の 6種 を 利 用 し , こ れ ら の 見 出 し 語 の 共 通 度 を 調 査 し た 結 果 を 発 表 し て い る 。
こ の よ う に , 戦 前 か ら 数 多 く の 日 本 語 語 彙 表 が 作 ら れ て お り , 時 代 に 伴 い 日 本 語 教 育 の 目 的 が 変 化 し , 対 象 者 も 多 様 化 し , そ れ に 合 う 語 彙 選 定 の 方 法 も 試 行 錯 誤 が 繰 り 返 さ れ て き た 。 初 期 に は 1000 語 程 度 の 小 規 模 な 「 基 本 語 彙 」 が 選 ば れ る こ と が 多 か っ た が ,1990年 代 に は 選 定 さ れ る 語 数 は 最 大 1万 語 に ま で 拡 大 し て い る 。こ れ は コ ン ピ ュ ー タ の 発 達 に よ り 大 規 模 デ ー タ も 容 易 に 処 理 で き る よ う に な っ た と い う 背 景 も 影 響 し て い る と 考 え ら れ る 。
こ れ ま で の 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 作 ら れ 方 に は , 大 き く 分 け て 三 つ の タ イ プ が あ る 。 一 つ は ,学 習 者 に と っ て 必 要 最 低 限 の 語 彙 を 選 ぶ タ イ プ の も の で あ る 。こ れ に は ,「 基 礎 語 彙 」 タ イ プ の も の も 含 ま れ る が , 選 定 方 法 は 語 彙 調 査 な ど の 統 計 資 料 に 頼 ら ず に 専 門 家 の 目 で 判 定 す る こ と に 重 き を 置 い て い る 。 そ の た め , 主 観 的 に 選 ば れ た 語 彙 で あ る と 言 え る 。 も う 一 つ は , 既 存 の 語 彙 調 査 や 日 本 語 教 科 書 の 語 や 辞 書 の 見 出 し 語 な ど の 重 な り を 見 て 共 通 す る 語 を 抽 出 し , そ れ を 語 彙 表 と す る も の で あ る 。 こ れ ら は 基 本 的 に 重 な り だ け を 見 て お り , 頻 度 に よ る 重 み づ け な ど は な さ れ て い な い 。 最 後 は , 語 彙 調 査 資 料 を 参 考 に 語 を 選 定 し よ う と す る も の で あ る 。し か し ,こ れ ら に つ い て も , 最 終 的 に は 専 門 家 の 判 定 に よ っ て 語 の 認 定 や レ ベ ル 分 け を 行 っ て い る タ イ プ の も の が 多 い 。 つ ま り , 語 彙 調 査 資 料 を 参 考 に し て い て も 基 本 的 に は こ れ ら も 専 門 家 判 定 方 式
5 国 際 学 友 会 日 本 語 学 校 (1977)『 日 本 語 Ⅰ , Ⅱ 』, 言 語 文 化 研 究 所 附 属 東 京 日 本 語 学 校(1988~1990)
『COMMUNICATION JAPANESE STYLE Ⅰ ・ Ⅱ 』, 山 田 あ き 子 (1990)『 楽 し く 学 ぶ 日 本 語 』 イ ン タ ー カ ル ト 日 本 語 学 校 , 東 京 外 国 語 大 学 附 属 日 本 語 学 校 (1983)『 日 本 語 Ⅰ 』, 文 化 外 国 語 専 門 学 校 (1989)『 文 化 初 級 日 本 語 Ⅰ ・ Ⅱ 』 文 化 外 国 語 専 門 学 校
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に よ る も の で あ る 。 こ の よ う に 長 い 歴 史 の 中 で , 専 門 家 判 定 方 式 に よ る 日 本 語 教 育 語 彙 表 の 開 発 は , す で に 十 分 に 行 わ れ て き た と 言 え る 。
ま た , 日 本 語 教 科 書 や 辞 書 の 見 出 し 語 な ど を 用 い て , そ の 重 な り を 調 査 し 重 要 語 を 選 定 し よ う と す る 試 み な ど , 語 彙 選 定 の 客 観 性 を 重 要 視 す る 動 き も あ る が , そ の 元 と な る 語 彙 調 査 や 日 本 語 教 科 書 の 語 彙 選 定 は 恣 意 的 で あ っ た り , 調 査 す る デ ー タ の バ ラ ン ス が 偏 っ て い た り す る と い う 問 題 が あ る 。
一 方 , コ ー パ ス 頻 度 や 統 計 指 標 に 基 づ い て 客 観 的 に 語 彙 を 選 定 す る タ イ プ の 日 本 語 語 彙 表 に つ い て は , 近 年 開 発 が 始 め ら れ た 段 階 で あ り ま だ 数 が 少 な く , 今 後 は そ の 成 果 が 期 待 さ れ る 。 時 代 と と も に 学 習 者 を 取 り 巻 く 環 境 は 変 化 し , 語 彙 表 に 対 す る ニ ー ズ も 多 様 化 し て い る 。特 に ,90年 代 後 半 か ら は イ ン タ ー ネ ッ ト が 社 会 基 盤 と な り ,大 量 の 言 語 資 料 に ア ク セ ス で き る よ う に な っ た 。 日 本 語 教 育 で は 古 く か ら 基 礎 語 彙 の 観 点 か ら 選 ば れ た 生 活 語 彙 な ど を 重 要 語 と す る 語 彙 表 な ど が 専 門 家 判 定 方 式 で 作 ら れ 優 れ た 成 果 を 残 し た が , そ の よ う な 枠 組 み を 超 え , 実 際 に 使 用 さ れ て い る 多 様 な 日 本 語 を 理 解 す る た め に 有 用 な 基 本 語 彙 を 示 す こ と も 必 要 で あ る と 考 え る 。
2.1.4. 語 彙 表 間 の 一 致 率
語 彙 調 査 の 結 果 を 利 用 し , 専 門 家 判 定 方 式 に よ っ て 選 定 さ れ た 基 本 語 彙 は そ れ ぞ れ ど の 程 度 一 致 し て い る の だ ろ う か 。同 じ よ う な 目 的 の 下 ,「 基 本 語 彙 」と し て 選 ば れ た も の で あ れ ば ,各 語 彙 表 の 語 彙 も 大 部 分 が 一 致 す る の で は な い か と 期 待 し た く な る が , そ れ ぞ れ の 語 彙 表 に 収 録 さ れ て い る 語 彙 の 一 致 度 は そ れ ほ ど 高 く な い 。
国 立 国 語 研 究 所 (1984)『 日 本 語 教 育 の た め の 基 本 語 彙 調 査 』( 以 下 ,「 基 本 調 査 」)
に よ れ ば ,「 基 本 調 査 」 で 選 ば れ た 「 基 本 語 二 千 」「 基 本 語 六 千 」 と , 以 下 の 6種 の 語 彙 リ ス ト と の 間 の 一 致 度 が 非 常 に 低 い( 表 6)。他 の 6種 と は 以 下 の も の で ,こ れ ら は 語 彙 調 査 に 基 づ き 専 門 家 判 定 方 式 で 選 定 さ れ た も の で あ る 。: