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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

教師の紐帯形成に関する研究 : 学校内外における同 教科教師間の関係に着目して

兼安, 章子

http://hdl.handle.net/2324/2236008

出版情報:九州大学, 2018, 博士(教育学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

教師の紐帯形成に関する研究

―学校内外における同教科教師間の関係に着目して―

兼安章子 KANEYASU Akiko

平成 30 年度 九州大学大学院人間環境学府

(3)

i 目次

序 章 研究課題と目的 ... 1

第1節 本研究の目的 ... 1

第2節 先行研究の検討と本研究の課題 ... 1

第3節 本論文の構成と分析視座 ... 4

第1章 教師の紐帯と研究方法 ... 7

第1節 社会ネットワーク分析援用の可能性 ... 7

第1項 ネットワーク論の検討 ...7

第2項 教師に関する研究における社会ネットワーク分析 ...9

第2節 社会ネットワーク分析による分析の方法 ... 11

第1項 授業への焦点化と対象教師の選定... 11

第2項 本研究における社会ネットワーク分析 ... 11

第3節 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ援用の可能性 ... 13

第1項 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの特性についての 検討 ... 13

第2項 教師に関する研究における修正版グラウンデッド・セオリー・ア プローチと分析方法としての適合性 ... 15

第2章 学校外の同教科教師との固定化した紐帯を保有する教師の実態 ... 18

第1節 調査方法と紐帯の概要 ... 18

第2節 ネットワークグラフの作成方法 ... 24

第3節 少人数の相談相手を保有する教師の事例 ... 25

第4節 紐帯内の関係構築に障壁を感じる教師の事例 ... 28

第5節 日常的な面会機会の設定が難しい教師の事例 ... 29

第6節 小括 ... 36

(4)

ii

第3章 学校外の同教科教師との紐帯形成の変化と活用の実態... 39

第1節 ネットワークグラフの作成方法 ... 39

第2節 共同で教材を開発した教師の事例 ... 39

第3節 教材を借用する関係にある教師の事例 ... 44

第4節 小括 ... 50

第4章 学校内に同教科教師が存在する教師との比較検討 ... 52

第1節 同教科教師が存在する教師の選定と調査方法 ... 52

第2節 ネットワークグラフの作成方法 ... 55

第3節 職務を通じて関係を構築した教師の事例 ... 55

第4節 教材貸借を内包する情報交換を行う教師の事例 ... 58

第5節 小括 ... 61

第5章 紐帯形成プロセスの検討 ... 64

第1節 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける分析手順 ... 64

第1項 対象の選定 ... 64

第2項 分析の流れ ... 66

第3項 概念生成プロセスの具体 ... 70

第2節 生成されたカテゴリー・概念 ... 73

第3節 ストーリーライン ... 74

第4節 分析結果 ... 76

第1項 [関係構築の糸口]からつながる[共同で行う職務] ... 76

第2項 [ノンフォーマルな場への参加]と[個人的関係]への展開 ... 79

第3項 [負担の認識]や[設定機会の葛藤]との関係 ... 82

第4項 紐帯を形成する[相手への貢献]... 84

第5節 小括 ... 87

(5)

iii

第6章 教師の教材貸借及び共同開発のプロセス ... 89

第1節 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける分析手順 ... 89

第2節 生成されたカテゴリー・概念 ... 90

第3節 ストーリーライン ... 91

第4節 分析結果 ... 92

第1項 [職務遂行]によるプロセスの開始 ... 92

第2項 [仲間意識の醸成]への進行 ... 94

第3項 [教科教師としての承認]の自覚... 97

第4項 [関係性の未成熟]の認識 ... 98

第5節 小括 ... 99

終 章 本研究の成果と課題 ... 101

第1節 各章の要約 ... 101

第2節 本研究の成果 ... 103

第3節 本研究の課題と発展可能性 ... 105

資料 ... 106

第5章分 分析ワークシート ... 106

第6章分 分析ワークシート ... 128

質問紙調査用紙 ... 139

インタビュー調査同意書 ... 148

引用・参考文献 ... 149

(6)

1

序 章 研究課題と目的

第1節 本研究の目的

本研究は、紐帯が教師にとってどのような意味を持つものであるかを明らかにす ることを目的とする。教師が保有する紐帯について、個人を中心に描き出すことを通 して、学校内・外という枠組みを超えた授業に関する教師の紐帯とそれらの特質、紐 帯形成のプロセスを明らかにする。ただし、教師の職務一般のすべてに関する紐帯で はなく、授業、教科指導に限定した関係性を特に検討する。

第2節 先行研究の検討と本研究の課題

教師間の関係について、教師の組織する集団にその関心が寄せられてきた。同僚間 の関係性は、学校内の教師を同僚として捉えたものであり、既存の教師集団を対象に したものである。学校内の同僚性の機能については、個人主義的な教師の存在をプラ スとして捉えた同僚関係の構想(諏訪 2000)もあり、チームとして機能する可能性

(紅林2007)が見込まれるが、プライバタイゼーションの進行(油布1991)など、

同僚間の限定的な関係やその負の側面も指摘されてきた(Hargreaves 2003、紅林2002)。

これらの同僚関係やチームとしての機能は、学校を単位として論じられ、同様に教師 個人の相談経路も主に学校内を対象として検討されてきた(例えば、波多江 2014)。

以上のような教師の集団は、学校内だけでなく、学校外にも存在しており、複数の 教師をつなぐ人的ネットワーク、もしくは、個々に関係が結ばれる紐帯として位置づ けることができる。学校内に留まらず、教師が形成する紐帯を分析した研究として以 下の研究をあげることができる。

山﨑準二(2002、2012)は、力量形成の観点から、タテのみでなく、ヨコの関係、

インフォーマルな関係を検討している。山﨑は教師の力量形成において、先輩や同僚 教師との出会いが大きな影響を与えていることを明らかにした。特に、教師個々のラ イフコースにおいて、それぞれの出会いがどのような変化をもたらすのかという観 点から、大きな影響を受けた人物との関係について、詳細に分析しており、学校内に

(7)

2

限らない関係を導いている。影響を受けた特定の人物との関係は検証されているが、

影響関係にあるのが、特定の人物のみとは考えにくく、その他の教師らとの関係につ いても検討する必要がある。

特定の人物だけでない学校外の教師とのかかわりとして、同一研修の受講者に着 目したのが當山(2010)である。優秀教員を対象とした調査により、教師が参加する 自主研修の効果を検証し、研修参加後、研修内容よりも参加者間の関係を重視してい ることが明らかになっている。これは、学校外の教師との研修機会がもたらす出会い や紐帯形成の可能性についての研究として位置づけられる。ただし、研修参加者間に おけるその後の関係性や研修の場以外での関わりについて、詳細には分析されてい ない。

日常的な学校外の教師間の関係を検討した研究として、管理職を対象とした川上 泰彦の研究(2005、2013)がある。教員の人事異動の観点から、管理職が職務を行 う際、自治体の校長会・教頭会でのネットワークから得た情報を用いていることを 明らかにした。教師が必ずしも学校内の教師のみに相談・情報交換経路を保有して いるとは限らず、小・中学校の校長・教頭が、自治体(市)の校長会などで紐帯を 形成し、その紐帯間での相談や情報交換機能を有していること(川上2013)が示さ れている。ただし、これらの結果が一般教員に対して汎用性のあるものであるかど うかは検討する必要がある。

関連して、公立学校教員の人事異動の観点から、近隣の学校に勤務する教師への相 談経路が存在する実態(川上・妹尾 2012)もあり、教師が学校外に紐帯を形成して いる可能性が指摘される。以上の先行研究から、学校外に個々に形成する紐帯が教師 にとって重要な役割を果たしていることが明らかであるが、その個々の関係の総合 的な検討に至っていない。教師のつながりを紐帯として捉え、定性的な再検討(川上 2016)が一層求められている。

また、先行研究において、教師が形成する紐帯の検討は、その職務内容に限らず 分析されているが、教師の職務は多岐にわたっており、その職務内容によって異な ることが予想され、個別に検討する必要がある。中でも、学校外に形成される紐帯 は授業に関する職務で活用されていると考えられる。教師は同僚の実践への関わり 方について、意識しつつも互いの教育実践には干渉しないという規範を強いられて いる(紅林2002)ほか、学校内の教師間の交流において、教科に関する情報ネット

(8)

3

ワーク(1)がほとんど観察されず(山田・藤田2007)、授業に関する相談関係が学 校内では成り立ちにくい実態がうかがえるためである。

関連して、学校外の同教科教師間の研究においても、検討が行われてきた。教科 教師らの全国組織、教職員組合、各種学会との関係などに加え、教師らの自主的な 団体の形成なども行われている。インターネットを介した教科のコミュニティの構 築として、メーリングリストを用いた情報共有への着目(高橋1997)や、ウェブ上 での授業研究の在り方の模索(鈴木ほか2010)が行われてきた。また、全国組織の 教職員組合を母体とした研究組織や全日本中学校理科研究会や全日本技術・家庭科 研究会などの全国組織及びそれらの地方組織があり、それらから派生した教師集団 の活動として、東京物理サークルの活動(宮村2018)や、都道府県内における教師 の実践交流(伊藤2013)なども報告されている。しかし、以上のような研究組織や サークル活動などが教師にとってどのように認識されてきたかどうかは定かではな いため、学校を超えた同僚性コミュニティ(秋田1998)の提案が十分に検討されて いるとは言い難い。教師がこれらの関係性をどのように認識しているのかを、紐帯 として整理し直す必要があるだろう。

海外の研究において、教師の紐帯については、新しい政策を実践する段階で、お 互いの知を無意識に利用していること(Coburn 2001)が指摘されているが、教師の 主たる業務である授業を対象とした学校外の紐帯の検証は、積極的には行われてこ なかった。学校内に教科のコミュニティが存在し、教師の教授法や実践に影響を与 えている(Little2003)ものの、中学校においては学校規模縮小などから、学校内に 同教科教師が2名以上在籍しないことも十分に考えられ、授業に関する相談相手と して学校外の同教科教師との関係が存在する可能性がある。Coburnらが指摘するよ うに、政策によるカリキュラム変更の際、学校内外のネットワークを教師が利用し

ている(Coburn・Russell 2008)実態もあることから、教師が学校を超えた同教科教

師との紐帯を保有し、同様の機能を有している可能性が十分にあり、紐帯の解明は 課題である。また、これらの学校外の同教科教師との関係に関する先行研究は、日 本の教師を対象に検討したものではないため、これらの知見は必ずしも一様に捉え ることはできない。

本研究では、学校という組織内や同一市町村内などの教師らが形成する既存の組 織ではなく、個々の教師が形成している教師間の関係に焦点化して検討を行う。特に、

(9)

4

授業(教科指導)における個々の教師の検討を行い、教師が紐帯を形成しているとす れば、その紐帯の特質、形成プロセスを明らかにする。

第3節 本論文の構成と分析視座

本論文は図表0-1のような章構成から成る。

比較

図表0-1 本論文の章構成 序章 研究目的

第1章

研究方法の検討 社会ネットワーク分析/M-GTA

第5章

教師間の紐帯形成のプロセスの検討

第4章

理科教師の紐帯の検討

家庭科教師のネットワークの検討 第2章

固定化した紐帯の検討

第3章

紐帯形成と変化の検討

終章 第6章

紐帯における教材の往来プロセスの検討 ネットワーク内の教材や情報の往来とその

意味

(10)

5

まず、第1章では、教師の紐帯を分析する上で、方法として社会ネットワーク分析、

修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いることの意義を検討する。次に 第2章~第4章では社会ネットワーク分析の手法を用いて分析を行う。第2章・第3 章は、対象とする中学校家庭科教師について検討する。第2章では、固定化した紐帯 を形成する家庭科教師を対象に検討し、第3章では、紐帯を形成し活用した事例を取 上げ、紐帯の変容を含め、検討する。第4章では、比較対象としての中学校理科教師 の事例を取り上げ、その紐帯を検討する。最後に、第5章・第6章では、修正版グラ ウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行う。第5章では、中学校家庭科 教師同士が紐帯を形成するプロセスを検討する。そして、第6章では、中学校家庭科 教師の紐帯において、教材の貸借や共同開発に着目し、紐帯においてそれらが行われ るプロセスを検討する。

本研究においては、上記目的を達成するため、図表0-2に示す2つの分析視座を 設定する。分析視座①では、社会ネットワーク分析を用いて、ある時点における紐帯 の特質や様態を分析し、時点毎の変容を分析する。分析視座②では、修正版グラウン デッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて、紐帯形成や活用のプロセスを分 析する。その2つの分析視座から、紐帯の特質と形成プロセスを検証することが可能 となる。

図表0-2 分析視座と研究方法

(11)

6

【注】

(1) 山田・藤田(2007)においては、学校内での情報のやり取りをネットワー クとし、教科ネットワーク以外にも、「学年」や「校務分掌」のネットワークも 取上げられている。

(12)

7

第1章 教師の紐帯と研究方法

第1節 社会ネットワーク分析援用の可能性

第1項 ネットワーク論の検討

これまで教師間の関係性は主に、既存の集団を基準として語られてきたが、本研究 では、教師個人を中心とした関係を検討するために、社会ネットワーク分析の手法の 援用を試みる。

社会ネットワーク分析(Social Network Analysis)とは、さまざまな「関係」のパタ ーンをネットワークとして捉え、その構造を記述・分析する手法である(安田1997)。

社会ネットワーク分析の名称には、「ネットワーク分析」「社会的ネットワーク分析」

など他の名称も存在するが、本研究では安田(1994)及び平松(1990)による定義を 採用し、社会ネットワーク分析と記述する。

1930 年代から、Jacob Moreno によって、社会ネットワーク分析が起こったと一説 には考えられている(Linton2007)。その後、1970年代にハーバード大学にて、Harrison

Whiteが大学院生のトレーニングとして用いたことにより発展を遂げた(Linton2007)。

社会ネットワーク分析と一口に言っても、様々な角度からの分析手法があり、社会 学的なアプローチに留まらない。アメリカでは、数学や物理学などの社会科学のすべ ての学界において、社会ネットワーク分析が広く取り入れられている現実があり、社 会構造の研究の重要性が認められている(Linton 2007)。

日本においても、社会学、経済学、心理学など様々な分野において用いられている。

数理社会学においてもネットワークの研究は増加傾向にある(Linton2007)。特に、平 松闊、安田雪、金光淳らの関連書籍の出版が、日本のネットワーク研究を牽引したこ とにより、今日の社会ネットワーク分析を用いた研究があると言っても過言ではな いだろう。

安田(1994)によると、社会ネットワーク分析は、社会的行為を行う複数の行為者 間の「関係」を定量的に測定し、数値として捉えられた行為者間の関係とその特徴か ら、個々の行為者の行為を分析しようとするアプローチである。また、平松(1990)

は現代社会、歴史社会を問わず、人間の行動、その集合としての集団や組織の行動を、

その属性からではなく、関係(つながり、結び、又は紐帯)から説明することをめざ

(13)

8

し、もっともミクロなダイアドをかわきりに、トリアド、そしておおきな集団内及び そのあいだの関係をフォーマルに理論化してみようとする試みと定義する。様々な 定義が存在するが、いずれも行為者(行為の主体となり得るものを含む)(1)とその かかわりを持つ行為者の「関係」を示すものとして整理されていることが共通点であ る。

社会ネットワーク分析のアプローチとして、ソシオセントリック・ネットワークと、

エゴセントリック・ネットワークという2つが存在する。ソシオセントリック・ネッ トワークは、ネットワークの全体像を示し、その後に、個別的な関係に迫る方法であ る。例えば、特定の集団に属する対象の関係を描く手法として用いられる。一方、エ ゴセントリック・ネットワークは、特定の行為者を中心としたネットワークを対象と する。対象とする行為者が形成している他の行為者との関係を描くことによって、個 人が保有するネットワークに迫る方法で

ある。解明する関係に合わせて、ソシオセ ントリック・ネットワークかエゴセントリ ック・ネットワークを選択する。

多くのネットワーク研究は、ネットワー クの構造を図式化することで、その関係構 造を明確にすることができる。その図をネ ットワークグラフ又はソシオグラムと呼

び、対象者と関係のある人物(あるいはそれ以外の対象)を点、頂点又は、ノード、

対象者間を線、辺、又は紐帯で描き出す。紐帯に方向性を持たせることや、太さを変 えたり、線の種類を変えたりすることで、関係を明確に表現することも可能である。

方向性を持つグラフを有向グラフ、持たないグラフを無向グラフと呼ぶが、グラフを 示す名称に、有向・無向が用いられることはほとんどない。ネットワークグラフの例 を図表1-1に示す。また、分析においては、関係構造を明らかにするために、ネッ トワークの大きさ、範囲、紐帯の強弱、中心性を示したり、ネットワークの密度を算 出したりすることもできる。

図表1-1 ネットワークグラフ例

A

● ● B C

(14)

9

第2項 教師に関する研究における社会ネットワーク分析

教師教育研究においては、教師間の関係についての研究のうち、社会ネットワーク 分析が用いられたものとして、徳舛・茂呂(2010)、五十嵐・丸野(2008、2012)、川 上(2013)、川上・妹尾(2012)の4つを位置づけることができる。

徳舛・茂呂(2010)は、小学校教師の相談機能・被相談機能について、小学校1校 を対象に学校内の担任教師のネットワークを検証し、その相談が、教務主任に集中す る傾向にあることを明らかにした。特に、初任教師や若手教師から、教務主任への相 談機能があることや、ベテラン教師が被相談相手として学校に存在しているという 内実を指摘した。

五十嵐・丸野(2008)は、社会ネットワーク分析の手法を援用した「中心性指標に よる分析(Centrality-Based Analysis)」という分析方法を開発した。この手法は、社 会ネットワーク分析を援用することで、教師の授業研修会の逐語録から、「個々の学 習者の発話が持つ役割構造の変化」を示すことができるとした。

川上(2013)は、校長・教頭が、非公式な相談機能を持つことを指摘した。市内の 校長会などで、ネットワークを形成し、そのネットワークが機能していたことを明示 した。川上・妹尾(2012)は、教師の人事異動が職能開発に与える影響を検証した。

ネットワークについて、教員にとって相談者数の多さや、どの程度の密度を持った相 談者ネットワークに埋め込まれているかが、学校内外の研修の受けとめ方や有用感、

所属する学校組織の認識に影響していたことを明らかにした。

いずれの研究も、教師が存在する特定の場や集団、職位などにおけるネットワーク の内実を明らかにしたものである。これらの先行研究から、社会ネットワーク分析を 用いることで、教師の相談機能や、情報の共有、会話などの特定可能なデータをもと に、事例を検証できることが導かれる。さらに、例えば、情報が動く方向や、その範 囲を特定することが可能である。

前述の課題を乗り越えるためにも、コミュニティと定義されてきたものや、教師が 構築する同僚関係や共同体について、社会ネットワーク分析を用いて紐帯として捉 え直すことで、その範囲や関係をより明確にすることができると考える。川上(2009)

は、教育経営学における社会ネットワーク分析の可能性を論じており、従来の「学校」

や、その他の教員「組織」といった枠組みでは捉えきれなかった知見を得ることがで きるとした。具体的には、職員室での会話の回数、その内容が相談であるか否かなど

(15)

10

によって、教師間の関わりの差異やその意味を見出すことができる。宴席でのお酌の 回数からもネットワークを描くことができるほど、社会ネットワーク分析が対象と できる行為は幅広い(安田1997)。データとする行為がネットワークや紐帯間の関係 を示さなければ、正確なネットワークを描くことができない反面、ネットワークを描 く際の基準となる根拠を明確に設定することで、より現実に即したネットワークを グラフとして描き、可視化することができる。

特に、エゴセントリック・ネットワークの手法を用いた研究には、特定の人物や団 体をエゴとしたときのエゴセントリック・ネットワーク全体を描き、その変遷を検討 したもの(例えば、手塚2011)や、エゴの大学内における友人関係など特定の人間関 係の変化を示したもの(林ほか 2013)などが存在し、限られた人物や集団を対象と した研究においても一定の成果が示されている。前述の教師に関する研究で、ソシオ セントリック・ネットワークとエゴセントリック・ネットワークのどちらの手法であ るか明確にし、社会ネットワーク分析を用いているのは、徳舛・茂呂(2010)であり、

エゴセントリック・ネットワークにより各担任教師の学校内のネットワークを描き 出している。

本研究は、既存の集団の関係構造を解明するものではない。本研究が対象とする 個々の教師が学校内外に保有する紐帯の存在そのものは想定できるものの、その内 実は、未だ明らかでない。川上・妹尾(2012)は、教師の相談相手として、現在の上 司、現在の同僚、以前の上司、以前の同僚、部活・生徒指導、研修会・研究会などの 存在をあげており、すべての相談相手が同質の集団に所属するわけではないことは 明らかである。すなわち、複数の紐帯から構成される同一のネットワークが必ずしも 形成されているとは限らず、それらの紐帯の特定のため、個別に具体を検討すること が求められる。紐帯を検討していく過程では、学校内外に存在する紐帯を集団として 捉えることができないため、ソシオセントリック・ネットワークではなく、特定個人 が保有するネットワークを中心として描き出すエゴセントリック・ネットワークの アプローチが適当である。とりわけ、紐帯の質に着目することで、授業との関わりを 含めた事例的検討を行うことが可能となるといえる。

(16)

11 第2節 社会ネットワーク分析による分析の方法

第1項 授業への焦点化と対象教師の選定

相談・情報交換の内容については、教師の中心的職務である授業(教科指導)に限 定して検討する。これまで、教師の相談・情報交換経路についてはその内容を限定し た検討が行われてこなかったが、教師の職務内容は多岐にわたり、職務内容によって 相談・情報交換の相手が異なることも想定されるため、個別の検討が求められる。加 えて、教科担任制である中学校においては、学校内に同教科教師が在籍しない場合、

学校内の経路が想定されにくい上、近年の学校の小規模化から益々そのような状況 が発生する可能性がある。したがって、教師が授業に関して活用する学校内外の紐帯 の現状解明は重要な課題である。

そのため、学校内の教師に限定するのではなく、学校外の教師との関係を検討す る必要があり、本研究は、学校外に限定した検討を行うために、中学校家庭科教師 を対象とする。中学校家庭科は学校内に同教科教師が在籍する割合が最も低い教科 であること(2)から、学校外の同教科教師への焦点化に適していると判断する。ま た、中学校においては、家庭科教師はもとより、授業時数が少ない音楽、美術、技 術の教師も同様に「1人職」である可能性が高い。加えて、学校の小規模化などか ら、その他の教科においても各学校に単独配置である可能性があり、得られた知見 は、家庭科教師に留まらず、各中学校に同教科教師が複数名在籍しない場合のすべ ての教師に共通するものであると考えられる。

さらに、比較対象として中学校理科教師の分析を行う。中学校理科教師は、同教科 の同僚が存在する場合、理科(実験)室や各校で保管している教材・教具を学校内で 共有して授業(教科指導)を行っていることから、教材・教具や理科(実験)室を使 用するための相談・情報交換を行う可能性が高いと推測され、中学校家庭科教師とは 反対の状況にある。よって、これら両端の2教科の教師を取上げることで、同教科教 師の紐帯検討の基盤となる研究として位置付けられると考える。

第2項 本研究における社会ネットワーク分析

社会ネットワーク分析の手法からネットワークグラフを作成することで、個々の

(17)

12

紐帯の構造を考察し、紐帯と行為の関係を示すことを目指す。この質的な分析の過 程において必ずしもネットワークグラフを必要とするものではないが、各紐帯形成 者間の関係を文章で示すことには限界が生じるため、グラフ上で紐帯として可視化 して示すことが望ましいと考えた。事例毎にインタビュー対象者が捉えるエゴセン トリック・ネットワークを描くため、ソフトウェアを用いたネットワークグラフ作 成は行わず、筆者がネットワークグラフの作成や密度の算出を行った。同教科教師 との関係や教材選択の経緯において同教科教師が関係するものについてのインタビ ューデータを対象とし、グラフ作成・分析を行った。ネットワークグラフは、行為 者を示す点(頂点・ノード)と、行為者間の関係を示す紐帯(辺・線)からなる図 である。エゴセントリック・ネットワークのアプローチを反映させ、紐帯形成相手 との距離を一定に描くため、インタビュー対象者をグラフの中央に描く。頂点、紐 帯を図示する際の分類や用いる記号などについては、各章で詳細を述べる。

授業(教科指導)に関する紐帯を検討する上で、一口に授業といっても多様な要 素を包含するものであり、学校外の同教科教師との関係に関わる要素に焦点化する 必要がある。

授業を構成する要素について、「教育目標(何を教え、どのような学力を形成する のか)」「教材・教具(どういう素材を使うか)」「教授行為・学習形態(子どもたち にどのように働きかけるか)」「教育評価(授業行為を的確に把握できる信頼性と妥 当性をもっているか)」の「四要素」(田中2007)や、「教育内容」「教材」「教授行 為」「学習者」が授業を構成する4つのレベルとする(藤岡1986)ものが存在す る。教材は、授業において欠かせない要素であることに加え、これらの要素の中 で、二者のどちらの整理にもあげられる教材について、教師の授業設計に関する先 行研究により、その重要性が指摘されている。授業構成要素の中で、多くの教師が 授業設計に当たって、まず、教材について思考していること(Kerr1981)、単元構成 に影響を及ぼすものとして目標の次に教材を重要視していること(吉崎1991)があ げられる。教材から教育内容を決定する逆向き設計と呼ばれる手法も存在する(藤 岡、池野)ことから、教材は教師の授業実践において重要な位置を占める。

加えて、佐藤(1999)はカリキュラムの構成要素として「教科」「教科内容」「教 材」などをあげ、授業の準備と実践と反省のすべての過程を通して、教材と対話す ることを含む教師の行為がカリキュラムを創造するとしていることから、教材が重

(18)

13

要な役割を果たしていると考えられる。本研究で着目する家庭科においても、教材 が円滑な授業運営のためのものから児童・生徒の学習支援のためのものへと役割変 容する傾向にあり、教材に着目することの可能性(高木2010)や、教材が家庭科教 師の授業デザイニングにおいて軸になっていること(兼安2015)も指摘されてい る。以上の先行研究を踏まえると、同教科教師の紐帯が存在するとすれば、紐帯形 成者間において、教材に関する情報交換など、教材を媒介とした関わりが発生して いる可能性がうかがえる。

また、その他の項目について、藤岡(1986)に従えば、「学習者」は各学校など個 別の状況であり、学校を超えて共有できる情報が制限される。「教育内容」は、学習 指導要領に左右される場合も多く、各自で設定できる範囲が制限される。そのよう な点で、「教材」は、各学校の生徒の状況や学習指導要領に少なからず影響を受ける ものであるが、他の教師と共有可能で目視可能なものであることから、教師間の関 係の検証において、十分な分析ができると考える。

教育内容を習得するために子どもが考える対象となる事実などを教材とし、教材 を示すために必要なものや道具を教具とする(二杉2014)のが一般的であるが、教 材と教具の境界の解釈は、インタビュー対象者によって違うことも想定されるた め、境界を明確に示してインタビューを行うことが困難であると考え、本研究にお ける教材とは、二杉(2014)の教具を一部含むものとした。

第3節 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ援用の可能性

第1項 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの特性についての検 討

社会ネットワーク分析に加えて、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ

(Modified Grounded Theory Approach、以下M-GTA)による分析を行う。社会ネット ワーク分析においては、紐帯の構造の変化や、紐帯の質に着目した分析は十分可能で あるが、その変化のプロセス(社会ネットワーク分析においてはネットワーキングと 呼ばれる)や、変化の意味ついての分析は十分ではない。そのため、グラウンデッド・

セオリーとして、プロセスを描き出すという特性を持つM-GTAを方法として用いる

(19)

14

ことで、社会ネットワーク分析では捉えきれなかった紐帯形成プロセスを明らかに する。よって、M-GTA を用いる第1の理由は、本研究が教師の保有する紐帯形成プ ロセス、教材や情報が教師間を介するプロセスとその意味を解釈しようとする点に ある。

M-GTA の前身であるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(Grounded Theory

Approach、以下GTA)は、データに密着した分析から独自の理論を生成する質的研究

法である(Glaser and Strauss 1967)。グラウンデッド・セオリーは、データに密着し て生成される独自の理論であり、そこで用いられるデータは分析の進展に応じて体 系的に収集されたものである。データ収集としての調査と分析、グラウンデッド・セ オリーの生成は同時に継続的に行われることが特徴的である。また、グラウンデッ ド・セオリーは、ヒューマン・サービス領域などの人を対象とする研究に有効であり、

行動予測、説明を可能にするものである。

GTA は、グレーザー、ストラウスのオリジナル版以降、様々な特色を持つ版が示 され、オリジナル版を含め、グレーザー版、ストラウス版、ストラウス・コービン/

ストラウス(・コービン)・戈木版、チャマーズ版、M-GTAの6つの版が存在してい る(木下2014)。これらは、大別して、オリジナル版(Glaser & Strauss 1967)、Strauss

& Corbin 版(Strauss & Corbin 1990)、Glaser 版(Glaser 1992)、Charmaz 版(Charmaz 2006)、修正版(M-GTA)(木下2003 など)の4つとされる(木下2011)。

そのうちの1つである M-GTA は、グレーザーとストラウスによって考案された GTA の理念を引継ぎながら、改良され、データを切片化することなく、対象とする 人間行動を客観的に説明しようとしたものである。M-GTA の特性として、データに 密着したコーディングの方法と、研究する人間の視点を重視する分析があげられる。

データの範囲、分析テーマの設定、理論的飽和化の判断において方法論的限定により 分析を制御し、分析作業を段階分けせずに行うことで、解釈の多重的同時並行が可能 となることも特徴である。また、面接調査を用いた研究において有効である。

M-GTA の分析全体の流れとして、オープン・コーディングと選択的コーディング

の2種類のコーディングにより分析を進める。オープン・コーディングから選択的コ ーディングへと移行するにつれて分析内容はまとまっていく。いずれのコーディン グであっても解釈のオープン化と収束化の両方の検討が行われる。オープン化が最 小化し収束化が最大化する理論的飽和化を目指すものである。

(20)

15

第2項 教師に関する研究における修正版グラウンデッド・セオリー・アプ ローチと分析方法としての適合性

そもそもM-GTAは、広くヒューマンサービスを対象とする領域が適しているとさ れ、医療や福祉、教育などでよく用いられている。これまでも、M-GTAは教師に関 する研究において用いられてきた。その代表として、以下の4つをあげることができ る。

1つ目に、畑中(2012、2018)の研究があげられる。畑中(2012)は、学校経営研 究における学校経営プロセスの検討方法として、M-GTAが有効である可能性を明ら かにした。学校経営は、学校に在籍する教師らが行うものであり、畑中は「ミドル」

に位置する教師らの様相から、教師らの学校経営プロセスを描き出している。

2つ目に、坂本(2011)は、校内研修としての授業研究に携わった経験に関する教 師たちの語りを検討している。授業の事実について話し合いを省察する授業研究を 通して、教師たちが授業を見る視点を変化させる過程を明らかにすることを目的と した研究において、M-GTAを用いている。校内研修として授業研究に取り組む1校 の教師を対象とした調査を行い、授業を見る視点の変化過程を明らかにした。M-GTA の成果として、授業研究を通じ、他者の言葉や授業を媒介に省察と実践化を繰り返す ことで授業理念について理解を深めるとともに、授業を見る視点が変化する過程を 示している。

3つ目に、徳舛(2007)は、若手教師が自らの教師としての実践、学習をどのよう に捉え、どのように学習していくのかという過程を検討している。得られた結果に基 づき、教師の学習に関して若手小学校教師の認知に基づいた学習過程のモデルを作 成することを目的として、M-GTAを用いた。若手小学校教師の実践共同体への参加・

学習モデルを構築し、教師がどのように実践へ参加していくのかというプロセス、若 手教師の教師としての学習観に基づく「教師になる」プロセスを検討した。教師にと っての実践共同体での学習とは、教師-児童の相互交渉、あるいは、他の教師、児童、

保護者、経験、地域性などのリソースへのアクセス可能性の増加と、それによる相互 交渉で成される社会的達成であることを導いた。

4つ目に、吉村・中原(2017)は、学校改善を目指して発揮され、学校個別の課題

(21)

16

にかかわらず、多様な課題に共通するミドルの行動プロセスを明らかにすることを 目的として、M-GTAを用い、ミドルリーダーの役割や行動を対象とした分析を行っ ている。学校改善というプロセス性を有する対象であることから、M-GTA が有効に 機能している。学校改善に資する実践を学校全体の共通実践として推進するために、

ミドルは学校課題の<他人事から自分事への転換推進>(サブカテゴリー)を図りな がら[複数解決案の練り上げ](カテゴリー)、[共通実践の推進](カテゴリー)を行 っていることを明らかにした。

また、広くGTAを用いた教師に関する研究も行われてきた。

例えば、スクールカウンセラーと教師の関係を描いたもの(山本2012、2015)や、

教師の授業中の情動とその生起状況を検討したもの(木村2015)がある。

山本(2012、2015)は、学校内における教師とスクールカウンセラーの協働の可能 性を示したり、担任教師がスクールカウンセラーをどのように生かしているかを概 念として整理したりした。

木下(2015)は、授業における教師の情動と認知、思考、動機付け、行動との関連 の検討、教師が授業中に行っている“行為の中の省察”と授業後に行われる省察の両 過程において情動がどのような役割を果たし、教師の専門性として説明されてきた 実践的知識や思考様式に情動がいかに寄与するのかを検討している。GTA を用いた ことで、教師の情動に関わる概念が見出され、それらの関係が整理されている。

これらの研究は、GTA を用い、教師やそれぞれの研究対象者へのインタビュー調 査から得られたデータをもとに、研究目的に即し、プロセスを明らかにしたものであ る。

以上の先行研究より、教師に関する研究も人を対象としたものとしてヒューマン サービス領域に位置づいており、研究方法として採用された M-GTA もしくは GTA が社会的相互作用のプロセス解明に有効に機能していることが明確である。さらに、

ヒューマンサービス領域では、M-GTA で得られたグラウンデッド・セオリーを実践 現場に戻し、そこでの応用が可能となる点においても適合する。このことから、教師 の紐帯形成を対象とする本研究においても、M-GTAを分析手法の 1つとして採用す ることが適切であると判断できる。本研究は、教師同士が相互に関係する行為の意味 を解明しようとしており、焦点を当てている教師間に結ばれる紐帯は、M-GTA が対 象とする社会的相互作用を示すものであると考えた。以上が本研究でM-GTAを用い

(22)

17 る第2の理由である。

M-GTAの具体的な分析手順については第5章・第6章で詳細を述べる。

【注】

(1) 対象者は、人物だけがなり得るものではなく、企業や団体など、様々な集団 を対象とした社会ネットワーク分析が可能である。

(2) 技術・家庭科は、技術分野と家庭分野の2つの分野から成る。1977年の学習 指導要領改定以降、授業時数が減少したことも影響し、家庭分野を担当する家庭 科教師の 1校に複数人配置はより減少した。

(23)

18

第2章 学校外の同教科教師との固定化した紐帯を保有する教師の実態

第1節 調査方法と紐帯の概要

中学校家庭科教師8名を対象とした半構造化インタビューを行った。対象教師は

20~50代の各2名とした(図表2-1参照)。図表2-1に示す年代、教職歴、勤務

学校数、現任校勤務年数は原則として初回の調査時のものとする。

調査依頼時には、調査対象者へ、調査の概要と倫理的配慮について説明し、承諾を 得られた場合にのみ調査を行った。倫理的配慮については、データ公表において学校 や人物が特定されないように仮名や記号等を用いること、回答したくない場合は回 答を避けられること、インタビュー調査中であっても調査の中断や中止が可能であ ること、調査修了後の内容確認時にも内容の削除が可能であることを説明し、同意書 を交わした上で調査を開始した。

調査内容は、過去の授業の実施内容や使用教材とその選択理由、今後の授業構想、

授業に関する相談相手についてとその相談内容や方法・回数、学校の様子や仕事の状 況などについてとした。1回のインタビュー時間は60~90分程度であった。調査は、

筆者のみが、それぞれの対象者と対面する形で行った。調査場所は、対象者の勤務先 や、自宅、その他調査対象者の勤務地や自宅近くの飲食店などであった。インタビュ ー時には、対象者に承諾を得た上でインタビュー音声をICレコーダーに録音した。

録音中に一時停止の希望があった場合には、録音を停止し、了承が得られた段階で再 開した。インタビュー調査後、文字起こしを行った。その際、調査時には、会話の流 れから省略されている内容などを適宜、( )内に示して補った。それらの記述を対 象者に確認してもらい、意味や文脈の取り違いがないように確認・訂正したものを分 析に用いた。また、使用を避けてほしい部分について申し出があった場合には、その 部分を削除したものを分析に用いた。文字起こしに際しては、個人名や学校名、都道 府県、市町村やその他の地域を表す名称、団体名、地域の特色を生かした教育活動な どの個人や地域の特定につながる情報については、アルファベットなどの記号で示 すこととした。

インタビュー調査は複数回行うことを原則としたが、対象者の事情によりそれが 難しい場合や追加で確認したい事項がある場合には、電話やメールで情報を補完し

(24)

19

た。また、インタビュー内容に関する資料として、研修に関わる資料や学習指導案、

教材のデータや、その写真なども可能な限り入手した。

図表2-1 インタビュー対象者の属性と調査時期

年代 性別 教職歴 勤務 学校数

現任校

勤務年数 調査実施年月

A 20代 女性 1年 1校 1年 2014.8

B 20代 女性 8年 1校 2年 2014.8、2014.12、2018.8

C 30代 女性 6年 2校 6年 2014.8、2014.11、

2015.1、2016.3

D 30代 女性 16年 4校 5年 2015.3、2015.7

E() 40代 女性 17年 5-6校 9-1年 2015.3、2016.12

F 40代 女性 25年 3校 3年 2015.4、2015.7、2018.8

G 50代 女性 30年 5校 1年 2015.7、2016.8

H 50代 女性 37年 6校 1年 2015.7、2016.8

インタビュー内容のうち、過去の授業の実施内容や使用教材、今後の授業構想に関 しては、他教師との教材貸借や共同開発、相談内容などに関わりのあるものに限らず 調査対象とした。他教師との教材貸借や相談・情報交換などを想起してもらうために は、授業内容や使用教材とその選択理由について、インタビューすることが有効であ ると考えた。

また、複数回の調査であることから、2回目以降の調査日時は時間をおいて設定し ている。教師間の関係についての調査を受けていることを教師が意識することで既 存の教師間関係に、バイアスがかかることを避ける必要がある。この点においても有 効であると考えた。ただし、授業で取り扱う内容は多岐にわたっており、調査という 限られた時間の中ですべての教材や授業内容をつぶさに述べてもらうことが不可能 である。そのため、事前に行った質問紙調査結果に基づき、あらかじめ授業内容を限 定した形で調査を行った。なお、授業に関する相談相手との関係に関わる授業内容や 教材についてはこの限りではない。また、対象以外の授業内容や使用教材についての

(25)

20 教師の発言を妨げるものではない。

主に、インタビュー対象とする授業を選定するために、2014年3月にX県の全344 校の公立中学校及び中等教育学校(2)の家庭科教師365名を対象とした授業改善意識 に関する質問紙調査を行った。調査は、郵送回答法により行い、128名(35.1%)よ り回答を得た。そのうち、欠損値等のあったものを除く有効回答率は、29.5%であっ た。回答者の性別は、男性12名、女性94名であった。職位は、教諭74名、主幹教 諭6名、指導教諭1名、常勤講師18名、非常勤講師7名であった。年代別には、20 代13名、30代15名、40代42名、50代36名という結果であった。授業について、

①「来年度以降の授業について、今現在での授業改善のアイディア(3)をお持ちです か。実現の可能性は問いません」、②「今年度の家庭科の授業実施内容は昨年度と比 べて、変化(4)がありますか」の2項目を分析した。学習指導要領(2008年改訂)(5)

における技術・家庭科家庭分野の「A家族・家庭と子どもの成長」「B食生活と自立」

「C衣生活・住生活の自立」「D身近な消費生活と環境」の4つの分野の必修の学習 項目合計22項目の内容項目(図表2-2参照)毎に、①は「ある」「ない」のどちら かで、②は「1 変化がない」から「4 変化がある」の4件法で回答を得た。分野(6)

毎に、1年間の授業改善が最も大きいものと小さいものを各1項目ずつ選択して、イ ンタビュー内容にすることとした(図表2-2網掛け部分参照)。

(26)

21

図表2-2 質問紙調査結果とインタビューの調査対象項目

野 学習指導要領の学習項目 年 間 の 改善

ア イ デ ィ ア の 平均数

A 家 族

・ 保 育 分 野

(1)ア 自分の成長と家族や家庭生活の関わり 2.10 0.21 (2)ア 家庭や家族の基本的な機能、家庭生活と地域

のかかわり 2.04 0.22

(2)イ これからの自分と家族、家族関係をよりよく

する方法 2.11 0.19

(3)ア 幼児の発達と生活の特徴・家族の役割 2.55 0.35 (3)イ 幼児の観察や遊び道具の製作、幼児の遊びの

意義 2.13 0.50

(3)ウ 幼児との触れ合い、かかわり方の工夫 2.02 0.51

B 食 分 野

(1)ア 食事が果たす役割、健康によい食習慣 2.11 0.35

(1)イ 栄養素の種類と働き、中学生の栄養の特徴 1.98 0.30 (2)ア 食品の栄養的特質・中学生の1日に必要な食品

の種類と概要 2.06 0.28

(2)イ 中学生の1日分の献立 2.06 0.38

(2)ウ 食品の選択 2.07 0.33

(3)ア 基礎的な日常食の調理、食品や調理用具等の

適切な管理 2.20 0.49

(3)イ 地域の食材を生かした調理、地域の食文化 2.19 0.48

C 衣 服 分 野

(1)ア 衣服と社会生活とのかかわり、目的に応じた

着用や個性を生かす着用の工夫 2.07 0.24

(1)イ 衣服の計画的な活用や選択 1.94 0.18

(1)ウ 衣服の材料や状態に応じた日常着の手入れ 1.94 0.26 (3)ア 布を用いた物の製作、生活を豊かにするため

の工夫 2.07 0.49

住 分 野

(2)ア 住居の基本的な機能 2.21 0.18

(2)イ 安全な室内環境の整え方、快適な住まい方の

工夫 2.10 0.36

D 消 費 分 野

(1)ア 消費者の基本的な権利と責任 2.11 0.34 (1)イ 販売方法の特徴、物資・サービスの選択、購入

及び活用 2.07 0.38

(2)ア 環境に配慮した消費生活の工夫と実践 2.27 0.41

平均 2.09 0.34

(27)

22

インタビューデータから、対象教師の保有する同教科教師との紐帯に焦点化し分 析を行ったところ、5つのカテゴリーの属性を持つ同教科教師の紐帯形成相手が存 在していた(図表2-3参照)。人事異動により同僚として知り合う教師、同一及び 近隣市町村内の教師に加え、勤務校前任者との引継ぎによる出会いや大学時代の友 人も含まれていることが確認できる。同教科以外の教師やその他の知人などを相談 相手としてあげた教師は、A・D・H 教師であった。A 教師は学校内の他教科の同僚 である教師1名をあげたが、実際に相談した内容などは述べられなかった。D教師は 大学の教員に相談したことが述べられた。また、H教師は、学校内の教師ではないが 職員である ICT 支援員への相談実態が述べられた。これらの教師の相談相手は同教 科教師とのつながりと比較して、少数であった。

図表2-3 同教科教師の紐帯形成相手 同一及び近隣市町

村内の教師 大学友人 勤務校

前任者 学校内同僚 元同僚

A ◎ ◎ ― ―

B ◎ ◎ ◎ ― ―

C ◎ ― ◎

D ○ ― ―

E ◎ ○ ◎ ―

F ◎ ○ ― 〇

G ◎ ◎ ― ―

H ◎ ○ ― ―

◎は現在、○は過去、-は該当者無を示す。

図表2-3に示すように、現在、保有する紐帯の中で、紐帯形成相手として最も多 くあげられた者が、同一及び近隣市町村内の教師であった。近隣市町村の捉え方は、

自治体によって様々であり、本研究では主として、研修会が行われる範囲や研究発表 会を共同して担当する範囲を対象としている。教科の研究発表は、政令指定都市など 市町村単位で行われる場合から、複数の近隣市町村を合わせる場合が確認された。こ

(28)

23

れらの同一及び近隣市町村内の教師には、勤務校前任者や元同僚が含まれている場 合もあり、それらを含めると保有する紐帯は同教科教師の紐帯の中で大多数を占め るものである。

同一及び近隣市町村内の教師との紐帯を保有する B・C・E・F・G・H教師は、い ずれも、それらの教師(元同僚や前任者を除いた場合)との出会いは、市町村やその 他の複数の近隣市町村を合わせた形での研修会や会議(7)であり、それらは、数か月 から数年に1回のペースで行われていた。中学校家庭科教師が集う公的な会の名称 は、多様であるが、本研究では教科研修会と統一して記載する。教科研修会の開催頻 度も様々であるが年に2~4回程度参加している教師は、B・C・E・H教師であった。

F・G教師の参加頻度は年度によって違いがあるものの、数か月に1回程度から数年 に1回程度であった。また、B教師は、非公式な同一市町村内の教科研修会にも参加 している。

それら以外での面会について、C・F・G教師については、定期的に食事会を行って おり、C教師は半年に1回程度、F・G教師は年に1回程度であった。F・G教師の参 加する食事会は、祝い事などがある際のもので定期的な開催ではなく、授業に結びつ いた事例は確認できなかった。E・H教師は、公的な会以外での面会は確認されなか った。

また、A・D教師は同一及び近隣市町村内の教師との紐帯を保有していない。A教 師の勤務する市町村では、市町村内での教科研修会や会議などが開催されていたが、

A教師は学校の状況から、学校外の出張などに参加できない現状があった。また、D 教師の勤務する市町村及び近隣市町村ではそもそも教科研修会などが実施されてい るか不明瞭であり、D教師は参加していない実態があった。

教師の保有する紐帯は一様ではなく、その関係構造も様々であるため、まず、本章 では、同一及び近隣市町村との限定的な関係を保有する教師の実態を分析する。対象 として、A・D・E・F・G・H教師を分析とする。次章で同一及び近隣市町村内の教師

(ら)との紐帯を形成・活用した教師として、B教師・C教師の事例を分析すること とする。

(29)

24 第2節 ネットワークグラフの作成方法

ネットワークグラフの作成方法について示す。

まず、インタビュー調査においては、質問紙調査において得られた結果(図表2-

2に示す)から選定した対象とする授業について、内容及び授業で用いた教材と、そ れらの授業内容や教材を選択した理由について述べてもらった。その中で、他の教師 との関わりが確認された場合には、その人物との関係性や、その授業内容や教材使用 に至った経緯などを追加質問した。さらに、授業に関すること以外の質問内容につい て、相談相手などを確かめる方法としてネーム・ジェネレータを用いた。ネーム・ジ ェネレータ(name generator)は、個人がもっているパーソナル・ネットワークに属し ている人々を、特定化する質問(安田 1997)であり、社会ネットワーク分析を行う ことを想定した質問紙調査でも用いられ、エゴセントリック・ネットワークを抽出す る方法として定着している。ここでは、教科の授業に関して相談や情報交換する相手、

授業で用いる教材の貸借や共同開発を行ったことのある相手をあげてもらった。た だし、ここでは、相談などの相手の個人名の回答を求めたわけではなく、記号や、立 場などでの回答で十分であることを伝えた。相談などの相手が多い場合には、視覚的 に確認しながらインタビューすることができるように、記号や立場を紙に書き出し てもらった。同時にネーム・インタープリター(name interpreter)と呼ばれるネーム・

ジェネレータであげられた人々がどのような人であるのかその属性(安田 1997)を 尋ねた。ここでは、「近隣校の教師」や「元同僚」、「勤務校の前任者」などの情報に 加え、出会いの契機、面会の頻度について情報を得た。その後、ネーム・ジェネレー タであげられた人々相互の関係を確認した。人々が相互に知り合いであるか、相談相 手であるか、教材の貸借や共同開発があるか、それらの頻度など、調査対象者本人が 認識していることを述べてもらった。

次に、紐帯の作成に当たっては、インタビューにより得られたデータから、面会や 電話、メールなどの通信手段を用いて、授業についての相談や情報交換を行った回数 の基準を設定し、年に約1~2回の相談・情報交換相手は―(実線)、年に約3回以 上の相談・情報交換相手は―(太線)とした。ただし、ネーム・ジェネレータによる 調査・分析においては、認識と事実が異なる場合に留意する必要があることから、相 談・情報交換の実態が確認されても、相談相手として認識していない場合は⋯⋯(破

(30)

25

線)とした。中でも、相談・情報交換回数が年に1~2回である場合は……(細い破 線)、相談・情報交換回数が3回以上である場合は……(太い破線)とした。また、

教材の貸与があった場合には、その方向を直線と合わせて→(矢印)で示した。矢印 は双方向の場合もある。相談・情報交換の回数を年に1~2回と3回で、区分した理 由として、同一及び近隣市町村内の教師が参加する教科研修会での面会機会の回数 をあげることができる。先行研究として、校長の相談経路についての社会ネットワー ク分析(川上 2013)を参照する。校長の相談や情報交換は、同一市町村の校長会に 限定される場合と校長会以外の場においても活用されている場合があること(川上 2013)から、中学校家庭科教師間においても教科研修会の際に限定されるか否かを1 つの基準と設定することが妥当であると考えた。年間の会の設定は、自治体などによ って差があるものの研究発表会などが設定されていない時期には、年に2回程度で ある場合が多い。教師が参加した会において、他の教師との相談・情報交換を行うか 否か、またどの教師と行うかは、個々の教師に委ねられており、同一教師への3回以 上の相談・情報交換は、教師の意図的な紐帯活用の行為として判断できると考えた。

また、相談・情報交換に際して、電話やメールなどの通信手段を用いた行為も、直接 の会話と同様と捉えて分析した。電話での相談は川上(2013)の調査においても確認 され、分析に用いられていること、自治体内でのやり取りにメールシステムを導入し ている自治体が増加傾向にあることに鑑みて設定した。社会ネットワーク分析にお いては、複数の異なる質の紐帯を混在することには留意しなければならないが、本研 究においては、相談・情報交換関係だけでなく、教材貸借についても同時に分析する ために、明確に図示することができるようにした。

また、点について、インタビュー対象者は◎、紐帯形成相手である同一及び近隣市 町村内の教師(8)は●、同僚は□、前任者は▽、大学友人は△として示した。インタ ビュー対象者以外の紐帯形成者間の関係は、調査対象者の認識により図示した。

第3節 少人数の相談相手を保有する教師の事例

A教師は、教師として1年目で、講師として政令指定都市であるXA市(以下、イ ンタビュー内の自治体名や学校名などの名称はランダムに表したアルファベット大

(31)

26

文字とインタビュー対象者を示す大文字アルファベットの組合せで表記する)の中 規模校に勤務している。学校内に家庭科教師は A 教師の1名のみである。A 教師は 家庭科教師の相談相手を2名保有している。1名は、大学の同窓であり、高等学校の 教師として勤務している友人(Ka 教師、以下、インタビュー対象者以外の教師は、

ランダムに選択したアルファベット大文字と、インタビュー対象者を表すアルファ ベット小文字の組合せで表記する)であるが、「校種も違う」ため、相談というより もむしろ「話して気持ちを楽にする」という関係であった。もう1名の Ja 教師は、

勤務する中学校の前任者であり、引継ぎを介して知り合った。

昨年度までいらっしゃった先生(Ja教師)に一番。特別支援(学校)に行か れたんですけど、その先生に電話をしたりメールをしたり直接会ったりしな がら。(中略)いつも泣きついてます。それが一番ですかね。もっとここ(市 内)の教科研修会とかにも参加できたら、知り合いとかも増えるのかなって 思うんですけど。

Ja 教師だけでなく、その他の同市に勤務する家庭科教師とのつながりを求めてい ることがわかるが、市の教科研修会には、参加していない現状がある。また、Ja教師 は、特別支援学校にて勤務しており、家庭科教師の教科研修会には参加していないと 考えられる。

A

Ja Ka

インタビュー対象者 ◎ 前任者 ▽

大学友人 △

年に約3回以上の相談・情報交換相手 ―(太線)

図表2-4 A教師のネットワークグラフ

(32)

27

4月にはい、技術・家庭科の全体(XA市)の(教科研修会)があって、そ のあとにちょこちょこ YA(XA 市の1つのエリア)だけとか。えっと月1 くらいのペースですかね。でも私、1回しか行けてなくて。学校行事とかな んか重なって、いつも欠席してます。

学校行事の関係で、相談相手の多い教師らが参加していた教科研修会の場に参加 できていないという。これにより、家庭科教師の紐帯が広がりを見せず、A教師の形 成する紐帯は、少数に限定されている。

また、D教師も前任者(Ad教師)との関係を築いており、現任校に赴任して、1

~2年目は、前任者のAd教師に相談していたことをあげている。

(現任校に赴任して)1年目、2年目は専ら前任の先生(Ad 教師)にご相 談して、今はもう自分の中でしていますね。

現任校 着任時~

2年目

D Ad

3年目以降

D Ad

インタビュー対象者 ◎ 前任者 ▽

年に約3回以上の相談・情報交換相手 ―(太線)

相談相手として認識していない教師 ⋯⋯(破線)

図表2-5 D教師のネットワークグラフ

教材の構想に当たっても、前任者との会話が影響していたことを認識しており、次 のように述べている。

(33)

28

自分が和服が好きなのと、それと先輩の先生が和服をされてて、Ad先生が 和服をされてて、(中略)それで、どんなことやってる、とかいう話になっ て、自分なりにもしなきゃいけないなあと。

D教師も、その他の教師とは紐帯を形成しておらず、限られた相手との紐帯形成で あることがわかる。

A教師・D教師のように紐帯形成が限られた教師との間に限定されている状況にお いては、特に前任者との関係が大きな存在であることが確認された。同一及び近隣市 町村内の教師らとの関係が形成されにくい場合において、前任者との関係は重要な ものと考えられる。

第4節 紐帯内の関係構築に障壁を感じる教師の事例

E教師は、同一市内の教師及び学校内の同僚との紐帯を形成していた。E教師の 勤務するXE中学校には、中学校家庭科の教員免許を保有するAe教師が在籍してい る。Ae教師は特別支援学級担任であり、家庭科の授業は担当していない。このよう な形で同教科教師が存在する類似事例は、他教師への調査では確認されなかった が、様々な事情で教員免許を保有するが授業を担当しない同僚が在籍する場合(9)

があると考えられる。E教師の勤務するYE市には年に3~4回の教科研修会があ り、XE中学校の同僚のAe教師の他、Be・Ce・De・Fe教師との紐帯を保有してい たが、E教師から相談をしたり、教材を借用したりする関係は形成していない。E 教師は、次のように述べている。

本当はね、そのチャーハン作るときに炊飯ジャーを他の学校に借りたいなと 思ってた。(学校にあるものが)古かったから。でもやっぱりそれができな かった。

E教師は、2回目のインタビューの前年度まで、他の市町村内の中学校に勤務して いた。前任校は、YE 市の近隣市町村ではあったものの、現任校(YE 市立 XE 中学

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