• 検索結果がありません。

図書館実習の今昔:立教大学図書館に勤務して40年

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "図書館実習の今昔:立教大学図書館に勤務して40年"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

図書館実習事前指導Ⅰ講演録 2017年12月2日

小泉  徹(立教大学池袋図書館)

はじめに 

ひとりで喋るというのは苦手で、どんな話になるかわからないのですが、中村百合子先生 から、みなさんが図書館実習にぜひ行ってみたくなるようななお話をいただきたいというご 依頼でしたので、今日は実習の参考になるようなことをお話しできたらと思います。 

 

図書館で働くことと図書館学を学ぶこと 

  はじめに自己紹介をしますと、私が立教大学図書館に専門職として就職したのは 1978 年 ですから、もうすぐこの仕事をはじめて 40 年になります。ほとんど歴史に近いですね。立 教大学の司書課程が出来てほぼ 50 年1)ですから、司書課程も私が入ったときは設置されて 10 年の若者でした。 

  専門職という定義は、日本でははっきりしない面がありますが、要するに配置転換(人事 異動)がありません。昔は、学生部に配属された人は学生部に、教務部に配属された人は教 務部にずっといる人がたくさんいましたが、図書館は、いわゆる専門職として入職したひと が段々減ってきて、今ではほとんど他部署からの異動で入ってきた職員です。でも不思議と、

また配置転換を繰り返して図書館に戻ってくるんですね。職務経験は人事課とかそういうと ころで見てくれていますから、いろいろなことを加味して、人事も動いているのではないか と思います。 

  専門職採用の人も一般事務採用のひとも、実際に行う仕事はほとんど変わりがありません が、図書館には業界的な関わりがあります。産官学と言ったりしますが、ひとつは、司書課 程の先生たちが所属するような「学界」があります。また公共図書館は、行政に関わる「官 界」になるでしょうか。私は公務員ではないですが、大学職員として教育行政に関わる所が あります。専門図書館と呼ばれる館種は企業体に属するので「産業界」でしょうか。それら を含めて「図書館協会」といった職能団体もあります。私は学内よりもむしろ学外で司書課 程の先生方にお会いする機会のほうが多いです。 

  また、図書館は本を大量に購入しているので、私たち図書館職員は、書店の外商部(営業)

の方とはけっこう近いかなとも思います。例えば、立教大学は億という単位で本を購入して 利用に供しています。丸善や紀伊国屋書店といった街の書店のカウンターはみなさんもご存 知でしょうけど、そういう人たちとは別に、外商部の方たちは、公共図書館とか大学図書館 などで注文を取って回っています。こういった方たちと私たち図書館職員は業界のつながり のようなものがあります。図書館の職員のなかには、書店に勤めていて立教大学の図書館に 就職したという経験者採用の方もいらっしゃいます。図書館とつながりのある職場は意外と 世の中にありますので、実習のなかでどんな経験でも、仕事で役に立ったり、採用や異動の 際に加味されたりすることもあるようですから広く考えていってほしいと思います。 

  みなさん司書課程を修得されているのですから、就職に役立つことを念頭にしていらっし ゃると思いますが、私にも大学院生の息子がいて、就職に苦労しています。私も 40 年前は、

みなさんに近い年齢でした。まだ当時は大学紛争の残り火がありまして、立教の外部から政 治的な団体の学生がキャンパスに来て傷害事件を起こすなど、立教キャンパスのなかでも暴

(2)

図書館実習報告 

力沙汰があったりました。そんな時代でしたので、私も含めて、大学生というのは迷いとそ れからいろいろな精神的な困難を抱えていました。戦中戦後のような、爆弾が飛んできたと か飢えに苦しんだということはないですが、大学紛争の時代で、精神的な困難がいろいろあ りました。 

私は中央大学の文学部を卒業したのですが、私はみなさんと違ってまじめに講座科目など も取らず、失敗と挫折の繰り返しでした。4 年の後半になってようやく、就職について考え はじめました。僕は何も政治活動をしていたわけではなかったのですが、ごたごたした政 治・社会情勢、友人関係とか、いろんなことに心を惑わされていました。就職する気もなく、

かといって進学する気もなく、私は最後の最後になってどうしようもなくなって就職部に行 きました。何を言われるかと思ったら、「新卒で採用されるから留年しなさい」と言われま した。希望留年って言うのかな、立教でもあると思いますけども。それはちょっと嫌だなと 思いました。就職部の人は、「じゃあ君は一体何になりたいの?」と言うものですから、「僕 は本が好きですから、図書館にでも就職したいですけど」と言ったら、「いや、そんな程度 じゃとても就職なんかできないよ」と言われてしまって、どうしようかなと非常に悩んで、

苦しい思いをしたのを覚えています。 

それでも 3 月になったら、今はもうありませんが2)、図書館短期大学という国立の専門単 科短期大学の入学試験があり行くことに決まりました。当時は別科という大卒の人を対象に 1 年間コースがあって、みんなで仲良く勉強しました。同期は 40 人くらいで、年齢も 20 代 から 30 代までいろいろな人がいました。銀行で女性社員の教育を担当していた方が、あま りにストレスが強かったのか、銀行を辞めて図書館短期大学に来ていました。また、当時か ら電子計算機がありましたから、コンピュータ関係の人で仕事がきつかったのか、仕事を辞 めてこちらに来ている人もいました。僕のように大学を卒業してすぐに、就職にあぶれて来 たっていう人はむしろ少ない方でした。そういう社会の受け皿というか、ちょっと変わった 短期大学でした。卒業前に立教大学からそこに募集があり、立教の卒業生もいたのですが、

私が就職することになりました。ラッキーと言えばラッキーです。 

今も昔も図書館は狭き門です。どうやって就職するかあまりはっきりしていないところも あります。もちろんそれなりに頑張った方がいいですが、絶対に図書館じゃなきゃいけない と思って就職活動をする人も少ないので、かえって実際の競争率は低いかもしれません。ま たみなさんは就職すると会社がブラックなんじゃないかとか不安もあると思いますが、社会 というのは基本的には若い人の受け皿です。何かしら役立っていける場所はどこかにありま す。 

図書館の知識は、たとえ図書館員にならなくても、会社でもどこでも絶対に役立ちます。

図書館員になっていちばん思ったのは、この知識を大学生の時に得ていれば、ということで した。当時、データベースはありませんでしたが、それと似たようなシステムはありました。

そういったものの使い方、目録の引き方を知っていれば、僕の大学時代はずいぶんと違って いただろうなと思いました。そうしたらもっと簡単に就職もできたし、あんなに悩むことも なかったと思います。   

 

図書館実習に行くということ 

ということで、やっと本題の「図書館実習」についてお話したいと思います。しかし私の 語れることは 40 年近く前の図書館短期大学時代のことになってしまい、現状にはあまり役 立たないかもしれません。少しだけ私の体験談をお話してから、次に司書課程の紀要『St. 

(3)

私自身の図書館実習は、東京大学の法学部研究室に行きました。ここは研究室と言います けれど、実態は教員と大学院生のためだけの図書館で、学生は書庫には入れません。ですか ら、東大法学部の学生は学生用の総合図書館しか使えない。法学部の本当に専門的な文献は 見られないということで、かわいそうだなと思ったことがあります。 

図書館は 9 時に始まるのですが、9 時 15 分に来てくれと言われて、最初は何でかなと思 っていましたが、職員の方たちは 9 時半に出勤します。9 時には誰もいない(笑)。今、そう いうことはないと思いますけどね。だいたい、午前中は図書館の沿革とか業務内容のお話を してくれまして、午後はアルバイト的に、何百万冊という当時古い独自分類になっていた資 料を新しく NDC(日本十進分類法)に替えるという膨大な作業のお手伝いをしたりしてい ました。 

現在では、今までの授業や実習の事前指導の中で、そういう話もあったかと思いますし、

立教の図書館でもそうですが、業務委託や専任以外の方が半数以上入っています。みなさん が実習に行かれると、カウンター業務などは委託の方が行っていることが多いと思います。

例えば、公共図書館でも書店の名前の入ったエプロンを着て仕事されている方もいますよね。

実は立教もそうです。カウンターの大部分の方は、その図書館が業務委託をしている会社に 所属している人たちです。直接、実習生の指導をお願いするのが契約上難しい場合があると、

専任職員の管理や組織の説明だけに終始してしまうかもしれません。しかし、実習生として は現場の仕事も体験したいですよね。実務もぜひ経験してみたいですとお願いしてみるのも よいかもしれません。また実習のなかでは、教えてもらうだけでなく、現実の図書館を批判 的に見てみたり、このようにしたらもっと良くなるのかもしれないということを試しに提案 してみるのもよいかもしれません。 

  SPL を通読してみましたら、1990 年ですからもう 30 年近く前に、佐野友彦先生という 学校図書館の専門の方が何のために図書館実習をするのかという事を書かれています3)。佐 野先生によると、他大学の場合は、図書館実習は必修ではなかった。本学の場合は設置当初 から必修で、実習先には学校あり、公共あり、企業体あり、財団法人などの専門図書館あり、

ということで、様々なところで実習をできるというのが特色になっていました。みなさんも ご存知のように、図書館には公共図書館とか学校図書館のほかに、子ども文庫みたいな私立 図書館とか企業図書館とか、例えば TOTO のトイレを集めた図書館とか、たくさんの種類 があります。羊羹で有名な虎屋も老舗のお菓子屋さんですから、古文書などの文庫がありま す。図書館や文庫は対外的な宣伝にもなるわけですよね。自分たちの組織の歴史や沿革を紹 介して広報するという点では、立教学院展示館もそうですね。ですから、図書館が広報部の 一部になっている組織もあります。アメリカン・センターなどもそうですね。アメリカの大 使館に所属していてアメリカについての報道機関などからの問い合わせに対応したりして います。したがって、実習の対象になる図書館には様々なものがあります。立教の司書課程 では NHK 放送センターに行ったり、ドイツ文化センターに行ったり、いろいろなところに 実習に行っていますが、まずはそこの特色を理解してやっていくということが必要じゃない かなと思います。図書館といっても、国会、官庁、企業、研究所、団体など様々な機関に付 属して文献や資料のサポートをしています。 

10 年ほど前の SPL には、座間直壯先生が、「立教大学司書課程で『図書館実習』を担当し て」と題する論文を書かれています4)。ごく一般的なことなのですが、本当にそうだなと思

(4)

図書館実習報告 

う所がありました。座間先生は、自身が学生の時のことを次のように書かれています。 

約 40 年前の学生時代、私は図書館実習で或る市立図書館にお世話になりました。そ の図書館は以前から利用はしていたのですが、(中略)まさか実習でお世話になると は思いもよりませんでした。 

実習初日の昼休みに職員の方が私を連れて近くの書店を案内してくれました。その道 すがら職員の方は私に「図書館の職員というのは地域を知らなければいけない」そし て「今地域で何が起きているかを知ることが大事なんだ。今日は初日だから図書館の 周りを少し見て歩こう」と言いながら、商店街を抜けて書店に行ったことを今でも鮮 明に憶えています。 

私にとって図書館実習は、図書館学の講義も然る事ながら強烈な思い出として残って いることと、その後の図書館職員として仕事をしていく上での大きな拠り所となりま した。 

このように書かれていて、本当にそうだと思いますね。自分がどこにいるかということを 考えるべきだと思います。図書館の置かれている位置はそれぞれ違いますよね。 

  同時に、この先生は図書館実習の心得として、「その1:元気にあいさつ」と書かれてい ます。これは当たり前ですけども、本当にそうですね。それから、「その2:市民から見る あなたも一人前の図書館員」「その3:あなたにも“守秘義務”が…」「その4:身だしなみ に気をつけて」これはカウンターなんかにいる時には気をつけないといけないと思います。

それから、実習生の受入は受入先の方が都合をつけてくれて実現していることですので、遠 慮はしなくていいと思いますが、配慮はしてください。それから、「その6:目標をもって 実習に臨もう」。これは難しいですけどね。それから「時間厳守」ですとか、「楽しく実習を しよう」とか書いてあります。 

  あと、心構えとしては実習館の概要を事前に調査しておくことをおすすめします。図書館 というのはだいたい下部組織ですから、公共図書館であればその自治体の、つまり図書館の 上部組織のことも調べておく必要があると思います。これは、絶対にやらなければならない というより、やっておくと実習がより楽しくなるというものです。 

  守秘義務というのもあります。私たち大学図書館の職員にもありますが、利用者が不特定 多数ではなくて大体学生の方か教員と決まっていますので、公共図書館ほどではないかもし れません。あと、子どもには子どもの目線で話を聞くことなど心構えが書いてありますので、

ぜひ SPL の 22 号に掲載されている座間先生の文章を読んでみてください。 

  次に数年前の記事ですが、鈴木均さんの講演録5)をご紹介します。この方は立教の卒業生 で、21 世紀社会デザイン研究科も修了されています。この講演録はぜひ読んでほしい。この 方は浦安市立中央図書館の司書に採用され、今の私と同じように図書館実習事前指導で講演 をされたのですが、図書館業界ではちょっとした有名人です。浦安市立中央図書館というの は、竹内紀吉さんという方がディズニーランドの町に建てた図書館です。一方で、浦安は昔 ながらの漁村がある。そういう場所で、竹内さんはみんなが利用できる図書館、みんなに喜 ばれる図書館を創り上げました。「本の森」というレファレンスを重視した大人も楽しめる スペースのある図書館です。退職後、本(『図書館の街・浦安:新任館長奮戦記』未来社, 1985)

もお書きになっています。 

  鈴木均さんは、その浦安市立中央図書館のヘビーユーザーで、大学生の時には実習にも行 ったそうです。「大学生になったとき、図書館実習の実習先には迷わず浦安図書館を選んだ わけです」というわけですね。また、この図書館でアルバイトもして、実習、それから就職

(5)

この文章のなかで鈴木さんが浦安市立中央図書館の 1 日を紹介されています。 

先日、同じような記事を私たちも作成しました。立教の図書館に『Your Library』という 色刷りのフリーペーパー広報紙があって、そこに図書館員の 1 日を紹介して載っています6)

ので、それを見ていただければと思います。 

立教大学の図書館といっても、毎日仕事をしているとどのような何から説明していいのか わからないし、私はどちらかというと特殊な仕事の担当になってしまっているので、今日ほ かの方の書かれたものを文献紹介的に引用させてもらいました。 

 

おわりに 

最後にちょっと、さきほど講演の前に中村先生が、日本図書館協会の国際交流委員会のこ とをお話されていましたけれども、私がこの仕事をはじめてからの 40 年間、立教大学の司 書課程の流れを見てきて思うことがあります。ひとつは中村先生が着任された頃からグロー バル化ということが立教で言われるようになり、グローバルという言葉の意味も変容してい るので難しいのですが、いろいろな先生が外国の研究者の方を招いたりしていらっしゃいま すが、ぜひ若いみなさんには日本の外に出て図書館を利用してみてほしいです。みなさんは スマホで十分だという方もいらっしゃるとは思いますが、ぜひ知らない外国へ行ったら、図 書館か書店に入ってほしいです。パスポートがあれば誰でも入館できますし、話せなくても 文字で情報を得られます。聞けば職員も親切に教えてくれます。知らない外国に行ったらま ず図書館とか書店を拠点にしてみてください。 

  大げさな言い方かもしれませんが、僕は図書館(学)の王道というのは、やはり、古文書 をはじめとする古い資料による歴史の記憶(通時性)、それから言語や文化を含めた地域性

(共時性)の二つだと思います。この二つはインターネット時代になっても、今は変化の時 代と言われていますが、図書館の特質として変わらずに有用性があると僕は思っています。

図書館の基礎だと思います。 

  それから人文学。みなさんは文学部が多いのでしょうか。うちの息子は理系で、本当に本 を読まないので残念ですし、人文科学は最近評価を下げているように言われますけど、よく 僕が言うのは、「月が地球の周りを回っていることや、地球が太陽の周りを回っていること に感動する気持ち、月が美しいと感じること。これらは人文学がなかったら意味を持たない。」

ということです。津波が起ころうが、日照りが起ころうが、自然科学的な事象が起こってい るだけです。人文学がなければ、悲しいと思ったり、嬉しいと思ったり、美しいと思ったり することはない。僕はむしろ、すべてのサイエンスは人文科学だと思っています。このよう な言葉を枕詞にして、まとめたいと思います。 

  図書館は今後もあり続けると思います。40 年前僕が入った頃から、図書館という組織は無 くなると言われていて、情報センターという名前に変えてしまったところもありますが、い まだに図書館という名称は消えていません。ぜひ実習でみなさん図書館の長所を学んでいた だければと思います。 

 

質疑応答 

(学生)40 年間勤められているということで、立教大学図書館の変化についてお話いただき ましたが、図書館の現場で勤められていて印象的な変化や、利用している学生の変化があり

(6)

図書館実習報告 

ましたら教えてください。 

(小泉)そうですね、変化…古い図書館にも新しい図書館にもどちらも良いところはありま すが、新しい図書館になって7)、よく“居場所”と言われますが、学生のみなさんによく利 用していただけるようになったと思います。しかも、ただ居るだけではなく、ポーズだけか もしれませんが(笑)、勉強しているのが、ひしひしと伝わっています。これは図書館員も ですが、見学にいらっしゃった方も同様におっしゃっていました。これは、利用してくれて いるみなさんと、図書館施設論の成果だと思います。 

  それから、変化という意味ではもちろんコンピュータは大きいです。最初に変わった時は、

まだ Windows 95 が入る前で、ラインモードのブラウザでしたが、それが入ってきた時は、

大きく変わりました。紙の目録を引く代わりにラインモードを目で追うようになって、それ で目が悪くなって、僕はその時から眼鏡をかけはじめました(笑)。コマンドに文字で、「Find  Subject  〇〇」、たとえば「立教大学」とか「図書館」とかですね、それを入れて検索した ら結果が出てくるだけなんですが、初めて操作した時は、国会図書館の書庫の中で空を飛ん でいるような気がしました。カードを探すのではなくて、音響カプラとかいうヘッドフォン みたいなものを電話につけて、音がピーとか鳴り出して……やめましょうね、こういう話(笑)

ここ(教員たち)だけで盛りあがっちゃってね。 

  これからも、こういう変化はあるでしょう。それは非常に楽しみですよね、喜びですし。 

(松山巌)締めるような話はできませんが、さっきの人文学と図書館という話で、連想ゲー ムのように思いついてしまったことがあります。私は、小泉さんと同じ[日本図書館協会の]

国際交流委員というのを 2010 年くらいからやっています。そこで、韓国担当というわけで はありませんが、たまたま韓国語がちょっとできたので、何度か韓国に行ったり、あちらか らゲストを呼んだりして、あちこち紹介して回ったりということをしています。 

  韓国の図書館界で数年前からずっと図書館界が主導してやっているキャンペーンで、日本 語に訳すと「道の上の図書館」というのがあるんですね。しかもこれは国から、日本でいう 文科省のようなところから補助金が出まして、全国の公共図書館で人文学に関係のあるイベ ントを行うというキャンペーンです。これは何をやってもいいんです。たとえば、作家さん を呼んで読書会をやるでもいいですし、あるいは、地元の歴史探訪で歴史研究家と一緒に街 を歩くでもいいですし、図書館主催であればいい、というキャンペーンをずっとやっていま す。良くも悪くも韓国というのは、一度動き出すと全体でワーッと盛り上がってというとこ ろがあると思いますので[日本の場合はまた状況が違うかもしれませんが]、日本ではあま りそういうキャンペーン的なものはないような気がします。韓国の「道の上の図書館」キャ ンペーンは、図書館がもつポテンシャルというか秘めている力の活かし方のひとつなのじゃ ないかと以前から思っています。 

  ただ、あえて言うと、さっき理系は云々という話がありましたが、僕は元・理系なので、

理系にもいろいろいますし、また文系でも本を読まない人もいます。人文科学を専門にされ ている方で、理系の本というのはもう宇宙人と一緒という感じで、はじめから拒絶するも何 も、存在すらも意識しないという方がときどき見受けられます。図書館というのはそうじゃ なくて、これはどの分野にも言えることだと思いますが、あまり狭く深くタコつぼ的、オタ ク的にならないことが、図書館の仕事に関わる人には望まれることじゃないかなと思います。

自分の趣味の部分はいくら深くしてもいいですけど、それとは別に、いつも授業でも言って いるような話なのですが、自分の趣味以外のところにも目を向けるか、向けなくても拒否は しないでほしいな、というようなことを日々思っております。 

(7)

思いました。 

(小泉)松山先生の仰ったことは本当にそうだと思います。人文学もタコつぼ的になっては いけないと思います。そこのところは訂正します。いろいろな分野の図書館がありますから、

ぜひ実習を楽しんできてください。人文学もまた、太陽が地球を回っていると思いながら、

俳句を詠んでいてはいけないと思います。 

 

       

1)立教大学学校・社会教育講座は

1967

年に発足した(宮部賴子「巻頭言」『St. Paul’s Librarian』第

22

号,立教大学  学校・社会教育講座司書課程,2007,p. 1.)。よって

1978

年当時は発足

11

年 目であった。2017年でちょうど

50

年が経過した。

2)

1981

年に廃止されている。

3)佐野友彦「なんのために図書館実習をするのか」『St. Paul’s Librarian』第

5

号,立教大学学校・社 会教育講座司書課程,1990,p. 1-4.

4)座間直壯「立教大学司書課程で『図書館実習』を担当して」『St. Paul’s Librarian』第

22

号,立教 大学学校・社会教育講座司書課程,2007,p. 28-30. 引用は

p. 28。

5)鈴木均「図書館実習の意義」『St. Paul’s Librarian』第

30

号,立教大学学校・社会教育講座司書課 程,2015,p. 33-44. 引用は

p. 34。

6)『Your Library』第

40

号,立教大学図書館,2017.7.

7)池袋図書館は,それまでキャンパスに点在していた図書館を統合し,

2012

11

月に全面開館した。

参照

関連したドキュメント

保健学類図書室 School of Health Science Library 【鶴間キャンパス】. 平成12年4月移転開館 338㎡

少子化と独立行政法人化という二つのうね りが,今,大学に大きな変革を迫ってきてい

 角間キャンパス南地区に建 設が進められていた自然科学 系図書館と南福利施設が2月 いっぱいで完成し,4月(一

 当図書室は、専門図書館として数学、応用数学、計算機科学、理論物理学の分野の文

キャンパスの軸線とな るよう設計した。時計台 は永きにわたり図書館 として使 用され、学 生 の勉学の場となってい たが、9 7 年の新 大

 大学図書館では、教育・研究・学習をサポートする図書・資料の提供に加えて、この数年にわ

・「中学生の職場体験学習」は、市内 2 中学 から 7 名の依頼があり、 図書館の仕事を理 解、体験し働くことの意義を習得して頂い た。

British Library, The National Archives (UK), Science Museum Library (London), Museum of Science and Industry, Victoria and Albert Museum, The National Portrait Gallery,