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Vol.7 , No.2(1959)022竹内 成行「信心について」

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Academic year: 2021

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(1)

信 心 に つ い て ( 竹 内 ) 一 四 六

佛 教 に 於 け る 信 の 立 場 は 直 接 佛 教 に 關 す る 本 質 的 意 義 を 明 す も の で 古 來 よ り 佛 教 の 重 要 な 要 素 と な つ て い る。 然 し 現 今 信 の 位 置 を 見 る 時、 信 は あ ま り に も 常 識 的 な 俗 語 と な り、 改 め て か え り 見 ら れ な い の で あ る。 此 の 傾 向 は 古 來 の 信 の 重 要 性 に 比 し て 現 今 は そ の 存 在 を さ ほ ど 必 要 と し な い 事 を 物 語 る も の で あ る。 現 代 ﹁ 信 心 ﹂ に 關 し て の 一 般 的 な 概 念 は、 信 心 と は 神 佛 を 信 じ き っ て 疑 わ な い 心、 或 は ( 1)

る。

が、

( 2) 考 え も あ る。 信 心 の 一 慮 の 概 念 は あ る も、, 時 代 と か、 思 想 に 依 つ て そ の 形 態 や 意 義 が 異 な る の で あ る。 ち な み に 梵 本 に 於 け る 信 心 を 見 る に S r a d d h a と か a d h im u k ti の 語 が あ る。 シ ュ ラ ッ ダ、 の 課 語 は ﹁ 信 ﹂ の 外 に 信 受、 漂 心 等 を 意 味 し、 ア デ ィ ム ク テ イ は 勝 解 又 は ( 3) 信 解 等 と 解 し て い る。 い ず れ の 場 合 も 心 を 中 心 問 題 と し て 云 う の で あ り、 普 通 信 は 心 の 屡 性 と し て 取 扱 う の で あ る。 こ れ を 印 度 に あ つ て は 日 常 生 活 に 於 て 人 間 交 渉 の 信 頼 を シ ュ ラ ッ ダ を 以 て 言 表 は し ( 4) て い る の で あ る。 又、 信 に 關 し て 古 い ガ ー タ を 見 る と、 し ば し ば 巧 み な 屡 喩 を 以 て 表 わ さ れ て い る。 即 ち、 信 に よ り て 暴 流 を 渡 る ⋮⋮精 進 に よ り て 苦 を 越 度 す。 慧 に 依 り て 遍 漂 と な る。 と、 或 は 此 の 世 に て 信 が 人 の 最 勝 の 賊 な り ⋮⋮眞 實 が 味 中 の 美 味 な り。 慧 の 生 活 を 最 勝 の 生 活 と い う。 と、 此 等 の ガ タ は 難 阿 含 等 に 叉 は 後 ( 5) の 阿 昆 達 摩 論 書 に も 現 わ れ て い る。 か よ う に 初 期 の 信 は 智 慧 と 相 並 ん で 示 し て あ り、 信 は 佛 教 入 門 の 條 件 の 意 に 解 す る 事 が 出 來 る。 さ て、 大 乗 に 於 て 代 表 さ れ る も の に 起 信 論 が あ る 8 論 に 依 れ ば 未 だ 大 定 聚 に 入 ら ざ る 衆 生 に 依 る が 故 に 修 行 信 心 を 読 く、 と 示 し て い る。 そ の 内 容 は、 一 に は 根 本 を 信 ず る な り、 所 謂 る 眞 如 の 法 を 樂 念 す る が 故 に。 二 に は 無 量 功 徳 あ り と 信 ず る な り。 三 に は 法 に 大 利 盆 あ り と 信 ず る な り。 四 に は 僧 能 く 正 し く 自 利 利 他 を 修 行 す と 信 ( 6) ず る な り、 以 上 起 信 論 に 於 け る 信 に 就 い て 見 る に、 論 は 梵 本 が 無 く シ ュ ラ ッ ダ か ア デ ィ ム ク テ ィ の い ず れ の 繹 語 か は 到 然 と し な い ( 7) が、 軍 に 信 と 云 う 場 合 シ ュ ラ ッ ダ ー を 用 い て い る 檬 に 思 わ れ る。 起 信 論 に 於 け る 信 の 意 義 を 一 言 に し て 云 う な ら ば、 宗 教 的 實 践 方 面 を 問 題 に し て い て、 悟 り へ の 活 動 力 を 示 す も の で あ る と 云 え る の で あ る。 次 に 大 論 に 於 け る 信 の 取 扱 い を 見 て み る。 起 信 論 で は 直 接 信 と 智 慧 と の 問 題 に ふ れ て い な い が、 大 論 は 信 と 智 を 聞 題 に す る の 佛 法 の 大 海 は 信 を 能 入 と 爲 し、 智 を 態 度 と な す。 と 或 は、 佛 法 申 信 力 を 初 と 爲 す、 信 力 は 能 く 入 る も 布 施、 持 戒 暉 定、 轡 慧 等 の 能 く ( 8)

ず。

る。

て、

合、

し、

る。

り、

で、

ば、

る。

も、

り、

(2)

-541-教 か ら の 通 念 な の で あ る。 然 る に 信 心 は い つ で も 智 慧 に 依 っ て そ の 姿 を 浴 し て い る か と 云 う に、 そ う で は な く、 信 は 常 に 人 々 の 宗 教 的 要 請 に よ り、 理 論 と 實 践 的 意 義 を 強 く 包 含 さ す 方 向 へ と 展 開 し て 行 く の で あ る。 是 れ が シ ナ よ り 日 本 へ と 縫 承 し た 佛 教 の 必 然 的 動 行 な の で あ る。 此 で 特 に 鎌 倉 バ ク ハ ナ リ 時 代 の 信 を 見 る に、 理 深 解 微 と 云 う 他 力 教 の 思 想 に 依 っ て 信 の 位 置 は 極 度 に 高 ま り、 そ れ に 末 法 思 想 が 拍 車 を 加 え 途 に 信 は 智 慧 を 包 含 さ す 方 向 へ と 進 展 し て 行 く の で あ る。 今 日 蓮 に よ れ ば、 法 華 経 の 心 を 知 り、 止 観 の 坐 暉 を し 一 念 三 千、 十 境、 十 乗 の 観 法 を こ ら さ ん 人 は 實 に 印 身 成 佛 し、 解 を 開 く 事 も あ る べ し。 其 外 に 法 華 経 の 心 も し ら ず 無 智 に し て ひ ら ( 但 ) 信 心 の 人 ( 9) は 澤 土 に 必 ず 生 ず べ し と 見 え た り と。 日 蓮 の 本 畳 思 想 の 立 場 か ら す れ ば、 當 然 無 智 の 者 も 印 身 成 佛 す る の で ﹃ 漂 土 ﹄ に 必 ず 生 ず と 云 う 様 な 苦 る し い 読 明 を し な く と も 良 い は ず で あ る。 此 の 理 由 を 考 え る に、 當 時 の 風 潮 と し て 智 慧 を 必 ず し も 悟 り の 第 一 義 と す る 事 な く、 智 の 代 り に 信 を 以 て あ て は め た の で、 日 蓮 に あ つ て も、 悟 る 方 法 を 聖 道 門 に 畳 き そ れ に 時 代 思 想 と し て ク ロ ズ ア ッ プ さ れ た 信 心 爲 本 の 考 え を 能 入 さ せ た の で あ り、 こ の 邊 が 読 賜 す る 際 困 難 を 極 め る の で あ る。 從 つ て 前 述 の 如 く 一 見 矛 盾 を 感 じ る 場 合 も あ る が、 結 論 と ( 10)

は、

す。

し、

が、

い。

也。

( 12)

也。

る。

せ、

る。

( 14)

で、

る。

合、

す。

く、

際、

て、

ら、

ば、

は、

く、

る。

る。

で、

し、

し、

し、

る。

し、

し、

る。

る。

り、

で、

( 14) 質 が 無 い と 云 う 學 者 が い る が、 根 本 的 に は 全 く あ た つ て い な い 見 解 で あ る。 以 上 信 心 に つ い て ほ ん の 一 噺 面 を な が め た に 過 ぎ な い が、 信 心 は た え ず 人 々 の 宗 教 的 要 請 に 答 え 乍 ら 歩 み 綾 け、 そ の 姿 は 常 に 攣 化 し て 止 る 庭 を 見 な い の で あ る。 現 代 の 信 は 後 の 機 會 に ゆ ず る。 1 辮 海、 字 源、 廣 譜 苑、 廣 辞 林。 2 岩 波 哲 學 小 僻 典 七 二 四。 3 哲 學 小 論 集 一 三 六、 川 田 態 太 郎 著。 4 倫 理 學 上、 四 六 一、 可 和 辻 哲 郎 著。 5 北 大 丈 學 部 紀 要、 二 〇 三、 藤 田 宏 達 著。 6 起 信 論 義 記 一 九 丁、 山 本 微 識 著。 7 丈 化 第 十 八 巻 第 三 號、 馬 鳴 の 信、 二 〇 三-六、 金 倉 圓 照 著。 8 正、 二 五、 六 三、 上。 9 定 本 日 蓮 聖 人 御 遺 丈 法 ケ 初 心 成 佛 抄 一 四 二 六。 10 法 ケ 題 目 抄 三 九 二。 11 持 妙 法 華 問 答 抄 二 七 九。 12 四 信 五 品 抄 一 二 九 六。 13 総 勘 丈 一 六 九 六。 14 中 世 佛 教 思 想 史 研 究、 家 永 三 郎 著。 信 心 に つ い て ( 竹 内 ) 一 四 七

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