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視床下部性肥満マウスの肝における糖新生に関する研究

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(1)

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食物学会 誌 ・第35号

視 床 下 部 性 肥 満 マ ウス の肝 に お け る

糖 新 生 に 関 す る研 究

伊 藤 淑 子*,越

智 紀 代 子*,説

武*

Study

on Hepatic

Gluconeogenesis

in Hypothalamic

Obese

Mice,

Particularly

Viewed

from

Activities

of the

Key

Enzymes

and

Secretions

of

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Hormones

Yoshiko

Ito, Kiyoko

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Takeshi

Setsuda

Gold thioglucose(GT)を 投 与 した マ ウ ス で は,視 床 下 部 の 腹 内 側 核(VMH)が 破 壊 さ れ て 調 節 性 肥 満1) を 引 き 起 こ す こ と が 知 ら れ て い る 。 先 に 我 々2)は,GTの 中 毒 量 をdd系 雄 マ ウ ス の 腹 腔 内 に1回 投 与 し て 発 症 さ せ た 肥 満 マ ウ ス の 内,と く に 体 重 増 加 の 顕 著 な 肥 満 マ ゥ ス で は,高 血 糖 と尿 糖 が, 又 肝 で はGlycogenの 増 加 が 認 め ら れ,更 に 又A・ Janine添 加 メ ジ ウ ム 中 でincubateし た 肝 か ら のGlucose 放 出 量 の 増 加,血 清Corticosterone値 の 増 加,及 び 膵 ラ 氏 島 のm細 胞 の 増 加 を 認 め た こ と な ど か ら,GT肥 満 マ ゥ ス の 肝 で は 糖 新 生 機 序 の 充 進 が 推 定 さ れ た 。 そ こ で 今 回 吾 々 は,GT肥 満 マ ウ ス の 肝 に お け る糖 新 生 機 序 の 充 進 を 究 明 す る 目 的 で,GT投 与 後7,14, 20,40週 目 の 肥 満 マ ウ ス の 肝 に つ い て,糖 新 生 鍵 酵 素 のPhosphoenolpyruvate carboxykinase(PEPCK), Fructose-1,6-diphosphatase(FDPase) と Glucose-6-phosphatase(G6Pase),及 び 解 糖 系 鍵 酵 素 の .Pyru・ vate k inase(PK)の 活 性 を 測 定 す る と共 に,肝 に お け るAlanineか ら の 糖 生 成 量 の 測 定,血 清 中 のGlucose, FFA, Insulin, Corticosterone値 の 測 定,及 び 膵

ラ 氏 島 の 大 き さ(断 面 積)とa細 胞 数 の 測 定 を 行 っ た 。

な お,肥 満 マ ウ ス の 肝 に お け る 糖 新 生 に 及 ぼ す 絶 食 の 影 響 を 知 る た あ に,GT肥 満 マ ウ ス を3日 間 絶 食 さ

*栄 養 生 理 学 研 究 室(Laboratory o£Nutritional Physiology, Department of Food Science, Kyoto Women's University, Higashiyama-ku, Kyoto 605,Japan) せ た 後 の 肝 のPEPCK及 びFDPaseの 活 性 の変 化 を 調 べ た 。

実験材料ならびに実験方法

GT(Sigma社)の 中 毒 量(1mg/9体 重)をdd系 雄 マ ウ ス の 腹 腔 内 に1回 注 射 し て 肥 満 を 発 症 さ せ た マ ウ ス を 実 験 に 用 い た 。 又,20週 と40週 のGT肥 満 マ ウ ス に つ い て 絶 食 を3日 間 行 っ た 。 飼 育 方 法 及 び 肝 と 副 睾 脂 のincubation実 験 は,吾 々3)の 方 法 に 準 じて 行 な い,肝 で は90分 間,又 副 睾 脂 で は30分 間in VltTOでincubateし た 。 マ ウ ス を 断 頭 し て 放 血 し た 後,肝 を 摘 出 し て 肝 の 各 酵 素 の 活 性 を 測 定 し た4)・7)・9)10)。 肝 のPEPCK活 性 の 測 定:肝19当 り0.25MSucrose 7mlを 肝 に 加 え て ホ モ ジ ナ イ ズ し た 後 ,12,000×9で 遠 心 分 離 し て 得 た 上 澄 液 に つ い て 測 定 し た4)。 予 め 塩 酸 でpHを8.0に 調 整 し た 反 応 液(2.4μmoles ITP, 4.0オmoles KF,3.6オmoles MgSO4,0.54オmoles KCI , 0・25μmoles Dithiothreitol,15μmoles Tris)0.3mlを 試 験 管 に 取 り.こ れ に 上 記 の 上 澄 液O.1mlを 加 え て 0.4mlと し ,30℃ で 約5分 間 加 温 し た 後.基 質 と し て 2・4μmolesの オ キ ザ ロ 酢 酸0.2m1を こ れ に 加 え て, 30℃ で15分 間incubateし た 後,た だ ち にKBH4を 約 1mg加 え て 反 応 を 停 止 し ,生 成 さ れ たPEPを 定 量 し た5)。 即 ち,反 応 を 停 止 し た 後,Trisを 加 え て 中 和 し た も の0・1mlに 混 合 液(30mM KH2PO4, IOmM KCI, 5mM MgCl2,0.1mM NADH,1.OmM ADP;KOHを 加 え てpHを7.0に 調 整 し た も の)3.Omlを 加 え,次 に 乳 酸 脱 水 素 酵 素(LDH)10∼20μ1を 加 え,340nmで

(2)

昭和55年11月(1980年〉

加え, 340nmで測定した時の吸光度の読みの差をもっ て, PEP量と見倣した6)0PEPCK活性を nmolesof

PEP jminjmg of proteinで表わした。 肝のFDPase活性の測定:肝19当り Sodiumlactate buffer (pH 3.5) 4.0mlを肝に加えて,ホモジナイズ した後, 1,OOOxgで遠心分離して得た上澄液をpH4.5 に調整した後, 38'Cの温浴中で8時間 incubateした。 これを氷冷してどCとした後, 2,500Xgで60分間遠心 し,得られた上澄液を測定に用いた。即ち,予め加温 した反応液 (50mMFDP O.lml, 50mM Boric acid -NaOH buffer (pH 9.5) O.4ml

50mM MgS04 O.lml

5mM MnC120.1ml)に,上述の肝の上澄液0.2mlと50 m M Cysteinc (pH 9.5) O.lmlを加えて37'Cで15分間 incubateした後.O.lM TCA 1.0mlを加えて反応を停 止した7)。生成されたりン酸をモリブデン酸と反応さ せて生じたリンモリプデン酸を還元して,モリプデン ブルーとし.660nmで比色定量的した。 FDPaseの活 性を μmolesof phosphatejminjmg of proteinで表 わした。 肝のG6Pase活性の測定:肝19当り 0.25MSucrose 9mlを肝に加えてホモジナイズした後,予め 37'Cに 加温した反応液 (83mMG6P O.lml, O.lM Maleic acid-NaOH buffer (pH 6.5) 0.3ml)を添加して3TC で15分間 incubateした後.10,%TCA1mlを加えて反 応を停止した9)。生成されたリン酸を上述の FDPase の測定に準じて定量した。G6Paseの活性を μmoles of phosphatejminjg of liverで表わした。 肝のPK活性の測定:肝19当り 4倍量の抽出液 (0.1 M KCl, 5mM MgS04, O.lM EDTA, 50mM Tris buf帽 fer;HClでpHを7.4に合わせる)を肝に加えてホモ ジナイズした後.100,OOOxgで1時間超遠心して得た 上澄液に.それぞれ混合液 (0.5%BSA, O.lM KCI,

5mM MgC12, 50mM Tris buffer ; HCIでpHを7.4に 調整)0.5mlを一緒に加えて,3TCで15分間incubate した後, 0.012% 2,4ージニトロフェニルヒドラジンを 含む 2NHCl溶液1.5mlを加えて反応を停止した。 生成されたピルビン酸をヒドラジンと反応させて生ず るヒドラゾンを510nmで比色定量10)した。 PKの活性 を μmolesof pyruvatejminjmg of proteinで表わし fこ。 肝におけるAlanineからのGlucose生成量の測定は, 前回2)の方法に従い.KRB buffer (pH 7.4)に3mM Acetateと0.2%BSAを加えたものの中で肝切片を 60分間 preincubateした後,mediumにAlanine(3mgj ml)を添加して肝切片を30分間incubateして,Alanine

-11-添加の前後における Glucose放出量の差を求め,肝 19当りの mgで表わした。 Glucose, Glycogenの測定は,前回の方法2)に従った。 FFAはItaya

Ji改良法11)に従って測定した。血清の Corticosterone値の測定は, Zenkerの改良法12)でCorti. costeroneを抽出した後,島津製の鐙光分光々度計を 用いて,蛍光を測定した。血清の InsulinはRIA-kit にて測定した。 勝ラ氏島のα一細胞をGrimelius法13)により染色し, ラ氏島の断面積を測定すると共に,ラ氏島の平均αー細 胞数を測定14)した。

実 験 成 績

1) GT肥満マウスの体重及び糖尿 (Fig. 1) GT注射直後は摂食量が著減し,体重が一時減少し たが. 2週以後は体重が直線的に著明な増加を示した。 しかし, 8週以後は体重の増加が緩慢となり.20週後 には体重が最高値に達し,その後は減少傾向を示した。 GT投与後14週から20週にかけて糖尿が2匹のマウ スに認められたが.40週後には消失した。 2) GT肥満マウスの血清中の糖, FF A, Insulin及

Cortieosterone値 (Fig.2) Table 1 Average area of pancreatic islet in the crOss section and average number of αーcells per islet in the control and GT obese mice.

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The area of each islet in the cross section was measured by using Abbe's apparatus and a planimeter, to obtain average area of pancreatic islet in the cross section. Each value is expressed as the mean土 S.E.. (n=5)

(3)

- 12-体重増加が著しい

7

週と

1

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週の肥満マウスでは.血 糖及び血清中の Insulin及びCorticosterone値が高値 を.又血清中の FFA値は低値を示した0'体重増加が 停滞した20週の肥満マウスでは.血糖と血清中の In -sulin佑が低値を,又血清中のIFFA値が高値を示した。 体重の減少傾向を認めた40週の肥満マウスでは,血清 中の FFA値が減少した。 3) GT肥満マウスの騨ラ氏島の断面積とラ氏島1個 当りの

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細胞数 (Table.1) GT注射後7週では,捧ラ氏島の断面積が対照に比

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食物学会誌・第35号 し大きく,

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細胞数が増加し,又体重増加が停滞した 20週では,ラ氏島の断面積は対照と差がないが,

α

ー細 胞数が増加した。 40週では.ラ氏島の断面積が再び増 加し.ル細胞数が反対に減少した。 4) GT肥満マウスの肝の ineubation成 績(90分値) (Fig. 3) 肝の Glucoseuptakeは体重増加の著しい7週と

1

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週では著変がなく.体重増加が停滞した20週及び体重 の減少傾向を示した40週では増加した。 肝の Glucosereleaseは7週で増加,

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週で減少し

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Fig. 1 Increment of body weight in the control and GT obese mice. Weeks indicate the time course after GT injection.

(4)

昭和55年11月(1980年〉 たが.20週と40週では対照との間に差がなかった。 肝の Glycogen量は, 7週と40週では対照との聞に 差がなく, 14週では増加傾向を示し, 20週では著明に 増加したD 肝の FFA量は. 7週と20週で増加したが, 14週で は対照との問に差がなく, 40週では減少した。 5) GT肥満マウスの副畢指の incubation成 績 (30 分値〉 副宰脂の Glucoseuptakeは,各週とも対照を上同

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- 13ー ったが.20週では対照との差が少なかった。副皐脂の 璽量は各週とも対照を上回ったが.20週では対照との 差が少なか勺た。 副宰脂の FFAreleaseは7. 14及び40週ともに減 少したが.20週では増加した。 6) GT肥 満 マ ウ ス の 肝 に お け る Alanineからの Glucose生成量 (30分値) (Fig. 4) 肝切片を Alanineと共に invitroで incubateする と, Glucoseの生成量は7週と14週では滅少傾向を示

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Fig 2 The time course of serum levels of gl ucose

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corticosterone and insulin in the control and GT obese mIce. Weeks indicate the time course after GT iniection.

(5)

-14ー 食物学会誌・第

3

5

号 したが.20週では有意に増加し.40週では対照との聞 に差がなかった。 a 7) GT肥満マウスの肝における PEPCK,.FDPase, G6Pase及び PKの活性 (Fig.5) GT肥満マウスでは,肝の PEPCK活性が 7• 14, 40週ともに対照との聞に差がなかったが.20週では有 意に増加した。 肝の G6Pase活性は,

7

週と14週では対照との聞に 差がなかったが, 20週では有意に増加し.40週では有 意に減少を示した。 肝のFDPase活性は

7•

14週で増加.又は増加傾向 を示じたが.20, 40週では対照との間Ir差がなかった。 肝のPK活性は.7週で有意の減少を,又14週と20 週で減少傾向を示したが.40週では有意に増加した。 8) GT肥満マウス (20週と40週)の肝の糖代謝に及 ぼす絶食の影響 i ) 血清中の糖. Corticosterone及び Insulin値 (Fig. 6) 齢 、 ? ‘i 下三て.'

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Fig.3 Glucose uptake by and glucose release~from~,1 iver slices incubated, as well as its contents of FF A and glycogen in the control and GT obese mice. Weeks indicate the time course after GT injection.

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年) 20週の GT肥満マウスでは,絶食後の血糖と血清 Corticosterone値の増加が対照に比べて著明である が.血清 Insulin値の減少の程度がより強い。文.

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週のGT肥満マウスでは,絶食lとより血糖には変化が なく,血清 Corticosterone値が増加した。 ii) 肝の PEPCK及び FDPaseの活性ならびに Alanineからの糖生成量 (Fig.7) 対照マウスでは 3日間の絶食により,肝の PEPCK とFDPaseの活性,及びAlanineからの糖生成量が著 明に増加したが.20週の GT肥満マウスの肝では, PEPCKとFDPaseの活性ならびに Alanineからの糖 生成量がいずれも 3日聞の絶食により殆ど変化しなか っfこ。

4

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週のGT肥満マウスを

3

日間絶食させた場合にも, これと略々同様の結果が得られた。

GT肥満マウスを体重増加の程度から,肥満の初期, 進行期,固定期及び退行期の4期に分ち考察する。 肥満の初期と進行期 (GT投与後7と14週)では, 1日の摂食量が増加し,体重が急速かっ顕著に増加し た。肝,面iJ宰脂,障などの臓器の重量も増加し,特ζl 副宰脂の湿重量が対照の約

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倍に増加し,副皐脂の incubation実験では, TG合成の瓦進が示唆された。 又,血清の Insulin値が高く.FFA値が低いことは, U.J

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- 15-脂肪組織における TG合成の冗進と関係がある様に思 われる。 肝の incubation成 績 で は . 肥 満 の 初 期 で は 肝 の Glucose releaseとFFA量が増加したが,肥満の進行 期では,肝の Glucosereleaseが減少し.TGとGly -cogen量が増加し,肝における TG合成の冗進が考え られた。 肝の PEPCKとG6Paseの活性が減少の傾向を示 したことは,肝における解糖系の促進,ひいてはFFA 合成の促進を示唆する。肝の FDPase活 性 の 増 加 な いし増加傾向は.糖新生の克進よりはむしろ.FFA の合成に必要な五炭糖リン酸回路におけるNADPHの 合成の促進15),16)を示唆する。血清Insulin値の著増に も拘らず.PK活性が減少傾向を示したのは恐らく, FDPase活性が著明に増加した結果であろうと思われ る。 障では,ラ氏島の断面積が対照に比べて増加し. JIU 清 Insulin値が高い乙とから.醇ラ氏島の β-細胞か らの Insulin分泌の克進が窺われた。又,ラ氏島の断 面積当りの

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ー細胞数が対照の約 5倍に増加し,

α-

細 胞からの Glucagon分泌の克進が推察された。これは 恐らく Insulinの過剰分泌に括抗してGlucagon分泌 が克進したためであろうと思われる。 肥満の初期では,過食による過血糖が肝或は副皐脂 における FFA或は TG合成の活発化と関係があると

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Fig 4 Glucose release from liver slices incubated with alanine in the control and GT obese mice. Weeks indicate the time course after GT injection.

(7)

食物学会誌・第35号 冗進の程度が強い様に思われた。この時期には.血清 の Corticosterone値及び搾ラ氏烏の αー細胞の増加が, ITll清 Insulin値の増加と共存していたことから考える と,肝では糖新生機序が元進する以前の過渡期的段階 にあったものと思われる。 - 16-思われるが,これには恐らく GT注射により視床下部 のVMHが障害されて Insulinの過剰分泌19),20)を来 した乙とが影響していると思われる。この時期の肝で は,まだ糖新生機r]';:の克進は児られなかった。 肥満の進行期では,脂肪組織におけるTG合成が活 発で,肝では FFA合成よりも Glycogen合成の方が 肥満の固定期 (GT注射後20週)では,マウスの体

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The time course of hepatic activities of PEPCK

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G6Pase and PK in the control and GT obese mice. Weeks indicate the time course after GT injection.

(8)

--17 -を促進するが,又 c-AMPを介してリパーゼ活性を抑 制する15)と言われる。_X, Corticosteroneは Glycerol のヱステル化を妨げ. TGの合成を妨げる15)ことが知 られている。 この時期の肥満マウスの肝では. PEPCK の活性が 増加し. PKの活性が誠少傾向を示したことから.肝 では糖新生が元進したものと考えられる。又,肝にお ける Alanineからの糖生成が著明に増加したことは, 恐らく Alanine aminotransferaseの活性が元進して 重増加が停滞し. 1日の摂食量も誠少し,副皐脂の湿 重量は肥満の進行期に比べて減少し,副宰脂からの FFAの放出量が増加したととから,日JI宰脂ではTGの 分解が進み,血中に放出された FFAが末梢組織でヂJI nJされたと思われる。事実, JlIl中では FFAが増加し た。 T G分解が元進した原因としては,血清の Insulin 値が減少し. Corticosterone値が増加したことから, 恐らくは副皐脂でのホノレモン感受性リパーゼの活性 化15)が考えられる。 Insulinは細胞の Glucoseuptake 昭和55年11月 (1980年〉

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The effect of fasting on serum levels of glucose, insulin and corticosterone in the control and GT obese mice at 20 weeks after GT injection.

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The effect of fasting on hepatic PEPCK and FDPase activities, as well as hepatic gluco・ neogenesis from alanine in the control and GT obese rnice at 20 weeks after GT injection.

(9)

18

-Alanineからの糖新生が促進した乙とを示唆する。 又,肝では FFAが増加したが.FDPaseの活性に 変化がなかったことから,肝の FFAの増加はむしろ 脂肪組織からの FFAの動員が増加した結果と思われ る。 FFA或は, Acetyl CoA,又は Citrate!r:は解糖系 鍵酵素の活性を阻害する17,1のことが知られており,従 って乙の時期の肝における糖新生の冗進の一因として, 脂肪組織におけるTG分解の促進が考えられる。 この時期の肥満マウスでは,捧ラ氏島が小さくて, 数も減少したが. ラ氏島1個当りの αー細胞の数が多 かった乙とから.αー細胞からの Glucagonの分泌が相 対的に増加したものと推察される。 以上より,肥満の固定期では,マウスの体重増加が 停滞し.それまではInsulinの過剰分泌により TG合 成が優先的であったものが, Insulin分泌の減少やCor -ticosteroneの分泌増加,或はGlucagon分泌の相対的 増加などによってTGや蛋白質の分解が促進してFFA, 或はアミノ酸などの代謝産物が増加した結果,肝では 糖新生が元進したものと思われる。 肥満の退行期 (GT注射後

4

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週〉では,わずかである が体重減少の傾向が認められた。副皐脂からの FFA の放出量が減少したことは, TG合成が再び活発化し たことを示唆する。事実.血清中の FFA植が低値を 示した。肥満の国定期では,血清 Insulin値が一時的 に減少したが,肥満の退行期では再び対照の値に近く まで増加した乙とから.脂肪組織ではTGの合成が促 進した乙とを示唆する。 この時期の肝では, Glucose uptakeの増加と Gly -cogenとFFA含有量の減少を認め,又.FDPase, G6Pase及び PEPCKの活性の減少,或は減少傾向と PKの活性の増加を認めた乙とから.肝では糖新生が 低下し,反対に解糖が活発化したことが考えられる。 乙れには少なくとも Insulin分泌の増加と Glucagon 分泌の減少が関係、している様に思われる。 肥満の固定期では,恐らく Insulinの過剰分泌の結 果,ラ氏島が疲労して縮少する傾向を示したが,肥満 の退行期では, ラ氏島が再び肥大の傾向を示し, In -sulin分泌が増加すると共に,ラ氏島の

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細胞が減少 して Glucagon分泌の低下が示唆された。 なお.肥満の退行期では.体内の脂肪組織の重量が 増加傾向を示したにもかかわらず,マウスの体重が減 少傾向を示したのは,恐らく肥満の固定期に肝の糖新 生が克進した結果,体内で蛋白質の消耗を来たしたた めではなかろうかと推察される。 以上要するに,肥満の退行期では血清 Insulin値が 食物学会誌・第

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号 増加し,脂肪組織でのTG合成が活発化すると同時に. 肝では糖新生が低下して解糖が促進したことが考えら れる。 20週のGT肥満マウスを 3日間絶食させて.肝の糖 代謝lと及ぼす絶食の影響を調べた結果.正常マウスで は3日間の絶食lとより,肝の糖新生機序が冗進したの に対して, GT肥満マウスでは肝の糖新生機序には殆 ど影響が認められなかった。 40週のGT肥満マウスを 3日間絶食させた場合も,これとほぼ同様の結果が得 られた。 Harper15)によれば,絶食状態ではまず,肝の Gly -cogen分解が元進して血糖値を正常に維持しようとす るが.Glycogonが枯渇すると脂肪組織からの FFA, 或は筋肉からのアミノ酸から Glucoseを生成してエネ ノレギー源に利用する。しかし GT肥満マウスに比べ て脂肪組織の少ない正常マウスの絶食では.肝におけ るアミノ酸からの糖新生に依存する率が高し従って 肝の糖新生機序が元進したと推察される。反対に,脂 肪組織が著しく多いGT肥満マウスの絶食では,恐ら くCorticosterone分泌の増加の結果,脂肪分解が克進 して FFAが増加し,乙れがエネルギー源に利用され るために糖新生の依存率が低く,肝では糖新生鍵酵素 の生合成が促進しなかったものと推察される。

結 論

GT肥満マウスの糖代謝異常を.特に肝の糖新生 の面から究明する目的で,肝の糖新生鍵酵素である

PEPCK, FDPase及びG6Paseの活性,ならびに解糖 系鍵酵素の PKの活性を測定し,又 invitroで肝を incubateして Alanineからの Glucose生成量を測定 すると共に,肝と副宰脂の incubation実験を行なっ た。更に,糖新生と関係のあるホルモンの分泌を知る ために,血清中の InsulinとCorticosterone値を測定 すると共に,陣ラ氏島の α-細胞を組織学的に調べて Glucagon分泌の異常を窺った。 1) 肥満の初期及び進行期(GT注射後 7及び14週) の肥満マウスでは,過食と高血糖を伴い,体重が著し く増加し,肝及び副皐脂では Glucoseからの F下A, 又は TG合成が活発化する。それには少なくとも GT 注射による視床下部の VMH障害に因る Insulinの過 剰分泌が影響している様に思われた。しかし.この時 期の肝では,未だ糖新生の克進はみられなかった。 2) 肥満の固定期(GT注射後20週〉の肥満マウスで は,体重の増加が停滞し,血清Insulin値が低下したが, CorticosteroneやGlucagonの分泌がInsulin分泌に対

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昭和55年11月(1980年) して相対的に増加した結果,肝の PEPCKとG6Pase活 性の増加及び PK活性の減少傾向を認め.又 Alanine からの糖生成量も増加したO副宰脂では TGの分解が 促進し,叉,肝では FFAが増加すると共に糖新生が 促進することが立証された。 3) 肥満の退行期 (GT注射後40週〉の肥満マウスで は,血清の Insulin値が再び増加し.副皐脂では TG の合成が促進する傾向を示し,文肝では糖新生が低下 して解糖が活発化する傾向を認めた。 4) GT肥満マウス (GT注射後20週と 40週)を3日間 絶食させると,肝の糖新生鍵酵素の PEPCKとFDPase の活性は,糖新生の有,無にかかわらず,殆ど影響を 受けなかったが,正常マウスの肝では両酵素の活性が 著しく増加した。 本論文の概要は,第 6四国際内分泌学会(メノレポル γ, 1980年 2月〉で発表した。 謝 辞 Insulinの測定を担当して頂いた京都専売病院の森 本昌親先生,ならびに玉田妙子氏に厚く感謝します。

参 考 文 献

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Fig 2 The t i m e   c o u r s e   o f   serum l e v e l s   o f   g l  u c o s e ,  FF  A ,  c o r t i c o s t e r o n e   and  i n s u l i n  i n  t h e  c o n t r o l  and GT  o b e s e  m I c e
Fig 4 G l u c o s e  r e l e a s e  from l i v e r   s l i c e s   i n c u b a t e d  with a l a n i n e  i n  t h e  c o n t r o l  and GT  o b e s e   m i c e

参照

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