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運動方程式の基本 ニュートンの第一法則 力 = 質量 加速度 大気や海洋に加わる力を, 思いつくだけ挙げてみよう 重力, 圧力傾度力, コリオリ力, 摩擦力 水平方向に働く力に下線をつけよう. したがって水平方向の運動方程式は 質量 水平加速度 = コリオリ力 + 圧力傾度力 + 摩擦力 流体の運動

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Academic year: 2021

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(1)

2. 浅水方程式系の導出

見延 庄士郎(海洋気候物理学研究室) 1 • 二つの変数の関係の強さを表す統計量は 相関 であり,最小 値は-1, 最大値は+1, 無相関は 0 である. • 過去数十年間の(気象庁は30年)月ごとの平均値を,月平均 データの 平年値 または 気候値 という. • 観測値から平年値を引いたものが,偏差 である. • 連続するn個のデータを平均して,中央のデータの値に置き換 える平滑化が,移動平均 である. • 異なる物理量を比較する際には,それぞれの標準偏差で割る, 規格化 がよく用いられる. エル・ニーニョは,3~6年に一度熱帯東太平洋の海洋表面 水温が異常に上昇する現象で,北半球の 冬 季に最盛期. 特に強かったのは,1982/83年,1997/98年,2015・16年 • 地球温暖化で,極端に強いエルニーニョが 増える 予想.

第1回まとめ1/2

2 • エルニーニョの最盛期の特徴 • 海洋表面水温は,赤道東太平洋で 高 くなる. • 降水は,赤道東太平洋で 増加 する. • 気圧は,熱帯東太平洋で 低 気圧偏差,海大陸付近で 高 気圧偏差,となる.このような東西の気圧のシーソーを,南 方振動 と呼ぶ. • 東西風速は,赤道中央太平洋で, 西 風偏差( 東 向きの 風速偏差)となる. • 上空200 hPaの等圧面高度は,熱帯東太平洋で 高 気圧 偏差,そのすぐ南北で 低 気圧偏差,さらにその先の北米 北西部と南大洋の60S, 110W付近に 高 気圧偏差を示す. • 水温躍層は,赤道東太平洋で 深 く,赤道西太平洋で 浅 くなる. • エルニーニョの9ヶ月前の特徴 • 水温躍層は,赤道中央太平洋で 深 くなる.

第1回まとめ2/2

本日の目的

• 支配方程式系を導出しよう. • 方程式系は,未知変数と式の数が同じで,系(= システム)の挙動を記述できる連立方程式. • 3つの式を導出する.そのうち二つは,東西方向と 南北方向の 運動方程式 で,もう一つの式は,これ らの式で必要となる 圧力 を与える式である. • たった3つの式だが,大気海洋の気候力学で重要 な流れと波の性質を深く学ぶことができる. 本授業の後のほうで,エルニーニョのメカニズムを議論したい.たとえば,概要は https://www.sci.hokudai.ac.jp/~minobe/elnino/ に解説がある.ただし,3年後期にふさわしい授業として扱うには,数式も必要である. そこで,

(2)

運動方程式の基本

• ニュートンの第一法則 • 力 = 質量 × 加速度 • 大気や海洋に加わる力を,思いつくだけ挙げてみよう • 重 力,圧力傾度 力,コリオリ 力,摩擦 力 •水平方向に働く力に下線をつけよう. •したがって水平方向の運動方程式は • 質量×水平加速度= コリオリ 力 + 圧力傾度 力 + 摩擦 力 •流体の運動方程式は単位体積について立てることに して,質量は密度

ρ

で表される. 5

座標系と変数を導入

独立変数 x, y: 東向き・北向き座標, t: 時間 未知の従属変数 u, v: 東向き・北向き速度, p: 圧力, ρ: 密度 = 単位体積(1 m3)当たりの 質量 x y (u,v) 6 • 地球の角速度ベクトルの,それぞれの地点での鉛直成 分を2倍したものを,コリオリ・パラメータといい,f で表す. 地球の自転角速度をΩ(=2 π/自転周期)として,緯度θで のコリオリパラメータは, f = 2 Ωsin θである. • コリオリ力のみが働く場合に,回転系での運動方程式は, 以下のとおりである. • 角速度Ω>0で回転する回転系で,速度|v|で運動する物 体は,進行方向 右向き に加速度 2vΩで加速するよう に見える.この時,物質の質量をmとすると,力 2|v|m が働いたように見え,これを コリオリ 力という.

コリオリ力のまとめ(復習資料から)

du fv dt = dv f u dt = −

du/dtと∂u/∂t 1/2

du/dt(ディーユー・ディーティー)は全微分または ラグランジェ 微分または全微分と呼ばれる,運動に つき従って測る微分である. • 一方,∂u/t(ラウンドユー・ラウンドティー) は偏微分また は オイラー 微分と呼ばれる.固定した地点で測る 微分である. • 両者の関係は,合成関数の偏微分で得られる. • 一般に,u(x,y,t), x=x(ξ), y=y(ξ), t=t(ξ) であれば, 合成関数の偏微分は,右の依存関係図より • である.ここで, ξ=tとすれば u x y t ξ du t u x u y u dξ ξ t ξ x ξ y ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ = + + ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ du t u x u y u dt t t t x t y ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ = + + ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂

(3)

du/dtと∂u/∂t 2/2

• 一つ前のスライドの • で に他ならないので,上式は • とかける.同様に, • ただしこれら2式の,第二・三項は非線形で厄介なのと, また現象の振幅が小さいなら第一項よりも小さくなるので 微小振幅 を仮定して du/dt≈ ∂u/∂t と近似( 線形化 )する. すると二つ前のスライドの下の,回転系での運動方程式 は以下の通りとなる. du t dt t ∂ = ∂ u x u y u t t x t y+∂ ∂ +∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ , x y u v t t== ∂ ∂ du u u u u v dt t x y ∂ ∂ ∂ = + + ∂ ∂ ∂ dv v v v u v dt t x y ∂ ∂ ∂ = + + ∂ ∂ ∂ u fv t ∂ = ∂ v f u t ∂ = − ∂ 9

圧力経度力のみが働く場合

• コリオリ力が働かず(慣性系),圧力経度力のみが 働く場合の,単位体積当たりの流体(空気または 水)についての運動方程式は次のとおり. • コリオリ力と圧力経度力と摩擦力(文字のまま)が同 時に働く場合は, 1 u p t

ρ

x= − ∂ ∂ ∂ 1 v p t ρ y= − ∂ ∂ ∂ 1 u p fv x t

ρ

x= −+ ∂ ∂ 方向の摩擦力 1 v p fu y t

ρ

y= − −+ ∂ ∂ 方向の摩擦力 (2.1a) (2.1b) 10 符号に注意 • この場合の,運動方程式は次のとおり. • 2力のバランス(平衡)が成り立っており,その2力 は,コリオリ 力と 圧力傾度 力である. • このように吹く風を 地衡風,海の流れを 地衡流 と いう. Q. 右の圧力場が与 えられている.黒点 における地衡風の ベクトルを書き込め

定常で摩擦力が働かない場合

1 p fv x

ρ

∂ − = − ∂ 1 p fu y

ρ

∂ + = − ∂ (2.2a) (2.2b) 最後に残る従属変数, 残らない従属変数, 係数

浅水方程式へ

式の数が 2 つで,未知変数の数が 4 つ. →閉じていない →式の数と未知変数の数が一致する, 閉じた方程式を得たい. →そのためには,簡素化が不可欠. →密度が一定ρ0である流体を仮定 する. 密度が定数である流体を一層流体 と いう.また,地球流体の場合,高さより も水平方向のスケールがはるかに長 いので,一層流体のモデルを 浅水 モデルという. h u, v, p ρ0 H 流体表面 静止時の 流体表面 流体底面 • h(x, y,t):表面変位H(x, y): 静止状態の流体の 厚さ(水深)

(4)

圧力,ウォーミングアップ

Q. ある場所での圧力は,その上に乗っている物体 の質量×重力加速度で与えられる.地表面に1気圧 の圧力がかかっている場合に,1 m2の面積の上に 存在する大気の質量を求めよ.ただし簡単のために, 1気圧を1000 hPaとし,重力加速度を10 m/s2 とす る.なお,h(ヘクト)は100を意味するSI接頭辞で, 1,000 hPa = 100,000 Pa = 100,000 N/m2である. A. 100,000 / 10 = 10,000 kg = 10 ton 13

1層流体の圧力と圧力傾度

Q2. A1の圧力を図のh(水面の静止状態からの高 さ)と,Z(静止状態の水面からの水深)とで表せ. h p ρ0 H 流体表面 静止時の 流体表面 流体底面 A1. p =ρ0g d Q1. 流体表面から深さdで の圧力を求めよ.ただし流 体の密度は一定で ρ0,重力 加速度はg とする. A2. p =ρ0g (h+Z) Q3. A2の圧力のx微分(水平微分)を求めよ A3. ( 0 ( )) 0 p h g h Z g x x

ρ

ρ

x=+ = ∂ ∂ ∂ ∂ 14 Z d

1層流体の運動方程式

• 一つ前のスライドの圧力を,(2.1ab)式に代入する と,その式のρは今ρ0であることに注意して, • となる.これが1層流体の運動方程式である. • hだけでなくu, v もx, y, tのみの関数(深さによらな い) • 次に,摩擦力について考えよう. u h fv g x t x= −+ ∂ ∂ 方向の摩擦力 v h fu g y t y= − −+ ∂ ∂ 方向の摩擦力 (2.3a) (2.3b)

摩擦力

• 摩擦力には2通りある.一つは,大気や海洋が運 動して,周囲の空気や水あるいは地表面や海底か ら抵抗を受けて,運動を減速させるように働く摩擦 力である.これはしばしば簡潔に,以下のように表 され,レイリー・ダンピングと呼ばれる. • したがって,(2.3ab)の,摩擦力の項を置き換えて • もう一つは,海洋上を吹く風によって,海が引きず られることによって生じる摩擦力である.これは海 洋を駆動する上で重要である. .... , ... u v ru rv t t= −= − ∂ ∂ u h fv g ru t x= − ∂ ∂ v h fu g rv t y= − − ∂ ∂ (2.4a) (2.4b)

(5)

単位面積(1 m×1 m) で深さHの水柱を考える • 水柱の重さはρ0 H • この水柱にかかる 風応力はτx • 加速度=力/質量なので,この効果による加速 度は • したがって,(2.3ab)の摩擦力の項を置き換え て

風応力による水柱の加速

0

....

x

t

H

u

τ

ρ

∂ = +

τ

x ut 上 17 0 x u h fv g t x H

τ

ρ

= −+ ∂ ∂ 0 y v h fu g t y H

τ

ρ

= − −+ ∂ ∂ (2.5a) (2.5b) 応力=面に働く力 次にhについて考えよう. • 一層流体では密度が一定なので,流体が圧縮されない ( 非圧縮 ).この場合,体積が保存する. • 下のように3辺が∆x,y,Ηである直方体への流入流出を考 えよう. • 側面からの入出の差の分だけ,表面が上昇または下降す る.これを差分式(∆xなどが有限の長さを持つ式.これが 無限小なら 微分 式 )

連続の式1/2

(

/ 2, )

u x

− ∆

x

y

y

x

Η

(

/ 2, )

u x

+ ∆

x

y

( ,

/ 2)

v x y

− ∆

y

( ,

/ 2)

v x y

+ ∆

y

h

w

t

=

18

連続の式 2/2

• したがって,両辺を微小体積∆xyΗで割って差分を微分で 置き換えると(ノートに計算してください), • という1層流体における連続の式が得られる. • 結局,閉じた浅水方程式系として,(2.4ab)と(2.6),または (2.5ab)と(2.6)が得られた. , , 2 2 , , 2 2 h x x x y yH u x y u x y t y y xH v x y v x y ∂      ∆ ∆ =−∆   + −  −             −∆   + −  −        h u v H t x y   ∂ = −+∂   ∂ ∂ ∂  (2.6)

第二回まとめ

f を コリオリ・パラメータといい,Ωを地球自転の角速度,θを緯 度として,f=2Ωsinθで表される. • 密度一様な 一 層流体の,運動方程式と連続の式からなる,閉 じた方程式系を,浅水方程式系という. • 摩擦が,運動に伴う減速の場合,潜水方程式系の運動方程式 は, • 摩擦が風 応 力である場合には,運動方程式は • 連続の式は u h fv g ru t x= − ∂ ∂ v h fu g rv t y= − − ∂ ∂ (2.4a) (2.4b) 0 x u h fv g t x H

τ

ρ

= −+ ∂ ∂ (2.5a) 0 y v h fu g t y H

τ

ρ

= − −+ ∂ ∂ (2.5b) h u v H t x y   ∂ = −+∂   ∂ ∂ ∂  (2.6)

参照

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