−技家1−
家庭科、技術・家庭科学習指導委員会
一 テーマ 「一人ひとりの子どもに生きる力を育む技術・家庭科の学習指導のあり方」 〈技術分野〉 工夫し創造する能力を育む授業展開はどうあったらよいか 〈家庭分野〉 願いや課題を持ち、日常生活へつながっていけるような実践はどうあったらよいか 二 テーマ設定の理由 本委員会では、学習指導要領の趣旨である「生きる力」を「自ら伸びる力」ととらえ、この力をど のように定着させていくか、ここ数年研究を重ねている。一昨年度から小学校、昨年度から中学校で 学習指導要領が完全実施となった。そこで本年度は、分野別にテーマを設定し、教材や題材展開、学 習したことを生活の中に生かせるにはどうすればよいかを考えることとした。委員の実践を中心に、 また、教育課程研究協議会の授業からも、児童生徒の具体的な姿を通して学びながら研究を進めいて いくこととする。 三 研究の経過 第1回 研究テーマ決定、活動計画立案 5月 9日(木)教育会館 第2回 川西小学校教育課程研究協議会事前研究授業参加 5年生「おいしいご飯を作ろう」 7月 3日(水)川西小学校 第3回 教育課程研究協議会 午後の研修準備 8月20日(火)塩田中学校 第4回 川西小学校教育課程研究協議会参加 5年生「家族が喜ぶ、ゆで野菜サラダを作ろう」 9月 4日(水)川西小学校 第5回 研究のまとめ原稿の分担と検討 11月18日(月)教育会館 第6回 研究のまとめ原稿検討① 11月26日(火)教育会館 第7回 研究のまとめ原稿検討② 12月19日(木)教育会館 四 研究の内容 事例1 (小学校家庭科 教育課程研究協議会 上田市立川西小学校の実践に学ぶ) Ⅰ 事例テーマ 自らの感覚を用いながら料理をし、実際の生活の場で活用できる実践的な態度を 大事にした事例 Ⅱ テーマ設定の理由 一昨年度から完全実施されている「新学習指導要領」では、家庭科の学習は「児童が家族の一員とし て家庭科で学習したことを家庭で実践することを目指す教科である」ということを改めて示している。 今年度から家庭科という教科を初めて学習する5年生を対象に、「一週間に何回ぐらい自分で食事を 作ったりするか」という質問をしたところ、クラスの8割の児童が「1回以上は作っている」と回答し ている。アンケートの結果からは、ほとんどの児童が家庭で何らかの手伝いを行っていることが分かっ た。しかし、子どもたちにとっての食事は、手軽なインスタント食品やファストフードなども料理とし て認識しているという実態も明らかになった。つまり、自分で何かを作って食べるという経験はあまり なく、手作りのよさということに気づけないでいると思われる。−技家2− 更に子どもたちに「家庭科でどんなことを学びたいか」を聞いてみると、一人で料理が作れるように なることや自分で裁縫ができるようになることを挙げている児童が多い。家庭では安全面への配慮や衛 生面での知識が不足していることから、子どもたちが自由に料理したり裁縫に取り組んだりする機会が 少ないと考えられる。また、自分だけで調理や裁縫をしたとしても、失敗や戸惑いを多く経験している ことから自信が持てないのではないかと考えられる。 家庭科の学習の中で、調理実習は児童の興味や関心が非常に高い。実際に作って食べることができる という体験はまさに「自らの感覚を活用し感じ取りながら見通しを持って解決する」学習であると考え る。調理実習を通して「自分で計画し、作り、食べる」ことの楽しさを味わうためにも、自らの感覚を 活用することは必要不可欠である。感覚を活用しながら加減を調節し、感覚を活用しながら安全を確認 し、自らの感覚に自信を持ちながら料理を作る喜びを味わわせたいと考えた。 また、児童の願いの中には「みんなが食べられるようなお料理を作れるようになりたい」「お母さん にお弁当を作ってあげたい」など、相手を意識して料理を作る喜びを味わうことのよさに目を向けたも のもあった。相手のことを考えながら作る料理は自分の心が豊かになることや相手との和やかな雰囲気 を作り出すことにも気づかせ、家庭での実践意欲に結びつけさせたいと考えた。 以上のことから本テーマ「自らの感覚を用いながら料理をし、実際の生活の場で活用できる実践的な 態度を育てる家庭科授業のあり方」を設定した。 Ⅲ 研究内容 平成24年度 5年生(現 6 学年)の3月の授業から 子どもの姿1∼4 平成25年度 5年生 の7月の事前授業から子どもの姿 5 事例 「 お米をおいしく炊きたいと願い、何度もご飯を炊いていく中で、一つ一つの手順の意味を見 いだしたり、自分が重ねてきた工夫に手応えを感じたりしながら、ご飯を炊く方法を見いだし、自らの 手でご飯が炊けるようになった自分を実感していった子どもたち 」 ① 意欲やこだわりの持てる題材(教材)の提示 〈子どもの姿1〉 子どもたちは湯の丸高原で行った高原学習の飯ごう炊さんの経験から、飯ごうで米を炊く経験があっ た。しかし、米の洗い方も水の分量も炊きあがりの目安も、すべて教師の指示通りに行えばおいしいご 飯が炊けると感じていた。 教師は子どもたちに透明な鍋を使ってごはんが炊けることを学ばせることしか考えておらず、炊きあ がったごはんで何を作るかについては見通しを持っていなかった。そこで、子どもたちに各自で持ち寄 った0.5合の米であるが、炊きあがった米をどのように食べるか話し合う機会を与えた。 「焼きおにぎりがいい」「カレーライスにして食べたい」「ふりかけをかけて食べる」「塩むすびが いいな」「チャーハンにしよう」などたくさんの意見が出た。そんな中でA児は、「今日はお米が上手 に炊けるかを確認するので、チャーハンやふりかけでは味がわかんなくなっちゃうよ」と発言した。ク ラスの全体がT男の意見に賛成し、白米そのものの味を味わいたいと願うようになっていった。 子どもたちは家庭科の授業では教師が用意した食材で教師が用意したレシピでごはんを炊くこと しか考えていなかった。しかし、自分たちが炊いたごはんを好きなように食べてよいことを知らせ た瞬間、友だちとの話し合いを通して「自分の家の大切な米だからもったいないことはしたくない 」「お米本来の旨味を味わいたい」等という願いが生まれたと思われる。 家 庭科の 授業 でご飯 を炊 く時に 、お にぎり にし てお米 本来 の味を 味わ いたい と願 った子 ども た ち
−技家3− 家庭から持参した米が0.5合という最小限の量だったことも、「失敗できない」という明確な 目的を持たせるのに有効であったと思われる。多くの子どもの学習カードには「絶対にお焦げをつ くりたくない」「芯が残らないようにしたい」などと意欲を見せている児童もいて,米を炊くこと への期待を感じ取ることができた。 ② 食材の特性を知り、感覚をはたらかせながら料理を作る経験 〈子どもの姿2〉 教科書に米の洗い方について記述があり、米を炊く前に必ず洗ってから水に浸しておくことがかかれ ていた。 子どもたちは、「早く炊いてみたい」「どうして米を浸しておかなければいけないの」と疑問を持ち 始めた。高原学習でカレーを作ったときや収穫祭で餅米を炊いたときも、洗ったお米を浸しておく意味 については確認しておいたはずだが、子どもたちの意識ではあまり必要性を感じていなかった。 B児が「おばあちゃんが前に教えてくれたけど、お米を洗うときに最初のお水はすぐに捨てなきゃい けないと言っていたよ」と発言した。みんな口々に「うそだ!」と言っていたが、「急いで炊いたお米 は確かにちょっとにおいがあっておいしくないよ」「お米のぬかのにおいってくさいよね」という意見 が出始めると、お米の洗い方も大切だということを確認し合うことができた。 「でもどうしてお米は水に浸しておく必要があるの」という意見に対しては、「炊いたときにお米に 芯が残っていたら、かたくておいしくなくなっちゃうよ」という意見が出た。全員が納得したところで、 「でもお米が本当に水を吸うの?」「どうやって確かめたらいいんだろう」「先生、実験してみよう」 ということになり、新品の試験管を理科室から持ってきて実験してみた。徐々に水を吸い始めたお米を みて、「水を入れていないときの1.5倍になったぞ」と確認し合うことができ、お米を洗った後の吸 水の時間の大切さを見いだしていった。 〈子どもの姿3〉 透明な鍋を使ってお米が炊きあがるまでの様子を確認する場面で、子ど もたちは「これで焦がさないですむぞ」と喜んでいた。今までは、におい や時間の感覚のみで炊きあがりの時間を予想していた子どもたちであるが、 なべの中の一粒一粒のお米の様子をしっかりと確認しながら炊きあがりま での様子を観察していた。 「お米がたってきたぞ」「すごいふくらんでい る」「ご飯が苦しそう」と口々に語っていたが、ある一つの班で「焦げ臭い」 という声がしたので、子ども達は一斉にその班に集まってしまった。「先生 なべを持ち上げてみて」といい、いち早くガスの火を止めた。教師がなべを 持ち上げ確認してみると、なべのそこが焦げていてご飯が真っ黒になってい た。子どもたちはあわてて自分たちの席に戻り、火を止めたが、実際にそのご飯を手にとって食べてみ ると、芯が残ったままのおいしくないご飯になってしまった。 透明ななべは完全に中が見えるので、安心しておいしいご飯が炊けると考えていたが、やはりご飯が 米 の吸水 実験 を行い、おい しい米 を炊 くため に吸 水時間 が大 切であ るこ とを自 ら見 いだし ていっ た 子ども たち ご 飯の炊 きあ がる様 子を 一粒一 粒の 米の様 子に 着目し なが ら確認 して いった 子ど もたち 米の様子を確認するA児
−技家4− 炊けるまでの一粒一粒のご飯の様子の観察の仕方が大事であることに子どもたちは気づいていった。 子どもたちは高原学習の時に炊いた飯盒炊飯の経験から、お米の給水時間について問題にしてい た。炊きあがったお米に芯を残したくないという願いから、実際に試験管を用いてまでの給水実験 に発展するとは教師も予想していなかった。子ども達の経験の中で固くて芯のあるお米はおいしく ないというイメージが試験管で定量的に確かめようとする実習意欲につながったと思われる。 また、透明な鍋でごはんを炊く経験も初めてのことであった。子どもたちの感覚では見た目で判 断すれば成功すると感じていたが、実際「お米が膨らむ様子」「焦げ臭いにおい」「芯の残った米 のかたさ」など自分の持っている様々な感覚をはたらかせながらごはんを炊く経験をした。この事 例を通して、食材の特性を知り、感覚をはたらかせながら料理を作る経験は子どもたちが積極的に 料理に取り組み、さらなる課題を持つのに有効であることが実証された。 ③ 実習を通して学んだことを家庭で実践できる場面の設定 〈子どもの姿4〉 ごはんの炊きあがりに満足した子ども達は、「早く食べないと冷めちゃうよ」「しゃもじを動かして 空気を入れよう」「2回に分けて盛るんだよ」等と家庭でごはんを盛る経験をしている子ども達が机に 広げたサランラップの上にごはんを盛りはじめた。 子ども達はサランラップの中のごはんの熱さに耐えながら、かたさを確かめながら嬉しそうにおにぎ りを握っていた。待ちきれなくなったC児は「先生もう食べて良いですか」と確認し、早速おにぎり本 来の甘さを確かめるために一口食べてみた。同じ班の友だちが口々に「おいしいよ」「温かいからおい しいんだよ」「やっぱり塩気がないと食べられない」などと話をしている中で、C児は黙っていた。2 口目を食べたとき、「先生、これ持ち帰っても良いですか」と尋ねてきた。「おいしくないの?」と問 いかけると、「もったいないから持ち帰ります」と返事した。「自分で食べるの?」「家の人にも食べ てみてもらって採点してもらうんだ」と答えた。教師は「家でも作ってみれば良いじゃん」と言葉をか けたが、実際には家では取り組めていなかった様子である。しかし、同じ班のD児の日記に以下のよう な記述があった。 ∼ D児の日記から ∼ 今日はママと私と二人で晩ごはんを作りました。晩ごはんはハンバーグとわかめとあげのみそ汁 とお魚でした。その中のわかめとあげのみそ汁は私一人で作りました。ちょっとだけママに手伝っ てもらいました。そのほかは全部二人で作りました。お姉ちゃんも弟も「おいしいよ」と喜んでく れました。その笑顔を見たときに、私は料理を作る意味ってこういうことなんだと思いました。今 日は自分にとっても良い経験になりました。また、二人で作ってみたいです。 「家でも作ってみれば良いじゃん」と教師が言葉がけをしたにもかかわらず、C児は家庭で実践す ることはなかった。C児は「家族のためにおにぎりを持ち帰る」という心の優しさは見せたが、学 校で学んだことを生かして家庭で実践しようという意欲にまでは結びついていなかった。学習カー ドには、「焦げなくて良かった」「おいしかった」という記述はあったが、実際に実習に取り組ん だときの時間の経過や食材を調理するときのポイントについて書かれている「自分なりのオリジナ ルレシピ」のようなものが無く、家庭で実践しようにも何を元に作れば良いか分からなくなってし まったのではないかと思われる。また、一度限りの実習は本人にとっての自信にはつながらないの ご 飯の炊 きあ がりに 満足 し、家 族に も食べ させ てあげ たい と願っ た子 どもた ち
−技家5− ではないかと思われる。試行錯誤を繰り返しながら、失敗してしまった経験を活かしていくことも 学校の授業で学ばせることではないかと感じた。 D児は後日家族と料理を楽しむことで満足感を得ることができた。D児の家庭では常に「本人に やらせてみる」「ほめる」活動を大切にしている。D児は家庭科の授業の後、家族のために料理を 作る実践をした。その実践に対する家族の褒める評価があったことで、本人の次への意欲が高まっ たと思われる。 「家でも作ってみれば良いじゃん」と言ってはみたが、家庭への協力を怠ってしまったことも、 教師の大きな反省として残る事例である。 <子どもの姿5> 教育課程事前授業実践(平成25年度 5年1組 7月研究授業) 5年1組では高原学習で実際に飯ごう炊さんに取り組む4つの班で、透明な鍋を使ってご飯を炊く 実習をグループ毎に行った。 指導形態はTT形式で、主に授業場面では専科が家庭科の専門的な立場から衛生面や安全面での指導 を担当し、担任が主導的な立場で、子どもたちのこだわりや気づきを取り上げながら授業を展開した。 子どもたちにとって、透明な鍋でご飯を炊く経験は初めての経験であったが、取り組みは意欲的であ った。しかし、一つの班だけが鍋から吹きこぼれる泡の様子を見て、他の班よりもかなり早い時間に火 を止めてしまった。蒸らしている時間に周りの班がまだ弱火で時間をかけて炊いている姿を見て、班の 子どもたちは口々に「だめだ、失敗した!」と言って悲観的な表情を浮かべていた。最終的に試食をし てみると若干は固めであったが、芯が残っていない上手な炊きあがりであった。 この授業を通して研究会ではいくつかの大きな課題が挙がった ① リーダー的な児童の考えや行動で実習が進んでいたグループもあった。実習に消極的な児童は手を 出せないで終わってしまってはいないか。また、お互いの班の炊きあがりのご飯を試食し、意見交換 することで、新しい発見や次の実習への新たな課題も生まれるのではないか。 ② 子どもたちは、においや見た目での判断を手がかりにしながら炊きあがりの時間を見極めていたが、 実際の飯ごうは中が見えないため、透明な鍋で行った実習がどのように生かされるか。 ③ TTで指導している有効性はどこにあるか。一人ひとりの児童の学びを評価をする上で、TTでの 授業の意義が発揮されるのではないか。 この授業を通して実習形態のあり方やTTの授業のあり方について整理する必要を認識すること ができた。 個別の調理実習について グループでの調理実習の場合、実習に消極的な児童、他人任せで実習に参加しようとしない児童や手を 出したくてもリーダー的な児童に進められてしまい手を出せないで終わる児童も少なからずいることは 無視できない。それらの児童を生かすために実習分担カードを作ったこともあった。班別の調理実習では 実習の分担を考えることはしても実際には準備する分担、調理する分担、記録する分担、片付ける分担は 決まっていたとしても、「自分の分担を果たせば終わり」と感じてしまう児童も見受けられ、それ以上の 学びが期待できなかった。また、調理したものに対する評価も おいしかった や 失敗した という結 果だけにこだわってしまう児童や、友だちのよい気づきに耳を傾けたり、自分の分担以外の調理の手助け をするという関わりも少なかった。グループ実習では個人個人に能力差があり、班のリーダー的な児童が 他の児童を引っ張り実習を進めていく場面が多いため、個別実習ほどクラス全員が意欲的に実習に参加で ご飯の炊きあがりが心配で、火を止める時間を友だち同士で確認したり、「だめだ、失敗した!」
−技家6− きるようにすることは困難である。そこでできる限り実習を個別化することで、グループでは実習に手を 出せないでいた児童を生かそうと考えた。 しかし、単に実習を個別化することで、子どもたち一人ひとりのこだわりが解決していくとは限らない 。そこで、お互いが自分の工夫を考え調理した成果を認めアドバイスができる場面の設定が重要であると 考える。お互いが調理したものを食べ合い、感想や助言を出し合う時間を通して、自らの課題を認識し、 次の実習への意欲が持てるのではないかと考える。 児童一人ひとりの評価について 本時においてもTTの形態の授業を行う。単に役割を分担するだけのTT授業に終始するのではなく、 個別の実習特有の一人ひとりが持つ願いや課題に寄り添うための二人体制の授業をめざしていきたい。そ の中で児童の表情やつぶやきなどの言葉に表せない学びを観察し、適切な指導助言ができるようにしてい きたい。 また学習カードも利用し、各自の課題や解決の方法を書き込んだり、個々の気づきや感想の言い合いで どんな成果が得られたのか、細部にわたって評価ができるような形式のものを模索していきたい。また、 学習カードの中身を吟味することによって、児童一人ひとりが学びの道筋を振り返ることができる学習カ ードの工夫を考えていきたいと考えた。 Ⅳ 研究仮説 課題の視点 ①意欲やこだわりの持 てる題材(教材)の提 示 ②食材の特性を知り、 感覚をはたらかせな がら料理を作る経験 ③実習を通して学んだことを実際の生 活 の場で 実践 できる よう にする 工夫 このような 子どもに 料理を作ることに興 味関心が高いが、レシ ピ通りの受け身的な 調理実習に満足して しまう子ども 料理は好きであるが 、家で一人で作るには どうしたらよいか見 通しをもてない子ど も 学校ではできたけど実際の生活の 場では自信が無い子ども 褒めてもらえるか不安を持ち、料理 することに消極的な子ども このような 手だてをす れば 誰のため、何のために 料理をするのかとい う目的をはっきりさ せ、実習への意欲を導 き出す題材との出会 わせ方の工夫 調理するときの食材 の特性を学んだり、 感覚をはたらかせな がら料理を作る経験 を通して、家庭で料理 するときの自信をも たせる 一人で料理に取り組むときに役立 つ学習カードの工夫 実際の生活の場で取り組みを評価 してもらえる機会を与えたり、家庭 などの協力をいただきながら実践 していく できるだけ個別化を図った授業形態 の工夫と、一人ひとりに対する評価の 実践(TTの授業を通して) このような 姿になるだ ろう 更に料理を作ること に意味を見出し、意欲 をもって調理に参加す ることで、更に工夫し て料理したいという 意欲をもつだろう 積極的に家庭での料 理に取り組み、簡単 な料理を通して更に 手の込んだ料理に取 り組もうとする子ど もになるだろう 自分なりの見通しをもちながら、工 夫しながら実際の生活の場でも料 理を作ってみようとする子どもにな るだろう
−技家7− ↓ 自らの感覚を活用しながら料理をし、 実際の生活の場で活用できる実践的な態度が育つだろう Ⅴ 学習指導案 1 題材名 「家族が喜ぶ、ゆで野菜サラダを作ろう」 2 題材の目標と評価規準 〔目標〕 (1)日常の食生活やゆでる調理に関心をもち、材料や目的に応じた調理をしようとしている。 (2)材料や調理の目的に応じた切り方、ゆで方を考えたり、自分なりに工夫したりしている。 (3)調理に必要な用具を安全で衛生的に取り扱い、ゆでる調理をすることがきる。 (4)ゆでる調理の特性と材料や目的に応じたゆで方について理解している。 〔評価規準〕 家庭生活への 関心・意欲・態度 生活を 創意工夫する能力 生活の技能 家庭生活についての 知識・理解 ゆ で 方 に 関 心 を も ち、材料や目的に応じ た調理をしようとして いる。 材料や目的に応じた ゆで方について考えた り、自分なりに工夫し たりしている。 調 理 に 必 要 な 用 具 を 安全で衛生的に取り扱 い、材料や目的に応じた ゆで方ができる。 ゆ で る 調 理 の 特 性 と 材 料 や 目 的 に 応 じ た ゆ で 方 に つ い て 理 解している。 3 題材設定の理由 もともと何かを作るということが好きである子どもたちは、5年生になってから、学校生活をもっと 楽しくしたいという思いから、「手作り係」をつくり、ホットケーキ作りやフルーツポンチ作りに学級 活動として取り組んできた。 また、5年生から始まった家庭科では、ほとんどの児童が意欲的に取り組んでいる。1学期の高原学 習の飯ごう炊さんでご飯を炊く活動と関連づけた「おいしいご飯を作ろう」の学習では、透明ななべの 中でご飯が炊けていく様子を観察しながら、ご飯の炊き方を学んだ。これは、子どもたちにとって初め ての経験であったため大変意欲的に取り組み、実習を通して調理を楽しむ姿があった。 どの児童にとっても、これまでは家族に作ってもらっていた自分が、今度は料理を作る立場になると いうこともあり、調理実習は子どもたちにとって好きな授業の一つであると考える。調理実習では、子 どもたちの調理に対する苦手な意識はさほど感じられず、家庭でも家族と一緒に料理を作る経験をして いる子どもたちが多いと感じた。実際、子どもたちのアンケート結果を見ても、家庭で食事の用意や片 づけを手伝っている子どもたちが多い。また、ほとんどの子どもたちが、自分が家族を構成する一員で あることを実感しはじめており、「家族のために料理を作ってあげたい。」という願いをもっている。 しかし、家庭での経験があるといっても5年生にとって一人で調理することはまだまだ難しいことで あると考えられる。家族と一緒に料理を作る経験をしている児童は多いが、自分が家族のために何かを 作りたくても作り方が分からないと思っている児童がいる。また、料理方法は知識として知っている児 童もいるが、それが一人で料理できるという自信に結びついていない児童もある。 そこで、本題材では、子どもたちの「家族のために作ってあげたい」という思いから、学校や家でよ く食べている野菜サラダを家族のために作るという目的を明確にすることで、学習への意欲を持たせた い。家族の好みに合う材料や食感、味について家庭での聞き取りをすることで個々にこだわりを持たせ たうえで、実際に作る場面では、子どもたち一人ひとりが「家族が喜ぶ、ゆで野菜サラダ」を作る個別
−技家8− の調理実習を取り入れたい。そして、家族の好みに合った食感にするために、自分の考えた方法でゆで 加減を確かめたり、友だち同士で食べ比べをして感想を言い合ったりすることを通して、家族の願いに あったゆで野菜サラダを作る自信を持たせたいと考える。 以上のように、継続的で段階的な調理実習を取り入れ、食材に対する知識を得たり調理の失敗を経験 したりしていく中で、まずは料理することの本当の楽しさを体感できるのではないかと考えた。また、 調理実習を積み重ねていくうちに、誰かのために料理をすることの必要性を感じ、「もっと知りたい」 「もっとほめてもらいたい」という意欲の向上がみられるのではないかと考えた。そのためにも、一人 ひとりの児童の実態を把握し、自分一人で料理できることのうれしさ、難しい料理に挑戦することの楽 しさ等、個々の児童に意識を持たせ、それを高めていくような家庭科学習を実施していく必要があると 考え本題材を設定した。 4 題材の展開と評価計画 小題材及び目標 (学習問題) 学習活動 時 評価規準 関心・意欲・態度 創意工夫 技能 知識・理解 1 家 庭 や 給 食 で 食 べ て い る 野 菜 サ ラ ダ に つ い て 気 付 い た こ と を 話 し 合 お う。 2 生 の 野 菜 と ゆ で た野菜を比べて、ゆ で 野 菜 の 特 徴 に つ いて話し合おう。 ○ 使 わ れ て い る 野 菜 や 調 理 の 方 法 な ど に つ い て 関 心 を 持 つ。 ○ 生 野 菜 と ゆ で 野 菜 の 違 い を 見 た り 味 わったりして、野菜 を ゆ で る こ と の よ さについて知る。 2 普段食べて いるゆで野 菜サラダに 関心をもち 家族のため に作ろうと いう意欲を 持つことが できる。 (発言、態度) 野菜をゆで ることによ ってかさや 色、食感、 味が変化す ることを理 解 し て い る。 ( 学 習 カ ー ド) 3 家 族 の 好 み に 合 う、ゆで野菜サラダ に つ い て 情 報 を 集 めよう。 ○材料・食感・味につ いて、家族への聞き 取 り や 調 理 の 観 察 をする。 課外 4 集 め た 情 報 を 交 流し合い、はじめて の ゆ で 野 菜 サ ラ ダ の 調 理 計 画 を 立 て よう。 ○ 根 菜 類 と 葉 物 野 菜 を 使 っ て ゆ で 方 や ゆ で 時 間 つ い て 考 える。 ○ ゆ で 方 や ゆ で 時 間 の 違 う ゆ で 野 菜 の 観察・試食をする。 2 材料や目的 に応じたゆ で方やゆで 時間を考え ながら調理 の計画を立 てることが できる。 (活動、学 習カード) 野菜に応じ たゆで方や ゆで時間が あることが 分かる。 ( 学 習 カ ー ド) 5 ゆ で 加 減 に 気 を つけて、ゆで野菜サ ラダを作ろう。 ○ 野 菜 の ゆ で 加 減 に 気をつけて、「火が しっかり通って、家 族 の 好 み の や わ ら か さ の ゆ で 野 菜 サ ラダ」を作る。 2︵本 時︶ 家でも家族 の好みに合 ったゆで野 菜サラダを 作ることが できるとい う見通しを 持つことが できる。 (発言、学 習カード) 材料や目的 に応じたゆ で方やゆで 加減に気を つ け な が ら、ゆで野 菜サラダを 作ることが できる。 (発言、活動、 学 習 カ ー ド)
−技家9− 6 家 族 が 喜 ぶ ゆ で 野 菜 サ ラ ダ の 調 理 計画を立てよう。 ○ 家 族 の 好 み に 合 っ た材料・切り方、食 感 ・ 味 を 考 え な が ら、実践計画を立て る。 1 家族の好み を考えなが ら、調理計 画を立てよ うとしてい る。 (発言) 家族の好み に合わせて 材料を選ん だり、切り 方やゆで加 減を考えた りしながら 調理計画を 立てること ができる。 (発言、学 習カード) 7 家族が喜ぶ、ゆで 野 菜 サ ラ ダ の オ リ ジ ナ ル ド レ ッ シ ン グを作ろう。 ○ ド レ ッ シ ン グ の 基 本 的 な 作 り 方 を 参 考にしながら、家族 の 好 み に 合 う オ リ ジ ナ ル ド レ ッ シ ン グを作る。 1 家族の好みに合うよう に、工夫し たドレッシ ングを考え ることがで きる。 ( 活 動 、 学 習カード) ドレッシン グの材料が 分かり、作 ることがで きる。 (活動) 8 家族が喜ぶ、ゆで 野 菜 サ ラ ダ を 作 ろ う。 ○ そ れ ぞ れ の 調 理 計 画 を も と に 家 庭 で 実践する。 ○自己評価をしたり、 家 族 か ら の コ メ ン ト を も ら っ た り す る。 課 外 5 本時案 (1)本時の主眼 「家族に喜んでもらうために、食感が自分の願い通りのやわらかさに野菜をゆでたい」と願った 子どもたちが、自分の考えた方法で願い通りのゆで加減になっているかどうかを確認しながらゆで たり、友だち同士食べ比べをして感想を言い合ったりすることを通して、家族の願いにあったゆで 野菜を作る見通しを持つことができる。 (2)本時の位置 8時間扱い中の第6時 前時・・・本時に使う野菜をゆでやすい大きさに切ったり、ゆでる順番を考えたりした。また、食感 が自分の思い通りのやわらかさに野菜をゆでるために、ゆで加減を調べる方法を各自で考え た。 次時・・・家族のためのゆで野菜を作るために、どんな野菜をどんな分量や順番でゆでたらいいか考 えさせる。 (3)指導上の留意点 ・ガス台、調理台上の整理整頓を確認し、野菜のやわらかさを確認するときにはやけどなどしない ように注意させ、安全に配慮する。 ・身支度を整え、手を洗うなどの衛生面に留意できるように確認する。 ・自分で考えた方法や手順でゆで加減が確かめられない児童には机間指導をしながら助言する。
−技家10− (4)学習の展開 段 階 学習活動 予想される児童の反応 指導・評価 時間 準備物 課題把握 1 前 時 ま で の 振 り 返 り をする。 2 各 自 が 考 え た 野 菜 を 自 分 の 思 い 通 り の 食 感 に ま で ゆ で る 方 法 を 発 表し合う。 ・今日はちょうどよいやわらかさ に野菜をゆでるぞ。 ・野菜はやわらかくなるように、な るべく薄く、小さく切っておいた から大丈夫だ。 ・にんじんは水からゆでよう。 ・ゆでる順番はやわらかくなりにく いにんじんからゆでるんだったな。 ・あまりゆですぎても形がくずれた り、歯ごたえがなくなったりして しまうな。 ・菜箸で切れるくらいにしたいな。 ・楊子で刺して確認する。 ・つまみ食いをすればいいな。 ・野菜の色をみてみればわかりそ うだ 。 ・やわらかくなりすぎると困るの で途中で野菜を取り出して調べ よう。 ・どんなゆで野菜サラダをつ くりたいか家族の願いと共 に語らせる。 ・あらかじめ切っておいた野 菜を水に浸して準備させて おく。 ・野菜の切り方とゆでる順番 について確認する。 ・見た目の変化だけでなく実 際に取り出して調べる方法 にも注目させる。 ・調理中に気をつけることを 確認させる。 5 に ん じん ブ ロ ッ コ リー キ ャ ベツ 3 自分で考え た方法を用い て、実際に野 菜をゆでてみ る。 ・まずは水の中ににんじんを入れてか ら強火で沸騰させるんだったな。 ・だんだんぐつぐつしてあわが出て きたぞ。 ・にんじんの色が変わってきた。 ・沸騰したからブロッコリーを入れて ・子どもの気づきに共感する。 ・自分の考えた方法で野菜をゆ で、どのタイミングで野菜を 取り出すのかを確認させる。 ・野菜の固さを、菜箸でつまん だ感じ、楊子や串で刺した感 25 食感が自分の願い通りのやわらかさにするために、自分の考えた方法で確認しな がらゆで、願い通りのゆで野菜を作ろう。 学習課題 <調理中に気をつけること> ・なべの取っ手の向きは横に向けさせる。 ・ふっとうしたなべの中を観察するときは 近づきすぎない。 ・野菜を取り出して確認する時は、やけど に気をつける。 食感が自分の願い通りのやわらかさに野菜をゆでよう。 学習問題
−技家11− 究明・実 践 4 ゆであがっ たら自分の野 菜を試食した り、友だち同 士実食したり して、感想を 言い合う。 もいいな。 ・にんじんはやわらかくなりすぎてい ないかな。 ・ブロッコリーも茎の部分に串が通る ので取り出した方がいいかな。 ・にんじんは取り出そう。 ・あともう少しで火を止めよう。 ・キャベツは少しの時間で十分だ。 ・ちょっとにんじんがやわらかくなり すぎてしまったな。 ・ブロッコリーは茎の部分がまだ固か ったな。 ・友だちはにんじんもブロッコリーも 少し固さが残っているけど、シャキ シャキしていておいしいな。 ・味見するより串で刺すのも簡単でい いな。 じ、実際にかんでみた食感、 野菜の色の変化に着目しなが ら観察できているか、机間指 導をしながら助言する。 ・まずは自分のゆで野菜を食べ て、感想を持たせる。 ・友だちに試食してもらうため に、自分のゆで加減を調べる 工夫を書いたカードも添えて おかせる。 ・次に友だちの作ったゆで野菜 を食べ、自分のゆで野菜と比 べさせ、感想を付箋に書かせ て机に貼っていく。 学習 カー ド 付箋 整理・ 発 展 5 自分の感想 や、友だちの ゆで野菜を食 べてみての感 想 を 発 表 す る。 6 野菜をゆで るときに、食 感が自分の願 い通りのやわ らかさにする にはどうした らいいか考え させる。 ・にんじんは、やわらかくなるのに時 間がかかるんだな。 ・竹串で野菜の固さを確認してみたら わかりやすかった。 ・ブロッコリーの色が変わったらゆで るのをやめるといい。 ・野菜の色をみていれば、ゆであがっ たタイミングがわかりそうだ。 ・沸騰してからの時間を計っておけば 家でも簡単にゆであがりの時間が わかりそうだ。 ・途中で野菜を取り出して食べてみれ ば、やわらかさが確認できそうだ。 ・竹串を使ったら上手にゆでることが できたから、家でもその方法をい使 えばできそうだ。 ・野菜の色の変化を見ることは大事な んだな。 ・自分ではちょうどよいと思っ ても、友だちの感覚とは違う こともあることに気づき、家 族に作ってあげるときの参考 にさせる。 ・ゆであがるタイミングをどの ような工夫で判断したかに触 れながら、学習問題に返らせ る。 ・ゆでる途中の見た目や食感に 気づいている児童の感想を取 り上げる。 15 学 習 カ ー ド 6.研究のまとめと課題 (1)研究協議の柱Ⅰ 「児童一人ひとりが考えた方法で野菜のゆで具合を確認したことで、食感が自分の願い通りの柔らか さにゆでることができたか。」について 友だち同士食べ比べをして 感想を言い合ったりすること を通して、家族の願いにあった ゆで野菜を作ることができる という見通しを持てたか。(発 言、学習カード) 評価 野菜がゆであがる様子を自分 の考えた方法で観察しながら、 一人でゆで野菜を作ることがで きたか。 (つぶやき、態度) 評価
−技家12− ・ゆでるという調理は、やはり時間がポイントである。ストップウオッチを使わせてもよかったのでは ないか。 ・時間も大切にしたいが、本校の研究では自らの感覚を大切にしたいという願いがある。ゆで時間を意 識させると全て時間に気が向いてしまい、野菜の色などの変化、試食による歯ごたえ等で確かめるこ とができにくくなってしまう。 ・この時間でどういう力をつけさせるかが大事、微妙な部分をねらっていた。 (2)研究協議の柱Ⅱ 「友達同士食べ比べをして感想言い合ったことで、家でも家族に願いにあったゆで野菜を作ることが できるという見通しをもてたか。」について ・E児の「お兄ちゃん、部活が遅くて大変なので・・・。」という言葉、家族を意識し、家族の願いに寄 り添っている姿であった。 ・各自の課題、問題がはっきりしていた。自分で目で確認し、お互いに食べ合ってさらに感想を聞くこ とで、より家族を意識したゆで方にすることができたと思われる。 ・3つの野菜を一つの鍋でゆでるのは難しいか。F児は、一種類ずつゆでていた。 (3)研究の成果 ①家庭科の教科目標と題材について新CS3年目、最近の傾向として便利なものに押されて、手や指 を使わず感覚を働かせることなく作れるようになってしまっている。本校の研究の「自らの感覚を 働かせること」大切である。 ②時間か子どもが食べた感覚かについて板書に子どもたちのまとめがあるとよい。3つの材料を一気 にゆでることは難しいが、自分なりの感覚を働かせて思考し、判断して作ることができた。 ③個別に調理実習を行ったことについて以前は友を頼っていた子どもたちが、何より自分でやろうと するようになっていた。個別学習の成果である。見返しの場面の板書で共有化がされていた。 (4)研究の今後の課題 ①時間を意識しながら、自らの感覚を働かせて調理を行う子どもに育てる授業の工夫 ②より家庭実践力を高めていくための題材展開、授業づくりのあり方 ③TTや学習カードの工夫による実習での評価と指導 事例2(小学校家庭科) 子どもたち自分の力でナップザック作りを進めていくための導入の事例 菅平小学校 1 はじめに 5 年生になって初めて家庭科が始まり、子どもたちは毎回わくわくしながら授業を楽しみにしている。 手縫いで小物作りを経験した後に、ミシンで縫うともっと速くきれいにできることを学んだ子どもたち は、これからミシンを使ったナップザック作りに取り組んでいく。子どもたち一人一人がこれからのナ ップザック作りに自信を持って取り組んでいくことができるよう願って本時を設定した。 2 本時学習指導案 Ⅰ 題材名 「ナップザックを作ろう」 (5 年) Ⅱ 主眼 これからナップザックを作ろうとする子どもたちがナップザック作りの導入場面で、不織布とホッチキス を使って仮制作をすることを通して、ナップザック作りに必要な手順を理解することができる。 Ⅲ 指導上の留意点
−技家13− ・スムーズに仮制作に入ることができるように不織布にはあらかじめしるしをつけておく。 ・仮制作に入るときには机上を整理し、活動がしやすい環境を整える。 Ⅳ 学習の展開 段 階 学 習 活 動 予 想 さ れ る 子 ど も の 動 き 時 間 指 導 と 評 価 課 題 把 握 追 究 一 般 化 1 ナップザックがで きあがったらどんな ことに使いたいか考 える。 2 用語を確認しながら、 ワークシートの図にしる しを書き込む。 3 不織布を使いナッ プザックを作る。 4 布 に し る し を つ け る 。 O ナップザックができあがるとど んな形になるか描いてみよう。ま た、できあがったらどんなことに 使いたいか書いてみよう。 ・ひもが2つ使われているよ。 ・物を入れる口のところはキュッと なってるね。 ・できあがったら運動着を入れよう かな。 ・スキーの大会で使いたいな。 O このナップザックはどういうふう にできていると思いますか。 ・そのままじゃよくわからないな あ。 ・1 枚の四角い布からできているん だな。 ・説明書を見ればわかりそう。 O 説明書を見ながらワークシート の図にしるしを書き込もう。 ・「中表」や「ぬいしろ」、「口あき」 の意味がわからないなあ。 ・どうなっているか仕組みがわから ない。 学 習 課 題 不 織 布 を 組 み 立 て て ナ ッ プ ザ ッ ク 作 り の 手 順 を 調 べ よ う 。 O 不織布とホッチキスを使ってナ ップザックができるまでを確認 しよう。 ・布を裏にして縫い、最後にひっく 5 5 2 0 1 0 ・ワークシートに記入する。 ・ナップザックを使う目 的が思い浮かばない児 童にはいくつか例を提 示する。 ・サンプルを用意してお き、実際に分解してみ る。 ・ナップザックは物を入 れることができるがも とは1 枚の布からでき て い る こ と を 確 認 す る。 ・「中表」については意味 を確認し、後にどうし て中表にしたのかを問 う。 ・「ぬいしろ」「口あき」 については、その場で 意味を教えず、活動3 の中で考える。 ・不織布が布で、ホッチ キスが縫い目であるこ とを確認してから始め る。 学 習 問 題 1 枚の布からどのようにしてナップザ ックができあがるのだろう。
−技家14− 5 今 日 の 1 時 間 を 振 り 返 り 、 次 回 へ の 見 通 し を も つ 。 り返すから「中表」にしていたん だね。 ・「口あき」は最後にひもを通すた めのものだったのかあ。 ・ぬいしろを残して縫うんだね。の りしろみたい。 ・1 枚の布からこんなふうに袋にな るんだね。 O どこの部分につながるのか考え ながらしるしをつけよう。 ・「口あき」はひもが通る部分だか ら穴が細くならないように正確 にしるしをつけるぞ。 O ワークシートに今日の振り返り を書きましょう。 ・どうやったら1 枚の布からナップ ザックができるのかわかった。 ・今日はしるしをつけたから、次回 からはミシンを使って縫ってい くんだな。 5 ・早くできてしまった人 は、活動1と2で描い た絵と印を結びつけて いくよう促す。 評 価 1 枚の布からナップザ ックになるまでの基本 的な手順を理解するこ とができたか。(作業の 様子・発言・ワークシー ト) 3 反省と指導していただいたこと ・1 時間の中に活動がたくさんあり、盛りだくさんだった。1 枚の布から袋物を作ることは 5 年生にと っては難しいことである。そのため、1 時間で抑えることは一カ所にしぼる必要がある。(例えば、「織 りひもの付け方」で1 時間「布を中表にして縫い始めることに気づかせること」で 1 時間など) ・本番の布の前に別のもので練習することは有効だが、不織布はお金と手間がかかる。わら半紙の片面 に「表」と印刷し、布の代わりとして配ると何度も失敗できるし、準備に時間もかからない。 ・作り方や手順を子どもたちに調べさせる方法として見本を分解してみることは有効である。今回は 教師が師範で分解してしまったが、子どもたちにより残るのは子どもたち自身が分解することである。 分解できる見本のナップザックを用意し、実際に分解させながら考えさせても良かった。 ・家庭科は小5から中3までを見通した指導計画が必要である。5年間でどのようなことができるよう になれば良いのか、また、5年生ではどのような力が求められているのか、学習指導要領で確認し、 本時でつけた力を考えていく必要がある。例えば、5 年生では語彙の習得は求められていない。今回 の授業では語彙にとらわれず、手順の確認を重視すべきだった。 4 まとめ ・子どもたちが自分だけのナップザックを上手に作りたいという願いを持って楽しそうに取り組んでい た。けれど、子どもたちは活動一つ一つに思った以上に時間がかかる。教える側の願いはたくさんあ ってもその1時間で学ぶことは1つというようにしっかりと焦点を絞ってやることが理解につなが ることがわかった。 ・子どもたち全員が「できた」「わかった」と感じることができる授業作りを目指したが、みんながわ かるために丁寧にやることばかりに目がいってしまい、盛りだくさんな授業になってしまった。けれど、
−技家15− 子どもたち自身が見本を触りながら自分なりに考えることで、きちんと子どもたちの中に落ちていく授 業の仕組み方を指導していただき、とても勉強になった。その後、織りひもについて子どもたちに考え させる授業を仕組んだが、子どもたちからは見本を手に取りながら自分で考えて工夫する姿が見られ、 本番でも誰も間違えることなく進むことができた。製作の授業であっても児童の思考の流れを大切にし た授業、児童が自ら考えながら活動する授業を仕組むことでみんなが「できた」「わかった」と感じる ことができると考えられる。 事例3(小学校家庭科) ミシンの導入において、意欲的に安全で正しい使い方を学ばせる事例 和小学校 1 題 材 名 ミシンを使って楽しく作ろう ―空ぬいの仕方を知り、ミシンぬいにチャレンジしよう― 2 題 材 の 目 標 意欲を持ってミシンにチャレンジし安全で正しいミシンの使い方を学ばせる 3 本 時 の 位 置 3時間扱い中の第2時 前時 ・・ミシンと手縫いの違いを理解し、ミシンの仕組みを学んだ 次時 ・・上下違う色のミシン糸を付けたミシンを用いて筆ふきを作る 4 本 時 の 主 眼 ミシンで直線をきれいに縫う場面でミシンの名称を知ったうえで直線縫い・角 で縫う方向を変えるためのミシンの針や押さえの扱い方や返し縫いのやり方を知 ナップザックを作ろう 名前 1 ナップザックってどんな形?(できあがり図) 2 説明書を見ながらしるしをかいてみよう。 3 今日を振り返って(わかったこと・気づいたことなど) こんなことに使いたいな・・・。 わからない言葉があれば書こう ホッチキスで不織布を留める様子 織りひもの付け方について考えて いる様子。 ワークシート
−技家16− りペアで協力してミシンを使って直線縫いや返し縫いをすることを通して手縫い よりも素早くきれいで丈夫な直線をミシンで縫うことができる。 5 指導上の留意点 ・示範の場面で全体に基本の名称を伝え覚えるように促す。 ・机の上を整頓することやミシンと体の正しい位置を常に意識するように伝える。 6 展 開 段階 学習活動と予想される児童の反応 支援や指導*評価 分 導入 学習問題;名称を覚え、直線をきれいに縫おう 基本の名称:はずみ車・押さえ・針棒・上糸・下糸 1 中央テーブルに集合させ示範をする ・どんな感じかなあ・ドキドキするなあ ○初めてミシンに触れるので慎重にやるように促す ○自分ばかりでなくペアの友達の所もよく見てアドバ イスしたり協力したりするように伝える 10 展開 2 角の所で縫う方向変えるやり方を考え、針を降ろす 所・布を回す所・押さえのタイミングなどを知る。 ・角を縫うのは難しいけどがんばろう ・実際に糸を付けるとどうなるかなあ 3 返し縫いに挑戦する。 ・わーすごい、スイッチを押したままだとずっと返し 縫ができるんだね。 ○角は難しいのでペアの人とよく見あいながら進め る。 ○何度もやってみてもよいことを知らせる ○スイッチ一つで自然にバックすることを確認する。 ○返し縫いをやるとその部分がどうなるか問い、丈夫 になることを理解させる。 ○1∼3を何回もやってみてもよいことを知らせる。 30 まとめ 4 感想を書き発表する。 ・楽しく簡単に縫えた ・手縫いより早くできて楽しかった 5 次時の予定や課題をつかむ。 ・実際に上糸・下糸を付けてぬってみるんだ。 ○ミシンを正確にきちんと早く縫えることを体感した 感想を位置づける。 ○ナップザックをミシンで縫いたいという意欲を高め ていく。 5
初めて『空ぬい』をやってみての感想
1 むずかしいと思ったけど、かんたんだった。 2 初めてでずれたけど、楽しかった。 3 ななめになっていってしまった。 4 もうミシンを使いこなせる。 5 少しずれたけどしっかりやれてよかった。 6 初めてミシンをやってみて意外とおもしろかった。速さを5にしたらすごく速かった。 7 思いの外、ずれやすかった。 8 もうだいぶ慣れた。 9 はじめてだったから、少し緊張したけど、失敗せずに出来て楽しかった。 10 楽しかった。慣れた。 11 むずかしく、すごくずれた。ペアの人が助けてくれてうれしかった。 12 だいぶまがってしまたったけど、楽しかった。 13 楽しかった。 14 初めてだから、ぜんぜんできなかった。 15 ぬい目がずれてしまったけど、楽しく出来てよかったです。 16 使ったことがなかったけど、いがいとかんたんだった。−技家17− 17 角をまがるところで、位置が少しずれた。 18 最初はうまくいくかとか、いろいろ心配したけどS君に声をかけてもらってうまくいきました。 19 返しぬいが、とてもむずかしかった。 20 うまくいった。 21 急にななめになったりした。 22 楽しくできてよかった。 23 ななめにいってしまったけどしっかりできてよかった。 24 一番最初にあつかったと時、少しずれてしまったけど、うまくできて楽しかった。 25 ミシンで空ぬいをするのは初めてだったけど、やることができてよかった。 26 初めてミシンをやってこんなにむずかしいものだとは思わなかった。 27 初めてだったけどあまりむずかしくなかった。 28 一度大きくずれた。 29 ずれたけど、うまくいった。 30 ずれたが、楽しくぬえた。 31 最初はむずかしかったけど、やっているうちにけっこうできた。 32 ミシンは使ったことはあるけど、家のと速さが違ってむずかしかったけど、楽しくできた。 33 ペアと仲よく協力し合ってできた。
≪考察≫
ミシン縫い(空縫い)は初めての児童がほとんどでしたので、慎重にやっていったが、そのうち慣れ てきてスムーズにできるようになった。角を縫う時、針を降ろしてから押さえを上げて回転させるとい うところがうまくいかない児童が多くいた。実際に糸を付けたときに備えて、ポイントを押さえなけれ ばいけないと思った。 事例4(中学校技術・家庭科 家庭分野) 生徒一人ひとりが身近な道具の工夫を知り、今後の製作意欲につなげていく調べ学習 丸子北中学校 1.題材名「身近な道具の工夫を学ぼう∼マイ非常持ち出し袋によせて∼」(2学年) 2.主眼 自然災害に備えて非常持ち出し袋を製作する生徒たちが、市販の非常持ち出し袋や学生カバンなどを 調べる場面で、それぞれのカバンに求めることを考えたり、実物のカバンやバッグなどを個人やグルー プで調べたりすることを通して、身近な道具の工夫を知り、これからの非常持ち出し袋への製作意欲を 持つ。 3 本時の位置(全4時間扱い中第3時)※製作時間除く <前時>非常持ち出し袋に入れる持ち出し品リストを考えた。 <次時>住まいの安全対策を調べ、災害に対する住まいの備えを知る。 4 指導上の注意点 ・グループ追求に消極的な生徒には、友達の考えを参考に個人カードを書き込むように促す。 5 展開 過 学習活動 予想される生徒の反応 支援 時−技家18− 程 間 導 入 展 開 ま と め 1. 本時の活動内容 を知る 2. 3種類のバッグ の 工 夫 を 調 べ る。 (個人・グルー プ) 3. 調べたことを発 表する。(グルー プの代表者) 4. 本時の振り返り ・スーパーの袋じゃ学生カバンの代わりに ならないよ。 ・学生カバンは教科書などのものが入る。 ・スポーツバッグにある工夫ってなんだろ う。 ・教科書を入れるから、学生カバンは丈夫 で沢山入ることが求められる。 ・大きさや形がこのバッグの工夫になって いる。 ・カバンのふたに反射板がついているよ。 ・他のバッグとは違って校章がついてい る。 ・スポーツバッグはエナメル製で、雨でも 濡れない。 ・リュックの背負うタイプだと両手が空 く。 ・非常持ち出し袋は銀色で目立つ色だか ら、すぐ見つけて持ち出しやすい。 ・小さいポケットは、小物が収納できる。 ・こんなに工夫があったとは気づかなかっ た。これから、もっと自分のバッグの工夫 を活かして使っていきたい。 ・それぞれのバッグの使い道によって工夫 が違っていた。丈夫で便利な防災袋を作り たい。 ・学生カバンとスーパーのビ ニール袋を提示し、その違い からバッグによって特徴(工 夫)があることに気づかせる。 ・学習カード配布 ・3 種類のバッグの「使用場 面」「入れる物」「バッグに求 めること」を書き出すことで、 それに適した作りや工夫に気 づくようにする。 ・工夫の箇所として「形・素 材・付属品(部品)」などの観 点を出させ、工夫を見つけさ せる。 ・バッグの工夫に気づくこと で、より道具を活用できるこ とを確認し、今日の振り返り を記入させる。 5 分 25 分 10 分 10 分 6 成果と課題 ○成果 (1)調べ学習の機会の設定のよさ。 ・具体物が目の前にあることで、調べ学習がしやすい。また、毎日使用している学生カバンやスポーツ バッグを調べることで、意欲的に調べ学習に向かう生徒の姿が多く見られた。 (2)学習カードの記録と発表のよさ。 ・3種類のバッグのそれぞれの用途・求められることを導入で意識させることで、調べる際に、道具の この部分が役に立つ・ついている理由を考えたり見つけたりする視点を持つことが出来た。 ●課題 ねがい:それぞれのバッグにどんな工夫が隠されているか知りたい。 学習課題:市販の非常持ち出し袋や身近なバッグを観察し、 施されている工夫とその目的を見つけよう。 <評価>調べたバッグの工夫 を知り、これから自分なりに道 具(バッグ)の使い方を考えるこ とができる。
−技家19− (1)ペアやグループでの意見交換の場や追求する時間の設定の工夫。 ・教師にすぐ答えを求めてしまうのでなく、生徒の間で互いに学び合いを深めるために、考える上での ヒントを効果的に用いたい。 (2)「これが工夫」ということに気づきにくい生徒への手だてを更に考える必要性。 ・バッグの工夫や付属品の役割に気づかせるために、事前にバッグの各パーツの名称等を紹介するなど 視覚に訴える手だてが必要であった。 事例5(中学校技術・家庭科 家庭分野) 日常生活につながる調理(季節や題材に応じた投げ込み教材)の実践の例 第二中学校 本校では、食生活単元は一年生で学習するよう年間計画を立てている。しかし、文化祭に向けての作 品製作等の関係や保育園実習など、時数や行事等のしばりから、なかなか調理実習の回数を多く計画す ることが難しい。二学年では、被服、住居の単元、三学年では、保育学習と小物製作、のように位置づ けている。 しかし実際生徒からは、二学年や三学年でも続けて調理実習をやりたいという希望が強く、「食べた い」という願望、それと共に毎日三食食事をする、というもっとも日常生活に身近な題材である、と言 える。そこで投げ込み学習のような形で、調理実習の授業を時々実施している 題材 つけたい力 生徒の実態 成果と課題 郷土料理の紹介 うどん、おやき、 ・長野県独特の食文化(粉も の文化)や調理にふれて、郷 土料理に親しむ ・麺をこねたり、のした りすることに興味を持 っている ・地粉をこねることは力 が必要であるが、コシの ある麺になる。
−技家20− に ら せ ん べ い な ど ・小麦粉でなく、粘りけの強 い地粉を使う体験 ・三年生の後期の授業で「こ ねる、のす」など手触りや食 感を楽しむ ・主食である麺の食べ方の工 夫 ・家でつくる習慣のある 生徒が活躍、大多数は初 体験 ・家でおやきを作り食べ ることのある生徒が 4 分の1もいない。祖父母 などが居ないとにらせ んべいなども知らない 傾向。 ・製麺してゆでて食べる ことの楽しさ。 ・釜あげうどん、卵、醤 油、かつおぶし、ねぎ、 大根おろし、麺つゆ、な どシンプルな味付けで麺 を 楽 し み お か わ り す る 姿。 身近な材料を使 った簡単なおや つ 例:クレープ、カ ップケーキ、プリ ン、白玉だんご、 クッキーなど ・家庭にいつもあるような材 料を使って手軽に作れるおや つ ・無添加、さとうの量などを 加減できる手軽さ ・保育学習ともからめた幼児 に向けたおやつを考える ・薄焼きの技能 ・授業で扱うものはおか ずが多いので「スイーツ を作りたい」 ・手軽に作れるおやつを 身につけたい。(オーブ ンでなくフライパンの 利用) ・お祭りで食べるような クレープが安く簡単に作 れたので家で作りたい。 ・甘さを調節できるのは 良い。 ・ 異文化を知る、 様々な食材の利 用 例 : 韓 国 風 チ ヂ ミ、ピザ、いかめ し 、 さ ば の 唐 揚 げ、ギョウザなど ・ニラせんべいやお好み焼き に似たチヂミに親しむ ・えび、イカなどの調理法 ・「命をいただく」魚一匹使っ た料理で、三枚におろす ・いかや魚をどうおろし たら食べやすい形にな るか、売られている形に なるか知らない。 ・生臭いものを扱うのは いやだな。 ・唐揚げや生姜などの利 用でクセなく美味しく食 べられる。 ・はらわたを出すのが怖 いけれど興味深い ・ 手 作 り す る と と て も 水々しく美味しい。 季節や行事食 例:茶わん蒸し、 草もち、クリスマ スケーキ、スイー トポテト、など ・蒸し器の活用の仕方 ・だし汁の取る、お正月の料 理 ・よもぎを摘み、野のものを 使ったおやつ ・畑で収穫したさつまいもを 利用をしたおやつ ・日常だしをとることが あまりない。小学校でや ったきり使っていない。 ・行事にからめた料理を 作ってみたい ・「うま∼い!!」鰹節の 香りがする温かい茶わん 蒸しに感動。すだちのな い蒸し加減の比較を楽し む。 ・行事の雰囲気を味わう 楽しさ
−技家22− 事例6(中学校技術・家庭科 家庭分野) 衣服の手入れの学習で、表示を見る大切さを体感する体験的な授業の事例 塩田中学校 1 題材名 衣服の手入れ 「フェルト化現象実験」 2 主眼 衣服の手入れの学習で「取り扱い絵表示」について学習した生徒が、フェルト化現象実験を通して、表 示をみることの大切さに気付くことができる。 3 本時の位置(5時間中 第4時) 〈前時〉衣服の手入れにおける衣服表示について学んだ。 〈次時〉衣服の繊維の種類と働きについて考える。 4 指導上の留意点 ・実験前と実験後のウールの様子が比較できるように記録させておく。 ・ウールの性質が変わる様子を一人一人が体感できるよう、材料と実験の場を確保する。 5 展開 過程 学習活動 予想される生徒の反応 支援・指導・評価 時間 導入 展開 ま と め 1 本時の学習活動 を知る 2 ウールの取り扱 い絵表示の意味を記 入する 3 フェルト化現象 実験を行う ① 予想をプリントへ 記入 ② 実験 好きな形を作る→洗 剤でこする→水気を しぼる ③ 実験結果をプリン トへ記入 4 本時の振り返り ・実験で縮んだ服を見 せる ・プリントへ記入 ・表示にはサイズ表示、組成表示、取 り扱い絵表示があったな。 ・ウールの取り扱い絵表示は、中性の 洗剤で洗うんだよな。 ・30度以下の水温で洗うんだよね。 〈フェルト化現象実験〉 ・ふわふわの毛糸がごわごわになる。 ・色が落ちると思う。 ・かたくなるんじゃないかな。 ・ふわふわだったのに、元にもどらな くなってきたよ。 ・ごわごわして、かたくなってきたよ。 ・元に戻らない。 ・縮む。ごわごわする。 ・ふわふわのウールがフェルトになっ てしまい、驚いた。 ・先生の洋服のようにならないように、 表示をしっかりとみたい。 ・自分の服がだめにならないように、 適した洗い方をしたい。 ・前時の学習の確認を する。 ・ウールの取り扱い絵 表示を提示し、意味 を確認する。 ・ウールの表示をやぶ ると、ふわふわのウ ールがどう変化した かを予想させる。 ・40度以上、弱アル カリ性の洗剤で、ウ ールをこすさせる。 ・予想どおりになった か、結果を記入する。 ・今後生かしたいこと をプリントへ記入さ せる。 ○衣服を取り扱う 際の大切さに気付 くことができる。
−技家23− 6 実践を通して 今回は、実験の変化が顕著にあらわれるウールを使ったフェルト化現象実験を行った。洗剤や温度な どの扱い方によって衣服の繊維がどのように変化するかを体験し、表示を見ることの大切さに気付いて 欲しいと考えた。実際に実験を行うなかで、ふわふわであったウールがごわごわになる様子を体験し、 「ごわごわしてきた」「縮んだ」「元に戻らなくなったよ」などの声が聞こえ、ほとんどの生徒がフェル ト化現象実験を行ったことで、表示を見ることの大切さに気付くことができたようである。 授業のまとめの時間に、フェルト化させたセーターをみせた際、「小さくなっている、もう着れない よ」「こんなにごわごわしているセーターは着たくないな」「服がもったいない」という声も聞こえた。 自分の大切にしている服を、表示をみて正しく扱うことの大切さを学んでくれたように思う。 7 生徒の学習カードより ○表示をやぶると元のウールがフェルト化になってしまってびっくりした。見た目もさわり心地も変わ ってしまった。色も落ちたし、大きさも縮んでしまった。大事な服がこの実験のウール→フェルトみた いにならないようにしっかり表示を見て洗濯したい。 ○絵表示は大事だと思った。洋服を洗うときにはちゃんと絵表示をみて洗濯したい。先生の洋服がすご い縮んでびっくりした。 ○ウールを手洗いしてみて、いつも試合後の汚れているユニホームを親に手洗いしてもらってから洗濯 してもらっているけど、今度からは自分で手洗いをしたいと思いました。
−技家24− 事例7(中学校技術・家庭科 技術分野) 工夫し創造する能力を育む回路設計の展開例 丸子中学校 1 はじめに 教科のねらいとして「進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる」がある。これは 今 まで学んだ知識と技術を応用した解決方法を研究したり、組み合わせて活用したり、また、それらを基 に自分なりの新しい方法を創造する と考えられる。実際の自分を振り返ると「授業数が足りない」「生 活経験がない」という言い訳の下、自分の中であまり重視していない現実があった。 本年度技術家庭科学習指導研究委員会<技術分野>の目標は「工夫し創造する能力を育む授業展開は どうあったらよいか」である。今回は理科で学習した 回路図 や 電気の約束事 を既習知識とし、 発展させながら、『自分で設計し製作するマルチタップ』を題材として扱うことで、「中学校で学習して いる知識が他の授業で実際に使える・わかる実感」と、「工夫し創造する力」が身につけられればと本 題材を設定した。 2 学習指導の実際 (1)題材名 私のための マルチタップ を作ろう! (2)題材の目標 生活を工夫し 創造する能力 ○ 自分で考えた目的や条件に応じて、マルチタップに必要な機能を選択する ことができる。 ※ 他の3 観点についてはここでは省く (3)題材の展開(全 21 時間) 概 要 学 習 内 容 時数 電気についての復習 ・ 理科で習った電気とこれから習う電気の学習を行う。 ・ 2 切り替えスイッチで 考えよう ・ 3Pスイッチ・2Pスイッチを使った回路(単純な切り替えの みの回路や階段回路)を考える。 ・ 実際に売られているテーブルタップの回路図を考える。 2 マルチタップの設計 ・ 使用条件(機能・部品配置)を考える。 ・ 自分で考えた使用条件・目的に合った回路図を作成する。 ・ 回路図作成後、実体配線図の作成を行う。 3 部品を注文しよう ・ 注文票に必要な部品の種類と個数を記入し、発送する。 1 製作1 材料を加工しよう ・ 自分で考えた配置通りに、カッターやホットナイフ、ボール盤 を使用してケースの加工を行う。 3 製作2 配線しよう ・ 作成した実体配線図を見ながら部品同士をショートしないよう に注意・確認しながらつなげていく 6 製作3 安全を確かめよう ・ 部品に絶縁処理を行ってから用意された 評価項目 に従い、 テスターを使って確かめていく。 2 機器の保守点検 ・ マルチタップや家庭の電気を安全に使う方法を学習する 1 製作まとめ ・ 製作を振り返る 1