1 日本銀行熊本支店 熊本市中央区山崎町15番地 TEL 096-359-9501 FAX 096-311-1022 URL http://www3.boj.or.jp/kumamoto/index.html 日本銀行熊本支店は、本年8月1日に 開設100周年を迎えました。
熊本県の金融経済概観
(2017年8月4日) 1.概況 熊本県内の景気は、地域や業種によって厳しさを残しつつも、力強い復興需 要を背景に、しっかりとした回復基調が続いている。先行きについても、熊本 地震からの復旧・復興工事や再開発需要などに支えられながら、息の長い景気 回復が続くと予想される。 最終需要面をみると、個人消費は、生活再建需要がなお続く中、雇用・所得 環境の改善などを背景に、堅調に推移している。この間、観光はインバウンド 需要をはじめ全体として、持ち直しているものの、インフラ面の制約などか ら、地域によっては厳しい状況が続いている。他方、住宅投資は、強い復旧需 要を背景として、持家を中心に、堅調に推移している。また、公共投資も、幅 広い主体で災害復旧工事が本格化する中、引き続き目立って増加している。た だ、人手不足が、入札時の不調・不落をもたらしているほか、工事進捗の制約 要因となっている点に変わりはない。設備投資については、被災した設備や建 屋の復旧・復興計画工事が、解体の進捗や補助金交付の決定などにつれて、 はっきりと増加している。 生産面をみると、被災の影響がなお残る先もみられるが、堅調な復興関連やグ ローバル需要を背景に、高水準での生産が続いている。 雇用・所得面をみると、労働需給は、求職者の減少が続く中、復旧需要に直 面する企業や高操業を続ける企業からの求人増を受けて、一段と逼迫してい る。そうした下で、地域や職種によるミスマッチは残りつつも、雇用や所得面 にも、引き続き好影響が及んでいる。 この間、6月の消費者物価指数(熊本市、生鮮食品を除く総合、前年比)は +0.2%と、6か月連続で上昇した。2 37.1 51.8 46.0 41.4 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 55.0 60.0 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (台) (%) (年度) 普通・小型乗用車 軽乗用車 軽乗用車比率(右目盛) ▲ 30.0 ▲ 20.0 ▲ 10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 16/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 17/1 2 3 4 5 6 7 (%) (月) 普通・小型乗用車 軽乗用車 前年比 2.個人消費 個人消費は、生活再建需要がなお続く中、雇用・所得環境の改善などを背 景に、堅調に推移している。 6月以降の百貨店・スーパー売上動向をみると、天候要因(初夏の低めの 気温、7月上旬の大雨、その後の猛暑)が客足や季節商品の売り上げに影響 をもたらす局面こそみられたが、均してみれば、衣料品や食料品、化粧品な どを中心に、しっかりとした基調が続いている。6~7月の乗用車の新車登 録台数(含む軽)は、雇用・所得環境の改善に新型車の発売効果が相まっ て、引き続き増加した。家電販売の動向をみると、新居への入居に合わせた 関連需要やエアコンなどを中心に、基調はしっかりしている。他方、観光は インバウンド需要をはじめ全体として、持ち直しているものの、インフラ面 の制約や九州北部豪雨を受けて、地域によっては厳しい状況が続いている。 この間、当地発の旅行は、熊本地震の影響が和らぐ中で、国内・海外ともに 持ち直している。 <百貨店・スーパー売上高前年比> <乗用車新車登録・販売台数前年比寄与度> (注)既存店ベース (出所:九州運輸局熊本支局、熊本県軽自動車協会) (出所:経済産業省) <乗用車新車登録・販売台数(年度ベース)> (出所:九州運輸局熊本支局、熊本県軽自動車協会) ▲ 40.0 ▲ 30.0 ▲ 20.0 ▲ 10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 16/ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 17/ 1 2 3 4 5 6 (%) (月) 熊本 全国 2015 年度:前年比▲10.6% 2016 年度:同+6.5%
3 <県内宿泊客数前年比(四半期)> <県内宿泊客数(暦年)> (国内・海外客別、水準) <県内観光客数(暦年)> <県内日帰り客数(暦年)> (宿泊・日帰り客別、水準) (県内・県外客別、水準) (注1)県内宿泊客数について、四半期ベースと暦年ベースではサンプルが異なるため、計数は一致 しない。 (注2)2007年までの計数は合併前の市町村単位、2008年以降は合併後の市町村単位で集計しており、 日帰り客については多少の段差が生じている。 (注3)宿泊客数・日帰り客数ともに外国人観光客を含む。 (出所:熊本県) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (百万人) (年) 海外客 国内客 0 10 20 30 40 50 60 70 80 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (百万人) (年) 宿泊客 日帰り客 0 10 20 30 40 50 60 70 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (百万人) (年) 県外客 県内客 ▲ 80.0 ▲ 60.0 ▲ 40.0 ▲ 20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 13/1Q 2Q 3Q 4Q 14/1Q 2Q 3Q 4Q 15/1Q 2Q 3Q 4Q 16/1Q 2Q 3Q 4Q 17/1Q (%) 全体 国内客 海外客
4 ▲ 15.0 ▲ 10.0 ▲ 5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 13 14 15 16 (%) (年度) 持家 貸家 分譲 その他 前年比 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (戸) (年度) 3.住宅投資 住宅投資は、強い復旧需要を背景として、持家を中心に、堅調に推移して いる。 6月の新設住宅着工戸数は、持家の増加を主因に、前年をはっきりと上回っ た(6月:前年比+36.9%、4-6月:同+47.1%)。 こ の 間 、 人 手不足により工期の遅れが指摘されている点に変わりはないが、住宅の 竣工もはっきりと増加してきている。 <新設住宅着工戸数・利用関係別前年比寄与度> <新設住宅着工戸数(年度ベース)> (出所:国土交通省) 2015 年度:前年比▲1.0% 2016 年度:同+22.0% ▲ 40.0 ▲ 20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 13/7-9 10-12 14/1-3 4-6 7-9 10-12 15/1-3 4-6 7-9 10-12 16/1-3 4-6 7-9 10-12 17/1-3 4-6 (%) (月) ▲ 40.0 ▲ 20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 16/10 11 12 17/1 2 3 4 5 6 (%) (月) 持家 貸家 分譲 その他 前年比
5 4.公共投資 公共投資をみると、幅広い主体で災害復旧工事が本格化する中、引き続き目 立って増加している。ただ、人手不足が、入札時の不調・不落をもたらしてい るほか、工事進捗の制約要因となっている点に変わりはない。 6月の公共工事請負金額の前年比は、国が若干減少したものの、県や熊本市 が前月に続き大きく伸びたほか、熊本市以外の市町村でもまとまった発注がみ られたことから、大幅に増加した(6月:前年比+63.4%、4-6月:同 +97.7%)。 <公共工事請負金額・発注者別前年比寄与度> <公共工事請負金額(年度ベース)> 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (億円) (年度) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 95‐97 14‐16 (億円) (年度平均) その他 国 市町村 (含熊本市) 県 2015 年度:前年比▲8.8% 2016 年度:同+45.9% (出所:西日本建設業保証) ▲ 60.0 ▲ 40.0 ▲ 20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 200.0 220.0 13/ 7-9 10-12 14/ 1-3 4-6 7-9 10-12 15/ 1-3 4-6 7-9 10-12 16/ 1-3 4-6 7-9 10-12 17/ 1-3 4-6 (%) (月) ▲ 60.0 ▲ 40.0 ▲ 20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 200.0 220.0 16/ 10 11 12 17/ 1 2 3 4 5 6 (%) (月) その他 国 市町村(除熊本市) 熊本市 県 前年比
6 5.設備投資(建設投資) 企業の建設投資をみると、被災した建屋などの復旧・復興計画工事が、解 体の進捗や補助金交付の決定などにつれて、はっきりと増加している。 6月の建築着工床面積(非居住用・民間)は、農林水産業や製造業を中心 に、前年をはっきりと上回った(6月:前年比+39.0%、4-6月:同 +34.3%)。 <建築着工床面積・用途別前年比寄与度(非居住用・民間)> <建築着工床面積(非居住用(含む公共)、年度ベース)> 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (億円) (k㎡) (年度) 床面積 工事予定額(右目盛) (注)2015年度の民間部門と公的部門のウエイトは88:12。 (出所:国土交通省) < 床面積 > 2015 年度:前年比▲21.4% 2016 年度:同+40.3% ▲ 30.0 ▲ 20.0 ▲ 10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 13 14 15 16 (%) (年度) 農林水産業 製造業 教育・学習支援業 卸売業・小売業 医療・福祉 その他 非居住用計 前年比 ▲ 60.0 ▲ 40.0 ▲ 20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 14/10-12 15/1-3 4-6 7-9 10-12 16/1-3 4-6 7-9 10-12 17/1-3 4-6 (%) (月) 農林水産業 製造業 教育・学習支援業 卸売業・小売業 医療・福祉 その他 非居住用・民間 前年比 非居住用計(含む公共) 前年比
7 6.生産 生産面をみると、被災の影響がなお残る先もみられるが、堅調な復興関連やグ ローバル需要を背景に、高水準での生産が続いている。目先、生産活動は高水 準が続くと見込まれる。 5月の鉱工業生産は、前月比では減少したものの、高水準が続いている(5 月:前月比▲4.2%、前年比+56.2%)。4-5月を均して業種別の動 向をみると、「はん用機械等」や「食料品」などは引き続き押し上げに寄与し ている一方、「電気機械」が6四半期振りに減少している。 <鉱工業生産指数(季節調整済)> <参考:景気動向指数> (注)CIは参考値。シャドー部分は景気後退期を示す。 (出所:熊本県) 直近は5月 70.0 80.0 90.0 100.0 110.0 120.0 130.0 140.0 150.0 12/1 4 7 10 13/1 4 7 10 14/1 4 7 10 15/1 4 7 10 16/1 4 7 10 17/1 4 (2010年=100) (月) 生産指数 在庫指数 0 50 100 150 200 250 300 350 10/1 4 7 10 11/1 4 7 10 12/1 4 7 10 13/1 4 7 10 14/1 4 7 10 15/1 4 7 10 16/1 4 7 10 17/1 4 0 300 600 900 1,200 1,500 1,800 2,100 (2010年=100) (月) 累積指数DI(一致指数) 一致指数(CI、右目盛) 直近は5月 ▲ 15.0 ▲ 10.0 ▲ 5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 15/4‐6 7‐9 10‐12 16/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 17/1‐3 4‐5 (前期比、%) (月) 電気機械 はん用機械等 食料品 輸送機械 化学 素材(除く化学) その他 生産指数 前期比
8 7.雇用・所得 県内の労働需給は、求職者の減少が続く中、復旧需要に直面する企業や高操業 を続ける企業からの求人増を受けて、一段と逼迫している。そうした下で、地域 や職種によるミスマッチは残りつつも、雇用や所得面にも、引き続き好影響が及 んでいる。 6月の熊本県の有効求人倍率は、1.67倍(季調値)と既往ピークを再び更 新した。また、全国(1.51倍<同>)の水準も、昨年9月以降、連続して上 回っている。 <有効求人倍率(季節調整済)> (出所:熊本労働局、厚生労働省) <雇用者所得・前年比寄与度> (事業所規模5人以上) (事業所規模30人以上) (注)2015年基準。 (出所:熊本県) 直近は6月 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (倍) (年) 熊本 全国 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 14/7‐9 10‐12 15/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 16/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 17/1‐3 4‐5 (%) (月) 常用労働者数 名目賃金 前年比 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 14/7‐9 10‐12 15/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 16/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 17/1‐3 4‐5 (%) (月)
9 8.消費者物価 6月の消費者物価指数(熊本市、生鮮食品を除く総合、前年比)は+0.2% と、6か月連続で上昇した。内訳(前年比)をみると、「交通・通信」(通信<携 帯電話機>)や「教養娯楽」(耐久財<テレビやパソコンなど>)などが下落した ものの、「住居」(家賃)や「光熱・水道」(灯油)などが上昇した。6月の前年 比プラス幅(+0.2%)は、「教養娯楽」や「家具・家事用品」を中心に、5月 (+0.4%)から若干縮小した。 <消費者物価指数(熊本市、生鮮食品を除く総合)・前年比> <消費者物価指数(熊本市、生鮮食品を除く総合)・前年比寄与度> 直近は6月 (注)2010年12月までは2005年基準、2011年1月~2015年12月は2010年基準、2016年1月以降は2015年基準。 (注)2015年12月までは2010年基準、2016年1月以降は2015年基準。 (出所:熊本県、総務省) ▲ 3.0 ▲ 2.0 ▲ 1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 熊本市 全国 (%) ▲ 1.0 ▲ 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 ▲ 1.0 ▲ 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 13/7‐9 10‐12 14/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 15/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 16/1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 17/1‐3 4‐6 (%) (%) (月) ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 17/1 2 3 4 5 6 (%) (月) 生鮮食品を除く食料 住居 光熱・水道 家具・家事用品 被服及び履物 保健医療 交通・通信 教育 教養娯楽 諸雑費 生鮮食品を除く総合
10 9.預金・貸出、貸出約定平均金利 6月の預金(実質預金+譲渡性預金)動向をみると、法人や個人預金を中心 に、しっかりと伸びているものの、前年比増加率は全国並みに鈍化してきている (前年比:熊本県+4.6%、全国+4.7%)。 他方、貸出は、全国の動きと比べても引き続き大きく伸びている(同:熊本県 +6.1%、全国+3.3%)。内訳をみると、個人向けは住宅ローンや消費者 ローンの双方が押し上げに寄与している。法人向けは、設備資金が徐々に増えて きている。 この間、貸出約定平均金利(総合、ストックベース)は、長期貸出を中心に前月 から更に下落し、既往ボトムを更新した(6月:1.210%)。 <預金(実質預金+譲渡性預金)、貸出・前年比> (注1)預金、貸出ともに末残ベース。 (注2)実質預金=表面預金-切手手形。 <貸出約定平均金利(総合、ストックベース)> 直近は6月 (出所:当店) 直近は6月 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 2.00 2.20 2.40 2.60 2.80 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (%) (年) 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 2.00 2.20 2.40 2.60 2.80 16/1 4 7 10 17/1 4 (%) (月) ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (%) (年) 預金 貸出
11 10.企業倒産 6月の企業倒産(負債金額10百万円以上)は、引き続き件数、負債総額 ともに落ち着いた動きとなっている。 <企業倒産(負債金額10百万円以上)> <企業倒産(負債金額10百万円以上、暦年半期ベース)> (出所:東京商工リサーチ) 以 上 直近は6月 直近は17/上期 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0 20 40 60 80 100 12/1 4 7 10 13/1 4 7 10 14/1 4 7 10 15/1 4 7 10 16/1 4 7 10 17/1 4 (件) (億円) (月) 負債総額 倒産件数(右目盛) 0 20 40 60 80 100 120 140 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 89/上 92/上 95/上 98/上 01/上 04/上 07/上 10/上 13/上 16/上 (件) (億円) 負債総額 件数(右目盛)