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現在 同院のPD 患者さんは37 人 治療方法としては Automated Peritoneal Dialysis( 以下 APD) が25 人 Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis( 以下 CAPD) が12 人となっています PD 患者さんの対応を

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Academic year: 2021

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大阪南部、泉北ニュータウンにある近畿大学医学部堺病院は、 1999年に国立泉北病院から経営委譲を受けて開院、24の診療 科を備えた総合病院として堺市民の医療を支えています。 その 理念は、「患者本位の良質で安全な医療を提供する」。腎臓内科 でも、この理念を基に、患者さんのQOL重視の診療を展開。 慢 性腎臓病(Chronic Kidney Disease : CKD)の原因となる腎臓疾 患や、糖尿病、高血圧、膠原病などに由来する腎臓障害を、初 期の段階から腎不全まで、総合的に診療できる体制を整えてい ます。 中でも腎不全治療では、患者さんへのインフォームドコン セントを徹底させ、PD・HD・移植の3療法を実施しています。  腎不全治療の中でも腹膜透析は、1980年代の治験段階から、大阪狭山市 にある同大学附属病院で行われていた歴史と伝統があり、堺病院でも開院時 から、常に3療法を平等に患者さんに説明し、選んでもらう、ということがスタッ フ間でも自然なこととして受け止められてきました。  長谷川廣文教授は、「3療法をきちんと説明するのが、当院の腎臓内科の方 針であり、モットーです。透析導入時期になった患者さんに対しては、HDと PD、そして移植について同時に説明して選んでいただくことが大切です。  それは、患者さんに納得していただいた上での治療が、それからの生活の 質に大きく影響するからであり、長年続く慢性疾患の治療には患者と医療者 側が協力することが、これからは不可欠と考えるからです。4年前まで私がい た狭山の附属病院では、多いときで年間導入のうちの50%近くがPDを選択さ れたこともあります。それは別に誘導していたわけではなく、最終的に患者さ んに選んでいただいた結果です」。  患者さんが納得のいく療法選択に重要なのは、「きちんとした説明」。同院では、保存期から、いずれは透 析をしなければならない可能性を伝えて自覚を持っていただき、ビデオ、冊子などわかりやすいツールを活 用して説明を始めます。もちろん患者さんの不安や質問にも答えます。「このように丁寧に対応することによ り、『私はこういう生活をしたいから、こっちにしたい』という納得の選択をすることができるのです」と長谷川 教授は、十分なインフォームドコンセントの重要性を強調します。

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 現在、同院のPD患者さんは37人。治療方法としては、Automated Peritoneal Dialysis(以下APD)が25人、 Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis(以下CAPD)が12人となっています。PD患者さんの対応を、医 師3人、PD専任の看護師2人で行っています。  特筆すべきは、PDの処方メニューが豊富なこと。「37名のうち、32名でエクストラニールを使用していま す。また、APD患者さんの中で、24名がExtraneal-APD(以下E-APD)を、5名がタイダールPDを行っていま す」。これはどうしてなのでしょうか、という問いに、長谷川教授は明確に答えます。「患者さんの立場に立っ たら、医師があらゆる手段を持っていた方がいい。APDの患者さんが多いのも、APDを使う方が、患者さん のライフスタイルやニーズに合わせた処方が組みやすいと考えているからです」。  この言葉を受けて坂口美佳講師が次のように説明します。「要はいかに社会生活をきちんと送れるか、と いうことです。E-APDでは、透析液を日中、長く入れていられることで、社会生活がうまくできている部分も あると思います。それがなければ、夜まで貯留しておくと除水量がマイナスになる事が多いため、透析液を 日中手動で排液する必要が出てきます。当院では、水分のコントロールがしっかりできている患者さんや、 まだ尿量があってPDでの除水の必要がないような患者さんではNPD(APDで夜だけの治療)で開始してい ます。しかし、体液が過剰な状態になって、むくみが出てきている患者さんには、E-APDに処方を変更しま す。E-APDを特別には考えていない、これが当院の常識なのです。」 2

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- 「とにかく、患者さんの状態に合わせて、患者さんがなるべく普通に近い状 態で生活できるよう、医師は手を変え品を変え、というようにベストな処方をし て差し上げるべき。タイダール法についてもその一つだと考えています。それ が患者さんのためになるならばやり方はいくつ知っていてもいいのではないで しょうか」(坂口講師)  タイダール法を実施する患者さんの基準も明快です。長谷川教授は、「何も 特別に考えるのではなく、夜中に器械のアラームが鳴ってしまうような患者さ んは、この処方にしていく。そういう流れですね」と話します。  「APD中は、透析液の排液スピードが遅くなってしまい、排液がうまくいかな い場合があります。そうすると器械のアラームが鳴りますね。これが患者さん の安眠を妨げます。それでは、アラームが鳴らない方法はどれが一番いい か。それが、タイダールPDです。器械の設定で、排液を途中までにして、排液 のスピードが早いうちに注液に移行します。そのため、アラームは鳴りません。この方法でよく眠れたという 患者さんなら、タイダールPDを続けてみます。これも当院では普通に行われています。いわば処方の常道 の一つ、という位置づけです。本当に特別に考えたことはないのです」(坂口講師)

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 「患者さんにとっては精神的にも体調維持の点においても睡眠時間の確保は非常に大切。まずそれを解 決するのが医師の仕事なのではないか」と長谷川教授は問いかけます。「だからと言ってPDをやめてHDに 変更してしまう、というのでは余りにも短絡と言わざるを得ません。PDを選んだ患者さんの選択の理由を思 い返すと、『仕事を続けたい』『旅行や趣味を楽しみたい』とそれぞれわけがあるはずです。PDの良さは“患 者さん個々の生活スタイルに合わせて処方が変えられる”ということでしょう。E-APD、またタイダールPDな ど、こちらが手段を持っていれば、患者さんの希望する生活をできるだけ長く続けていくことができるので す。それで患者さんがよく眠れて、痛みがなくなるのであれば、痛かったり、眠れなかったりするよりはいい。 極めて実質的な考え方でやっているのです」と長谷川教授は、患者さんのメリットを追求する姿勢を強調し ます。  また、最近の研究では、「APDはタイダール法を用いた方が残存腎機能を保持する(タイダール、ノン・タイ ダール患者の残存クレアチニンクリアランス、尿量を3年間比較)」という研究結果も出ています(『Advances in Dialysis,Vol.23,2007』)。 4

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- 同院のこのような患者さん中心主義を、もう一方で強力に支える のが看護部。透析室所属の看護師は7人。今年、PDの専門性を 高め、患者さんにより丁寧な対応ができるよう、専任の看護師とし て2人が正式に任命され、活動を開始しています。  その“CAPDチーム”の一人である橋爪かおる看護師は、「1カ月 に1回の診察なので、患者さんにはより自己管理が求められま す。その生活に即した指導と言いますか、生活の様子などをうか がって、いま何が問題なのかということを見極め、より一層的確な アドバイスができるようにしてなければいけないと考えています。 HDと重複するところもありますが、特に、腹部カテーテルかシャントかというアクセスの違いは大きいので、 創部の状態や、チューブの出口部をきちんと診て、生活のアドバイスをしています」とその使命を語ります。  もう一人のメンバー中村淳子看護師も、「HDは週3回来院されるので、ある意味でこちらが全部管理して いるところがありますが、PDはできているとか、できていないという判断を患者さん自身が迫られます。患者 さんが自宅できっちり腹膜透析をできるように指導するために、自分たちも勉強していかなくてはなりませ ん。PDを選択した人は、なるべくHDになりたくないとか、なるべく食べたい、仕事があるなど、さまざまな希 望や事情をもっていますから、なるべくその意向に添ったアドバイスができるように心がけています」と同様 に決意を述べます。  「患者さんは医者にはいい顔をしてしまうことが多々あります。し かし、ナースは見る角度が違い、『あの患者さんはそういうことを 言っているけれども、実はそうではないんですよ』など。僕らよりも もっと細かいところまで患者さんを見てもらえる。だから、本当に 重要な立場にあるわけです。透析治療、特にPDは、看護師がい て成り立つのだと思っています」と長谷川教授は、PDにおける看 護師の役割の重要性を指摘します。また、組織として大事なの は、知識や技術がだれか一人に偏るのではなく、継承されていく こと。ローテーションで異動が多い看護師ではなおのことそれが 大切になってきます。「それには核となる人を常に存在させること です。今後はこの2人の看護師が中心となってPDを専門的に診ることができる看護師が、次々と育ってくれ ることを期待したいですね」。  「4月からのスタートで、いまはいろいろと新しいことに取り組んでいる最中です。まずは病棟との連携を強 め、カテーテル挿入手術の前後に病棟に出向いたり、退院後の患者さんの生活に相互理解を持つ、などか ら始めています。また、透析室の7名の看護師全員が、PD患者さんの緊急時には対応できるようトレーニン グをしています」(橋爪看護師)。 5

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-所在地 〒590-0132 大阪府堺市南区原山台2丁7-1 TEL: 072-299-1120 http://www.med.kindai.ac.jp/sakai/index.html ■腎臓内科 ■腎臓内科■腎臓内科 ■腎臓内科 医師 3人 透析室看護師 7人 うちCAPD担当看護師 2人 臨床工学技士 6人 07~08年度透析導入実績 47件(うちHD36件・PD11件) PD患者数 37人  「これからはPDのシステムを社会全体で考え、構築していく時代」と長谷川 教授は言います。「昔と違い、いまはきちんと説明すれば、PDを選ぶ人はちゃ んと選んでくれます。これからは、いかにPDがシステム化されて、どこの施設 でもできるような体制を作るかということだと思います。例えばHDがこれだけ 広まったというのも、センター病院があって、サテライト施設があって、そこで ちゃんと連携できているでしょう。PDはまだセンター病院がそれぞれ自前で やっていて、横のつながりがあまりない。それをHDと同じようなシステムにし て、どこでも診られるようなかたちのシステムができれば、もっと育っていくの ではないかと思います。これは、ますます高齢化する社会にあって、自宅で治 療可能なPDの必要性がより高まると考えられるからにほかなりません。」  一方、近畿大学医学部堺病院として坂口講師は、「いままでの歴史の良い ところを生かしながら、不十分なところは改善していきたいと思います。看護師 も、今年に入ってチーム分けをして、みんなで目標を作ってやっていこうという感じに変わっています。患者 さんにとっては何がいいかということを考えるのはもちろんですが、患者さんが満足できるいい医療を提供 するために、施設として常に成長していかなければいけないと思っています。患者さんの考え方も変わって います。インターネットなどで情報も得ているでしょう。もっとニーズも増えていると思います。今後は療法選 択外来の開設ということも考えています」と熱く語ります。  大学病院でありながら、各科間の敷居の低さ、サッと協力体制 が組めるところが自慢だという同院。「患者さん本位」という理念 が、治療法、スタッフ体制、今後の展望に、見事なまでに貫かれ ていました。

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