• 検索結果がありません。

第 1 世代のバイオ燃料は商業ベースで技術開発されたが 規模拡大の制約やコストの問題 があるため DOE は 第 2 世代の技術に焦点を当てている 図表 2 第 1 及び第 2 世代のバイオ燃料 研究開発実証市場投入市場浸透市場成熟 セルロース系エタノール混合燃料 : フィッシャー トロプシュ法ブタ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第 1 世代のバイオ燃料は商業ベースで技術開発されたが 規模拡大の制約やコストの問題 があるため DOE は 第 2 世代の技術に焦点を当てている 図表 2 第 1 及び第 2 世代のバイオ燃料 研究開発実証市場投入市場浸透市場成熟 セルロース系エタノール混合燃料 : フィッシャー トロプシュ法ブタ"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

調

____________________________________ シカゴ

●米国セルロース系エタノールに関する動向について(その1)

米国において現在バイオエタノールの主原料となっているトウモロコシは、拡大するエタ ノール需要のため、生産が今年度、過去最高になると予測されているが、食料及び飼料や、 農地に与える影響などから、一部に批判的な意見が上がっている。米国エネルギー省は、こ のような弊害を持たないセルロース系エタノールの商業化、普及を促進するため、実証試験 や酵素開発を助成するなど支援を拡大しており、セルロース系エタノールに対する官民の取 組みが積極化している。 このような中、「セルロース系エタノール及び第2世代バイオ燃料」会議が10月中旬にシカ ゴにて開催され、セルロース系エタノールに関する最近の情勢について情報交換が行われた。 そこで、同会議の概要を2回に分けて報告する。なお、図表はすべて会議資料から引用または 作成したものである。

1.産業情勢と工業規模での生産の見通し

1.1 米国エネルギー省バイオマス・プログラム-強健なバイオ燃料経済の育成 Michael Bruce課長(米国エネルギー省省エネルギー再生可能エネルギー局商業化展開課) バイオ燃料に関して大統領が掲げる目標は、次の通り野心的なものである。 ・ 価格競争力のあるセルロースエタノールを2012年までに開発する。 ・ 「10年で20%」: 米国のガソリン使用量を2017年までに20%削減する。このうち、代替 燃料基準により15%を、CAFE(企業平均燃費)基準の強化を通じて5%を削減する。 ・ 「2030年までに30%」: バイオ燃料の生産を600億ガロンに増やし、2030年までに米国の 軽量車によるガソリン消費の30%を置き換える。 来年度にバイオマス・プログラム事務局に配分されている議会予算は2億4000万ドルであ り、要求額の1億7900万ドルを大きく上回っている。 米国エネルギー省(DOE)は、市場を推進するための投資リスクの削減に努力を集中し ている。長期的な計画を通じて、完全に運用可能な商業的規模のセルロースエタノール施設 を2025年までに実現するという目標が掲げられている。 主な課題及びそれを克服するために目標設定された研究開発実証プランは、次の通りである。 図表1 主な課題とその解決策 課題 解決策 酵素転換のコスト高 → 酵素転換の効率改善及び低コスト化のため の研究開発 セルロース系バイオマス由来の糖からエタ ノールを生産する技術の未成熟 → より先進的な発酵微生物の研究開発 熱化学変換プロセスの制限 → バイオケミカルに加えての熱化学変換の実 現可能性 バイオリファイナリーにおける技術の実証 → 借入保証融資、商業バイオリファイナリーの 実証及び10%規模の検証プロジェクト 不十分な原料及び輸送インフラ → 供給原料及び輸送インフラの促進

(2)

第1世代のバイオ燃料は商業ベースで技術開発されたが、規模拡大の制約やコストの問題 があるため、DOEは、第2世代の技術に焦点を当てている。 図表2 第1及び第2世代のバイオ燃料 研究開発  実証  市場投入 市場浸透 市場成熟 セルロース系エタノール 混合燃料:フィッシャー・トロプシュ法 ブタノール 再生可能ディーゼル 菜種及び大豆バイオディーゼル トウモロコシ及び サトウキビエタノール 第2世代バイオ燃料 ・研究開発  -バイオ燃料を生産する原料の種類の拡大  -バイオマス液化変換コストの低減 ・2大技術プラットフォームの開発  -バイオケミカル法  -熱化学法 ・再生可能ディーゼル商業プラントは建設中  (例:ネステ石油のNExBRL) 第1世代バイオ燃料 ・ ・エタノール  -米国、ブラジルで70年代から商業生産  -原油価格が50ドル/バレル以上であれば、   トウモロコシ・エタノールは価格競争力   あり(サトウキビは30ドル/バレル) ・    ・バイオディーゼル  -90年代に欧州で商業化  -エタノールより市場が小さい 研究開発  実証  市場投入 市場浸透 市場成熟 セルロース系エタノール 混合燃料:フィッシャー・トロプシュ法 ブタノール 再生可能ディーゼル 菜種及び大豆バイオディーゼル トウモロコシ及び サトウキビエタノール 第2世代バイオ燃料 ・研究開発  -バイオ燃料を生産する原料の種類の拡大  -バイオマス液化変換コストの低減 ・2大技術プラットフォームの開発  -バイオケミカル法  -熱化学法 ・再生可能ディーゼル商業プラントは建設中  (例:ネステ石油のNExBRL) 第1世代バイオ燃料 ・ ・エタノール  -米国、ブラジルで70年代から商業生産  -原油価格が50ドル/バレル以上であれば、   トウモロコシ・エタノールは価格競争力   あり(サトウキビは30ドル/バレル) ・    ・バイオディーゼル  -90年代に欧州で商業化  -エタノールより市場が小さい バイオ燃料生産につながる主な道筋は、2つある。バイオケミカル(酵素によるセルロー スから糖への変換、その次に微生物による燃料への発酵)および熱化学(バイオマスから合 成ガスへのガス化、その次に燃料の合成)である。DOEのセクション932実演補助金は、バ イオケミカル用と熱化学用に半分ずつ分けられている。 セルロースエタノール生産の現状は、1ガロン当たりの費用が約2.50ドルである。DOE は、主として供給原料とバイオケミカル剤(酵素および発酵微生物)の費用の削減により、 2012年までに費用を1.31ドルに引き下げることを狙いとしている。 図表3 セルロース系エタノールのコスト削減目標 その他プラント関係 蒸留及び固体回収 糖化及び発酵 酵素 前加水分解/処理 原料 2005年の技術         2009年の目標         2012年の目標 エタ ノール生産 の最低 コスト (ド ル /エタ ノール 1 ガロ ン ) その他プラント関係 蒸留及び固体回収 糖化及び発酵 酵素 前加水分解/処理 原料 2005年の技術         2009年の目標         2012年の目標 エタ ノール生産 の最低 コスト (ド ル /エタ ノール 1 ガロ ン ) 注:凡例と棒グラフの各項目は同じ順序で対応している。

(3)

DOEは、テネシー州、ウィスコンシン州、そしてカリフォルニア州の3ヶ所でセンター・ オブ・バイオエナジー・エクセレンスに出資している。 資金助成に当たっては、DOEには、競争ベースでの資金供与が法的に義務付けられてい る。また、地域的に異なる気候および農学的または林学的な条件には、異なった供給原料が より適切であるので、地域的な供給原料パートナーシップは重要である。 現在のブラジルの車両がそうであるように、現在の米国の車両にもE10(エタノール10%含 有)から最高でE20(20%含有)までが使用できる。ミネソタ州では既にE20を試行中であり、 他州にも拡大する可能性がある。 1.2 先進バイオ燃料に関するカリフォルニア州の責任 Susan Brown副委員長(カリフォルニア州エネルギー委員会) 過去2年間におけるエタノール国内生産の大幅な増加は、主としてガソリン中のMTBE の段階的使用中止により発生したものである。米国内での生産は、2006年に約50億ガロンに 達したと予測されている。 カリフォルニア州は、交通の95%を石油に依存している。カリフォルニア州が努力を集中 しているのは、燃料用の廃棄物資源である。農業廃棄物、森林廃棄物および都市廃棄物は、 汚染と温室効果ガスを削減すると同時に、カリフォルニア州のエネルギー独立性に寄与する 可能性がある。カリフォルニア州のバイオマス資源は、今後15年にわたって年間20~30億ガ ロンのバイオ燃料を支えることが可能である。 カリフォルニア州はガソリンへの混合による米国最大のエタノール消費州である。エタノー ルの大部分は、中西部から鉄道輸送により供給されている。2006年には、9億5000万ガロン以 上が消費された。カリフォルニア州は現在、混合比率がE10までのガソリンを許可している。 図表4 カリフォルニアにおけるエタノール生産拠点 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 注:○印は既存施設、無印は提案中の施設。

(4)

カリフォルニア州は、トウモロコシから年間6800ガロンのエタノールを生産している。サトウ キビからのエタノール生産も、インペリアル・バレー地区で検討されている。提案中の、各種供 給原料を使用するエタノール工場により、年間3億6400万ガロンの供給能力が追加可能である。 2006年におけるカリフォルニア州のバイオディーゼル燃料生産は、1500万ガロンであり、 消費量は6800万ガロンを超えた。ほとんどのディーゼルエンジンは、B4、B10、およびB 20などの混合比率の燃料を受け入れることができる。 シュワルツェネッガー知事は、ガソリンの価格高騰と闘うためのバイオ燃料拡大に関する 政府方針の主な牽引者である。バイオエネルギー・アクション・プランは、9つの政府機関 の間におけるパートナーシップである。カリフォルニア州の気候変動構想、地球温暖化対策 法、カリフォルニア州大気資源局は、すべて代替燃料の開発および需要を助長するための重 要な規制である。 1.3 セルロース系エタノール工場に関する設計上およびエンジニアリング上の課題 Brad Saville社長兼CEO(SunOpta BioProcess社)

SunOpta BioProcess社は、セルロースバイオマスを専門とした代替エネルギー企業として 自らを位置づけたマーケティングを行っている。 セルロース系エタノールの生産量は、2020年までに100億ガロンに達すると予測されている。 トウモロコシの価格上昇と入手可能性の限界は、代替原料の推進力となっている。木材チ ップ、麦藁、クサキビ、トウモロコシの茎、バガスなどは、すべて潜在的な原料である。そ の利点としては、再生可能性や地理的多様性(各植物は気候や土壌の条件に基づいて異なっ た地域に最適化される)などが挙げられる。また、化石燃料に比べれば価格変動が少なく、 貯蔵費用も安い。供給原料の選択は重要である。糖収穫の差と処理の容易さは、収益性に直 接影響する。 SunOpta BioProcess社は、バイオマス準備、バイオマス前処理、酵素加水分解、発酵、お よび蒸留というエタノール生産プロセスのすべての段階を最適化する仕事をしている。 図表5 セルロース系エタノールの生産プロセス 1.バイオマス準備 2.バイオマス前処理 3.酵素加水分解 4.発酵 5.蒸留 リグニン 発電 C5糖、C6糖 セルロース系 エタノール 送電網 酵素生産 1.バイオマス準備 2.バイオマス前処理 3.酵素加水分解 4.発酵 5.蒸留 リグニン 発電 C5糖、C6糖 セルロース系 エタノール 送電網 酵素生産

(5)

また、リグニンを燃焼させてエネルギー生産に使うことが可能である。リグノセルロース エタノールは、リグニン変換プロセスが採用されれば、発電の面で自動継続的に使用して、 余剰電力を送電網経由で売却することも可能である。 現在の標準的な酵母菌は、C6糖しか処理できない。C5糖とC6糖を両方変換したい。 C5酵素は、おそらく遺伝子工学によって作られた生命体により処理されることになりそう である。エタノールは電力よりも貴重であるので、C5処理は残余物からの発電可能性を減 少させるが、対費用効果が高い。 生産工場は、リグニンを売ったり、処理して何らかの副産物を作ったりするが、現在のと ころほとんどの場合に発電を行った方が、投資収益率が良くなる。対費用効果の面で競争力 を持つためには、リグニンの価格は1トン当たり300~350ドルでなければならない。 生産工場のサイズは最適化されるべきである。規模の経済は、低い処理費用の維持に役立 て、資金調達に柔軟性を持たせる上で重要であるが、工場が大きすぎると妥当な費用での信 頼可能な供給原料の供給の維持が困難になる可能性があるので、工場を大きくしすぎること は避けるべきである。 セルロース系エタノール工場の経済的な成功は、選択した供給原料から最大の価値を引き 出すこと(エタノール収穫と副産物の価値を最大化すること)ができるかどうかにかかって いる。このことはつまり、供給原料の選択は潜在的な収穫と処理費用に影響を与える可能性 があるので、それ自体が重要であることを意味している。同じ理由から、使用する前処理の 種類も重要である(蒸気爆発、酸またはアンモニアの利用)。 1.4 セルロース系エタノール開発に関するEUの見通し Frederic Monot部長(フランス石油研究所(IFP)バイオテクノロジー部) 欧州のバイオ燃料生産の中心は、エタノールではなく、バイオディーゼルである。EUに おける車両の燃料需要は、ガソリンよりもディーゼルの方が多い。欧州委員会によるバイオ エタノール混合比率の目標は、2005年に2%、2010年に5.75%、2020年に10%となっている。 図表6 バイオ燃料の生産量(2006年) 欧州      北米     中南米  アジア大洋州  アフリカ バイオディーゼル バイオエタノール 欧州      北米     中南米  アジア大洋州  アフリカ バイオディーゼル バイオエタノール

(6)

Abengoa Bioenergy社は、小麦と大麦の藁を使用して、一日に70トンの原材料から年間4,000 トンのエタノールを生産する能力を持つパイロット工場を、スペインのサラマンカに建設済 みである。 NILE(リグノセルロースエタノールの新規改善)は、欧州委員会による2005年から2009 年までの4ヵ年計画のプロジェクトである。NILEプロジェクトの目標は、リグノセルロ ース原料からの大規模で対費用効果が高いバイオエタノール生産の促進である。このプロジ ェクトにおける主な課題は、酵素の効率の改良と、酵母菌品種に関する遺伝子工学的作業で ある。 図表7 NILEプロジェクトの構成 経済・環境アセスメント 自動車における評価 経済・環境アセスメント 自動車における評価 試験中の材料は、トウヒと小麦の藁である。これらは北ヨーロッパで入手可能な材料の代 表格である。 スウェーデン・エネルギー庁は、2,200万ユーロを投じて、2トンの乾燥供給原料から24 時間で400リットルのエタノールを生産する能力を持つ統合型パイロット工場を建設した。こ の工場は、プロジェクトにおけるさまざまな酵素および酵母菌の研究の検証や、前処理技術 のようなその他のプロセス改良に使用される予定である。 NILEコンソーシアムには、21のパートナーがいる。その内訳は、業界の会社7社、5つ の研究センター、7つの大学、および2つの組合である。欧州委員会は、770万ユーロを拠出 している。 前処理 酵素 生産 蒸留 酵素 加水分解 発酵 セルロース+リグニン グルコース セルラーゼ ヘミセルロース 加水分解物 エタノール エタノール 培養液 加水分解システムの最適化 ペントース発酵する酵母菌株及びSSF プロセス及びエタノール生産コスト の最適化 前処理 酵素 生産 蒸留 酵素 加水分解 発酵 セルロース+リグニン グルコース セルラーゼ ヘミセルロース 加水分解物 エタノール エタノール 培養液 加水分解システムの最適化 ペントース発酵する酵母菌株及びSSF プロセス及びエタノール生産コスト の最適化

(7)

1.5 セルロース系エタノールの商業的開発と工業的規模の生産 (1)John A. McCarthy, Jr. 執行副社長兼CFO(Verenium社)

セルロース系エタノール生産に関連するコストは、工業的バイオテクノロジー及び規模の 経済により削減されなければならない。 ルイジアナ州ジェニングスにあるVerenium社のパイロット工場は、2006年に拡張された。 この実証用工場は、今日のところ3分の2が完成済みである。2008年の前半には稼動が予定 されており、生産能力は年間140万ガロンに上ると見込まれている。 ジェニングスの敷地は拡張され、見通しも変更されて、セルロース系エタノールに関する 総合研究拠点となる予定である。その主な目標は、複数の供給原料の使用による性能の改善 である。現場での研究開発は、プロセスのあらゆる段階において改良を推進するように強化 されることになる。Verenium社は、同社従業員と技術ライセンシーの両方を対象として、商 業的オペレータのためのトレーニング施設も開発する予定である。 図表8 Verenium社のセルロース系エタノール生産プロセス 目標: 多収量、複数原料、低コストの     セルロース系エタノール生産 丸紅とTSK(月島機械)により設置されたバイオエナジー・ジャパン(BioEnergy Japan) の生産工場は、ライセンスに基づいて最初に建設されたプロジェクトで、2007年第1四半期 に完成した。 Verenium社は、おそらくはバガスを供給原料として、年間2,500~3,000万ガロンの生産能 力を持つ同社初の商業規模の施設を2010年に完成させる目標を持っている。その後は拡張し、 複数の供給原料を取り扱う戦略である。

(8)

図表9 バイオ燃料の成長戦略 生産 能力 と 原料 バラ エ テ ィ パイロッ ト規模 実証規模 140万 ガロン/年 第1商業規模 2,500-3,000 万ガロン/年 (バガス) 第1世代商業規模 2,500-3,000万ガロン/年 (複数原料) 次世代商業規模 2,500-5,000万ガロン以上/年 (複数原料・地域) 生産 能力 と 原料 バラ エ テ ィ パイロッ ト規模 実証規模 140万 ガロン/年 第1商業規模 2,500-3,000 万ガロン/年 (バガス) 第1世代商業規模 2,500-3,000万ガロン/年 (複数原料) 次世代商業規模 2,500-5,000万ガロン以上/年 (複数原料・地域) (2)Emmanuel Petiotグローバルバイオマス事業開発担当マネージャー(Novozymes社) 温室効果ガスの問題に関し、さまざまな商工業プロセスにおいて酵素を使用することによ るCO2生成量の削減により、酵素の生成中に産出されるCO2の量は全重量でもはるかに少ない。 Novozymes社は、工業用の酵素および微生物に関して世界の先頭に立つ企業である。2006 年の工業用酵素に関してNovozymes社が世界市場に占める推定シェアは46%であり、これは第2 位の競争相手が持つシェアの2倍である。同社は、第一世代の燃料エタノール産業で使用され る酵素に関する最大の供給者でもある。 図表10 工業用酵素の世界シェア 市場規模(2006年) 1500万デンマーク・クローネ 出所:Novozymes 社 2006 年推計 セルロースエタノールの生産プロセスが商業的に実用化されるまでには、まだ4年かかる。 費用対効果を最大化するために、プロセスの各段階が統合されたやり方で検討されなければ ならない。 1999年から2005年までの間に、セルロースエタノール酵素の費用は30分の1まで減少し、 もはや実現可能性を左右する費用ではなくなっている。Novozymes社は米国エネルギー省およ

(9)

び国立再生可能エネルギー研究所(NREL)とともに、1,780万ドルの補助金を使用して、 酵素の費用削減プロジェクトに関する共同作業を行っている。 Novozymes社は、セルラーゼ(C6糖用)およびヘミセルラーゼ(C5糖用)の開発を重点 的に進めている。第2世代のエタノール工場は、第1世代の工場に比べて、2倍から3倍の 建設費が必要となる。 (3)Vonnie Estesバイオ燃料新規ベンチャー担当マネージャー(デュポン社) デュポン社は、企業規模と生物学、化学、工学といった複数の科学分野における経験から、 バイオ燃料生産プロセス全体のインテグレーターとして先頭に立つ企業である。デュポン社 は、セルロース系エタノールおよびブタノールの両方に着目している。デュポン社の子会社 であるパイオニア・ハイブレッド・インターナショナル社は、特にエタノール市場を出荷先と した供給原料の種子(トウモロコシ混成品種)を生産している。 デュポン社は、ジョン・ディア社とのパートナーシップを通じて、特にトウモロコシ・エ タノール市場のニーズ向けに設計された新種の刈り取り機を開発している。このワンパス刈 り取り機は、実と同時に穂軸を刈り取り、それらを別々または一緒に貯蔵し、穂軸をセルロ ースエタノールの供給原料(トウモロコシ茎)として使用するものである。トウモロコシ穂 軸の処理に成功すれば、エタノール生産量が大幅に増大する可能性がある。 統合型システムは、資本費用を削減する上で不可欠である。デュポン社は、供給原料の生 産者、輸送者、および酵素の供給者との間に契約を結んでいる。 デュポン社は、NRELとともにプロセスの実証作業を進めている。異なった複数の供給 原料を使用するパイロット規模の施設(生産能力は年間100,000ガロン以上)が、異なった複 数の地域で2008年および2009年に建設される予定である。商業規模の工場は、2012年に準備 が整うことが期待されている。 デュポン社は、イギリス石油会社との間で、バイオブタノール開発パートナーシップも結 んでいる。英国の開発工場が2008年には準備を終え、2010年以降にブタノールの販売を開始 する予定である。 (4)Jack Huttnerバイオリファイナリー事業開発担当副社長(Genencor社) でん粉(トウモロコシ)エタノール生産の上限は、おそらく年間120~150億ガロンである。 ブッシュ大統領の一般教書演説におけるバイオ燃料の目標は、ガソリンの30%を置き換える こと、すなわち年間450億ガロンである。 セルロース系エタノールは、でん粉エタノールと異なる。具体的に言えば、酵素溶液は各 原料および各工場に専用のものが使用される。酵素の使用量は、一般的にでん粉よりもずっ と多い。酵素の生産は、バイオリファイナリーの近くか、または同じ場所で行うべきである。 供給原料と酵素の輸送費用も、多くかかる。 市場出現の予測としては、パイロット工場は2008年から2010年まで、年間50~200万ガロン の生産能力で稼動する。実証用工場は、より大きい年間200~1,000万ガロンの生産能力で、 2009年から2012年まで稼動する。最初の商業的工場は年間2,000~5,000万ガロンの平均生産 能力で、2009年から2014年までの間に操業を開始する。 Genencor社は、バイオリファイナリーにおける統合型の酵素生産に努力を集中している。 現在満たされていないニーズとしては、プロセス開発者とエンジニアが、自らのシステム を設計できるように、酵素の調合状態が最終的かつ最適である酵素溶液が必要とされている

(10)

ことである。 Genencor 社 は 、 バ イ オ マ ス ・ エ タ ノ ー ル 生 産 を 特 に 目 標 と し た 、 ア ク セ レ ラ ー ゼ (Accellerase)という複数酵素複合体の使用を奨励している。この製品は、より短時間での エタノール収穫の増大に役立つ。

2.バイオマス転換プロセスの向上

2.1 前処理の進歩 Mark Stowers研究開発担当副社長(ポエット社) ポエット社は世界最大の乾式粉砕の生産業者であり、10億ガロンを超える生産能力を備え、 33件のエタノール工場開発プロジェクトを抱えている。 農地(残余物)から得られるセルロースバイオマスの持続的入手可能な推定量は現在のと ころ年間およそ1億2千万乾燥トンである。 図表11 農地から得られるセルロースバイオマスの入手可能推定量 11 6 21 6 75 トウモロコシ茎葉 麦藁 その他の小穀物 その他の作物残さ トウモロコシ繊維 単位:百万乾燥トン/年

出所:Perlack, Wright, et al., 2006

ジョン・ディア社は、トウモロコシ植物から穂軸と粒の両方を収穫するようにコンバイン 機に修正を加えた。トウモロコシと穂軸の混合物を農場または工場におけるいずれの段階に おいても仕分けすることが可能である。 ポエット社は、トウモロコシ穂軸のセルロース処理を取り入れて収穫高を上げ水分と燃料 消費を減らすようにトウモロコシ・エタノールの生産を最適化することに焦点を当てたプロ ジェクト・リバティに従事している。ポエット社は、最終的に自社工場をトウモロコシセル ロースの統合精製所に転換する所存である。現在、試験的工場が一箇所稼動している。 2.2 酵素とエタノール生産の課題 William Baum執行副社長兼特定酵素ジェネラルマネージャー(Verenium社) 次世代バイオ燃料は、グローバルエネルギー傾向にとって有利な条件となる石油価格高騰、 気候の変化、エネルギー安全保障などが合わさって流れる状況に乗じることが可能となって いる。 低コスト生産目標を達成するには、実証済み産業バイオ技術の専門知識が必要である。主

(11)

要コストは、供給原料、水、燃料または電気、人件費、供給品、資本金、化学薬品、酵素、 養分である。Verenium社は、酵素と発酵有機物の最大利用に焦点を当てている。 バイオマスの収集については、現在のところ、残余物や公共廃棄物を含む様々な供給原料候 補があるが、やがては技術開発されたバイオマス作物が処理過程の大半を占めることとなる。 前処理については、半結晶質のリグノセルロース物質に酵素のアクセスを可能とするため、 熱化学的な前処理が必要となる。 市場は、おそらく前処理と発酵を統合した特別仕様の酵素カクテルのような、より効率の 高いヘミセルロースを必要としている。現在の酵素は、大規模な商業用施設には不向きであ る。酵素の価格は低下しているが、より効果的になったわけではない。試験工場およびデモ ンストレーション施設における実施策は、酵素を大量使用し、酵素効果が遅すぎるので、効 率的に大規模化することができない。商業規模の生産目標を達成するためには酵素の働きが 10倍から20倍に高められなければならないのである。発酵有機物も、C5糖が低率で転換さ れるので現在のところ商業施設利用には不十分な段階にある。 セルロース系エタノールのための酵素開発のため、Verenium社は幾つかの選択肢の検討を 進めている。シロアリの内臓のセルロース酵素研究、トウモロコシの統合バイオリファイナ リー用の酵素生成、ニュージーランドの木材バイオマス、及び、バガッセ転換であり、各プ ロジェクトは様々なパートナーとともに進められている。 2.3 バイオマス転換用の酵母開発 Paul Attfield業務部長(Microbiogen社) Microbiogen社はパン製造販売業者、ビール醸造者、酒造業者等の様々な顧客の要望に応え ながら工業用酵母を開発してきた。現在は、エタノール生産用の発酵酵母に焦点を当てている。 従来の酵母は植物体に豊富に含まれているキシロースのようなC5糖を代謝することが難 しかった。C5の最大利用を図る研究開発においては遺伝子工学が主流分野となっているが、 発酵率を著しく向上させる段階には至っていない。Microbiogen社は、これと異なって酵母菌 株の交配を行っている。Microbiogen社の交配種菌株は、既に工業用標準酵母よりも1/3活性 化したものとなっている。酵母菌株の分析によるとキシロース代謝向上を目的とした交配選 択が酵母に顕著な変化を及ぼしていることが判明しており、遺伝子発現に多くの変化が見ら れ、酵母の酵素は原型菌株から数倍改善されている。 交配による継続的改善がC5およびC6糖両方を使った高収量エタノールの生産能力を持 つ酵母菌株を生み出すことが期待される。

参照

関連したドキュメント

※規制部門の値上げ申 請(平成24年5月11 日)時の燃料費水準 で見直しを実施して いるため、その時点 で確定していた最新

工場設備の計測装置(燃料ガス発熱量計)と表示装置(新たに設置した燃料ガス 発熱量計)における燃料ガス発熱量を比較した結果を図 4-2-1-5 に示す。図

「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」 (昭和32年6月10日

燃料デブリを周到な準備と 技術によって速やかに 取り出し、安定保管する 燃料デブリを 安全に取り出す 冷却取り出しまでの間の

※規制部門の値上げ申 請(平成24年5月11 日)時の燃料費水準 で見直しを実施して いるため、その時点 で確定していた最新

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが

一 六〇四 ・一五 CC( 第 三類の 非原産 材料を 使用す る場合 には、 当該 非原産 材料の それぞ

核分裂あるいは崩壊熱により燃料棒内で発生した熱は、燃料棒内の熱