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南西諸島近海に分布する紅藻ソゾノハナを用いたジャガイモそうか病の防除

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Academic year: 2021

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紅藻ソゾノハナ(Laurencia brongniatil)は分類学上,藻 類紅藻網イギス目フジマツモ科ソゾ属ソゾノハナに属し,わ が国太平洋中南部から九州沿岸,南西諸島にかけての潮間帯 の岩上に分布する。徳之島,喜界島,奄美大島等の南西諸島 での棲息密度が特に高いため,奄美群島特有の地域資源と言 っても過言ではない(第1 図)。 近年になり,本海草のメタノール抽出液中に,メチシリン 耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistance Staphylococcus aureus : MRSA)に対し高い活性を有する抗菌成分(4 種類の ブロムインドール化合物)が含まれることが明らかにされた (Horikawa ら 1999,亀井 2001)。これらの成分はジャガ イモそうか病菌(Streptomyces scabies)に対しても培養条件 下で高い生育阻害活性(MIC 値:2~4mg/ml)が認められる (亀井私信)。 奄美大島に代表される南西諸島では赤色(赤黄色)土壌を 活用した赤土ジャガイモ栽培が盛んに行われ,2007 年の生産 量は鹿児島県全体(93,300t)の 26%に達する。これら島嶼 部では収穫が 2 月~4 月となる冬作栽培が行われており,北 海道産の貯蔵ジャガイモの流通が主体となる本土に,春一番 の「新ジャガ」を供給することができるため大きな経済的利 点を有す。しかし,連作によりジャガイモそうか病が大発生 し,安定生産上大きな問題となっている。この原因には,こ れらの島々では土壌の母材が隆起珊瑚礁のため土壌 pH が 元々高く,そうか病が大発生し易いことに加え,離島では地 下水を飲水に利用することが多く,農薬による地下水の汚染 やスコール等降雨流出薬剤による海洋汚染の懸念から,薬剤 防除対策が取れないためである。このため現地では,離島の 1 本論の要旨は,日本土壌微生物学会 2007 年大会(2007 年 6 月 8-9 日,千葉県柏市),第 55 回関東東山病害虫研究会(2008 年 2 月 29 日,群馬県前橋市),日本土壌微生物学会 2008 年大会(2008 年 6 月 13-14 日,静岡県静岡市)において発表した。 2 現在 奄美群島広域事務組合 3 現在 奄美市役所笠利総合支所 4 現在 日彰学園宮崎

5 Address:National Agricultural Research Organization, National Agricultural Research Center, Kannondai 3-1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-8666, Japan 2009 年5月 9 日受領 2009 年 8 月 11 日登載決定

南西諸島近海に分布する紅藻ソゾノハナを用いたジャガイモそうか病の防除

仲川晃生・越智 直・東美佐夫

*,2

・中江康仁

*,3

・福元彰一

**,4

・原井雄二

**

・亀井勇統

*** (農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター,*奄美市役所,**奄美看護福祉専門学校, ***佐賀大学海浜台地生物環境センター)

Control Effect of Red Alga Sozonohana (

aurencia brongniatil) Distributed over the Adjacent Seas in

Southwest Islands of Japan on the Incidence of Potato Scab

Akio N

AKAGAWA5

, Sunao. O

CHI5

, Misao. H

IGASHI

, Yasuhito. N

AKAE

, Shouichi F

UKUMOTO

,

Yuji. H

ARAI

and Yutou. K

AMEI

摘 要 南西諸島での赤土ジャガイモ栽培で発生するそうか病に対し,農薬に頼らない防除技術を開発するため,当 海域に分布する紅藻ソゾノハナのメタノール抽出液の効果について試験した。ソゾノハナのメタノール抽出液 をバガス等の担持体に吸着させた資材を試作し,資材の鋤込みによるそうか病防除効果と抽出液への浸漬によ る種いも伝染防止効果について調べた。この結果,奄美農研の試験において、鋤込み資材調製時の抽出ソゾノ ハナ量を増やすことでジャガイモそうか病の発生が抑制され,特に抽出量を 3.6t/10a とした時は対照薬剤に比 肩する効果を示した。一方,中央農研での種いも消毒試験では,抽出濃度に応じた防除効果の高まりは認めら れなかったが,対照薬剤とほぼ同等の防除効果を示し,そうか病防除に有効であると考えられた。 第1図 紅藻ソゾノハナ

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特徴に合致した環境保全型の防除技術開発が強く求められ ている。本研究では,南西諸島の特産物である紅藻ソゾノハ ナの高度利用技術の開発を目的に,ソゾノハナ抽出液を利用 した資材等を試作し,その効果を圃場条件下で試験した。以 下にその結果を記述する。なお,本研究は平成17 年度先端 技術を活用した農林水産研究高度化事業「南西諸島特産海藻 ソゾノハナの養殖とその高度利用技術の開発」の予算にて行 ったものである。 材料および方法 1.ソゾノハナ資材の調製と圃場鋤込みによるジャガイモ そうか病防除効果 1)試験場所 鹿児島県奄美市(旧名瀬市)では,奄美市農業研究センタ センター(旧名瀬市営農センター,以下奄美農研と略)圃場 を使用した。本圃場は,試験前にクロルピクリンくん蒸剤 (80%製剤 30L/10a,以下同様)により土壌消毒を行った後,中 央農業総合研究センター以下中央農研と略)のジャガイモそ うか病汚染圃場から得た罹病塊茎の病斑部分の剥皮片風乾 物(7.5kg/10a)を均一に散布し,トラクターで混和して汚 染圃場とした。一方,中央農研では,所内隔離圃場にある前 述そうか病自然汚染圃場を用いた。 2)ソゾノハナ資材調製および処理方法 ソゾノハナは毎年 11~2 月にかけて徳之島周辺海域に自生 するものを採取後,約 10kg ずつビニール袋に詰めて試験に 供するまで-20~-30℃で冷凍保存した。試験時には室温で解 凍後,水道水で砂粒等を洗い落として水切りし,生草のまま 供試した。ソゾノハナからの抗菌物質の抽出は Harada ら (1997)の方法に準じ,ソゾノハナの重量 1 に対し体積換算 で 4 倍量のメタノール(99.8%,以下同様)を用いて抽出した。 具体的には,ソゾノハナ 4.5kg 当たり 18L のメタノールを加 えて大型ミキサーで 5 分間ホモジェナイズ後,2 枚重ねとし たガーゼで濾過して基準量のメタノール抽出液を得た。これ を資材の担持体とするバガス(Bagasse:サトウキビの絞りか す)5kg と均一に混ぜた。メタノール抽出液を含んだバガス は,ブルーシートを敷いた室内に薄く広げ,数台の大型扇風 機を数日間連続送風することでメタノールと水分を飛ばし て乾燥させた。2006 年および 2007 年にはメタノールに加え るソゾノハナの量を2 倍または 4 倍に増やすことで 2 倍量濃 度,4 倍量濃度のメタノール液を抽出して資材を調製した。 また、2006 年には米糠を担持体とした資材も一部調製した。 なお,資材化の際には,ソゾノハナの抽出残渣も同時に混和 した。 ソゾノハナ資材は,植付時に小型管理機を用いて土壌全面 に混和させた。処理量は 1t/10a を基本とし,2005 年には 0.5t/10a 処理区も設けた。対照薬剤区では,植付け約 1 ヶ月 前にクロルピクリンくん蒸剤で土壌消毒し,2 週間前にガス 抜きした。 3)耕種概要 奄美農研では北海道産のジャガイモ品種農林1 号(種いも 消毒:フルアジナム水和剤)を使用し,畦幅60cm×株間 25cm, 冬作露地栽培(植付け:11 月中~下旬,堀取り:翌年 2 月中 旬)で試験した。試験区は,1 区 2m×3m,3 反復乱塊法で配 し,ジャガイモは1 区当たり 30 株を用いた。肥料は,植付 前に牛糞堆肥(2t/10a),化成肥料(CDU555,N:P:K=18:26:18, 120kg/10a)および苦土リン(くみあい苦土重焼燐 1 号, 40kg/10a)を施用した。一般管理として,1~2 月にかけて菌 核病防除にイプロジオン水和剤を散布した。 同様に,中央農研でも北海道産のジャガイモ品種農林1 号 を用いた。圃場は植付前に麦桿堆肥(600kg/10a),化成肥料(全 農 製 く み あ い 尿 素 有 機 入 り ジ ャ ガ イ モ 専 用 10-16-14 , 120kg/10a)を施用し,栽稙密度,試験区構成等は奄美農研で の試験と同様である。春作(植付け:3 月,掘取り:7 月) 露地栽培を行い,疫病防除のため6 月にマンゼブ・メタラキ シル水和剤またはマンゼブ水和剤を散布した。 4)調査方法 出芽時に出芽調査を行い,収穫時に塊茎を掘取り後水洗 し,発病塊茎率および発病度を調査した。発病度の調査は以 下の基準で行った。 発病度=100×S(発病指数×塊茎数)÷5×調査塊茎数 発病指数 0:病斑無し,1:病斑面積が塊茎表面積の 1%未 満,2:病斑面積が塊茎面積の 1%~10%未満,3:病斑面積 が塊茎面積の10%~25%未満,4:病斑面積が塊茎面積の 25% ~50%未満,5:病斑面積が塊茎面積の 50%以上 2.ソゾノハナメタノール抽出液のジャガイモそうか病種 いも伝染防止効果 1)試験場所 試験は前述した中央農研と奄美農研圃場で行った。 2)ソゾノハナからのメタノール抽出物の調製と処理方法 中央農研では,2007 年 12 月に徳之島近海で採取したソゾ ノハナを使い,抽出法は前述に準じてソゾノハナ 100gに対 してメタノール400ml の割合で加え,家庭用ミキサーで攪拌 してガーゼ濾過したものを基準量抽出液とした。基準量抽出 液はドライヤーにより溶媒を除去・乾固後,メタノール:水 =5:24 溶液で希釈し,2 倍量,4 倍量を調製した。種いもは 浸漬処理を行い,1L ビーカーに 6 分目程度に入れたソゾノハ ナ抽出液に,いもを一回当たり2~3 個沈めて 5~10 秒間浸漬 後,引き上げて風乾させた。対照としたメタノール処理区で は,ソゾノハナ抽出液の代わりにメタノールを用い,同様に 処理した。対照薬剤にはオキシテトラサイクリン・ストレプ トマイシン水和剤を使い,登録に準じ二通りの処理を行った。 すなわち,散布処理では40 倍希釈液を種いも 100kg 当たり 2.5L の割合で噴霧器を使っていもに直接散布した。また,浸 漬処理では100 倍希釈液を前述ソゾノハナ抽出液の場合と同 様に処理した。 奄美農研では,2006 年 12 月に徳之島近海で採取後冷凍保 存したソゾノハナを用いた。供試抽出液は,前述の資材調製 に準じ,基準量調製時のソゾノハナ量を2 倍または 4 倍に増 やすことで2 倍量濃度,4 倍量濃度の抽出液を得た。種いも

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出芽率(%) 2006 年冬 2007 年春 2007 年冬 処理区名 処理量 ( /10a) (奄美農 研) (中央農研) (奄美農研) ゾノハナ・バガス資材(2 倍量) 1t 98.9 A 98.9 96.7 ソゾノハナ・バガス資材(2 倍量) 0.5t -c) 98.9 ソゾノハナ・バガス資材(4 倍量) 1t - - 94.5 ソゾノハナ・米糠資材(2 倍量) 1t 94.5 A - - ソゾノハナ・バガス・米糠資材(2 倍量) 1t 100.0 A - - バガス 1t 98.9 A - 97.8 米糠 1t 81.1 B - - クロルピクリンくん蒸剤 30L 100.0 A 100 95.6 対照無処理区 96.9 A 95.5 96.6 NSb) NS 第1表.ソゾノハナ資材の鋤込みによるジャガイモの出芽率a) 注.a:数値は平均値,反復数は2007 年冬(奄美)の対照無処理区(4 反復)を除き 3 反復.各発病 塊茎率は角変換後統計処理を行い,同一英字を付した平均値間にはTukey-Kramer の多重検定 により5%水準で有意差なし b:分散分析による有意差なし c:試験せず 2006 年冬(奄美農研) 2007 年春(中央農研) 2007 年冬(奄美農研) 処理区名 処理量 ( /10a) 発病塊茎 率(%)b) 発病 度 防除 価c) 発病塊茎 率(%) 発病 度 防除 価 発病塊茎 率(%) 発 病 度 防除 価 ソゾノハナ・バガス資材(2 倍量) 1t 58.2 14.9 49.0 98.3 62.6 -1.7 71.8 AB 23.1 25.5 ソゾノハナ・バガス資材(2 倍量) 0.5t -d) 93.6 62.1 -4.9 ソゾノハナ・バガス資材(4 倍量) 1t - - - - - - 53.1 A 10.4 63.6 ソゾノハナ・米糠資材(2 倍量) 1t 61.7 15.1 48.3 - - - - - - ソゾノハナ・バガス・米糠資材 (2 倍量) 1t 69.1 19.2 34.2 - - - - - - バガス 1t 63.0 18.6 36.3 - - - 71.3 AB 22.0 23.1 米糠 1t 69.0 19.6 32.9 - - - - - - クロルピクリンくん蒸剤 30L 32.1 7.7 73.6 59.5 23.6 60.1 34.5 A 8.9 68.9 対照無処理区 96.4 29.2 0 94.5 59.2 0 88.3 B 28.5 0 NS e) ns f) NS ns * g) 第2表.ソゾノハナ資材の鋤込みによるジャガイモそうか病防除効果a) 注.a:数値は平均値.反復数は2007 年冬(奄美)の対照無処理区(4 反復)を除き 3 反復 b:各発病塊茎率は角変換後統計処理を行い,同一英字を付した平均値間には Tukey-Kramer の多重検定により 5% 水準で有意差なし c:防除価は発病度から算出した d:試験せず e:分散分析による有意差なし f:Kruskal-Wallis の検定により有意差なし g:Kruskal-Wallis の検定により 5%水準で有意差あり

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は,小型バット(10L 容程度)に各濃度の各濃度の抽出液を 入れ,カゴに入れた種いも(約4kg)を 5~10 秒程度浸漬し た。対照薬剤にはフルアジナム水和剤を使い,100 倍希釈液 を使って同様に浸漬した。処理後,種いもは室内に広げて十 分風乾させた。 消毒した種いもは,いずれの試験でも処理2 日後に植付け た。 3)耕種概要 中央農研では春作(2007 年および 2008 年)と秋作(2007 年)条件下で,また,奄美農研では冬作(2007 年)条件下で 試験した。両試験圃場とも試験区は植付け2 週間前までにク ロルピクリン剤(30L/10a)による土壌消毒(ポリフィルムに よる被覆有り)とガス抜きを行った。ジャガイモは奄美農研 では北海道産品種農林1 号を,また,中央農研では長崎産品 種ニシユタカを用いた。 中央農研および奄美農研での耕種概要や病害の一般防除 は,前出の資材鋤込み試験と同様である。中央農研では春作 (3 月植付け,7 月掘取り)および秋作(9 月植付け,12 月 掘取り)とも露地栽培で行った。 4)調査方法 出芽時に出芽調査を行い,収穫時に塊茎を掘取り後水洗 し,発病塊茎率および発病度を調査した。発病度の調査は前 出通りである。薬害は出芽後から随時肉眼で調査した。 結 果 1.ソゾノハナ資材の調製と圃場鋤込みによるジャガイモ そうか病防除効果 資材鋤込み後のジャガイモの出芽率を第1 表に示した。3 作を通じてソゾノハナ用いた資材の出芽率は,無処理区と差 のない安定した出芽を示した。しかし、米糠を単独処理した 場合は出芽率が低下した。 資材の鋤込みよる試験区のジャガイモそうか病の発生程 度を第2 表に示した。そうか病の発生は,何れの試験時でも 発病塊茎率で90%前後の高い発病となったが,発病度で判断 すれば中央農研は甚発生,奄美農研は多発生条件下での試験 となった。鋤込み量にかかわらず,ソゾノハナ資材の処理に より奄美農研では防除効果(防除価25.5~63.1)が認められ たが,中央農研では認められなかった。ソゾノハナ資材の鋤 込みは,バガスもしくは米糠だけを単独で処理した場合(各 防除価:36.3,32.9)に比べて防除価が高まることから,ソ ゾノハナ抽出物のそうか病に対する防除効果はあると判断 できた。特に 2007 年奄美農研の発病塊茎率の試験結果から は,4 倍量のソゾノハナ資材区とクロルピクリン剤区はとも に無処理区と比較すると有意に効果が認められた。また,発 病度を Kruskal-Wallis の検定により統計処理すると 5%水準 で有意差があり,さらにWilcoxon-Mann-Whitney の U 検定で 事後検定を行った結果は何れの組み合わせにおいても有意 第3表.ソゾノハナ抽出液の種いも消毒によるジャガイモの出芽率a) 出 芽 率(%) 処理区名 処理方法 2007 年春 (中央農研) 2007 年秋 (中央農研) 2007 年冬 (奄美農研) 2008 年 (中央農研) ソゾノハナ(基準量) 浸漬b) 98.9 98.9 94.5 A 100.0 ソゾノハナ(2 倍量) 浸漬 -d) 97.8 70.0 B 98.9 ソゾノハナ(4 倍量) 浸漬 - 95.5 92.2 A 100.0 メタノール 浸漬 100.0 - - 100.0 オキシテトラサイクリン・ス トレプトマイシン水和剤 散布 c) 100.0 オキシテトラサイクリン・ス トレプトマイシン水和剤 浸漬 100.0 93.3 - 100.0 フルアジナム水和剤 浸漬 - - 93.3 A 100.0 対照無処理区 100.0 91.1 98.9 A 100.0 NSe) NS NS 注.a:数値は平均値,反復数は2007 年冬(奄美)の対照無処理区(4 反復)を除き 3 反復. 各発病塊茎率は角変換後統計処理を行い,同一英字を付した平均値間にはTukey-Kramer の多重検定により5%水準で有意差なし b:植付前に種いもを各種濃度のソゾノハナ抽出液または薬液(オキシテトラサイクリン・ ストレプトマイシン剤40 倍,フルアジナム剤 100 倍)に 5~10 秒間浸漬 c::植付前に薬液(40 倍)を種いも 100kg 当り 2.5L の割合で散布 d:試験せず e:分散分析の結果有意差なし

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(確定変数<0.01 で有意)ではないものの、クロルピクリン 剤-対照無処理区とソゾノハナ・バガス資材(4 倍量)-対 照無処理区の確定変数はともに0.023 と何れの組み合わせの 中でも一番低い値を示し、統計上は有意ではないものの、対 照に対する両処理の効果はほぼ同等であると判断された。 資材調製にはバガスと米糠の 2 種類の担持体を用いたが, 2006 年冬作試験の結果からは効果に差(各防除価:バガス 49.0,米糠 48.3)は認められなかった。しかし,バガスと米 糠を同時に用いた場合の効果は防除価34.2 と低く,これはバ ガス・米糠を単独で処理した場合と同等であった。 2.ソゾノハナメタノール抽出液のジャガイモそうか病種 いも伝染防止効果 ソゾノハナ抽出液処理後の種いもの出芽率を第 3 表に示し た。ジャガイモの出芽率は2007 年奄美農研における 2 倍量 ソゾノハナ抽出液区で低下したが,他の区では何れも高い出 芽率が認められた。 ジャガイモ塊茎のソゾノハナ抽出液浸漬による種いも伝 染防止試験の結果を第 2 図,第 4 表に示した。防除効果は抽 出量にかかわらず抽出液に浸漬することで,防除価(発病度) で 29.6~70.9 を示し,対照とした化学薬剤フルアジナム 水和剤(防除価17.6~64.4)およびオキシテトラサイクリン・ ソゾノハナ抽 出液 基準量 ソゾノハナ抽 出液 2倍量 ソゾノハナ抽 出液 4倍量 無 処 理 アグリマイシン 100水和剤 2007 年春(中央農研) 2007 年秋(中央農研) 2007 年冬(奄美農研) 2008 年春(中央農研) 処理区名 処理方 法 発病 塊茎 率(%) 発病 度 防除 価e) 発病 塊茎 率(%) 発病 度 防除 価 発病 塊茎 率(%) 発病 度 防除 価 発病 塊茎 率(%) 発病 度 防除 価 ソゾノハナ(基準量) 浸漬b) 49.5 A 21.1 62.5 66.8 AB 23.3 66.4 25.7 6.3 41.7 47.3 ABC 17.2 58.9 ソゾノハナ(2倍量) 浸漬 -d) 61.5 A 20.3 70.7 31.2 7.6 29.6 30.6 A 12.2 70.9 ソゾノハナ(4倍量) 浸漬 - - - 73.1 AB 21.9 68.4 28.4 6.1 43.5 37.4 AB 14.5 65.4 メタノール 浸漬 69.7 AB 36.9 34.3 - - - - - - 61.7 BC 22.1 47.3 オキシテトラサイク リン・ストレプトマ イシン水和剤 散布c) 51.0 A 12.5 62.3 オキシテトラサイク リン・ストレプトマ イシン水和剤 浸漬 59.5 A 23.6 58.0 43.4 A 11.7 83.1 - - - 32.0 A 9.6 77.1 フルアジナム水和剤 浸漬 - - - - - - 34.3 8.9 17.6 43.4 AB 14.9 64.4 対照無処理区 97.2 B 56.2 0 100.0 B 69.4 0 35.5 10.8 0 74.8 C 41.9 0 NSf) 第4表.ジャガイモそうか病に対するソゾノハナ抽出液の種いも消毒効果a) 注.a:数値は3反覆の平均値.発病塊茎率は角変換後統計処理を行い,同一英字を付した平均値間には Tukey-Kramer の 多重検定により5%水準で有意差なし b:植付前に種いもを各種濃度のソゾノハナ抽出液または薬液(オキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン剤 40 倍,フルアジナム剤100 倍)に 5~10 秒間浸漬した c:植付前に薬液(40 倍)を種いも 100kg 当り 2.5L の割合で散布 d:試験せず e:防除価は発病度から算出した f:分散分析の結果有意差なし 第2図 ソゾノハナメタノール抽出液の種いも消毒 効果

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ストレプトマイシン水和剤(浸責処理での防除価58.0~77.1) とほぼ同等な効果を得た。一方,ソゾノハナ抽出に用いたメ タノールだけを種いも処理した場合は,発病度からの防除価 で 34.3~47.3 となり,効果は低かった。2007 年奄美農研の ソゾノハナ 2 倍量区(29.6)で,他に比べ防除価が低くなっ たが,全般にソゾノハナ抽出液の処理濃度間には効果の明瞭 な差は見られなかった。 考 察 ヘイオーツ(佐久間ら 2002,2003)やフウロソウ(牛木 ら,1995a,1995b)などの植物(緑肥)を鋤込むことでジャ ガイモそうか病の発生を抑制する試みは既に行われており, 関与する抗菌物質(牛木ら,1995b)なども明らかにされて いる。しかし,海藻を用いた試験はこれまでに例がなく,そ うか病以外の植物の病害防除全体を見渡しても、海藻由来の アルギン酸を用いたウイルス病に対する感染阻止剤「レンテ ミン」がある程度である。この意味で海藻は農作物の病害防 除について未利用の資源であり、今後は病害防除等を目的と して積極的な検討が図られるべきである。 ソゾノハナ資材(バガス)の鋤込みによるジャガイモそう か病防除効果は,奄美農研での試験では低いながらも得られ たが,中央農研では,その効果は全く認められなかった。こ の原因は不明であるが,資材はいずれも同一の共同研究機関 (奄美看護福祉専門学校)が調製しているため、効果の振れ が資材の調製法に起因する可能性は考えられない。強いて言 えば,両試験地の位置関係を考慮した時に,亜熱帯地方に位 置する奄美大島と関東地方のつくば市では,同量の未熟有機 物(バガス)を土壌処理した後の分解の速さに違いが生じる ことが考えられる。そうか病は多量の未熟有機物施用により 多発することから,中央農研で鋤込んだバガス(1t/10a)が 栽培期間中に十分に分解できず,結果として未熟有機物とし て作用したことが原因の一つであると考えられる。このた め、奄美以外の地域で本資材の利用を図る際には、該当地域 の気象等の環境条件に合わせた担持体の検討が必要と思わ れる。 資材の鋤き込みによる防除では、ソゾノハナの抽出量が高 まることで効果が高まる傾向があった。本論ではデータを省 略したが,2005 年冬の奄美農研試験では、基準量濃度の資材 (バガス)処理では効果は全く認められていない。すなわち、 基準量では効果が出ないが、2 倍量(防除価 25.5~49.0)そ して4 倍量(防除価 63.6)と濃度が高まるにつれて効果も高 まったことを考慮すれば、本資材の効果は濃度依存であると 言うことが出来よう。 一方、ソゾノハナ抽出液を種いも消毒に用いた場合は、奄 美農研で低かったものの中央農研では高い効果を示した。こ の原因としては,まず第一に奄美農研では対照薬剤のフルア ジナム水和剤の効果(防除価17.6)も低かったことから,圃 場の土壌消毒が不十分となり,土壌伝染が生じた可能性が考 えられる。また,両試験地で用いた種いもは来歴が異なり, 奄美農研では北海道産の農林1号をまた中央農研では長崎 産のニシユタカを供試した。このため,種いもに付着してい たそうか病菌の菌種および付着菌のソゾノハナ成分に対す る感受性が異なる可能性もある。さらには,高濃度抽出液の 調製法が奄美農研と中央農研で異なるため、このことが効果 に差を生じた可能性も否定できない。奄美農研では一定量の メタノールに加える海藻量を増やすことで高濃度抽出液を 調製したが、添加海藻量に応じて抗菌成分が適性に抽出され たか否か不明である。このことは,一定量のメタノールに対 するソゾノハナの適正抽出量と関わる問題であるため,再度 検討し明らかにする必要がある。 種いも消毒効果に及ぼすソゾノハナ抽出液の処理につい ては,濃度間の明瞭な差は見られなかった。採取時期や場所 により若干の変動はあるにせよ,基準量のソゾノハナ抽出液 の中にはそうか病菌に対する 2MIC(最小生育阻止濃度)程 度の抗菌成分が含まれるとされる(亀井私信)。本試験の結 果からは,種いも消毒効果は基準量の抽出液で十分な効果が 期待できるため,今後はソゾノハナの使用量低減を図る上 で,それ以下の濃度での有効性を明らかにする必要がある。 海草類は冬場に生育するため,ソゾノハナも冬場に天然物 を潜って採取しているが,そのバイオマスには自ずと限界が ある。今後は,地域産物のブランド化を確立するために,限 りある資源を有効に活用し,奄美地域という特色を最大限に 利用した防除技術の開発へ駒を進めるため,他の有効な耕種 的防除技術との組合せを検討する必要がある。 引 用 文 献

Harada, H. et al. (1997) Biol. Pharm. Bull. 20: 541-546. Horikawa, M. et al (1999) J. Antibiotics 52: 186-189. 亀井勇統 (2001) 化学と生物 32(2):92-96. 佐久間太ら(2002)日植病報 68:130.(講要) 佐久間太ら(2003)日植病報 69:79.(講要) 牛木 純ら (1995a) 日本土壌肥料学会講演要旨集 41:73. 牛木 純ら (1995b) 日本土壌肥料学会講演要旨集 41:286.

参照

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