日鶏協ニュース
平成
27 年 3 月号
一般社団法人 日本養鶏協会 日広1503- 1 -特集:鶏卵貿易(輸入
VS 輸出)
【鶏卵輸入について】 養鶏は本来は都市近郊型の畜産業で、都市に暮らしている多くの人々に日配 品・生鮮品として提供される場合が多いものです。 但し、需要のバランスと いう問題が、鶏卵産業でも発生します。 季節的なものとしては、秋から冬に かけて需要が高まり、一部での鶏卵の不足が生じることがあります。 逆に春 から夏にかけては、需要が減少することに対して、産卵が順調になされること から、供給過多という場面も起こります。 そのために日本の鶏卵相場は春先 から夏場にかけてダラダラ下げて、その後夏場の気温上昇とともに相場が上げ、 需要期の 12 月にその年の最高値をつけるというパターンが長い間続きました。 また都市間の相場としても、比較的供給余力が高い産地としての九州(福岡) 相場が、需要主導で展開する東京相場に比べて安いという、相場間格差も生じ ていました。 鶏卵産業において、これらの一時的な需給ギャップを解消する ものとして日持ちのする冷凍液卵、粉卵というものが生産される様になりまし た。 鶏卵加工品としての冷凍液卵、粉卵は当初はそれぞれの土地での需給ギ ャップの時間調整のために使われていましたが、現在では国際的な需給ギャッ プを調整する貿易品としての役割を果たしています。 今月号は鶏卵の貿易に ついて考えてみます。 日本が現在輸入している液卵・粉卵として凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、全 卵粉、卵黄粉、卵白粉などがあり、それ以外に殻付卵も輸入されています。 卵 黄には加糖、加塩物が多く、全卵でも加糖物もあります。 液卵は冷凍されて の輸入となり、殻がなく、卵黄・卵白等のセパレート物での輸入も多いので、 実際の輸入量を殻付に換算するのには、計数をかけて把握します。 また粉卵 に至っては、乾燥されており水分含有量が極めて低いことから、殻付換算計数 も冷凍液卵よりもはるか高いものになっています。 現在の種類別殻付換算計 数と基本関税率(タリフレート)は以下となっています。 殻付卵 凍結全卵 凍結卵黄 凍結卵白 全卵粉 卵黄粉 卵白粉 換算計数 1.0 1.1 1.0 1.2 4.4 2.2 8.6 関税率 17.0% 21.3% 20.0% 8.0% 21.3% 18.8% 8.0%日鶏協ニュース
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一般社団法人 日本養鶏協会 日広1503- 2 - 関税率については相手国との貿易条件により異なります。 上記の様に卵白粉 の換算率がひときわ高くなっており、現在の殻付換算での輸入量の約 3/4 程度 を卵白粉が占めています。 以下が過去 3 年間の殻付換算輸入量です。 日本の鶏卵生産量は平成 4 年に 250 万トン台に到達して、その後は 250 万トン 前後の状態が続いています。 これに上記の鶏卵輸入量(殻付ベース)の 12 万 トン程度を加味すると、総需要量 262 万トンに対しての自給率が約 95%程度と いうことになります。 平成 14 年以降の殻付換算での輸入量を見ると、超低卵価(平成 15 年 年間平 均 151 円→鳥インフルエンザ(平成 16 年 1 月初市 85 円)→反動の高卵価(平 成 16 年 11 月高値 275 円)と鶏卵業界が大きく揺れた直後の平成 17 年(2005 年)に 158 千トンと過去にない輸入量を記録しましたが、それ以外の年におい ては 100-130 千トン程度で推移しています。 以下が平成 16 年以降の殻付換算 での輸入量推移です。 殻付換算での鶏卵輸入量推移(数量単位:千トン) 日本は米国の鶏卵輸出の最大相手国となってきましたが、昨今の米国での卵価 高、急激な円安/ドル高、米国での卵白需要増加から若干傾向が変わりつつある 様です。 輸入品の中で一番単価が高い卵白粉に対する米国の供給能力が最近殻付換算での輸入量(トン)
種類
2012年
2013年
2014年
殻付
347
1,595
1,625
全卵粉
15,453
14,767
13,941
凍結全卵
2,918
3,374
3,638
凍結卵黄
7,549
5,528
6,148
凍結卵白
0
0
0
卵黄粉
4,954
5,543
5,378
卵白粉
97,962
83,288 101,235
合計
129,184 114,095 131,965
換算前数量
27,704
25,750
28,465
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
127
158
120
115
113
100
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
112
132
129
114
132
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一般社団法人 日本養鶏協会 日広1503- 3 - 急減少しており、専ら卵黄関係加工品の輸入が主となっています。 2012 年ま では鶏卵加工品の日本向け輸出国では数量/金額とも米国がトップでしたが、 2014 年には卵白粉の対日大手輸出国である、イタリアが殻付換算数量、金額と もトップを占める様になりました。 下記は平成 12-14 年の米国よりの品目別 輸入推移です。(数量、殻付換算数量:トン、金額:百万円)。 オランダとイタリアよりの輸入は殆どが卵白粉です。 米国においては卵が一 番経済性の高いタンパク質であることが見直されており、牛・豚価格が相対的 に高いことから、鶏卵需要自体が伸びており、輸出余力は当分の間、引き続き 減退するものと思われます。 殻付卵の輸入は主に液卵原料とされておりますが、前述の様に、卵価高騰時の カンフル剤的に輸入が増加し、翌年に卵価が下落するとともに、輸入量が激減 するという不安定なパターンを繰り返してきました。 日本の液卵メーカーと しては地場で安定的な原料卵供給を受けられればそれに越したことがないので すが、卵価が高騰することは鶏卵供給力が落ちることを意味しており、絶対的 な玉切れを起こさないために輸入原料卵を手当する、ということが起きている ということです。 しかし過去の経験から、相場に頼った供給を受けていた液 卵メーカーの一部で安定的な原料卵供給を増加するために、年間一本固定価格 での手当を増やすという動きも見られており、殻付卵については国産回帰の傾 向が見られます。 しかしながら不安なのは TPP(環太平洋経済連携協定)によ る関税の廃止や低減化の可能性があることです。 TPP 決着が近いと見られてお り、鶏卵生産者にとってはまだまだ険しい道が続きます。数量 殻付換算
金額
数量 殻付換算
金額
数量 殻付換算
金額
殻付卵
330
330
84
1,566
1,566
401
1,600
1,600
456
卵黄粉
1,577
3,470
685
2,057
4,525
1,183
2,112
4,646
1,000
凍結卵黄
6,568
6,568
1,708
5,525
5,525
1,916
6,037
6,037
1,786
全卵粉
2,229
9,806
1,061
2,066
9,090
1,283
1,192
5,245
863
凍結全卵
0
0
0
0
0
0
195
214
51
卵白粉
299
2,575
266
292
2,509
360
100
860
236
凍結卵白
0
0
0
0
0
0
0
0
2
米国計
11,003
22,748
3,804
11,505
23,215
5,144
11,235
18,602
4,394
全輸入
27,704 129,184
14,323
25,750 114,095
17,971
28,465 131,965
22,689
シェア
39.7%
17.6%
26.6%
44.7%
20.3%
28.6%
39.5%
14.6%
19.4%
オランダ
3,599
30,955
2,822
2,851
24,517
3,224
3,359
28,707
4,423
イタリア
2,242
19,284
1,593
2,803
24,108
3,011
3,601
30,970
4,670
2014年
2013年
2012年
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一般社団法人 日本養鶏協会 日広1503- 4 - 【鶏卵輸出について】 TPP 交渉においては、当協会も利害関係者として積極的に交渉に同行し、関係者 に立場を訴えてきました。 また畜産ネットワークの一員として鶏卵関係の関 税の低減化に反対してきました。 TPP の結果、関係国よりの鶏卵輸出にさらさ れる可能性があることも否定できませんが、同時にこれを機会に品質の優れた 「日本のたまご」を世界に売っていくことも必要である、との考え方も生まれ てきました。 これは世界的な「和食ブーム」という追い風を受けて、和牛業 界が輸出を拡大する活動を積極的に行っていることもあり、それに続けと豚、 食鳥、鶏卵、乳製品の各生産者団体が立ち上がったということです。 既に和 牛グループが主導して、昨年 12 月に「日本畜産物輸出促進協議会(J-LEC)」 が発足し、我が養鶏業界も 1 月に「鶏卵輸出準備分科会(J-EEC)」を J-LEC の 部会の 1 つとして、当協会を中心に立ち上げました。 以下がその関係図で す。 (1) 鶏卵輸出準備分科会(J-EEC)について 1)行う事業としては主に以下の輸出促進事業を実施します。 〈1〉 国内外での日本産鶏卵の PR 〈2〉 「日本のたまご」統一マークの管理普及 〈3〉 展示会・セミナーの実施 〈4〉 海外マーケッティング調査 〈5〉 国内検討会の開催 〈6〉 鶏卵輸出事業者による輸出活動等の支援 〈7〉 その他輸出促進のため必要な事業日鶏協ニュース
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一般社団法人 日本養鶏協会 日広1503- 5 - 2)会員としては鶏卵生産者、流通業者、輸出業者、関連業者、関係団体等を 対象として募集しております。 3 月中旬現在で6団体、20 事業者合計 26 法人 が会員となっております。 3)会費は年間3 万円で、これは 27 年 4 月からの徴収となります。 現在まで の活動としては平成26 年度補正予算の「畜産物輸出特別支援事業」で J-LEC 活動に約3 億円が付き、部会としての J-EEC も予算に基づき「ロゴマーク検討 委員会」をスタートさせ、具体的なロゴマーク選定作業を行っています。 (2) 鶏卵輸出の実態 鶏卵輸出を行う場合、輸入国と当国の衛生(動物検疫)当局による2国間条件 締結がなされていないと出来ません。 これが当国との間で現在行われている のは、香港とシンガポールの 2 か国のみです。 当分科会会員より輸出希望が ある米国、台湾等については農水省が相手国との交渉を長い間行っております が、昨今の鳥インフルエンザ頻発により、交渉が長引く傾向にあります。 こ れらの国に対する交渉進展のスピードアップを当分科会としては、今後関係省 庁にお願いしていきます。 既存の輸出国の内、香港向けに対しては「対香港 輸出卵取扱施設」の登録を都道府県に行うだけで、輸出対応ができることから、 既に 80 以上の施設が登録されております。 シンガポール向けに関しては、施 設の衛生管理についての要件が厳しいことから、登録施設も 4 か所しかなく、 本格的な輸出はまだなされていないのが現状です。 以下が最近の輸出の現状 です。(数量単位:トン、金額:千円、その他は別途用途の鶏卵であり、商業 用途ではないもの。 正式輸出は香港とシンガポールのみです。) 最近の円安傾向や中国本土での鳥インフルエンザ(AI)慢性化などにより、香 港における日本の鶏卵のシェアが増加しています。 香港向けで昨年 12 月に輸出された宮崎産鶏卵が、AI 発生により香港到着後焼却 処分にされる、という問題が発生しました。 本件につき、J-EEC として香港の 食物・環境衛生署(Center for Food Safety)に問い合わせたところ、「AI 発数量 金額 数量 金額 数量 金額 香港 583 141,479 1,027 249,868 1,517 383,542 シンガポール 1 5,555 他 4 4,510 4 4,886 4 1,575 合計 587 145,989 1,031 254,754 1,522 390,672 2012年 2013年 2014年