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(1)

大学院共通授業:オークションの理論と市場分析

担当者: 高木 真吾

質問等は,

stakagi@econ.hokudai.ac.jp

までお願いします.

June 19, 2009 はじめに 2 オークション . . . 3 この講義で考えたい問題 . . . 4 典型オークション 5 オークションの分類 . . . 6 参加者の価値評価 . . . 7 戦略的同等性 . . . 8 上記オークションの帰結 . . . 9 入札者の評価が互いに独立な場合:IPV 10 第二位価格オークションのルール. . . 12 IPV:第二位価格オークションでの最適入札関数. . . 14 IPV:第二位価格オークションにおける買い手の期待支払額,売り手の期待収入. . . 16 第一位価格オークションのルール. . . 17 IPV:第一位価格オークションでの最適入札関数. . . 19 IPV:第一位価格オークションにおける買い手の期待支払額,売り手の期待収入. . . 20 最適入札関数の性質 . . . 21 IPV:留保価格(最低落札価格) . . . 23 その他の話題 . . . 26 入札者の評価が互いに独立ではない場合:APV 27 関連性(Affiliation). . . 29 APV:第二位価格オークション. . . 30 APV:第一位価格オークション. . . 31 APV:売り手の期待収入. . . 32 IPVAPVのデータを用いた区別:統計分析 35 IPVとAPVの区別についてのアイデア . . . 36 実証分析:航空旅券割引券(株主優待券)オークション. . . 37 分析結果 . . . 38

(2)

はじめに

2 / 38

オークション

n オークション:物・サービスを売る(調達する)仕組みについての考察 — 収益性:どう売れば利益が大きくなるのか — 効率性:一番高い評価をする人に売れるか n 市場化・自由化・効率化の流れの中で重要な位置 — 規制緩和・競争促進の流れの中で競争入札の重視 s 携帯電話などの周波数に関する利用権 s 国債の販売 s 公共事業(どの程度の費用で工事を実施するのか) s 施設の払い下げ(公売・競売など,かんぽの宿,廃校後の学校施設など) s 規制市場への新規参入:電力調達(一定規模以上の電気を使うところは入札を実施 可能) — 世界貿易機関(WTO)の「政府調達に関する協定」及び「政府調達に関する申し合せ」:予 定価格が10万SDR(2007年で1,600万円程度)以上の物を調達するとき,海外の企業も 参加させる

Auction: Theory and Practice – 3 / 38

この講義で考えたい問題

n オークションの売り手,買い手の戦略 — 合理的な入札方法は — 高い収入を生む売り方は n 競争の促進は「利益」を生むのか — 競争の促進=参加者の増加として,競争促進の効果 — 入札額は? 売り手の利益は?

(3)

典型オークション

5 / 38

オークションの分類

n High Price Auction(高価格オークション)

— 一つの商品について,複数の入札者のうち,最も高い値をつけた者が競り落とす

— 例)美術品,稀少品など

n Low Price Auction(低価格オークション)

— 一つの商品について,複数の入札者のうち,最も低い値をつけた者が競り落とす — 例)公共調達 n Oral Format(公開入札) — 値段を引き下げながら,最初に手を挙げた者が勝者:オランダ式 — 値段を引き上げながら,最後まで脱落しなかった者が勝者:イギリス式 n Sealed-Bid Format(封印入札) — 最も高い値をつけた者が,自分の付けた価格で購入:第一位価格・封印入札方式 — 最も高い値をつけた者が,自分の次に高値を付けた者の価格で購入:第二位価格・封印入 札方式

Auction: Theory and Practice – 6 / 38

参加者の価値評価

n 全員がバラバラの嗜好を持ち,商品の価値評価も人によってバラバラ:Independent Private Value

— 例)ハイシーズン以外の航空旅券割引券(株主優待券)

n 商品は全員に取って同じ価値:Common Value

— 例)油田の採掘権(採掘技術は同じ)

n 商品の価値は全く同一ではないが,互いに正の相関がある:Affiliciated Private Value

— 例)著名な画家の美術品

(4)

戦略的同等性

n 商品の価値評価が個人間でバラバラ n 同じ商品を異なる形式のオークションで実施する — オランダ式と第一位価格・封印入札方式は非常に類似性の高い入札結果 — イギリス式と第二位価格・封印入札方式は非常に類似性の高い入札結果 — 入札価格そのものについては前者の方が低い n なぜか?

Auction: Theory and Practice – 8 / 38

上記オークションの帰結

n どのオークションで商品を売ったとしても,売り手にとっては期待収益は同一 — この結果は,買い手間に若干の非対称性(性質の異なる買い手の存在)があっても成立 — 買い手が危険回避的なら不成立(第二位価格・封印入札方式よりも第一位価格・封印入札 方式の方が大きい) — 価値評価が買い手間で関連しているときにも不成立

Auction: Theory and Practice – 9 / 38

入札者の評価が互いに独立な場合:

IPV

10 / 38

この節の目的

n 第一位価格オークションの最適入札関数 n 第二位価格オークションの最適入札関数 n 両オークションの収入同値性 n その他

Auction: Theory and Practice – 11 / 38

第二位価格オークションのルール

n 最高値をつけた人が財の購入権を獲得

(5)

設定

n 入札者はn人,突出した行動をとる者はいない(入札者の対称性) n 一般性を失うことなく,第一番目の入札者(1さん)について考える n 1さんの評価額をv1,入札額をb1 n 1さんの利益: Π1 =  v1− max2≤j≤nbj if b1> max2≤j≤nbj 0 if b1< max2≤j≤nbj

Auction: Theory and Practice – 13 / 38

IPV:

第二位価格オークションでの最適入札関数

n すべての入札者が対称であるなら,次の入札関数がほかの入札方法に比べて利益が高い. βII(v) = v (1) つまり,自分の評価額をそのまま表明することである. n その理由は — 自分の評価額より高くて勝っても,第二位の額が自分の評価額より上なら損する可能性が ある. — 自分の評価額より低くしたとき,その額と自分の評価額の間に入札されるとあったはずの 収入が0. — このように考え続けて,評価額以上でも以下でも評価額そのものを入札した場合よりも収 入が上になることがないことを示すことができる.

(6)

IPV:

勝利確率

n 1さんが勝つ確率(1の評価額がvであり,他はこれ以下となる確率) Gn−1(v) = Pr[V2≤ v, V3 ≤ v, . . . , Vn≤ v] = n Y j=2 Pr[Vj ≤ v] = {FV(v)}n−1 n n人のうち,1さんを除いて,一番大きな評価額を以下のように表現する Y1 ≡ max 2≤j≤nVj n つまり,Y1の分布関数は,Gn−1(v)となるa Pr[Y1 < v] = Gn−1(v)

Auction: Theory and Practice – 15 / 38

a分布関数 Gn−1(v)は,n − 1人の評価額の最高額がv以下になる場合 IPV:

第二位価格オークションにおける買い手の期待支払額,売り手の期待収入

n 期待支払額:勝つ確率×支払額 EPII(v) = vが一番高い評価額であるときの第二位評価額の期待値× vが一番高い評価額である確率 = E[ Y1| Y1< v ] × Gn−1(v) = 1 Gn−1(v) Z v 0 y gn−1(y)dy × Gn−1(v) = Z v 0 y gn−1(y)dy n 売り手の期待収入=全員分の期待支払額の総計Vi ∼ FV(•)on [0, ¯v] n · E[EPII(V )] = n · Z v¯ 0 Z v 0 y gn−1(y)dy  fV(v)dv (2) = n · Z v¯ 0 y · Z v¯ y fV(v)dv  gn−1(y)dy (3) = Z ¯v 0

y · {n · {1 − FV(y)} gn−1(y)}dy = E[V(2,n)] (4)

ただし上式の下線部は,n個の独立な{Vi}ni=1のうち,上から二番目の順序統計量V(2,n)の密

度関数.

n 売り手の期待収入=n人中,二番目の評価額V(2,n)の期待値

(7)

第一位価格オークションのルール

n 最高値を受けた人が財の購入権を獲得

n 支払額は,自分の入札額

n 評価の大きさは,入札者間で独立,その分布はPr[V < v] = FV(v)で表され,V ∈ [0, ¯v]と する.

Auction: Theory and Practice – 17 / 38

設定

n iさんの評価額をvi,入札額をbi n 1さんの利益: Π1 =  v1− b1 if b1> max2≤j≤nbj 0 if b1< max2≤j≤nbj n 評価額vの下での入札戦略をβ(v)とし, — 対称(すべての入札者間で同じ) — β(v)は微分可能 — β(v)は増加的 であるという性質をもつとき, max 2≤j≤nβ(Vj) = β( max2≤j≤nVj) = β(Y1) となる

(8)

IPV:

第一位価格オークションでの最適入札関数

n vという評価を持つ入札者1がbという金額を入札したときの期待利益は以下の通り E[Π1(v)] = (v − b) × Pr[β(Y1) < b] = (v − b) × Pr[Y1 < β−1(b)] β−1(b)はb = β(v)の逆関数 = (v − b) × Gn−1( β−1(b) ) n 一次条件(gn−1(v) = G′n−1(v)) gn−1( β−1(b∗) ) β′( β−1(b) ) (v − b ∗) − G n−1( β−1(b∗) ) = 0 n 対称性からb = β(v)を代入し,整理すると, Gn−1(v) · dβ(v) dv + gn−1(v) · β(v) = v · gn−1(v) ⇔ d dv{Gn−1(v) · β(v)} = v · gn−1(v) n 評価額が0のときは,入札額も0になると考えても一般性を失わないのでβ(0) = 0とする.こ のとき上の微分方程式は次のような解を持つ. β(v) = 1 Gn−1(v) Z v 0 y · gn−1(y)dy = E[Y1| Y1 < v]. (5)

Auction: Theory and Practice – 19 / 38

IPV:

第一位価格オークションにおける買い手の期待支払額,売り手の期待収入

n iさんの期待支払額(「vが一番高い評価額である」=「i番目の入札者がvの入札で勝つ確率」) mI(v) = vが一番高い評価額であるときの入札額× vが一番高い評価額である確率 = E[ Y1| Y1< v ] × Gn−1(v), (Y1≡ max 2≤j≤nVj) 明らかに同じmI(v) = mII(v)となって,どちらも同じ期待払い額. n 売り手にとっての期待収入(第二位評価額の期待値) n · E[mI(V )] = E[V(2,n)] (6)

(9)

最適入札関数の性質

n 上記の最適入札関数は以下のように書き換えることもできる. βI(v) = 1 Gn−1(v) Z v 0 y · gn−1(y)dy = v − 1 Gn−1(v) Z v 0 Gn−1(y)dy (7) βII(v) = v (8) つまり評価額がvであるとき,入札額βI(v)はR0v{Gn−1(y)/Gn−1(v)}dyの分だけ評価額v (あるいはβII(v))から差し引いている(shadingという). n 一般にβI(v)はnに関して増加的 Gn−1(y) Gn−1(v) = FV(y) FV(v) n−1 n→∞ −→ 0, y < v n 二つのオークションの関係については, βI(v)n→∞−→ βII(v) つまり,二つのオークションは参加者が十分多いときには同じ入札を行うようになる. — 第一位価格オークション:入札者数nの増加と共に,同評価を持つ人の入札額が増加 — 第二位価格オークション:入札者数nの増加と共に,同評価を持つ人の入札額は変化なし n 効率性という観点から考えたときには,どちらも最高の評価を与えた人に売ることから効率性 を達成している.

Auction: Theory and Practice – 21 / 38

例1:評価額が一様分布に従う時の最適入札

n 評価額が区間(0, 1)の一様分布に従う状況を考えてみる.つまり fV(v) =  1 0 < v < 1 0 otherwise FV(v) =    0 v ≤ 0 v 0 < v < 1 1 v ≥ 1 , Gn−1(v) = {FV(v)}n−1 n 第一位価格オークションにおける均衡入札関数は βI(v) = v − 1 Gn−1(v) Z v 0 Gn−1(y)dy = v − v n = n − 1 n · v (9) n 第二位価格オークションにおける均衡入札関数は βII(v) = v (10)

(10)

IPV:

留保価格(最低落札価格)

n rという留保価格(この価格以下では売らないという売り手の意思表明)が示されているとき, — 第一位価格オークションの入札関数は βI(v; r) = r · Gn−1(r) Gn−1(v) + 1 Gn−1(v) Z v r y · gn−1(y)dy, v ≥ r — 第二位価格オークションの入札関数は βII(v; r) = v n どちらの場合も一人当たり期待収益の大きさは m(v; r) = r · Gn−1(r) + Z v r y · gn−1(y)dy, v ≥ r となり,全体としての売り手の収益も同じになる.ただし,留保価格がない場合とは一致し ない. n 売れたときの期待売上額S(評価額は[0, ¯v]の間の値をとる) n · r · {1 − FV(r)} · Gn−1(r) + n · Z ¯v r y · {1 − FV(y)} · gn−1(y)dy n 売れ残ってしまった時の売り手の財に対する評価額をv0とすると,期待売上額Sは S = n · r · {1 − FV(r)} · Gn−1(r) + n · Z v¯ r y · {1 − FV(y)} · gn−1(y)dy + {FV(r)}n· v0 n これをrについて最大化すると,以下の関係を満たすr∗である. n · {1 − (r∗− v0) · λ(r∗)} · {1 − FV(r∗)} · Gn−1(r∗) = 0, λ(r∗) = fV(r∗) 1 − FV(r∗) つまりr∗ = v0+λ(r1∗)を満たすr ∗が最適.

(11)

IPV:

留保価格(最低落札価格)つづき

n なぜ留保価格を設定すると期待収益が増えるのか? — 留保価格設定の効果 s 入札者全員が留保価格以下であることによる損失 s 第二位の評価額が留保価格を下回り,参加者(一位がrより上)がいれば落札額が上 昇することによるゲイン s トータルでは上昇というのが上記の結論 n 効率性という観点から考えたときには,留保価格がある場合には問題が生じる. — 正の留保価格を設定し,売り手の評価が0である状況下では,入札者に売れなかった場合 (入札者の評価額は正値であるが,留保価格ほどではない場合)には,財が売り手の手元 に残り,最高の評価を与える人へ引き渡されない可能性が生じる.つまり効率性が常に達 成できるとは限らない.

Auction: Theory and Practice – 24 / 38

例1;つづき

例として評価額分布が一様分布の例を考える.このとき λ(v) = fV(v) 1 − FV(v) = 1 1 − v =⇒ r ∗ = v 0+ 1 − r∗ =⇒ r∗= 1 + v0 2 n = 2,v0 = 0とすると S = n · r∗· {1 − FV(r∗)} · Gn−1(r∗) + Z ¯v r∗ y · {1 − FV(y)} · gn−1(y)dy + {FV(r∗)}n· v0 = 5 12 となるのに対し,留保価格がない場合はr = 0の場合なので S = Z ¯v 0 y · {1 − FV(y)} · gn−1(y)dy = 1 3 = 4 12 となって,確かに留保価格を設定した方が収入が大きくなる.

(12)

その他の話題

n 入札者の数がそれぞれの入札者にはわからない — 売り手の収入が第一位価格/第二位価格オークションで同じ — 第一位価格の入札(潜在的にN 人までは参加しそう,自分以外にk人が参加する確率を pk) βI(v) = N−1 X k=1 pk· Gk(v) PN−1 j=0 pj · Gj(v) × E[Y1,k|Y1,k< v] (Y1,k≡ max 2≤j≤k+1Vj) = N−1 X k=1 pk· Gk(v) PN−1 j=0 pj · Gj(v) × βI(k)(v) β(k)I (v):自分以外がk人の場合の入札額 — 第二位価格の入札βII(v) = v n 即決価格(By-It-Now Option)の存在 — 入札者が危険回避的(若干余分に払っても確実に購入権がほしい)であるとき,BINの存 在は売り上げを引き上げる — オークションを早く切り上げたい買い手も余分に払ってでも終わらせたいので,BINの存 在は売り上げを引き上げる n 入札者の非対称性 — 売り手収入の等価性は保たれることがある — 入札関数は複雑

Auction: Theory and Practice – 26 / 38

入札者の評価が互いに独立ではない場合:

APV

27 / 38

この節の目的

n 第一位価格オークションの最適入札関数 n 第二位価格オークションの最適入札関数 n 第二位価格オークションからの方が収入が平均的に高い n まとめ

(13)

関連性(

Affiliation

n 入札者iは自分自身の財評価に関わる情報Xiを持つ n n人の入札者それぞれが持つ,財に関する情報: {X1, X2, . . . , Xn} n 関連性(Affiliation)=ある人が高評価する情報を持つとき,他の人も高評価となる(multivariate total positivity) — 各人の情報は独立ではないので同時分布を考える必要がある. n 関連性を持つnこの確率変数{X1, X2, . . . , Xn}について, — 性質:増加関数κ(•)について,x > x′であるとき,

E[ κ(Y1) | X1 = x′] ≥ E[ κ(Y1) | X1= x], Y1 = max 2≤j≤nXj n 記号の準備 — Y1= max2≤j≤nXj(自分以外の最高評価値) — Gn−1(y|x) = Pr[Y1 ≤ y | X1= x](自分がxと評価するとき,自分以外の最高評価値の分 布関数) n 入札者1の財に関する評価額(入札者1の選好): V1 ≡ v1(X) = v(X1, X(−1)) ただし自分以外の情報X(−1)は見えない n 自分がx,自分以外の最高評価がyであるときの財の期待評価額: v(x, y; n) = E[ V1| X1= x, Y1= y ] (11) n 各人の評価が独立であるとき(IPV),上の設定は V1 ≡ v1(X) = v(X1) また v(x, y; n) = E[ V1| X1= x, Y1= y ] = E[ V1| X1= x ] ≡ v(x) (12) となって,入札者数nの影響を受けないa

Auction: Theory and Practice – 29 / 38

a

APVのとき,v(x, y; n)はnとともに変化し,IPVのとき,v(x, y; n)はnとは無関係となることを利用して,実際に行 われたオークションの参加者間で評価が独立か否かを統計的に検証することもできる.

(14)

APV:

第二位価格オークション

n 入札者の利益:自分はxという情報を持ち,bを入札したときの利益 — ビッド額がbとなるような情報の大きさはβ−1(b) — Y1がβ−1(b)以下になることが勝ちの条件 — 支払額は第二位価格なのでβ(Y1) Π = Z β−1(b) 0 {v(x, y; n)−β(y)}·gn−1(y|x)dy = Z β−1(b) 0 {v(x, y; n)−v(y, y; n)}·gn−1(y|x)dy n 最適解は? ∂Π ∂b = 1 β′(b)v x, β −1(b); n − v β−1(b), β−1(b); n · g n−1(β−1(b)|x) = 0 関連性の性質から,y < xならv(x, y; n) − v(y, y; n) > 0,y > xなら v(x, y; n) − v(y, y; n) < 0,つまりy = xあるいは βII(x) = v(x, x; n) (13) となる必要がある.

Auction: Theory and Practice – 30 / 38

APV:

第一位価格オークション

n 入札者の利益:情報xを持ち,bというを入札したの期待利益 — zをb = β(z)満たすものとする — 勝った時の支払額:入札額β(z)そのものであることに注意 Π = Z z 0 {v(x, y; n) − β(z)} · gn−1(y|x)dy = Z z 0 v(x, y; n) · gn−1(y|x)dy − β(z) · Gn−1(z|x) n 最適解は(期待利益を最大にする水準zは)? Πz = {v(x, z; n) − β(z)} · gn−1(z|x) − β′(z) · Gn−1(z|x) = 0 関連性の性質からz > x(z < x)のとき,Πz > 0(Πz < 0)なのでz = xを考えると, β′(x) = {v(x, x; n) − β(x)} · gn−1(x|x) Gn−1(x|x) この微分方程式を整理して(β(0) = 0も用いて), βI(x) = Z x 0

v(y, y; n)dLn−1(y|x), Ln−1(y|x) = exp  − Z x y gn−1(t|t) Gn−1(t|t) dt  (14)

(15)

APV:

売り手の期待収入

n IPVの場合 第二位価格オークションからの期待収入 = 第一位価格オークションからの期待収入 n APVの場合 第二位価格オークションからの期待収入 ≥ 第一位価格オークションからの期待収入 — 第二位価格の期待支払額a(情報x):EPII(x) = E[βII(Y1) | X1 = x, Y1 < x] EPII(x) = E[βII(Y1) | X1= x, Y1< x] = E[v(Y1, Y1; n) | X1 = x, Y1< x] = Z x 0 v(y, y; n)dGn−1(y|x) Gn−1(x|x) — 第一位価格の期待支払額(情報x)b:EPI(x) = βI(x) EPI(x) = βI(x) = Z x 0 v(y, y; n)dLn−1(y|x) — 詳細は省略するが,関連性の性質を用いてEPII(x) ≥ EPI(x)を示すことができるc.

Auction: Theory and Practice – 32 / 38

a入札に勝つという条件の下での入札額の期待値.支払額は自分以外の入札額に依存している点に注意.

b情報

xを持っているとき,勝った時支払う期待値は入札額そのもの

c例えば,

Krishna (2002) ”Auction Theory”, Academic Press.などを参照

まとめ

n 入札者間の評価に関連があるとき, — 最適入札関数:第一位価格オークションでは(14)式,第一位価格オークションでは(13)式 — 売り手の期待収入:第二位価格オークション ≥ 第一位価格オークション — 証明は省略するがa,一定の条件を課さないと s 競争が激しくなったとしても,同じ情報のもとで入札額が下がってしまう(消極的な 入札)b s 競争が激しくなったとしても,売り手の収入が必ずしも増加しない ということが起きてしまう n 競争の効果が発揮される上で,入札者間における財評価の関連性の有無は重要な要因

Auction: Theory and Practice – 33 / 38

a例えば,

Pinkse and Tan (2005) ”The Affiliation Effect in First-Price Auctions”, Econometrica 73, pp. 263-277. b競争の激化で財の評価を高くしても,実際勝った後で過大評価をしてしまったことに気付く恐れがある(

winner’s curse:

勝者にかけられる呪い).それを避けるために,財の評価を積極的には引き上げない効果が大きいと本文のようなことが 生じる場合がある.

(16)

例2:共通価値モデル

n 一例として,v(X) = V,すなわち,すべての人について評価額が一定(ただし直接観測はで きない)という設定を考える n 評価額V は以下のような形で入札者の情報と関連している Fx|v(x|v) = x v β , 0 ≤ x ≤ v n また評価額V は観測できないが,以下のような分布に従っているという予測を皆が共有して いる Fv(v) = 1 − v−α, v ≥ 1, α > 2 n 第一位価格オークションの入札関数(計算過程は省略) βI(x; n) = (n − 1) · β + (max{1, x})−(n−1)·β−1 1 + (n − 1) · β × v(x, x; n) v(x, x; n) = α + β · n α + β · n − 1× max{1, x} これをいくつかのnについて図示すると(α = 2.5, β = 0.5),特にシグナルが小さい場合に, 参加者が増えても入札額が減少するという現象が生じていることが分かる n 売り手にとっての期待収入を見てみると Sn=  1 − n · β (α + n · β − β)(α + n · β − 1)  α α − 1 となり入札者の変化に対して単調ではない,競争を促進しても必ずしも売り手の収入が高まる わけではないことが分かる.

(17)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2

Bidding Prices v.s. Number of Bidders

Signal x Bidding Function n=2 n=4 n=6 Figure 1:入札関数:共通価値 5 10 15 20 1.44 1.46 1.48 1.50 1.52 1.54

Revenue of Seller v.s. Number of Bidders

Number of Bidders

Re

v

en

(18)

IPV

APV

のデータを用いた区別:統計分析

35 / 38

IPV

APV

の区別についてのアイデア

n 第一位価格オークション:財の評価 — IPV:入札者数が変わっても変化なし(例えば(12)式を参照) — APV:入札者数が変わると変化(例えば(11)式を参照) — 実施方法:以下の関係式から財の評価を推定 β′(x) = {v(x, x) − β(x)} · g(x|x) G(x|x) ⇔ v(x, x) = β(x) + β′(x) · G(x|x) g(x|x) bi = β(xi) → xi = β−1(bi)を用いて v(xi, xi) = bi+ G(β−1(b i)|β−1(bi)) g(β−1(b i)|β−1(bi)) = bi+ ˜ G(bi|bi) ˜ g(bi|bi) オークションを入札者数ごと分割し,それぞれの場合の財評価推定値の分布をノンパラメ トリックに推定し,それぞれが異なっているならAPVと判断できる. n 第二価格位オークション:入札価格 — IPV:入札者数が変わっても変化なし(例えば(8)式を参照) — APV:入札者数が変わると変化(例えば(13)式を参照) n 実施方法:入札価格の分布を入札者数ごとに推定し,それぞれが異なっているならAPV.

Auction: Theory and Practice – 36 / 38

実証分析:航空旅券割引券(株主優待券)オークション

n 航空旅券割引券(株主優待券) — 基本的には料金を半額にする機能を持つ — 購入に際しては正規料金と同じ扱いなので変更等の自由度が高い s 各種割引券は払い戻し・変更等の面で不都合が生じる場合もある s マイレージも正規料金分 — 割引が設定されない期間も株主優待券は利用可能なことが多い

— YahooオークションでJAL,ANAの株主優待券が販売

— 入札者ごとに目的地,利用法などで異なっているため,IPVの可能性

s GW期にはAPVの傾向がある(利用期限が迫っている).

(19)

分析結果

n 入札額のうち最高値は,評価額そのものではなく,打ち切られた値であることに注意. n 分布全体をみる. — 参加者が多くなると,非常に低い値の入札者が一定層いる n 平均や分位点についてみる.オークションℓにおけるiさんの入札額pi,ℓ,その時の参加人数nℓ — 方法:以下の係数β1の有意性検定 E[pi,ℓ|nℓ] = β0+ β1nℓ 回帰分析 ρτ(pi,ℓ|nℓ) = β0+ β1nℓ 分位点回帰 ただしρτ(p|n)はnが与えられたときのpの100τ%分位点を意味する. — 分布全体あるいは平均的な傾向をみると参加者数によって入札価格分布に変化あり — ただし,比較的高位の分位点に注目するとその影響は小さい:IPVの可能性あり

Auction: Theory and Practice – 38 / 38

2 4 6 8 10 12 0 2000 4000 6000 8000

Bidding Prices and Number of Bidders

Number of Bidders in an Auction

Bidding Prices

ANA JAL

(20)

0 2000 4000 6000 8000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Fn(x) 0 2000 4000 6000 8000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Fn(x) 0 2000 4000 6000 8000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Bidding Price Empirical CDF: JAL

Bidding Prices Fn(x) n: 2 to 4 n: 5 to 7 n: 8 to 12 Figure 4:参加人数別入札分布関数:JAL 0 2000 4000 6000 8000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Fn(x) 0 2000 4000 6000 8000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Fn(x) 0 2000 4000 6000 8000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Bidding Price Empirical CDF: ANA

Fn(x)

n: 2 to 4 n: 5 to 7 n: 8 to 10

(21)

2 4 6 8 10 12 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Quantile Regression Lines: JAL

Number of Bidders Bidding Pr ices 10% 30% 50% 70% 90% Figure 6: 入札者数ごとのパーセント点の推移: JAL 0.2 0.4 0.6 0.8 −400 −300 −200 −100 0 100

Slope of Regression Curves: JAL

Percent

Estimates of Coefficient on nbidders Coefficients (quantile) Lower & Upper C.I. Coefficients (mean) Lower & Upper C.I.

(22)

2 4 6 8 10 0 2000 4000 6000 8000

Quantile Regression Lines: ANA

Number of Bidders Bidding Pr ices 10% 30% 50% 70% 90% Figure 8: 入札者数ごとのパーセント点の推移: ANA 0.2 0.4 0.6 0.8 −600 −400 −200 0

Slope of Regression Curves: ANA

Estimates of Coefficient on nbidders

Coefficients (quantile) Lower & Upper C.I. Coefficients (mean) Lower & Upper C.I.

Figure 3: 入札者数ごとの入札価格
Figure 7: 分位点回帰における入札者数の係数:

参照

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