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令和元年度安全保障貿易管理対策事業 ( 諸外国における貿易 投資管理等関連法制度調査 ) 令和 2 年 3 月 23 日 西村あさひ法律事務所

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令和元年度安全保障貿易管理対策事業

(諸外国における貿易・投資管理等関連法制度調査)

令和

2 年 3 月 23 日

(2)

目 次 序文 ··· 1 第I 章 米国の貿易・投資管理等関連法制度 ··· 2 第一部 デュアルユース品目に関する米国の輸出管理 ··· 2 第一 現在の米国のデュアルユース品目に関する輸出管理の概要 ··· 2 1 輸出管理改革法(ECRA)及び輸出管理規則(EAR)の位置づけ ··· 2 2 EAR に基づく輸出許可要否の判断枠組み ··· 2 3 EAR の適用対象(上記 2 の①) ··· 6 4 EAR 及びそれに基づく規則、命令、許可等の違反に対するサンクション ·· 17 第二 輸出管理の対象となる技術の範囲のECRA による拡大について ··· 18 1 新たに規制対象となる技術 ··· 18 2 規制対象となる輸出等の仕向地 ··· 20 3 例外となり得る取引形態 ··· 21 4 国際的な輸出管理レジームへの提案の義務付け ··· 21 第二部 外国投資リスク審査現代化法 ··· 22 第一 対米外国投資規制及び輸出管理規制をめぐる近時の動き ··· 22 第二 FIRRMA 成立以前の対米外国投資規制の内容 ··· 22 1 CFIUS の審査対象取引 ··· 22 2 審査手続 ··· 25 第三 重要技術の生産等を行う米国事業への投資に関するパイロットプログラム 26 第四 FIRRMA による CFIUS の審査制度改正 ··· 27 1 概要 ··· 27 2 一定の米国事業(TID 米国事業)に対する外国人・企業による投資であって、 当 該 外 国 人 ・ 企 業 が 一 定 の 権 利 等 を 取 得 す る も の( 上 記 1② 、 covered investment) ··· 28 3 外国人・企業による、米国内の一定の不動産の購入、賃借(lease)又は使用権 取得(concession)であって、当該外国人・企業が一定の権利等を取得すること になるもの ··· 39 第三部 情報通信技術及びサービスのサプライチェーンの保護に係る大統領令及び施 行規則案 ··· 43 第一 施行規則案策定の経緯 ··· 43

(3)

第二 施行規則案の概要 ··· 43 1 目的 ··· 43 2 適用対象となる取引 ··· 44 3 禁止される取引、検討プロセス等 ··· 45 4 制裁 ··· 47 第 II 章 中国の貿易・投資管理等関連法制度 ··· 49 第一部 国家情報法 ··· 49 第一 制定目的等 ··· 49 第二 国家情報体制、関連機関及びその役割 ··· 49 第三 国家情報活動に対する協力義務等 ··· 50 1 組織及び国民の協力義務 ··· 50 2 国家情報活動の秘密保持義務··· 51 3 違反に対する罰則 ··· 51 第四 国家情報工作機構の権限・責務 ··· 51 1 国内外の情報活動(国家情報法 10 条、11 条) ··· 51 2 関連部門及び個人との連携(国家情報法 12 条~14 条) ··· 52 3 その他権限(国家情報法 15 条~18 条) ··· 52 4 国家情報活動の制限(国家情報法 19 条) ··· 52 第二部 ネットワーク安全法等 ··· 53 第一 ネットワーク安全法における基本的な概念と監督管理部門 ··· 53 1 ネットワーク安全法とは ··· 53 2 適用対象 ··· 53 3 監督管理部門 ··· 55 第二 義務 ··· 56 1 義務の全体像 ··· 56 2 安全保護義務(等級保護) ··· 58 3 個人情報に関する義務 ··· 65 4 重要データの国内保存義務及び越境移転規制 ··· 74 第三 違法責任及び執行状況 ··· 78 1 ネットワーク安全法における違法責任 ··· 78 2 主要執行部門の役割分担 ··· 79

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3 行政執行に関する概要状況、重点分野、責任対象の類型 ··· 80 第四 暗号法 ··· 82 1 生産、販売に関する許認可、届出 ··· 82 2 強制検査認証制度及び安全評価 ··· 83 3 輸出入 ··· 83 4 企業に対する商用暗号の保護··· 84 5 小括 ··· 85 第五 その他、アルゴリズム、ソースコード等の開示や移転との関係で注意すべき こと ··· 85

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1 序文 本報告書は、米国及び中国の貿易・投資管理等に関する法制度についての調査結果をま とめたものである。以下、第I 章では米国の法制度について1、第II 章では中国の法制度に ついて2、それぞれ調査結果を報告する。 なお、本報告書は、米国及び中国の貿易・投資管理等に関する法制度についての情報提 供を行うことを目的としたものであり、これらの法制度に関する法的助言を提供するもの ではない。 1 本報告書において、米国の法制度に関する記載は、別段の記載がない限り、2020 年 1 月 31 日時点 の情報に基づいている。 2 本報告書において、中国の法制度に関する記載は、別段の記載がない限り、2020 年 2 月 7 日時点の 情報に基づいている。

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2 第 I 章 米国の貿易・投資管理等関連法制度 第一部 デュアルユース品目に関する米国の輸出管理 米国の輸出管理は、米国商務省、米国国務省、米国財務省等、複数の省・政府機関によ り、それぞれ異なる品目に対して又は異なる観点から、異なる法律に基づいて行われてい る。大きな柱として、軍事用に転用可能なデュアルユース品目を含む汎用品に関する規制 と、武器品目に関する規制が存在する。本報告書においては、汎用品のうちデュアルユー ス品目に関する輸出規制を主に取り上げる。 第一 現在の米国のデュアルユース品目に関する輸出管理の概要 1 輸出管理改革法(ECRA)及び輸出管理規則(EAR)の位置づけ デュアルユース品目の輸出管理の具体的内容は、輸出管理規則(Export Administration Regulations、以下「EAR」という。)を中心として定められている。EAR は、連邦規則集 (Code of Federal Regulations、以下「CFR」という。)第 15 編 Commerce and Foreign Trade の Chapter VII, Parts 730-774 を 指 し 、 米 国 商 務 省 産 業 安 全 保 障 局 (Bureau of Industry and Security、以下「BIS」という。)により運用されている。EAR の改正は、他の連邦規則の改正 と同様、米国官報(Federal Register)により公表される。

EAR の上位法は、2001 年まで、1979 年に制定された米国の輸出管理法であったが、同 法が 2001 年に失効した後、輸出管理の根拠は国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act、以下「IEEPA」という。)等におかれていた。2018 年に、2019 年度米国 国防権限法(以下「2019NDAA」という。)の一部として輸出管理改革法(Export Control Reform Act of 2018、以下「ECRA」という。)が制定された3ことにより、輸出管理の根拠法であるこ とを明示的に規定する法律が再び定められた。ECRA では、輸出管理の対象となる技術の 範囲を拡大することが定められている。 なお、汎用品に関する輸出管理のうち、デュアルユース品目以外の品目として、米国独 自規制品目(テロ活動防止規制等)と EAR リスト外規制品目(EAR99)がある。 2 EAR に基づく輸出許可要否の判断枠組み EAR に基づく輸出許可の要否は、概ね、以下の図表 1 のフローチャートに沿って判断す ることになる。

(7)

3

<図表1 EAR に基づく輸出許可要否のフローチャート>

出典:EAR Supplement No. 1 to Part 732 ※赤字箇所は、本報告書作成にあたり弊所が記載したものである。 ① まず、検討対象の品目が、EAR の適用対象となるものかを確認する。EAR の適用対象 となる品目の範囲については、下記3 において述べる。

(8)

4

② 上記①で適用対象となる場合には、商務省規制品目リスト(Commerce Control List)4

おいて、輸出規制分類番号(Export Control Classification Number、以下「ECCN」とい う。)が割り振られているかを確認する。商務省規制品目リストは、EAR 対象品目の 中で、軍事用に転用可能なデュアルユース品目を記載している。

③ 一般禁止事項(General Prohibitions)の 4 から 105に該当するかを確認する。該当する場

合、輸出許可が必要となる。

 ECCN が割り振られていない品目は全て EAR99 に分類される。EAR99 について は、一般禁止事項の4 から 10 に該当する場合には輸出許可が必要となるが、該当 しない場合には輸出許可は不要である。EAR99 は、主に低技術の消費財が多く、 通常は輸出許可不要とされているが、これら品目を禁輸国や懸念のあるエンドユ ーザー、あるいは禁止されている用途に使用するエンドユーザーに輸出する場合 等は許可申請の対象となり、原則不許可になるとされる6  米国の安全保障・外交政策上の利益に反する事業体としてエンティティ・リスト (entity list)7に掲載された事業体に向けた輸出等については、一般禁止事項 5 によ り輸出許可が必要となる8。BIS は、2018 年 8 月、中国の 44 の事業体を同リスト に追加し9、同年10 月にはハイクビジョン、ダーファ等の 28 の事業体10、2019 年 5 月にはファーウェイ及び 68 の関連会社も追加しており11、中国企業に対する輸 出管理を厳格化している。 ④ ECCN が割り振られている品目について、一般禁止事項 4 から 10 に該当しない場合 は、Commerce Country Chart12を確認し、商務省規制品目リストにおける対象品目の

4 EAR Supplement No. 1 to 740

5 EAR §736.2(b)(4)から(10)。具体的には、否認命令(denial order)により禁止される行為(一般禁止事項 4)、特定のエンドユース・エンドユーザーへの輸出・再輸出(一般禁止事項 5)、禁輸国等への輸出・ 再輸出(一般禁止事項 6)、米国人による、大量破壊兵器等拡散活動支援(一般禁止事項 7)、共産圏等 を通過する輸出・再輸出(一般禁止事項 8)、許可条件等に対する違反(一般禁止事項 9)、EAR 違反に なると知りながら行う売買、移転、輸出等(一般禁止事項 10)。 6 https://www.buyusa.gov/japan/services/bg_jp_030105.asp https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-020135.html 7 Supplement No. 4 to Part 744

8 EAR §736.2(b)(5)及び§744.16 9 83 FR 37423

10 84 FR 54002 11 84 FR 43493

(9)

5

制理由と、仕向地とが交差する欄にX が記載されていれば、許可例外に該当しない限 り、輸出許可が必要となる。X が記載されていない場合は、輸出許可は不要である。  商務省規制品目リストにおいて、Reasons for Control という欄に記載されている 2

文字のアルファベットとColumn 1 又は Column 2 との組み合わせを確認する。  Commerce Country Chart において、該当するアルファベット(及び数字)に対応する

縦軸と、仕向地国が記載された横軸とが交差するセルにX の記載があるかを確認 する。例えば、商務省規制品目リストの Reasons for Control の欄に、規制理由 NS(National Security)及び Column 2 という記載があり、仕向地が日本の場合、下記 図表2 のとおり、Commerce Country Chart で縦軸 NS2 と横軸 Japan とが交差する 欄にX が記載されていないので、許可は不要である。これに対し、同じ規制理由 及びColumn でも、仕向地が例えばインドネシアであるときは、縦軸 NS2 と横軸 Indonesia とが交差する欄に X が記載されているため、許可例外が適用されない限 り、輸出等には許可が必要となる。 https://www.bis.doc.gov/index.php/documents/regulations-docs/federal-register-notices/federal-register-2014/1033-738-supp-1/file

(10)

6 <図表2 Commerce Country Chart (抜粋)>

⑤ 上記④において X が記載されていた場合、許可例外の適用の有無を確認する。許可例 外には、商務省規制品目リストに記載されているList Based Exceptions と、個々の取引 の実態に基づき適用可能なTransaction Based Exceptions とがある。許可例外の適用があ れば輸出許可は不要であるが、許可例外の適用がなければ、輸出許可が必要である。

3 EAR の適用対象(上記 2 の①)

EAR の適用対象であるかについては、概ね、以下の図表 3 のフローチャートに沿って判 断することになる。

(11)

7

<図表3 EAR の規制対象であるかを判断するフローチャート>

§

引用元:EAR Supplement No. 2 to Part 732

(1) EAR の適用対象となる行為 EAR は、貨物(commodities)、技術及びソフトウェア(これらは品目(item(s))と総称され る 13。以下、「品目」は貨物、技術及びソフトウェアの全てを指す。)の輸出、再輸出及び国 13 EAR §772 "item" 検討対象である品目は、米国政府の他の省・政府機関の管轄に属するか §734.3(b)(1) 検討対象である品目は、EAR に規定される吹き込み済みのレコード、書籍、パ ンフレットその他の印刷物等であるか §734.3(b)(2) 検討対象である技術、ソフトウェアは公知であるか (暗号品目は除く) §734.3(b)(3) 検討対象である品目は米国内にあるか §734.3(a)(1) 検討対象である品目は米国外にあり、かつ米国産品目といえるか §734.3(a)(2) 米国の輸出管理対象である米国産品目を一定基準を超えて組み込んだ外国産品目か §734.3(a)(3) 米国産技術又はソフトウェアの直接産品で特定の仕向地か §734.3(a)(4)(5) EARの適用対象 ではない EARの適用対象 である YES YES YES YES YES YES 輸出等を行う者が生物化学兵器、核爆発装置の拡散等の活動に従事しているか §734.5(a)(b)(c) YES NO NO NO NO NO NO

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8 内移転に適用される。 ア 輸出 輸出とは、品目14を、米国から、米国の外に実際に出荷(shipment)又は移送(transmission) すること(方法は問わない。)等を指す15。輸出先の判定について、中間国を経由して EAR で特定される仕向地に対して品目を輸出することは、経由国ではなく、当該仕向地への輸 出とみなされる16 また、品目自体が米国の外に移送されるわけではないが、技術又はソースコードを米国 内で外国人に提供(release)し、又はその他の形で移転(transfer)することは、輸出とみなされ る(みなし輸出)17。提供とは、①視覚若しくはその他の方式での品目の検分(inspection)によ

り、EAR 適用対象の技術若しくはソースコードが外国人に開示されること(that reveals …)、又は②口頭若しくは書面で、米国内若しくは外国所在の外国人に対し、技術若しくは ソースコードを渡す(exchanges)ことを指す18。そして、エンドトゥーエンドの暗号化及び

連邦情報処理標準(Federal Information Processing Standards)パブリケーション 140-2 に準拠し た暗号モジュール等により保護された技術又はソフトウェアに対し、当該暗号化が維持さ れた状態でアクセスすることは当該技術又はソフトウェアの提供又は輸出に該当しないと 規定されている一方19、暗号解除キー、ネットワークアクセスコード又はパスワードの告 知等により、暗号化が解除された状態での当該技術又はソフトウェアに対するアクセスを 可能にすることは技術又はソフトウェアの提供に該当し、この場合の許可の要否や許可要 件は、技術又はソフトウェアそのものを輸出又は再輸出する場合と同じであると規定され ている20 すなわち、EAR が輸出管理の観点から着目しているのは、技術又はソフトウェアの提供 であると考えられる。特段、暗号化が行われていない技術又はソフトウェアの場合には、 それらの移転が行われれば、同時に提供も生じるが、暗号化された技術又はソフトウェア の場合には、暗号化が解除された状態でのアクセスが可能になって初めて、移転が生じる ことになる。この点を踏まえ、みなし輸出の仕向地に関する規定は、技術又はソースコー 14 後述のとおり、米国に所在する品目は全て EAR 対象品目であるため、輸出の場合は、品目の種類に かかわらず、全てEAR 対象品目の輸出ということになる。 15 EAR §734.13(a)(1)(2)(3) 16 EAR §734.13(c) 17 EAR §734.13(a)(2) 18 EAR §734.15(a) 19 EAR §734.18(c)

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9 ドの提供を受けた外国人が直近で市民権又は永住権を有する国を仕向地とみなすと定めて いる21 イ 再輸出 再輸出とは、EAR 対象品目を、米国以外の国から、別の米国以外の国に実際に出荷又は 移送すること(方法は問わない。)等を指す22。再輸出先の判定について、中間国を経由して EAR で特定される仕向地に対して EAR 対象品目を再輸出することは、経由国ではなく当 該仕向地への再輸出とみなされる23 また、品目自体が米国以外の国からさらに別の外国へ移送されるわけではないが、EAR の対象となる技術又はソースコードを、米国以外の国で、当該国とは別の国の外国人に提 供し、又はその他の形で移転することは、再輸出とみなされる(みなし再輸出)24。みなし再 輸出の場合も、みなし輸出の場合と同様に、EAR が輸出管理の観点から着目しているの は、技術又はソフトウェアの提供であると考えられる25。この点を踏まえ、みなし再輸出 の仕向地に関する規定も、技術又はソースコードの提供を受けた外国人が直近で市民権又 は永住権を有する国を仕向地とみなすと定めている26 ウ 国内移転 国内移転とは、同一の外国(米国以外の国)の中で生じる、エンドユース又はエンドユー ザーの変更を指す27が、外国人でない者(すなわち、米国人、永住権者等の米国から保護を 受ける者、米国企業)同士の間で行われるものは含まれない28 エ 輸出、再輸出又は移転に該当しない行為 以上がEAR による規制対象となる行為の定義に関する原則であるが、これらの定義に従 21 EAR §734.13(b) 22 EAR §734.14(1)(2)(3) 23 EAR §734.14(c) 24 EAR §734.14(a)(2) 25 EAR §734.18(c)及び§734.15(b) 26 EAR §734.14(b) 27 EAR §734.16

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10 えば輸出、再輸出又は移転に該当するが、例外としてこれらに該当しないとされる行為類 型が定められている29。前述の米国以外の国の国内における米国人・米国企業間での技術 又はソフトウェアの国内移転の他に、①米国と、コロンビア特別区、プエルトリコ自治連 邦区、北マリアナ諸島自治連邦区、その他、国勢調査局が発行する米国輸出統計用の分類 コード別表 C に記載されている地域との間での品目の出荷(shipping)、移動又は移転30、② 機密でない(unclassified)技術又はソフトウェアを、エンドトゥーエンドの暗号化及び連邦情 報処理標準(Federal Information Processing Standards)パブリケーション 140-2 に準拠した暗号 モジュール等により保護しながら送付、取得又は保管する場合(カントリーグループ D:5 の 国31又はロシアに、意図的に保管する場合を除く。)32 33等がある。 オ みなし再輸出に該当しない行為 みなし再輸出についても、例外類型が定められている。具体的には、外国(米国の外)所 在の事業体(entity)が、技術提供が行われている国以外の外国(米国以外の国)の国民に対し て技術又はソースコードを提供する場合であっても、以下の①、②又は③に記載の各要件 を全て満たすときは、それぞれみなし再輸出に該当しないこととされている34 ① 許可例外又は許可不要の国の国民への提供 (1) 当該米国外事業体に、対象の技術又はソースコードを受領する権限がある(許可、 許可例外又は EAR 上、許可を必要としない場合、のいずれであるかは問わな い。)35 (2) 提供の相手方である外国人が直近で市民権又は永住権を有する国が、EAR 上、対 象技術又はソースコードを米国から輸出する際に許可例外に該当すること、又は 29 EAR §734.18 30 EAR §734.18(a)(4)

31 EAR Supplement No. 1 to Part 740 に掲載されている。2019 年 5 月 24 日版では、アフガニスタン、ベ ラルーシ、ミャンマー、中央アフリカ共和国、中国、コンゴ、キューバ、キプロス、エリトリア、 ハイチ、イラン、イラク、北朝鮮、レバノン、リビア、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリ ア、ベネズエラ及びジンバブエがカントリーグループD:5 に入っている。

32 EAR §734.18(a)(5)

33 武器国際取引規則(International Traffic in Arms Regulations (以下、本脚注において「ITAR」という。))と EAR における、輸出、再輸出及び再移転に該当しない行為の範囲を概ね一致させるため、2019 年 12 月 26 日、国務省国防貿易管理局(Directorate for Defense Trade Control)は、ITAR の対象となる暗号 化された技術データの米国外への送付、出荷又は保管について、同局による許可又は承認が不要と なる場合に関する、ITAR の改正案を公表した(https://www.pmddtc.state.gov/sys_attachment.

do?sysparm_referring_url=tear_off&view=true&sys_id=1d508454db82c8505c3070808c961968)。 34 EAR §734.20(a)、(b)及び(c)

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11 許可不要の国であることを、当該米国外事業体が知っている36 ② カントリーグループ A:5 の国の従業員への提供 (1) 当該米国外事業体に、対象技術又はソースコードを受領する権限がある(許可、許 可例外又は EAR 上、許可を必要としない場合、のいずれであるかは問わな い。)37 (2) 提供の相手方である外国人が当該米国外事業体の真正の(bona fide)永続的正規従業 員38であり、かつ禁止対象者でない39 (3) 当該従業員がカントリーグループ A:5 の国のみの国民である40 (4) 対象技術又はソースコードの開示が、カントリーグループ A:5 の国の物理的領域 内のみ、又は米国内のみで行われる41  なお、カントリーグループ A:5 には、一部のアジア諸国(日本、インド及び韓国)、 ヨーロッパ諸国(キプロス及びマルタ以外の EU 加盟国、英国、ノルウェー並びに スイス)、一部のイギリス連邦加盟国(オーストラリア、カナダ等)等が含まれてい る42 ③ カントリーグループ A:5 の国以外の従業員への提供 (1) 当該米国外事業体に、対象技術又はソースコードを受領する権限がある(許可、許 可例外又は EAR 上、許可を必要としない場合、のいずれであるかは問わな 36 EAR §734.20(a)(2) 37 EAR §734.20(b)(1)

38 永続的正規従業員(permanent and regular employee)とは、下記のいずれかを指す(EAR §734.20(d)(2))。 ①永続的に(1 年以上)雇用されている者、又は ②契約従業員であって、以下の全ての要件を満たす者 (1)当該米国外事業体の施設内又は当該米国外事業体が指定した場所で勤務する形の、長期的契約関 係がある。 (2)当該米国外事業体の指示及びコントロールの下で勤務している(業務のスケジュール及び内容を当 該米国外事業体が決定している。)。 (3)フルタイムで、かつ当該米国外事業体の専属である。 (4)当該米国外事業体のための勤務の中で受領した秘密情報を開示しないことを誓約する、守秘誓約 書を締結している。

39 EAR §734.20(b)(2)及び§772.1 “proscribed person” (禁止対象者(proscribed person)とは、EAR 対象品目を 受領したり、EAR 対象となる取引に参加したりすることを禁止された者を言う。例えば、Entity List 掲載者や否認命令(denial order)対象者が該当する。)

40 EAR §734.20(b)(3) 41 EAR §734.20(b)(4)

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12 い。)43 (2) 提供の相手方である外国人が、当該米国外事業体の真正の永続的正規従業員であ り、かつ禁止対象者でない44 (3) 対象技術又はソースコードの提供が、当該米国外事業体の所在国又は当該米国外 事業体が正式な事業を行い、若しくは操業している国の物理的領域内のみ又は米 国内のみで行われる45 (4) 当該米国外事業体が、[対象技術又はソースコードの]EAR に反する仕向地、組織 (entity)、エンドユーザー又はエンドユースへの転向(diversion)を防ぐ有効な手続を 持っている46 (5) 下記(a)から(c)のいずれかに該当する47 (a) 提供の相手方である外国人が、当該米国外事業体のホスト国政府から承認さ れたセキュリティクリアランスを持っている48 (b) 当該米国外事業体が、(i)提供の相手方である外国人従業員を審査し(screen)、 かつ、提供の相手方である外国人従業員に、EAR に反して対象技術を開示、 移転又は再輸出しない旨の守秘契約を締結させるためのプロセスを持ってお り、(ii)提供の相手方である従業員によるカントリーグループ D:5 の国との実 質的コンタクト49について審査している。(iii)そのような実質的コンタクトに

ついての従業員に対する審査手続(procedures for screening)を含む技術セキュ リティプラン又は技術クリアランスプランを維持している。(iv)そのような 審査の記録を 5 年間又は対象従業員の雇用期間のうち長い方にわたって維持 している。(v)民事及び刑事の法執行のために要請された場合には、それらの プラン及び記録をBIS 又はその代理人に提示する用意がある50

(c) 当該米国外事業体が(i)英国若しくはカナダの事業体であり、武器国際取引規 則(International Traffic in Arms Regulations (ITAR)) §126.18 を履行している、(ii)

43 EAR §734.20(c)(1)

44 EAR §734.20(c)(2)及び§772.1 “proscribed person” 45 EAR §734.20(c)(3) 46 EAR §734.20(c)(4) 47 EAR §734.20(c)(5) 48 EAR §734.20(c)(5)(i) 49 ①カントリーグループ D:5 の国への定期的な渡航、②カントリーグループ D:5 の国のエージェン ト、ブローカー及び国民との、最近の又は継続的な接触、③カントリーグループD:5 の国に対する 忠誠を継続的に示していること(continued demonstrated allegiance)、④カントリーグループ D:5 の国の 者とのビジネス関係の維持、⑤カントリーグループD:5 の国での住居の維持、⑥カントリーグルー プD:5 の国からの給与その他の継続的な金銭的報酬の受領、⑦その他、[提供された技術のカント リーグループD:5 の国への]転向(diversion)のおそれを示す行動(EAR §734.20(d)(1))。

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オ ー ス ト ラ リ ア の 事 業 体 で あ り 、ITAR 契 約 作 成 ガ イ ド ラ イ ン (ITAR Agreements Guidelines)のパラグラフ 3.7b を履行している、又は(iii)オランダの 事業体であり、ITAR 契約作成ガイドラインのパラグラフ 3.7c を履行してい る51 (2) EAR の規制対象となる品目 ア 5 つの類型 EAR の適用対象となる品目として、下記の 5 つの類型が定められている52 下記①がEAR 対象品目であることにより、米国から何らかの品目を輸出する場合には、 必ず当該品目はEAR の適用対象となる。これに対し、下記②から⑤は、米国の外で再輸出 又は国内移転が行われる場合のうち、どの範囲がEAR の適用対象となるかを画定している (再輸出及び国内移転への EAR の適用は米国の規則の域外適用であるため、一定程度、米 国との結びつきがある品目に限って適用していると見ることができる。)。 ① 米国内に所在する全ての品目 ② 米国産の品目(所在地を問わない。) ③ 組込み製品

 米国の輸出管理の対象である米国産品目(controlled U.S.-origin content と総称される

53。)を組み込んだ以下の外国産品目について、当該米国産品目の価値が、当該外 国産品目の価値の一定割合を超える場合、当該外国産品目はEAR の適用対象とな る 。 この 一定 割 合の 内容 及 び計 算方 法 につ いて は 、後 述す る デミ ニミ ス(de minimis)・ルールが定められている。  米国の輸出管理の対象である米国産貨物を組み込んだ(incorporate)外国産貨物  米国の輸出管理の対象である米国産ソフトウェアと組み合わされた(bundled) 外国産貨物  米国の輸出管理の対象である米国産ソフトウェアと混合した(commingled)外 国産ソフトウェア  米国の輸出管理の対象である米国産技術と混合した(commingled)外国産の技 術 ④ EAR §736.2(b)(3)において定められる、米国産の所定の(下記(1))機微技術又はソフト 51 EAR §734.20(c)(5)(iii)から(vi) 52 EAR §734.3(a) 53 BIS「デミニミス・ルールガイドライン」(2019 年 11 月 5 日版)2 頁

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14

ウェアから産出された外国産の直接産品54(foreign-made direct product)

 EAR §736.2(b)(3)において定められる外国産の直接産品とは、すなわち、一般禁止 事項(General Prohibition) 3 の対象となる製品を指す。  一般禁止事項(General Prohibition) 3 の対象となる産品は、以下の両方を満たすもの である。 (1) 直接産出の基となった技術又はソフトウェアが、(a)輸出許可の発給等の前提 として、対象技術又はソフトウェアの最終受領者から、BIS からの事前承認 がない限り、当該技術又はソフトウェアをどこにも再輸出せず、かつ対象技 術の直接産品をカントリーグループ D:1、E:1 又は E:2 の国55に対し、直接又 は間接的に輸出しないことを確約する書面を提出することが求められている、 又は(b)仕向地がカントリーグループ B の国であることを理由とする許可例外 の前提条件として、同種の56確約書面が必要となる、技術又はソフトウェア であること57 (2) 当該産品について、商務省規制品目リストにおいて、規制理由が国家安全保 障とされていること58 ⑤ 米国産の所定の機微技術又はソフトウェアの直接産品(direct product)である、米国の外 に所在する工場(plant)又は工場の主要部分(major component)により生産された、EAR §736.2(b)(3)において定められる特定の貨物  EAR §736.2(b)(3)において定められる特定の貨物とは、すなわち、一般禁止事項 (General Prohibition) 3 の対象となる産品を指す。  一般禁止事項(General Prohibition) 3 の対象となる産品は、以下の両方を満たすもの である。 (1) 工場又はその主要部分の直接産出の基となった技術又はソフトウェアが、(a) 輸出許可の発給の前提として、又は(b)仕向地がカントリーグループ B の国で あることを理由とする許可例外の前提条件として、輸入者の確約書面(所定の 再輸出等をBIS の許可なく行わないことを誓約するもの)が必要となる技術又 はソフトウェアである59 54 直接産品とは、米国産の技術又はソフトウェアを直接使って作られた、直接の産品(immediate product)を指し、工程(processes)及びサービスを含む(EAR§734.3(a)(4))。 55 中国、モンゴル及びロシア等、主に共産圏の国がカントリーグループ D:1 に含まれる。カントリー グループE:1 はイラン、北朝鮮、スーダン及びシリア、カントリーグループ E:2 はキューバである (EAR Supplement No. 1 to Part 740 (2019 年 5 月 24 日版)。

56 厳密には、上記本文(a)の場合と確約書面の内容は少し異なる。

57 EAR §736.2(b)(3)(ii)(A)(1)、Supplement No. 2 to part 748, paragraph (o)(3)(i)及び§740.6 58 EAR §736.2(b)(3)(ii)(A)(2)

(19)

15 (2) 商務省規制品目リストにおいて、当該産品に関する規制理由が国家安全保障 とされている60 イ デミニミス・ルール 前述のとおり、米国の輸出管理の対象である米国産品目を組み込んだ外国産品目が EAR 適用対象になるか否かを決定するための組込み比率の基準値及び算定方法に関するルール は、デミニミス・ルールと呼ばれる。 組み込まれている米国産品目の価値が、当該米国産品目を組み込んだ外国産品目の価値 に対して占める割合が、原則として 25%を超える場合、仕向地がカントリーグループ E:1 の国(イラン、北朝鮮、スーダン及びシリア)又はカントリーグループ E:2 の国(キューバ)で あるときは10%を超える場合に、当該外国産品目が EAR 適用対象となる61 なお、外国産コンピューター、外国産暗号技術、外国産軍需貨物等、特定の品目につい ては、上記のような、米国の輸出管理の対象である米国産品目の組込みに係る価値割合の 基準値が設定されていない(no de minimis level)62。こうした品目については、わずかでも米 国の輸出管理の対象である米国産品目が組み込まれていればEAR 規制対象品目となる。 組込み比率 = 米国の輸出管理の対象である米国産品目の価値 上記米国産品目を組み込んだ外国産の品目の価値  「米国の輸出管理の対象である」品目とは、「米国からもしそのまま輸出されたら BIS か らの輸出許可が必要になる」品目を指す。  デミニミス・ルールにおいて、外国産品目に組み込まれた米国産品目(上記数式の分 子)が「米国からもしそのまま輸出されたら BIS からの輸出許可が必要になる」ものか否 かを判断する際は、一般禁止事項 4 から 10(上記図表 1 の③)のうち、仕向地に関する もののみを考慮する63。これに対し、最終製品を輸出するにあたり、輸出許可の要否 を検討する際は、特定のエンドユース・エンドユーザーへの輸出・再輸出(一般禁止事 項5)等、仕向地以外の事項に基づく禁止も含め、一般禁止事項 4 から 10 の全てを考慮 する。  外国産品目に組み込まれた米国産品目(上記数式の分子)が EAR99 である場合には、仕 向地がキューバ、北朝鮮、シリア又はクリミア地域である場合のみ、当該品目を「米 国からもしそのまま輸出されたら BIS からの輸出許可が必要になる」ものとして扱う 60 EAR §736.2(b)(3)(ii)(B)(2) 61 EAR §734.4(c)及び(d) 62 EAR §734.4(a) 63 BIS「デミニミス・ルールガイドライン」(2019 年 11 月 5 日版)2 頁

(20)

16 64  なお、米国の輸出管理の対象である米国産技術と混合した外国産技術の再輸出を、デ ミニミス・ルールに基づき BIS から輸出許可を得ずに行う場合には、当該取引を実施 する前に、BIS に届け出なければならない65。届け出てから 30 日間、BIS からのコン タクトがなければ、届出に記載した計算に依拠して、デミニミス・ルールに基づき BIS から輸出許可を得ずに再輸出を行うことができる66。一度、このように届出からの 待機期間の経過を経れば、事後的に BIS から指示を受けない限り、届け出た技術につ いてデミニミス・ルールに基づき輸出許可を得ずに再輸出を行い続けることができる 67 ウ EAR の適用対象とならない品目 EAR の適用対象でない品目として、以下が規定されている。  他の省・政府機関による輸出規制に服する品目68  書籍・パンフレットその他の一般刊行物及びこれらの内容をあらかじめ録音したレコ ード、児童用絵本、新聞その他の定期刊行物、楽譜、カレンダー、地図等、以上のい ずれかの内容を記録したマイクロフィルム、映画のフィルム及びサウンドトラック並 びにそれらの広告印刷物69  出版されている技術又はソフトウェア70  機密でない(unclassified)技術又はソフトウェアが、更なる流通(dissemination)に対 する制限なく一般に利用可能な状態である場合、当該技術又はソフトウェアは「 64 同上

65 届出には、次の事項の記載を含めなければならない(EAR Supplement No. 2 to Part 734, paragraph (b)(1))。①当該外国産技術の内容(scope)及び性質 ②当該外国産技術の公正市場価値及びその算出根拠 ③米国の輸出管理の対象である米国産技術の価値が当該外国産技術の価値に対して占める割合が 10%を超える場合は、当該外国産技術の仕向地 ④BIS からの連絡先となるべき担当者の氏名、肩書き、住所、電話番号、電子メールアドレス及び FAX 番号

66 EAR Supplement No. 2 to Part 734, paragraph (b)(3) 67 同上

68 EAR §734.3(b)(1) 69 EAR §734.3(b)(2) 70 EAR §734.3(b)(3)(i)

(21)

17 出版」されており(published)、EAR の適用対象ではない71  基礎研究から生じた技術又はソフトウェア72  基礎研究73の過程で又はその結果として生じた技術又はソフトウェアで、出版を 意図したものは、EAR の適用対象ではない74  学術機関の科目一覧等に記載されて公開される技術又はソフトウェア75

 特許又は特許出願(発明秘密保持命令(invention secrecy order)の対象となっているものを 除く。)に含まれる技術又はソフトウェア、その他 EAR §734.10 が定める特許関連情 報 76

 機密でないシステムに関する記載(non-proprietary system descriptions)77

 Commerce Control List のカテゴリー9、製品グループ E に対する注記 2 で定義されたテ レメトリーデータ78 4 EAR 及びそれに基づく規則、命令、許可等の違反に対するサンクション (1) 刑事罰 故意に、EAR 及びそれに基づく規則、命令、許可等に違反し、又は違反を企て、共謀し 若しくは幇助した場合、最大100 万ドルの罰金若しくは最長 20 年の拘禁刑又はその両方が 科せられる79 71 EAR §734.7(a) 72 EAR §734.3(b)(3)(ii) 73 科学、エンジニアリング、又は数学の研究であって、その成果が通常出版され、広く研究者コミュ ニティで共有されるものであり、かつ研究者が当該研究に関し、財産上又は安全保障上の利益のた めに、制限に同意していないもの(EAR §734.8(c))。 74 EAR §734.8(a) 75 EAR §734.3(b)(3)(iii) 76 EAR §734.3(b)(3)(iv) 77 EAR §734.3(b)(3)(v) 78 EAR §734.3(b)(3)(vi) 79 ECRA 1760 条(b)項

(22)

18 (2) 民事制裁金 EAR 及びそれに基づく規則、命令、許可等に違反した場合、違反ごとに、30 万ドル又は 違反の基礎となった取引の金額の 2 倍のいずれか大きい額を上限とする民事制裁金の支払 いが課され得る80。また、違反者に対しては、既に出されている輸出許可の取消し81に加え て、EAR の対象品目の輸出、再輸出及び国外移転の禁止も課される可能性がある82 第二 輸出管理の対象となる技術の範囲のECRA による拡大について 1 新たに規制対象となる技術 前述のとおり、米国による技術の輸出管理そのものは従来から行われているが、ECRA により、輸出管理の対象となる技術の範囲を拡大することが定められた。具体的には、米 国 の 国 家 安 全 保 障 に 不 可 欠 な 最 先 端 技 術 及 び 基 盤 的 技 術(emerging and foundational technologies)を、新たに EAR による輸出管理の対象とすることが ECRA に規定されてい る 83 最先端技術及び基盤技術の特定にあたっては、以下の事項を考慮しなければならないと されている84  外国における最先端技術及び基盤的技術の開発状況  最先端技術及び基盤的技術に関する輸出管理規制が、米国における当該技術の開発に 与える影響  最先端技術及び基盤的技術に関する輸出管理規制が、当該技術の外国への拡散を限定 することについて有する効力

上記のような ECRA の規定に基づき、まず最先端技術(emerging technologies)の定義基準 に関するパブリックコメント募集が2018 年 11 月 19 日に公告された(募集期間は 2019 年 1 月10 日までであった85。)。 BIS は、上記のパブリックコメント募集公告において、米国の国家安全保障に不可欠な 最先端技術が存在するか否かを特定すべき技術分野として、以下を挙げている。 80 ECRA 1760 条(c)項(1)号(A) 81 ECRA 1760 条(c)項(1)号(B) 82 ECRA 1760 条(c)項(1)号(C) 83 ECRA 1758 条(b)項(1)号 84 ECRA 1758 条(a)項(2)号(B) 85 83 FR 58201 及び 83 FR 64299

(23)

19  バイオテクノロジー

 人工知能(AI)及び機械学習技術

 測位(Position, Navigation, and Timing (PNT))技術  マイクロプロセッサー技術  先進的計算(advanced computing)技術  データ解析技術  量子情報及び量子センシング技術  物流技術  追加的製造技術(3D プリンティング等)  ロボティクス  ブレインコンピューターインターフェース  極超音速  先進的素材  先進的監視技術 上記のパブリックコメント募集を受けて、200 以上のパブリックコメントが提出された ようである86。また、2019 年 12 月には、商務省が、量子装置において量子ビットの冷却状

態を維持するための量子希釈冷蔵機(quantum diluted refrigerators)、爆発物のための 3D プリ ンティング、半導体の製造に使われるGAA-FET(Gate-All-Around Field Effect transisor)技術、 並びにロシアの神経剤Novichok の製造及び化学反応のためのシングルユース・チャンバー の製造に使われる化学物質について、規制しようとしているとの報道がなされた87 しかし、現時点で、最先端技術の定義案は公表されていない。 また、別途、基盤的技術の定義基準に関するパブリックコメント募集も行われる予定で あるが、現在、まだ行われていない。 2020 年 1 月 6 日、BIS は、地理空間画像の自動解析用に特別に設計したソフトウェアの うち、所定の機能を有するものについて、新たに輸出管理の対象に加える(ECCN を 86 https://www.regulations.gov/docket?D=BIS-2018-0024 87 ロイターの2019 年 12 月 17 日付の記事( https://www.reuters.com/article/us-usa-tech-china-exclusive/exclusive-us-finalizing-rules-to-limit-sensitive-tech-exports-to-china-others-idUSKBN1YL1B8)。

(24)

20 「0Y521」シリーズの中の「0D521」に分類する88。)とする暫定最終規則を公表した89。当該暫 定最終規則によれば、当該ソフトウェアを、カナダ以外の国に輸出等する場合、許可が必 要となり、適用可能な許可例外は、GOV(米国政府の省・機関による、又はそれらに対す る 、 公 用のた め の 輸出等)90の みであ る 。 輸出管 理 の 対象と す る 理由は 、RS(Regional Stability) 1 とされている。当該暫定最終規則は、2020 年 1 月 6 日から施行されており、2020 年3 月 6 日までの間、パブリックコメントが受け付けられた。 2 規制対象となる輸出等の仕向地 ECRA に基づく最先端技術及び基盤的技術の輸出等の規制においては、少なくとも、米 国の禁輸国(a country subject to embargo)(武器禁輸国を含む。)に対する輸出等について許可 が必要となる91

武器禁輸国(U.S. arms embargoed countries)は、2020 年 1 月現在、アフガニスタン、ベラ ルーシ、ミャンマー、中央アフリカ共和国、中国、コンゴ、キューバ、キプロス、エリト リア、ハイチ、イラン、イラク、北朝鮮、レバノン、リビア、ソマリア、南スーダン、 スーダン、シリア、ベネズエラ及びジンバブエとされている92。「禁輸国」については、 ECRA 中に明確な定義が存在しないが、EAR 上の文脈であることから、上記の武器禁輸国 及びカントリーグループ E の国を指すとの意見がある93。カントリーグループ E の国は、 2020 年 1 月現在、キューバ、イラン、北朝鮮、スーダン及びシリアである94。ただし、一 般財団法人安全保障貿易情報センターは、この「禁輸国」とはイラン、北朝鮮、シリア、 キューバ及びウクライナのクリミアを指すとの見解を表明している95 前述の 2018 年 11 月のパブリックコメント募集公告には、輸出管理のレベルを決定する にあたって、商務省は、最先端技術及び基盤的技術の潜在的なエンドユース及びエンド

88 「0Y521」シリーズは一時的な分類であり、延長されない限り、その有効期間は EAR の Supplement No.5 to part 744 に当該品目を掲載する最終規則が官報により公表された日から 1 年間である。延長 は、米国政府が国際的な輸出管理レジームに対し、当該品目について国際的な輸出管理を及ぼすよ う促す提案を提出済みであることを要件とする。「0Y521」の分類が失効する前に、「0Y521」の品目が 商務省規制品目リスト上の別の(より永続的な)ECCN に再分類されず、「0Y521」の分類が失効した場 合、当該品目はEAR99 に分類される。 89 85 FR 459 90 EAR §740.11 91 ECRA 1758 条(b)項(2)号(C)及び 83 FR 58201

92 EAR Supplement No. 1 to Part 740 (2019 年 5 月 24 日版)

93 弊所による米国専門家への照会による。

94 EAR Supplement No. 1 to Part 740 (2019 年 5 月 24 日版) 95 http://www.cistec.or.jp/service/uschina/3-ecra_qa.pdf

(25)

21 ユーザー、並びに米国からの輸出が制限されている国(例えば禁輸国)を考慮しなければな らないとの記載がある96 3 例外となり得る取引形態 商務長官は、以下については、最先端技術及び基盤的技術の輸出等に対し、許可等を求 めることを義務づけられない97  以下の二つの形態は、取引の実態が技術でなく貨物の移転であるという理由で、例外 になり得ると定められているものと推測される。  最終製品の販売又はライセンス及びそれに伴う技術の提供であって、取引当事者 である米国人又は米国企業が当該最終製品及び付随技術を通常、顧客、代理店 (distributors)又は再販売業者に提供している場合  製品の販売又はライセンス、及び、インテグレーションサービスその他類似のサ ービスの提供であって、取引当事者である米国人又は米国企業が当該サービスを 通常、顧客に提供している場合 4 国際的な輸出管理レジームへの提案の義務付け 国務長官は、ECRA に基づき輸出管理の対象とした最先端技術及び基盤的技術につい て、商務長官及び国防長官(並びに、必要に応じ、その他の連邦機関の長)と協議しつつ、 国際的な輸出管理レジームに対し、それらの技術を当該レジームが管理する技術のリスト に追加することを提案しなければならない98。この提案から3 年以内に、それらの技術が当 該レジームの管理対象リストに追加されなかった場合、関係する連邦機関の長官は、米国 単独で当該技術の輸出管理を行い続けることを正当化できる国家安全保障上の懸念がある か否かを決定することができる99 96 83 FR 58201 97 ECRA 1758 条(b)項(4)号(C) 98 ECRA 1758 条(c)項(1)号 99 ECRA 1758 条(c)項(2)号

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22

第二部 外国投資リスク審査現代化法

第一 対米外国投資規制及び輸出管理規制をめぐる近時の動き

2018 年 8 月 13 日、2019NDAA の一部として、外国投資リスク審査現代化法(Foreign Investment Risk Review Modernization Act of 2018、以下「FIRRMA」という。)及び ECRA が成 立した100 これらの法律の成立の背景には、「技術の進歩に伴い、民生用と軍事用の技術の境目が 曖昧になっている中、米国の安全保障にとって重要な技術の国外流出をより厳格に管理す べきとの問題意識がある」とされる101 FIRRMA においては、FIRRMA 成立時点で未発効の規定を試験的に施行するパイロット プログラムを実施することが認められており、実際に、2018 年 11 月 10 日からパイロット プログラムが開始されている102 2019 年 9 月 24 日、米国財務省は、FIRRMA の施行を目的として、外国人・企業による 対米投資に関する規則案及び外国人・企業による米国内の不動産の取引に関する規則案を 公表し、パブリックコメントの募集を行った。当該パブリックコメントにおいて寄せられ た意見を踏まえ、2020 年 1 月 17 日、同省は、外国人・企業による対米投資に関する最終規 則(以下「対米外国投資に関する最終規則」という。)及び外国人・企業による米国内の不動 産の取引に関する最終規則(以下「米国内の不動産の取引に関する最終規則」という。)を公 表した。対米外国投資に関する最終規則は、現行のCFR Title31 Part 800 を改正(replace)する ものである。また、米国内の不動産の取引に関する最終規則は、現行の CFR Title31 に、 part 802 を新たに規定するものである。両最終規則は、2020 年 2 月 13 日に施行される。こ れにより、上記パイロットプログラムは2020 年 2 月 12 日で終了する103

第二 FIRRMA 成立以前の対米外国投資規制の内容

1 CFIUS の審査対象取引

FIRRMA 成立以前、対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United

100 FIRRMA は 2019NDAA の Chapter XVII, Subtitle A、ECRA は 2019NDAA の Chapter XVII, Subtitle B と して制定された。

101 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/2c3884697ae265a9.html 102 83 FR 51322

103 Frequently Asked Questions on Final CFIUS Regulations Implementing FIRRMA https://home.treasury.gov/system/files/206/Final-FIRRMA-Regulations-FAQs.pdf

(27)

23

States、以下「CFIUS」という。)は、下記の①及び②の要件をいずれも満たす投資を審査対 象としてきた104

① 1988 年 8 月 23 日より後に提案された又は交渉中である(pending)取引

② 外国人・企業(foreign person)が行う、又は外国人と共に行う、米国内での州際商業 (interstate commerce)の支配(control)を取得することになる取引(merger, acquisition, or takeover)105 上記①は、1988 年包括通商競争力法の成立日以降の取引を指す。 上記②の詳細は、下記のとおりである。  「外国人・企業」(foreign person)とは、(1)外国の国民(米国の市民権又は米国に対する永 続的忠誠(permanent allegiance)を有しない者)106、(2)外国政府若しくは外国の事業体、 又は(3)これらによって支配され、若しくは支配され得る事業体を指す107。外国政府に は、中央政府及び地方政府に加え、政府機関等も含まれる108。外国の事業体(foreign entity)とは、外国法によって設立され、主たる事業地が米国外に存在し又はその資本 性証券が一つ以上の外国の証券取引所で主に取引されている、支店、パートナーシッ プ、グループ・下部グループ(sub-group)、社団(association)、財団(estate)、信託、会社 若しくは会社の一部又は組織を指す。もっとも、米国の国民109が当該事業体の資本 (equity interest)の過半数を最終的に保有していることを証明できる場合には、当該事業 体は外国企業には該当しない110  支配  支 配 と は 、 下 記 の 手 段 を 通 じ て 、 事 業 体 に 影 響 を 及 ぼ す 重 要 事 項 の 判 断 104 31 CFR §800.207 105 2018 年 10 月 11 日の改正前の 31 CFR §800.207

106 foreign person の一類型として foreign national があり、foreign national は「U.S. national でない者」と定 義されており(31 CFR §800.215。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.223 においても同様の定 義が置かれている。)、U.S. national が「米国の市民権又は米国に対する永続的忠誠を有する者」と定 義されている(31 CFR §800.227。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.253 においても同様の定 義が置かれている。)。 107 31 CFR §800.216。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.224 においても同様の定義が置かれて いる。 108 31 CFR §800.213。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.221 においても同様の定義が置かれて いる。 109 上記のとおり、米国の市民権又は米国に対する永続的忠誠を有する者を指す。31CFR §800.227。な お、対米外国投資に関する最終規則§800.253 においても同様の定義が置かれている。 110 31 CFR §800.212。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.220 においても同様の定義が置かれて いる。

(28)

24 (determine)、指示(direct)又は決定(decide)を行う直接又は間接的な権限とされ、実 際に発動されているかを問わない111  議決権の過半数又は有力少数(dominant minority)の保有  取締役会への参加  代理投票(proxy voting)  特別株式  契約上の取り決め  協調行動をとる旨の公式又は非公式の取り決め  その他の手段  具体的には、下記の事項(但し、これらに限られない。)に関する決定権限とされ る112  主要な有形又は無形資産の売却、リース、担保(mortgage)、質権(pledge)又は その他の形での移転。通常の事業か否かを問わない。  事業体の再編(reorganization)、合併、解散(dissolution)  生 産 、 操 業 又 は 研 究 開 発 に 関 す る 施 設 の 閉 鎖 、 移 転 、 大 規 模 な 変 更 (substantial alteration)  大規模な支出・投資、株式若しくは債券の発行、配当支払又は予算の承認  新規事業ライン又はベンチャーの選定  重要な契約の締結、解除又は不履行  未公表の技術、金融その他内部情報の取扱いに関する指針(policies)又は手続  役員(officers)、シニアマネージャー又は(パートナーシップの場合には)ジェ ネラルパートナーの任用又は解任  重要技術、機微技術又は機密の米国政府情報にアクセスできる従業員の任用 又は解雇  上記事項に関する会社定款、創設協定その他組織関係書類の修正  複数の外国人・企業が事業体の所有権を有する場合、支配の有無については下記 の点が考慮される113  当該複数の外国人・企業が関連を有している(related)又は協調行動をとる旨の 111 31 CFR §800.204(a)。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.208(a)においても同様の定義が置か れている。 112 31 CFR §800.204(a)。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.208(a)においても同様の定義が置か れている。 113 31 CFR §800.204(b)。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.208(b)においても同様に規定されて いる。

(29)

25 公式・非公式の取り決めを有するか  当該複数の外国人・企業が、単一の外国の中央政府又は地方政府の機関等 (agencies or instrumentalities)であるか  ある外国人・企業と、当該事業体について所有持分(ownership interest)を有す る別の外国人・企業が、共に単一の外国の中央政府又は地方政府に支配され ているか 2 審査手続

CFIUS は対米外国投資の審査を、当事者からの任意の書面による通知(written notification) により、又は大統領若しくはCFIUS の職権で開始する114。FIRRMA による改正以前、審査

は、最長 30 日間の第一次審査(National Security Review)115と、最大 45 日間の第二次審査

(National Security Investigation)116により構成されていた。第二次審査の後、CFIUS が大統領

に当該取引を回付(forward)した場合には、大統領による判断がなされる。 第一次審査の過程で、審査対象となる取引について安全保障上の懸念が解消されない場 合は、第二次審査に進む。外国政府が支配する取引(government-controlled transaction)につい ては、CFIUS の委員長(すなわち、財務長官。以下、単に「財務長官」とのみ記載する。)及 び同委員長により指名された主導機関(lead agency)の長が、当該取引が米国の国家安全保障 を阻害しないものであると決定しない限り、第二次審査に進む117 第二次審査終了時、CFIUS が当該取引について以後の手続を行わないという決定をした 場合、当該取引は承認されたことになる。これに対し、CFIUS が①取引の停止若しくは禁 止を大統領に勧告する、②上記①の勧告をすべきか否かについてCFIUS が決定に至ること ができない、又は③当該取引についての判断を大統領に求める、との結論に至ると、当該 取引についてCFIUS の報告書が大統領に回付される118 大統領は、CFIUS による第二次審査が完了してから 15 日以内に、当該取引を承認する か、停止又は禁止するかを発表する119。CFIUS 創設以来、大統領が取引を停止又は禁止す る命令を発した例は 5 件であり、これらの取引は、中国企業が関係するか、又は、米国財 務省が、当該取引がもたらす中国の影響力増大が米国国家安全保障に対する懸念を生じさ 114 1950 年国防生産法セクション 721(b)(1)(A)。ただし、対米外国投資に関する最終規則では a voluntary notice という表現が使われている(31 CFR §800.501(a))。 115 2018 年 10 月 11 日の改正前の 31 CFR §800.502(b) 116 31 CFR §800.506(a) 117 31 CFR §800.503(b)(c) 118 31 CFR §800.506(b) 119 1950 年国防生産法セクション 721(d)(2)

(30)

26 せると認めた取引であった120 第三 重要技術の生産等を行う米国事業への投資に関するパイロットプログラム FIRRMA においては、FIRRMA 成立時点で未発効の規定を試験的に施行するパイロット プログラムを実施することが認められており、実際に、2018 年 11 月 10 日からパイロット プログラムが開始されている。対米外国投資に関する最終規則及び米国内の不動産の取引 に関する最終規則の施行日が2020 年 2 月 13 日とされたことにより、当該パイロットプロ グラムは2020 年 2 月 12 日で終了する。 パイロットプログラムにおいては、特定された27 の産業のいずれか一つ以上における米 国事業の活動に関して使われる、又は当該産業における使用のために当該米国事業が特別 に設計した、重要技術の生産、設計、試験、製造、組立て又は開発を行う米国事業への投 資により、外国人・企業が当該米国事業に対する支配を取得するか、又は支配の取得には 至らないものの、外国人・企業が下記のいずれかを取得する場合には、CFIUS への申告が 義務づけられる。  重大な未公表の技術情報へのアクセス  取締役会若しくはこれに相当する統治機関のメンバー若しくはオブザーバー就任、又 はそれらの機関の役職についての指名権  株式の議決権行使以外の形による、重要技術の使用、開発、取得又はリリースに関す る実質的な意思決定への関与 27 の産業は下記のとおりである121  航空機製造  航空機エンジン及びエンジン部品製造

120 当該 5 件は①1990 年、ブッシュ大統領が発した、China National Aero-Technology Import and Export Corporation による MAMCO Manufacturing の買収に関する禁止命令、②2012 年、オバマ大統領が発 した、中国企業であるRalls Corporation による、オレゴンにおける風力発電所計画に関する禁止命 令、③2016 年、オバマ大統領が発した、中国企業である Fujian Grand Chip Investment Fund による、 米国の資産を有するドイツ半導体メーカーAixton の買収に関する禁止命令、④2017 年、トランプ大 統領が発した、中国投資企業であるCanyon Bridge Capital Partners による Lattice Semiconductor の買 収に関する禁止命令、及び⑤2018 年、トランプ大統領が発した、シンガポールに拠点を置く Broadcom による Qualcomm の買収に関する禁止命令である。このうち、Broadcom の件について は、米国財務省が当該買収案件を担当する法律事務所宛に送付したレターにおいて、Broadcom によ るQualcomm の買収の結果、Qualcomm の技術的優位性や規格策定における影響力が弱まることによ り、中国が5G の標準化プロセスにおいて影響力を増し、米国の国家安全保障に対し大きな影響が及 ぶことへの懸念等が記されている(https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/804328/000110465918015036/ a18-7296_7ex99d1.htm)。 121 83 FR 51322

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27  アルミナ精製及びアルミニウム一次製造  ボールベアリング、ローラーベアリング製造  コンピュータの記憶装置(storage device)製造  コンピュータ製造  誘導ミサイル、ロケット製造  誘導ミサイル、ロケットの推進ユニット及び推進ユニット部品製造  装甲車、戦車及び戦車の部分品(component)製造  原子力発電  光学機器及びレンズ製造  その他の基礎的無機化学製品製造  その他の誘導ミサイル、ロケットの部品、補助的装置製造  石油化学製品製造  粉末冶金部品製造  電源トランス、配電及び特殊変圧器製造  一次電池製造  ラジオ・テレビ放送及び無線通信の機器製造  ナノテクノロジーの研究開発  バイオテクノロジーの研究開発(ナノバイオテクノロジーを除く)  アルミニウムの二次製錬及び合金製造  探査、検知、ナビゲーション、誘導、航空及び航海のシステム及び機器製造  半導体及び関連装置製造  半導体機械製造  蓄電池製造  電話機器製造  タービン及びタービン発動機製造 第四 FIRRMA による CFIUS の審査制度改正 1 概要 FIRRMA により、CFIUS の審査対象は、下記のとおりと定められた122 ① 外国人・企業が行う、又は外国人・企業と共に行う投資であって、当該外国人・企業 122 FIRRMA 1703 条

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28

が米国事業123の支配を取得することになるもの(covered control transaction)

② 一定の米国事業(後述する TID 米国事業)に対する外国人・企業(後述する除外投資家を 除く。)による投資であって、当該外国人・企業が後述する一定の権利等を取得するも の(covered investment) ③ 外国人・企業が投資を実行済みの米国事業に関して有する権利の変更で、当該米国事 業に対する支配又は上記②に至るもの ④ 外国人・企業による、米国内の一定の不動産の購入、賃借(lease)又は使用権取得 (concession)であって、当該外国人・企業が一定の権利等を取得することになるもの ⑤ 1950 年国防生産法(Defense Production Act of 1950)721 条の潜脱を意図するその他の取引

等 新たにFIRRMA により CFIUS の審査対象となるカテゴリーは、上記②から⑤である。 対米外国投資に関する最終規則は、①、②、③及び⑤の内容を含み124、米国内の不動産の 取引に関する最終規則は、④及び⑤の内容を含む125 以下では、主に②及び④に関する改正について述べる。 2 一定の米国事業(TID 米国事業)に対する外国人・企業による投資であって、当該外国 人・企業が一定の権利等を取得するもの(上記 1②、covered investment) (1) 新たに審査対象となる投資 ア 要件 CFIUS の審査範囲は、従前は米国事業を外国人・企業が支配することになる取引に限ら れていたが、FIRRMA により、外国人・企業による支配の取得に至らない投資にも拡大さ 123 31 CFR §800.207。2018 年 10 月 11 日以前は、「米国内での州際商業」の支配を取得する取引と定めら れていたが、同日の改正により、「米国事業」の支配を取得する取引が対象とされている。米国事業 (U.S. business)とは、当該事業を支配している個人又は事業体の国籍にかかわらず、米国内での州際 商業に関わる事業体を指し、当該州際商業に関する活動の限度で米国事業に該当する(31 CFR §800.226。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.252 においても同様の定義が置かれてい る。)。 124 対米外国投資に関する最終規則において、covered transaction とは①、②、③及び⑤の取引を指す。 covered transaction のうち、①は covered control transaction、②は covered investment として定義され る。以下、covered transaction は「審査対象となる取引」、covered control transaction は「審査対象となる 支配取引」、covered investment は「審査対象となる投資」と記載する。

125 米国内の不動産の取引に関する最終規則は、審査対象となる不動産取引(covered real estate

transaction)として、④及び⑤に加えて、外国人・企業が、審査対象となる不動産に関して有する権利 の変更を通じて、下記3(1)ア(イ)に述べる権利又は権限のうち少なくとも 3 つのものを得ることにな る、取得、賃借又は使用権取得を定める(米国内の不動産の取引に関する最終規則 §802.212)。

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