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一定の米国事業(TID 米国事業)に対する外国人・企業による投資であって、

第二部 外国投資リスク審査現代化法

2 一定の米国事業(TID 米国事業)に対する外国人・企業による投資であって、

(1) 新たに審査対象となる投資

ア 要件

CFIUS の審査範囲は、従前は米国事業を外国人・企業が支配することになる取引に限ら

れていたが、FIRRMA により、外国人・企業による支配の取得に至らない投資にも拡大さ

123 31 CFR §800.207。20181011日以前は、「米国内での州際商業」の支配を取得する取引と定めら

れていたが、同日の改正により、「米国事業」の支配を取得する取引が対象とされている。米国事業 (U.S. business)とは、当該事業を支配している個人又は事業体の国籍にかかわらず、米国内での州際 商業に関わる事業体を指し、当該州際商業に関する活動の限度で米国事業に該当する(31 CFR

§800.226。なお、対米外国投資に関する最終規則§800.252においても同様の定義が置かれてい

る。)。

124 対米外国投資に関する最終規則において、covered transactionとは①、②、③及び⑤の取引を指す。

covered transactionのうち、①はcovered control transaction、②はcovered investmentとして定義され る。以下、covered transactionは「審査対象となる取引」、covered control transactionは「審査対象となる 支配取引」、covered investmentは「審査対象となる投資」と記載する。

125 米国内の不動産の取引に関する最終規則は、審査対象となる不動産取引(covered real estate

transaction)として、④及び⑤に加えて、外国人・企業が、審査対象となる不動産に関して有する権利 の変更を通じて、下記3(1)ア(イ)に述べる権利又は権限のうち少なくとも3つのものを得ることにな る、取得、賃借又は使用権取得を定める(米国内の不動産の取引に関する最終規則 §802.212)。

29 れることとなった。

具体的には、下記の要件を全て満たす投資が、新たにCFIUSの審査対象となる。

① 外国人・企業による、TID 米国事業に対する投資であること(直接か間接的かは問わな い。)

② 当該投資により、外国人・企業が、TID 米国事業について、支配には至らないもの の、一定の権利等を取得することになること

③ 当該外国人・企業が適用除外投資家に該当しないこと

(ア) TID米国事業

上記ア①について、TID米国事業とは、(i)重要技術(critical technologies)の生産、設計、試 験、製造、組立て又は開発を行う事業、(ii)審査対象となる投資がなされる重要インフラ (covered investment critical infrastructure)に関して所有、操業、製造若しくは供給し、又は サービスを行う事業126、又は(iii)米国市民の機微な個人データを直接又は間接的に保持又 は収集する事業を指す127

重要技術とは、下記のものを指す128

 武器国際取引規則(International Traffic in Arms Regulations)の米国軍需品目リスト(United States Munitions List)に載っている防衛産品及び防衛サービス

 EARの商務省規制品目リスト(Commerce Control List)に載っている品目であって、

 国際枠組みにより規制されているもの

 地域の安定性又は通信傍受規制を規制理由とするもの

 特別に設計され、準備された核関連の機器、部品、部分品、原料、ソフトウェア及び 技術であって、所定の規則の対象になっているもの

 所定の規制に服する核関連の施設、機器及び原料

 所定の規制に服する物質及び毒物

 ECRA に 従 い 規 制 さ れ る 最 先 端 技 術 及 び 基 盤 的 技 術(emerging and foundational technologies)

126 対米外国投資に関する最終規則のAppendix A to Part 800 Column 2に、具体的に各インフラについて 対象となる事業行為が定められている。

127 対米外国投資に関する最終規則§800.248

128 対米外国投資に関する最終規則§800.215

30

(イ) 外国人・企業が、一定の権利等を取得することになること

前記ア②について、当該投資を行う外国人・企業が下記のいずれかに該当する場合、当 該要件を満たすことになる129

 TID米国事業が保有する未公表の重要な技術情報にアクセスできること130

 TID 米国事業において、取締役会若しくはそれに相当する統治機関のメンバー若しく はオブザーバーとしての権利を有すること、又はそれらの機関の役職について指名権 を有すること131

 TID 米 国 事 業 の 下 記 の い ず れ か の 事 項 に 関 す る 、 実 質 的 な 意 思 決 定(substantive

decisionmaking)132に、株式に基づく議決権の行使以外の形で関与すること133

 TID 米国事業により保持され又は収集される米国市民の機微な個人データの使 用、開発、取得、保管又はリリース

 重要技術の使用、開発、取得又はリリース

 審 査 対 象 と な る 投 資 が な さ れ る 重 要 イ ン フ ラ(covered investment critical infrastructure)134の管理、操業、製造又は供給

イ 審査対象とされる投資(covered investment)に該当しない投資

対米外国投資に関する最終規則には、適用除外投資家による投資は審査対象となる投資

(covered investment)に該当しない旨の規定135及び投資ファンドを通じた投資が審査対象とな

る投資(covered investment)に該当しない場合に関する明確化の規定136が置かれている。適用 除外投資家の要件として、適用除外国の概念が用いられている。

129 対米外国投資に関する最終規則§800.211(b)

130 対米外国投資に関する最終規則§800.211(b)(1)

131 対米外国投資に関する最終規則§800.211(b)(2)

132 実質的な意思決定とは、事業体に影響を与える重要事項に関する決定プロセスを指す(対米外国投資 に関する最終規則§800.245)。

133 対米外国投資に関する最終規則§800.211(b)(3)

134 審査対象となる投資がなされる重要インフラとは、Appendix A to Part 800Column 1 に定められた システム及び資産を指し、物理的なものかバーチャルかを問わない(対米外国投資に関する最終規則

§800.212)。インターネット・電気通信、海底ケーブル、発電・送電、原油備蓄、液化天然ガスの輸 出入、証券取引所、鉄道等、多岐にわたる。

135 対米外国投資に関する最終規則§800.211(審査対象となる投資(covered investment)の定義に“by a foreign person other than an excepted investor”という一節が含まれている。また、審査対象となる投資

(covered investment)に該当しない投資を列挙する対米外国投資に関する最終規則§800.304も、も、適

用除外投資家による投資を挙げている(対米外国投資に関する最終規則§800.304(b))。)

136 対米外国投資に関する最終規則§800.307

31 (ア) 適用除外国(excepted foreign state)

2022年2月13日までは、CFIUSが適格国(eligible foreign state)として特定した国(①)が、

同日以降は、①の要件に加えて、外国投資の国家安全保障上のリスクを分析し、投資の安 全に関する事項について米国との協調を促進する堅実な(robust)プロセスを確率し有効に実 施する国であると CFIUS が決定した137という要件(②)も満たす国が、適用除外国となる

138

①の要件を満たす国は、米国財務省のウェブサイト上のCFIUSのページで公表され、② の要件を満たす国は、官報(Federal Register)で公表される139。2020年1月31日現在、①と して、オーストラリア、カナダ及び英国が特定されている140。CFIUS は、これらの国を特 定した理由として、米国との間の機密共有及び軍需産業基盤統合のメカニズムが堅実であ ること(robust intelligence-sharing and defense industrial base integration mechanisms)を挙げてい る。CFIUSは、今後、①として特定する国を追加する可能性があるとしている141

(イ) 適用除外投資家(excepted investor)

TID 米国事業に対して投資を行う者が、下記の①から③のいずれかの要件に該当する外 国人・企業である場合、当該外国人・企業は適用除外投資家に該当し142、当該外国人・企 業がTID米国事業に対する支配を取得しない限り143、当該投資はCFIUSの審査対象とされ ない144

① 一つ以上の適用除外国の国民であって、非適用除外国の国民ではない外国人(下記、

137 対米外国投資に関する最終規則§800.1001(a)

138 対米外国投資に関する最終規則§800.218

139 対米外国投資に関する最終規則§800.218 Note 1

140 85 FR 3116

https://home.treasury.gov/system/files/206/Final-FIRRMA-Regulations-FAQs.pdf

141 85 FR 3116

142 対米外国投資に関する最終規則§800.219

143 対米外国投資に関する最終規則§800.304(c)及び§800.304(f)(4)

144 対米外国投資に関する最終規則§800.304(b)。なお、適用除外投資家による投資は、審査対象となる 投資(covered investment)には該当しないが、別途要件を満たした場合には審査対象となる支配取引 (covered control transaction)に該当し、CFIUSの審査対象とされる可能性がある(covered control

transactionの定義には適用除外投資家による投資を除く旨の文言がなく、また、covered control

transactionに該当しない取引を列挙する対米外国投資に関する最終規則 §800.302が適用除外投資家

による投資を定めていないため。)。

32

当該外国人については「適用除外国民」と記載する。)

② 適用除外国の政府

③ 下記の(a)から(e)の要件を全て満たす外国の事業体であって、当該事業体に親会社が 存在する場合には、当該親会社も(a)から(e)の要件を全て満たすもの

(a) 適用除外国の法又は米国法に準拠して設立されていること (b) 主たる事業所在地(後述する。)が適用除外国又は米国にあること

(c) 取締役会又はそれに相当する統治機関の構成員の 75%以上及びオブザーバーの 75%以上が、米国民又は適用除外国民であること

(d) 次の(i)に該当する外国人・企業が、いずれも(ii)のいずれかであるもの

(i) 単独で下記のいずれかを保有する外国人・企業、又は、外国人・企業のグ ループが合計して145下記のいずれかを保有する場合の、当該グループのそれ ぞれの外国人・企業

 当該事業体の10%以上の発行済の議決権持分(voting interest)

 当該事業体の10%以上の収益を受け取る権利

 解散(dissolution)の場合における、残余財産の10%以上に対する権利

 その他、当該事業体に支配を及ぼすことができる権利 (ii) 下記のいずれかに該当する者

 適用除外国民

 適用除外国の政府

 適用除外国の法に準拠して設立され、主たる事業所在地が適用除外国又 は米国にある外国の事業体

(e) 下記のいずれかに該当する者が、単独又は合計で、当該事業体の最低適用除外 保有割合(後述する。)を保有していること

 外国人・企業に該当しないもの(not a foreign person)

 適用除外国民

 適用除外国の政府

 適用除外国の法に準拠して設立され、主たる事業所在地が適用除外国又 は米国にある外国の事業体

なお、たとえ外国の事業体及び(存在する場合は)親会社が上記(a)から(e)の全てを満たし ていても、当該事業体又は当該事業体の親会社若しくは子会社が下記(f)又は(g)のいずれか

145 (aa)関連する、又は、協調行動をとる旨の公式若しくは非公式の取り決めを有する外国人・企業、

(bb)単一の外国の中央政府若しくは地方政府の機関等(agencies or instrumentalities)である外国人・企 業、又は(cc)単一の外国の中央政府若しくは地方政府に支配されている外国人・企業については、外 国人・企業のグループの一部として考えるものとし、当該外国人・企業の個別の所有権(ownership) を合計するものと規定されている(対米外国投資に関する最終規則§800.219(b))。

33

に該当する場合、当該事業体は適用除外投資家とは認められない146

(f) 当該取引の完了日から遡って 5 年以内に、米国財務省外国資産管理局(OFAC)に よる規制への違反、EAR 違反、CFIUS への通知若しくは申告における重大な虚 偽記載等の、投資及び輸出管理関連の所定の規制への違反履歴があるか、又は 米国内における重罪(felony)について、有罪となった、若しくは米国法務省と訴 追延期合意(deferred prosecution agreement)若しくは不起訴合意(non-prosecution agreement)を締結したことがある。

(g) 当該取引の主要な条件を定める最初の法的拘束力ある文書の締結日において、

BISのEntity List又はUnverified Listに掲載されている。

上記③(b)の主たる事業所在地(principal place of business)は、事業体の経営陣(management) が、事業体の活動を指示し、支配し、又は調整する(coordinate)主な場所(primary location)を 指すと定義されている147。投資ファンドの場合には、ファンドの活動及び投資が、ジェネ ラルパートナー、マネージングメンバー又はこれらに相当する者により、又はこれらの者 に代わって(on behalf of)、指示され、支配され、又は調整される主な場所を指すとされてい る。

 対米外国投資に関する最終規則のうち、「主たる事業所在地」の定義のみ、暫定規則 (interim rule)とされている。この定義も対米外国投資に関する最終規則全体の施行と同 時に(すなわち、2020年2月13日から。)施行されるが、2020年2月18日まで、この 定義に関するパブリックコメントが募集されている148

上記③(e)の最低適用除外保有割合(minimum excepted ownership)とは、当該事業体の株式 が適用除外国又は米国の証券取引所で主に取引されている事業体については、議決権持分 の過半数、利益の過半数を受け取る権利、解散の場合における残余財産の過半数に対する 権利を指し149、当該事業体の株式が適用除外国又は米国の証券取引所で主に取引されてい ない事業体については、議決権持分の 80%以上、80%以上の利益を受け取る権利、解散の 場合における80%以上の資産に対する権利を指す150

146 対米外国投資に関する最終規則§800.219(c)

147 対米外国投資に関する最終規則§800.239(a)

148 85 FR 3112

149 対米外国投資に関する最終規則§800.233(a)

150 対米外国投資に関する最終規則§800.233(b)

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