会長講演
喜 び と と も に う ま れ る 、 そ の 先 の 助 産 ケ ア。
-女 性 と助 産 師 の新 た な
関係-演者 第18回 日本助産学会学術集会会長 松 岡 恵
助 産師 は、女性 と ともにあ り、女性 の持つ 力 を高 め るた め に働 く専 門職 で あ る。 助 産 の先 進国
といわれ る国 々では、 女性 と助産師 は、お互 い の意見 を交換 し信 頼 しあ う幸せ な関係 を築 い てい
る。 そ こで、諸外 国 の実情や 日本 の女性 の これ まで の活 動 を振 り返 り、 これ か らの女 性 と助産師
の さ らに 幸せ な 関係 づ く りに つ いて 考 えて い き た い。
1.女 性 と助 産師 が お互 いの情 報 を共 有 す る
過 去20年 間 を振 り返 る と、1980年 代 は ラマー ズ法 、1990年 代 はバ ー スプ ラ ンや フ リー スタ
イル 出産 をキー ワー ドに して、 自然 な 出産 、主体 的 な出産 を も とめ る女性 と助 産師 の活 動 が行 わ
れ て きた。 現在 では、 出産場所 や 出産方 法、授 乳 方法 な どに限 らず 、不妊 治療 や出生 前診断 、胎
児治療 な どの先 進医療 の現場 も含 めた女性 や 家族 の 「意 思決 定 を支 え るケア」 が助 産 ケア の 中心
課題 とな って い る。
この よ うな女性 と助産 師 との関係 にお い て、最 も重 要な こ とは 「情 報 の共有 」 であ る。 消 費 者
で ある女性 は、 自分 自身 の妊 娠 ・出産 ・育児 を考 え るた めに、女性 同士が お互 い に知識 や経 験 を
共 有 し、学び あ うシステ ムを作 る努 力 を行 って い る。英 国 では、1990年 にはす で にバー スエ ジュ
ケー ターが 出産教 育の 中心的 な役割 を担 い、 ラ クテー シ ョン コンサル タ ン トが母 乳 育児 の支援 を
行 ってい た。 日本 にお いて も、1980年 代 には 「お産 の学 校」 に よる出産 教 育が始 ま り、1990年
代 には各地 に女性 の 自助 グル ープが 誕生 した。そ して 、助産 師 同士 のネ ッ トワー クや 女 性 と助 産
師 を結 ぶネ ッ トワー ク も誕 生 した。
女性 が 自分 自身 の出産 方法や 授 乳方 法、 さらに医療処 置 を選 択す るた めに は、 自分 自身 の身体
の情報 と提 供 され るケアの科 学的 な根拠 な ど、判断 でき るだ けの情報 が必要 であ る。 日本 では、
母子健 康 手帳 に妊 娠経過 ・分 娩 ・一 ヶ月健 診 な どの情報 が記 載 され てい るが 、提 供 され るケア の
判 断 を行 うため に十分 な医学 情報 とは言 い難 い。英 国 で は 「女性 の身 体情 報 は女性 自身 の もの」
とい う考 え方 が定着 し、1990年 代 は じめ にお い て、す で にカル テを女性 が保 持す る システ ムが整
備 され て いた。 またニ ュー ジー ラン ドで も、 周産期 の身 体情報 と提 供 され た ケア 内容 は、女性 と
助 産師 お よび医師 が記録 を共 有す る システ ムが定着 してい る。 どの よ うなケ ア を受 け るか はケ ア
を受 ける女性 自身 が選択 す る もので あ り、そ のた め には女性 が 自分 の身体 に 関す る情報 を知 って
い るこ とが必 要 であ る。今 後 、女性 の身体 に関す る医療 情報 を助 産師 や 医師 が女性 との間 で 、共
有 す る方策 を検 討 す る必 要 が あ る と考 え る。
34 日本助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)