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人助産師 の臨床実践能 力育 成に関す る検討
杏林大学医学部付属病院 総合周産期母子医療センタ ー ○ 久 保 山 は つ き 出 口 さ お り 戸 田 洋 子 高 崎 由佳 理 福 井 トシ 子 I緒 言 1996年 ま で は 、当院 にお け る新 人助 産 師 が1年 経 過 した 時点 で の 、期 待 され る臨床 実 践 能 力 を 、 『他者 に相 談 しな が ら妊 産 褥 婦 へ の ケ ア が 提 供 で き る』 と して い た。 と ころ が 、1997 年 以 降、清潔 操 作 や 環 境 整 備に 対 す る強化 が必 要 とな り、1年 経 過 した 時 点 の そ れ は、『基 礎 看 護 技 術 を 、 自信 を も っ て提 供 で き る』 を加 え た2項 目に な っ た。 1年 経 過 した 時 点 で の 、期待 され る臨床 実践 能 力 が2項 目に な り5年 経 過 した が 、「分 娩 第 1期 の 関わ りを持 っ こ とな く分 娩 介 助 を行 う実 習 を して きた 」「産褥 期 の 実 習 は な か っ た」「授 乳 介 助 経 験 が な い 」「母親 ・両 親 学 級 は 実施 した こ とが な い」な どの 背 景 を もつ 助 産 師 が い る た め、2001年 か らあ らた に新 人助 産 師 の現 任 教 育 プ ロ グ ラ ムの 変 更 を迫 られ た。 これ らの取 り組 み を紹 介 し、今 後 の 臨床 にお け る助 産 師 の 実 践 能 力 育成 を どの よ うに考 え て い くべ き か を検 討 した。 II新 人 助 産 師 に 行 わ れ る病 棟 内 で の 現 任 教 育 プ ログ ラム 1.新 人 助 産 師 へ の レデ ィネ ス調 査 を行 った 上 で 、 オ リエ ンテ ー シ ョン プ ロ グ ラ ム を作 成 。 2.基 礎 看 護 技 術 チ ェ ック(清 潔 操 作 ・酸 素 ボ ンベ の扱 い方 ・体 位 変 換 ・床 上排 泄 ・清 拭 ・ ス トレッチ ャー か らベ ッ ドへ の移 動 ・衛 生 学 的 手洗 い等)を ベ ッ ドサ イ ドケ ア に入 りな が ら、 チ ェ ック リス トに沿 って 「1人 で で き る 」 の評 価 基 準 に到 達 す るま で チ ェ ック を 行 う。チ ェ ック項 目は14項 目で あ る。勤務 時 間 内 で 先輩 助 産 師 か らチ ェ ック を受 け る。 1項 目の チ ェ ック時 間 は 、約1時 間 を 要す る。 2002年 度 の 新 人助 産 師 は 、10人 で あ る。 例 年 の基 礎 看 護 技 術 チ ェ ッ クの 合 格 は3±1.5 回 で あ る。1人3回 で合 格 す る と して 、14項 目を1時 間 ず つ 要 す る と、10人 ×3回 ×14 項 目 ×1時 間=420時 間 で 勤務 時 間 内 に要 す る トー タル の 日数 は 、52.5日 。 基 礎 看 護 技 術 を 習 得 す る た め に、 約2ヶ 月 を要 して い る こ とに な る。 3・ フ ァン トー ムで 分 娩 介 助 技術 演 習 を行 い 、 ビデ オ で撮 影 後評 価 。 実 際 の分 娩 場 面 で介 助 技 術 チ ェ ック を行 う。 4.こ れ らは 、プ リセ プ ター シス テ ム に よ る フォ ロー 体 制 で 行 い 、 こ の プ リセ プ タ ー シス テ ム は1年 間継 続 す る。III現 任 教 育 プ ログ ラム 実 施 後 の 新 人 助 産 師1年 経 過 の 実 態 1.基 礎 看 護 技 術 チ ェ ック の合 格 は3±1.5回 で あ り、4回 目で 合格 す る項 目 もあ るが1年 間 で は 、 回 数 に ば らつ き をみ せ な が ら も全 員 合 格 して い る。 2.分 娩 介 助 チ ェ ッ クで は 、演 習 ビデ オ をみ なが ら客 観評 価 を行 な い 、 自己評 価 と他 者 評 価 の一 致 を確 認 し、 強化 す べ き技 術 を 明確 に して い る。 しか し、基 礎 看 護 技 術 の確 実 性 を追 求す る必 要 が あ るた め 、1人 で 分 娩 介助 を行 な う時期 は10月 以 降 で 、1人 の新 人 助 産 師 が 1年 間で 分娩 介 助 で き る件 数 は 、 わ ず か10例 前 後 で あ る。1年 後 以降 にお い て も 、相 談 し なが ら分 娩 経 過 の 判 断 を し、分 娩 介 助 が で き る と ころ ま で の到 達 は期 待 で きず 、 フォ ロー 体 制 が そ の後 も続 い て い る。2年 目半 ばで よ うや く1人 前 の新 人 に な っ て い る。 IV2001年 度 か らの 新 た な 取 り組 み 分 娩経 過 にお いて 「分 娩 第1期 の学 習 体験 を して い ない 」、「分 娩 介 助 件 数 が 減 少 して い る」 な どか ら、助 産 実 習 で行 なわ れ る、 知識 ・技 術 ・態 度 を養 うと同等 の現 任 教 育 体 制 の 必 要 性 に迫 られ て い る。この こ とか ら、1年経 過 した時 点 で の 助 産 師 に期 待 され る臨 床 実 践 能 力 は 、 『フォ ロー 体 制 の も とで 分 娩 介 助 が で き る』 と し、 体 制 の変 換 を行 っ て き た。 知 識 は レポー トと事 例 検討 で 、技 術 は勤 務 時 間 内 で フ ァン トー ム を用 い ま た 、 実 際 の場 面 で 強化 し、 態度 は産 婦 や 家 族 に対 す る配慮 チ ェ ック リス トを用 い て 実際 の分 娩 場 面 で チ ェ ッ ク し振 り返 る よ うに して い る。 V考 察 1997年 以 降 、 そ して2001年 以 降 と、新 人 助 産 師 の 臨床 実践 能 力 を確 実 な もの にす るた め の 目標 変 更 と、現 任 教 育 プ ロ グ ラ ム を追加 して きた 。 指 導 助 産 師 が他 の業 務 か ら離 れ て 指 導 に あ た る こ とは 不 可能 で あ り、指 導 体 制 は あ っ て も兼 務 しな が らの指 導 で あ る た め、 指 導 内 容 が十 分 とは言 えず 不 消化 の状 態 が 続 い て い る。 指 導 に 必 要 とす る時 間が 増 大 して い る に も 関 らず 、 指 導者 の 関 りの成 果 が見 えに く くな って お り、 ジ レンマ も生 じて い る。 ま た 、 そ の 教育 に あた る指 導助 産 師 に課 せ られ る役 割 の増 大 が、 マ ネ ー ジ メ ン ト上 か らも問 題 に な って い る。 この よ うな状 態 は 、今 後 ど うなっ て い くの で あ ろ うか。 今 後 も加 速 す る こ との な い よ うに してい くた め に は 、 臨床 で受 け入 れ る助 産 実 習体 制 の変 換 が 迫 られ て い る の だ と考 え る。 助 産 実 習 体 制 の変 換 につ い て も1施 設 で の 取 り組 み で は限 界 が あ る。 施 設 間 で協 働 す る実 習 環 境 の 開発 が 望 まれ て い る と考 え る。 また 、助 産 教 育課 程 で の限 界 が あ るな らば 、特 に基礎 看 護 技 術 の習 得 に要 す る2ヶ 月 の 卒 後 研 修 の 必修 化 が保 証 で き る体 制 が急 務 とな って い る もの と考 え る。 さ らに助 産 領 域 で は 、基 礎 看 護 技 術 を踏 ま え て、 さ らに 高度 な技 術 の 習 得 を必 要 とす るた め、 現 時 点 で の新 人助 産 師 の状 態 か ら、 基礎 看 護 技 術 と助 産 技 術 を最適 な環 境 で習 得 す るた め に は 、卒 後 一 定 期 間 の 卒 後研 修 必 修 化 が 必 要 で は な い か と提案 した い。 VI結 論 新 人 助 産 師 の 基礎 看 護 技 術 習 得 と、助 産 技 術 習 得 の た め の仕 組 み つ く りが 必 要 で あ る。 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 113
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母性 看護学 におけ る助産所での実習か らの学び
香川県立医療短期大学 看護学科 ○ 植 村 裕 子 榮 玲 子 松 村 恵 子 I緒 言 地 域で 生活 す る母 子と接 す る機 会が少 な くな った今 日,本 短期 大学 の母 性看 護 学 では助 産 所 での1日 実習 を実施 して い る.実 習 の 目的 として は,地 域で生 活す る母 子 とそ の家 族へ の 看護 を学ぶ こ とを挙 げてい る.こ こで は,学 生 の学び を分析 し,母 性看 護 学 にお け る助 産 所 で の実 習 か らの 学習 内容 につ い て明 らか にす るこ とを 目的 とす る. II方 法 本短 期大 学3年 次学 生 に対 し,助 産所 の実 習終 了後,助 産所 で学ん だ こ とを レポー ト課 題 と した.本研 究の主 旨,成績 に影 響 しな い こ とを説 明 し,同意 の得 られ た36名 を対 象 と した. 調 査 期間 は平成14年5月27日 か ら7月29日 とした.KJ法 を用 いて学 習 内容 を実習 目標 に 沿 って 分類 し,内 容 を分 析 した. III結 果 学生 の学 びか ら実習 目標 に関す る項 目は総数191個 あ り,KJ法 に よる分類 の結 果,大 分類 と しては 「地 域で の母 子保健 活 動」 「実際 の援 助方 法」 「社会 資源 の活用 」 「自然 で あ る こ と」 「地域 で の生活 」 「現代 の地域 社 会 の特徴 」 に分 け られ た .(図1) IV考 察 地域 で生活 す る対象 を理 解す るため に,家 庭 にお け る母 子 と家 族の生 活 を知 り,地 域社 会 にお ける母子 を取 り巻 く生活 環境 を考 える こ とがで きて いた.看 護 学生 は社 会資 源 の一 つ と して助産所 を捉 えてお り,そ こでの母 子保健 活動 の 実際 を知 る こ とがで きた.母 子保 健活 動 を通 して,地 域社会 の なかで,母 子 とそ の家 族が よ り健康 な生 活 を送れ る よ うな具 体的 な援 助方 法 を学ぶ ことがで きてい た.ま た,助 産所 での分 娩見 学 を通 して,自 然 な分 娩 の尊 さや 家族 全 員 で迎 え る新 しい命 につ い て考 え る こ とが で きた. V結 論 助 産所 の1日 実習 を通 して,学 生 は実際 に母子 と家族 にふれ 合 いな が ら,地 域住 民 の生活 に密着 した母 子保 健活 動の展 開 を理解す る こ とがで き,学 習 の効果 に繋 が った と考 え る.し たが って,助 産 所 での1日 実習 は学習 成果 が期待 でき る と考 え る.今 後,さ らに開 業助 産師 の意見 を取 り入れ,よ り効果 的 な母 性看 護 学 にお ける助産 所 での 実習 の あ り方 を検討 して いきた い. 最後に,学 生に ご指導 いただき,ご 協力いただ きま した平野助産院 の平野 艶子先生,い けぞえ 助 産院の池添紀美代先生 に深 く感 謝 申 し上 げます. 図1助 産所での学 生の学 び VI文 献 1) 榮 玲 子, 野 口純 子, 松 村 恵 子: 助 産 所 実 習 の実 態 ―母 性看 護学 実 習 にお け る実 施 状 況 を 中心 と して ―, 日 本 助 産 学 会 誌15(3), 142-143, 2002 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 115
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妊 娠 期 ・産 褥 期 の 家 庭 訪 問 演 習 に お け る ロ ー ル プ レ イ の 効 果
-学 習 進 度 に 応 じ た 事 例 提 供 を 導 入 し
て-香川県立医療短期大学専攻科助産学専攻 ○野口 純子 竹内美由紀
宮本 政子
I緒 言 助 産 師学 生 の教 育 に関 して は 、異 な る看 護 基 礎 教 育 課 程 を終 了 した学 生や 臨 床 経 験 の あ る 学 生 を対 象 とす る こ とか ら、 入 学 時 調 査 を 実施 して い る場 合が 多 い1)。 さ らに,助 産 診 断 技 術 学 にお け る学 習 で は 妊 産褥 婦 の 生活 の場 を理 解 し、対 象 に必 要 な援 助 を実 践 してい く家 庭 訪 問 に よる指 導 技 術 の習 得 が 重 要 とな る2)。 本 学 で は 、地 域 で生 活 して い る受 持 ち妊 婦 の家 庭 訪 問前 に、 対 象 の 生 活 をイ メー ジ化 し、学 習 内容 の活 用 や 指 導 技 術 及 び コ ミュニ ケー シ ョ ン能 力 を育 成 す るた め に、 助 産診 断 技術 学 の 学 習進 度 に応 じて ロール プ レイ を学 内演 習 に取 り入 れ て い る。 本 研 究 の 目的 は,助 産 診 断 技 術 学 の 学 習進 度 に応 じた事 例提 供 を導 入 した ロー ル プ レイ で の 学 生 の 学 習 内 容 と学 習 効 果 に つ い て あ き らか に し、 今 後 の 教 育 資 料 とす る こ とで あ る。 II方 法 1。 対 象:K短 期 大 学 専 攻 科 助 産 学 専 攻 の 学 生14名 。 2.演 習 方法:学 生4∼5名 の3グ ル ー プ に分 け 、1事 例 の ロー ル プ レイ(10分 間)を 実 施 。 1事 例 実施 毎 に 、観 察 者 ・実 施 者 の 視 点 で 他者 評 価 ・自 己評 価 を行 い 、 全 体 討 議 を 実施 した 。 演 習 終 了後 、 「演 習 で の 学 び 」 に つ い て 、 個 人 レポ ー トを提 出 させ た。 演 習 実 施 時 期,時 間,事 例 提 供 方 法 な どに つ い て は 、表1に 示 した 。 表1学 習進度と演習での事例提供方法 3.分 析 方 法:演 習 終 了 後 に 学 生 が提 出 した レポ ー トの 中か ら、 「演 習 で の 学 び 」につ い て記 載 され た 内 容 を分 析 し、 意 味 内容 が 類 似 した も の を カ テ ゴ リー 化 した 。 4.倫 理 的 配慮:レ ポ ー トを分 析 す るに あ た り,学 生 に は研 究 目的 を説 明 し成 績 に は影 響 しな い こ と とプ ライ バ シ ー の 保 護 に つ い て 説 明 し,同 意 を得 た 。 III結 果 ロール プ レイ 実 施 後 に学 生 が記 載 した 「演 習 で の 学 び 」の 内 容 をカ テ ゴ リー化 した(図1)。 総 カ テ ゴ リー数 は 、『妊 娠 期 』 が31、 『産褥 ・新 生児 期 』 が30で あ り、差 は な か っ た。 事 例 を事 前 に 提示 し学 生 に役 割 や ス トー リー な どを 考 え させ た 『妊 娠 期 の ロー ル プ レイ 』で は 「学 習の 準備 ・動 機 づ け 」6名 「対象 理解 」10名 、 「コ ミュニ ケ ー シ ョン技 術 」10名 「指 導 技 術 」 5名 で あっ た。 事前 学 習 の 内容 のみ を提 示 し直 前 に 事例 提 供 した 『産 褥 ・新 生 児 期 の ロー ル プ レイ 』で は 、 「学 習 の準 備 ・動機 つ け 」が2名 と少 な くな った が 、 「指 導 技 術 」12名 「コ ミ ュニ ケ ー シ ョン技 術 」10名 と技 術 に 関す る 内容 が 多 くな り、学 生 の 学 び に広 が りが 見 られ た。 図1学 生 が 記 載 した 「演 習 で の 学 び 」 IV考 察 ロー ル プ レイ は 、 「講 義 で 知識 の 定着 を 図 るだ けで な く、実際 に演 じ させ る こ とで ,学 習 内 容 の活 用 や 人 間 関係 の洞 察 力 の 育 成 、 関 心 の 向 上 な どに効 果 を あ げ る3)」 と され て い る。 対 象 学生 に入 学 時 の学 習 状 況 を調 査 した結 果 、看 護基 礎 教 育 で ロー ル プ レを実 施 した者 は1名 、 新 生児 の家 庭 訪 問 を経 験 した者 は6名 で あ った 。 この た め 、『妊 娠 期 』 で は 学 習 の 準 備や 家 庭訪 問へ の動機 づ け を 目的 と した。 学 習 の準備 ・動機 づ けや 対 象 理 解 に関 す る学 び が 多 い と い う結 果 か らも、学 習 の 導入 と しての 効 果 が あ っ た と考 え る。 『産褥 ・新 生 児 期 』で は、知識 や 技 術 を習 得 す る こ と を 目的 と した。 そ の結 果,指 導技 術 に 関す る学 び が 多 くな った。 これ は 、学 生 に と って 助 産 学 実 習 に 向 け て の課題 を明確 に させ,学 習 を展 開 して い く こ とに 効果 が あ った と思 わ れ る。今 後 は 、学 生 自身 の行 動 を評 価 す る ま とめの 学 習 が 必 要 と考 え て い る。 V結 論 学 生 の 学 習 準備 状 況 を把 握 し、 学 習 進 度 に応 じた 事 例 提 供 の 方 法 を工 夫 す る こ とで 、 学 生 の 学 び が広 が り、 ロール プ レイ で の 学 習 効 果 が 期 待 され る。 VI文 献 1) 高橋弘子, 兵頭慶子: 助産婦教育における技術教育の実態-保 健指導技術を中心に-, 日本助産学会誌, 第9巻, 第2号, 1996, 68-71. 2) 全国助産婦教育協議会教務主任部会編集: 助産婦のための地域母子保健活動マニュアル-家 庭訪問- . 3) 藤岡完治, 野村明美編集: わかる授業をつ くる看護教育技法3, 医学書院, 2000, 12-20. 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 117
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地域 母子保健実習の効果
―対 象理解 に地 区把 握 を取 り入れ て ―
香川県立医療短期大学専攻科助産学専攻 ○ 竹 内 美 由紀 野 口 純 子 宮 本 政 子 I緒 言 社 会 構 造 の 変化 や 出生 率 の 低 下 に伴 い 、母 子 の最 も身 近 な ケア 提 供 者 で あ る助 産 師 と して 、 対 象 特性 や 地 域 特 性 を把握 し、 地域 社 会 で い か に 実質 的 な役 割 を果 たす か が 問 わ れ て い る。 今 回 、本 学 周 辺 を フ ィー ル ドと し、 講 義や 演 習 と連 動 して 実 習 地 区 の 母 子 保 健 に 関す る地 域 特 性 を把 握 して の地 域 母 子保 健 実 習(以 下 、助 産 学 実 習Iと す る)を 実施 した 。 本 研 究 の 目的 は 、 こ の地 区把 握 を取 り入 れ た 実 習 展 開 が 、 助 産 の 対 象 で あ る母 子 とそ の 家 族 を 地域 で の生 活 者 と捉 え、 対象 の個 々 の状 況 に応 じた健 康 生活 を 支援 す る能 力 の育 成 に繋 が っ た か を 明 らか に し、 今 後 の教 育方 法 の資 料 とす る こ とで あ る。 II方 法 1.対 象:K短 期 大学 専攻 科 助 産 学 専 攻 の 学 生14名 。 2.本 学 の助 産 学 実 習 の概 要:助 産 学実 習 の構 成 と概 要 につ い て は 、表1に 示 した。 表1助 産学実習の概要 臨地実 習:1単 位45時 間 3.助 産 学 実 習Iの 内容:1)本 学 の所 在 地 で あ るM町 の母 子保 健 に 関 連 す る地域 情 報 を地 区 に赴 き把 握 。2)講 義 と並 行 して 講義 担 当の 地 域 開 業 小児 科 医 の指 導 の も と、M町 の 母 子 保 健事 業(乳 児健 診 ・乳 児 相 談)に 参 加 。3)M町 に居 住 す る妊 娠 初 期 ∼ 中期 の 妊 婦1名 を 受持 ち 、家 庭 訪 問や 面 接 を行 い 、 妊 娠期 か ら育 児期 を 通 じた継 続 看護 。 4.分 析 方 法:1)地 区把 握 実 習 と2)母 子保 健 事 業 の 見 学 実 習 の終 了後 に 、 学 生 が 自 由 に テ ー マ を設 定 し記 載 した レポー トの 中か ら 「実 習 で の 学 び 」 の部 分 に つ い て 実 習 目標 と照 ら し分類 カ テ ゴ リー化 した。 分 類 され た カ テ ゴ リー の 内 容 につ い て 学 習 効 果 を検 討 した。 5.倫 理 的配 慮:レ ポ ー トの 内容 分 析 につ い て は 、 学 生 に研 究 目的 お よび プ ライハ"シーの 保 護 と 成 績 に は 関係 しな い こ とを説 明 し、 同 意 を得 た 。 III結 果レポ ー ト内容 分 析 か ら学 生 の 学 び の 内容 記 載 は85件 が抽 出 され た 。 各 実 習 目標 に対 す る 表2実 習 目標に対す る地域母子保健実習での学びn=85 学 び の 内容 は 、 表2に 示 した。 目標1で は 、 対象 の持 つ 育 児 不 安 ・健 康 相 談 内容 と地域 特性 把握 の必 要 性や 「対 象 との話 か ら実 際 に赴 い た 地域 を思 い 出 した 」 な ど地 区把 握 を反 映 して の記 載 内容 が 見 られ た。 目標2で は、 講 義 内 容 を想 起 して の乳 幼 児 の成 長 発 達 に 関す る記 載 や接 した母 子 の 姿 か ら母 子 相 互 作 用 につ い て の理 解 が見 られ た。 目標3で は 、対 象 との会 話 や相 談 場 面見 学 よ り、対 象 の状 況 に合 う具 体 的支 援 の 必 要性 、 連携 、 見守 りの 大切 さ、セルフケア 能 力 向上 へ の 支援 や 継 続 看 護 の必 要 性 に気 づ け て い た。 目標4で は 、知 識 ・技 術 の習 得 と効 果 的 なコミュニケーション能 力 の 獲 得 の必 要 性 な ど自己 の課 題が 明確 に な り、家庭 や 地 域 で の 育児 支 援 へ の意 欲 な ど地 域 に お け る助 産 師 の 役 割 に つ い て も思 考 の 広 が りがみ られ た。 IV考 察 地 区把 握 が 対 象理 解 に及 ぼす 効 果 につ い て 、 対象 を 生活 者 と して 捉 え る大切 さ と、 生 活 の 場 で あ る地域 社 会 との 関連 性 を考 えて の援 助 の必 要 性へ の気 づ きが 明 らか に な った 。 しか し、 現段 階 では 地 区把握 で得 た学 び を想 起 した の み で 、対象 の個 別性 に 合 わせ た地 域 情 報 の提 供 や健 康 生活 支 援 まで に は 至 って い な い。 今 後 、M町 居住 妊 婦 へ の継 続 看護 を通 して 地域 特 性 を踏 ま えた 具 体 的援 助 が展 開 で き る よ うな 指 導 が必 要 とい え る。 助 産 師 の持 つ べ き実 践 能 力 と責 任 範 囲 に つ い て 、勤 務 助 産 師 の多 くが 家族 お よび地 域 母 子保 健 領 域 で の 実践 能 力 の必 要 性 を強 く認 識 してい る1)。 地域 にお け る支援 能 力 の育成 に は、妊 娠 中か らの 関 わ り、退 院 後 の家 庭 訪 問 、 仲 間づ く りな ど地 道 で継 続 的 な 活動 の実 践 が 必 要 とい え る。 この学 生 の気 づ き を大 切 に し、継 続 妊 婦 へ の 関わ りを通 して地 域 で の活 動 実 践 へ の意 欲 を育 てた い と考 え る。 V結 論 地 区把 握 を 取 り入 れ た地 域 母 子 保 健 実 習 に よ り、 生活 者 と して の 対 象 理 解 の深 ま りと、 対 象 の 状況 に合 う支 援 の必 要 性の 理解 が 見 られ 、 自己 の課題 の 明確 化 が 図れ た。 VI文 献 1) 村上明美他: 「日本の助産婦が持つべき実践能力 と責任範囲」に関する助産婦の認識(第1報)-周 産 期(妊 娠 ・分娩 ・産褥), 家族, お よび地域母子保健領域における実態-日 本助産学会誌, 15(3), 222-223, 2002. 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 119