理学 療 法 学 第33巻 第3号 112
〜
117頁 (2006年)研 究 報 告
姿勢
・動作 分析
に
お
け
る
身体
重
心
点
の
視覚
的評
価
の
検
討
*久 保
祐
子
1)#山
口
光 國
1)大 野 範 夫
u
福 井
勉
2〕要 旨
姿 勢
・
動 作 に おい て身
体 重 心 位 概 を把
握す
るこ と は 重 要 で あ る もの の,
実 際
に は 重 心位 置
は不
卩亅視 的
で あ り, 経験
的 に推
測 さ れ てい るこ と が多
い、
,
身体
重 心 は身
体各
部の重 さの中 心 で あ る こ と か ら,
お お よ そ であ
るも
の の観 察
可能
であ
る 上半 身 と
ド半 身重 心 点
の中点
が身体
重 心 に 近 似 す る もの と 推察
さ れ70
,
、
今
回 我々は身
体
を 上 半身
と 下 半身
に 分 け,
そ れ ぞ れ算
出 し た 重 心点
の中点
と3
次 元動 作 解 析
装置
か ら得
ら れ る身 体 重
心位
置 との差 異 を,前
額 面, 矢 状 而 上の姿
勢 な ら び に動 作
につ いて調 企 し た。
その結 果
,
身 体
重 心点
と 上半身
と ド半身 重 心 点
の 中点
と は近 似
してお り,
臨 床
L
の観察
点 と して の有 用 性 が 示 唆 さ れ た。
キー
ワー
ド身体
帚 心,
評 価,
姿 勢
・
動 作
分析
はじ め
に身
体
重 心 は 重力
の作
用 点 と み な さ れる点であ り,
我々 の 生 存 す る 環 境 下 に おいて,
身 体 は 重 力 と接 触 面 か ら 生 じ る外 力
の影 響
を受
けてい る。
そのた め,
身体
運動
を考
える際,
時
系
列
上で の身体
各
部
の位 署 関 係
や身体 各 部
に か か る 負 担の予 測,
動 作にお ける効 率 而 か らの評 価 な ど に際
し,
身 体
重 心位 置
を 知 ること は非 常
に 重要
と な る。
これ は,
我々理学 療 法
士の臨床 活 動
において も,
如何
に 理 学療
法 を 進 めて ゆ くべ きか,
どのよ う な手 段
で行 う
こ と が 望 ま しいか を考
え るE
で,
大切
な評 価 項
目 と なり得
る。
これ まで に,
身 体
重 心位 置
の測 定 方 法
には,
て こ の 原 理 を 応 用 し た直
接法
や 間 接 的 な作
図法
1)な ど が考 案
さ れ,
人体
の重 心位 置
は男 女 別
お よ び年 代 別
に報 告
さ れ,
成 人では骨
盤 内で第
2
仙 椎
の や や前 方
にあると報 告
さ れ ている 2〕。
こ の位置
に着
凵す
る ことで,
静
的姿 勢
におけ
る身 体
重心 位 置
を推 測 す
るこ と は可 能
であ
る。 し か し,
運動 中
の身体
重 心は変 化
し,
身 体 外
に位 置 す
る ことも あ
るた め,
こ の1
点
か ら推
測す
る こと は困 難
であり
,
少
な sInvestigation of the Vahdlty of Visual AssessmenL of Cen[er of
Grax
,
iLv i[1 しhe Ana且vsis of PosLure and Move [n巳ntV 昭 和大学 藤が 丘 リハ ビ リテ
ー
ション病 院(〒227
−
85⊥8 神奈 川 県横 浜rl∫青 葉 区 藤が 丘2−
1−
⊥)Yuk 〔, Kubo
.
RPT,
MiLsukuni Yamaguchi,
RPT,
Norie OOILO,
RPT :Showa University Rehabilitation Hospital
2 〕 昭和 大 学 医 療 保 健 学 部
Tsutomu Fukui
,
RPT : School【}f Nursing and Rehnbilitat.
ion Sci巳n⊂es.
Showa Univ 巳rsity#
E
.
niail:k−
yuk(,@sufrtl.
L’
【〕m(受 付
H
2004 年 6 月 16H 受 埋 日 2006 年 3 月 23 目) く と も2
つ以E
の観 察 点 が 必 要 と考
える。
近年
では.
.
三次 元動 作 解 析
装置
を用
い.
理論
E
では あ るも
の の,
比較 的
容 易
に運動 中
の身 体
重 心位 置
を把 握 す
る ことが 口∫能
と な っ た が,
実 際の臨 床場
面で簡 便
に身 体
重 心位 置
を把
握す
る まで には 至っ て い ない、
そこ で
,
我
々は臨床 場 面
に おいて視 覚 的
に身 体
重心位
置 を 評 価 する方 法
を考 案
し,
その妥 当性
につ い て検 討
し たの で報 告 す
る。方
法
1
.
対 象
健 常
成 人ユ8
名
(男 性
12
名
,
女 性
6
名 )
,
年 齢
21
〜
33
画爻,
平 均
24
.
6
±3
.
5
歳,
身 長
148
,
0
〜
[
76
.
O
crn,
平
J
勾
164
.
9
±7
.
7cM
,
f
本重
45
.
0
〜
75
.
O
kg
,
}
1
∠鎚 ゾ6
ユ.
7
±9.
9
kg
であっ た/
t こ のう
ち8
名 〔
男 性
7
名
,
女 性
ユ名
)が矢 状
面,
10
名
〔男 性
5
名
,
女性
5
名
)が前 額 面
の調
査の対 象
であ
っ た。2
,
「
身体
重 心点 」
の算 出
被験 者
はスパ ッ ツお
よびタ ンクト
ップ を着 用
し,
身 体
に15
標 点
〔頭頂
,
左 右 肩 峰
,
肘
頭,
第
3
指
先端
,
大転
了
,
大腿 骨 外 側
上顆
,
外
果,
第
5
中
足骨
頭 ) を付
け,
矢
状 面
ヒの調 査
で は艟 止
立位
,
立位 姿 勢
から
の前 屈
,
後屈
,
ス クワッ ト動作
,
前
額面
ヒで は静 止
立位
,
立位 姿 勢
か ら の右 側
h
,
,左 側 屈
,右 片 脚
立位
,
左 片 脚
立位 動 作 を行
った
。各動 作 中
,
両
E
肢
の肢 位
は基 本 的
に ド重位 と
し た が,
動作
に伴 う
動 きに関 して は特
に制
限 を与
え な かっ た。
ま姿 勢
・
動 作 分 析における身 体 重 心 点の視 覚 的 評 価の検 討 u3叢
辮
覊
馨
罍慧
馨
爨
灘 図3
上半
身
及び下半身
重心 点の位 置と その中 点の算 出 図1 ]5標 点の位 置 〔身体車:心 点の算出)こ の
「
卜半 身
と下 半 身
或心点
の中点 」
と方 法
2
で求
め た「
身体
重 心点 」
との位 置
的 差異
を 矢 状 面 上の前後
及 び 上ド
座標
,
前 額 而
上の左右 及
び 上下
座標
より調
査 し た。位 置 的
差異
につ いては,
各 課
題中
の「身体
重 心点 」 及
び「
ヒ半 身
と下 半 身
重 心点
の中 点 」
の各
座標
か ら2
点 間
の距 離
を計 測
し,
これ を2
点
の差
と して,
被 験 者
ご とに課 題 中
の差
の平均 値
を算 出
した。
さ らに,
これ ら を も と に課
題 ご とに全被験 者
の平 均値
を求
めた。
rn2 図2 作 図法 質 量ml なる部 分A
の重心 がSL
,
質 量1n2 な る 部 分B の 重 心がS2
で ある とき,
直 線Sl
,
S2
の ヒにSISt
〕:SOS2
=
nl2 :nl⊥を満 足 するSo
をとれ ば,
Soは合・
成 系AB の重 心である.
(文 献1〕 図4を一
部改 変)た
,
片 脚
立位 時
の下肢
の十
芋ち
ヒげ方 な
どは特
に指 定 を
しな
かっ た.
,各 課 題 を
;次 元 動 作 解 析 装 置
〔v1CON370
0xford
Metrics
社 製 )
に て測 定
し,
松 井
1)の身 体 係 数
を用
いて「身体 重 心 点 」 を 求
めた (図
D
。 結 果1
.
ヒ半 身 及
び下 半 身
重 心点
の位 置
上
半 身 質 量 中心 点
は肩 峰
と大 *
1
−
,f
一
を結
ぶ線 分
において肩
1峰
より約
39
%
,
下
’
卜身 質
量中
心点
は大 転 了
と 大腿 骨
外 側
E
顆
を結
ぶ線 分
に おい て大転 子
より約
44
%の位 置
であ
っ た。各重 心 点
の解 剖 学 的 位 榿
は,
上’
卜身
は第
7
〜
8
胸 椎
,
下半 身
は大腿 部 長
(大 転子
〜
大 腿 骨 外
側 上顆
)の1
/2
〜
上113
の間
であ
っ た。3
.
上L
卜身
と ド’
卜身 重 心 位 置
の算 出
身体 重 心 を境
に身体 を
L
下 に 1分
したE
半 身及
び 下半
身
の重 心 位 置 を算 出 し
た。 上半 身
は 頭部 及
び骨 盤
を含
む体 幹
,
ド卜 身
は大 腿 部
,
ド腿 部
及 び足 部
と し,
Fischer
&Braune3
)による身 体 各 体 節
の質 量 比
と質 量
中心
の測 定 値 を参 考
に,
合 成重 心 を 求
め た(
図
2
)。それぞれを上
L
卜身
及び ド’
卜身 重心 点
と名付
けた。4
.
[身体 重 心 点 」
と「
上半 身
と 下半 身 重 心 点
の中 点 」
の比
較
上
’
r
身
と下’
卜身 重心 点
の巾 点
が身 体 重 心
に近似 す
る と仮 説
し,
方 法
2
の測 定
デー
タL
に方法
3
で求
めた ヒ半 身
と 下半 身 重
心点 位 置
を仮 想 点
として設
け,
2
つ の仮想 点
を結
ぶ線 分
の中点 を
.
三次
元動 作 解 析 装 揖
に て求
め た (図
3
)。2
.
「
身 体
重心 点 」
と「
E
半 身
と下半 身
重 心点
の中 点」
の位 置 的 差異
1
) 静
IL立位 姿 勢
矢 状 面
E
の調
査で は,
前 後
座標
で1
,
0cm
(±0
.
40
)
,
ヒ下座 標
で3,
7cm
(
±0.
34
)
,
身 長
に対 す
る足 底
か らの重 心 高
の平 均 値
は,
身 体
重心 点
は54
%
,.
ヒ半 身
と下 半
身
重心 点
の中 点
は56
%で あり
,
身 体
重 心点
の ほう
が約
2
% 低
い値
であ
っ た。前 額
1
臼1
上の調 査
で は,
左右
座標
で1
.
lcm
(±O
.
54
)
,
上 下 座標
で は1
.
6cm
(
±0
,
45
)
,
身 長
に対 す
る足底
か ら の重心 高
の平 均 値
は.
身 体 重 心 点
は53
%
,
上半 身
とド
半 身重 心 点
の中 点
は54
%
であ り
,
身体 重 心 点
の ほう
が約
1
%低
い値
であ
っ た(
表
1
−
a,
b
)
。ll4 埋 学 療 法 学 第
33
巻 第3
号.
表 1.
a 「身 体 甫 心 点 」 と 「ヒ半 身 と下 半身重 心 点の 中 点 」の差 前 後 座 標 矢 状 面 上 下 座 標 前 後 座 標 前 額 面 上 下 座 標 1.
Oc正n ± 0.
40 3.
7cm ± 0.
341.
l crl1 ± 0.
54 1.
6 clll ± 0.
45 全 被 験 者の平 均 値±標 準 偏 差.
表1・
b
身 長に対 する足 底か らの重 心 高 身 体 重 心 点 矢 状lfli 上・
ド半 身重 心の巾点 身体 重心点 前額面 上・
ド『4身 重心の 中 点53
.
6
%±0
.
62
55
.
8
%±0
.
87
52.
6
%±O
.
78 53,
7%±0
.
67
全被験 者の平均 値±標 準 偏差,
表2 矢 状 面 ヒに お ける各動 作 中の身体 重 心 点と身 体 重 心 観 察 点の差 前 屈 後屈 ス ク ワ ッ ト 被験 者 前 後座標 上 下 座標 前 後座標 ヒ下 座標 前 後座標 ヒ下 座標 A BC
D
E FG
H 平 均 値 2.
4
± 1,
12
⊥、
9± 0.
78L7 ±0
.
98
ユ.
7
± ].
471
.
7± 1.
092,
1 ± 1,
54L4
±0
.
392
.
4± 1.
531.
8±0
.
5,
d
・
4.
8
±L346
.
4± ⊥.
535.
9±L475
、
8
±1
.
845
.
2± 1.
555,
3
±L984
.
8
±L244
.
9± 1.
485.
4 ± 0、
601
.
L
±i
.
00
4
.
0
± 〔}.
43
2、
6±0.
75 3.
7± D.
llO
,
6±0.
20 4,
0
±0
!181
、
1
±0
.
66
4
.
4
±0
.
20
2.
2± 0.
90 3.
9± 0.
28 }.
〔}±0
、
53
3
.
7
±0
.
36
2
.
8
± ⊥.
⊥2
3
.
9
±0
、
38
2.
0± 1.
58 4,
8± 0.
62
⊥.
2
±1
.
069
、
8± 0.
784.
6
±0
,
33
⊥.
9
±0
.
421
.
0± 0.
731,
1±0
.
541
.
7
±0
.
371
.
5
±026
3
.
7
±0
.
603
.
4± 0.
333,
1 ±0293
.
4
±0
.
ll3
、
1± 0.
374.
1±0
,
243
、
3
±0
.
5
⊥ 2.
8
±0
.
45 1.
6± 0.
83 4.
0± 0.
361.
2± 0.
47 3.
4± 0.
40 各被 験 者に おける動 作 中の身 体 重心 点と身 体 重 心 観 察点の差の平 均 値±標 準 偏 差.
(単位 cm ) 表 3 前 額 面 ヒに お け る各動 作 中の 身 体 重 心 点 と 身 体 重心 観 察,
1頴の 差 右 側 屈 左 側 屈 右 片 脚 左 片 脚 被 験 者 左 右 座 標 上 ド座 標 左 右 座標 上 ド座 標 左 右 座 標 上 卜.
座 標 左 右 座標 上 ド座標 ABCDEFGHIJ0.
9± 0.
430.
9
±0
.
38
王.
0± 0.
464.
3
±1
.
0
⊥ Ll ± 0.
480.
4
±0
.
220
.
5± 0.
243.
5
±0
.
590
.
7± 0.
340.
8
± α13 1.
4± 0.
391.
0
± 〔}.
291
.
9± 0.
381、
8
±0
.
332
.
5± 0.
472、
4
ニヒ0
.
142
.
1± 0.
王32.
⊥ ±0272
.
3± 0.
311.
7
±O
.
27 2.
0± 1、
072.
2
±1
、
12
2.
3± 1.
091.
2
±0
.
992
.
6士 0.
9 ⊥、
4
±D
.
621
.
4±0.
5522 ±0
.
531
.
9±0,
682.
5
±0
.
62
L2± 0.
3⊥ ⊥.
0
±0
.
341
.
9± 0.
38 ⊥.
8
±0
、
322
.
5± 0.
502.
3
±0
.
192
.
2± 〔}.
151.
9
土0
.
⊥32
,
3±O,
351.
8
±0
、
23 1.
0 ±0.
221.
0
±G
.
1
⊥ 12 ±(,.
〔}92.
9
±0
.
IDl
.
0± 0.
020.
9
±0
.
141
.
o± 〔).
1〔〕2
.
6
±0
.
⊥50
.
9± 0,
28L3 ±0
.
Ll
1.
1 ± 0、
381.
7
±0
.
533
.
(,± 0.
792、
3
±D
.
780
.
7 ±O,
362.
7
±0
.
672
.
7± 0.
712
.
3
±0
.
672
.
0± 0.
093、
0
±1
.
38
⊥.
⊥±0、
201.
0
±0
.
1
王 1.
1±0ユ41.
4
±0
.
⊥72
.
6±[).
OSO.
5
±0
.
130
,
8 士o.
〔}82.
7
土0
.
061
.
1± 0.
171.
3
±0
.
08
0.
7± 0、
261.
1
±0
.
210
.
5± 0.
311.
1
±0
.
301
.
2± O!13 /.
9
±0
.
2417
±0.
251、
7
±0
.
1412
± 0,
6Sl.
4
±0
.
10
平 均値 1.
4 ± 1.
34 1.
9± 0.
462.
0± 0.
48 1.
9± 0.
481.
4± 0.
75 2.
2± 0.
791.
4± 0.
75 1.
3± 0.
44 各 被 験 者にお け る動 作 中の身体 重心 点と身 体 重心 観 察 点の差の平均 値±標 準 偏 差.
(単位 Cm )2)
各
動作
各 動 作
に お け る身 体重 心 点
と上半 身
と.
.
ド半 身 重
心点
の中
点の 差 につ いて全被
験者
の平 均 値
を表
2
,
3
に示 す
。
矢 上 而 上の調 査 で 上 下 座
標
に おい て各
動 作
で平
均約
2cm
以内
,
前後
座 標で は,
前
屈で平 均約
5cm
以内
,
そ の他
の動 作
で平 均 約
4cm
以 内,
舸 額 面
上の調
査では,
各
動 作 に おい て 上.
ド, 左 右 座 標 と も に 平 均 約1
〜
3cm
以内
であっ た,
,
ま た
,
立位 静
止姿 勢
か ら各
課
題 を行
っ た際
の身体
重 心 点 と 上半 身
と ド半 身
重 心点
の中
点の推
移 は,
各
座標
に お いて,
両 点 と もにほぼ同 様の変 化 を 示 してい た(
図4
)。
姿 勢
・
動 作 分析におけ る身体 重心 点の視 覚 的 評 価の検 討 ll5 σ 9 卩 〃 卩 000 ” 6420 席 642 スクワット 1 26 」∫ 76 1tlt 12fi ’」” 厂6 Jt“
tna 前 後 座 標 齶刑 i’
if, SOI/・
150200Jso 」ひり 5/丿 f 丿 ドmtn
δ8v.
.
.
51 右 側 屈下
ー
.
.ー
−:
o σ;
o;
:
0000;
ー
90 θ 98 ア:
」
2 ’・
…
身 体 重 心 点一
上・
下 半 身 重 心 の 中 点 87ひ s60.
s.
5tJs40s30 κ2り 1・
・
…
身体重 心点一
上・
下 半 身 重 心 の 中 点 J。ノ∵
、1J
左 右 座 標 1「
」
2 ノratn“
、
SJ 101 上下座 標 ljJ.
fbertn1・
…
身 体 重 心 点一
上・
下半 身重 心の中点 51101 1SI 201 上下座 標 251 /− atn・
1
図4 身体孛:心 点と上・
ド半 身 重 心 点の中 点の運動 中の推移考
察
一
般 に 基 本 的、ン:位 姿 勢にお け る身
体 重 心の位 置 は,
骨 盤 内 に あ る と さ れ,
身 長
に対 す
る 足底
か らの重 心高
は 成 入男
性で約56
%,
成 人 女性
では約
55
%の位置
に存 在 す
る と 言 わ れてい る2)が,
松 井 1)は,
合 成 重 心 位 置の計
測 値
につ いて松 井
は54
%(
立位
),
Fischer
は53
%〔
立位 )
,
秋 田 は54
〜
57
%(
仰
臥位 )
と諸 家
の報 告
に より
若 干の 柑 違 が 認 め ら れると 報 告 してい る。
ま た,
この差 は測 定 方法
や姿 勢
の相
違,
合
成 上の誤
差,
用
い る身 体 係
数の違い,
人種
的体
型 差等
に よる もの と考
え ら れている。
身
体 係 数に関 しては,
近年
,
身
体 運動
のバ イ オメ カニ クス的研
究 が 進 み,
身 体 部 分
の質
量 や 重 心位 置
に加
え,
慣
性モー
メン ト値
が 妄求
さ れるよ うになり
,
重 心係
数 か ら身
体 部 分 慣 性 係 数の時 代へ と 移 り変 わり
,
慣
性係
数の測 定
にCT
やMRI
な ど が用
い ら れ,
より
正確
な数 値
が求
め られる よう
になっ た。
日本
人では横 井
ら’
1/,
阿 江 ら5),
岡 田 ら6,に よ る 幼 少年
,
青年
アス リー
ト,
高齢
者の身
体 部分
の慣 性 特 性
が測 定
さ れ,
こ れ らの係 数
は 三次
元動
作解 析
にも 適 しており
,
実 川 的 な もの であると考
え ら れ てい る。
し か し な が ら,
身
体部
分慣
性係
数 は,
年 齢
,
性別
,
人種
は も と より個
人によっ て異
な る た め,
厳 密
に は個
人 ご とに計 測
する こと が 望 ま しく
,
各 個
入の体
型的相
違 を考
慮す
れ ば 実 際には誤
差 が 生 じる もの と推 察
さ れ る。
今 回
の調
査で は,
身体
重 心点
の計 測
に松 井
の係 数
を用
い,
これ まで の報 告
と同様
の結 果
が得
ら れ た。
ま た,
被
験 者の体
型 的相
違 な ど,
考
慮 すべ き 点 が あるFischer
ら の係 数
を用
い たF.
半 身
と下 半 身
重 心点
の中 点
の計 測
で も,
これ まで の報 告 間
に よ る差 と,
大 き な 違いは認
め ら れ な かっ た。
我々 の用いた身体 係
数につ いては,
公表
さ れてか ら40
年
以E
が経 過
しており
,
現 在
の 日本
人青 年
に は適 さ なく
なっ てい る叮能性
が ある こと を考慮 す
る必 妛 は ある、
、
しか し,
これ までの 報 告 問の差,
お よ び今
回 比較
し た静
止“1:位 姿勢
に お け る身体
重 心点
とF.
半 身
と下
半 身
重 心点
の中点
の位 置
は,
川い た身体 係 数
は異
なるが,
約
1
・
−
2
%の差で ある こと を 踏 ま えると,
上’
卜身
及 び ド半 身
重 心点
の2
点
より
,
お お よ その身体
重 心位 置
を把 握
す
る こ と は 可能
である と考
え ら れ た。
さ らに, .
般 的
に 認 識 さ れる男
女間
の差 を身
長 か ら換算 す
ると,
同 じ身
長 であ る男 女
におけ
る身体
重 心位 置
の差
は.
これ まで の報
告 間
による差 と大 き な 違い は なく
,
男
女 を問
わず
川い ら れる こ との可 能 性 が 伺 える。
今 回
の結 果
か ら各 姿勢 及
び動 的 な 過 程
に おけ
る「
身 体
重 心点 」
と「
上半 身
と下半 身
重 心点
の中 点 」
の差 を課
題 ご とに観 察
する と,
上 ド座標
におい て体
幹に対
する頭部
や ト肢
の位 置変 化
が大 き
い動 き
ほ ど,
差
が 生 じ る傾 向
に あっ た。
こ れ に はF.
半 身
重 心点
の計 測
に おい て頭 部
,
体
幹
を・
つ の剛体
と している ことや上肢
の質
量 が 上半身
に含 ま
れて いな
い こと等
が考 え
ら れ,
頭 部
,
上肢
の位 置
,
116 理 学 療 法 学 第33巻 第3号 つ ま
り脊 柱
や 上肢 関 節
,
特
に体 幹 軸
に対
す る肩 関節
の角
度 変化
が 大 きい場
合,
上 半身
重 心 点の位 置 が 変 化 する可能性
があ
る。 ま た,
下 半 身
重 心点
につ いて も下 肢
全体
を剛体
と して計 測
してい る た め,
ド肢 関節
,
特
に ド半 身
重 心点
の存 在 す
る大 腿軸
に対
し ド腿 軸の角
度 変化
が 大 きい場 合
には その位 置
が変 化 す
る と考
えておく
必要
があ
る。
し た がっ て,
動 作
に よっ ては ヒ半 身
・
下半 身
重 心点
の位
置
がず
れる可能 性
が あり
,
2
つ の観 察
点 か らの推 測
と 実際
の身体 重 心 位 揖
との間
に5cm
前 後
の差
が 生 じていた こと は考 慮 す
る 必要
が あ る。
本 法
の利 点
は,
視 覚 的
に観 察
可能
な解 剖学
的位 置
に }i1 ては め た 上L
卜身及
びド
’
卜身 重心 点
の位 概
を観 察
し た だけ
で,
お お よ その身体
重 心位 置
を容 易
に把 握
で き ることで ある。
我
々 は こ の上半 身
と ド半 身
重 心点
を結
ぶ線 分
の中
点 を 身体 重 心 観 察 点
と定
め た。ま
た,
上L
卜身
とド
’
卜身 重
心 点
の巾点
と身体
貢心 点
の運 動 巾
の推 移
が ほ ぼ同 様
の変
化
を示
し ていたことか ら,
ヒ半 身
と下半 身
重 心点
の動
き や位 置 関係 を観 察 す
る ことで,
運 動 中
の身 体 重 心
の軌 跡
を把 握 す
る こと が可 能
であ
る こと が示 峻
さ れ た。さ らに,
単 な
る身体
重心 位 置
の把 握
に限
る こと なく
,
ヒ半 身 及
び 下半 身 質 量 中 心 点
の配 列
と支持 基 底 面
との関 係
,
重 心 位
置
と身体 各 部
の位 置 関 係
,
これ らの変 化
を時 系 列
上で観
察 す
る ことに より
,
動 作 中
の次
に起
こりう
る身 体
の動 き
を
予測 す
ること や介 助 等
で の危 険 管 理
,
動 作
の誘 導 千段
,
さ ら
に,
動作 効 率
に大 き く影 響 す
る身 体 調 節 手 段 を も予
測
可能
と なる。
ま
た時 系 列
上 の予測
だ けで なく
,
任 意
に選択
し た事 象
に おけ
る空 間 的 な評 価
から
,
症 例
がど
のよう
な機
能 を 用い動作
を 調 節 し てい る か, あ るい は, どの よ う な 関節
運動
が余
儀 なく
さ れ る口∫能 性
が あ る か,
身 体
全体
の動
き だけ
で なく
,
関節
に か か る負 担
の予
測 に もつ な が る もの と考
え る。
実 際の臨 床で必 要 と さ れ る ものは
,
その場で如
何 に 早く身 体
重 心位 置
を把 握
し,
生 じている 現象
や 反 応 を どう
捉
え,
ど う対
応 す る か で あ る と考
え る。
機
器 な ど を 用い た身 体
重 心 位 肴の測 定 な どに比べ れ ば 正確
性や精 度 は 劣 るも
の の,
本 評 仙 法
では,
時 閊 的
なず
れ を 生 じ るこ と なく
,
その場
で判 断
し,
対
応す
る こ とが 可 能 で あ る。
以 上 よ り
,
上’
卜身
及 び 下’
卜身
重 心点
は,
不
可 視 的であ る身体
重心
を視 覚 的
に捉
え る た めの指 標
と なり得
る と考
え ら れ,
本評 仙 法
は 臨床
上 に おい て,
簡 便
な そ して有
川 な評価 法
と して活 用で きるもの と考
える,
、
引 用 文献
1)松井秀 治 :各種 姿 勢の重 心 位 麗 に 関 す る 緋 究.
体 育 学 研 究2
:65
−
76,
1956.
2) 中村隆一,
斎 藤 宏 :基 礎 運動 学 第4版,
医 歯 薬 出 版,
東 京,
1992,
pp 289−
309.
3)Braunc W
,
Fischer O:臼ber denSchwerpunkt
des men−
schlichen
Korpers
mitRucksicht
aufdie
Austrustung
des deu〔schcn Infantcristen,
Abh.
d.
MaLh.
−
Pllys.
cl.
d
.
K
.
Sachs
.
Gersellsch
.
der
Wiss
.
26:56⊥−
672,
⊥889.
4)横 井 孝 志
,
渋 川 侃二・
他 :日本入幼少年の身 体 部 分 係 数.
体 育 学 研究 31:5366,
1986、
5)阿 江 通 良,
湯 海 鵬・
他 :11b
:人ア スリー
トの身 体 部分 慣 性 特 性の推 定.
バ イ オメカニ ズム 11:23.
.
33,
1992.
6
) 岡 出 英 孝,
阿 江 通 良・
他 :日本 人 高 齢 者の身 体 部分 慣 性 特 性,
バ イ オメ カニ ズム 13:125−
139,
1996.
.,esas・emffS'・Nrl・:tstJ6elaidi・V,ij,la)N:n9strmeD"figY-
117<Abstract>
Investigation
ofthe
Validity
ofVisual
Assessment
ofCenter
ofGravity
in
the
Analysis
ofPosture
andMovement
Yuko
KUBO,
RPT,
Mitsukuni
YAM.ALGUCIII,
RI'T,
Norio
OONO,
RPT
Showa
U}ziversity
Rehabilitation
Hospital