Ⅰ.要約
この論文は,2012 年度から 2013 年度にかけて,東 京都立産業技術高等専門学校荒川キャンパスで,就職 支援担当として学生を指導した,指導観点の改善を述 べたものである。2012 年度,本校学生の就職活動に おいて,発生したミスマッチの状況を調べ,不合格の 原因を特定し,その解消を目標に,2013 年度,就職 支援を行った結果を発表する。学生の実力を分析し, 面接指導によってミスマッチの低減をはかるわけだが, マッチングを成功させるためには,就職支援担当が企 業のニーズと学生の実力を把握し,学生も企業探索と 自己分析を十分にして,企業と学生の間の情報の非対 称性を低減させなければならない。この論文は,経験 の寄せ集めで学術的ではないが,経験に基づく指導の 観点(就活の価値観ともいえる)を改善していけば, 内定へと短期的な効果が見られることがわかった。 キーワード:ミスマッチの原因,マッチング,進路 指導,キャリア教育,就職活動,就職ガイダンス。Ⅱ.はじめに
筆者は,2012 年度と 2013 年度,東京都立産業技術 高等専門学校(以下,産技高専あるいは本校と略す) 荒川キャンパスの進路支援室に入り,就職支援担当と して学生を指導した。筆者はインターンシップの指導 経験があり,一般科教員としては珍しく,ものづくり 工学科航空宇宙工学コースの就職支援担当教員として 配属された。通常,この役は,専門工学コースの教員 が担当するから異例である。配属が少し遅かったため, 2012 年度の学生の進路指導は途中からとなり,短期 的視野で進めざるを得ず,満足できる結果ではなかっ たが,元々持っていたインターンシップの企業人事担 当者との人脈を用いて,合格・不合格の理由を調べる など,従来では,なかなか集めることができないデー タを収集し,2013 年度の指導に役立てることにした。 就職指導をしながら,分かってきたことは,ミスマッ チの原因である。 結論から言うと,2012 年度の学生は,不合格の主 な原因が筆記試験にあったということである。筆記試 験は,一定の水準を超えないと,企業側では足切りラ インを用意していて合格には至らない。筆記試験も, 就職活動おけるミスマッチの要因となる。特に大企業 は基礎的学力を重視していて,本校の学生は工学であ るから,SPI 試験(SyntheticPersonalityInventory, 総合適性検査)と専門工学の筆記試験を重視している と予想した。 そこで,2013 年度の学生には,本校で実施した 2 回 の SPI 模擬試験の結果を,マッチングに活用すること にして,各学生の SPI 模擬試験の水準と,受験する企 業の筆記試験のレベルをマッチングして学生を出願さ せた結果,2013 年度は合格率を高めることができ, 順調な進路指導ができた。 本論文では,その指導の改善の経過を説明するが, 同時に行っている補助的施策も重要であり,また, マッチングについての基本的な考え方を説明して,高 等専門学校での就職活動が,一般的な就職活動とは異 なることを示し,全員が内定するマッチングの基礎的 条件を最後に説明することにした。この基礎的条件は, 就職支援の制度設計に役立つと思われる。Ⅲ.本校の進路支援について
1.進路支援の体制 表 1 は,本校の荒川キャンパスにおける進路支援体 制である。 進路支援室の下に就職支援室と進学支援室が置かれ, 主に 4,5 年生に対して支援を行っている。荒川キャ ンパスは 1 学年が 4 クラス(1 クラスは定員 40 名)あ新卒採用におけるミスマッチを
解消するための就職指導の改
善の試み
The Journal of Economic Education No.34, September, 2015Career Guidance to Improve Mismatches in the New-graduate Job Market
Tanaka, Jun
り,それぞれ,情報通信工学コース,ロボット工学 コース,航空宇宙工学コース,医療福祉工学コースと, 1 コース 1 クラスである。就職支援では,各コースの 担当教員が置かれ,5 年のクラス担任と協力して就職 活動を支援することになっている。進学支援は 4 クラ スで 2 名の教員が学生を支援する。表 1 にはないが, 専攻科(本校を卒業した後,さらに 2 年間勉強する学 士課程)にも担当者が置かれている。実際の就職活動 では,1 人の学生に対して,就職支援担当教員,クラ ス担任,卒業研究の指導教員の 3 者が,就職支援に深 く関わることになる。 4 年生に対する進路支援では,進路支援室の他に独 立してインターンシップ室が置かれている。 本論とは外れるが,2014 年度,組織改革が行われ, キャリア支援センターを設置して,その下に就職支援 室,進学支援室,インターンシップ室が入り,統合し てキャリア教育を展開することになった。 2.進路支援の流れ 本校の就職活動は,基本的に 1 人 1 社推薦制で,併 願を認めず,自由応募はほとんど無い。3 月から始ま る校内選考(毎週 1 回実施,4 年の学業成績順)で出 願する企業が決まり,4 月から順次受験していく。推 薦でも不合格となる場合があり,不合格者はその後, 2 社程度受験できる時間がある。7 月末には一部分の 学生を除いて内々定する。求人倍率は 2012 年度で 6.7 倍,2013 年度で 8.6 倍である。 表 2 は荒川キャンパスにおける進路支援の流れを示 している。 昔と比べると,2 回であった進路説明会が,前倒し となり 4 年の最初から合計 4 回も実施され,1 回で あった SPI 模擬試験も 2 回と増えた。インターンシッ プの希望者が学年の 60%となってきており,イン ターンシップが充実し,進路に関するホームルームも 増えた。近年,新たに導 入されたのは,キャリア カウンセリング(任意の 学生が週 1 回のキャリア カウンセラーの当番日に 受ける)と,キャリアカ ウンセラーによる「履歴 書の書き方」「グループ ディスカッション」「面 接練習」などの単発講座 である。 これだけ,予算と人員を投入しているにもかかわら ず,近年の就職活動は不合格が目立ち,本校学生は苦 戦している。ただし,連続的なデータが無いので確証 はない。後述するが,就職活動について,合格率を計 算して分析したのは筆者が初めてで,比較できるデー タが無い状態である。 筆者の進路指導の経験から,履歴書の書き方や面接 練習などの対症療法は,時期が遅く,マッチングには 不向きで,もっと事前に,学生の考え方(価値観)や 性格・資質,学力レベルを把握して,同時に企業人事 担当者の「欲しい人材」を,就職担当教員と学生の両 者が知ることが重要であると思う。そのような考え方 に立つと,表 2 のアンダーラインで示した部分がマッ チングには重要になる。 就職活動は短期決戦であるから,学生の能力を一定 と考え,学生の能力の査定と,企業の要望を分析して, 適材適所をみつけるための情報を重視する方がスムー ズなマッチングにつながる。今回の就職支援の改善点 は,マッチングに役立つ情報と情報の流れを重視した 方法を探ることになった。 3.就職活動における情報の流れ 図 1 は就職活動における情報の流れを示したもので ある。 表 2 の進路支援の流れから,重要と思われる就職情 報の流れを図示したのが図 1 である。まず,就職活動 に関係する主体としては,企業・学生・教員があげら れる。それぞれ主体の情報の流れを矢印で示し,その 項目を記載した。図中のアンダーラインは本論文で重 要と思われる情報を示している。 就職活動における不合格者を減らし,マッチングを 進めるには,それぞれの主体間の関係の中で,情報の 非対称性が生じないことが必要である。学生が企業で 就職試験を受ける前に,学生の思いこみや勘違い,能 表 1 荒川キャンパスにおける進路支援体制 情報通信 ロボット 航空宇宙 医療福祉 短期雇用 進路支援室 室長 1 名 就職支援室 1 名 1 名 1 名○ 1 名 1 名 進学支援室 2 名 - 5 年クラス担任 1 名 1 名 1 名 1 名 - インターンシップ室(4 年) 1 名 1 名 1 名 1 名 1 名 4 年クラス担任 1 名 1 名 1 名 1 名 - ※就職支援やインターンシップは各クラス(=各コース)に担当が置かれている。○は筆者。 各室とも 1 名を主任として選び,クラス担任も 1 名を学年主任としている。
表 2 進路支援の流れ 学年 時期 行事・項目 担当 概要 4 年 4 月 第 1 回 進路説明会 進路支援室 就職・進学・インターンシップについて 5 月 保護者会と個別面談 教務,担任 4 年次の諸注意,就職・進学対策について 7 月 第 1 回 SPI 模擬試験(SP2 高卒) 担任 SPI 模擬試験を学年の全員に対して実施 7 月 第 2 回進路説明会,進路予備調査 進路支援室 夏休みの取り組みに向けての進路調査 夏季休業 インターンシップ インターンシップ室 クラスから希望者が参加。インターンシップは選択科目で 2 単位になる 夏季休業 インターンシップ企業訪問 インターンシップ室 インターンシップ先の企業を約 40 社程度,教員が訪問し,学生の適性を見る 10 月 各コースの進路対策ホームルーム 担任 各コースで進路に関する指導が行われる 10 月~ 大学編入学説明会 進学支援室 長岡技術科学大学などの説明会 10 月 保護者会,三者面談 担任 就職か進学かへの家庭の明確な進路決定 11 月 工場見学 担任 泊を伴う工場見学 11 月~ 履歴書の書き方など講座 就職支援室 外部講師による複数回の講座を実施 12 月 第 3 回 進路説明会進路希望調査 担任,進路支援室 就職活動前の最終進路調査,この調査で就職活動の指導に入る 12 月 第 2 回 SPI 模擬試験(SP1 大卒) 担任 第 1 回 SPI 試験より難しい内容,4 年の全学生対象 1 月 進路希望調査提出と希望の修正※企業選択の作業 進路支援室 学生が進路希望調査を提出希望調査の後,就職担当のマッチング作業 1 月~ 9 月 求人票の受付企業人事担当者の来校訪問 就職支援室 求人票を持参する人事担当者の来校が本格的に始まる 1 月~ 2 月 保護者会と三者面談 進路支援室 , 担任 進路支援室から,進路の決定と,進路対策,就職斡旋方針と,編入学説明について 1 月~ 7 月 就職フェア(合同会社説明会)や会社見学(工場見学) 就職支援室 高専生向けの就職フェアに学生を参加させたり,個別企業の工場見学に行かせたりす る 2 月 面接対策講座 就職支援室 外部講師によるグループディスカッション講座 3 月 第 4 回 進路説明会 進路支援室 就職斡旋に関する書類の流れなどを説明 3 月中旬~ 第 1 回校内選考 就職支援室 推薦のための第 1 回校内選考会を実施。その後,毎週,校内選考を行う 春季休業中 面接練習(コース主催と,担任による個別指導) 各コース,担任 就職希望の学生に対する面接練習。面接指導を他の学生が見学できることが特色であ る 5 年 5 月~ 大学編入学推薦選考 進路,担任 大学編入学の推薦試験に対する学生を決定 4 月~ 9 月 推薦書作成と二者面談 担任 大学編入学のための推薦書や就職活動での調査書作成など,個別面談も多く実施する 4 月~ 9 月 就職斡旋エントリーシート・面接の指導 就職支援室 推薦を希望する学生に就職斡旋を行う。特にエントリーシートと面接の指導に時間を かける 随時 カウンセリング 就職支援室 外部のキャリアカウンセラーによるカウンセリング,任意の学生が受ける 10 月 保護者会 教務,進路,担任 第 5 学年の秋の保護者会は,就職と進学結果の報告となる ※表中のアンダーラインは,本論で述べるマッチングに関わる重要な部分である。別途 4 年の選択科目に「キャリアデザイン」があり (筆者が担当している),教科教育と併せてインターンシップと就職活動の支援をしている。
力の過大・過小評価を避けなければならない。 4 年に実施されたインターンシップについては,企 業は学生の能力をかなり正確に把握していると思われ る。教員もインターンシップで企業訪問しているから, 良好な評価を得た学生がインターンシップ先を受験す ると容易く合格すると思われる。後述するが,4 年の 1 月からは,多くの人事担当者が本校に来校する。求 人票を持参するだけでなく,かなり込み入った採用選 考の話しをしていく。来校訪問の情報はマッチングに かなり役立つ。学生の希望する企業とエントリーシー トは,学生の考えていることを把握できる。就職支援 の教員は,持っている情報を活用して,学生の企業選 択とエントリーシートの修正を手伝う必要があり,適 性検査の能力も考慮してマッチングを行った方が良い と予想できる。
Ⅳ.担当クラスの状況
1.担当クラスの進路 表 3 は筆者が就職支援を担当した航空宇宙工学コー スの進路結果である。本校全体では就職が約 6 割,進 学(大学の 3 年次編入)が約 4 割であるから,両年度 とも就職が多いクラスであった。 2.合格・不合格の原因 2012 年度から 2013 年度にかけて,筆者が就職支援 したクラスの合否の結果が,表 4 である。 表 4 は,学生のクラス順位を 3 グループで示したも のと,その学生の SPI 模擬試験(大卒向け SP1)の順 位を 3 グループで示し,合格率を比較したものである。 詳細を掲載できないが成績上位の学生が SPI も上位に なってはいなかった。2012 年度,成績上位と下位に 不合格者が多く,成績上位でも,SP1 模擬試験で苦戦 している学生が多かった。2012 年度の就職活動は, 筆者が担当した頃にはすでに始まっており,事前の準 備で十分な指導ができなかった。しかしながら,初期 図 1 就職活動における情報の流れの大企業の受験期の後,学生の企業選択に修正を加え て,成績中位の学生が,適性とレベルに合った企業に 合格していった。成績上位の学生は,SPI 模擬試験が 低いのに自分の実力を過信して不合格が多くでた。合 格に関しては,校内成績よりも SPI 模擬試験が信頼で きたといえよう。この結果を分析して次年度の担任と 話し合い,SPI 模擬試験のデータや,学生の志向・企 業選択を面接指導でマッチングした結果,2013 年度 は,成績上位の者から,SPI 模擬試験の結果を考慮し ながら順次出願し,合格率を高めた。逆に成績中位・ 下位の一部分の学生で,高望みが原因の不合格が出て いる。2013 年度 SPI(SP1)上位の合格率は 67% と良 くないが,これは専門分野への志向で勘違いした学生 が指導に従わず受験した結果である。SPI(SP1)下位 の学生は指導結果が良好で合格率を高めた。 次に不合格の原因であるが,筆者は企業の人事担当 者から学校に合否の連絡があった時に,聞き取り調査 を行い,ほとんどの受験生の合格・不合格の理由を記 録した。詳細はここでは示せないが,まとめたものが 表 5 である。表 5 を見ると,2012 年度は筆記試験の不 振が目立っていたので,この聞き取り調査の情報から 次年度の就職支援の改善点を探る出発点となった。 表 4 合格・不合格の延べ人数と合格率 2012(平成 24)年度 2013(平成 25)年度 クラス順位 合格 不合格 合格率 合格 不合格 合格率 成績上位(1 ~ 13 番) 9 9 50% 8 1 89% 成績中位(14 ~ 26 番) 10 1 91% 10 6 63% 成績下位(27 番~) 11 8 58% 9 4 69% 全体※ 1 30 18 63% 27 11 71% SPI(SP1)上位※ 2 7 1 88% 4 2 67% SPI(SP1)中位 9 3 75% 10 4 71% SPI(SP1)下位 14 14 50% 13 5 72% ※ 1 不合格の学生も 2 社,3 社目で合格し両年度とも内定率は 100% である。 ※ 2 2012 年度の SPI 模擬試験(大卒向け SP1)は全体で 144 名が受験し,学生を上位(1 ~ 48 番),中位(49 ~ 96 番),下位 (97 ~ 144 番および留年生)に分けた。2013 年度は 157 名が受験し,上位(1 ~ 52 番),中位(53 ~ 105 番),下位(106 ~ 157 番および留年生)に分けた。 表 5 筆記試験と面接で見た不合格の理由 不合格の原因 2012(平成 24)年度 2013(平成 25)年度 不合格者の合計 18 人 11 人 主に筆記試験が悪かった 11 人 2 人 主に面接が悪かった 5 人 1 人 筆記試験も面接も両方悪かった 1 人 8 人 不明 1 人 0 人 表 3 航空宇宙工学コースの進路 人数 荒川キャンパス,ものづくり工学科,航空宇宙工学コース 5 年 クラス名:A5 2012(平成 24)年度 2013(平成 25)年度 在籍者数(-うち留年・退学者数) 44 (-3) 39 (-7) 卒業者数 41(100%) 32(100%) 就職者数(%) 29(71%) 24(75%) 進学者数(%) 12(29%) 6(19%) その他(%) 0 2 (6%) 就職支援室で支援した結果 就職希望者 30 27 内定者数(就職内定率) 30(100%) 27(100%) うち卒業しなかった者 1 3
3.何社目で内定したか 表 6 は何社目で内定したかの記録である。本校の就 職活動は推薦がほとんどで,併願ができないから,4 月から 7 月まで受験可能な会社は 3 社程度である。学 生はその範囲内で内定をとることが求められる。4 社 目の受験は秋となり,すでに求人票は少なく,学生は 企業を選べない状態となる。就職支援担当としては, 3 社目で全員が内定したいところである。
Ⅴ.就職支援の改善
1.SPI 模擬試験の重視 2012 年度の就職活動が,筆記試験(主に SPI 試験) で苦労したことは,表5の2012年度欄で明らかであっ たので,2013 年度の就職指導では,校内で 2 回実施し た SPI 模擬試験(高卒向け SP2 と,大卒向け SP1)の 結果を開示してもらい,計数分野や言語分野などの結 果を詳細に検討して,学生の希望調査(企業選択)に 対して,所見をクラス担任に渡してマッチングを図っ た。この時 2012 年度の合否データが基準として役 立った。同時に学生には SPI 問題集を解くことを勧め た。 2.希望調査後の修正指導 4 学年の 1 月に,学生より進路希望調査の提出があ る。1 月の進路希望調査は,進学か就職かを選び,さ らに第 1 希望から第 3 希望までを具体的に記入して, 保護者の押印が必要である。3 月になれば第 1 回の校 内選考が始まってしまい,希望する企業の修正ができ なくなるため,学生のミスマッチは,まず,1 月の進 路希望調査の結果を,就職支援担当で評価し,修正指 導をしなければならない。この一旦保留する所がマッ チングには重要である。1 月の時期は,学生の企業探 索の精度が悪く,同一の企業に複数の学生が希望して, 校内選考が順調に進まなくなるので,学生の「振り分 け」作業が大事である。 表 7 は 2012 年度の就職活動において,1 月の進路希 望調査の通りになったのかを示したものである。学生 はこの時期,第 2,第 3 希望まで有名企業を書くこと が多く,実現性が低いため,無駄な企業研究となって いる。ここでの指導では,本校に来ている求人票をす べて読むことと,中堅・中小企業も視野に入れた企業 研究をすること,コース主催の面接練習でコースの先 生方からも希望の変更を勧めてもらった。 3.学生に示したマッチングの工夫 希望調査の修正には,以下の表 8 を使って指導した。 学生に求人票を読ませて,表中の A 仕事(職種)を 選択し,次に B 製品と C 専門・資質を選ばせて,それ に近い企業を選択し,志望理由を書かせた。 4.企業の来校訪問 企業の人事担当者が求人票を持って本校に来校する が,2012 年度は延べ 127 社,2013 年度は延べ 169 社の 訪問があった。このうち,筆者が面談したのは,2012 年度は 10 社,2013 年度は 31 社である。来校訪問では, 表 6 何社目で内定したか 2012(平成 24)年度 2013(平成 25)年度 1社目で内定 18 人 18 人 1社目不合格,2社目で内定 公務員不合格 → 2社目で内定 5 人 1 人※ 7 人 - 1,2社目不合格,3社目で内定 5 人 2 人 1社目不合格 → 進学に変更 1 人 - 公務員 1 人 - ※公務員試験に落ちて 11 月中旬から就職活動をした学生がいて,内定は 1 月末となった。 表 7 進路希望調査の実現性(2012 年度 航空宇宙工学コースの就職活動) 第 1 希望どおりに推薦された者 14 人 うち合格した者8 人 (不合格 6 人) 第 2 希望どおりに推薦された者 1 人 うち合格した者1 人 (不合格 0 人) 第 3 希望どおりに推薦された者 1 人 うち合格した者1 人 (不合格 0 人) 希望にはなかった企業に推薦された者 32 人 うち合格した者20 人 (不合格 12 人) 延べ 48 人 合 計30 人採用選考の方法や,欲しい人材,企業(事業所)の方 向性,卒業生の様子などの情報が得られ,マッチング するための貴重な情報源となった。
Ⅵ.その他の就職支援
1.会社見学 ほとんどの会社で,事前の会社見学(工場見学)を 実施する企業が多かった。会社見学した学生の様子が, 企業人事担当者から就職担当教員に伝えられる場合が あり,マッチングに役立った。 2.受験報告書 就職試験から帰ってきた学生には受験報告書を書か せている。受験報告書は試験内容がどうであったかの 情報がとれるが,記載内容のレベルは学生に依存して, 一部分を除き,精度は高くない。しかしながら,どの ようなタイプの試験を実施するのか,把握するには便 利であった。 3.カウンセリング 2012 年度より,キャリアカウンセラーの予算が付 いたので,毎週水曜日,外部のカウンセラーによる面 表 8 企業の選び方 A 仕事(職種) B 対象となる製品(業界) C 専門・資質 設計(CAD) 航空機 機械工学系 生産技術 鉄道 流体力学 施工管理 自動車 材料学系 製造(オペレーター) 自動車部品 電子工学系 保守(メンテナンス) 船舶 電気回路 修理 原動機 制御系 整備 工作機械 情報処理 フィールドエンジニア 各種部品 通信 サービスエンジニア プラント 専門サービス 製紙 機械操作 機械営業 印刷 設計・製図 情報処理 食品 実験 ソフトウエアの開発 エレベータ --- プログラマー 自動ドア 内向きか,外向きか WEB サイトの開発 空調 (工場内か工場外か) 保守 ビル設備 社交的か SE(システムエンジニア) 事務機(コピー機等) 鈍重か軽快か ソフトウエア 手堅いか,柔軟か 派遣業(様々) コンピュータシステム 独立的か,依存的か ATM 機 安定的志向か 公務員 大手か中小か 勤務地は自由か,限定か 年功序列か実力主義か 仕事の内容を示す A,業界を示す B,専門・資質を示す C を,それぞれ選んで,もっとも合う企業を探してください。特に,C の 下側の資質は重要な決め手となります。 例,フィールドエンジニアの仕事で空調,機械工学系で外向的性格,大手を希望など。 → 企業を絞れる A,B,C の組み合わせで,企業が選択できるようになります。 組み合わせた後,その理由がなければなりません。(面接で主張するため)。組み合わせる時に,矛盾が生じた場合 → 再検討 する,つまり,そこがミスマッチになります。本校のように,求職者に比べて求人数が大変多い場合,ミスマッチとならないよう に,すべての企業の求人票を読み,検討する必要があります。多数の企業を調べることで,自分に適している企業を見つけること ができます。そして見つかった企業は,君たちの知らなかった企業が多いでしょう。 内定したら 40 ~ 45 年,勤めることが前提となるので,企業探索には十分,力を入れてください。談が実施された。就職活動において何か問題を抱えて いる学生を中心に面談してもらった。 4.インターンシップと就職活動との関連 4 年次のインターンシップと就職活動の関係は, 2012 年度の航空宇宙工学コースで,インターンシッ プ先企業に就職した学生は 3 名で,2013 年度は 6 名で あった。2013 年度はインターンシップ先企業を受験 して落とされた学生が 1 名出た。数は少ないが,2013 年度の 6 名の影響は大きく,就職活動の最初から,こ の 6 名の合格を確保できるのであるから,合格率が高 まり,不合格者の指導時間に振り向けることができる。 従って,インターンシップを就職活動にうまく活用す ることは,クラス全体の就職活動を円滑にする効果が あるし,不合格者が少なくなることにより,残余の求 人票も多くなる。