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ピリミホスメチル系殺虫剤によるスイカ接木苗の生長阻害-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第45巻 第2号121∼124,1993

ビリミホスメチル系殺虫剤によるスイカ接木苗の生長阻害

長谷川暗・白井博文・鍋浦高弘

GROWTHINHIBITION OF GRAFTED WATERMELON SEEDLING

BY PYRIMIPHOSMETHYLINSECTICIDE

AtsushiHASEGAWA,HirohumiSHIRAIand Takahiro NABEURA

Pyrimiphosmethyl insecticide inhibited the growth of gIafted watermelon

seedlings Theinsecticide sprayed seedlings showed symptomslike mosaic virus as

preventionofstemelongation,thickeningandminiaturizationolleaves,Crinklyleaves,

development of many aXillary shootsNon−Virus symptoms such as dark gIeen and

lustrously surface o董1eaves were alsoobserved

キーワード:スイカ接木苗,生長阻害,殺虫剤,ビリミホスメチル剤,アクテリック 緒 附属農場の種苗生産部の主力収入源となっている果菜類の苗生産において,1988年3月に接木し たスイカ常に,光沢があり縮菓を持つ生育不良のものが多数発生した“このような症状を持つ苗に ついてはり これまでに報告例がなかったことから,病気であるかどうかについて植物病理学者の診 断を受けたが,原因は解明されなかったそこで,接木後の苗管理で実施した作業内容について逐 一確認し,原因となりうるものを検討した.その結果,アブラムシ防除を目的として使用したビリ

ミホスメチル剤系殺虫剤(製剤名アクテリック)(1)に原因があると考えられた.それを実証するため

の実験を行い,以下のような結果を得た 実験1..殺虫剤および殺菌剤による生長阻害 苗生産の過程で使用した農薬全般の影響について明らかにするために,使用したすべての農薬を 単用あるいは併用して検討した.1988年4月23日に播種したカソピョウ(品種カチドキ)に,5月 2日に播種したスイカ(品種天竜2号)を,5月17日に呼び接ぎしたいそれを3号ポリ鉢に鉢上げ したのち,寒冷紗で遮光し,電熱線による地中暖房したトンネル内で栽培管理した..潅水および温 度管理(昼温/夜温:20/10℃)は,農場での慣行によっ■た‖ 5月28日に,穂木の下部をカミソリ

の刃で切り離した.農薬は指定濃度で5月27日と6月3日に2回散布した

6月9日に調査した結果,殺菌剤のダイセソおよびェチオフユンカルプ乳剤系殺虫剤(製剤名ア リルメーり,さらに両剤を併用しても影響は認められなかった.これに対し,アクテリック単用お よびダイセンとアクテリックの併用で接木首のすぺてと,実生苗の−・部に障害が認められた(表 1,表2)‖ダイセソ単用では,接木苗および実生苗のいずれにおいても障害がまったく認められな 注)この報文の要旨は平成2年度園芸学会中四国支部大会で発表した

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長谷川他:殺虫剤によるスイカ接木筒の生長阻害 123 かったことから,障害はアクテリックに起因すると考えられた.障害としては接木甫のばあい,

キ1.ウリ緑斑モザイクウイルス(CGMMV)(2345)に類似した症状が観察された‖すなわち,茎の伸長

抑制,其の媛化,菓縁の巻き上がり,菓の硬化,漣菓,側枚数の増加,などの症状であったい さら に,濃緑の菓や菓の表面が光沢をおびるなど,ウイルス病とほ異なる症状も生じた(図1)い実生甫 の菓では,倭化,表面の光沢,硬化などの症状が認められた.台木用のカソピョウ実生苗について は供試数が少なかったため断定できないが,障害の認められた接木苗において,台木部には障害が まったく観察されなかったことをあわせ考えると,使用案剤による影響はないものと判断された 実験2‖ アクテリック散布時期が鉢増し栽培のスイカ接木苗の生長に及ぼす影響 1988年3月の障害発生時には2回薬剤散布したことから,実験1では同様に,穂木の切り離しの 前後に2回散布した‖ 本実験では,散布時期がその後のスイカ接木苗の生長に及ぼす影響について 明らかにするために,アクテリックの1回散布により検討した.1990年1月17日播種のカソピョウ に,1月30日播種のスイカを2月24日に呼び接ぎし,3号ポリ鉢に鉢上げした.穂木の切り離しを 3月7日とし,その前後にアクテリック(500倍液)を散布した,.3月20日に4,5号のポリ鉢に移植 して生長を促したのち,4月9日に1区12本につき調査した アクテリック散布区の酉は,無散布区の苗に比べ茎長が著しく短かったが,英数には区間で明確 な差が認められなかった(表3)英数に差がないにもかかわらず散布区の茎長が襲いことは,散布 区の酉の節間伸長が抑制されたことを示すい いずれの散布区でも,実験1で見られた症状に加え, 巻きひげが石化して帯状を示す蔑も生じた..本実験結果から,アクテリックによる生長阻害が再確 認された.しかし,散布時期による明確な差は確認できなかった..その理由として,鉢増ししで比 較的長期間栽培したために,回復によりアクテリックの影響が軽減され,散布時期による差が小さ くなったものと考えられた 表3 アクテリ・ヅク散布時期が鉢増し栽培の スイカ接木苗の生長に及ぼす影響 実験3..アクテリック散布時期がスイカ接木 苗の生長に及ぼす影響 散布時期がスイカ接木苗の生長に及ぼす影 響について明らかにするために,苗を鉢増し せずに.栽培して検討した.1990年2月23日播 種のカンピョウに,3月12日播種のスイカを 3月26,27日に呼び接ぎし,3号ポリ鉢に鉢 あげした‖ 穂木の切り離し日(4月10日)の 前後にアクテリック(500倍液)を散布した 5月12日に1区10本につき調査した結果, 無散布区守こ比べすべての散布区∵でスイカ百の 生長が阻害された−散布時期が遅いほど茎長 と菓数が抑えられ,側枝数が増加する傾向が 認められた(表4)い本実験では,鉢増しせず に長期間小さなポリ鉢で栽培したためにスイ カ宵の生長が抑制され,その結果,散布時期 による差が生じたものと考えられた 散布時期 茎長(cm) 乗数(枚) 無散布 前 日 当 日 1日後 2日後 5 9 4 2 4 0 1 3 0 9 3 2 2 2 1 8 8 8 8 8 3 5 7 4 2 表4 アクテリック散布時期がスイカ接木苗の生長 に及ぼす影響 散布時期 茎長(cm) 英数(枚) 側杖数(本) 無散布 前 日 当 日 1日後 7 9 7 8 5 8 7 6 2 1 1 1 9 ︵XU 8 00 5 9 5 4 1 1 1 2 6 8 9 4

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香川大学農学部学術報告 第45巻 第2号(1993) 124 考 察

実験結果から,1988年にスイカ接木苗に.発生した障害がビリミホスメチル剤系殺虫剤(製剤名ア

クテリック)によることが明らかとなった.その影響は接木苗で顕著に現れ,散布時期が影響する

ことも明らかとなった.呼び接ぎした接ぎ穂の切り離しが,接木苗のその後の生長に及ぼす直接的

影響はほとんど無く,他の薬剤の影響が認められなかったことから,スイカ接木苗で見られた障害

は,アクテリックに起因するものであると判断された.散布時期が遅いほど阻害程度が高かったこ

とは,影響が持続的でないことを示すものと考えられるすなわち,散布時期が早い区では,本剤

の影響が弱まり植物の生長が回復したのちの期間が長かったため,茎長などが遅い区よりも勝った

と考えられた.このことは,鉢増しして生長期間を長くした実験2において,散布時期による差が

小さかった結果からも明らかである.本剤ほ,野菜,柑橘,木本花井,球根花井のアブラムシやコ

ナガ,アオムシ,ヨトウムシなどに効果がある.果菜としてはナスが適用作物に含まれているが,

スイカは含まれていない(1).以前に,本剤をナス以外の果菜首のアブラムシ駆除に使用しても障害

が観察されなかったことから,スイカの接木苗に使用して,本報告のような被害を生じた1スイカ

の接木酋ばかりでなく実生苗にも障害が発生したことから,本剤はスイカに対し本質的な影響を与

えると考えられる.その生長阻害的影響は1回の散布でも明確に現れるカ㍉実験1のように散布回

数が2回と多くなるほど強調されるようである本剤散布区の酋で,茎(主虜)の伸長を抑制する

と同時に,多数の腋芽(子蔓)を発生させる例が認められた.これは,単に頂芽優勢が抑えられた

ため,腋芽が発生したとは考えられず,本剤が植物生長調節物質的作用力を持つ可儲性があると考

えられた 要 約 ビリミホスメチル系殺虫剤(製剤名アクテリック)を散布されたスイカ接木苗は生長が

阻害され∴茎の伸長抑制,菓の線化,集録の巻き上がり,菓の硬化,漣菓,側校数の増

加,などのモザイクウイルス病に類似した症状を示すばかりでなく,濃緑の菓や菓の表面

が光沢をおびるなど,ウイルス病とは異なる症状も生じた

引 用 文 献

(1)農薬の手引1992年版.pp82,428化学工業日報 極)平井籍造・四方英四郎・高橋 壮・都丸敬一・共

著.新編植物ウイルス学:pp143−149養賢 堂,東京(1988) (5)米山伸吾:スイカ原色病害虫診断防除編,2野 菜・果菜pp17−21.農山漁村文化協会,東京 (1977) (1993年6月30日受理) 社,東京(1992) (2)伊藤正編:野菜の栽培技術,pp212−214 誠文 堂新光社,東京(1987) (3)倉田久男:スイカ栽培新否pp150−166養賢 堂 東京(1971)

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