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技術者の情報交換--情報共有規範の視点から---香川大学学術情報リポジトリ

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j i:í~ (;4巻ゐ4り 199211 2 ) J :141-:l60

技術者の情報交換

一一情報共有規範の視点から一一

嘗 間 克 雄

問題提起 ある問題の解決という人間行動のプロセスにおいては,必ずといってよいほ ど情報の収集・交換活動がみられる了問題を取り巻く状況や問題の性格に依存 してその活動の程度や形態は異なるであろうが,そうすることによって人聞は 問題解決に一歩一歩近づくことができる。その意味で情報交換活動は,問題解 決の効率性を決定する一要因としてとらえられよう。 そこで本稿では,問題の解決という行動を企業のイノベーション活動にあて はめて考えてみたい?)その活動のなかで研究開発部門の技術者は中心的な役割 を担っており,そこで不可否的な技術的問題を解決するために様々な情報を交 換している。彼らによる情報交換活動は効果的に活動を進めるうえで重要な意 味を持つとわれわれは考える。その理由は,①取り組まれる技術的問題の性 謝 辞 本稿は経営学会関西部会〔平成3年 6月15日,関西学院大学〕で報告した原稿に,若干の加筆・補 正を行なったものである。大会での報告に対しては,コメンテーターをひきうけられた狩俣正雄先 生(大阪学院大学〉や後藤幸男先生(追手門学院大学),中橋国蔵先生(神戸商科大学〕から貴重な 御教示を頂いた。記して感謝する。 (1) 一般的に,情報交換は単なる情報の取引もしくは交換ととらえられており,類似する概念にコ ミュニケーションがある。コミュニケーシgンとは,送り手から受け手への単なる情報の伝達で はなく,送り手と受けての相互主体的な多面的かつ連続的な相互作用のプロセスと定義され,本 来,情報交換とは区別されるべき概念である(狩俣, 1988, p.2)。しかし,本稿では情報交換を情 報の交換を通じた相互作用としてとらえ,それはイノベーション創始の手段となりうると考え ている。それゆえ,本稿では情報交換とコミュニケーションとを区別せずに用いる。 (2) 本稿では企業におけるイノベーション活動を新しい製品や生産工程,およびサービスの創出 という意味で用いている。

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-342 香川大学経済論議 1034 格,②技術者の仕事の特質,③技術者の心理的側面の点から説明することがで きる。それぞれについて考察してみよう。 現代企業は,急速な技術変化や技術の相互依存性の増大というこれまでとは 異なる技術環境の変化に直面している CAstley=Brahm,1989)。前者は文字ど おり技術が急速に変化し,技術ライフサイクノレの短縮化がおこっている状況を さしている。後者は「メカトロニクス」や「オプトロニクス」という新しい技 術用語に象徴されるように,従来はそれぞれ個別に発展してきた技術の融合化 がおこっている状況を示している。その結果,複合技術が生じ,産業の垣根が 不明瞭になりつつある。 また,技術の細分化が進んでいるということも見逃せない環境変化である。 これは技術の融合化とは逆の現象であり,研究領域の細分化と研究レベルの深 淵度が進んでいることを意味する。このように現代企業を取り巻く技術環境は 複合的に変化しているのである。 このような技術環境の変化は,解決されるべき技術的問題の'性格に大きな影 響を及ぼしている。技術ライフサイクルの変化,複合技術の出現,技術の細分 化とL、う環境変化のもとでは,伝統的な問題解決行動の研究で念頭におかれて いた単純かつ明確な問題,それに対する正確かつ唯一最善の解決策という考え 方は一掃されるであろう。つまり,解決されるべき技術的問題の性格は複合的 であり,問題解決行動には終着点はなく,問題とその解決策の因果関係は不明 確かつダイナミックに変化しているのである(Johnson=Gibbons,1975)。 このような状況のもとで,情報交換は重要な役割を担うであろう。それは, 技術者らはそれぞれの有する情報を交換することによって,技術的問題それ自 体を明確化することができ,問題解決の方向づけや解決策となるアイデアを獲 得できると考えるからである。また一般的に,技術の細分化が進むほど,技術 者個人の能力はその分野に限定されるであろう。それゆえ,必然的に彼らの視 野や考え方にも自ずから限界がでてくる。情報交換は技術の細分化による弊害 を克服する効果,すなわち従来のものの見方や考え方の打破としろ効果を持つ (拙稿, 1990)

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さらに,重要なのはこれまでの研究開発の失敗に関する情報の交換・共有で ある。そのような情報の交換によって,技術者らは失敗を繰り返すことによる 研究時間とコストが節約できるだけでなく,一見失敗かと思われた研究上の壁 を乗り越える方向を共に探求できるのである(金井, 1983, 1984)。 つぎに,情報交換の役割の重要性は技術者の仕事の特質の点からも説明する ことができる。一般的に,彼らの仕事は製造や販売におけるそれよりも不確実 性が高い CLawrence=Lorsch,1967)。また,特に新製品開発プロジェクトにお いてみられるように,様々な専門的知識をもっ技術者が一つの仕事ないし課題 に取り組むというような特徴がある。技術の融合化としづ技術環境の変化に対 応するためにもこのようなチームによる研究開発の重要性が高まっている。例 えば,鉄鋼業における表面処理鋼板の開発においても,以前は圧延した鋼板に 化学的な表面処理をすればよかったが,現在は製鋼,圧延,および表面処理の 技術者がチームを組まなければ対応しきれないというような状況にある(日経 産業新聞, 1991)。このような点から考えると,情報交換は技術者らの意思疎通 を促進し,研究開発プロジェクトを効果的に進めるための重要な手段となるの である。 さらに,技術者らの情報交換は上述した効果だけでなく,技術者の心理的側 面における効果をもっと考えられる。すなわち,取り組まれている研究への承 認やそこにおける誤りの発見,および精神的なリラックス感の付与などである。 情報交換によって,技術者は現在取り組んでいる研究や技術的問題の解決策に 対して同僚から承認を得ることができる。またそれは自信や相互理解にもつな がる。さらに,このような相互作用は研究上の息詰まる緊張感を解放してくれ る CPelz=Andrews,1966)。この意味で技術者らの情報交換は,彼らの研究な いし技術的問題解決へのモーティベーションを強化するとし、う効果をもっと思 われる(拙稿, 1990)。 技術者の情報交換活動の重要性は,現実の企業行動のなかにも反映されてい る。それは企業による組織的方策や何らかのシステムの構築という形でみられ る。

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-344- 香川大学経済論叢 1036 プロジェクト・チームやマトリックス組織のような横断的関係を構築するこ とによって,組織内の情報交流を促進することは組織的方策の一つである(例 えば, Galbraith, 1973)。三菱電機で行われている「情報交換会」はその一例と してとらえられる。「情報交換会」は中央研究所が主催している研究会であり, 各工場および営業所からも広く人材を募って,①新製品・新技術開発のブレー ンストーミング,②用途開発のブレーンストーミング,③技術コンサルティン グ,④先端技術の勉強会などを行っている(柳下, 1988)。このような形態で技 術者らの交流を促進することによって,多くの特許技術および新製品が創造さ れているのである。 組織内の情報の停滞とよどみを排除し,効率的かっ統合的に生産活動を進め るためにコンピュータをはじめとする情報技術を用いるケースも見られる。 ま た,本稿の主たる関心事である研究開発部門においても,情報技術を用いた LA CLaboratory Automation)の構築によって情報交流を進めようという動き もみられる。例えば,

IBM

社はセントラノレ・ファイル・システムと呼ばれる研 究・技術情報管理システムを構築することによって情報交流・共有を推進して いる。それは世界中の

IBM

研究所や工場をコンビュータで接続することによっ て,世界中どこにいても互いに連絡し,研究や技術の内容について議論できる ようなシステムである(青木・小池・中谷, 1989, pp 108-115)。そうすること によって,新しい技術の創出や直面している技術的問題の解決への情報面から の支援,および研究開発テーマの重複の回避とそれによる研究開発コストの削 減が可能となるのである。 このような組織構造の変革や情報システムの構築という方策は,技術者の情 報交換活動を刺激する管理システムであることはまちがし、ない。しかし,それ らはいわば情報交換のハードウェア的側面ではないであろうか。情報交換を促 進するために,組織機構,つまり入れ物としての組織を整備するということ。 (3) 情報交換会」の成果としては,ビル窓拭きロボットや電子レンジ・オーブン,オイルフェ ンス,スパイラノレシューター,広告用電子式スクリーン(オーロラピジョン〕などがあげられ る(柳下, 1988, pp 72-92)。

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研究所聞もしくは研究所と他の部署との情報交流を進めるために,情報技術と いうパイプを張り巡らせること。システム作りも重要であるが,それを効果的 に機能させるためには情報交換のソフトウェアともいうべきものが必要とな る,とわれわれは考える。 情報技術におけるハードウェアとソフトウェアというように,情報交換にも そのようなものがあり,双方があいまって組織におけるイノベーション活動が 促進されるのではないか。このような視点から,企業におけるイノベーション 活動を促進するソフトウェア的側面を明らかにすることが本稿の目的である。

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有機的管理システムの本質 イノベーションを推進する組織の典型例は, Bums=Stalker (961)が提唱 した有機的管理システム Corganicmanagement system)であり,これについ ては多くの研究者の問で意見の一致がみられている。 Bums= Stalkerによれ ば,この管理システムは官僚制組織を代表例とする機械的管理システム Cme -chanistic management system)と性質を異とするものであり,環境(市場およ び技術〉が急速に変化する場合に有効となる管理システムである。それぞれの 管理システムの特徴は表

l

に示される。 上記の

2

つの管理システムの特徴を情報交換の視点から分析してみよう。 機械的管理システムでは,組織成員は明確に規定された職務を持ち,その職 位に基づいて垂直的に情報が流れる。つまり,階層構造に沿って情報交換活動 がなされるのである。これは指示的経路 Cdirectivechannels)による情報の交 換であり,そこでは主として職務の指示,手続きや実践に関する情報の付与, 部下への業績のフィードバックがなされる。職務記述書,政策案,規則,従業 員評価報告書といったものは,指示的経路における情報交換の例である CGer -loff, 1985, pp.283-284)

Bums=Stalkerはこのような機械的管理システムの具体例としてレーヨンの 製造工場をあげている。その工場では,限られた資源でし、かに安くかっ需要量 に適合するようなかたちでレーヨンを生産するか,という目的のもとに職務内

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346- 香川大学経済論叢 1038 表1 機械的管理システムと有機的管理システムの特徴 機械的管理システム 有機的管理システム 1.課業(職能)の専門化 l知識や経験の専門化 2タスクの抽象性(全体目的との 2タスクの具体性,現実性(全体 関連性なし〉 目的との関連性あり) 3階層のそれぞれのレベルにある 3.他の人(同僚)との相互作用に 管理者による調整 よる調整 4仰各職位の権限,義務,及び技術 4..各職位の権限,義務,及び技術 的手法の明確化 的手法の明確化からの脱皮 5“権限,義務,及び技術的手法を 5技術的規定を越えた関心の拡大 職位の責任という形に変換 6..統制,権限,伝達の階層的構造 6.統制,権限,伝達のネットワー ク構造 7上位への情報及び知識集中によ 7..情報及び知識の組織内分散 る階層構造の強化 8上司と部下の高度に垂直的な相 8同僚もしくは他部門の人との水 互作用 平的相互作用 9.上司による指示と命令の伝達 9情報と助言の伝達 10組織への忠誠心と上司への服従 10組織のタスクと技術的特質に対 の強調 するコミットメント 11一般的な知識,経験,スキルよ 11組織外の他の専門化集団にも通 りもむしろ組織に特定な知識の 用する知識の強調(コスモポリ 強調(ローカル〉 タン〕 出所:Burns=Stalker(1961), pp.1l9-123より著者が作成。 容 が 厳 格 に 規 定 さ れ て い る 。 一 例 を あ げ る と , 紡 績 室 (spinningroom)の 作 業 者 の 役 割 は 原 材 料 た る ビ ス コ ー ス の 変 換 工 程 に お い て , で き る だ け 多 く の レ ー ヨ ン 糸 を 紡 ぐ こ と で あ り , 彼 ら は “efficiencyman"と 呼 ば れ て い る 。 ま た , 彼 ら を 含 め た 作 業 者 の 管 理 ・ 監 督 は “FactoryBible"と呼ばれるマニュアノレに よ っ て な さ れ て い る 。 権 限 , 情 報 , 技 術 的 能 力 は 階 層 を 登 る に し た が っ て 多 く な り , 現 場 作 業 者 は 指 示 的 経 路 を 通 じ て 監 督 者 や 工 場 長 に よ っ て 厳 格 に コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る (Burns=Stalker,196,1pp79-83)。 一 方 , 有 機 的 管 理 シ ス テ ム で は , 組 織 構 成 員 の 職 務 は 緩 や か に 規 定 さ れ て お

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り,階層的関係よりもむしろ人的ネットワークに基づいて水平的に情報が流れ る。つまり,仕事の流れに沿って同等の階層レベルにある個人や部門が結びつ き,活動の調整や問題の解決のために情報交換がなされるのである。有機的管 理システムにおいてもある一定の活動の公式的かつ管理的な調整手段,例えば 作業手順や教育訓練計画はみられるが,それらよりもむしろ自発的調整手段が 強調される CGer!off,1985, p. 284)。そこでは,高度な対人的接触が行われ,非 公式的かつ口頭による情報交換がなされるのである。 Burns=Stalkerは有機的管理システムの具体例としてテレビやラジオを製造 しているエレクトロニクス企業をあげている。当時,その企業を取り巻く技術 および市場環境は急速に変化しており,新製品開発活動や日々の生産活動にお いて多くの問題が生じていた。それらの問題を解決するために,組織成員は公 式的な情報交換経路よりもむしろ非公式的かつ口頭によって情報の伝達・交換 を行っていた。 Burns=Stalkerはその様子を次のように描写している。 下位レベルの管理では監督者間で広く普及しているような個人間の頻 繁な接触が維持されている。問題を知覚した人は,職長のところであれ, 監督者のところであれ,当面の問題に最も関心を持っている人のところに 行くことになっている。 現場従業員であるヒルは,何かわからないこ とに直面すると設計技師 Cdesignengineer)や製図工 Cdraughtsman)の ところにまっすぐに行く。そしてその問題がどのようなものであれ,その レベノレで解決されるのである CBurns=Stalker,1961, p.91)。 上記の描写から導き出されることは,自由な情報交換を通じた相互作用とそ れによる問題解決ということである。組織成員は何か問題を発見するとすぐ に,そのことについて関心や情報をもっている他の組織成員のところへ行き, 情報やアイデアの提供を求める。質問された組織成員は快くそれに応じ,情報 やアイデアを提供する。かかる彼らの行動は階層的構造によって縛られること なく自発的になされ,多くの場合そこで問題が解決されるのである。このよう

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348- 香川大学経済論議 1040 なことから判断すれば,有機的管理システムの本質は,組織成員の相互支援的 な関係のなかでの情報交換および共有という点に求められよう。 これまで見てきたように,機械的管理システムでは,情報は組織階層の上層 部に集中し,指示的経路を通じて情報が交換される(本稿で考えている情報交 換の概念とはかけ離れているが〉。そこでの支配的なパラダイムは規律や手続 きといった官僚制組織特有のものである。一方,有機的管理システムにおいて は情報は専門的知識や能力をもっ組織成員に分散し,水平的かつ個人聞の情報 ネットワークを通じて情報が交換される。そこでは相互支援や情報の共有と いったパラダイムが支配的であり,それが有機的管理システムの本質でもある。 以上のような情報交換という視点からみた両方の管理システムの特徴は,表

2

のように示されよう。 表2 各管理システムにおける情報交換 機械的管理システム 有機的管理システム 情報の所在 階層の上層部に集中 専門的知識や能力をもった人 が所有,分散的 情報交換 公式的かつ垂直的な情報交換 非公式的かつ水平的な情報交 経路 経路(指示的,報告的経路) 換経路 支配的な 規律,手続き,厳格なコント 相互支援的関係,情報の共有 ノξラ夕、、イム ロール,パワーや情報の集中 次節では,ここで論じた有機的管理システムの本質を情報共有規範という コンセプトを用いて分析していきたい。 3 情報共有規範という概念 組織成員は仕事環境で生活し,活動する際に,その環境に固有の特性ないし は雰閤気を直接的,あるいは間接的に知覚している。 Li託tw叩in=S割t灯r凶I1加i は,そのような特性ないし雰囲気を組織風土と呼び,それらは組織成員のそー ティベーションや行動に影響を及ぼすと主張している。また彼らは組織風土を 測定可能なものと考え,その次元ないしは尺度として構造 (structure),責任 (responsibility),暖かい雰囲気(warmth),支持性 (support),同一化(iden

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tity)などをあげている。そして,そのような組織風土の諸次元が組織成員の 抱くさまざまな欲求 CLitwin= Stringerの場合,達成欲求,権力欲求,親和欲 求)に影響を及ぼし(喚起,減殺,もしくは効果なし),その結果,組織の業績 が規定されるいうことを明らかにしたのである (Litwin=Stringer, 1968)。 ここではLitwin=Stringerが主張した組織風土を情報交換ないしは情報共有 の点から捉えてみたい。つまり,組織には情報交換によって相互に情報を共有 し合おうとする風土があると考え,それは組織成員の情報交換および共有行動 に影響を及ぼすという立場をとるのである。既存研究によれば,そのような風 土は情報共有規範(information寸1aringnorms)と呼ばれている CDewhist, 1971 ; Wofford et al, 1977)。情報共有風士Cinformation-sharingcrimate)と 言し、かえてもよいかもしれない CGerloff,1985, p..297)。 情報共有規範は, Litwin=Stringerが主張した組織風土の暖かし、雰囲気と支 持性という次元に直接関連する (Dewhist,1971)。前者は仕事環境において 個々の組織成員に仲間関係があり,有効的かつ非公式的な関係が普及している ことを意味する。後者は上可や部下,あるいは同僚との関係のなかに相互扶助 的な気風があることを意味する CLitwin=Stringer,1968,邦訳, p.82)。した がって,情報共有規範としづ概念は単なる情報の共有ではなく,相互支援ない し相互扶助関係のなかでの問題解決やその他の事柄に関わる情報の共有に力点 がおかれているといえよう。 先に論じた有機的管理システムの本質は,実は情報共有規範の強さにあった と考えられる。つまり,そのシステムにおいて組織成員は情報共有規範が強い と知覚し,階層的関係にとらわれることなく水平的かつ対人的接触によって活 発に問題解決に関わる情報を交換したのである。このことはDewhist(1971)の 研究によっても支持されている。彼によれば,組織成員が強い情報共有規範が あると知覚した場合,彼らは問題解決プロセスにおいて対人的接触 (face-to-f -ace commuication)に よ っ て 情 報 交 換 を 行 な う (Dewhist,1971, pp 309-310)。その結果,効果的かつ迅速に問題が解決されるのである。有機的管 理システムの特徴である急速に変化する環境のもとでの適応能力(つまり革

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-350- 香川大学経済論叢 1042 新性〉は,情報共有規範の強さに求めることができょう。 情報共有規範は組織成員間で交換・共有される情報の質の点でも大きな意味 をもっ。先に述べたように,情報共有規範が強いと組織成員が知覚した場合, 対人的な接触によって情報が交換・共有される (Dewhist,1971)。研究開発活 動におけるコミュニケーションの既存研究では,対人的接触による情報交換の 重要性が主張されている。例えば, Allen=Cohen (1969)は,技術情報や重要 な出来事に関する情報は公式的な組織図に描かれているような経路や文書を媒 体とするよりも,非公式的でくつろいだ個人的な経路での口頭での伝達を通じ て行なわれていると主張している。また, Tushman 0978, 1979)も,こと研 究開発活動において複雑な情報や全く新しいアイデアをすみやかに吸収するた めには,個人的な接触による情報交換の方がはるかにすぐれているとしている。 それはタイムリーな情報交換,研究へのすばやいフィード、バック,および重要 な評価,さらにリアルタイムの情報の記録および統合の機会を提供する。研究 開発活動では情報の獲得と交換の重要性が高く,さらに技術的問題解決の複雑 性が高い場合には,対人的接触による情報交換の重要性は研究開発において強 調されるのである CTushman,1979)。 かくてわれわれは,組織内での活発な情報交換と共有,および重要な情報や アイデアの移転を促進し,組織の革新性を高めるためには情報共有規範を強く するζとが重要であると主張したい。これは図

1

のように示すことができる。 図 1 情報共有規範と組織の革新性との関係 「 → 活発な情報の交換・共有 一つ 情報共有規範"強一寸

組織の革新性 」→ 重要な情報やアイデアの移転ー」 それでは,情報共有規範を組織に浸透させるにはどうしたらよいであろうか。 つぎに,情報共有規範に影響を与える要因を検討することにしよう。

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4 情報共有規範に影響を及ぼす要因 情報共有規範に影響を与える要因としてまず思いつくのが物理的要因である。 研究開発の現場の物理的な環境条件が,技術者らの情報交換を促進あるいは間 害することは容易に想像できるであろう。彼らの研究室が離れていたり,壁で 仕切られているとL、う研究設備面における状況が典型的な例である。このよう な状況のもとでは,情報交換は行われにくく,他の技術者がどのような研究開 発活動をしているかがわからないとし、う現象を生み出しうる。その結果,自社 内に技術的な問題の解決に役立つ情報があっても気づかないということが起こ るのである。このような現象は特に大企業において顕著であるが(西田, 1990, p.21),例えば,研究開発部門における大部屋制度やオープン・ドア政策 などの技術者らの物理的近接性を高めるとL、う方策の導入は,このような情報 的疎遠の克服を可能にすると考えられる。 確かに,このような物理的要因も技術者らの情報交換・共有に影響を及ぼす であろう。しかし,彼らが知覚する情報共有規範,つまり情報交換・共有を促 す雰囲気には他の要因が大きく関わっているのである。情報共有規範に直接的 に影響を及ぼす重要な要因としては,①情報交換の際に組織成員が知覚する心 理的コスト,②特別な情報提供者nの有無,および③管理者のリーダーシップ・ スタイルをあげ、ることができる (Ger!off,1985,pp.

.

2

97-298)。 まず,心理的コスト (psychologicalcost)とは,ある組織成員が他の組織成 員に情報提供を求める場合に知覚する心理的なコストを意味する CDewhist, 197,1pp..306-307)。他者に情報を求めるということは,自分がそれに関して知 らないことを認めることになる。それを恥と考える人もいるであろう。その場 合,他者にものを尋ねることに関わる心理的コストは高くなるであろう。それ が技術者などのような専門家と呼ばれる人の場合はなおさらである。また,あ る技術者が同僚に情報提供を求める場合,同僚が彼の探索行動を思い留まらせ たり,邪魔したり,それに難癖をつけたりするのなら,情報提供を求めること に関わる心理的コストは極端に高くなるであろう。その結果,対人的な接触に

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フ u rJV ? υ 香川大学経済論叢 1044 よって自発的に情報を交換・共有しようという行動は起こらなくなる。つま り,情報共有規範は低くなる。このようなことは良好な人間関係や支援関係が ない場合や情報提供によってパワー関係が崩れる場合,さらに“尋ねることは 恥である"という雰囲気がある場合に起こりうる。 つぎに,技術者集団のなかには,膨大な読書量,組織内外の人との頻繁な接 触によって,他の人よりも多くの専門的知識や技能を習得している技術者がし、 る。 Allen= Cohenは,そのような技術者を“sociometricstars"ないしは技術 ゲートキーパー (technologicalgatekeaper)と呼び,彼らは外部組織において 発生した情報フローを組織内部に取り込む媒介者としての役割を担っていると 主張している (Allen= Cohen, 1969, pp..16-17)。上にあげた特別な情報提供者 (special communicator)とはそのような技術者をさす。通常,この役割は第一 線の研究開発リーダー (first-linesupervisors)が担う場合が多い (Allen= Cohen, 1969)。彼らは種々の外部組織の専門家との個人的なネットワークを もっている。それは一般的には接近できない情報源であることが多く,そこか ら重要な情報を引き出し,自らの属する研究開発組織に共有された共通の言語 (common language)や特別なコードへの変換 (specialcoding)と情報のふる い分け(filtering)を行う (Ger!off,1985, pp..295-296)。その後に個々の技術者 へと情報が移転・共有されるのである。このような役割を担う人が組織内に存 在するということ自体,すでにその組織の情報共有規範は強いのである。特別 な情報提供者が存在し,

I

あの人に聞けば大体のことがわかる」ということを 組織成員が知覚しているのなら,彼らは情報提供を求める行動を起こすであろコ う。また,情報提供者は,他の組織成員に情報を提供することによってある種 の心理的な満足感を得ているのかもしれない。それゆえ,特別な情報提供者の 有無は,情報共有規範に影響を及ぼす重要な要因と考えられる。 さらに,管理者のリーダーシップも情報共有規範に大きな影響を及ぼす。彼 らの重要な役割のーっとして,良好な組織成員聞の関係の構築・維持があげら れる (Likert,1961)。彼らがその役割を怠り,権威主義的かつ命令的なリー ダーシップを行使した場合,組織成員が知覚する情報共有規範はかなり低くな

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1045 ると考えられる CGer!off,1985, pぃ298)。その理由は,リーダーシップ・スタイ ルとコミュニケーションに関するLikert(1961)の研究に明らかにされている。 彼はつぎのように主張している。 リーダーによる不当な圧力は,敵意、,恐怖,不信,およびそれに類する 組織成員の態度を生み出す。かかる態度は関連ある情報の伝達と受容を減 退させるばかりでなく,上下いずれに向かうコミュニケーションについて も,それを歪曲しようとする動機を喚起しがちである。信頼感と自信の欠 如は組織内の各階層の成員をして, ["持ち札を隠してゲームをさせ

J

,他者 と共有する情報を狭少にし,他者から伝達されてくる情報を疑いの目でな がめさせたりするものである。不信感はコミュニケーションを失墜させる CLikert, 1961,邦訳, pp..62-63)

上記のLikertの主張には,リーダーシップ・スタイルと組織成員の情報交換 および共有との関係が如実に示されている。彼の論じた有効性の低い不適切な リーダーシップ・スタイノレのもとではもはや情報交換および共有はなされない。 このことからもわかるように,組織成員が知覚する情報共有規範は,管理者の リーダーシップ・スタイルによって大きく影響されるのである CLikertの場合 は専制的リーダーシ yプよりも参加的リーダーシップが有効であるとしてい る〉。 上述したLikertの研究は, Lorsch=Morse (1974)の研究によっても支持され ている。つぎに,彼らの研究を取り上げてみたい。それは,①その対象が主と して新製品開発研究を行っている研究所であり,われわれの研究の焦点と合致 しており,また,②組織の業績と管理スタイル,および情報交換・共有との関 係が考察されているからである。 Lorsch=Morseによれば,対象となる研究所は他の職能部門と比べて不確定 な環境のもとにある。そこにおいて高業績をあげている研究所では参加的な管 理スタイルがとられていた。彼らはその理由を次のように論じている。

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-354- 香川大学経済論議 1046 上層の管理者や監督者らは技術者に比べて経営目標や利益目標に関する 情報がより多く手に入る傾向がある。他方,技術者らは上層の管理者より も技術情報や特定の研究分野に関する専門的情報を多く手にする傾向があ る。参加的な管理スタイル(プロジェクトの選択や業績の基準,および評 価の設定に関して)によってこの両方の情報を分かち合うことはより現実 的な意思決定を生み,また,大部分が上層部からの決定とし、う事態を喜一ば ない(権威に対する〉態度をもっ人々にも適すに違いない CLorsch=Mo-rse, 1974,邦訳, p.107)。 Lorsch = Morseの主張は,参加的管理スタイルの導入によって研究開発リー ダーと技術者との間で経営目標や利益目標に関する情報と技術情報が共有さ れ,その結果,新製品開発に関わる意思決定を効果的に進めることができる, ということである。そこでは種類の全く異なる情報が交換されているだけでな く,研究開発リーダーのもつ技術情報も交換されているとわれわれは考える。 通常,研究開発リーダーも特定の専門領域をもっ技術者であるから,そこでは 部下が取り組もうとしているテーマもしくはプロジェクトに関わる技術情報が 交換されていると考えるのである。 参加的管理スタイルは研究開発部門における上司と部下といった垂直的関係 における情報交流を推進するだけでなく,部下同志の水平的な情報交流をも促 進する。これに関してLorsch=Morseは次のように論じている。 技術者らはお互いに自分達のアイデアや研究の進め方を定期的に評価 し,分析し合っていた。たとえ彼らが異なったプロジェクトを研究してい たとしても,彼らは新しい考え方のための検討会を持つようお互L、どうし で頼り合っていたのである。我々は,正規の勤務時間中や終業後に特別に 問題解決の会合を聞いている少人数の技術者集団を見かけた CLorsch=-Morse, 1974,邦訳, p 110)。

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高業績をあげた研究所における参加的管理スタイルは,明らかに技術者らの 情報交換を推進し,情報共有規範を強くしているといえる。研究開発に従事す る技術者は一般的に権威の受容度が低く,集団主義よりも個人主義的志向が強 いと考えられている。したがって,管理スタイルのあり方によっては効果的な 研究開発は望めない CLorsch

=

Morseは低業績であった研究所では自由放任的 あるいは指示的な管理スタイノレがとられていると主張している〉。参加的管理 スタイルは技術者の自律性を高めるだけでなく,彼ら│司志の支援的関係をも高 めていると考えられる。ここで取りあげた研究所は,先に述べた有機的管理シ ステムと組織構造の特性において類似する側面を有するが,参加的管理スタイ ルは組織内の情報交流を推進し,その結果,情報共有規範を強くする方策とし て位置づけられるのである。 このように,うえにあげた情報共有規範に影響を与える

3

つの要因は,研究 開発部門におけるリーダーの管理スタイルと彼らの行動に影響を及lぎされてい ると思われる。基本的に,技術者は他の技術者との関係において心理的コスト を知覚するが,その関係は研究開発リーダーが適切な管理スタイルをとればあ る程度改善できるであろう。 つぎに,特別な情報提供者ないし技術ゲートキーパーは,文献や組織内の専 門家仲間(同僚),および外部組織から技術情報を収集・交換し,それを他の技 術者に提供するが, AIenl ニ Cohenの研究に示されるように,通常,そのような 役割は研究開発リーダーが担っている。そのような彼らの役割の有無によって も情報共有規範は強さは影響をうける。そのために研究開発リーダーは,組織 内外の人々とのネットワークづくり Cnetwork-buildingactivity)をすすめてい るであろう。 Kotter (1982)が主張したそのようなリーダーの行動特性は,研 究開発リーダーにも当てはまるとわれわれは考えるのである。組織内外の人的 ネットワークをつくりあげるために,企業は技術者,特に研究開発リーダーの 学会や研究会,および専門家集団のコンファレンスへの参加の容認,それに対 する予算の割当,文献検索システムの構築などの方策をとる必要がある

CA

lI -en

=

Cohen, 1969, p..18)。 i s t i l l i

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-356- 香川大学経済論叢 1048 さらに,前述したようにLikertやLorsch=Morseの研究は,組織成員が知覚 する情報共有規範が研究開発リーダーの管理スタイルに大きく依存しているこ とを如実に示している。

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結びにかえて まずこれまで論じてきたことを簡単に要約してみよう。 われわれは企業の技術開発活動に焦点をしぼり,急速な技術変化や技術者の 取り組む仕事の特性,および彼らの仕事上における心理的特性とL、う側面から 情 報 交 換 の 役 割 の 重 要 性 を 認 識 し た 。 そ し て , 情 報 交 換 と い う 視 点 か ら Burns=Stalkerの研究を吟味し,イノベーション推進的組織の本質ないし特徴 は情報共有規範の強さにあると結論づけた。情報共有規範とは組織成員が相互 に情報を交換・共有し合おうとする風土である。組織成員は情報共有規範が強 いと知覚した場合,組織階層にとらわれることなく自由かつ頻繁に情報交換を 行う。また,そこでは高度な対人的接触によって情報が交換されるから,単な る情報の交換ではなく,技術的な問題解決の手がかりとなる重要なアイデアや 情報が移転される。それゆえ,図

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に示したように,情報共有規範の強さは組 織の革新性に結びつくとわれわれは考えるのである。 上述したように,情報共有規範に影響を及ぼす重要な要因はリーダーの管理 スタイルと行動であった。彼らの管理スタイルの如何によって,組織成員聞の 情報交流は促進もされ,妨害もされる。本稿では特にLorsch= Morseの研究を 取りあげ,情報共有規範を強くする効果的な管理スタイルとして参加的管理ス タイルを吟味,提案した。また,特別な情報提供者としてのリーダーの役割も 情報共有規範に影響を及ぼす。そのために彼らは日頃の行動の中で人的な情報 ネットワークづくりをしていく必要がある。彼ら自身がその活動をできない場 合には,部下や同僚らにそれを奨励することが肝要である。企業は技術者らの 個人的な情報ネットワークの重要性を認識し,学会や研究会,および専門家集 団のコンファレンスへの参加の容認,それに対する予算の割当,文献検索シス テムの構築など研究環境面の整備を進める必要がある。

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以上のように,本稿では情報共有規範とし寸概念を中核として技術者の情報 交換の重要性と組織の革新性に関して考察を進めてきた。誤解を招かないよう 強調しておきたいことは,情報共有規範とし、う概念はよく言われる仲間集団に おける“和気あいあいとした雰囲気"を意味するものではない,ということで ある。それは組織成員が相互に協力しである特定の技術的問題を解決する状況 もしくは風土を意味し,柔軟で迅速なイノベーションを創造する原動力となり うるとわれわれは考える。 情報共有規範の機能的な役割についてこれまで論じてきたが,それが生み 出す弊害(逆機能といってもよし、かもしれなしうについても若干ふれておきた い。組織成員間での支援的関係のなかで情報交換が進行すると集団的妥協に よって問題が解決されることがある。このことは組織成員個人の徹底的な問題 解決行動を妨げ,それによるブレイクスルー的なイノベーションの可能性をつ みとる危険性をもっ(野中, 1990)。情報共有規範の機能的な役割を認識しつ つ,それによる弊害を克服する方策を考察することは筆者の今後の課題である。 情報共有規範とし、う概念は,本稿の主たる関心であった研究開発部門だけで なく,他の部門ないし企業全体にも適用可能であることはいうまでもない。最 初に紹介したように,近年,情報技術を組織内に張り巡らせ,それによって'情 報共有を進めようとする企業がみられる。本稿では

IBM

社を例にあげたが,そ の他多くの事例がみられる。企業活動のグローパル化が進展する状況のもとで このような情報化戦略の重要性は高まりつつあるが,との場合にも情報共有規 範を検討することが肝要であるとわれわれは考える。つまり,企業の情報化戦 略の推進イコール情報技術の導入というハードウェア的側面だけでなく,情報 共有規範というソフトウェア的側面も考慮する必要がある。 これまで組織内に普及していなかった情報を情報システムを通じて検索・収 集できることは有意義である。しかし,コンピコータベースにのる情報は極め て限られた情報であり,重要な情報は各組織成員に分散している。それゆえ, 情報システムによって収集された情報をもとに各組織成員に接触し,関連する 情報を収集することも必要となるかもしれない。その場合に情報共有規範は重

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-358- 香川大学経済論叢 1050 要な役割を担う。したがって,経営者は情報化戦略を推進する際に,情報技術 の導入と情報共有規範の喚起ということを念頭におく必要があるとわれわれは 考える。 以上のように,本稿では情報共有規範という視点から技術者の情報交換と組 織の革新性に関して考察を進めてきた。「情報共有規範と組織の革新性とは直 接的な関係がある」ということが本稿の主張であるが,その主張(仮説〉を明 らかにしていくことも筆者の今後の課題である。 参考文献

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参照

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