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環境別溜池泥土の研究 XX アルカリ可溶部分の窒素量と炭素量-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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33 第19巻第1号(1967) 環境別溜池泥土の研究

ⅩⅩ アルカリ可溶部分・の窒素量と炭素豊

玉置鷹彦,梅田 裕

前報(i ̄9) において徳地泥土に閲し,その浮泥の比電導度と浮派直上の池水の比電導度の差,すなわち比 篭導度差は浮泥の腐植含意と密接な関係をもつこと,および浮泥の全窒素鼠05%以上,腐植畠約5%の泥 土において,より著しい比電導度偲をしめすこと,これはまた,溜池が存在する地域の地質にも支配される ことなどを認めた.すなわち浮泥の比電導度ばその泥土粒間のすきまに存在する水溶液の溶存物質や微細土 粒殊に有機質微細土粒によって著しく影響されることが思惟されるり このことば地底表層部における有機物 の水底風化作用,さらに水成腐植の壁成と密接な関係をもつものと考えられるので,本報においは浮泥を主 体とする泥土のアルカリ可溶割について調査した結果を報彗する。. Ⅰ 調 査 試 料 供試池泥は香川県下大川郡寒川町石田西にある中壬田地,綾歌郡綾南呵畑田にある新開地,あじの池,お よび丸亀市郡家町にある庄の池の4溜池より1965年3∼6月にエクマン・パ−ジ採泥器により採取し,風乾 後粒径1mmのふるいでふるい分け,その風乾細土を調製した.同時に水田土壌2点(本学附属農場の水 田,三豊郡三野町大見の水田)と山林土壌2点(大川郡長尾町の山林)を比較のため採取し,その風乾細土 を同様に調製した. 他派試料4点を待た溜他に閲し中王日]池,新開地,あじの池は洪積台地を利用した整地であり,庄の池は 平地に築堤された野地である..また,水田土壌2点はともに沖積土壌表土でその土性は壌土に属している.. 山林土壌2点中1点ほ杉,ひのきの混こう杯下より,他は赤松林 ̄F−より待たもので,ともに表土である.こ れらの山林土壌は1966年9月に採取した. 口 実 験 方 法 土壌有機物の分別には土壌をアルカリ溶液で処理し,その可潜部を細分する方法(1)が広く用いられている が,この方法が水成腐植を主体とする溜池泥土にたいしても合適であるかについては,今後検討を要するも のと思考されるが,この研究では比較として陸地土壌も試料に加えているので,一応この方法に準ずること にした.また樹脂,油脂,ろう質物の溶出にはアルコ・−ル・ベンゼン(1‥1)混液(3〉を使用した.すなわ ち供試土壌2うー30g(腐植含塁のより多い池泥ほ的25g,より少ない水田土壌は約30gを供試した)を円筒 折紙中へ採取し,ソックスレ−・抽出装置を用い,アルコ・−ル・ベンゼン混液を注加して湯浴上で溶剤が全く 着色しなくなるまで抽出を行なった..抽出終了後供試土壌を円筒折紙よりとり出し,溶媒を完全に蒸発させ た後005規定HCl液75mlで2回処理,遠心分離(3000回転,10分間)後土壌はさらに0.05規定H2SO4 液60mlで処軌 遠沈し,これを2回くりかえした..このようにして得た供試土へ0・1規定NaOH液60ml を加えて擬揮処理後遠沈して上液をわけ,更にNaOH液で抽出上澄扱が殆んど着色しなくなくなるまで抽 出をくり返した.、得られた上液は合一・して500ml定容としたい この液50mlを秤取して波縮後Cも100ml を秤寂して浪縮後Nを定虚した..また別にこの液50mlを秤敬し,予め中和に要する1規定H2SO。液量を 定めてこれを加えた後00,5規定H2SO。液で酸による沈でん部分を生成させ,炉遇棒を用いて吸引炉過し, 水洗後この沈でん部分を800Cで恒慮まで乾燥した後,C,Nを夫々定盈した.以上の差より酸で沈でんし ない,すなわち非沈でん部分のC,Nの還を計壬狛こより求めた.以上の走塁においてNはGANNING氏変法(4) を,CほTY・URIN氏改良法(2・6)を用いた.

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 34 Ⅲ 実験結果並びに考察 得られた結果に閲しアルカリ可溶部分の酸による沈でん部分と非沈でん部分との窒素盈と炭素盛を次表に しめす. アルカリ可溶部分の窒素良と炭素盈(m琴/100g乾土) [註]試料名,記号に閲しAほ溜旭水入口付近より,Bは取水樋管付近より待た試料をしめす. この表より窒素量に閲し酸により沈でんする部分は溜池泥土39mg(試料No・2)より96mg(試料Non7) の範囲で大部分は40−50mg台をしめしている..水田土壌(試料No9,10)においては22mgと38mgで潜池 泥土に比較してやや少なく,l_U杯土壌(試料Noll,12)は77mgと24mgで2試料間に著しい差異が認め られる..これはこの土壌の全炭素量が試料No11は446%全窒素嵐が0.41%,試料No.12は全炭素慮 204%,全窒素嵐020%と差異のあることに密接な関係をもつことによるものであろう‖ そしてこのこと ば以下にのべることについても同様に考えられる.また,故による非沈でん部分についてほ溜池泥土85mg (試料NoL3)より202mg(試料No・7)の範囲で,大部分ほ100mg台をしめしている..水田土壌は44mg と70mgで,溜池沢土に比較して少なく,山林土壌は107mg と67mgで2試料間には酸による沈でん部 同様差異が認められる‖ 炭素量に閲し酸により沈でんする部分は溜池泥土269mg(試料No2)より548mg(試料No∴7)の範囲 であり,水田土壌においては2J75mgと410mgで,溜池泥土と同様の範囲内の値をしめし,山林土壌ほ試 料No・11は668mgと全試料中濃多伎であるが,試料No12ほ289mgで試料No1,9についで,より少 ない値をしめしているい また,酸による非沈でん部分については溜池泥土L703mg(試料No2)より991mg (試料No7)の範囲で,大部分ほ700mg台をしめしている.水田土壌は225mgと439mgで溜池泥土に比 較してより少なく,山林土壌は910mgと539mgで,水田土壌より,より多い値をしめしている.. また,溜池泥土に関し水入口付近より待た試料(記号A,以下潤し)と取水樋管付近より待た試料(記号 B,以下同じ)の窒素盈の間でほ酸による沈でん部分は取水樋管付近より得た試料はより少なく,酸による 非沈でん部分は庄の池泥土を除く他の試料ほ水入口付近より得た試料が,取水樋管部より待た試料よりやや 多い. 炭素盈についてはあじの池試料を除き酸沈でん部,非沈でん部ともに取水樋管付近より待た試料は水入口 付近より得た試料より,より少ない..すなわち供試溜池泥土は酸による非沈でん部分において,水入口付近 より得た試料は取水樋管付近より得た試料に比較して窒素盈はより多く,炭素量はより少ない傾向がうかが われる.

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(3)

35 第19巻第1号(196L7) WAKSMAN(10)は水系中の有機物の生成について海底より見出されるものに海成腐植(marinehumus)の名 を与え,AscHANは川や流水にみられる有機物の最終形を水成腐植(waterhumus)とよんでいる.そしてそ の由来は原地性のものと異地性のものに区分されることを指摘しているが,溜池泥土の有機物は水成腐植に 属する部分を多く含むことが考えられる・そしてこの種の腐植は陸地土壌の腐植に比較して,その組成ある いは含量もまた異なることであろうことば,この研究の結果からもその塁的関係についてうかがわれる. 水野(5)は水中における水生生物体の分解に最も大きな影響を与えると考えられる水温との関係,および 分解による水質の変化について,■フナ,ケンミジンコ,アメリカザリガニ,カラスガイ,ヨシ,クロ竜,サ サバモ,ヒシ,アオミドロなどを供試して野外と室内の実験を行なった結果,−・般に動物体の肉質部は分解 がはやく,大部分が水中へ還元されること,植物体の分解は,これにくらべて長時間を要することを認め, そして自然界では−・般に水草は晩秋に枯死し,その大部分の分解は冬を越えて次年に持越され,しかも底に 滞積するので,夏水温躍層を生ずる湖沼では,探水屑が5∼100Cで非常に分解を抑制するh その上年々生 産される植物体の残さいが積み重なるとすれば一層分解は遅くなるものと考えている.溜池泥土の場合にお いて,殊に浮泥(0Iganicdeposit)の生成において,これと類似の変化が行なわれるであろうことば思惟され るので,こ.の種の水成腐植の生成は,その環境に支配されるところが大きいであろうことば野池に属する上 記庄の池試料の炭素含急が麓他に属するその他の試料よりも,より多いことからも知られる.しかし,この 研究に用いた渦池泥土は8試料にすぎないので,その結果をもって溜池泥土一腰について言及することば困 難であり,今後の調査が必要であるい Ⅳ 摘 要 香川県下に分布する4溜池よりその泥土(主として浮泥部分)8点を採取し,水田土壌2息 山林土壌2 点計12点の試料について,アルコーーリレ・ベンゼン混液で処理し,脱石灰を行なった後0い1規定NaOH溶液 で抽出し,アルカリ可溶部分を得た小 この抽出溶液より005規定H2SOlにより沈でんする部分と非沈でん 部分を得た.このアルカリ可溶部分中酸沈でん部分の窒素最,炭素丑を測定し,またアルカリ可溶部分の窒 素鼠,炭素盈を測定して,その差より酸による非沈でん部分の窒素鼠,炭素量を算出し,つきの結果を得た. (1)酸沈でん部分の窒素合盈は溜池泥土39−96mg(乾土100g中,以下同じ),水田土壌22mgと38mg, L山林土壌77mgと24mgで,溜池泥土はより多い.. (2)酸による非沈でん部分の窒素含量は溜池泥土85−202mg,水田土壌44mgと70mg,山林土壌107mg と67mgで,溜他派土の大部分ほ100mg以上である. (3)酸沈でん部分の炭素含量は溜弛泥土269一548mg,水田土壌275mgと410mg,山林土壌668mgと 289mgで,洒池泥土は麓池より野池に,より多い一. (4)故による非沈でん部分の炭素遺は溜池泥土703−991mg,水田土壌225mgと439mg,山林土壌910 mgと539mgで,溜池泥土は麓池より野砲に,より多い. 引 用 文 献 (5)水野寿彦:日本生態学誌,16,199(1966) (6)永井恭三:茨城大農学術報告,No小5,33(1957) (7)玉置鷹彦,梅田 裕‥香川大農学術報告,17,93 (1966) (8)−+,← ‥同上,】8,1(1966) (9)+,−【Ⅶ :同上,18,110(1967) QO)WAKSMAN,SAl:Humus,288,Baltimore, USIA,The Williams&Wiukins Company

(1936)

(1)BLACK,CA:Methods of SoilAnalysis,ⅠⅠ, 1414,Madison,Wisconsin,U・SAりAmerican SocietyofAgronomy,Inc,Publisher(19615)

(2)川口桂三郎,久居−・剛:土肥誌,29,527(1959)

(3)KoNONOWA,Mh M:Die Humussto鮎des Bodens,269,Berlin,VEBDeutscher Verlagder

Wissenschaften(1958)

(4)京都大学農学部農芸化学教室編:農芸化学実験

書,第1巻,236,東京,産業図書(1957)

(4)

36 香川大学農学部学術報告

Studiesonreservoirdeposits

XXNitrog−enandcarboncontentsofalkalisoluble魚action

Takahiko TAM・AKIandYutakaUMEDA

SⅥmmary

NitrogenandcarboncontentsofLalkalisolublefiaCtionandalkalisoluble acidprecipitated

fractionoftwelvesoilandr・CSerVOirsedimentswer・edetermined.Nitrogenandcarbon con・

tents ofacid solublefi去ction were calculated flOm the diff畠rencesof alkalisoluble fi・aCtion

minusalkalisolubleacidprecIPltatedfねction.Allofthese samplesgainedinKagaWaPre−

fもctur・e,Japan,namelyeightr・eSerVOirsampleswereobtainedfrom reser・VOirIdeposit,tWOSOil

SamPlesfl・OmPaddyfieldsandtwofbrestsoilsamplesfl・OmamOuntainfbrest.Thefbllowlng

I・eSults weIe Obtained:

(1)The amounts of nitrogen of alkalisoluble acid precipitated fr・aCtion of reservoir

SedimentsrangedfiOm39mgto96mgandthose of’two kindsofpaddyfieldsoilswere22

mg,38mg,rCSPeCtivelyandthoseoftwokindsofforest soils wcre77mg,24mg,reSPeCt−

ively・Reservoirsedimentscontainedmoreamountof■nitrogeninacidprIeCipitatedfiaCtion.

(2)Theamountsofnitrogenofacidsolublefi・aCtionofreservoir・Sedimentsrangedfirom

85mgto202mgandthoseoftwokindsofpaddyfieldsoilswere44mg,70mg,reSPeCtively

andthoseoftwokindsoffbrestsoilswerelO7mg,67mg,reSPeCtively.Reservoirsediments

COntainedover・100mgnitrogen.

(3)Theamountsofcarbonofalkalisolubleacidprecipitatedfi・aCtionrangedfiOm269

mgto548mgandthoseoftwokindsofpaddyfieldsoilswere275mg,410mg,reSPeCttively

andthoseoftwokindsofforestsoilswere668mg,289mg,reSPCCtively.IngenerIal,alkali

SOluble acid precipitated fねctionoff■ieldr・eSer・VOirsedimentscontainedmor・eCarbon thanin

that ofhilトside reservoir sediments

(4)TheamountsofcarbonofacidsolublefiaCtionofreservoir sedimentsranged firom

703mg to991mg and those of two kinds of paddy field soils were225mg,439mg,

respectively.In general,aCid soluble fi・aCtion of field r・eSerVOir sedimentscontained more

carbon thanin the hill・Side reservoir sediments.

(1967年5月31日受理)

参照

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