• 検索結果がありません。

共同海損精算論(四)-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "共同海損精算論(四)-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
44
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

第三項 洋貨の分櫓∵惜二軌

我商法六凶±備には、共同海技は之に因りて保仔すること是たる船舶又は積荷の慣格と遅速賃の年額と共同

渥損たる損寄の額との割合忙應じて各利害閥係人これを分櫓すとあ少。共同海損を分給すべき運賃誓の規定に

依少て明かなるが如く、之に因りて床存することを得たる造貿と共同悔損として賠償せらるゝ造賃とに限られ

る。前沸運賃にして胎荷謹券の約款に依り如何なる慧買雑も返還せられざるものは、共同海技行馬に因り失は

る∼も併存せらるゝも、積荷の分獲情感の一部をこそ構成すれ、道賃として分揖に興らざるものである。然る

に、向排運賃は滅失すれば胎毒の損失に辟し、保存せらるゝならば胎主の利益となるのであるがら、斯くの如き

還賃こそヨーク。アントワープ規定第十七條に謂ゆる拾主の危険に於ける蓮賃︵ShipOWコ2ruSfre広言aコdpassa写 ヨ○コey致rをCであり、運賃の分塘慣額む構成すべき怜質のものである。

然し、向挑運賃の全額が必ずしも犠牲に因つて保存せられたるものではない。船主は、遅速を完了して運賃を

共同海楓蹄算論

共同淘損精算諭 ︵讐

tllll −1ノ ︵∵四五︶ 四七

武 三

(2)

第八巻第二渋

︵叫望ハ︶四八 軒せんがために共同溶接行豪も備警誉罵豊苧る墨過とする。航路誓でに必要なる旅料その他

消耗品を購入することあるべく、その後の寄航地及び到達港に於て各種の港費を要すぺく、胎貞に給料を支沸ふ

要あるべく、叉積荷の陸揚のため胎内人夫賃の如きも支出するの必嬰があるであらう。而して、船主の危険に於け

る運賃は、これ等の費用を支出して初めて利得し得るものであ少、船舶及び積荷が共同海技行馬の日に於て全損

に蹄せしならぼその支出を必要としなかつたものであるから、これ等の諸費用を接除Lたる額だけが鼠町惨敗に

因つて保存せられたるもの・である。然らば、運賃の分槍憤額は、向彿運賃の椒よりこの諸費用の額を控除したる

残額であらねぼならぬ。我商法はその捧除額を漁運賃の年額と見積り、従つて運賃の年額む以て負括すべしとな

し︵日商六四二條︶、猫逸商法に於ては之吏二分の叫と概算し、三分のご年産除して負揺すべしと規定してゐる︵猫 丙七二義︶。然るに、英囲に於ては斯くの如き概算に依る定頗の拉除を以てせすして、各個の場合に於て正確な る抵除をなすことになつてゐる︵Carくer−S・崇・﹁。WコJes−S・讃.︶。而して、ヨーク・アントワープ規定は英国主義

に依り次の如く規定してゐる。

第十七億 但 書

但シ胎、玉の取得スべキ運送賃又ハ旗客遅速賃ヨリハ、共同渥損行篤ノ日工於テ船舶及ビ積荷ガ全損二踵セ

シナラバ、之ヲ取得スルタメニ被ルヲ要セザルガ如キ諸費用及ビ船員J給料ニシテ、共同梅損卜認メラレザ

リシモノヲ控除スベキモノトス。

(3)

水條は督規定と精兵なる。鵬八九〇年規定に於ては、軽除すべきものを劇九二四年規定の如く単純佐諸凌用及

び購員の給料とせずして港の費用︵POrtCす顎︶云々としたから、港に於て要したる水発案内科、曳船料、港税、

療養税、遥河料、検疫費等匹限られ、航海の畷綬のため購入したる燃料その他の滑耗品には及ぼざる嫌があつた。

新規定に於ては、これ等の費用も同様ぬ捧除せられる。尤も、航渥を終了するに必要なる節だけと解すべきであ

るから、航路他に於て猶夜陰剰あらぼその分は捧除額の中に加へてはならぬ。叉、右の諸費用及び給員の給料であ

っても、避雛港に於て聾したる時の如く共同海損として階位せられろものは、亦接除すべからざるものである。同

條の後段の規定たる、共同海技と認められざりしものに限り路除すべきものとなせるは、これを明言せるに外な

らない。蓋し、船舶及び積荷の分撥憤額に於ても、共同醇損行馬後に生じたる費用にして共同梅損と認められた

るものを除き、軽除を認むると同山の主旨に出づるものである。更に、共同梅損行雷後に消費したる共同洛損に

廃せざる燃料、食料友びその他の拘耗品と蝉も、共同海技行馬の日以前に購入したるものは、折舶及び積荷が滅

失するも髄約せられざるを普通とするが故に亦控除せられない︵narくer、S・缶の・﹁。Wコdes−P・撼Nし。

共同渾拭を分跨すべき運賃より拉除すべき額は、我商法に放ては退質の年額であり、喝逸商法に於ては三分の

叫である。而して、この定額の路除を以てヨーク・アントワープ規定に於ける捗除の槙準たる、船舶及び積荷が

共同海損行為の日に於て全損に踵せしならぼ運賃を取得するがために被るを要せざるが如き諸費用、及び胎員の

給料にして共同海損と認められざりしものに略仙致するであらうが、往々これ等の費用が非常の王頑に達し、三

共同海損満身論 ︵一四七︶ 四九

(4)

共同梅損を負櫓すべき運賃は積荷遥質に限らず、旅客嘩賃も危険に曝されたる場合には同様忙負婿するこ士を

要する。我商法披積荷運賃と同様に取扱ひ、澗逸商法はその分据倍額の算出方法こそ積荷渾賃の場合と異なれ、

負培養務をこれに認めてゐるへ猫商七三條︶然るに、英米両国の茸務に於ては、之に分塘を鈷しないやうである ︵﹁OWコ計su下山野合hedi旨コち缶小・GO邑ieも・拡N・︶.ヨーク・アントワープ規定に於ては、我商法と同様に積荷運賃と

旅客運賃との間に差別をなさなかつたけれども壷際上政客渾賃は絶て前排せなし、何等の沸屈をなさどる特約を

設けるを普通とするから、共同梅損を分揺することは極めて稀であらう︵戸張畢土着共同海硯の理論と繁務山九三き。

第八巻 第二渋

二四八︶ 薫○ 分の一乃至は二分の叫の接除を以ては少きに失することなしとせす。胎生が運迭契約の條項又は特殊の邦閣に於 ける淡律の規定に依り、本船が航海の途中難破したる場合代捨又は曳船に依り航海を完了せざるペからざるが如 きときに於丁然りとする︵Hec訂−S・章・︶。斯る場合には、代胎の傭胎料又は曳船料はヨーク・アントワ!プ規定 の拉除胡たる諸費用の中に包含せらるべきものであらうが、これが賠基の取得すべき向沸運賃の全額に達するな らば、遊資の分措憤額は皆無なるに至る詳である。米国に於ては判例に於て之を認めてゐる︵Phi≡ps㌫.︼u鍔︶。 昭逸に於ても斯くの如き場合には、代胎の傭船料を終除したる残額に勤し三分の劇拡除の規定む適用し、船主の 負接すべき選悠の分槍倍額となしてゐる︵⊆r亘‖Br註ers、Baコd−−S﹂鍔︶。

(5)

傭船料に就ては、個横道貿に於けると同校に航海の危険に曝されたる範囲に於て分措の賽務があるや言ふまで 牒ないや唯、問題は将来取得せうるべき傭船斜に就てゞある。元づ英図に於ける判例を掲げ、吹でヨーク・アン トワープ規定に於ける取扱七及び、故後に理論的考察に移りたい。 二軍舶は東印度合赦に傭船せられ、先づ倫敦に在る貨物を印度に運送L、攻で印度に於て同敢の指定する貨物 を船積退迭すべく、最後に印度の最終港より伶教向貨物を積載して辟航する契約であつた。而して、船舶が無事 に倫敦に露航するを條件として往復航海に封し定率の道貸を支沸ふべきも、究づ往航に於て三千礎磨け恨沸せら れた。船舶はこの傭船契約の履行のため倫敦を出帆したるもノール附近の砂洲に欄坐し、積荷を卸して漸く離洲 し、倫敦に蹄航して修繕の止むなきに至つた。然し、修柁後再出帆して壕是の航梅を絡へ、往復航海の運賃を取 得するを得た。問題は、共同渥損たる離洲の諸費用等につき運賃の分憺憤額如何に印し、船主と船舶保険者問の 僻率となつた。船主は、往復航海虻依り取得せらるべき五千七再掲十夢の中より、復航運賃を掟除したる筏額 に於て分轄すべきものなりと主張したるも、共闘紗判朗は金運貸を以て不可分のものと認め、之が船舶の修籍に 依り確保せられたるものとLて、運賃の金額忙於て分培すべきものと判決した ︵W≡訂ヨSく● ﹁○息○コ訝s宅aコne C〇.こ00︼uし。 この判決の是非に就ては、英国に於ても異論がある。べ、ネヅケは詳細に之を論難し︵Beコ2Cke﹀PP・u︼TUNご、ア ーノルドも之に加担して判決の培威を疑ってゐる︵空コOu−d、Nコm editiOコこ竜−授u−授e。即ちべネッケに依れば、 共同海損締盟論 ︵劇四九︶ 五劇

(6)

第入谷 第二洗

︵山五〇︶ 五二 この判決は積荷の分塘倍額と運賃の分塘偶感との問に衡平を得しめざるものである。積荷忙関しては往航貨物 のみに限りながら、運賃に関しては復航のものにも分増せしめるは不均衡である。往航の終了稚を精算地として 考へるとき、この他に到達したる往航貨物は硯貰に保存せられたるものなるも、運賃は傭船契約の條項に依れぼ 復航を完了したる婁合に初めて文雄はれるものであるから、往航運賃と雄も未だ完全に確保せられたる滝のにあ らすして、接収の危険に曝されてゐる。従って、理論的には胎毒が之を取得するために聾したる往航の諸費用の 外に、鏑その復航の運賃保険料に相恩すべきものを控除せねぽならない。叉、往復運賃を不可分と見て復航運賃 にも分櫓せしめんためには、往航の諸費用の外に復航の諸経費をも拉除することを要する。胎毒が復航を完了し て運賃を取得せんためには、飲料及び賠貞の給食料を聾すべく、姶舶には磨損に相苦したる滅偶錯却を必要とす べし。これ等の経費は復航運賃の生産費である。されば、復航邁賃より之を拉険したる残額は復航の純運賃であ 少、之を精算地たる往航の終了他に於て願察すれぼ運賃の希望利益である。然らば、之をも擁除せねぼ稲荷との 聞に衡平を得てゐない。何となれぼ、積荷の分轄憤繭が往航のものに成らるゝ結果は、その中には常然復航貨物 の希望利益、即ち往航貨物を往航の終了地に於て昏却して得たる代償を以て購入したる貨物を復航貨物として積 込み、之を復航終了地に暫して橡忽せらるべき利益を含まないから、均衡上運賃の分培憤額の中にも亦この復航 の希望利益を包含せざるやぅ精算せねばならない。かくて、往復運賃の中から復航運賃の金額が控除せられ、結 局往航運賃のみが分始た興ることになるであらう。

(7)

このベネッケの恐らくは正常なる主張にも拘らず、且つアーノルドの前述の如き疑念にも拘らず、英国裁判所に 於ては、復航の傭船料が往航に於ける共同海損に分癒すべきことを次の二事件に依って承認した ︵﹁。Wコdes、P・ u笥●︶。 叫船舶は梅島糞の横取のために傭船せられた。傭船料は仙噸初磁十志の割合にて叫部は船積港にて支沸はれ、 残部は陸揚港に到達したる場合支挑はるゝ契約であつた。然るに、船舶が傭船者以外の者に屈する貨物を少盈積 載して、僻胎契約の履行を目的とする往航をなしつ1ある際、遭難して共同海抗費用を要したるが、賠主と渾質 保険者との訴訟に於ては後者に分拾義務あることが判決せられた︵ヨOraコく.し○コ甥こ∞当.︶。 一船舶はサヴァナに於ける棉花の横取のために傭船せられ、傭絶料はその棉花の遅速を了へて引渡さる1とき に支排はる1契約であつたか而して、船舶がその傭船契約の履行のためにサヴァナへ底荷航海をなしつ1ある際 遭難し、離礁の費用を聾した。船主は之を貫猫海技とLて船舶保険者に墳補を請求したるが、保険者は共同梅損 として傭船料にも分塘の貴あることを主張し駕英国控訴院は、前記Wi≡aヨSく・﹁○コdOコ訝s亡﹁aコneC〇.事件の 判決k櫨甘保険者の主張を支持した︵∩。r許r。OkS.S.C〇.く.﹁○コdOコ誓dPrOくiコCial腎.n〇.こ呂一︶。 英図に於ては斯くの如く、復航の傭給料が往航に於ける共同海損を分措すべきものとせられるのであるが、こ れには二の見逃すべからざる傑件がある。その往航が、復航′に於ける僻船料の取得を主たる目的として行はるゝ ときに限られる。具鰻的に晋へぼ、往航が鷹狩航海であつた場合に限られることこれである︵narくerこ.缶p︶。 共同海晩晴算論 ︵山五こ 五三

(8)

︵嘉二︶ 五四

第入怨 菟こ離

或に於て、共同海損の成立上叫の新なる矛煩がある。先に共同海幌成立論に於ても述べたるが如く、胎舶のみあつ

て積荷のなきところ、従って共同の危険の存在を認め得ざるところに共同海損の成立を認めねばならんことこれ

である。尤も、胎舶が復航に勤して傭胎せられ、傭船料につき往復航海に勤して保険が付せられたる場合には、船

主と保険者間に共同の危険が認められないではない芸血し、胎舶が往航に於て滅失するならば保険者は僻胎料の

損書を賠償せねぼならんから、船舶を往航に於て保存せんがために掠られたる魔麓は、道貿保険者にも利益を輿

へることになる。然らば、運賃保険省がその保存の費用に分塘することば、最も衡平に適するやう鱒思はれる。

然し、然るが故に共同海技

に構成せらる1海上圃鰭︵Se2笥ヨeぎsc日豊に於て成立すべき固有の共同海損にあらずして、保険関係に依り保 険者と被保険者との間、並に保険者相互間に構成せらるべき保険圃憾︵く2−S叫c卜er息s笥∃2mS︹卜a羊︶に於て共同海 拭類似の取扱をなしたことになる︵Beコe︹ke↓Pp・uNN・い営。而して、問題は共同渥損の解繹諭にあらすして、斯 くの如き準共同湛損を認む各ことの可否に関する立法論となるペく、これに就ては後述することしする︵エ。︹k− S.会心ff.︶。

郡てヨーク・アントワープ規定を見るに、山九二四年規定第十七條の草英に於ては英国の法律慣例に準嬢して、

将来の僻胎造貸︵ul誉OrCha﹁替ed蔓篭︶に分拾を課せんとする次の如き規定があつた。

第十七億 第二項 草案

(9)

船舶ガ傭船セラレテ底荷航海ヲナセル場合三ハ、船舶及ピコノ傭船ヨリ取得セラルべキ純渾賃︵之ヲ上記 ノ如ク計算スルモノトス︶ ハ共同海拭ヲ分槍スべキモノトス。 然し、斯くの如き取扱は、英飼以外の諸閲に於ては行はれざるところであるから欧洲大陸拷問より反封があ り、且つ未粥運賃は給偶の〓叩む構成するに過ぎすして運賃として猫立の分塘慣額む構成すべきものにあらすと 認められて採用せらるゝに至らなかった。按ずるに、将来の傭船運賃に分槍を課することには前記ベネッケの指 摘したるが如き難鮎があるのみならず、之をヨーク・アントワープ規定の範囲に於て講究するも、将来取得せら るべき僻給料を規定凸備に謂ふところの財産︵ニPrOPerty。ぎ01くediコaC。ヨヨ。コヨar≡ヨead完コt亡re︶と云ひ得る や、或は第十七傑に謂ふところの財産︵theac富;etくa−ueOf写e音10P川r︻yJ︶に屈するや疑問である。然るに、 ルードルフ氏の述ぶるところに依れば、前記第十七億の草案が削除せられたるに拘らず、英闊に於てはこの瓢に 関する同園の廃置が葡今後も有数に存摸せらる1が如くであり︵R急01f二9−︼の●︶、一九二六年に於てこの瓢に関 して修正せられたる同園に於ける精算人の規約に徹しても明瞭である︵Ru訂∼OfPra妄∩2︼uu・︶。

船舶のなすべき将来の航海に封し傭胎契約が成立したる場合、この未来運賃︵Fu︷u−e f−ei昔﹁Or aコ芽i溜藍

fre垣革︶忙封し英輯に於ては有数なる被保険利益が認められる︵拙著海上保険要論五〇某象照︶。而して、ラウンズ

は被保険利益があれば雷然分拾なかるペからすと諭するも︵﹁OWコdes−芸︼editiOコ︼P9u︼N−u︼uしその推論の正鵬

共同海娘精算論

(10)

︵妄讐 空ハ

第八巻 麓こ鶉

ならざることはルードルフ氏の看破するが如くである︵﹁OWコロes、誓eJ≡○コもu肇叫001邑er・︶、茸務に於ても

底荷航海の場合にあらすんぼ分槍の課せられざることに就ては前述の如くである。然らば、未奔運賃は分措から

全然除外せらる1ものなりや、或は船舶の分轄慣葡をそれだけ増大せしむるものであらうか。

船舶の分稽憤感を論ずるに際しても述べたるが如く、元来船舶は運賃拉得の横路であるから、未来運賃の現憤

は理論上船舶の倍額なりと云ふべく、従て船舶の許慣額に未来運悠の額を加算して船舶の分塘偵顧となすこと

は、二重負抵の嫌がある。然らば、未釆運賃は原則として分措より垂然除外するを重富とする。然し、その未来

運賃が船主に封し非常に有利なるものなるときには、理論上多少之を考慮すべしと諭するものがある︵﹁。Wコdes− 穿editぎp.u︼00.苧editぎp.u声︶。按するに、拾主が将来の航海に於て完すべき傭船料をその常時に於け

る僻胎の相場と比較して前者が著しく大なる場合には、その超過額だけ胎慣を増大せしむることは寧ろ衡平に適

するが如し。然し、これは分括慣額の評慣の原則藍心れたる謬見である。前節蔽於て積荷の共同海損たるべき損

寄覇を諭するに際しても述べたるが如く、共同海損の精算に於ては物自濃の客観的慣相即ち市債に依ることが原

則であり、主観的評惜に依るべからざるものである。積荷の評偶に於ては市偶に依り、荷主が買尭との問に締結

したる安男慣格を以てせざるが如く、胎舶の評偶に於ても同様に、船室が傭船者との問に締結したる契約より生

する特殊の利益を考慮するを要せざるものである。蓋し、船舶の遭難に際し胎長が共同の安全のために犠牲をな

す場合、船長は各個の財産を評偶し比較して海上危険国濃に勤し最小の犠牲に止めんとするものなるが、その評

(11)

慣は物日牒の有する普通の慣値︵gewOehコ芳he Weユ︶に就て行はれ、非常の利益︵ausserOrdeコ芳he宣eresse︶は 考施せられない。従って、この特殊の利益が犠牲に供せらる1も共同海技として賠償せられない。然らば亦これ が保存せらるゝも、之に分拾を課せざるを以て寧ろ彿苧とする︵エeck︼S・山N−S・U芦︶。

傭船契約に於て僻給料が前排せられ、船舶の滅失等に因り遅速の完了せられざるときにも之を返還せぎる特約

であつた場合、この前彿僚船料には共同海損む分塘すべき酪務ありや如何。

斯くの如き前彿僻船料は、蹄主の計算に於て航海の危険に曝されぎるものであるから、彼に於て分塘の義務な

きや言ふまでもない。然らば、傭船者に分略せしむるならば如何と考ふるに、これも亦彼に甚しき不衡平を敬い

ることになる。傭船者は船主の利益のために運賃の前彿をなし、而もそのために分終に任じなけれぼならないと

すれぼ、他人の利益を慮つて飴分の不利益を被ることになる。彼が斯くの如き不備理なる契約をなすものと想像

することを得ない。されば、米国を始め大抵の邦囲に於ては、傭船者に分櫓を課することなし︵BeコeCkeちulP phi︻音.Baコ≡も︼串︶。琴Qに、漏り英国に於ては、斯くの如き傭船者に分轄を課することが、共同海損の本

旨に鎮もよく通うものであるとせられ、賓務に於て之に分括を課してゐるのみならす、判例に於ても之を是認し

てゐる︵Frayesく.WOr∃Sこ害㌔而して、その理由とするところは、ラウンズに依れぼ次の如くである。共同晦

抗は、謂はゞ全損老免れんがために輿へられたる腰金である。その分捨の烹は何人が之を変沸ふべきことを約束

共同海亀癖鹿論 ︵二血五︶ 五七

(12)

第入魯 第二渋

〇五大︶ 五入 したりや、或は曙獣にも約束したるものと推定すべき者が何人なりやに依って確定するにあら,ずして、船舶が救 助せられすして全損に鐸したりとせぼ、何人が如何なる程度に於て損寄を被るべかりしや把依って定まる。苗に 傭船者あつて遥貸の絶封的前彿をなしたる婁合には、これと同時に常然次のことを知るべきである。傭終着は、 船舶の保全に踊してその前彿の額だけ彼の利害囲係を増大し、反封に船主はそれだけ彼の利害紺係を少くしてゐ ることを。果して然らば、斯くの如き幡胎省は、胎舶を保有することの費用に就て常然それだけ多くの分槍に任 ぜざるべからず。かくて、英国の要撃竺見甚だしく不備埋なるが如くにして、蜜は共同海損の本旨に嘩もよく 適するといふにある︵﹁OWコdes−S●.芦︶。 按ずるに、斯くの如き英国の主義は確かに法律上に於ける衡平の観念に通する。然し、その衡平の保持のために のみ共同海抗の成立を海上危険困鰹外にまで求めてゐるが、果してその必要があるのであらうか。抑々共同輝損 の制度は海上違法に特有なるものであり、その制度の須要は共同海損成立論の胃頭に於て述べたるが如く︵商畢 研究罪八巻第四携参照︶、船長をして危険の回避の魔竃を公正ならしめんとするにある︵﹁OWコdes、PP﹂♪︼u・R孟01fu p.uの.︶。賠舶を犠牲忙供Lても、或は稲荷を犠牲にしても危険の回避が可能なる場合に於て、初めてその犠牲を 共同海損として取扱ふ必要があるのであるが、陪舶が席荷航海をなせる歩合には船舶のみが犠牲に供し得べき唯 一の財産であるから、共庭には胎長の廃置を不公正ならしむペき誘因がない。船舶が滅失すれぼ傭船者も前沸騰 給料を失ひ、之を保存すれぼ彼も亦利得を受くるととは明かであつても、船舶の犠牲を共同海技として取故はぎ

(13)

るべからざる須要がない。共同海技の制度が、海上危険闘腰に於て特に之を狼宴ならしむる特殊の制度である七 とを思へぼ、之をその必要以上に探究することには賛成が出来ない。傭船者が船主の利益のために傭船料を前排 ひし、謂はゞ船主の支出すべき庵装資金を前貸したる場合に於て、単純なる衡平を理由として、船舶とこの前貸 金又は傭船料との間に共同海技の成立を認め、傭船者に分櫓を課することは穏富なるものではなからう。 葛西項 共同海損の分澹を免除せらる∼物 ヨーク・アントワープ規定第十七億の胃頭に於ては、共同醇損の分轄は財産︵P−OP2﹁ty︶の硯賓の韮味倍額に依り 云々とあり。その分接すペき財産とは必すしも胎舶、積荷、及び運賃に限らすして、船舶上に於ける凡ゆる物が之 に包含せらるべきではあるが、今日世界各国の扶律又は慣例に依り殆ど山稜に分捧を免除せらるゝ左記の如きも のがある。而して、ヨーク・アントワープ規定は共同海技の精訝に関する世界各闊の法律慣例の相違を調如せん とするものであるから、その制定の主旨に放し、同規定に特に免除の文言なしとするも、強て異なる取扱をなさ ゞるを以て楷富とすべし︵ぎdO−巾二U●︼宕seや︶。 一族容の手荷物及び身廻品 これ等の物が船荷藷弁の畿行に依り運送せられたる場合には、積荷として分塘を課せられるが、然らざる婁 今には、ヨーク・アントワープ規定第十七條二項に依少分槍を免除せられる。蓋し、これ等の物が犠牲に供せら 共同海風精算論 ︵二五七︶ 五九

(14)

第八巻 第二渋

︵妄八︶ 六〇

れたる慧昆は、旅客自らその損害額を中骨するであらうから共同嶽損として賠償せられること勿論であるが、

保存せられたる禦口にはその倍額の取調べ容易でなく、且つ船荷詮券を蟄行しないものは放啓白らその左右に保

管すること多く、之を留置することも困難であるから分槍外に退くのである。猫逸商法七二三備に於ても同様で

ぁる。我商法六凶豪傑に於ては、船員及び旅客の食料品及び衣類は分括の轟務なしと規定するのであるから、衣

類以外の朗持品には分轄を課し得るが如くにも解せらるゝも、かくの如き文言僻繹は決して立法の主旨に適ふも

のではないへ戸張畢土管共同海損の現論と賓務克蔓︶。唯、米図に於ては船荷詑券を磯行せざる旗客の手荷物と雄

も、手荷物倉庫に保管せられて道迭せらるゝものには分擦を課する。惟ふに、斯くの如き手荷物は族啓白ら保管

するものではないから、之を蘭留して分捧を弧制することは不可能ではないが、ヨーク・アントワープ規定に準

接したる精算に依り分轄を課することには困難を伴ふ。何となれぼ、ヨーク・アントワープ規定は綾約数力を有

しないものであるから、船荷詮券の蟹行等に依り預め之に同意したるにあらざる者に強制することを待ないから

であ.る︵RudO−♪p.ご〇.︶。

胎点の所持品に就てはヨーク・アントワープ規定は明言せざるも、我商法を始め各圃の法律慣例は何れも之に

分拾を課しない。

〓 郵 便 物

郵便物は普通の海上運送に於ては少蚤なるも、郵便航速を引受けてゐる定期船に於てはその数畳及び倍額が相

(15)

常の王朝に上る。殊に、近衆鑑三偽周なる物を書留郵便を以て署迭する傾向忙ある?而して、、理論上に於てはこ れに分措を試すべきではあるが、漑客の手荷物に於けると同様なる困難があるから、何れの図に於ても之を分撼 外に竃く慣例になつてゐる。因・に、猶逸に放ては、曾て訴訟問題となつたことはあるが、同園の裁判所は郵便物 の不可侵を強調して、之に留置碓を行使することを禁じた︵Rud01fニッヤ岩.⊆rich=B﹁註ers−Baコd lもこ鍔︶。 三 船舶に備附けたる武器及弾薬 これ等は船舶の防備のために布衣し、共同の安全を促進せしめるものであるから分轄外に濃くのであるとも考 へらるゝも、是認すべき理由として採るに足らない︵Urich=Br監ers−Baコd√s.︼芦︶。而して、理論上は分括を 課すべきものであらうが、苗釆何れの図に於ても分路を課せない ︹Ru宣fこ∴≡.︶。今日に於ても、伊閻を除く 大抵の緒図に於て分揖を課せざることにしてゐる︵日商六四五條、猪商七二三條、併商四一九條︶。 船舶の食料品、貯蔵品、及び燃料も武器繹葵と同様なる性質を看するものであり、航海の経りに於て稽晶あら ぼ邪論上分拾を課すべきものではあるが、必ずしも山様なる取扱が行はれてゐないやうである︵U芝ch==Br監ers、 S・︼芦Rud景p﹂ご㌔蓋L、これ等の物は航路中時々補給せられるものであつて、共同海技行為の前に頓込まれた るものと其の後に積込まれたるものとの識別の困難といふことも、之を分抵外に意く叫の理由ともなつてゐる。

閻 船員の給料

往時に於ては、運賃なけれぼ報酬なしとか、或は運賃は給料の母なりとの原則が行はれたるを以て、船員の給 共同海硯粍放論 ︵仙五九︶ 六劇

(16)

弟三節 共同海損の精算の標準たる

べき航路地

現今、世界各樹の法律並に慣例は、共同梅損の精算は航海の終了他に於ける倍額に依るべきものとなし、叫九 二四年ヨーク・アントワープ規定もそのG條に於て之を明言してゐるぐ即ち、第山部に於て詳述したる共同海技 たるべき損審の評定に就ても、叉第二節に於て詳改したる共同溶接分略憤額の評定成就ても、共に航路地の慣額 忙依るべきものであるから、その論述の必要上第仙節の円頭に於ても航路の意味につき略述して置いた。而して、 ︵〓ハ○︶ 六二

第八巻 第二躾

料請求堆は胎舶又は運賃と共に航海の危険に曝されてゐた︵拙著海上保険要論五九頁︶。従って、犠牲に因つて保存 せられたる場合には、理論上は分櫓に興らねばならなかったのであるが、特に之を除外する法律慣例になつてゐ た。その暫慣が今日も繊諸岡の商法に形骸を残してゐる︵猫商七二二藤、日商六四五條︶。然し、今日に於ては全く 無用の規定である︵U斉hこ.︼芦︶。何となれぼ、給料の支沸に閲する叙上の原則は今日最早行はれてゐない。我 国に於ても、船舶所有者は胎眉の樺利に就いては無限蓑任を負ふとなし︵日商五四囲條二項︶、且つ船舶を委付した りとするも靡傭契約の終了に至るまでの給料は依然支沸ふべきものとなすを以て︵同五入七條︶、船舶又は違貸の 城失を通しての航海の危険に曝されてゐない。

(17)

その航路の時忙就ては先に叔改したるところを以て足るべく、従って本部に於ては航終の地に就てのみ叙述す

る0

尺 解舶が目的嘩に到達したろ場合

航海は船舶が目的他に到達したる場合に賂るを以て普通とする。この場合に於ては、航路地は目的港なること

言ふまでもなれ。積荷の一部又は全部が他姶に積替へられ、或は留道等に依り奥地に遅速せられたる禦。には、航

路地は遅速の終了血ではなかったのであるが、共同渥抗の精算は依然航路地の慣額に依るべきものである。蓋し、

共同海損の制度は船舶、積荷、及び運賃の共同危険囲牌を基礎として成立するものであるから、営然この圏鰭の

解消せらるゝ朗即ち断絶鞄を標準として精瀞すべきである。若し船舶の到達港を扱えたる積荷の仕向地等を標準

として精算せんとするならば、到底胎主の利益と荷主の利益と竺致せしむること不可能なるに至るであらう

︵〓enk︸S.山買︶。

航海は左の如き場合には、胎繭が目的港に到達することなくして終了する。この禦口には、精算の棟準たるべ

き航路地を認識すること必ずしも容易ではない。

B 航海が避難港に於て終了する場合 共同海硯精算論 ︵〓ハニ 六≡

(18)

第入谷 第〓駅

︵〓ハこ︶ 六四 拾舶が遭難して修繕すること能はぎる程度の損害を被少、避難港に於て解慣の定常を受けたる坂合には、運送 契約は終了する︵8空ハニニ條、六二ハ條、五入七條二親︶。この瘍合には、航路地は固より避難港である︵3a<rOく. ↓heOcea⊃3ar﹂⊃S・nOこ︼00声﹁OWコ計s︸S・βp・N芦︶。船舶が修絆せらるゝ場合に於ても、船舶が元の航海を機 潰せぎるならば、航路鞄は原則として依然避難港である。胎舶が修稚後元の航海を鳩繚する場合に於ても、積荷 の山部が共同海技行馬若くは共同海損たる損寄に基かすして避難港に於て繋却せられたる場合には、斯くの如 き積荷の航路地は亦避難港である。同様なる場合に於て叫部の荷主が商法六〇〇傑、六〇二條、又竺ハ〇三傑の 規定に依り違法契約を解除して避難港に於て積荷を引放りたる坂合に於ても、斯くの如き積荷に関しては、避難 港が航路地である︵エec訂︶S・ぃぃご。而して、最後に掲げたる二箇の場合に於ては、畢に共同危険感巌票り二部につ いてのみ航梅が避難港に於て終了するものなるが、その精算は後にE頓に於て遊ぶペき、数多の寄航港に於て積 荷を陸揚する場合に準すべきものであらう。 船舶が避難港に於て解鰭の富野を受け親愛せらるゝ婁合に於ても、積荷は目的港まで代胎又は鋳造等に依り樽 途せらる1を普通とする。この場合、騎長は荷主の利益のために彼の代理人としてその特選をなすことがあ少 ︵8摘要ハ五條数照︶、或は船主の名に於て之をなすこともある︵日商空ハ六條会照︶。蓋し、船舶が修繕するこ、と能 はぎるに至りたるため薪貸せられたる場合には、兜に述べたるが如︿遅速契約は終了するに至るものなるが、胎 主は船荷詮父上の約款に依り、磯荷の鴨途の棟利を保留することが抄くないのである。因に、英圃に於ては距離

(19)

運賃を認めざるを以て、違法を完了するにあらずんぼ船主は一文の運賃も請求し得ざるに至るのである。 これ等の場合、航路地は避難港なりや或は目的払なりや。猫逸の拳詮及び判例に於ては、避難港を以て航路地 となし︵エeck−S.u芦Schaps−S.の歩︶、英米開園を始め多くの諸国に於ては棒迭の形式に依って置別する。即ち、 遅速契約が避難港に於て終了し﹂ 積荷の極逸が荷主の費用を以て行はる1場合には、避難港を以て航路地とな す。反之して、姶塞が遅滞なく代胎む以て積荷の遅速を櫻模したる場合には目的港を以て航路地となす。而し て、元の蓮途契約の存続、並に拓透せらる1積荷に封する船主の留憶健の現存を以てその理由となすものゝ如く である︵﹁OWコdesもP.uOu−uOご。然し、共同海技の制度は共同危険困鰭にこそ其の基礎を有すれ、運送契約とは 直接の関係がないものである。殊に、この理由を以て先に汽頓に於て曙示したる通し運送の場合にまで徹底せし むるならば、途に船舶の到達港を越えたる積荷の仕向鞄を精箪地として骨定せざるを得ざるの暴論に逢着するで あら一う○ 接するに、猫逸の主義は理論の上に立脚するものであつて、船舶及び積荷の両者に勤し同一の地を楼牢として 精算をなし得べく、最も衡平なる結果が得らる1も、精算のために積荷を暫時避難港に於て留駐し、棒迭の迅速 を閉し得ぎるの不便がある。反乏して、英米の主義は便宜論を加味せるものであつて、梢荷の輪途は迅速に行は る1を得るも、船舶の精算地と積荷の精算地とが異ならざるを得ない。積荷は目的港の償覇を以て精算せらるゝ に不拘、船舶は避難港の倍額に依らざるを得ない。慧し、避難港に於て航海を終了したる船舶が、恨に目的港ま 共同海損綺激論 ︵叫六三︶ 六五

(20)

弟入谷 第二批

︹仙六四︶ 六六

で摸航したる歩合を想像することは不可能である。何となれば、各般舶は姶型を異にし嘔航能力に相違あるが故

に、代胎の遭遇したる運命を以て承船の状態と看倣すことは固より不雷である。斯くて、精算地を異にする姶舶

と桟荷との封照に依る精算は、普然不完全なるものと云はねぼならない。尤も、この難鮎は船舶の分櫓倍額が零

にして、且つ税荷が全部昌的港に翳され、避難港に於て陸揚せられたるもゐ二としてあらざるときに於て満城す

る。而も、斯くの如き偶然の啓情を考慮に容れて、緒途せられたる積荷の経路地を或は避難港とし、或は目的港

と決定することは亦雷を待てゐない︵Heck−S.u芦︶。

要するに、英米の主義法理論上映ぐるところがある。然し、便宜諭として弧ち排斥すべきものでもなからう。

而して、後にE項に於て述ぶべき、数多の寄航港に於て稲荷を陸揚する場合の精算と同一の取扱にすべきものと 考へられる︵〓eck.s.u置︶。

船舶は避難港に於て修躇せられ、修繕後・冗の航海を椴糖して目的港に到達したるが、積荷の蒜又は垂部は船舶

の修繕の完了を待たす、避難港の諸費用を髄約せん辱のため代踏又は班遺にて目的港に緒送せられたるが如き婁

合、即ちヨーク・アントワープ規定十傑D班の規定する場合に於ても航路地如何の問題を生する。船舶、及び元

の船舶に依って違法せられたる積荷の航路蛾が目的薇であることは論なきところなるも、代捨又は鋳造に依タて 一

道迭せられたる積荷の航路地に就て竺考を聾する〇英閲に於ては、斯くの如き積荷の航路地は避難港にあらず

して、目的港なるの判例を存するも︵〓≡く・Wニs。コこ3.︹arくe﹁.S.会.︶、理論の上に於ては思円出来ない。船

(21)

舶、即ち共同允険盟鰭と終局的忙分離して縛迭せられたるものであるから、甥論上は避難港豪以て航路地と見る べきである。唯、便宜諭として目的轡鑑航路地となしても、先に指摘したるが如き船舶と積荷との精算地が相違 するの不衡平を生ぜしめない。而して、この種の場合に於ても、亦後にE頓に於て逓ぶべき精堺に準すべきもの で蟄bう。

C 航海が海洋上に於て終了する場合

船舶は衝爽又は坐礁等に因り海洋上に於て滅失した左も、積荷のみは救助せられたる額合、航路咄は何鷹とな すべきかにつき我商法には全然規定なし。猫逸商法には明文を存し、積荷が安全に欝されたる地を以て精算地と なすべき旨を規定してゐる︵猫商七血四條︶。従って、斯くの如き積荷が救助船等に依り遭難地附近の港に陸揚せ られたる場合把は、その陸揚港が精算の標準たるペき航路地となるべく、若し遭難現場より他袷に積移されて目 的港まで送致せられたる場合には、目的港が謂ゆる経絡地となるであらう︵Heckもu軍︶。叉、遭難貨物の陸揚 港が敬多ある慧宣は、その各港を夫々各積荷の航路地と見るペく、宕L船主が元の運送契約に依り遅滞なく遅 速針顆粒したる場合には、後述するE項の精算に準すべきものと思ふ。 航海が梅津上に於て準1するは、叙上の如く船舶が衝突又は座礁等に因り海洋上に於て滅失する歩合の外、積 荷の各輯に依っても生する。積荷の一部が投荷せられたる後確部の積荷が全部撼放し、或は火災に躍り、或は海 共同溶韻精算論 〓六五︶ 六七

(22)

第八巻 弟二蟹

〓六六︶ 六八 賊に掠奪せられたる場合の如し。斯くの如き場合に就ては、猫逸商法に於ても何等規定するところなしと雄も、 前の規定の難推解踵に依り、船舶が遭難後始めて入航したる粕を以て解路地と見るペきであらう︵〓叩Ck、S.U翠 Schaps−S・のあ.︶。 航路が船舶の海洋上に於ける滅失に依り終了する場合、その船舶の損審が衝突の損害の如き箪猫梅損に過ぎざ るものならば放て船舶の航路地を確定する要なしと錐も、任意の坐礁の如き共同海揖たる性質のものならぼ、損 害額の評定の必要上航路地を確定する嬰がある。而して、遭難地に最も近接せる港を以てすべきが如くにも考へ らるゝも、積荷の精算地と船舶の精算地とを異にせざるを以て精算の衡平を踵し得るから、上述の如き碩荷の航 路地を以て亦船舶の航路地と看撤して精算するを最も穏雷なりと信する。侍、これに戯ては後述のF項を参照せ られたい。 D 船舶が事故のため撥航港に鈴航したる場合 胎舶が嶺航後事政のため牽舵機に辟航し、積荷を陸揚して共同の航海を放棄したる婁合には、その饗航抵が謂 ︶ ゆる航路地となる︵〓eck、S.u担︶。 一般舶は傭船せられてリグァプールより駿を積載してカルカッタに向け航行したるが、盛蘭の沖合にて坐礁し た。靡の大部分は離礁のため投荷せられ、船舶は曳胎に依ってリグァプールに踪航したるが、残る歴の中大部分

(23)

は或は海水に濡れて拘失し、或は再硝込の不可能なる程度の損傷を被って居り、完全なる物は僅少であつた。而 して、傭敗者は代貸の稗込を経絡したるため、航海は黎航港に於て戯菓せられたぺ然し、捨主は胎舶の修粍後自 己の計算にて南び瞬首領込み、之を元の目的港だるカルカッタに道迭して有利に昏却した言放に於て、僻胎者は 投荷せられたる臓皿の損害に射し、カルカッタに於ける市憎を標準として分拾を請求したるが、英簡裁判桝は航海 はりヴァプールに於て終了したるものとなし、覆航港の市債に依る賠償をのみ認めた︵F訂tcherく.≧e芯コde﹁こ涙00− ﹁OWコd2S−P・N埠甲︶。

E 数多の寄航捲に於で椅荷を陸揚する場合

定銅坑悔に於ては、船舶は磯航海︵例へぼ甲港︶と日的港︵例へぼ丙港︶との問に於て数多の寄航をなし、各 寄航砧︵例へぼ乙港その他︶に於て船税且つ陸揚をなすを普通とする。而して、著し甲乙港間に於て共同海拭あ りたる窃合には、精算地は乙港なりや丙砲なりや或はその雨着なりや等の問題を生すペく、畢詮並に嘗際の取扱 も﹂致しない。 一部の論者例へぼパースンスは、乙港を以て精算地なりとなす。乙港揚貨物は此虞にて共同危険圃餞より分離す るものなれぼ乙港を航路地となすは雷然のことであり、その時までに生じたる共同海損に封してはこの地の慣額 を梗準として分堵の権利を有し且つ義務豪負ふべきである。乙始揚貨物にして犠牲に供せられたるものあらぼ、乙 共同海娩輪算論 ︵劃六七︶ 六九

(24)

︵二ハ入︶ 七〇 第八巻 籍 二 駅 港揚貨物に就ては勿論のこと、胎舶及び丙港揚唐物をも留過してその分措を猥制し得ペきものとなす︵P彗SOコS“ ぎsuraコne完d・−√p・Uβ︶。思ふに、乙港揚貨物はその後の航涯には何等の利害関係を有せすして乙丙港間に於て 生することあるべき共同渥損に酎しては分獲の鶉務なきは勿論、この第二の航海忙於ける事故に因り船舶及び丙 港揚貨物が滅失叉蜂減債するも、乙港拗貨物の分轄割合が増大すべきものではないから、この桝諭は乙港抜犠牲 貸物に就ては首骨すべきものと考へられる。然し、他方に於て丙港揚貨物に就て考ふるならば、必ずしも穏富を 快かないと冨ひ得ない。何となれぼ、丙港揚食物は乙港を軍なる中間港となすものであつて未だ航海を終了せざ るものである。丙港揚食物が甲乙港間に於て、乙港抜貨物の犠牲に依り共同梅漬の利益を受けたりとするも、未 だ現篭の利益に興りたるにあらず。内港に到達したる場合には分姶の義務をこそ有すれ、中間港に於てこの義務 の履わを弧制せられ、而も航海を終了したる乙港揚貨物と未だ之を終了せぎる内港揚貨物とが同等に取扱はる1 ことば、丙払拭貨物に勤し酷に失すと富はなければならぬ︵﹁OWコd諾.PJNN.︶。 英観に於ける共同梅技法の碩螢ラウンズは、この間題を詳細に論じたるも結論を避けてゐる。然るに、カーヴ ァーは前記。ハースンスの所詮と1E反封に、船舶の到達港たる丙港を以て精算地となすを可なりと毒張してゐる。彼 に依れば、乙港を精算地となすとき監ハ同港損の原則簸る、分捧は犠牲に依って待たる利益忙比例すべきである + との原則に副はぎる忙至るから不可である。然るに、丙港を精算地となすときは、目的港に到達し禿る場合にの み分捧を課することになるからよくこの原則に副ふに至る。甲乙港間に於て犠牲が醸されたる場合、乙港揚貨物

(25)

はこの利益を硯驚に受けたるものなるも、内港揚貨物些門粘に到達するまで之を蜜魂せざるものであるから、若 け乙丙ぬ閲の航海に於て滅失したるならば何等の分塘をなすを欝せざるに至るべきものとなす︵Ca−くe﹁﹀S・会し。 然し、他方に於てカーヴァーも認めたる如く、共同海技の他の原則なる何れの財産が犠牲に供せらるゝも、粕罫 に依り結果を等しくするてふ原則に副ぬざるに至る。何となれぼ、甲乙仏間に於て乙港拭貨物の仙部が犠牲に供せ られ、丙港揚貨物及び船舶がその後の航海に於て滅失したる壌合には、犠牲は乙港揚貨物の問に於てのみ分轄す る総理その分憺顧は増大するに顕し、若し内港抜貨物が甲乙港間に於て犠牲に供せられたる場合には何等の分塘 を弊せざる忙至る。蓋L、丙港揚貨物が甲乙港間に於て犠牲に供せられざりしとするも、乙丙港間に於て船舶及 び開港揚貨物が全部滅失したるの事情に敬し、内港揚犠牡貨物も限りに在賠せば亦同㌻の運命忙ありしものと考 へられ、結局共同海技々寄なかりしものと解せらるゝに至るからである︵Car<er.・S・畠u・⊆ュchuBaコd≡∼ S・芦 Sie<ekiコ哲Seerecht︶SS.NのOLのuし。果して然らば、乙砥揚貨物には、丙港揚貨物の犠牲に依って受けたる不営利 錦がその饉に竣されてゐるの不衡平が行はれてゐる。 以圭−箇の所論は、中間港たる乙粘又は船舶の到達港たる内港を以て精算地となし、精算鞄をこそ異にすれ何 れも唯二の精静を以て之を完結せんとするものであり、計算は簡易なるを得るも、共に山長二短があつて完璧を 覿することを待ない。鼓に於て乎、柄者を併用したるが如き桝訟がある。即ちへックに依れぽ、兜づ乙港に於て. .鋪∴の精算をなして乙港揚貨物の分捧の樺利義務を確悪しヽ吹で内港に於て第二の精算をなして船舶及び丙港援 ㌧ 共同酒税綺定論 ︵二ハ九︶ 七叫

(26)

第八巻 第二班

︵叫七〇︺ 七こ 貨物の分塘の橙利義務薪確定せんとしてゐる。詳言すれぼ、乙港揚貨物が甲乙港間に於て犠牲に供せられたる場合 には、その共同海損たる損害胡並に乙海抜貨物の分捧偶感が乙港に於ける債額を標準として評定せらる1は勿論、 胎舶及び丙港拗貨物も亦鵬應乙港に於ける低額を梗準として評憤せられ、以て船舶並に乙海抜及び内港拗貨物の 分捧額が確定せられる。但し、胎舶及び丙港拗貨物は乙港に於ては各自の分措割合を確定せす、之を共同債務の値 に残して丙踏まで航海を覗繰し、この地の倍額を標準として稀び粍欝をなすものとす。従って、内港揚貨物にして 乙内払聞に於て滅失したるものあらば、其のものは分路を見る∼に至るべく、且つそれだけ他のもの1分措新は増 大するものとす。若し船舶及び丙港揚貨物が全部滅失したる場合には途応分塘をなすものなきに至り、乙港揚犠 牲貨物の損害は一部賠償せられざるに至るも、こは此ハ同海損債務も他の海上債務と同様に、海産を限度とする物 的有限債務なることより来る必然の結巣である︵HGB.s.りN仇.エenk−S.嘉し。叉、内港揚貨物が甲乙港間に於て犠 牲に供せられたる場合にも前同様叫癒その共同梅損たる損害胡を乙港の慣額に依り評定し、且つ乙港揚貨物は勿 論、船舶及び内港揚食物をも乙港の慣額に依り評憤してその分場胡を算定する。而して、内港揚犠牲貨物の共同海 技たるづき損害額の中船舶及び内港揚貨物に依って分槍せらるべき部分は、船舶及び丙港揚貨物が内港に到達し たる時、更に丙港の慣額に依りて許償せられ分塘返らる、ものとす。竣言すれば、乙他に於ける第剛の精欝にぬて 丙海抜犠牲貨物は璧千囲の債覇のものとして許憤せられ、その叫割即ち望百凪が乙港揚食物に依って分櫓せられ たりとし、且つ丙港に於ける第二の精算に於ては市債の騰貴等に依り同機牡貨物は就千国の侶倦あるものと評慣 \

(27)

せられたりとせよ。この場合、丙港に到癒したる船舶及び稲荷は就千園と愛育固との業覇たる璧千九官園を分略

するにあらすして、就千固の丸剤たる璧千八拝聞を分揺すれぼ貼るものとす。蓋し、丙払揚犠牲貨物の損啓一割

は眈に乙港揚貨物に依って分拍せられ且つ支排はれ済みと見るからである。従つて、乙丙港間に於て船舶及び我

荷が全滅して丙港元於て第二の精算の行はれざる忙翳るも、乙港に於ける第㌫精算には影響なく、丙港瘍犠牲

貨物の所有者が乙港に於て受けたる分拾猫は返還するを婁せざるものとす︵エeckニ・u芦︶。 ヘヅクの提唱する斯くの如き精算は、恐らく最も合理的なるものであらう︵藤本博士慧ハ同港硯綱要八五貫︶。而し

て、数多の寄航港に於て稽荷を陸揚する場合のみならす、筍も共同危険圏鰐より附過するものあるときに於て、

そり鹿毎に攣且の精算を何回にても行はんとするものであつて、先にB項及びC項に於て述べたる避難港より持 迭せらるゝ積荷の精算にもよく常飲まる︵〓eck︸S・uβs・U謬︶。然し、一回の共同海抜に封し数回の精算をなす ことは■多大の労力と憾の費用と墓する。とであるから、倍蓋養成が出誓い︵芦軍学±著共扁海視の理論 と管葱二九人苦。吾人は唯一の精算に依り、可成これに近い結典が得らる1やう工夫せねぼならない︵コeck、S・ 缶甲⊆rich−Baコd−us.NOu.︶。而して、予はこの見地より次の如き精算を提唱せんとするものであり﹁コングドン の所詮とも略山致するものかと思ふ︵∩。コ鼠。コーGeコera〓ぎera写PP・∃⊥声pp・N怠ム芦︶。

乙絡揚貨物に就ては乙港を航路地とし、内港揚貨物及び舶舶は丙港を航路地として精算する。而して、乙港揚

貨物が甲乙港間に於て犠牲に供せられたる場合には、乙抵に於ける低額を以て共同洛損顧として、之を乙港の慣

共同洛楓綺簸論 ︵脚七こ 七三

(28)

第八鱒 第二駅

︵鵬七二︶ 七四 額に依る乙港揚貨物及び丙港の慣叡に依る丙港揚貨物及び胎舶に依り分揺す。・−・・−この鮎まではカーヴァーの例

説と表するであらう。然し、この場合乙港揚鯉物の分培額は、前記パースンスの所見の如く、内港揚貨物及び

蘭舶の其の後の航海に於ける事故に依り影響を受けしむペからざるものなれば、丙港揚貨物及び賠舶は無常丙砥

に到達したるものと有機して精辞し、−この擬制に依る精算は全くの私見ではあるが、これはへヅクの提唱す る二回若くは二回以上の精算を唯の一回忙短縮せんとの主旨に出するものに外ならぬ。−乙港揚貨物の分塘額

を確定する。但し、丙海抜貨物及び船舶は乙港に於ては各自の分婚割合を確定せす、之を共同の債務の優に残し

置き、硯茸に内港に到達したるもの1間に於て分獲するものとす。−1との鮎は全然ヘリクの桝詮に依ったもの である。碓つて、丙港揚貨物にして乙内港問に於て滅失したるものあらば、典のものは分格を兎る1に至るペ く、且つそれだけ他のもの1分培覇は増大するものとす。著し船舶及び内港拐貨物が全部滅失したる場合には遮 に分拾をなすものなきに至り︺ら港揚犠牲貨物の損害は山部賠償せられざるに寄るものなるが︵猪商七ニ〓ハ條、日商

六四四條し、船長に於ては預めこれに備へんがため、乙港に於て船舶及び丙粘揚貨物を保険の目的としてこの共同

溶揖債権を塘保すべき保険契約を締結し置くの薯あるべく、その保険料は共同梅損東塔金に劉する保険料に準じ

て金牌の共同梅損として取扱はるべきものであらう。叉、内港揚貨物が甲乙港間に於て犠他に供せられたる坂合

には、その共同海技たるべき抗審額は丙港の慣額に依り評定し、之を乙港の慣額に依る乙港揚貨物及び内港の慣

葡に依る丙港粉塵物及び船舶正依り分塘す篭l靂この鮎まではカーヴァーの朗詮と⋮致するであらう。然し、こ

(29)

の場合乙港揚貨物の分姶額は。ハースンスの研見の如く、内港拗貨物及び船舶の其の後の舵綽に於ける事故忙依り 影響を発けしむべからぎるものなれぼ、丙港揚貨物及び賠舶喋無畢閂港に劉虚したるものと賓倣して精算し、− この擬制精算はへヅクの合印的精算に精算の簡易を目的とする便宜論を加味したるものであり、本詮の特質であ るっ﹂!乙港揚貨物の分櫓頻を確定する。但し、内港揚貨物及び船舶の分瘡癒、硯蜜に船舶及び丙港揚貨物が丙 港に到達したるとき行はるゝものとす。・jこの鮎は全然ヘリクの桝詮に依ったものである。従って、丙港揚貨 物にLて乙丙他聞に於て滅失したるものあらば其のものは分拾を免る1に至るぺく、且つそれだけ他のもの1分 槍額は増大するものとす。若し船舶及び内払揚貨物が全部滅失したる場合には、丙粘に於て分櫓をなすものなき に至るも、乙港揚貨物の分櫓には影響なきこと前述の如し。 本詮はヘリクの精算を以て最も合理的なるもの ための便宜諭を加味せるものである。尤も、乙丙港間に於て再び事故ありたる場合には、本詮に於ても庸二回若 くは二回以上の精算をなすの験儀なきに至るも、許偵は各航路地に於て劇回だけなせば足るものなるを以て大し た煩労を伴はぎるべL。唯、牧野は乙港の慣額に依るものと内港の慣額に依るものとの封照、即ち詐偶の基礎を 異にして行はるゝ精算としての不合理を認めざるを得ざるところにある。叉、本給の特質たる擬制精算は固より 條埋の不徹底を暴忽せるものではあるが、これ等は便宜論を加味せる謂はゞ折衷訟として常然不可避わ籍典であ らうゥ 共同海硯粉兇論 ︵山七三︶ 七五

(30)

番人稔 第こ 耽 〓七四︶ 七六 ⊥饗するに、合理的精界としてはへヅクの朗詮に操るぺく、驚際論としては本設を提唱したい。而して、その何 れを搾ぶにせよ、本項に於ける精算と先にB項及びC項に於て述べたる、避難港より綿迭せらる1稽荷の精欝と の問に於て、取扱を異にせざるを以て穏雷とすべし。

F 航海が共同海損行男に困り終了する場合

航海が共同海挽行為に因らすして終了する場合に於ける航路他に就ては上述の如し。殊に、船舶が畢猫湛損た る損害を受けたるがため、或は稲荷が腐敗等の危険あるがため避排他等に於て棄却せらる1が如きときには、こ れ等の船舶及び積荷は避撒港を航路地として精算せられること勿論である。然るに、⋮部の積荷が共同の安全の ために投挿せられたるが如き、或は共同梅損裏金を調達せんため、或は共同梅漬たる損害の塘兵する恐れあるが ため避難港等に於て資却せられたるが如きときには、これ等の積荷は∵般に梅淳上又は避難港を以て航路地とせ す、寧ろ目的港を航路地として精算せられて居り、理論上に於ても常然の慶畳である︵コeck−S−uのN.︶。叉、稽荷 の全部が犠牲に供せられたるが如き、或は賠舶が共同の安全のため任意に巫礁をなして救助の不可能なるに至り たるが如き謂ゆる全部犠牲︵TOta■OPfe﹁︺の婁合に於ても、理論上に於ては目的港を以て謂ゆる航路地として精算 すべきであらうっ然し、驚際上の取扱としては次の如き理由に依り、寧ろ事昏上の航路地たる避難払等を以て精 節地とたすべきである︵〓eck、S.u翠︶。

(31)

一重郷犠牲の禦口忙は、航梅は目的港まで覗綬せられざるを普通とする。而して、航海の靡薬に因る損害は胎

舶及び絶ての積荷につき略平等であるから、避難港等を以て精算地となしても大した不衡平を生じないであら

う。然し、運迭契約の條頓に依っては、一部の利害銅係人に明かに非常の損失を醸すことがある。議舶は傭

船せむれてリグァプールより喉首積載してカルカごグに向け航行したるが、出帆後間もなく遭難して殆ど全部の

積荷が投荷せられ、船舶のみはリグァブールに鐘航するを得た。而して、リグァブール即ち賛成港を航路地と

して精算せられたるが、運賃の年額は既に傭胎者に依り前沸せられゐたるため、この前沸運賃の損失も亦共同

渥損として取扱はれた︵Fle−nh2rく・22Xaコde︰欝﹁OWコd2Sもーβ︶。これ、航海の靡粟に因る非常の損失が 共同梅損として取扱はれたるものであり、原則に射する例外の廃置に外ならぬ︵エe。kこ・u畢彗ヨ・N∞、S・uぜ ココヨ.仇.︶。

二 航海が避難粒等に於て革質上終了せるに不拘、観て目的港を以て精算地とし、目的港の慣額に依って精算せ

んとすれば、その慣額は絶て畢純なる評偶に過ぎざるものとなり、却って不衡平を解す恐れなしとしない。反

乏して、船舶の全部犠牲に依り航路を見たるも、積荷は代胎又は鋳造に依h∴目的地に緒迭せられ、且つ英米主

轟に依り目的地の債額を以て精算せらるべき場合には、船舶の損零細も亦目的地の慣額に依らしむるを以て寧

ろ衡平なりと信する。

共同海扱癒政論 ︵丁七充︶・七七

(32)

へ鵬七六︶ 七八 第八巻 第二 耽 航路地は、共同梅損賠償額並にをの分括倍額の算定上に於ける標準地なること上述の如し。その他躍、従来各 国の法律並に慣例に於ては、航路地は同時に共同梅抗精算書の作成地であり、且つその準探すべき法の朗癒地で あつた︵〓ec芥こ.u試し。然るに、山九二凶年ヨーク・アントワープ規定に於ては、従来航路地に附加せられたる 此の二つの重要なる性質が抹消せらる1に至った℃即ち、先づその文字規定のG條第二項に於ては、左の如く胱 略地は必ずしも精算書の作成穐ではないことを規定してゐる。 共同梅抗ハ、ソノ損害及ビ分塘ノ両者二囲シ、航海終了ノ時及ビ鞄二於ケル慣韻ヲ梗準トシテ精算スペキ モノトス。 前項ノ規定ハ、共同海損精算書ノ作成セラルべキ地ノ決定一−影埋ヲ及ボスモノlけアラズ。 惟ふに、共同海鴨の精算忙は猫特の孜傭と熟練とを聾するため殆ど常に精罪人に委嘱することゝなるが、若し この航路地に精算人が住居せざる場合には、驚際上精算をなすを得ざるに至るからである。次に、鵬八九〇年ヨ ーク・アントワープ規定に於ては友の如き規定を宿し、航路地に於ける法律及び慣習が精算の準掠淡なることを 暗示したるもヽ 叫九二班年規定に於ては殊更にこの規定を別険した。 算 懲第十八條 精 本規定二於テ規定セザル事項二付テハ、遅速契約沓三本規定二依りテ共同海損ノ支彿ヲナスべキ旨ノ條項 G

(33)

ヲ包含セザリシトキ、精算二適用セラルべカリシ法律及ビ慣例三伏リテ精算ヲナスべキモノトス。

惟ふに、−八九〇年規定は数字規定なる個別的規定のみより成り原則規定を紋如したるため、ヨーク・アント

ワープ規定が精算の準撰法なる場合にも倫之を補充するための法律及び慣例を必要とした。然るに、一九二四年

規定に於ては文字規定なる原則規建む具備するに至ったゝめ.他に之を補充すべき法律及び慣例を必要としない。

違法契約書に於て、ヨーク・アントワープ規定を以て精算の準嬢法となすの條項さへあらぼ、航路地の法律及び

慣例の如きは殆ど願るを要せざるに至ったのである。これ、一九二四年規定が劇八九〇年規定の第十八億を全然

削除するに至った所以である。尤も、それ鱒も拘らす精欝の寒行に富っては、他に準掠法の必要を生すべきこと

必ずしも絶鰊と登玉へないが、その璧昆は従来の如く精算地の法律及び慣例に掠ることになるであらう。且つ

叉、同じヨーク・アントワープ規定に勤しても図に依り叉人に依り必すしも同山の解繹が輿へられるものでもな

いから、利害関係人は精算地の決定並に精算人の選定につき五に利益の衝突む釆すこと全然なしとは墜岩出雑な

いであらう︵Ru計lf、七.芦︶。

弟四節 共同海損の分据限度

共同海拭の精算は、海上国濃を構成する財産の間に生すべき利益の衝舜を排除するにある。犠牲に供せられた

る財産の所有者と、保存せられたる財産の朗有者との問に生じたる利益の不均衡を調和するにある。田封荷が犠

共同海挽鯖節論 ︵叫七七︶ 七九

(34)

︵叫七八︶ 入○

環八谷 第二渋

終に供せらるゝも乙積荷が犠牲に供せられたりとするも、結果に於て甲乙何れの積荷の所有者にも損爵なきやう に取計ふにある。船室が共同海損費用を立替たる揚合忙於ても、精穿に依り一部分之を返還して、肪主荷主等の 各利害関係人がその受けたる利益に比例して平等に負塘せしむるにある。而して、この目的を達せんがため、航 路陣精算が仙般に行はる1こと前節に詳述したるが如し。 航路時精罫とは、航海を終了したろ胎舶積荷等の財産がその現存せる慣額に比例して分櫓をなす紅ある。船舶 又は積荷が共同梅損行為に因り叫時保存せられた右欝嘗ありとも、其の後の航渥に於て滅失して硯嘗に航海を終 了せざりしもめは分婿を免れるに至るのである。叉、航拓を終了したるものに於ても、その駅路他に現存せる倍 額を超えてまで分搾の童絡がない繹である。我商法に於ても、共同海損を分指すペき者は捨舶の到達又は積荷の 引渡の時忙於て現存する倍額の限度に於てのみ其の茸に任すと規定し︵日商六四四條︶、猫逸南淡に於ては、共同 海按分培養務は原則として海産を限度とする物的有限安任なることを明言してゐる︵猥繍七二六條︶。従つて、共 同海抗行鵠に因り犠牲が願され或は費用が支出せられて、船舶積荷が救助せられたるの寄宵ありとも、其の後の 航海た於て船舶穣荷が皆滅したるが如き場合には、共同渥損たる犠牲及び費用と錐も竜も賠償せられざるに至る のである。 斯くの如き精算は、共同海技が犠牲たる物的抗督のみより伐れるときに於て常に衡平なる結果が得られてぁ るっ慧し、航路袖に到痙したる財産が僅少なるに拘らす犠牲の塾部が賠償せられるに於ては、共同海技行為に困

(35)

り保存せられたる財産よりも犠牲に供せられたる財産の方がヨり大なる利益を受けたることになる。殊に、航海を

終了Lたるも打皆伽⋮なるに拘らす、犠牲の山部たサとも賠償せらる⊥ことありとせは、それだけ不衡平なる利得 を受けたることに/なる、。然るに、この開係は共同海損が費用よ虻成れるときに於て、必ずしも同様なる結果が得

られな小。尤も、共同海技費用が胃険貸借に依り、或は摘荷の欝却に依り夏桝せられたるが如き場徐には、犠牲

の場合に於けると同株に、航路時精算に依り衡平なる結果が縛らる1も、これが胎主叉比荷主等の立替に依って 受排せられたる場合には必ら.ずしも黙らす。接するに、斯くの如き立替金は海産ならざる、従つて共同危険国債

を構成せざる陸上財産より支出せられたるものであるから、その性質上立替命の全額が常に賠償せられなけれぼ

ならない。韮に、偶感山萬囲の船舶と山千園の甲櫨荷と二千園の乙積荷とがあつて、航海中甲積荷は全部投荷せら

れ胎毒は避難港の諸費用として八百閲戊支凍ひたりとし、悔も船舶梢荷は其の後の航海に於て皆滅に期したりと

せよ。この場合、投荷の損害たる山千園は、航路時精算に依り之を賠償せざるを以て衡平に適するも、費用の立

替金たる八百園を賠償せざることは、胎生忙不術やなる指事を負楷せしめてゐることになる。船主、甲荷主、及

び乙荷主が夫々海産たる船舶、甲積荷、及び乙積荷を失ってゐる鮎に於ては平等なるも、賠主にのみは海産の外

に、陸産たる八百囲の貸鮪をも失はしめてゐる鮎に於て不術平がある。

英米南開に於ては、航路時精算の斯くの如き不衡平を矯∬せんがため、一部の論者は費用に関しては犠牲時精

算を提唱する。各利害踊係人は、費用の支出を必安ならしむる共同海税行為の常時に於て現存したる、従って費

共同海航輪算論 〇七九︶ 入山

(36)

第八巻 第二耽

︵劇入○︶ 八二

周文地の利益を受けたる船舶積荷の倍額に比例して之を分槍すべき義務ありとなす。航海を終了したる財産が全

然なく、従つて分塘網を衰滅すべき海産なき場合に於ても、侍各利害鵬係人は之をその各日の陸上財産より変梯

ふべきものとなす︵﹁。Wコdes−写edi冨コu P・U︼中空コ。u一dこS.雪肌−当↓●Phニニps︼SSJぃぶ宅ご。而して、船長は

緊急の葛合費用の支出に関しては、利害関係人に封し斯くの如き人的資任を負培せしむぺき槻限ありと詮明する

︵﹁OWコ計sも∵山岸Be⊃eCke−で・N缶seqし。反之して、英園に於ても他の論者は、費用の分槍に関しても犠牲の婁

合に於けると同様に航路時精算を以て健れりと主張する。その理由として、費用支出の後滅失したる財産は分総

を免るべきである。若し然らすとせぼ、避難港専に於て費相の支出せられたる後、再び海難に遭遇して積荷は全

部滅失し船舶のみが航海を終了したるが如き婁合に於て不衡平を生すとなす。尤も、船舶も損供してその到達倍

額が僅少であり、支出せられたる費用覇を償はぎるときには、その不足現については積荷にも分略せしめねぼな

らぬ。然し、この場合と邸も船舶及び積荷が安全に航梅を終了したるものと宕撤して精算すべきである。船舶及

び積荷の雨着が全部滅失したる場合に於ても同様である。あらぼ、費用の分塘把関しても亦航路時精算を以て鵬

潰せしめ得べきものなりと詮明する︵Carくer、S.缶00.Beコen訂−P.N芦︺。 共同海蛇費用の精算に於て、英園に於ける論者の所詮には右の如く二様ありと雄も、分櫓義務者に封L梅席を

限度とせざる謂ゆる人的安住が試せらるべきことにつき、両論相叫致する。而して、ヨーク・アント∴ワープ規定

に於ても、既正〓八六〇年グラスゴー愈議にはこれに関する決議があり︵G−as笥刀esO夏○コS−コOJP︶、山九二凶

参照

関連したドキュメント

また、学内の専門スタッフである SC や養護教諭が外部の専門機関に援助を求める際、依頼後もその支援にか かわる対象校が

弊社または関係会社は本製品および関連情報につき、明示または黙示を問わず、いかなる権利を許諾するものでもなく、またそれらの市場適応性

太宰治は誰でも楽しめることを保証すると同時に、自分の文学の追求を放棄していませ

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google

⑥同じように︑私的契約の権利は︑市民の自由の少なざる ⑤ 

哲学(philosophy の原意は「愛知」)は知が到 達するすべてに関心を持つ総合学であり、総合政

そこで、そもそも損害賠償請求の根本の規定である金融商品取引法 21 条の 2 第 1

海難に関するもの 密漁に関するもの 浮流油に関するもの 廃棄物・廃船に関するもの 外国船舶の通航に関するもの