ダ ンス指導実践 に関わ る現職教員 の意識
―中学校 を対象 として一
鳥取大学教育学部 保健体育
佐 分 不可
育
代 島根大学教育学部 保健体育
崖
i
粛こ茫ヽ
保
Teacher's Consciousness on the Practice of]Dance Education
―The Case of the JuniOr High School一
Ikuyo SABURI*
Shiho F[IROKANE**
目 的 男女共修,選
択制 と,学
習指導要領 の改訂 はダンス教育 にも新 たな問題 を提起 した。今後教育現 場でダンス教育が どうなってい くのか,生
涯教育 とどう関わってい くのか,子
どもにダンスの何 を どの様 に体験 させ るのか,そ
のために,教
員養成 は何 を指導者 の資質 として準備すべ きなのか,改
めて考 える時期 にきてい る。 本研究 は,中
学校 でのダンス教育 の現状 をこれ までなされていなかった全国規模 で調査 し,現
職 教員 のダンスに対 す る意識 を探 ることで,今
後 のダンス教育 のあ り方,
とりわ け教育現場でのダン ス教育 を担 う教員養成 におけるダンス教育 のあ り方への一資料 を得 ようとす るものである。 なお,本
研究 は,日
本教育大学協会全国保健体育・ 保健研究部門に属する,全
国舞踊研究会会員 の共同による,全
国規模での現職教員 に対す る質問紙調査 に基づいている。 方 法1.対
象 (有効数)
公立中学校1,243名
全国学校数 の1割
強 にあたる2.調
査期間1991年
8月 ∼1992年 1月3.調
査方法質問紙調査 全国規模 で無作為 に抽出 し
,体
育教員 に調査用紙 を郵送,一
部 は集合調査 により回収4.調
査内容(1)ダ
ンス全般 (経験,好
き嫌 い,ダ
ンス観) 鬱)大学時の履修経験 (経験期間,履
修 内容,印
象等)* Department of Physical Education,Faculty of Education,「 Fottori l」 niversity
佐分利育代・廣兼志保:ダンス指導実践に関わる現職教員の意識 (3)創作ダンス指導の実態 (指導の有無
,指
導の好 き嫌 い,効
果 を上 げた指 導等)
ィ 奈良教育大学,筑
波大学および鳥取大学 の大型計算機SPSSに
よって統計 処理 し,全
体 の傾 向,男
女差,そ
の他,意
識 に影響 を与 えると思われ る要因 について士ヒ較 した。5.分
析 方法 結 果1.回
答者の属性 本調査の回答者の属性 は表 1の ようであった。 表1
回答者の属性 単位=人
(%) 地域関東435(34.6) 近畿 61(4,8) 四国335(26.6) 九州 60(4.8) 中部225(17.9) 北海道 22(1.7) 中国
121(96)
東】ヒ0 性別男性537(43.2) 女性706(56.8) 年 齢 20代 387(30.7) 男 158(28.9) 女 229(32.5) 30代 518(41.1) 271(49.5) 247(35.1) 40代243(19。 3) 88(16.1) 155(22.0) 50代105(8.3) 30( 5.5) 73(10.4) 教職年数
0∼
4年265(21.0) 5∼
9年301(23.9) 10∼
14年 271(21.5) 男 95(17.4) 女 170(24.0) 166(30.3) 135(19.1) 142(26.0) 129(18.2) 30年以上 84(6.7) 21(3.3) 61(8.6) 15∼19年160(12.7) 69(12.6) 91(12.9) 20∼ 24年130(10.3) 25∼
29年 45(3.6) 男41(7.5)
女 89(12.6)13(2.0
32(4.5) 専攻教科 保健体育1171(93.0) 国語9(0.7)
理科5(0.4)
技術・家庭9(0.7)
数学 13(1.0) 音楽・美術 11(0.9) 社会 11(0.9) その他 10(0.8) 専門実技 ダ ンス75(6.0)
体操 44(3.5) 球技560(44.5)
武道 66(5.2) レジ ャースポー ツ 4(0.3) 器械体操88(7.0)
陸上210(16.7) 水泳・スキー46(3.7) その他50(4.0)
専門無 し22(1.7) 教職経験年数では,年
数が高いほどダンス専門の教員の割合が多 く,特
に30年 以上では25.8%がダン ス専門。2,ダ
ンス全般 に対する意識(1)ダ
ンスの好 き嫌い ダンスその ものに対す る好嫌 を,ダ
ンスの「観 る」「踊 る」「創 る」 の活動 に対 して尋ねた。その 結果,50.5%が
「観 ることは好 き」,48。1%が
「踊 ることは好 き」 としているのに対 して,「創 るこ とは好 き」としたのは16.0%だ
った。「 どれ も嫌 い」としている人 は4.1%と
少な く,「どち らとも言 えない」 とした人 は,19.2%だ
った。 創 ることに対す る抵抗感が うかが えるが,ダ
ンスその ものに対す る抵抗 はうかが えない。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号
(1994) 男女別では女性 は「観 る」 ことよ りも「踊 る」 ことを好 きとしている人が多 く,男
性 は「創 る」 ことだけでな く「踊 る」ことに対 す る抵抗 も大 きい。 しか し,「どれ も嫌い」とす る人 は男女共 に少 な く,男
性で は今後好 きに変わ り得 る「 どち らとも言 えない」 とする人が多かつた。(図 1) 100.0 80 0 60 0 40.0 20.0 % 00 踊ることは好き観ることは好き
どちらともいえない 創ることは好ぎ
どれも嫌い 図
1
ダ ンスの好 き嫌 い (21 ダンスの指導観 色々な種類のダンスについて,①
踊れるか,②
指導 しているか,③
自信を持って指導できるか, ④児童や生徒にさせたいかを尋ねた。 ①踊れる フォークダンスを「踊れる」とした人がずば抜けて多 く(82.5%),次
いで創作ダンス42.6%, エアロビックダンス24.5%だ
った。 フォークダンスは女性の88.6%,男
性でも74.8%が
「踊れる」 としてお り,こ
れは創作ダン スを「踊れる」 とした女性が65.1%,男
性が13.6%の
結果 とは大 きな差があつた。 ②指導 している フォークダンス(59.4%)と
創作ダンス(57.6%)が
多 く,次
はエアロビックダンス (10.8%)だ
った。 フォークダンスは男性で も49.5%が
指導 していた。女性では,フ
ォークダンスを指導 してい る人(67.2%)よ
り,創
作ダンスを指導 している人(80.0%)の
方が多かつた。 男性で創作ダンスを指導 している人 は29.0%で
しかな く,創
作ダンスの男女差 は,「踊れる」 「指導 している」 とも,フ
ォークダンスの男女差 よりも大 きいという特徴があつた。 ③ 自信を持って指導できる 一位がフォークダンス(32.6%),次
に創作ダンス(16.0%)だ
った。三位に上がっていたの がエアロビックダンス(3.9%)で
,全
体 に自信のない結果だった。 ④児童や生徒にさせたい 創作ダンス(64.2%),フ
ォークダンス(48.7%),エ
アロビックダンス(36.2%)だ
った。 ①「踊れる」か ら④「児童や生徒 にさせたい」 を図2の
ように,フ
ォークダンス とエアロビック ダンス,創
作ダンスで比較すると,創
作ダンス指導の特徴が見 える。すなわちフォークダンスや, エアロビックダンスで,「F雨れる」とした人の割合が「指導 している」人 より高 く,創
作ダンスでは1/1
男 性佐分利育代・ 廣兼志保 :ダ ンス指導実践 に関わる現職教員の意識 その割合が逆転 し,「踊れ る」とした人 より「指導 している」人 の割合が高い ことである。創作ダ ン スで は
,自
分 は踊れない し,自
信 もない と思いつつ指導 してい る教員や,「生徒 にさせたい」と思 っ てい る教員が多い ことが うかが える。 0頂
茫
ノう/イ
ヽ 、 \ア
′
/
% 0.0 踊れる 指導している信を持つて
させたぃ 図
2
踊 れ る一 させ たい 表21.2は
フォー クダ ンス と創作 ダ ンス について教職 経験年数別 に,「 す旨導 してい る」「 自信 を持 って指導 で きる」 と答 えた人数 とその割合 をみた もので あ る。教職経験年数が多 い ほ ど指 導 してい る教員 が多 く,ま
た その経験 の中で指導 に対 す る自信 も深 めてい る様 子が うかが える。 表2-1
フォークダンスを「指導 している」「自身を持 って指導できる」教員・ 教職経験年数 単位 三人 (%) 教職経験年数0-4年 5-9年
10-14年
15-19年 20-24年
25-29年 30年
一 指導 してい る 27(47.9) 自信 を持 って 61(23.0) 170(56.5)169(62.4)97(60.6)76(25.3)85(31.4)54(31.9)
87(66.9)34(75.6)62(73.8)
62(47.7) 27(60.0) 47(56.0) 表2-2
創作 ダンスを「指導 している」 自信 を持 って指導で きる」教員・ 教職経験年数 単位=人
(%) 教職経験年数0-4年 5-9年
10-14年
15-19年
20-24年 25-29年
30年
一 指導 してい る 141(53.2) 自信 を持 って 31(11.7) 157(52.2)157(67.2)86(53.8)27(9.0)25(9.2)26(16.3)
96(73.8)30(66.7)57(67.9)
41(36.9)14(31.1)36(42.9)
⑤ まとめ 以上 のように男女教員 ともに踊れ る人が指導 しているフォークダンスに比べ,お
もに女性教員が 担って,踊
れない人 も自信がないなが らも指導 しようとしている創作ダンスの側面が明 らかになっ た。13)ダ
ンスの教材観①ダンスの経験
,内
容は児童・生徒にとって大切だと思いますか
1173人(93.2%)が 大切だと回答した。いいえの回答は
68人(5.4%)だ
った。
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号 (1994) 313
②ダンスの経験や内容が児童・ 生徒にとって大切な理由 表3の
ように感情,創
造性,表
現,リ ズム といった,ダ
ンスの特性に関わる内容を選択していた。 (単数回答) 表3
ダンスの経験 。内容が生徒にとって大切 と考える理 由 単位 三人 (%) 感情 を豊 か にす る 律動感 を養 う 身体 を知覚 で きる 仲 間 との共感 の時 間が持 て る 美 しい ものへ の関心が高 まる 競争的活動 でない リズム にの って体 力 づ くりがで きる 表現 。伝達 の喜 びが体験 で きる 日本 や外 国 の文化・ 伝統 の理解 が深 まる 想像性・ 創造性豊 か な人 間 を育 て る 開放 的 で 自由な時 間 を持 て る その他 189(206) 43(4.7) 45(4.9)87(95)
7(0.8) 18(2.0) 135(14.7) 160(17.4) 11(1.2) 181(19.7) 36(3.9) 7(0.8) ③ダンスを体育の中で重視 しているか 「他領域 と変わ らない」が最 も多 く62.3%で
,「重視 している」が20.6%,「
重視 していない」が17.1%だ
った。 100 0 80 0 60 0 40 0 20 0 % 00 重視 している重視 していない 他領域 と変わ らない 図
3
ダンスを体育の中で重視 してい ますか 重視 している重視 していない 他領域 と変わ らない 図
4
ダンスを体育の中で重視 しているか。教職経験別314
佐分利育代・廣兼志保 :ダ ンス指導実践 に関わる現職教員の意識 「重視 している」 と「 していない」の割合 は,男
性 と女性で は,図
3のように全 く逆の様相 を見 せていた。つ ま り,男
性で「重視 していない」割合 の方が高 く,女
性で「重視 している人」の割合 の方が高かった。 教職経験年数 によって も図4の
ように,教
職経験 の長いほど,「重視 している」人が多い。 ④重視 していない理由 重視 していない と答 えた人の61.3%が
「自分に体験がない」 を選択 していた。2位
は「周 りにや る人がいない」で6.9%だ
った。(単数回答)(表
4) 表4
ダンス を体育の中で重視 していない理由 単位 二人 (%) 自分 に体験 が ない125(61.3)
体力 づ くりにな らない4(2.0)
女子がや る もの13(6.4)
他種 目に比べ価値 が ない11(5。
4) 学校 が否定 的 周 りにや る人 が いない その他 6(3.0) 14( 6.9) 24(11.8) ⑤ まとめ 感情,創
造性,表
現,
リズム といった,ダ
ンスの特性に価値 を見いだし,ダ
ンスの経験,内
容 は 児童 。生徒にとって大切だする人が多 くいたが,教
材 としては,他
の教材 に比べ特別重視 している ということはない。男性で,重
視 していない人が3割
近 くあったが,重
視 していない理由として「自 分に体験がない」をあげている人が6割
あった。3.創
作ダンスの大学時の履修経験(1)創
作ダンスの大学時の履修経験 ①創作ダンスの大学時の履修期間 図 5の ように,一
年以上の履修者が52.1%,全
くないが24.5%だ
った。 男性 と女性では,女
性の81.6%が
一年以上履修 していたにのに対 して,男
性では,全
くないが最 も多 く49.3%,一
年未満が37.2%,一
年以上履修 した人 は13.4%し
かいなかった。 1///11賜
妻
笹
剛躍
│
1年以上1年
未満全 くない 図
5
大学時の創作 ダンスの履修経験鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号
(1994) 315
②大学での履修が男女共習だつたか 287人 (30。2%)が
共習だった としている。男性で 198人(69.0%),女
性で87人(13.1%)と
, 共習の割合 は男性で高かつた。男女共習でのダンス学習指導のイメージはむ しろ男性 の方が持 ち易 いので はないか とも考 えられ る。 ③大学での履修内容 図6のように,「本人 の実技能力 を高 める」が最 も多 く86.4%,「
児童 。生徒の題材 を体験」38.5%,「
舞踊教育 の理念や理論」34.5%で
あった。(複数回答) 男女別 の特徴 としては,女
性 で「舞踊教育 の理念や理論」41.9%と,男
性 の16.5%を
大 きく上回 っていた。履修一年以上の女性が多い ことか ら,一
年以上 の履修 の中で,理
論的な ことを学ぶ余裕 が出て くるもの と考 えられ る。図7は
,履
修内容 を履修経験別 に見た ものである。1年
以上 の経験 者 と,一
年未満 の経験者で は,女
性 と男性 の履修内容 の差 とよ く似た結果だつた。 100 0 80.0 60.0 40 0 20 0 % 00 ビデオ・作品助言の仕方 児童・生徒の
指導計画のた
舞踊教育の理 ビデオ・授業 評価の仕方 図
6
大学 での履修 内容1/1
1 1 本人の実技能 学生 児童・生徒の 図 7 大学での履修内容・履修経験別④実技内容
図
8のようであった。動き
,表
現の基礎から
,作
品づ くり
,発
表へと学習されていることがわか
316
佐分利育代・ 廣兼志保 :ダ ンス指導実践 に関わる現職教員の意識 る。 しか し,お
話づ くり,伴
奏音楽の選 ぴ方,題
材 の見つけ方 といった,い
わば指導の基礎 となる 内容 に関 しての不足がみ られ る。(複数回答) 100 0 80,0 60.0 40.0 20.0 % 00 ステップ リズムに 身体育成 題材の見動きを見 図
8
実技 内容 く 夢 作品構成 楽 隣 ハ ・ 表 F 発 ⑤ まとめ 大学時の履修経験 は,履
修 の期間,内
容 に男女の差が大 きく,男
性 の5割
が未履修 であ り,履
修 している人 も一年未満が多い。履修 内容 も,男性で は特 に動 きづ くりに関す る実技 に片寄 っていた。 ただ,女
性 の履修経験 のほ とん どが女性 だけのクラスでの ものだったのに比べ,男
性 の履修 の多 くが男女共習であ り,男
女共習でのダ ンス学習指導のイメージはむ しろ男性 の方が持 ち易いので は ないか とも考 えられる。(2)履
修後の印象 ①履修後ダンスに対する意識が変わ ったか63.4%が
「プラスに変化 した」 としてお り,履
修経験 は,ダ
ンスに対す る意識 をプラスに変 えて いた。(図9) 100.0 80.0 60.0 40 0 20 0 % 00 プラスに変化変わらない
マイナスに変化 図
9
履修 後の意識 の変化鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号
(1994) 女性で「プラスに変化 した人」が多かつたのに比べ,男
性で「プラスに変化 した」 と「変わ らな い」 はほぼ同 じ割合であったが,男
女の履修期間の差 によるところが大 きい と思われ る。 ②履修後 どんな印象が残 ったか 図10のうち,「自分 を外 (に表現で きるすば らしさ)」 か ら「仲間の知 (らなかった面 を発見)」 ま でが好印象,「表現す る (のは耳きしい)」 か ら「中途半端 (な動 きは見ていて気持 ち悪い)」 までが悪 い印象である。 他 の項 目に比 べ多かつたのは「創作す る難 しさ」 と「作品 を創 り上 げた満足感・ 達成感」で,こ
の二つ は,創
作 ダンスの両極面 といえる。(単数回答) 大学時の履修 内容 の うち「作品づ くり」あるいはそれ に関わ る実技 の経験が これ らの意識 に大 き く関わっている と推察で きる。 男女 による印象の差 はその多 くが大学時の履修期間,履
修 内容 な どの経験 の差 によると考 えられ る。女性で は「作品 を創 り上 げた満足感・達成感」(14.9%)を
始 め とした好印象が合わせて36.7%
であったのに対 し,男
性で は「創作する難 しさ」(18.8%),「表現す るのは恥ずか しい。人 目が気 に なる」(9.2%)等
の悪い印象が多 く残 っていた (39.5%)。 4% 0
図10
履修後の印象 ③ どのようなことが実際 に身についたか 複数回答で図11のように,「 リズムにのって踊れ る」が最 も多 く(40.8%),続
いて「 自分 を表現 で きる」(29.0%),「 自由に様々な動 きがで きる」(28.4%),聡
U造性や想像性が豊かになった」(26.0 %)と,踊
る楽 しさ,自
己表現,自
由,創
造が創作 ダンス履修 の特性 として選 ばれていた。続 いて, 「他の人 とコ ミュニケーションが持てる」(25.0%)で
あった。 男女別 にみるとその選択 の順序が異なっていた。男性 の, 1位
「 リズムにのって踊れ る」(76人, 履修経験者272人 の27.9%), 2位
「他の人 とコミュニケー シ ョンが持 てる」(73人,26.8%), 3位
「 自分 を表現で きる」(63人,23.2%)に
対 し,女
性 は1位
「 リズムにのって踊れ る」(666人中306 人,45.9%), 2位
「 自由に様々な動 きがで きる」(222人,33.3%), 3位
「 自分 を表現で きる」(209 人,31.4%)だ
った。 また,「柔 らか く美 しい動 きがで きる」「美意識や感動す る心が育 った」 は女 性の20%以
上 にあげられているのに対 し,男
性で は,3.3%,7.7%と
低 い選択率だった。 リズムの 特性 の他 に男性で は,グ
ループ活動 としての特性 を,女
性で は自己実現 としての特性 をよ り強 く印 象 として持 ったようである。首
が
機で環ζ
が絆 毛
金
贔
虚
▼
峯
鼻
ゝ
攣敬墳
:途辛
秘
の
他
佐分利育代・ 廣兼志保 :ダ ンス指導実践 に関わる現職教員の意識 20 0 10 0
% 00
柔らかく美し自分を表現で 他の人とコミ
その他 図 ■ 履修 で身 についた こ と ④ まとめ 以上のように
,履
修 によって,ダ
ンスヘの意識 はプラスに変化す るが,履
修後 には,「創作す る難 しさ」 と「作品 を創 り上 げた満足感・ 達成感」 とい う両極 の印象が残 っていることが分かった。特 に,履
修期間の少 ない男性で は,履
修後 のダンスに対す る意識が変わ らない とする人が多 く,悪
い 印象が多 く残 っていた。履修 によって身 についた と思 うものに も男女 に差があ り,男
性で はグルー プ活動 としての特性 を,女
性で は自己実現 としての特性 を上 げていた。女性 のように,満
足感や, 達成観,自
己実現 を味わ うには,男
性 の履修期間や内容で は不十分 に思われ る。13)指
導 に役立 っているか ①履修経験 は指導時 に役立 っているか74.5%が
役 に立 っている,23.7%が
立 っていない としている。(図 12) 男性 と女性で は,女
性 の81.4%が
役立 った としているのに対 し,男
性で は,役
立 った としている のは57.4%で
,役
立 っていない と感 じている人が41.2%も いた。 はい い い え 図12
履修経験 は役立 っているか 50 40 40 0 20 0% 0.0
自由だ様々なリズ云にのっ
創造性や想像
美意識や感動 1/′1 男 性
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号
(1994) ②指導 に役立 った履修経験 授業内容 として,「本人 の実技能力 を高める」 を上 げている人が最 も多 く(56.0%),実
技内容 と しては「 リズムにのって動 く」51.5%,「
ステ ップ等の基本的な動 き」49.7%が
多かった。(いずれ も複数回答)(表 5, 6)
しか しこれ らを履修 した経験 に対 して どれだけの人が役 に立 った としているかの観点でみると, 図13のように,結
果 は大 きく変わって くる。すなわち,「助言の仕方」で は,経
験 した履修 内容 とし て上 げた人数以上 の人が役立 った履修経験 として上 げ(77人対105人),次
いで「指導計画の立て方」 「評価 の仕方」等指導 にむすびつ く内容が役立 った とする人がそれぞれ,86.0%,81.0%と
多 く, このような内容が望 まれていることが想像 され る。 表5
役に立 った履修経験 (授業内容) 単位 二人 (%) 本人 の実技能力 を高 め る 児童・ 生徒 の題材 を体験 学生 が先生役 になって指 導 指導計画 のたて方 指導要領解説 無踊教育 の理念 や理論 325(56.0) 175(30.5)41(72)
141(24.8) 16(1.3) 65(11.5) 55(9.7) 40(7.1) 105(18.4) 68(11.9) 12(2.1) ビデオ観賞 (作品観 賞) ビデオ観賞 (授業実践) 助 言 の仕方 評価 の仕 方 その他 表6
役 に立 った履修内容 (実技内容) 単位=人
(%) ステ ップ等 の基本的な動 き リズム にのって動 く 高度 なテ クニ ック 身体育成 法 即興 題材 の見 つ け方 イメー ジを広 げる 295(49,7) 304(515) 18(3.1) 40(6.5) 173(294) 177(302) 235(39.6) 動 きを見 つ ける お話 づ くり 作 品構成 既成 の作 品 発表会 伴奏音楽 の選 び方 その他 246(41.4) 49(8.4) 209(35.4) 37(6.3) 121(20.5) 61(10.4) 3(1.0) 1/1 男 性 40.0 0_0 児童・生徒の 指導計画のた 図13
役立 った授業内容・受講経験に対 して320
佐分利育代・ 廣兼志保 :ダ ンス指導実践 に関わる現職教員の意識 ③ まとめ 女性 の8割 ,男
性 の6割
が,履
修経験 は指導 に役立 った としていた。役立 った内容 は,「リズムに のって動 く」「ステ ップ等の基本的な動 き」等実技内容 だったが,履
修 した内容 との関係でみた とき, 役立 った とされた割合が高かったの は,「f旨導計画の立て方」「評価 の仕方」で,指
導 と結び付 く内 容 だった。4.創
作ダンスの指導の現状 と教員の指導観(1)指
導実践 ① ここ一年間の指導実践の有無58.6%が
実践 した と回答 していた。 男性で40.0%,女
性で76.1%の
実施率だった。 また,年
間の授業時間 は,12∼
10時間が40.4%と最 も多 く,次
いで,9∼
7時
間が24.1%だ
った。 12)倉J作ダンス指導の好 き嫌い ①創作 ダンスの指導が好 きですか 「指導が好 き」と答 えた人17.9%,「
段々好 きになる」19.2%,「段々嫌 いになる」8.8%,「
嫌 い」14.8%だ
った。無回答39.3%は
指導 していないための無回答 と考 えられ る。 ここ一年間に授業 を実施 した人 だけを取 り上 げると,「好 き」と「段々好 きになる」を合わせて65.0%あ
った。 ここ一年間に実施 していない人 で この質問に答 えた人 をみると,実
施 した人 とは反対 に 「嫌い」 と「段々嫌 いになる」で79.4%を
占めた。(表7) 指導実践 の有無 と教員の指導の好 き嫌 いが大 き く関わ りあっている。 男性で は,「嫌い」が最 も多 く,「好 き」が最 も少 ないが,「段々好 きになる」は2位
であった。実 践 を重ねることで「好 き」が増 える可能性がある と考 えられる。(表8) 表7
ここ1年間の指導実践の有無による創作ダンス指導の好 き嫌い 単位=人
(%) 好 き段 々好 きにな る
段々嫌 い にな る
嫌 い 実践 した
218(31.7) 229(33.3) 92(13.4) 148(21.5)
実践 しなか った3(4.4) 11(162) 18(26.5) 36(52.9)
表8
男女 による創作ダンス指導の好 き嫌い 有意水準0.1%
単位 三人 (%) 好 き段 々好 きにな る
段 々嫌 いにな る
嫌 い 男性 女性
27(11.1) 84(34.4) 36(14.8) 97(39.8)
197(38.0) 158(30.5) 74(14.3) 89(17.2)
有意水準01%
②好 きな理由やきっかけ 創作ダンスの指導が好 きだと答 えた指導者に尋ねた結果が表9で
ある。(単数回答)鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号
(1994) 321
上位 に上が っている「子 どもの生 き生 きした表現 に触れ,素
晴 らしさを味わえる」 は,指
導経験 か ら,「ダンス経験か ら楽 しさや素晴 らしさを知 っている」は大学での履修経験や,講
習会での経験 か ら得 られるもので,い
ずれ も教員 自らの直接体験が指導の動機 になっていることを示 している。 過去 のダ ンス体験で どんな印象 を受 けたかが大 き く影響す ることが想像で きる。 男性で は,授
業参観 の経験 も指導の きっか けになってい る。 表9
↓旨導が好 きな理由やきつかけ 単位=人
(%) 全 体 男性 授業 を参観 し感動 した ことが ある ダ ンスの経験 か ら楽 しさや素晴 らしさを知 ってい る 子供 の生 き生 きした表現 に触 れ素晴 らしさを味 わ える 学校 のカ リキ ュラム にあ る 学校 の取 り組 みが いい 自分 が楽 しい 人 に勧 め られ た その他 30(7.0) 107(25.0) 226(52.8) 28(6.5)3(07)
24( 5.6) 2(0.5) 8(1,9) 15(12.6) 13(10.9) 70(58.8) 8(6.7) 2(1,7) 6(5.0) 1(0.8) 4(3.4) 15( 4.9) 94(30.5) 156(50.6) 20( 6.5) 1(0.3) 17( 5.5) 1(0.3) 4(1.3) 有意水準0.1%
③ まとめ 以上 のように,指
導 を実践 した教員や自分 自身 ダ ンスの体験 がある教員 ほど,創
作 ダンスの指導 が好 きで,指
導の好 き嫌 いが また次の指導への動機づ けになっていた。13)指
導実践上の問題 ①創作 ダンスの指導 に取 り組む時に一番障害になることは何か 「生徒が動かない」「 自分が動いてみせ られない」が上位 にあげられていた。 男性で は,「自分が動 いてみせ られない」が最 も多 く(25。2%),次
いで,「生徒が動かない」(18.2%),「
自分 自身あまり好 きでない」(9.3%),女
性 は「生徒が動かない」(27.1%),「生徒 の能力 に 差がある」(13.7%),「自分が動 いてみせ られない」(9.5%)が上位 だった。男性で は,大
学時 の履 修経験 の少ない人が多い ことか ら,「自分が動いてみせ られない」等教員 の側の問題が授業 の障害 の 多 くと考 えられていると受 け取れる。 表10
履修経験の違いによる創作ダンス指導の障害 (上位3位) 単位=人
(%) 賑 修経験) 1位
2位 3位 一年以上 一年未満 生徒 が動 か ない 96(26.6) 生徒 が動 か ない 32(24.1) 未履修自分 で動 いてみせ られ ない 41(32.3) 生徒 の能力 に差 が あ る
自分 で動 いてみせ られ ない 53(14.7) 29(8.0) 自分で動 いてみせ られない
自分 自身 あまり好 きでない 23(17.3) 生 徒 が動 か ない 21(16.5) 16(12.0) よい指導資料 がない 11(8.7)
佐分利育代・廣兼志保 :ダ ンス指導実践 に関わる現職教員の意識 履修経験別 に授業 の障害 をどう捉 えているか を
,履
修経験群別 に1位
か ら3位
まで取 り上 げてみ ると表10のようである。履修経験が多いほど生徒 の側 に障害があるとしている。注 目したいのは, 履修経験一年未満で,「自分 自身 あまり好 きでない」が3番
目の障害 として上がっていることである。 表■ は,創
作 ダンスの指導が好 きか嫌 いかによって指導の障害 をどうとらえているか を,上
位3 位ずつ取 り上 げて比較 した ものである。指導の好 きな教員 は,指
導の障害 として生徒 と指導環境 と しての教員構成 を上 げ,指
導の嫌 いな教員 になるほど生徒側 の問題 を障害 と考 える人が減 り,自
分 自身の問題 を指導の障害 と捉 えている。 表■ 創作ダンス指導の好嫌による創作ダンス指導の障害 (上位 3位) 単位二人 (%) 3位 2位 1位 好 き 段 々好 き 段々嫌 い 嫌 い 生徒 が動 か ない 48(27.0) 生徒 が動 か ない 52(27.2) 生徒 が動 か ない 19(25,7) 自分 自身 あ ま り好 きでない 32(22.7) 生徒 の能力 に差 が あ る 24(13.5) 自分 で動 いてみせ られ ない 33(17.3) 自分 で動 いて みせ られ ない 15(20.3) 自分 で動 いてみせ られ ない 31(22.0) 男女教員構成のアンバランス 16(9.0) 生徒 の能力 に差 が あ る 29(15.2) 自分 自身 あ ま り好 きで ない 11(14.9) 生徒 が動 か ない 25(17.7) ②指導について今後身につけたいことがあるか51.2%が
ある,11.6%が
ない と答 えた。 身につけたいことの内容 としては,自
分自身の実技能力,助
言の仕方,指
導計画の立て方が多 く 表12
授業計画 を組むときの参考 単位=人
(%) 全 体 男性 創 り踊 り観 た大学時履修 経験 指導 に関す る大学時履修経験 身近 にい る先輩 同僚 友人等 の指 導 講 習会 で の創 り踊 り観 る経験 講習会 で の指 導実践 の講義 や指導案 優 れ た公 開授業 。実践報告資料 具体 的 な学習指導 の ビデオ・ フ ィルム 学習指導実践 指導専 門書 実技 の教科書,副
読本 文部省 の指導書 レッス ン所 の体験 自主的研 究会 他 の芸術 分野 へ の理解 その他 242(47.0) 99(19.2) 152(29.5) 215(41.7) 176(34.2) 123(23.9) 96(18.6) 72(14.0) 136(26.4) 36(7.0) 53(10.3) 59(11.5) 21(4.1) 17( 3.3) 25(27.8) 11(12.2) 36(40.0) 15(167) 16(17.8) 18(20.0) 25(27.8) 11(12.2) 27(30.0) 4(4.5) 6(6.7) 1(1.1) 0 5(5.6)217(51.1) ***
88(20.7) *
116(27.3) *
200(47.1) ***
160(37.6) ***
105(24.7) 71(16.7) 61(14.4) 109(25.6) 32(7.5) 47(11.1)58(13.6) ***
21(4.9) *
12(2.8) 有意水準***=0.1% *=5%
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第36巻 第
2号
(1994) 323
選 ばれ て い た。③「表現・ 創作」の授業内容や授業課程を構想 し
,自
分で授業計画を組むことができるか
515人(40.9%)が できると答えている。男女では,90人 (16.0%)と
425人(60,0%)と 大きな
差が あ った。 ④授業計画 を組 む ときに参考 に しているもの 自分で授業計画 を組 む ことが「で きる」と答 えた人 に尋ねた結果多かつたのは,「創 り踊 り観 た大 学時履修経験」や「講習会での経験」であつた。男性教員で は,「身近 にいる先輩同僚友人等の指導」 を参考 にしている人が最 も多かつた。(36人,40%)(表
12) ⑤指導計画 を組 むのに身近 に どんなものがあったら役 に立つか 回答率が47.6%と低かったが,そ
の中で「具体的な学習指導の ビデオ・ フィルム」 をあげた人が 最 も多 く45.9%,次
に,「講習会での指導実践 の講義や指導案」「講習会での創 り踊 り観 る経験」 を 合わせて講習会 を望んでいるものが17.9%,「
優れた公開授業・実践報告資料」14,0%と,指
導現場 と直接結び付 く資料や,直
接体験が望 まれていた。 ③ ダンス請習会 は,他
種 目に比べ,多
く開催 されているか 過去一年間に参加 した講習会で は,女
性 で49.6%が
ダンスの講習会へ1回
以上参加 していたが, 男性で は10.1%だ
った。スポーツ種 目の講習で は男性 の61.5%,女
性 の44.6%が
1回以上参加 して いた。体操で は,男
性18.6%,女
性19.6%だ
った。スポーツ種 目を除いて,男
性 の講習会参加 は少 な く,ダ
ンスに関す る自らの経験 は増 えていない ことがわかる。 講習会 の開催 について は表13のように,「少ない」と「わか らない」合 わせて男性 の8割
,女
性の6割
がその情報 を得ていない,あ
るい は満足い く講習の機会 を得ていない ことがわか る。 表13
ダンスの講習会は他種 目に比べ多 く開催 されていますか 単位=人
(%) 男性 21(3.9) 79(14.7) 124(23.0) 314(58.4) 有意水準0.1%
②生徒は「表現・創作」に興味を持 って取 り組みましたか 565人が「取 り組んだ」,166人
が「取 り組 まない」 と回答 した。 これ らは回答者全体か らみると, 44.9%と,13.2%で
あるが,こ こ一年間に授業を実践したと答えた738人が回答 したと考えるとそれ ぞれ76.6%と22.5%に
当たる。実践 した4人
に3人
までが生徒 は興味を持って取 り組んだと見てい る。 ③ まとめ 創作 ダンス指導実践上 の問題 をまとめる と以下のようであった。 指導の障害 として,「生徒が動かない」「 自分が動いてみせ られない」等,生
徒 の側 と指導者 の側 の問題が上位 にあげられていた。女性,大
学時の履修経験が1年
以上 の教員,指
導が好 きと思って いる教員 ほど生徒 の側 に,男
性,履
修経験 のない人,指
導が嫌いな人 ほ ど指導者の側 に障害がある ととらえていた。 多 い 同 じ位 少 ない わか らない 95(13.6) 186(26.7) 169(24Ⅲ 3) 246(35,3)' 324
佐分利育代 。廣兼志保:ダンス指導実践に関わる現職教員の意識1
指導者 として,自
分 自身の実技能力,助
言の仕方,指
導計画の立て方 について今後 もっ と身 につ│
けたい としている。1
女性 に比べ,創
作ダ ンスの指導計画 を自分で立てることがで きるとす る男性教員 は少な く,ま
た 立て られ る人 も「身近 にいる先輩同僚友人等 の指導」 によることが多い。女性 では,大
学での履修 経験や講習会での経験 を参考 に指導計画 を立てるとす る人が多 く,大
学での履修経験が まず必要な ことが ここで も浮 き彫 りになった。 指導資料 として は,具
体的な学習指導のビデオ・ フィルムが望 まれていた。講習会での直接体験 は履修経験 の少なさをカバーす るもの として必要 と思われるし,望
まれて もいるが,そ
の機会 は少 な く,ま
た情報 も教員 に届 いていない。 実践 された授業で は,生
徒 は興味 を持 って取 り組 んだ と教員の4人
に3人
までが感 じていた。 僻)効
果 をあげた指導 生徒が創作ダンスに楽 しんで取 り組 んだ ときの,効
果 をあげた指導のポイン トを尋ねた。 ①導入時 「教師が一緒に動 く」「の りやすい音楽を使用する」が多かった。 ②展開時 「班にあうア ドバイスができるようにする」「動 きの広が りを教える」「色々な題材を与え創作力 をつける」 と,幅
広い経験 と知識の必要な内容 になっていた。 ③ まとめの段階 「発表会を行 う」「完成の喜びを味わわせる」「ビデオ撮影」 という,達
成観 を味わわせる指導が 行われていた。 ④全般にわたる指導 「教師の表情,態
度,ア
ドバイスを工夫」「教師が自ら体 を動かすようにする」の指導者自身の表 現・倉U作への積極的な姿勢 と,「話合いがで きる状態をつ くる」 という学習者の積極的なグループ活 動への環境づ くりがあげられていた。 ⑤ まとめ 生徒が楽 しんで創作ダ ンスに取 り組 むために,指
導者 は自ら動 き,表
現 を楽 しみ,生
徒 をのせ, 生徒たちが表現 しようとす る様 々なイメージに共感 し,表
現技能へのア ドバ イスを工夫 し,積
極的 なグループ活動のための環境づ くりに気 を配 って,表
現で きた達成観 を味わわせ るための機会 を計 画 していた。 これ ら効果 をあげた授業 のポイ ン トか らは,ま
ず は創作 ダンスの経験,そ
して創作ダンスが好 き なこと,さ
らに学習 を深 める段階で適切 なア ドバイスがで きる理論的な ものが指導者側 の資質 とし て必要な ことが,改
めて浮 き彫 りにされた。前項 の指導上 の問題で,大
学時の履修経験 の少 ない人 ほど「自分で動いてみせ られない」「自分 自身 あまり好 きでない」を指導の障害 ととらえている人が 多 く,ま
た,履
修経験が1年
以上 ある人 の多い女性で理論的な ものが履修 内容 に含 まれていたこと か ら,教
員養成での履修経験1年
は現場での効果的な授業のために必要 な期間 といえる。 5。 大学での履修経験の違 いによる「創作 ダンス」に対する意識 これ までの結果 を通 して大学時の履修経験 は中学校現職教員の創作ダンスに対する意識や指導観 を左右 していること,特
に,履
修 の期間一年 を境 に大 きな差があることが見 えて きた。男女差 も,鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号
(1994) 履修経験の差 によるもの と考 え られ る。 本項で は,改
めて,履
修経験 を取 り上 げ,創
作ダ ンスに対す る意識や指導観 の違いを考察 したい。(1)ダ
ンス観の違い ①ダンスは好 きか 「踊 ることは好 き」と,「創 ることは好 き」そして「 どちらとも言えない」で有意な差が,見
られ る(表14)。 一年未満の履修経験者 は,一
年以上の履修経験者 より履修経験が全 くない人の意識に近 い。 表14
履修経験の違 いによるダンスの好 き嫌 い 単位=人
(%) 踊 る ことイま好 き 創 る こととよ好 き 観 ることは好 き どヤιも朔といどちらとも言えない 一年以上 一 年未満 未履修
411(64.4) 167(26.5) 375(58.8)
109(39.4) 21(7.7) 128(46.5)
85(28.9) 12(4.1) 125(42.2)
23(3.7) 12(4.5) 17(5.9) 61(9.7) 78(287) 99(33.8) 有 意 差 *** *** ****** 01%
②履修後のダンスに対する意識が変わったか 一年以上の履修経験 はダンスに対する興味,関
心,価
値観 をプラスに変化 させるが,一
年未満の 履修では半数の人が履修前 と変化 していない (図14)。 1/1 1露議〕
テ
鉄満
≫
翔≧
打
恋
凝
彪
場半
年
未
満
│
100.0 40.0 20 0% 00
プラスに変化 図14 変わらないマイナスに変 意識 の変化・履修経験 ③履修後 に残 った印象 図15は項 目名が全部 出ていないが
,左
か ら7番
「仲間の知 (仲間の知 らなかった面 を発見)」 まで がプラスの印象, 8番
目「表現す る(表現す るのは恥ずか しい,人
目が気 になる)」 か らの7項
目が マイナスの印象 に分 けられ る。 履修一年以上で は,「創作する難 しさ」 も多 くあげられているが,「作 品 を創 り上 げた満足感,達
成感」がそれ以上 にあげられ,全
体 にプラスの印象が多 く残 っている。難 しさを克服 し,達
成感 を 味わっていることが想像で きる。一年未満で は「創作する難 しさ」が突出 し,難
しい,耳きずか しい など,マ
イナスの印象が多 く残 っている。326
佐分利育代・ 廣兼志保 :ダ ンス指導実践に関わる現職教員の意識1/1
l%00
器 リズムに作品を創 仲間のな
表現する 思いっき
「表現・ 図
15
履修後 の印象 。履習経験 ④ まとめ 一年以上 の履修経験 は,プ
ラスの印象 を多 く残 し,ダ
ンスに対す る興味,関
心,価
値観 をプラス に変化 させ るが,一
年未満で はマイナスの印象 を多 く残 して しまっている。 そ して,ダ
ンスの好 き 嫌いについて も全 く履修経験 のない人 に近い意識 しか持 っていない。 (21 ↓旨導観の違い ①指導が好 きな理由 大学時の履修経験や指導経験が多いほ ど,「創作 ダンス」の指導 を好 きとす る人 の割合が多い。 そ して「指導が好 きな理 由や きっか け」 も,履
修経験 によって違いがあった (表15)。 理由の第1位
は履修期間の異 なるどのグループ も「子供 の生 き生 きした表現 に触れ素晴 らしさを 味わえる」だったが,履
修経験一年以上の人 に とって「ダンス経験か ら楽 しさや素晴 らしさを知 っ ている」 は,も
う一つの大 きな理 由であった。 これに対 し,一
年未満 の履修経験 の人 の6割
以上が 「子供 の生 き生 きした表現 に触れ素晴 らしさを味わえる」 と,指
導経験 か ら好 きになった としてい た。 表15
履修経験の違 いによる指導が好 きな理由やきっかけ (上位3位) 単位 二人 (%)一
一
2位 一年以上子供 の生 き生 きした表現 に触 れ
ダ ンスの経験 か ら楽 しさや
自分 が楽 しい 素晴 らしさを味 わ える
素晴 らしさを知 ってい る
137(49.5) 91(32.9) 12(4.3)
一年未満子供 の生 き生 きした表現 に触 れ
ダ ンスの経験 か ら楽 しさや
授業 を参観 し感動 素晴 らしさを味 わ える
素晴 らしさを知 ってい る
した こ とが あ る
50(62.5) 14(17.5) 7(8.8)
未 履 修子供 の生 き生 きした表現 に触 れ
授業 を参観 し感 動
学校 のカ リキ ュラム 素晴 らしさを味 わ える
した ことが ある
にあ る
37(54.4) 11(16.2) 8(11.8)
3イ立 1位鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第
2号
(1994) ②指導者 としての資質 女性 に比べ,創
作ダンスの指導計画 を自分で立て ることがで きる とす る男性教員 は少 な く,指
導 計画 を立 てる上で参考 にで きる大学での履修経験 の不足が指摘で きた。 履修経験の少ない教員 自身が 自分 の指導者 としての資質 を評価 していないこともあげ られ る。す なわち,創
作 ダンスの指導 に取 り組 む ときの一番 の障害 として履修経験 の少ない人 ほ ど「 自分で動 いてみせ られない」のような教員 の側 の問題 をあげていることである。「 自分 自身 あま り好 きでない」 ことを指導の障害 とした人 の割合が履修経験 のない人 よ リー年以下 の履修経験 を持つ人で高い こと は重要 な課題である (表10)。 ③履修経験力斗旨導に役立っているか 一年以下の履修経験者の4割
が役立っていない と感 じている。一年以上の履修経験者 と一年未満 の履修経験者では図16のように大 きな差があった。 1/1 1 100.0 80 0 60.0 40 0 20.0 % 0.0 はいいいえ 図
16
役立 ってい るか 。履 習経験 ④履修内容1年
以上の履修者 と一年未満の履修者では,履
修内容 に図 7の 様な違いがあった。一年未満の履 修者では理論的な内容が少ない。「本人の実技能力 を高める」,「舞踊教育の理念や理論」で1%水
準 での,「指導計画のたて方」,「指導要領解説」で5%水
準での有意差があった。 ⑤ まとめ 一年以上の履修経験は,創
作ダンスの指導を好 きにするきっかけになっている。 一年未満の履修経験者では,自
分自身の指導者 としての資質に不安を持ってお り,表
現 。創作グ ンスの指導に取 り組みにくい原因となっている。まとめ
1.ダ
ンス全般 に対する意識 「創 ること」 に対す る抵抗,男
性で は「踊 ること」への抵抗 もうかが えるが,ダ
ンスその ものを 嫌い とす る人 は少ない。 フォー クダンスは,踊
れて指導 している人が多いが,創
作ダンスは主 に女性教員が担い,踊
れな い人 も自信がないなが らも指導 しようとしている。 そ してその経験の中で指導に対す る自信 を深め一
一
一 一328
佐分利育代・廣兼志保 :ダ ンス指導実践に関わる現職教員の意識 てい る。1
感 情,創
造性,表
現,
リズ ム とい った,ダ
ンス の特性 に価値 を認 め,ダ
ンスの経験,内
容 は生 徒│
に とつて大切 だ とす る人 が多 くいたが,他
の教材 に比 べ特別重視 してい る ことはなか った。男性 で,1
重視 していない とす る人 が3割
あつたが,そ
の理 由 は「 自分 に体験 が ない」 だ った。2,創
作 ダンスの大学時の履修経験 創作ダ ンスの大学時の履修経験 は,履
修の期間,内
容 に男女の差が大 き く,男
性 の5割
が未履修 であ り,履
修 してい る人 も一年未満が多い。履修 内容 も,男
子で は特 に動 きづ くりに関す る実技 に 片寄 っていた。 履修経験 はダンスヘの意識 をプラスに変化 させ るが,履
修期間の少ない男性で は履修後,ダ
ンス に対す る悪い印象が多 く残 っていた。女性のように,満
足感や,自
己実現 を味わ うには,男
性 の履 修期間や内容で は不十分 に思われ る。 履修経験 は指導 に役立 っているが,役立 った内容 は主 に実技内容 だった。「l旨導計画のたて方」「評 価 の仕方」等,指
導 と結 び付 く内容が望 まれている。 3.「創作 ダンス」の指導の現状 と教員の指導観6割
の指導者が ここ1年
間 に指導 を実践 していた。 指導 を実践 した教員や 自分 自身ダンスの体験がある教員 ほど,指
導が好 きで,そ
れが また次の指 導への動機づ けになっていた。 指導者 として,自
分 自身 の実技能力,助
言の仕方,指
導計画の立 て方 について今後 もっ と身 につ けたい としている。 身近 に欲 しい指導資料 として,具
体的な学習指導の ビデオ・ フィルムを望んでいる。講習会での 直接体験 は履修経験 の少 なさをカバーするもの として必要 と思われ るし,望
まれて もいるが,そ
の 機会 は少な く,ま
た情報 も教員 に届いていない。 授業 の効果 をあげるために,指
導者 は自ら動 き,表
現 を楽 しみ,生
徒 をのせ,生
徒 たちが表現 し ようとす る様々なイメージに共感 し,表
現技能へのア ドバイスを工夫 し,積
極的なグループ活動 の るための環境づ くりに気 を配 って,達
成観 を味わわせ る機会 を計画 していた。 大学での履修経験等の経験 を参考 に指導計画 を立 て られ る女性,指
導が好 きと思 ってい る教員 ほ ど,指
導 を実践す る上での障害が生徒 の側 にあると考 え,男
性,履
修経験 のない人,指
導が嫌 いな 人ほ ど指導者 の側 に障害があるととらえていた。男性 は創作 ダンスの指導計画 を自分で立てる際, 「身近 にい る先輩同僚友人等の指導」 を参考 にしていた。 指導実践上 の指導者の側 の障害 としてあげられた「自分で動いてみせ られない」 は,効
果 をあげ るための導入でのポイン トである。大学時の履修経験 の重要性が指摘で きる。4.大
学での履修経験の違 いによる「創作 ダンス」 に対する意識 一年以上 の履修経験 は,プ
ラスの印象 を多 く残 し,ダ
ンスに対す る興味,関
心,価
値観 をプラス に変化 させ るが,一
年未満で はマイナスの印象 を多 く残 して しまっている。そして,ダ
ンスの好 き 嫌いについて も全 く履修経験 のない人 に近い意識 しか持 っていない。 一年以上の履修経験 は,創
作 ダンスの指導 を好 きにす るきっかけになっている。 一年未満の履修経験者で は,自
分 自身の指導者 としての資質 に不安 を持 ってお り,創
作 ダンスの鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 36巻 第