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税金読本(4-1)株式譲渡益課税の仕組み

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(1)

株 式

株式譲渡益課税の仕組み

-1

 「株式等」は、大きく「上場株式等」 と「一般株式等」に分けることができ、 その2つで課税のしくみが異なります。  本章では株式等に係る税制を説明しま すが、上場株式等と一般株式等に共通す る説明については

上場 一般

のマー クを、上場株式等のみに対する説明につ いては、

上場 一般

のマークをつけ ています。  税法上の「株式等」、「上場株式等」、「一 般株式等」の範囲は次の図のとおりです。 株式等のうち上場株式等に該当しないも のを一般株式等と呼びます。  平成28年1月1日以後、株式等や上場 株式等の範囲が変更されています。  「上場株式等」には、上場株式だけで なく特定公社債、公募株式投信、公募公 社債投信、ETF、ETNなども含まれ ます。「一般株式等」には、非上場株式 のほか、一般公社債、私募株式投信、私 募公社債投信などが含まれます。  上場株式等と一般株式等の譲渡益に は、原則として申告分離課税が適用され ます。申告分離課税とは、上場株式等(ま たは一般株式等)の譲渡損益を他の所得 と区分して計算し、算出された税額を申 告納税する方法です。給与所得や事業所 得などと区分して計算するだけでなく、 上場株式等の譲渡損益と一般株式等の譲 渡損益も区分して計算します。  なお、「上場株式等」には、上場株式 だけでなく特定公社債、公募株式投信、 公募公社債投信、ETF、ETNなども 含まれます。「一般株式等」には、非上 場株式のほか、一般公社債、私募株式投 信、私募公社債投信などが含まれます。  なお、上場株式等または一般株式等の 譲渡による所得は、譲渡所得、雑所得、 事業所得のいずれかとなります(どの区 分となるかは 78ページ参照)が、こ れら3区分の所得を総称して譲渡所得等 と呼びます。

株式譲渡益課税の全体像

上場 一般

4

「株式等」・「上場株式等」・「一般株式等」の範囲

 



株式譲渡益課税の計算の流れ

 



※1 1/2特例については、平成20年4月29日以前に取得した分に適用されます。 ※2 その年の総所得金額等から控除しきれない場合に控除されます。 株式等のうち上場株式等以外の ものを「一般株式等」と呼ぶ

株式等

上場株式等

上場株式(上場新株予約権などを含む) 日本銀行出資証券 信金中金等の上場優先出資証券 公募株式投信、ETF、上場REIT、 ETN、上場ベンチャーファンド 公募公社債投信 上場新株予約権付社債 外国上場株式 特定公社債 公募または上場された社債的受益権  など 株式(新株予約権などを含む) 出資 株式投信・公社債投信 公社債(新株予約権付社債を含む) 特定受益証券発行信託の受益権 社債的受益権 外国法人に係る上記のもの など ●株式等と上場株式等の範囲 (※)下線部が平成28年1月1日以後追加されたもの ●株式等の譲渡所得等に係る税額計算の流れ ●株式等の譲渡所得等に係る税額計算の流れ な か っ た も の と み なす 上場株式等の譲渡所得等 に係る課税所得金額 一般株式等の譲渡所得等 に係る課税所得金額 各種所得控除(  36 ページ)※2 上場株式等の譲渡所得等 特定中小会社株式の譲渡所得の 1/2 特例の適用(  97 ページ)※1 (過年度の)特定中小会社株式に係る譲渡損失の繰越控除の適用(  97 ページ) 上場株式等に係る譲渡損失の 繰越控除(  87 ページ) (過年度の)雑損失の繰越控除の適用(  34 ページ)※2 特定中小会社株式の取得に要した金額の控除等(  94 ページ) 所得間の損益通算(  86 ページ) 所得間の損益通算(  86 ページ) 上場株式等の譲渡損益 一般株式等の譲渡損益 一般株式等の譲渡所得等 譲渡所得 雑所得 事業所得 譲渡所得 雑所得 事業所得 税率 20%(所得税 15%★・住民税 5%) 上 場 株式等 の 配 当 等と の損益通算・ 繰 越 控除が 可 能(   87 ページ) 金額が負の場合 金額が正の場合 金額が正の場合 金額が負の場合

(2)

78 79 株 式 株式等の譲渡による所得金 額は、譲渡所得、事業所得 または雑所得に区分した上で計算す ることとされています。個人が株式 等を譲渡した場合には、そのほとん どが譲渡所得に該当するものと思わ れます。税法上は、その株式等の譲 渡が営利を目的として継続的に行わ れているかどうかによって判定する こととされています。  具体的には、売買の回数、数量・ 金額、取引の種類、資金の調達方法 などの状況から、営利を目的として 継続的に行われていると判定された 場合は、事業所得または雑所得とな ります。  ただし、次の①・②の所得につい ては譲渡所得として差し支えないこ ととされています。

株式等の譲渡益の所得区分

株式等の譲渡による所得は、譲渡所得のほか、事業所得

や雑所得に区分されることもあるのですか? 所得区分

が異なることによって何か違いはありますか?

 株式等の譲渡による所得が、どの 所得に区分されるかによって、次の ような取扱いの違いが生じます。  株式等の譲渡による所得金額を算出す る際には、取得価額(または取得費)の 計算が重要です。取得価額は、株式等の 取得形態によって、次のようになります。

取得価額(または取得費)の計算

上場 一般

◆(1)取得価額(または取得費)の計算の原則 (注1)申告分離課税の対象となる株式等の譲渡 による所得は、総合課税のような、50万 円の特別控除はなく、長期譲渡所得の税 負担軽減措置(所有期間が5年を超える 場合における1/2課税)もありません。

所得金額の計算の原則

上場 一般

 株式等の譲渡による所得金額の計算 は、基本的に、株式等の譲渡による収入 金額から、取得費をはじめ株式等の取得 に要した費用などを控除して算出しま す。株式等の譲渡による事業所得・譲渡 所得・雑所得に分けて計算します(注1)  なお、株式等の譲渡損益の帰属時期は 原則として受渡日です。ただし、約定日 を用いて確定申告することも可能です。 ①上場株式等で所有期間が1年を超えるものの譲渡による所得 ②一般株式等の譲渡による所得 ※上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、信用取引等の方法による上場株式等の譲渡による所 得など上記①に掲げる所得以外の上場株式等の譲渡による所得がある場合には、当該部分は事業所 得または雑所得として取り扱って差し支えないこととされています。 譲 渡 所 得 事業所得・雑所得 口座管理料や投資顧問料を必要経費として控除 できる × ○ 相続により取得した株式等を譲渡した際の所得 計算において、一定の相続税額を取得費に加算 することができる( 81ページ参照) ○ × 区分 取得価額 ①金銭の払込みにより取得した株式等(②に該当す るものを除く) 払い込んだ金銭の額※1 ②有利な払込金額により株式を取得する権利(スト ック・オプションを除く)の行使により取得した 株式等 有利な払込金額により株式を取得する権利に係 る払込期日または給付期日における価額 ③株主等として新たな払込み等を要しないで取得し た株式・新株予約権・新投資口予約権※2 ゼロ ④購入した株式等(②に該当するものを除く) 購入の代価※3 ⑤上記①〜④以外の方法で取得した株式等 取得時におけるその株式等の取得のために通常 要する価額 ※1 新株予約権の行使により取得した株式等である場合にはその新株予約権の取得価額を含むこととし、金銭の払込 みによる取得のために要した費用がある場合にはその費用の額を加算します ※2 他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合に限ります。 ※3 購入手数料、購入のために要した通信費、名義書換料、購入手数料にかかる消費税等などを含めた金額です 株式等の譲渡に よ る 収 入 金 額 − 

(

株式等の取得価額ま た は 取 得 費 + 株式等を取得するために要した負債の利子の額  + 株式等の譲渡のために要した委託手数料 + 管理費 + その他※1 経費  + 手数料等各種経費 ※2 に 係 る 消 費 税 等

)

※1 口座管理料などの管理費を控除できるのは、事業所得または雑所得に該当する場合です。 ※2 株式等を購入した際の委託手数料やそれにかかる消費税などは取得価額または取得費に含まれます。

上場 一般

(3)

株 式  株式等の取得は、購入や払込みにより 取得するものばかりとは限りません。払 込みや購入等以外の方法により取得した 株式等の取得価額は、次のようになります。

◆

(1)相続や贈与により取得した場合

 相続(限定承認に係るものを除く)や 贈与または遺贈(包括遺贈のうち限定承 認に係るものを除く)により株式等を取 得した場合には、被相続人または贈与を した人(以下、被相続人等)の取得価額 をそのまま引き継ぎます。被相続人等の 取得価額がわからない場合には、被相続 人等が名義書換を行った日をもとに取得 価額を計算することも可能です。  なお、相続によって取得した株式等を、 相続開始日の翌日から相続税の申告書の 提出期限の翌日以後3年を経過する日ま での間に譲渡した場合には、譲渡した株 式等に対応する相続税額を取得費に加え ることができる特例があります(譲渡益 が譲渡所得に区分される場合のみ)(注)

◆

(2)ストック・オプションの行

使により取得した場合

 いわゆる税制適格ストック・オプショ ◆(2)購入等以外の方法により取得した場合の取得価額 (注)相続等により取得した株式等と同一銘柄の 株式等を有しており、特例の適用期限内に これらの株式等の一部を譲渡した場合は、 相続等により取得した株式等から譲渡した ものとすることも認められます。  同一銘柄の株式等を2回以上にわたっ て取得した場合には、銘柄ごとに1単位 当たりの取得価額を算出し、この金額を 基に所得金額を計算します。1単位当た りの取得価額は、所得の区分に応じて、 総平均法または総平均法に準ずる方法に より算出します。  いずれの方法も、取得価額の総額を譲 渡直前の保有株式数で割って算出します が、計算の基礎となる期間が異なるほか、 総平均法に準ずる方法では、譲渡のつど、 取得価額を算出します。 ●取得価額および税額の計算例 売買年月日等 売買の別 数 量 単 価 金 額 ①平成28年11月×日 取得 3,000株 1,680円 5,040,000円 ②平成29年3月×日 株式分割 (1:1.1) 300株 ― ― ③平成29年6月×日 譲渡 2,000株 1,750円 3,500,000円 ④平成29年7月×日 取得 5,000株 1,700円 8,500,000円 ⑤平成29年10月×日 取得 3,000株 1,760円 5,280,000円 ⑥平成29年12月×日 譲渡 5,000株 1,790円 8,950,000円 総平均法 ⑴③で譲渡した2,000株・⑥で譲渡した5,000株の取得価額     5,040,000円+8,500,000円+5,280,000円  3,000株+300株+5,000株+3,000株 ×(2,000株+5,000株)    =1,666円(端数切上げ)×7,000株    =11,662,000円          ⑵③および⑥で譲渡したことによる譲渡益および税額    譲渡益=(3,500,000円+8,950,000円)−11,662,000円=788,000円 算出方法 ①株式等の譲渡に よる所得が事業 所得の場合 総平均法 譲渡のあった年(1月〜12月)を基礎として、年初に有していたものの取得価額 の総額と年中に取得したものの取得価額の総額との合計額を、その株式等の総数 で割って計算した金額を1単位当たりの取得価額とする方法 ②株式等の譲渡に よる所得が譲渡 所得または雑所 得の場合 総平均法に準ずる方法 その株式等を最初に取得したとき(その後すでにその株式等の一部を譲渡してい る場合には、直前の譲渡のとき)から譲渡のときまでの期間を基礎とし、最初に 取得したとき(または直前の譲渡のとき)に有していたものの取得価額の総額と その期間内に取得したものの取得価額の総額との合計額を、その株式等の総数(譲 渡直前の保有数)で割って計算した金額を1単位当たりの取得価額とする方法   所得税額=788,000円×15%★=118,200円   住民税額=788,000円×5%=39,400円 総平均法に準ずる方法 ⑴③で譲渡した2,000株の取得価額および譲渡益     5,040,000円   3,000株+300株 ×2,000株=1,528円(端数切上げ)×2,000株=3,056,000円    譲渡益=3,500,000円−3,056,000円=444,000円 ⑵③の譲渡後の1,300株の取得価額      1,528円×1,300株=1,986,400円 ⑶⑥で譲渡した5,000株の取得価額および譲渡益    1,986,400円+8,500,000円+5,280,000円 1,300株+5,000株+3,000株 ×5,000株 =1,696円(端数切上げ)×5,000株 =8,480,000円    譲渡益=8,950,000円−8,480,000円=470,000円 ⑷③および⑥で譲渡したことによる税額   所得税額=(444,000円+470,000円)×15%★=137,100円   住民税額=(444,000円+470,000円)×5%=45,700円   ★  このほか、基準所得税額の2.1%の復興特別所得税が課されます。   ※1 譲渡した株式等の取得価額の計算にあたっては、平成14年12月31日以前に源泉分離課税の適用を 受けた株式等の取得価額も含めて計算します。   ※2 購入の際の委託手数料やそれにかかる消費税等は取得価額に含まれますが、上記の例では 便宜上これらの金額を考慮していません。

(4)

82 83 株 式 ンの場合、権利行使時に課税されること はなく、権利行使により取得した株式を 売却するときまで課税の繰延べが認めら れています。この場合、ストック・オプ ションの行使により取得した株式の取得 価額については、株式の買取価格(権利 行使価格)が取得価額とみなされます ( 91ページ参照)。  一方、税制非適格ストック・オプショ ンの権利行使により取得した株式は、権 利行使日の価額が取得価額となります。

◆

(3)従業員持株会を通じて取得

した場合

 従業員持株会を通じて取得した株式の 取得価額は、その株式を従業員持株会が 取得したときの価額によることが原則と されています。従業員持株会に加入して いる場合には、同一銘柄の株式を複数回 にわたって取得しているのが一般的で す。そのため、従業員持株会を通じて取 得した株式については、総平均法に準ず る方法により取得価額を算出することと なります(従業員持株会を通じて取得し た株式の譲渡による所得が、譲渡所得に 該当することを前提としています)。

◆

(4)新株予約権の権利行使によ

り取得した株式の取得価額

 新株予約権の権利行使により取得した 株式の取得価額は、払込みをした金銭の 額(当該新株予約権の取得価額を含むも のとし、その金銭の払込みによる取得の ために要した費用がある場合には、その 費用の額を加算した金額)です。

◆

(5)新株予約権付社債の権利行

使により取得した場合

 新株予約権付社債に係る新株予約権の 権利行使により取得した株式1株当たり の取得価額は、下のようになります(新 株予約権の行使により発行される株式の 発行価額が新株予約権付社債発行時の発 行法人の株価を基礎として合理的に定め られている場合に限ります)。   取引報告書などがなく取得 価額がわからない場合、上 場株式等であれば、まずは購入した 証券会社に問い合わせてみましょ う。証券会社では、取引記録の10年 間の保存が義務づけられています。  証券会社に問い合わせてもわから ない場合は、取得価額を証明できる ような周辺資料(例えば買付け時の 代金の振込みを証明する預金通帳や 振込票など)から、取得価額を計算 することも認められます。周辺資料 もない場合には、名義書換日から取 得価額を確定することも可能です。 つまり、名義書換日を取得日とみな し、当時の株価を調べることにより 取得価額を確定するわけです。  長期間にわたり株式等を保有して いる場合や、取得の時期・価額に関 する書類が不備で取得価額を推認で きる資料がない場合など、取得価額 がどうしても不明な場合は、上場株 式等と一般株式等のいずれも、譲渡 による収入金額の5%を取得価額と して計算することが認められていま す。

取得価額がわからない場合

購入時の取引報告書などを処分してしまったため取得価

額がわかりません。このような場合には、どのようにし

て取得価額を計算すればいいのですか?

(注) 株式等の譲渡による所得が譲渡所得にあたる場合で、昭和27年12月31日以前から引続き所 有している株式等が含まれているときは、上場株式等であればその取得費は昭和27年12月 の公表最終価格等とするなどの特例があります。

◆

(6)他社株転換可能債(EB)

の償還により取得した場合

 他社株転換可能債(EB)の償還によ り取得した上場株式については、他社株 転換可能債の償還日における上場株式の 株価が取得価額となります。

◆

(7)無償で交付された場合の新株予

約権の取得価額、新株予約権の行使に

よる上場株式等の取得価額

 保有する上場株式等に対して、新株予 約権が無償交付された場合、当該新株予 約権の取得価額は原則として0になりま す( 79ページの③に該当します。な お、ライツ・イシューについては 117ページ参照)。したがって、無償新 株予約権を権利行使して取得した株式の 取得価額は、権利行使の際に払い込んだ 金銭の額となります。

◆

(8)生命保険相互会社の株式会

社化により取得した場合

 加入していた生命保険の会社が相互会 社から株式会社に変わり、株式が割当て られた場合、割当てられた株式の「売出 価格×割当株数(の整数部分)」が取得 価額になります( 79ページの⑤に該 当します)。 株 式 1 株 につき 払 い 込 む べき金額 + 新株予約権付社債の権利行使直前の取得価額が新株予約権付 社債の額面金額を超える場合のその超える部分の金額 権利行使により取得した株式の数 ●新株予約権付社債の権利行使により取得した株式の取得価額 ●上場株式等の取得価額の確定方法 あり なし あり あり ※ 名義書換の日をもって取得時期として差し支えありません。 (出所)国税庁資料をもとに作成 上 場 株 式 等 の 取 得 価 額 なし なし 名義書換日の確認 取得時期の把握 取引報告書 顧客勘定元帳 (証券会社) 本人の手控え (例:日記帳や預金通帳) 株券電子化後手元に 残った株券の裏面 株主名簿・複本 株式異動証明書 (株式の発行会社) (証券代行会社) 証 券 会 社 の デ ー タ ベ ー ス や 当 時 の 新 聞 記 事 等 に よ る 終 値 の 確 認

上場 一般

(5)

株 式 ◆(3)株主割当増資・株式分割などが行われた際の取得価額の修正  株主割当増資・株式分割等により新株 を取得した場合、株主はその銘柄につき 取得価額の修正を行わなくてはなりませ ん。具体的な計算方法は次の通りです。 株主割当増資・株式分割等で取得した新 株を譲渡した場合、修正された取得価額 をもとに譲渡損益および税額を算出しま す。 ①株主割当増資の場合(金銭の払込みを要するものに限る) 修 正 後 の 1株当たり 取得価額 =         旧株1株につき取得した新株の数+1    ②株式分割、株式併合、株式無償割当ての場合(株式無償割当てに関しては、旧株 と同一種類の株式を取得した場合に限る) 株式分割・株式併合・株式 無償割当て後の所有株式 1株当たり取得価額 = 旧株1株の従前の取得価額×旧株の数 株式分割・株式併合・株式無 償割当て後の所有株式の数 ③合併の場合(合併法人又は合併親法人※1の株式以外の資産の交付がないものに 限る) 合併法人株式又は 合併親法人株式1 株当たり取得価額=    旧株1株について取得した合併法人株式又は合併親法人株式の数 ④分割型分割または株式分配の場合(分割承継法人、分割承継親法人※3または完 全子法人の株式以外の資産の交付がないものに限る) (A)分割承継法人株式、分割承継親法人株式、または完全子法人株式(以下、この④ (A)において「新株」という) 新株の1株当たり取得価額= 旧株1株について取得した新株の数     +新株1株に対応するみなし配当等の金額+新株1株当たりの取得費用 (B)分割型分割または株式分配を行った法人の株式 分割型分割または株式分配を行った 法人の株式の1株あたりの取得価額=旧株1株の従前の取得価額×(1−純資産移転割合※4) ⑤資本の払戻しの場合 資 本 の 払 戻 し 後 の 1株当たり取得価額= 旧株1株の従 前の取得価額−



旧株1株の従前の取得価額× 資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額 および金銭以外の資産の価額の合計額    株式発行法人の(資産の帳簿価額−負債 (新株予約権を含む)の帳簿価額)  

   ※1 合併の直前に合併法人の発行済株式若しくは出資(自己株式を除く)の全部を保有する法人をいう。 ※2 非適格合併又は非適格分割に伴い利益の配当等として交付を受けたものとみなされる金額等がある場合。 ※3 分割型分割の直前に分割承継法人の発行済株式若しくは出資(自己株式を除く)の全部を保有する法人。  借入金で株式等を購入した場合には、その年に支払った負債の利子を、配 当収入か株式等の譲渡による収入金額のいずれかから控除することができま す。配当収入から控除するか、譲渡による収入金額から控除するかは次によ ります。

株式等を取得するために要した負債の利子

 配当等の額から差し引くことができる負債の利子の額が配当等の額を超え るとき(配当所得が赤字のとき)は、その超える部分のうち一定額を株式等 にかかる譲渡所得等の金額の計算において差し引くことができます。  負債の利子を配当収入から控除するのか、譲渡による収入金額から控除す るのかを区分することが困難な場合は、次の式によって区分することができ ます。 ※4 分割型分割の場合、純資産移転割合=   分割法人の(移転資産の帳簿価額−移転負債の帳簿価額)  分割法人の(資産の帳簿価額−負債(新株予約権を含む)の帳簿価額)        株式分配の場合、純資産移転割合=        完全子法人株式の帳簿価額        株式分配を行った法人の(資産の帳簿価額−負債(新株予約権を含む)の帳簿価額) ●株主割当増資等に伴う取得価額の修正 旧株1株の従 前の取得価額+

新株1株の払込金額 ×旧株1株につき取得した新株の数

旧株1株の従 前の取得価額+旧株1株に対応するみなし配当等の金額※2+旧株1株当たりの取得費用 旧株1株の従 前の取得価額×純資産移転割合※4 ①その年中に譲渡しなかった株式等を取 得するために要した負債の利子 配当等の収入金額から控除 ②譲渡した株式等を取得するために要し た負債の利子 譲渡にかかる必要経費(譲渡費用)に 算入 ※ 負債の利子を配当等の収入金額から差し引く際には、借入金で取得した株式だけでなく自己資金 で取得した株式の配当からも差し引くことができます。 ① 配当所得の金額の計算上控除すべき 負債の利子の金額 =  株 式 等※1を 取 得 するために要した 負債の利子の総額 ×   配当所得の収入金額 A ②  株式等にかかる譲 渡所得等の金額の 計算上控除すべき 負債の利子の金額  =  株式等※1を取 得するために 要した負債の 利 子 の 総 額  ×   株式等にかかる譲渡所得等の金額 負債の利子を差し引く前の A     A = 配当所得の収 入 金 額 + 負債の利子を差し引く前の株式等にかか る譲渡所得等の金額 +  負債の利子を差し引く前 の総合課税の株式等※2 かかる事業所得等の金額 ※1 ※1を付した「株式等」には申告分離課税の対象とならない株式等も含みます。たとえ ば、株式形態のゴルフ会員権の譲渡による所得の基因となる株式等などです。 ※2 株式形態のゴルフ会員権の譲渡による所得の基因となる株式等などで、事業所得または雑 所得に区分されるものをいいます。 ※3 ①により算出された金額が、配当所得の金額の計算上控除すべき負債の利子の金額となり

上場 一般

(6)

86 87 株 式  これまで、本章では、1回の株式等の 譲渡ごとに、その所得(損益)をどのよ うに計算するかを説明してきました。  所得税は1年間の所得に対して課税す るものですので、実際の所得を確定する ためには、1年間の全ての株式等の譲渡 による所得を計算する必要があります。  まず、上場株式等と一般株式等の区分 ごと、また、譲渡所得・雑所得・事業所 得の各所得区分ごとに、1年間の全ての 譲渡による所得(損益)を通算します。 これを内部通算と言います。  例えば、上場株式と特定公社債、公募 株式投信、公募公社債投信は全て「上場 株式等」に含まれますので、所得区分が 同じであれば、これらの譲渡による損益 は全て合算して計算します。同様に、非 上場株式と一般公社債、私募株式投信、 私募公社債投信は全て「一般株式等」に 含まれますので、所得区分が同じであれ ば、これらの譲渡による損益は全て合算 して計算します。  上場株式等の譲渡による譲渡所得・雑 所得・事業所得の各所得金額のうちに損 失が生じたものがあるときは、上場株式 等の譲渡による他の所得の金額から控除 することができます(所得間の損益通算)。  この結果、所得が残った場合は、上場 株式等の譲渡所得等として税率20%(所 得税15%★・住民税5%)の申告分離課 税の対象となります( 77ページの税 額計算の流れに記載した諸控除が適用で きる場合もあります)。  他方、損失が残った場合は、その損失 が特定譲渡( 87ページ)によるもの である場合に限り、申告分離課税を選択 した上場株式等の配当所得・利子所得と 損益通算ができます。  一般株式等の譲渡による譲渡所得・雑 所得・事業所得の各所得金額のうちに損 失が生じたものがあるときは、一般株式 等の譲渡による他の所得の金額から控除 することができます(所得間の損益通算)。  この結果、所得が残った場合、一般株 式等の譲渡所得等として税率20%(所得 税15%★・住民税5%)の申告分離課税 の対象となります( 77ページの税額 計算の流れに記載した諸控除が適用でき る場合もあります)。  他方、損失が残った場合は、その損失 はなかったものとみなされます。  所得間の損益通算後、上場株式等の譲 渡損失が残った場合、その損失が下記の 特定譲渡によるものである場合に限り、 申告分離課税を選択した上場株式等の配 当所得および利子所得と損益通算ができ ます。

内部通算(所得区分内での損益通算)

上場 一般

譲渡損失の繰越し

上場 一般

 上場株式等の譲渡損失のうち、上場株 式等の配当等との損益通算後なお残った 金額について、翌年以降最長3年間にわ たって繰り越すことが認められ、上場株 式等の譲渡益及び申告分離課税を選択し た上場株式等の配当所得及び利子所得か ら控除することができます。

繰越控除の対象となる譲渡損失

 



 繰り越すことのできる損失は、上記の 特定譲渡により生じた上場株式等譲渡損 失に限られます。  前年以前から繰越された損失をある年 の所得から控除する際に、発生した年が 異なる繰越損失がある場合、先に発生し た損失から順次控除にあてていきます。 その年の所得からの控除順序は次の通り で す( く わ し く は、 111ペ ー ジ CheckPoint !参照)。

所得間の損益通算

上場 一般

上場株式等の配当所得・利子所得との損益通算

上場 一般

上場株式等の場合

 



一般株式等の場合

 



①上場株式等の譲渡所得等 ②申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得および利子所得 ●繰越損失により控除する所得の順序 ●特定譲渡とは ① 証券会社等への売委託による譲渡 ② 証券会社等への譲渡 ③ 公募株式投資信託・公募公社債投資信託の解約請求・買取請求 ④ 公募株式投資信託・公募公社債投資信託の償還 ⑤ 一定の組織再編に伴う譲渡等 ⑥ 特定公社債の元本の償還(買入れ消却を含む) ⑦ 単元未満株式の買取請求による譲渡 ⑧ 新株予約権付社債・新株予約権等の発行会社への譲渡 ⑨ 端株の競売等による譲渡 ⑩ 信託されている上場株式等の外国証券業者等への売委託による譲渡 ⑪ 信託されている上場株式等の外国証券業者等への譲渡 ⑫ 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例によるみなし譲渡(※) ※国外転出時みなし課税制度は住民税には適用されません。 ますが、配当等の収入について申告不要制度の適用を受ける上場株式等を取得するために 要した負債の利子に相当する部分の金額は除かれます。

(7)

株式の取得形態と取得日

●確定申告期限後に気付いた上場株式の譲渡損について繰越控除を受けるた めの手続き 源泉徴収口座で 生じた損失   一般口座または簡易申告 口座で生じた損失    損失が発生した年分の所得税に ついて確定申告していた × 更正の請求 損失が発生した年分の所得税に ついて確定申告していなかった 期限後申告 期限後申告 株 式   損失が発生した年における 確定申告の有無と取引して いた口座の種類により異なります。  損失が発生した年に確定申告書を 提出していなかった場合は、期限後 申告により過去に発生した年の上場 株式等の譲渡損失を申告することが でき、当該譲渡損失は繰越控除の対 象となります。ただし、期限後申告 の期限は損失が発生した年分の所得 税の確定申告期限から5年以内です。  なお、給与所得者で給与・退職所 得以外の所得が20万円以下の場合、 所得税の確定申告は不要ですが、確 定申告する場合にはこれらの所得も 申告しなければなりません。このこ とは期限後申告であっても同じです ので注意が必要です。  損失が発生した年に確定申告書を 提出していた場合は、その譲渡損失 が一般口座または簡易申告口座(源 泉徴収なしの特定口座)で生じたも のである場合に限り、更正の請求に よって上場株式等の譲渡損失をある こととすることができます。請求に より更正が行われた場合、当該譲渡 損失について繰越控除の適用を受け ることができます。更正の請求の期 限も、損失が発生した年分の所得税 の確定申告期限から5年以内です。  損失が発生した年に確定申告書を 提出していて、かつ、その譲渡損失 が源泉徴収口座(源泉徴収ありの特 定口座)で生じたものである場合は、 確定申告書の提出後に上場株式等の 譲渡損について申告していないこと に気付いたとしても、繰越控除の対 象とすることはできません。

損失の申告を忘れていた場合

 昨年、上場株式の譲渡損があったのですが、確定申告

するのを忘れていました。今年は上場株式の譲渡益を得

たのですが、昨年の譲渡損失により繰越控除することは

可能ですか?

譲渡損失の繰越控除の適用手続き

 



 譲渡損失の繰越控除の適用を受けるに は、譲渡損失が生じた年の確定申告書に、 「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算 明細書」と「確定申告書付表(上場株式 等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控 除用)を添付する必要があります。また、 繰り越した譲渡損失を控除する年の確定 申告書にも、同様に2つの書類を添付す る必要があります。  譲渡損失が生じた年から繰越控除を受 ける年まで継続して確定申告書を提出す る必要があるため、確定申告書は上場株 式等の売買を行っていない年についても 提出しなければなりません。  証券会社を通じて購入した場合をはじめ、株式の取得形態と取得日の関係 は次のようになっています。 取得形態 取得日 ①他から取得 受渡日(納税者が約定日を取得日として確定申 告した場合は約定日も可能) ②払込みによる取得 払込期日 ③新株予約権の行使(新株予約権付社債の新株予 約権の行使を含む)による取得 新株予約権の行使日 ④株式の分割・併合による取得及び株主割当てに よる取得 取得の基因となった株式の取得日 ⑤株式無償割当てによる取得※2 取得の基因となった株式の取得日(基因となっ た株式と異なる種類の株式が割り当てられた場 合は、株式無償割当ての効力を生ずる日) ⑥新株予約権無償割当てにより取得した新株予約権 新株予約権無償割当ての効力を生ずる日 ⑦株式分配による取得 取得の基因となった株式の取得日と思われます※1 ⑧法人の合併(分割)による取得 取得の基因となった株式の取得日 ⑨投資信託の受益権に係る投資信託の信託の併合 による取得 受益権の取得日 ⑩特定受益証券発行信託の受益権に係る特定受益 証券発行信託の信託の併合(分割)による取得 受益権の取得日 ⑪組織変更による取得 取得の基因となった株式の取得日 ⑫株式交換(株式移転)による取得 契約で定めたその効力を生ずる日(株式移転完 全親法人の設立登記の日) ⑬取得請求権付株式の請求権の行使の対価として 交付された場合 請求権の行使日

上場 一般

上場 一般

(表は次ページに続きます)

(8)

91 株 式 90

ストック・オプション税制

上場 一般

 ストック・オプションとは、将来の一 定期間に予め定められた価額で、その会 社の株式を買い取る権利を役職員等に付 与する制度のことです。ストック・オプ ション制度が認められるようになった背 景としては、新規事業への人材確保の支 援、役職員の経営努力・勤労意欲の促進 などがあげられます。  税制上は、権利行使時に課税が繰り延 べられる税制適格ストック・オプション と、権利行使時に課税が行われる税制非 適格ストック・オプションがあります。 以下では、この区分に応じて、ストック・ オプション(第三者への譲渡が禁止され ている一般的なストック・オプション) の税制について説明します。

税制適格ストック・オプション

 



 会社法上のストック・オプション(旧 商法の規定に基づき付与されたストッ ク・オプションを含みます)のうち、一 定の要件を満たす税制適格ストック・オ

その他の株式譲渡益課税

4

-2

●税制適格ストック・オプションの要件 対 象 者 次のいずれかに該当する者 ・自社の取締役、執行役※1または使用人(およびその相続人) ・発行済株式総数の50%超を直接または間接に保有する法人の取締役、執行役※1または 使用人(およびその相続人) 権 利 行 使 期 間 付与決議の日後2年を経過した日から付与決議の日後10年を経過する日までの間 権 利 行 使 価 額 ストック・オプションに係る契約締結時の時価(株価)以上 権利行使価額の制限 権利行使価額が年間1,200万円を超えない 譲 渡 制 限 あり 新 株 発 行・ 株 式 譲 渡 権利行使に係る新株の発行、または株式の譲渡が会社法等の決議事項に反しないこと 証 券 会 社 へ の 保 管 委 託 付与会社と証券会社等との間で予め締結される株式の保管委託等に関する取決めに従い、一定の方法で証券会社等に保管委託等がなされること※2 権 利 者 の 誓 約 権利者が付与決議の日に当該株式会社の大口株主、もしくはその特別関係者ではないこと 権利者が発行会社に提 出する書面の記載事項 権利行使の年における当該権利行使者の他の権利行使の有無など ※1 執行役が税制適格ストック・オプションの付与対象者となるのは、平成18年5月1日以後に行われる決議に基 づき付与されるストック・オプションです。ただし、同日より前に行われた決議に基づき付与されたストック・ オプション(付与当時における税制適格要件を充たすものに限る)についても、同日より前に権利行使を行った ものを除き、税制適格ストック・オプションとして取り扱われます。 ※2 当該証券会社等を通じた譲渡が行われず、他の証券会社等に移管等がされた場合、その時点で譲渡があったとみ なされ、時価と権利行使価額との差額が譲渡益課税の対象となります。その後、実際に譲渡した場合、移管等を 行った日の時価を取得価額として、その価額と譲渡価額との差額が譲渡益課税の対象となります。 取得形態 取得日 ⑭取得条項付株式の取得対価として交付された場合 取得事由が生じた日 ⑮全部取得条項付種類株式の取得対価として交付 された場合 取得決議で定められた取得日 ⑯信用取引により買建てた株式を現引きした場合 買建ての際の受渡日(または納税者が約定日を 取得日として確定申告した場合は約定日) ⑰相続・贈与による取得 被相続人、贈与者の取得日 ⑱他社株転換可能債(EB)の償還 当該社債の償還日 ⑲有価証券オプション 取引(証券取引所で 取引されている個別 株オプション取引) 買建コール・オプション の権利行使による取得 権利行使により取得した株式の売買決済日(納税者の選択により権利行使日も可能) 売建プット・オプション の義務の履行(買方の 権利行使)による取得 義務の履行により取得した株式の売買決済日 (納税者の選択により義務の履行日も可能) ※1 平成29年度税制改正にて株式分配にかかる税制上の法令が整備されましたが、株式分配が行わ れた場合の取得日の扱いは、平成29年4月現在、明らかになっていません(今後、通達にて示 されるものと思われます)。 ※2 特定口座に受け入れる株式無償割当てにより取得した上場株式等について、取得の基因となっ た株式等の取得日が分からない場合で、①特定口座内保管上場株式等以外の株式等を基因とし て割り当てられた上場株式等である場合、または、②特定口座内保管上場株式等及び当該特定 口座内保管上場株式等と同一銘柄の特定口座内保管上場株式等以外の株式等の双方に基因して 割り当てられた上場株式等の場合については、株式無償割当ての効力を生ずる日。

参照

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