• 検索結果がありません。

2006年2007 年シーズンに検出されたノロウイルス遺伝子型についての検討[PDFファイル/379KB]

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2006年2007 年シーズンに検出されたノロウイルス遺伝子型についての検討[PDFファイル/379KB]"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

- 49 - 宮城県保健環境センター年報 第 25 号 2007

2006/07 年シーズンに検出されたノロウイルス遺伝子型についての検討

Norovirus G

/4 variants observed in outbreak of gastroenteritis between November of 2006

and January of 2007 in Miyagi prefecture

庄司 美加  植木  洋  佐藤千鶴子 佐藤 由紀  沖村 容子  谷津 壽郎 齋藤 紀行

Mika SHOJI,Yo UEKI,Chizuko SATO Yuki SATO,Yoko OKIMURA,Juro YATSU Noriyuki SAITO  2006/07 年シーズンの,国内でのノロウイルス(Norovirus:NoV)による感染性胃腸炎患者数は,過去 10 年間で最 も多く,大規模な流行であった。宮城県でも全国と同じ傾向が認められた。流行の原因の解明を目的に,県内で発生 した食中毒事例,感染性胃腸炎集団発生事例から検出された NoV 遺伝子の分子疫学的解析を行った結果,他県の食 中毒関連事例も含めて,全て G Ⅱ /4 の近縁株であった。これらの株は,過去に県内で検出された G Ⅱ /4 変異株と は異なったクラスターを形成し,国外での流行が報告されている G Ⅱ /4 の変異株にも属さなかった。 キーワード:ノロウイルス;感染性胃腸炎;分子疫学;G Ⅱ /4 変異株

Key words:Norovirus ; gastroenteritis ; molecular epidemiology; variant of G/4-type

1 はじめに

 感染症発生動向調査によれば,2006/07 年シーズンの, 全国での感染性胃腸炎の定点医療機関当たりの患者報 告数は,過去 10 年間で最も多かった。県内でも定点医 療機関当たりの患者報告数は,2006/07 年シーズンは過 去 3 年間で最も多く,例年より早い時期から増加が確認 された。特にピーク時の定点医療機関当たりの患者報告 数は,2005/06 年シーズンが 21.51 人であったのに対し, 2006/07 年シーズンは 33.74 人と昨年度の 1.5 倍の値で あった。また県内の各保健所管内での,感染性胃腸炎に よる定点医療機関あたりの患者報告数は,第 49 週から 51 週にかけて,全ての地域で警報値を超えており,特 定の地域ではなく県内全域で流行が確認された。  NoV による感染性胃腸炎の流行は,近年,アメリカ やヨーロッパ,オーストラリア等でも報告されている1)2) これらの流行では G Ⅱ /4 変異株が検出されており,強 毒株の出現が危惧される。一方,NoV は培養系が確立 されていないことなどから,遺伝子型と病原性の関連に ついては不明な点が多く,その解明には分子疫学的解析 が最も有効と考える。そこで,分子疫学的データの蓄 積を目的とし, 2006/07 年シーズンに県内で発生した NoV による食中毒事例や感染性胃腸炎集団発生事例で 患者から検出した NoV 遺伝子について,分子疫学的解 析を行ったので報告する。

2 方 法

 2.1 対象材料  2006 年 11 月から 2007 年 1 月の期間に,県内で発生 した感染性胃腸炎集団発生事例のうち 16 事例 21 件,同 じく食中毒事例のうち 3 事例 13 件,他県で発生した食 中毒の関連事例である 1 事例 2 件,さらに,感染症発生 動向調査で採取した感染性胃腸炎患者検体 9 件を対象材 料とした。検体はいずれも糞便とした。  2.2 検体処理及び定量  糞便は,厚生労働省通知3)に準じて滅菌蒸留水(和 光純薬)で 10%乳剤とし,10,000rpm,10 分間冷却遠 心後,遠心上清 140µl を QIAamp Viral RNA mini kit (QIAGEN)により,RNA を抽出した。DNase(Invitrogen)

処理後 ,Super Script Ⅱ(Invitrogen)で逆転写反応を行い, cDNA を作製した。さらに影山等の方法4)で PRISM 7900 (Applied Biosystems)を用いて定量 PCR 法を実施した。  2.3 NoV の分子疫学的解析   定 量 PCR 法 で NoV が 検 出され た 検 体 について, Capsid 蛋白をコードしている領域 増幅用プライマーの COG2F5)/G2SKR6)を用いて RT-PCR を行った。 また, RT-PCR で増幅が確認されない検体は G2SKF6)/G2SKR6) 㪇 㪈㪇 㪉㪇 㪊㪇 㪋㪇 㪈 㪍 㪈㪈 㪈㪍 㪉㪈 㪉㪍 㪊㪈 㪊㪍 㪋㪈 㪋㪍 㪌㪈 ㅳ ቯ ὐ 䈎 䉌 䈱 ᖚ ⠪ ႎ ๔ ᢙ 义 ੱ 乊 㪉㪇㪇㪋 㪉㪇㪇㪌 㪉㪇㪇㪍 㪊㪊㪅㪊㪋ੱ 㪉㪈㪅㪌㪈ੱ 図 1 過去 3 年間の県内の感染性胃腸炎患者報告数

(2)

- 50 -

のプライマーを用いた nested PCR を実施した。PCR 産 物 を MicrospinTH S-300HR カラム(GE Healthcare) で

精製後,BigDye Terminator Kit(Applied Biosystems) を用いてシークエンス用 PCR を行い,ABI 310(Applied Biosystems)でダイレクトシークエンスを実施して塩基配 列の決定を行った。その後,Clustal X(フリーソフト)を 用いてアライメントし,Neighbor-Joining Method7)(NJ 法) で系統樹を作成した。

3 結果および考察

 今回対象材料とした全ての検体から,定量 PCR 法で NoV 遺伝子が検出された。また, NoV G Ⅰ群と G Ⅱ 群の両方の遺伝子群に陽性であった検体が 1 件検出さ れた以外は全て G Ⅱ群を検出した。G Ⅱ群が検出され たウイルス遺伝子の,Capsid 蛋白をコードしている領 域の一部の 249nt について,塩基配列を決定し系統解析 を行った結果を図 2 に示した。検出された NoV の遺伝 子型は,全て G Ⅱ /4(accession No.X76716 Bristol/93/ UK)の近縁株であった。検出された株は一つのクラス ターを形成し,クラスター内での相同性は塩基配列のレ ベルでは 98.8%,アミノ酸レベルでは 97.6%で,同一の 遺伝子型と考えられた。これらの株は 2003 年~ 2005 年 に県内の感染性胃腸炎集団発生事例や食中毒事例で検出 された G Ⅱ /4 近縁株とは異なったクラスターであった。 また,1995 年~ 1996 年にアメリカ,ブラジル,カナ ダ,中国,ドイツ,オランダ,イギリスで流行し,1997 年~ 2000 年にオーストラリアで流行した G Ⅱ /4 の変 異株(accession No.AF080549 US95/96)のクラスター にも属さなかった。さらに 2002 年にアメリカとイギリ スで流行した G Ⅱ /4 変異株(accession No.AY502023 Farmington Hill) や, 別 の G Ⅱ /4 変 異 株(accession No.AY587985 b4s6)のクラスターにも属さなかった。  今回検出された株がこれらのクラスターに属さなかっ たことにより,2006/07 年シーズンに県内で流行した NoV は,これまでに報告例のない新たな G Ⅱ /4 変異株 であることが明らかになった。さらに,他県で発生した 食中毒の関連事例から検出された株(0621-4,0621-5)も, 2006/07 年シーズンの県内の流行で検出された G Ⅱ /4 変異株のクラスターに属していることから,この変異株 は,県内はもとより他県での流行に関与している可能性 も示唆された。このことは 2006/07 年シーズンの全国的 な大流行を解明する上で重要であり,さらに詳細な分子 疫学的解析を行った上で,全国規模での情報交換が必要 と考える。

4 まとめ

 2006/07 年シーズンに県内の食中毒事例または感染 性胃腸炎集団発生事例から検出された NoV 遺伝子は, 2003 年~ 2005 年に県内で検出された株とは異なったク ラスターを形成した。さらに近年に国外で流行が報告さ れている G Ⅱ /4 変異株にも属さなかった。今後は,宮 城県で検出されたこの変異株と全国で流行した株の遺伝 子型について他県との情報交換が必要であり,今回の大 規模な流行との関係についても検討していく必要がある と考える。

参考文献

1) EuroSurveillance Weekly 2004(52):23/12/2004 2) 国立感染症研究所,厚生労働省健康局結核感染症課: 病原微生物検出情報,26,3(2005) 3) 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長通知 “ノロウイルスの検出法について”平成 15 年 11 月 5 日, 食安監発 1105001 号(2003) 4) T.kageyama,S.Kojima,M.Shinohara,K.Uchida,S. Fukushi,F.B.Hoshino,N.Takeda,K.Katayama:Journal of Clinical Microbiology,41,1548(2003)

5) Kageyama, T., Kojima, S ., Shinohara, M., Uchida, K., Fukushi, S., Hoshino, F. B., Takeda, N., katayama, K.,2003.

 Broadly reactive and highly sensitive assay for Norwalk-like viruses based on real-time quantitative reverse transcription-PCR. Journal of clinical Microbiology 41, 1548-1557

6) Kojima, S., Kageyama, T., Fukuda, S., Hoshino, FB., Shinohara, M., Uchida, K Natori, K., Takeda, N., Kageyama, T., 2002. Genogroup-specific PCR primers for detection of Norwalk-like viruses. J. Virol. Methods 100, 107-114.

7) Saitou N. and Nei M.(1987) The neighbor-joining method: a new method for reconstructing phylogenet ic t rees . Molecu la r Biolog y a nd Evolution,vol.4,no.4, pp.406-425

(3)

- 51 - 宮城県保健環境センター年報 第 25 号 2007

2 Capsid㗔ၞ䈮ၮ䈨䈒 NoV G㸈/4 ㆮવሶ䈱♽⛔᮸(NJᴺ)

OUTGROUP_X86560Manchester_Sapo GII/4_X76716Bristol/93/UK0610SNFP2 069-5 069-2 069-30621-5 0621-4 06s84 06s91 0608SN8 0616 0615 0614 0613 06025 06680663 0667 06s99 06s89 0666 0665 0664 0662 06028 061127KS16 061126KS8 061126KS4 0622-40618 0617 06026 06023 06024 0622-2 0619 0620 061127KS20 061127KS19 061126KS1MI05S014 MI05S030MI05S036 MI05S038 MI05S040 MI05S118 MI05S148MI03103 MI03149 MI03375 MI03262MI03092 MI03105 MI03120MI03384 MI03380 MI03114MI03185 MI05078 G2/DQ078794 MI05S133 MI05S134 MI05S152MI03113 MI03119 G2/AY502023䋨Farmington Hill) G2/AY587985(b4s6)G2/AF080549䋨US95/96) G2/AF406793 0.05

’06/’07 䉲䊷䉵䊮䈮

⋵ౝ䈪ᬌ಴䈘䉏䈢ᩣ

’03䌾’05䈮

⋵ౝ䈪ᵹⴕ䈚䈢ᩣ

図 2 Capsid に基づく NoV G Ⅱ /4 近縁株の系統樹(NJ 法)

図 2 Capsid に基づく NoV G Ⅱ /4 近縁株の系統樹(NJ 法)

参照

関連したドキュメント

バブル時代に整備された社会インフラの老朽化は、

variants など検査会社の検査精度を調査した。 10 社中 9 社は胎 児分画について報告し、 10 社中 8 社が 13, 18, 21 トリソミーだ

(実被害,構造物最大応答)との検討に用いられている。一般に地震動の破壊力を示す指標として,入

マーカーによる遺伝子型の矛盾については、プライマーによる特定遺伝子型の選択によって説明す

 本研究所は、いくつかの出版活動を行っている。「Publications of RIMS」

注:一般品についての機種型名は、その部品が最初に使用された機種型名を示します。

このうち、大型X線検査装置については、コンテナで輸出入される貨物やコンテナ自体を利用した密輸

電子式の検知機を用い て、配管等から漏れるフ ロンを検知する方法。検 知機の精度によるが、他