コーポレート・ベンチャー・キャピタル
(CVC)
による
オープン・イノベーション戦略
ー 研 究 開 発 力 や 新 規 事 業 創 出 力 の 新 戦 略 と 新 潮 流 一 Open Innovation Strategy by Cooperation Venter Capital田 口 敏 行
Toshiyuki TAGUCHI (令和元年 9月 25H受理) キ ー ワ ー ドe
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、コーポレート・ベンチャー・キャピタル、オープンイノベーション、 スタートアップ企業要旨
AI
やIOT
といった次世代を牽引する技術やそのビジネスヘの応用などが本格化する時 代を迎えており、企業のイノベーション活動は次世代のビジネス領域を見据えた取り組み が必要となってきている。また、企業を取り巻く外部環境は、世界的な最気後退が懸念さ れ、金融緩和状況が定着しつつある。そうした環境から生まれる潮流として、緩和マネー が戦略的に活用されるという点がある。次世代のビジネスに向けたイノベーション活動は、 自前主義によらないオープンなイノベーションが主流となり、緩和マネーを活用してのス タートアップ企業やベンチャー企業への投資、 M&Aといった方策が潮流となりつつある。 なかでも自社内にファンドを形成し(コーポレート・ベンチャー・キャピタル=e
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)
、注 目されるスタートアップ企業などに投資しながら連携を図りながら、自社の新規事業の育 成を図るイノベーション戦略が新しい潮流として注目できる。本稿では、そうした新しい 潮流を整理しながら、その優位性や意義を考察していく。 1.はじめに
最近の我が国の企業を取り巻く環境を見渡すと、 2つの特徴が見て取れる。 1つはネガ ティブな特徴となるが、世界的な規模での最気低迷と下振れ要因の増大という点である。 国内を見ると、アベノミクスと金融緩和策により、一定程度のGDP
の成長や設備投資の 回復、企業業績の拡大などは確かに見られるものの、マイナス金利の継続が長期化し、日 銀による下支え策は止むことがない。未だに出口が見えない状況である。GDP
の6
割を占 める消費者需要も、消費者態度指数でみると 2019年 6月の段階で、 9か月連続で悪化とい った状況である。世界的に見ても、米中貿易摩擦を中心に経済大国の景気は悪化しており、 米国 FRBは利上げ策を中断し、 2019年 7月には 0.25%の利下げを実施した。見通しとし ては、さらなる利下げの準備もあるといった態度であり、米国内の経済は底堅いところは あるが、先行きの屎気の不透明感は払拭できず、金融相場によって支えられている而が強い。中国の屎気鈍化も長期化しつつあり、輸出関連企業を中心にマイナスの影響が否めな し‘。 そうした外需の不透明感は、 2018年後半から進行している米中摩擦の影聾が極めて大き い。米国による経済制裁は第 4弾に至り、中国の景気後退と中国と取引していた国へのマ イナの影響は非常に大きい。世界の最気後退と先行きの不透明感を長期化させている。こ うした米中摩擦などによる世界経済の低迷という環境、そしてそれを金融緩和策で全世界 が下支えしているといった状況が現在のビジネス環境の特徴といえる。 2つ目の特徴としては、ポジティブな特徴であるが、 AI、IOT、5Gなどの次世代の技術 革新が進行し、新しいビジネスチャンスとプレイヤーが台頭しているところである。すで に世界をリードする存在となったGAFAをはじめ、中国にも次々と次世代を牽引する企業 群が台頭している。なかでもベンチャー企業やスタートアップ企業の活躍が注目される。 ユニコーンと呼ばれる 1000億円を超えるスタートアップ企業なども存在感を大きくして いる。我が国の場合、規模的にも数的にも世界的に見ると脆弱さは否めないが、徐々にそ うした傾向がみられてきている。デジタル技術やネットワーク技術の活用は、初期投資や ランニングコストを低下させる構造を持ち、資本力に左右されないビジネス環境を広げ、 新規参人を促しビジネスチャンスにつながっている。そのような構造的な要因もスタート アップ企業などの台頭を促す要囚といえる。 こうした環境と特徴のなかで、我が国の企業は新たな成長を目指した戦略を構想し、実 行に移していく必要がある。環境に滴合しうるイノベーション戦略を実践に移していかな ければならない。では、そのイノベーション戦略の特質と意義はどのようなものであるの か。答えは 1つではないが、より絞り込んだ認識と把握、そしてその有効性や効呆の検証 を行い、戦略論やイノベーション論の研究を深耕させることは重要である。本稿はそうし た課題をもって論を進めている。論を進めるに先立ち、そうした 2つの特徴をもった環境 においてのイノベーションの特徴について概括的に述べておく。 イノベーションの特徴については、「オープン・イノベーション」という認識がほぼ定着 していると言える°。筆者なりに大雑把にまとめると、次のようになる。自前主義的なイ ノベーションではなく、外部のリソースを活用しながら研究開発力や新規の事業の開発力 を高めていこうとするイノベーションで、 M&Aによる方法もあれば、資本参加によるも の、技術提携などの連携やアライアンスによるものなど、さまざまな「距離・つながり」 をつくり、外部のリソースを取り込みながらイノベーションにつなげていく戦略である。 科学技術の発達や学際化は、もはや個別企業だけで吸収・消化していくことは難しく、他 企業のリソース、大学などの研究、国の研究などとうまく連携を図り、アウトソーシング しながらイノベーションにつなげていくことが重要な時代である(固表ー 1)。
図表ー 1 イノベーションのための多様なツール (図表1)イノペーション促進のためのツール 自社内憾
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社外 (資料)GaiyDushnitsl(y・corporate venture capital-PastEVklence, current Challenges, and Future Trends" を一部加笙修正 (出所)野村敦子「いま必要とされるe
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への取り組み∼既存企業とベンチャーの連携促進に刷けて∼」 『ReseachFocus』(日本総研)、 2014年、 p.2 そうした方法は 2つの特徴を持った今の環境のなかでも有効であるが、これまでのオー プン・イノベーション戦略に今の新しい特徴が加わると、どんな新しいオープン・イノベ ーション戦略が必要となるのだろうか。 枇界的な景気低迷のなかで下支え策として共通化してきている策は、金融緩和である。 日本や欧州は、すでにマイナス金利という領域に入っており、米国は米中摩擦の影響から FRBは今年 7月に、 10年半ぶりに利下げに踏み切っている。中国も景気低迷から緩和策 を採っている。つまり、世界的な規模で企業に対して多額の緩和マネーを供給している状 況が続き、ますますその規模を拡大しようとしている。緩和マネーの使い道は、①次世代 の成長に向けた投資、②財務的な運用、の 2つに主に流れていくわけであるが、最近の特 徴と思われる投資の方法と形態は、自社内あるいは自社グループ内にファンドを創り、フ ァンドを通じてスタートアップ企業へ投資したり、財務的な運用に同したりする戦略が緩 和マネーの戦略的な使い方として活用されているように思われる。 雑駁にいえば、緩和マネーをどううまく運用するかというスタンスに立ち、運用を外部 に委ねるだけでなく、自社でもファンドを形成しながら高い利回りや収益を求めて運用を 圏る。但し、財務的な運用による収益力の向上だけでは企業の成長につながらない。イノ ベーションの源泉となる研究開発力を高めたり、新製品や新規事業の開発力を高めるため の投資が欠かせない。その際にはオープン・イノベーションを活用するのであるが、緩和 マネーをファンドとして利用して、ベンチャーキャピタルのように将来性のあるスタート アップ企業を支援しながら育成し、ゆくゆくはM&Aなどにより自社に取り込んで、研究 閲発力や新規の事業開拓力を高めていくオープン・イノベーション戦略(=コーポレート・ ベンチャー・キャピタル戦略)が注目される。ゼロからイノベーションの源泉力を養成す ることは、時間やコスト面などで優位性につながらない。アウトソーシング先を見つけ「吸 収」を図る方がよい。そうする専門部署とファンドを自社内にあるいは自社グループ内に築き、戦略的拠点と位置づけ活用していくという方法と形態が今の外部環境を活用しなが らのオープン・イノベーション戦略といえる。 緩和マネーを財務部門が利回りを求めて運用する財務戦略ではなく、新規事業の開拓に 向けてファンドを形成し、専門部署を組織的に形成して台頭著しい
AI
やIOT
領域のスタ ートアップ企業への投資をしながら、次世代のイノベーションの源泉となる研究開発力や 新規事業開発力を培っていく戦略、つまりコーポレート・ベンチャー・キャピタル戦略が 今の環境を活用しながらの有効なオープン・イノベーション戦略と考えるものでる。以下、 コーポレート・ベンチャー・キャピタルの特質や現状、より詳しい戦略性や有効性、そし て事例の検証といった手順で考察していくことにする。2.
コ ー ポ レ ー ト ・ ベ ン チ ャ ー ・ キ ャ ピ タ ル の 特 徴 と 戦 略 性 1) コーポレート・ベンチャー・キャピタルの定義や特徴 はじめに、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(以下、 CVC: Corporate Vent ure Capital)の特徴をまとめておく 2)。e
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とは、事業会社が社外のスタートアップ企業や ベンチャー企業に対して投資を行う活動といえる。ベンチャーキャピタルと類似している が、圏表ー2に示すように、 EVEの場合、大企業が資金を拠出し自社と事業シナジーが見 込めそうなスタートアップ企業やベンチャー企業に出資を行う形態をとる。資金の出し手 は通常 1社であり(数社で共同出資することも稀にある)、 EVEファンドの運用は自社の 投資部門、または投資子会社で行うことが多い。外部のベンチャーキャピタルに運用を委 託することもあるが、基本的には自社で運用するものといえる。 図表ー 2 通常のベンチャーキャピタルファンドとe
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ファンドとの違い 図表1:通常のペンチャーキャビタルファンドと EVEファンドの違い .曹曹曹...ー
通常の VCファンド 多数の投資家 eveファンド 単独の事業会社 機関投資家 事業会社 個 人 事業会社 (保! ペンチャー 運用 キャピタルー→~ 通常の (VC) vcファノド / /盆 \ \ 士 ※VCI@疇
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(出所)『e
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実態調査』青木義則「 EVEファンドを活用した.ベンチャー企業とのオープンイノベーシ ョン一事業シナジー創出で押さえておくべき5つの視点ー」 2017年、 p.5 (https://www.pwc.com/jp/ja/ knowledge/thoughtleadership/2018/assets/pdf/tmt-cvc.pdf)。伝統的なベンチャーキャピタル (VC) との違いという点では、例えば
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ファンドの場 合、複数の機関投資家・事業会社・富裕層などから資金を集め投資をするが、主目的はあ くまでも財務的なリターンを追求することにある。 EVEの場合は、財務的リターンではな く、自社の新しい事業として、特に次世代の新領域に事業展開するための自社組織として 取り込むことを目的とするところに特徴がある叫財務的な運用活動ではなく、新規事業 の開拓や研究開発力の育成を目的に、スタートアップ企業を探索し目星をつけ、最終的に はM&Aなどにより自社内に取り込むもので、次世代の新規事業の創出力を高めることを 主眼とする。研究開発力や新規事業の開拓力は、企業成長にとっては競争優位の源泉とな る力量であり、 EVEは緩和マネーを利用しやすい環境と次世代の領域を対象とした、スタ ートアップ企業が台頭している環境を利用する現代的な特質をもった戦略といえる。以下、 これまでの先行研究を踏まえて、より深<eveの特質や戦略性をまとめておく。その際 には、特に倉林 陽「コーポレートベンチャーキャピタルにおける組織とパフォーマンス」 (2016) に負いながら論を進めていく叫 ehesbrough (2002) によれば、 EVEとは、事業会社が外部のベンチャー企業に直接投 資を行う事を指し、 2つのタイプに分けている。 1つは、投資先ベンチャー企業の持つ技 術やビジネスモデル、人材などの活用を主な目的とした「戦略的リターン」を狙うタイプ であり、もう 1つは、投資先ベンチャー企業のIPOやM&Aなどの会社売却による「ファ イナンシャルリターン」を狙うタイプである。また、ベンチャー企業との資本提携手段に ついて、図表ー 3に示すような3つの実行形態があることを指摘している。 回表ー 3 ベンチャー企業との資本提携手段 ー ︳ 2 ︳ 3 evc実行形笙 vcフ ァ ン ド へ EVEの運用をVCヽこ委託 EVEの運用`自己勘定でかくンチャー投費 概要 vcファンドに出白し、出召先VCの投召するペンチャー企業の情報を殴得 vcファンドに単哀もしくは少数で出口し、 EVEの運用を委託 eveファンドや自己勘定控ロを自ら運営 (出所)倉林 陽「コーポレートベンチャーキャピタルにおける組織とパフォーマンス」(GraduateSchool of Policy and Management, Doshisha University、2016年、 p.38. Chesbroughは、事業会社によるベンチャー企業への直接の投資をeveと定義し、具体 的には、圏表ー3の3のように、企業が自已資金を使ってファンドを組成しベンチャー企 業に投資を行う活動、及び自己勘定でベンチャー企業に直接投資を行う活動を EVE とみ なしている。本稿でも、そうした定義に従うものである。 ehesbroughは、 EVEが戦略的 リターン日的で組成される背景として、ベンチャー企菓がイノベーションに関する情報ソ ースとして極めて重要であると考えられている点を挙げている。同様の見解として、例え ばKortumand Lerner (2000) は、起業家精神に溢れ優れた人材が集まるベンチャー企業 は、成熟した企業より多くの特許を生み出すことを実証しており、研究開発力や新規事業 の開拓力を高めるには、外部のベンチャー企業の活用が有効であること重視している叫 またAhujaand Lampert (2001)は、ベンチャー企業の最新で先進の技術に触れることで、 成熟した企業が革新的なイノベーションを創り出す確率を高めることになると主張してい る叫さらに最近では、 Fulghieriand Sevilir(2009) らは、イノベーションに対する競争が激しくなると、企業はイノベーションの速度を速めて競合に対する競争優位性を獲得し ようとし、内部での自社開発から外部組織、特にベンチャー企業との共同開発プロジェク トにシフトしていくようになることを検証している”。 Lichtenthaler
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Lichtenthaler (2009)の研究でも、近年より多くの企業が外部の知見を長期間に渡って維持する連携戦 略が多くなっており、例えばCiscoやSalesforce.comといった米国の大企業は、戦略的投 資により多くのアライアンスパートナーとのポートフォリオを構築し、パートナーの知見 へのアクセスを重視する戦略を重視している。 BostonConsulting GroupのEVEに関す るレポートでは、イノベーションに対するプレッシャーが高まる現代では、伝統的なR&D の生産性が落ち、多くの企業がベンチャー投資に活路を見出そうとしていることが報告さ れている凡 筆者もこれまでの先行研究とほぼ同様の認識にたっている。自前主義から脱却し、外部 資源を取り込むオープンイノベーションは、従来から定着しているイノベーション論であ り、外部資源は他企業であったり、研究機関であったり多様である。産官学の連携による イノベーション(=ナショナル・イノベーション)といった形態も定着していた叫但し、 必要とされる資金は、主に研究開発費として企業内で準備されることが通常であった。開 発費は年々上昇する傾向にあり、基礎研究をできるだけ削り、応用研究と即戦力となるよ うな研究開発に絞り込まれ、生産性や効率性が重視されるイノベーションが重視されてい たと言える。 しかし、金融緩和による景気下支えが経済政策の軸となる環境が広がり、イノベーショ ンを推進する領域としてI
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領域が重要視される環境が広がる現代においては、緩和マネ ーをイノベーションの資金として=ファンドとして活用し、スタートアップ企業に投資し ながら、アーリーステージの新規技術や成長要素を自社内に取り込み、自社の新しい成長 領域を育むという現代的なかつ戦略的なオープンイノベーション戦略が新しい潮流として 注目されてきていると言っていいように思われる(図表ー 4)。 図表ー 4 コーポレートベンチャリングの主な施策 コーポレートペンチャリングの主な篇策 インキュペーションプログラム アクセラレータープログラム 本体投資 (マイノリティ投資) EVEファンド・子会社 による投資 VCへのLP出資 (出所)経済産業省 産業技術環境局 技術振典・大学連携推進課『事業会社と研究開発型ベンチャー企業 の連携のための手引き(第三版)』 2019年 (Verl)、p.17.2)
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の有用性や戦略性e
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の有用性につき、より具体的に考察しておく。EVE
を実施する既存企業にとって 大きく 3つの有効性が挙げられる 10)。①自社内での研究開発やベンチャー企業の買収に比 べ、リスクやコストの軽減が可能となる、②自社内では得られない新規の技術やアイディ アの獲得ができ、研究開発のスピードや質の向上を図ることができる、③スタートアップ 企業やベンチャー企業とのEVE
を通じた交流や経営支援が、社内の活性化や人材育成に 繋がる、という点である。各々について詳しく述べる 11)。 第一のリスクやコストの軽減ということであるが、技術革新の加速化に伴い技術が複雑 化・高度化しており、市場の先行きも不透明な環境となっている。新規事業の開拓に取り 組むに当たっては、自社でゼロから研究開発に取り組んだり、企業を完全に買収してしま うことはコストもかかりリスクも大きい。その点、EVE
投資は複数のベンチャー企業に 対してマイナー投資を行うもので、その技術や事業の動向や成否などを見極めながら、有 望と思われるスタートアップ企業やベンチャー企業に先行的にアプローチすることができ る。また、EVE
投資では単独で企業を買収することに比べ、少額の資金で投資先企業の経 営に関与でき、レバレッジを利かせられることも利点と言える。 第二の研究開発のスピードや質の向上ということでは、既存企業はEVE
の投資を通じ て、最先端の技術動向・市場動向に関する生の情報を収集でき、これを自社の経営戦略に 生かすことができる。さらには、機動的で小回りの利くスタートアップ企業やベンチャー 企業が特定分野の研究開発や技術開発を担うことにより、既存企業が研究開発を単独で行 うことに比べ、スピードや質の向上に繋がるといった効果が得られる。 そして第二の社内の活性化や人材育成につながるということでは、EVE
では親会社の 事業部社員が投資先企業に対する経営支援やアドバイザー役(=メンター)を担うケース が多い。スタートアップ企業やベンチャー企業との対話と交流を通じて、親会社の社員に も起業家的な考え方が備わるなど、人材育成や組織の活性化に繋がる効果がある。e
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はそうした有効性がある。また、スタートアップ企業やベンチャー企業にとっても メリットがある。EVE
からの投資を受け入れることで事業化に成功する(いわゆるE
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可能性が高まることが指摘されている。Standardsand T
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の調査によれば、EVE
の親会社の8
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%が、投資先企業に対して顧客へのアクセス手段を提供し、6
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%がサプライ ヤーヘのアクセス、 93%がパートナーヘのアクセスを提供しているという結果が出ている。 当該分野に精通した親会社が、資金供給にとどまらず、事業に必要な多様な支援をスター トアップ企業に提供することにより、投資先企業の事業化・市場化の可能性が高まり、投 資を受ける側にとってもe
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はメリットがある叫 倉林氏は、先の論文においてWintersandMurfin (
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によるe
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の「戦略的リタ ーン」 (7つのパターン)を取り挙げ考察している。現代においても非常に有効な考え方で あり、倉林論文を参照しながら紹介しておく。 1.買収:EVE
活動を通じて、企業は興味のあるスタートアップ企業やベンチャー企業に ついてより多くの知見や戦略的適合性も把握できるなど、買収判断時の戦略的ベネフ ィットを得られる。 2.技術ライセンス:スタートアップ企業やベンチャー企業は製品開発のスピードが速い ため、大企業にとっては、その技術のライセンスを早期に得る事はメリットとなる。3. プロダクトマーケティング:スタートアップ企業やベンチャー企業にとって、大企業 のマーケティング&販売チャネルは魅力的である。そのため、大企業にプロダクトマ ーケティングの権利を渡す事は、双方にとってベネフィットのある提携となる。 4. 国際的事業機会:スタートアップ企業やベンチャー企業は、米国市場に注力してビジ ネスを行っている場合が多いため、国際展開を手伝ってくれる大企業との提携は魅力 的である。海外の大企業にとっても米国のビジネスを自国の市場で展開できることは メリットがある。 5. 技術窓口:大企業にとって eve活動は自社の製品開発や事業開発の補完的役割を果 たすものである。 eveを通じて得た先端の知見をもとに、変化の激しい市場動向を把 握し、自社の戦略立案に活用する事例もある。 6.企業内部における起業家精神の育成:社内人材が直にベンチャー企業と接し、彼らが どのように事業を創っていくかを見る事で社内人材に起業家精神が養われる。 7.業界人脈:EVE活動を通じて、ベンチャーキャピタリストやTMT(Technology, Media & eommunication)セクターの投資銀行、起業家、科学者、コンサルタントなどの業 界人脈を獲得することができる。
その他、倉橋氏はMaura(2003)、Dushnistskyand Lenox (2005)、Fulghieriand Sevilir (2009)にも触れており、同様に紹介しておく。まず Maulaによれば (2003)、より多く の共同投資パートナーネットワークを持つ EVEほど、技術の非連続性に関する可能性に ついて早く気づくことができ、技術的脅威に対して早く効果的に対応できるとしている。 またDushnistskyand Lenox (2005)によると、外部のベンチャーファイナンスに携わる 事で、 EVEはスタートアップ企業やベンチャー企業の成功や失敗した試みを学ぶ事がで き、そうした知見を内部の R&Dに役立てる事ができるとされる。さらに Fulghieriand Sevilir (2009)によると、 EVEを通じたスタートアップ企業やベンチャー企業への投資金 額を増やす事で、 R&Dの成功確度を高める事ができることを検証している 14)0 3.
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の最近の動向
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世界と米国のE
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の動向 そうした有効性や戦略性を持っ eveであるが、その現状を世界的なレベルと我が国の レベルに分けて見ておこう。まず世界的なレベルであるが、簡単に歴史的な推移を振り返 ると、 EVEは特に米国において、すでに 1960年代から始められていた言われている 15)0 大企業が停滞期に新しいアイディアを社外に求めたのがその契機である。そして 1960年 代、 1980代、 1990年代と 3つの時期に米国でブームとなった。現在では、米国の大企業の 研究開発費の総額の 1%が EVEに振り向けられていると言われている 16)。現在では大企 業とスタートアップ企業やベンチャーとの連携は、世界的に見ても注目されており、その 手法として EVEが主要なものとみなされている。その一例として、 2016年にシードve で あ り ス タ ー ト ア ッ プ プ ロ グ ラ ム を も つ 500startupsと INSEADが 発 表 し た 調 査(Bonzom and Netessine, 2016)によると(図表ー5)、Fortune500企業の上位企業ほど、 ベンチャー企業との連携を積極的に行っており、連携の形態として EVEが最も多く採用
図表ー 5
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企業とベンチャーとの連携の形態 1 8 0 1 6 0 1 4 0 1 2 0 1 0 0 8 0 6 0 4 0 2 0 0 I n ワ ー キ ン “ ス ペ ー ス の 提 ' ピ ジ ネ ス プ ラ ン n ン テ ス ト ' ス タ ー ト ア ッ プ プ ロ グ ラ ム ー ピ ジ ネ ス サ ポ ー ト 一 技 術 サ ポ ー ト ' アクセい咋l
タ ク ー い ィ ン 2 c ( n ー ポ レ ー ト ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル ︶ (出所)福嶋路「新規事業創造についての研究の系譜:社内ベンチャーとe
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についての研究動向」 2018年、 p.14 (www.econ.tohoku.ac.jp/gakukai/articles/No27-20180927.pdf.。) 米国の最新動向について□
井住友銀行の調査では、 2018年の米国のベンチャー企業向け 投資は投資件数で8,948件と前年比5.7%減であったが、投資総額は前年比58%増の 1,309 億米ドルで過去最大となり、この背景としてe
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による投資の活発化を挙げている 18)0e
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による投資は、 2018年に前年比 1.8倍となる668億米ドルに増加し、ベンチャー投 資総額の 5割超にまで拡大している(図表-6)。大企業を中心に次世代技術や新サービス の獲得に向けてベンチャー企業やスタートアップ企業との協業を進める動きが活発化して おり、機動的な投資先選定や迅速な意思決定、そして効率的な投資管理のためにe
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を 設立・活用する事例が増加していることが伺える。 また、そうした増大傾向にあるe
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を業種別に見たものが図表ー7
である。電機やIT
、 通信業界などのテクノロジー関連企業によるもののみならず、 2018年には創薬ベンチャー などに期待を寄せるヘルスケア企業やフィンテックベンチャーとの連携を図る金融機関な どのEVE
投資の活発化がみられることが指摘されている。なおe
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投資の今後の注目点 として同調査は、以下の点を指摘している。 昨年8
月に米中摩擦の激化を背最として、対米外国投資委員会(eFIUS)
の権限が強化 され、外国企業の対米投資の審査基準が厳格化されて以降、外国企業による対米投資マイ ンドの後退の懸念もあったが、 2019年2月までの状況では、全体の 1割弱を占める中国企 業のEVE
投資はやや鈍化しているものの、中国以外の外国企業のEVE
投資は引き続き堅 調に推移しているとしている。さらに足元では、自動車や機械関連企業が、EVE
を通じて 人工知能やI
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関運のベンチャー企業に対する投資を加速化させているほか、
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コマースやウェブマーケティング関連企業との連携を模索する小売業界、 新素材開発を図る素材・化学業界などでも、 EVEの設立や投資の事例が増えているとさ れる。投資企業の裾野の広がりが、 EVE投資の拡大につながっており、日系企業のなかに も事業のイノベーションに向けてv
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への出資やEVEを通じた投資により、米国のベン チャー企業との協業を図ろうとする企業が増えている 19)0 回表ー6
米国におけるe
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の増大状況 回表ー7
業種別に見たE
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の動向 (+ほ 米ドル) 150 100 50―
va貨資額(左自盛)=
=
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投資額(左目盛) → 嘩資件数(右目盛) 1 (千件) 12゜
2008 10 12 14 16 18(年) 1、5007(件) 1、250 0 0 0 0 0 5 0 5 0 7 5 2 ヽ ー (出所)瀧雄介「活況を呈する米国ベンチャー投資と今後の注目点」『MonthlyReview』(SMBC)、2019 年、 p.2 (左図)、 p.3 (右図)。2
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日本のE
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の動向 一方、日本でのEVEの動向であるが、福島氏は社内ベンチャーとe
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への関心を新聞 記事への掲載数という点から検証している 20)。図表ー 8は社内ベンチャーとe
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の推移 を見たものであるが、 1980年代から社内ベンチャーヘの注目が増え始め、 1990年代にバブ ル崩壊やリーマンショックの影響を受け一時的な落ち込みを見せたが、 2000年代にかけて 社内ベンチャーヘの関心が再度高まりを見せた。この要因について福嶋氏は、「この時期日 本では、社員が社内の資源やリソースを使って新事業を創造するということが推奨された ことが伺える」と分析されている。これは社内ベンチャーが新事業創造やイノベーション の創造に寄与したことの現れであり、まだ自前主義的なイノベーションが潮流であったこ との現れと言える。 しかし 2010年以降に入ると、社内ベンチャーに代わる新事業創造の方法としてEVEが 関心を集め、 2014年以降急激に注H
を集めるようになる。その要因については、本稿の「は じめに」でも述べたように、金融緩和の影響が大きいと言えよう。但し、時期的にアベノ ミクスの成長戦略が本格化した時期でもあり、日本の政策的な取組みとe
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の増大は軌 を一にしていると言うことはできる。160 160 140 120 100 80 60 40 20
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図表ー 8 社内ベンチャーとe
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の推移 記事件数 - 『社内ベン チャー J⑱遂、
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b 出所)日経各紙 (日本経済新聞朝刊、日本経済新聞夕刊、日経産業新聞、日 経MJ(流通新聞)、日経金融新聞伐9、日経地方経済面、日経プラスワ ン、日経マガジン(※) での記事探索によって筆者作成 (出所)新規事業創造についての研究の系譜:社内ベンチャーとe
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についての研究動向A review of research on new business creation: Internal corporate venturing and eorporate Venture eapital 東北大学大学院経済学研究科福嶋路 pp.16. ごく最近の動向としては、 2017年の大企業の EVEによるベンチャー企業への投資件数 は前年度比 19%増の 172件にのぼり、投資額では 681億円になる。件数は 5年前に比べて 6倍、金額で 27倍である。大幅な増大と言える。また投資先では国内向けが 353億円であ るが、年々海外企業への投資の比率も半数を上回るようになっている。その理由について 福嶋氏によると、①急激な変化を見せる技術革新や競争にキャッチアップするために、世 界的にオープンイノベーションが進展したこと、②そのような中では、社内で新事業を内 部の資源を用いて創りだすには時間がかかり過ぎ、その割に成功率も高くないこと、③ま た新事業の種を外部から取り込むことによって自社が抱えるリスクを抑えつつも、新鮮な 技術を獲得できる
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という方法が好ましいということ、④もし失敗しても被害が限定 的であること、などを挙げている 21)0 なお野村氏は、最近の EVEの増大傾向ついて、 2000年代のベンチャーブームとの違い などに留意して分析している 22)。野村氏によると、 2000年代のベンチャーブーム時にも大 企業によるe
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への取り組みは見られたが、それらの多くは撤退あるいは縮小すること になった。その理由として、①当時の国内の大企業が必要とするような技術や人材、ビジ ネスモデルを持ったベンチャー企業が少なかったこと、②また、そこに投資するH
本のv
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は金融機関の子会社が中心であり、米国のv
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のように経験と投資策を育成するスキルを 持たず、 EVE が連携できるような存在ではなかったこと、などの理由で EVEが成功する 士壌に乏しかったことを指摘している叫 それに対して、現在活発化しているe
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への取り糾みは、以下の点で前回ブーム時と は異なる傾向が見られることを野村氏は指摘している 24)0 ①投資主体が異なる:前回ブーム時は大手電機メーカーが中心であったが、今同はネット 系企業(ヤフー、 リクルートなど)や通信・放送系 (KDDI、NTTドコモ、フジテレビなど)が中心となり、ベンチャー企業出身者(サイバーエージェント、グリーなど) が EVEを設立・運営するケースも多い。 ②投資ステージが異なる:レイターステージからスタートアップ・アーリーステージヘ移 行している。 ③手法が異なる:資金拠出ばかりでなく、企業の育成(インキュベーション)にも注力し ている。社内の目利き人材の育成にも併せて取り組んでおり、その結呆、投資期間も長 期化する傾向がある。 そうした新たな特質が生まれる背景として野村氏は、インターネットの普及やクラウド・ サービスの発展に伴い、低コスト・少人数で起業可能な
IT
系ベンチャーが創出されやす い環境にあること、さらには、主に第三次ベンチャーブーム時に設立されたベンチャー創 業者達が、自らの経験をもとに創業段階からベンチャー企業を支援するシード・アクセラ レーターの役割を果たしていること、などを挙げている。但し、「現状、こうした車例はい まだ数少なく、製造業を含め多くの大企業において、国内で EVEを設立して積極的に活 用しようとする動きはほとんど見られない。このため、わが国企業社会のムーブメントと いうには、程遠い状況である」との指摘も付け加えている 25)。2010年以降に設立された主 要なe
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としては、図表ー 9のケースが挙げられる。 図表ー 9 最近設立された主要なe
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の事例 社名/プロジェクト名 設立時期 ファンド総額 ファンド概妻GREE Ventures, Inc. 2011年II月 70恒円 日本、東南アジア国 で ネットビジネスに1l11わるテクノロジー・サービス企菓に投資. 20{軒qでスタートし、2014年5月にso億円の2号ファンドを設立
Klab Ventures 2011年12月 30!還円 モパイルゲームのKlabとVCDJSBインベストメントの]Vとして設立.国内・アジアのインターネッ ト企葉に投資.ソーシャル、ソフトウェア、 EC- クラウド閲運が注力頭域
KDDIO 匹F~unInd.novation 2012年2月 SO{IPJ 国内外のIT系ベンチャーヘの投資・事業運営文ブ援レをイ実ン施が.担2当014年7月に追加でSO{軒qの2号ファン ドを設立。ファンド逼用はVe.a)グローバル・
Ylキャピタル(ヤフー) 2012年9月 30!訥 Yチaャhooー!にJ投apa資n.ク2ル01フのシナジ・効li!にこたわらす、シ ドからレ タ・人アジのIT系ベン
15年1月には200億円規模の2号ファンドを設立. ドコモ・イノベーシコン 2013年 祖 ファンド (DIF) 10呻 │ ((31))ドコモ イノベ ションピレレ&ッネジッ(ト企分業野支で援のプ投ロ資グをラ実ム施)、しL}rコモ・イノベ ンヨンファンド 事業閏発の3本柱で、リア/ フジスタートアッブベン 2013年2月 1填円 スタートアップ、アーリースプージのインターネット・モバイル分野に特化したvc. チャーズ 投資上隔金頓は1個円 アイマーキュリーキャピタル 2013年7月 SO{患円 ミクシィ社ーのト事ア葉ッポプかートフォリオを拡大し、非通綬な成長を実現するために設立する投資子会 (mixil 社.スタ らレイターステージまで、オンライン事業・オフライン事業の双方が対象 TBSイノベーションパート 2013年10月 1 8 T製B作S<が・流員鑽通シ、ナEジー創出のため、デジタルメデイア、コミュニケーションプラ資ッがト原フ則ォーム、動画 ナーズ コマース、エンターテイメント分野に待化.マイノリティー出 サイバーエージェント 2013年10月 100僭F3 藤田社長目ら投資判囲を行う.事業団だけでなく、経営者の人閏性も重視し、ミドル、レイター 信爾田ファンド) ステージのIT企業をターゲットとする.ファンド形慇ではなく、本社で10暉]円の予算を確保 Rakuten Ventures 2014年6月 1億米ドル イスラエル・アジア太平洋地域・米国でのアーリーステージにおけるベンチャー企業に投資 (シンガポール) オムロンベンチャーズ 2014年7月 30(記 センサー、ヘルスケア、フイフサイエンス、JOT、農羮、ウェアフブルテパイス、衷境・エネル ギー分野で、オムロンとシナジーが見込めるベンチで一企業がターゲット インフォコム 2014年8月 20{DPJ 米国、アジア新興国におけるヘルスケア、ネットピジネス、IoT、ウエアっプル分野でのスター (シリコンパレー)トアップベンチャーに特化 電 ベンチャーズ 2015年4月 soi記 主に海外のベンチャー企業およびシード/アー')-ステージの日本企業を対象に投資を行う. 運用はフィールドマネージメントキャビタルが協力 ABCドリームベンチャーズ 2015年6月 12億円 当 1111 は投資頷域を屈定せず輻広く検討•アーリーステージからレイターステージの約30l!前後に放送事笑とシナジーのある1T、コンテンツ、エンタープインメント領域の事業者を涅想としつつ、 (朝日放送) 投資を計画 (出所)青木義則 (PwCアドバイザリー合同会社)「M&Aコンサルタントコラム:EVEファンドを活用 した事業シナジー創出で押さえておくべき5つの視点」 (https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/ ma/150930.htmlょり)。 野村氏は、 H本の EVEの特徴を米国と比較して 3点指摘し、課題があることにも言及 している 26)。
第一に、米国では幅広い業種で EVEがみられるのに対して、現在H本で活発な動きを 見せている
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は、ネット系や通信・放送系の事業会社が中心であり、投資対象もわが 国は 1社当たりの投資額が比較的小さく、長期間を要さないリスクも小さいと思われるイ ンターネット系のベンチャー企業が多いという状況である。インターネット系ベンチャー 企業が創出されやすい環境が整ってきたことが背最にあると考えられるが、わが国の製造 業系の大企業は、過去にベンチャー投資に失敗した経験があることから、投資額が大きく リスクも高い技術系ベンチャー企業に対する投資に消極的になっていることがあるとみら れる。第二に、米国ではv
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投資の出口 (Exit)として株式公開 (IPO)よりも M&Aが 主流となっている。 2013年の Exitの実績を見ると、 M&Aが 377件であるのに対し、 IPOは 82件と米国ではM&Aが 8割以上を占めている。 EVEを通じた投資が増加する につれ、投資企業による投資先ベンチャー企業の子会社化などといった形で、 M&Aを受 ける機会が一段と増加しているとみられる。対してH本の場合、出口として IPOが多く、 より多くの時間と費用がかかる点が課題といえる。 第三に、動きが早いベンチャーの世界においては、EVEが投資するに当たって迅速な意 思決定が求められる。また、 EVEが投資するベンチャー企業は本体の R&D部門と競合 する可能性もある。さらにe
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は、投資対象選定に当たり各事業部門のニーズを吸い上 げたり、ハンズオン支援で事業部門の協力を必要とする場面も多い。こうしたことから、 米国の EVEは、事業部門との緊密なコミュニケーションやスムーズなコンセンサス形成 に向けて、親会社の経営トップによる強いコミットメントやEVEに対する本体からの権 限移譲がなされ、独立性の確保も重視されている。一方、日本の EVEの場合は投資の権 限を与えられておらず、投資のノウハウを持ち合わせていないために、成呆が上げられず に撤退しているところも多い。 こうした指摘に関して、筆者なりの考察を加えておく。未だ日本の EVEは、対象とす る投資先の業種もネット系に絞られ規模も小さく、米国に比べれば未熟である点の指摘に 対してであるが、筆者はAIやIOTといった次枇代を担う業種への EVEの増大という点 は望ましい傾向にあると認識している。研究開発や新規事業の開拓は、次世代の領域への 着手を必要不可欠とし、緩和マネーを活用しやすい環境下のオープンイノベーション手法 としての EVE戦略は非常に有効な戦略であり、米国亜みとはいかないまでも注目できる 傾向とみている。ただ野村氏の第二の指摘にあるように、米国の EVE戦略の出口がIPOより M&Aにあ るのに対して、日本の場合IPOにあるという指摘は重要であろう。というのも、 EVEは 自社の研究閲発力や新規事業の開拓力の向上に最終ゴールがある。財務的な運用益を得る 日的も併せて
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戦略を展開することもあるが、研究開発力と新規事業開拓力の向上こ そが主目的となる。とすれば、 EVEの出口はIPOよりも M&Aで自社内に吸収する方が 目的に適っている。この点、日本のEVE戦略の課題と言える。経済産業省もこの点、同じ ような指摘をしている。 経済産業省は、平成28、29年度産業技術調査事業(研究開発型ベンチャー企業と事業会 社の連携加速向けた調査)を実施し、遮携の実態と課題やそれらを解決するための企業の 取組みを分析している。そのなかで、 EVEの設立や利用が増加している傾向がみられるも のの、連携効果は末だ十分に得られておらず(図表ー10)、事業会社がイノベーションの取り込みを考える場合、 M&Aなどの連携が必要となるが日本の EVEでは、ベンチャー企業 の EXIT形態として IPOが主体となっており、課題と言える点を指摘している 27)0 囮表ー
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日本のE
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投資額の推移ならびに問題状況 国内外のEVE投 賣 額豪1の年度措移 (懺円) 130 日本企業のEVE投 資 額 は 急 増 120 110 100 72 63 88 120 112 79 90 80 70 60 50 40 30 20 10 │ 12゜
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年置) ※1 VECによる民間のEVE子会社向けのアンケートのうち、 回答が得られたEVEによる国内外向けの投資金額の合計値 ※2 2018年の値は、 2018年Q1-Q3までの投資額を合算 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 運用期間別のEVEファンドの問題状況 設立後、年数が経過するに従い、問題が発生 、 ` -‘ ‘ヽ. ヽ.、~ 81% 65% 1年未瀾の回答着 1-3年の固答着 3年以上の回答看 ー 非鸞に順··おおむね順• 一 全く順・ではない・ あまり順鯛ではない (出所)経済産業省 産業技術環境局 技術振興・大学連携推進課『事業会社と研究開発型ベンチャー企業 の連携のための手引き(第三版)』2019年、p.14(https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/venture/ tebiki3.pdf)4.
日本企業の E V Eの 事 例 そうした課題はあるが、徐々に新しい戦略が展開されていることも事実であり、事例を検 証して実態に迫ってみたい。今回は、経済産業省が平成 28、29年度産業技術調査事業(研 究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速向けた調査)にて取り挙げている先進事例 (KDDI、ニコン、旭化成)を取り挙げていく。1) KDDI (KDDI Open Innovation Fund) の事例
KDDIは、 2012年 2月にグローバル・ブレイン株式会社と共同で KDDIOpen Innovation Fund」(登記上の名称: KDDI新規事業育成投資事業有限責任組合)を起ち上げ、国内外 の IT系ベンチャー企業を投資対象とした EVE戦略を実践している。この第 1号ファンド は、運用期間 2022年 1月までの 10年間を予定したファンドで運用総額 50億円であった。 以降 2014年に 2号ファンド(総額 50億円、国内外のスタートアップ企業を対象、 2024年 5月までの 10年間を予定)を起ち上げ、さらに 2018年 4月には第 3号ファンド (=KOIF3 号、総額 200億円)を起ち上げて
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戦略を推し進めている。 KOIF3号は、 AI、loT、ビッグデータなど、 5G時代にますます重要性が高まる分野に対 して取り糾みを強化する「投資プログラム」を設定し、 KDDIおよび KDDIグループ会社が持つベンチャー企業とのネットワークや技術・ビジネスに対する知見を活用して有望な ベンチャー企業を発掘することを目的としている 28)。KOIF3号の出資対象の一覧は図表 -11のとおりである。毎月 1から 2件のペースで出資している様子であり、非常に積極的 な
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戦略を実施していると言えよう。 回表ー1
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号による投資一覧 2019年 対象企業 8月 マイクロモビリティシェアリングサービスベンチャー「 NeutronHoldings (Lime)」に出資 7月 独自の機械学習技術を持つエッジAlベンチャー「株式会社アラヤ」に出資 P2Pレンディングプラットフォームで少額ローンを提供する DigitalAlphaに出資 動画コンテンツを企画・制作・配信する ONEMEDIAへ出資 5月 波動制御技術をコアとした視聴触覚技術の社会実装を行うピクシーダストテクノロジーズヘ出資 KDDIとスマートキャンプ、 Saasビジネスの拡大に向けた業務提携契約を締結(スマートキャンプに出資) 飲食店向けモバイル自動化ソリューションを提供する Okage株式会社に出資 高度な自然言語理解・ディープラーニング技術をベースに企業向けA│‘ノリューションを提供する Allganize,Incに追加投資 ライブ配信に特化した事業を展開する株式会社ライバーに出資 4月 VR会議などVRコラボレーションサービスを提供する株式会社Synam on(シナモン)に出資 3月保育ICT化支援事業を行う「 KidsDiary」への出資について 騰入型・寄付型クラウドファンディングを展開する株式会社CAMPFIREに出資 2月 シェアフロント型コンパクトホテルを展開する株式会社 Hasty(ホスティ)に出資 1月 大規模データ統合、解析プラットフォームを開発する GeoSpock(ジオスポック)に出資 2018年 9月 パーチャルイベントプラットフォーム「cluster」を提供するクラスター株式会社に出資 8月 SORACOM loT Fund Programを通じ、アジアの通信スタートアップ企業である UnaB口に出資 6月 loTデバイスマネジメントプラットフォームを提供する Resinioに出資 (出所) KDDIニュースリリース一覧から筆者作成 経団連は、『Society5. 0実現に向けたベンチャー・エコシステムの進化』 (2019) に おいて、デジタル時代における新規事業の創出に向けて、ベンチャー企業との連携やe
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の重要性を提唱しており、企業事例集の中でKDDIの取り組みを取り挙げている。経団連 はデジタル時代を「Society5. 0」時代と見倣し、「創造社会」すなわち「デジタル革新と多 様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」で ある、と定義している竺 デジタル革新などの変化が大きい世界においては、ビジョンを明確にして新たなビジネ スに挑戦するスタートアップ企業の役割が期待され、既存企業は業態転換も含めて高い付 加価値を生み出す企業に成長していくためには、そうしたスタートアップをはじめとする 外部機関とのオープンイノベーションが有効であることを強調している。オープンイノベ ーションを通じて、新領域における「 O→ 1」の事業開発をスタートアップとリスクをシ ェアしながら挑戦することが可能となるとしている。そのなかでKDDIの取り組みにつき 触れている。組織的な特質を取り上げ(図表ー12)、オープンイノベーション部門をe
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の取り組み部門とし、本体部門との間にさらに新規ビジネス開発組織を設けて3階層組織 で新規事業を取り込んでいるところを重視している。図表ー12 KDDIのEVEと全体の組織体制 新 規 ビ ジ ネ ス 開発組
三
己
K D D Iロ
本 体曰曰ど口
(出所)経団連『Society5.0実 現 に 向 け た ベ ン チ ャ ー ・ エ コ シ ス テ ム の 進 化 』(www.keidanren.or.jp/policy/ 2019/012_J.irei.pdf)、2019年、 p.5. KDDIのEVEに対する取り糾みや工夫は、図表ー13にまとめた通りであるが、重要と 思われるところをもう少し詳しく整理しておく 30)。「事菓部門の巻き込み」のための具体策 は、ベンチャー企業との連携に関わるニュースを定期的に外部にプレリリースで発信する ことによって、内部社員へのファンドヘの認知度を高めることができ、さまざまな事業部 からの持ち込み案件が増加したという。「人材・スキル強化」のための具体策は、グローバ ル・ブレインとの協業により、 EVEファンドの運営能力の向上が図れた。また、 EVE担 当者には1か月に 1社、自分で有望と思われるベンチャー企業を探索し、実際に相手の社 員と会い社内で報告することを課すことにより、内部人材の強化を図った、といった取り 糾みが推進されていた。 回表ー13 KDDIのEVEに関する取り組みの工夫 EVEの 繹 穎 KDDIの 対 応 人 材・スキル強化 9人材・スキル強化 協業のIt進 • 2013年当時はガラケーからスマホヘの急速なシフトが進んでいたが、auはガラケーをブラット フォームとしたalf/ョッピノグモールのみ展間。スマホに対するサーピスを既に展,したルクffr サと の 協業を通じて、環境変化に迅速に対応する必要性を事業部に訴え、同社との 資本業務憬濱を 進めた。 ・ペンチャー企莱との連憬に関わるニュースを定期的に外部にブレスリリースで発f言することによ り`内部の社員のファンドヘの認知度を高める. ・事莱部からの認知が高まったことにより、事菜部からの持ち込み案件が1::カ几ている。 ・グローパル・プレインとの協莱によるファンド運営能力の強化を図っている。KDDIはソーシ`ノグ、 事業・シーズの評価、協莱シナリオ楕築 協 業 を 担 当し`グローパル・プレイノはソーシング、パ リュエーション`DD`投資後のモニタリングなどを担当している. • eve担当者に対し、1ヶ月に1社自分で有望なベーノチャー企薬を探索し、実際に会い、社内に報 告することを諜すことら(より`内部人材の強化を図っている。│
• グローパル・プレイン、その他のLPファンドのディールフローを活用. • これまでの投資実績や 3号ファ`ノドの立ち上げ、社長の 01 に対する前向きな姿梵などが ベ`ノチャーコミュニティ(こ評価され、EVE活動の認知度向上に繋がった. ・基本的に出資時(□サイドレターや知的財産権を要求することはせず、常(こペンチャーの 成長を 第一(こ考えた「バートナーファースト」の楕神(項llって行動する方針をとっている。 (出所)経済産業省、前掲(「手引き(第三版)」、 2019年、 p.72.2)ニコンの事例 ニコンは、 2014年の中期経営計画おいて、ヘルスケア事業を新たな成長ドライバーとし て設定した。経営資源を既存事業から成長ドライバーヘシフトさせ、今後の成長が見込め る健康・医療・バイオ分野における新規事業の創出育成を図ることになったわけであるが、 その際、当該領域での M&Aを達成する手段として
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を活用するに至ったものである。 2014年に発表した中期経営計画で 300億円をe
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プログラムに投資する方針を示され、 2015年から複数のv
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を通じて 100億円を投資している。 さらに 2016年 7月に、ベンチャー企業との連携を加速させる取り組みの一環として、 2 人組合形式のプライベートファンドを設立し、 100億円の運用を開始している。ニコンが ベンチャー企業の技術精査を行い、SBI
インベストメントがソーシングを行い、投資検討 先の事業評価や財務的観点からの評価、そしてファンド運営関連業務をファンドが担当し た。スキームは図表ー 14のとおりである。ファンド運営に関わる包括的なスキルを外部か ら補完している叫 図表ー14 ニコンのEVEのスキーム ニコンによる投資スキーム ニコン廷
Nikon-SB I Innovation Fund ベンチャー企業 SBIインベストメント (出所) 経産省、前掲(「手引き(第3版)」、 p.54. ニコンの投資の特徴としては、 3つの方針に基づいて運用しているところにあった。① 投資対象の事業領域が自社に近く投資金額が大きい場合には、本体から直接に対象となる ベンチャー企業へ投資を行う、②投資対象の事業領域が自社と少し離れており、保管や代 替する領域であり、なおかつ長資金額が大きくない場合には、 EVEファンドによる投資を 行う、③新規参入市場などの情報収集を目的とする場合には、外部のベンチャーに対して L P出資を行う、といった区分のもとでe
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投資戦略を採っていた32)。 また、 EVE戦略に向けた工夫としては、以下のようなものがあった(図表ー 15)。「事業 部の巻き込み」ということでは、 L P出資を行いベンチャー企業に講演をしてもらうこと をオープンイノベーションのための情報収集とみなし、EVE戦略に対する事業部の指示を 得ることができた。あるいは社内で複数回の説明会やワークショップを行い、 EVEプログ ラムの認知を図っていた。「人材・スキルの強化」ということでは、 S BIインベストメン トとの共同運営によりファンド運用のノウハウの吸収を図り、人材のスキルの強化を行っている。また、投資先のベンチャー企業によるアクセラレータープログラムによりニコン の社員の投資の目利き力の向上や事業育成能力の向上などを図っていた33)0 囮表ー
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ニコンのE
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投資戦略の取組みの工夫 CVO O課題 事業 部 の 巻 き 込 み"釦巻き吟
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人 材・ス キ ル 強 化I
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人 材・ス キ ル 強 化 ニコンの対応 • LP出資を行い、ベンチャー企業(こ講演して貰う等の取り組みを印,ヽ、オーブンイノベーション による情報収集が 事業部にとってメリットがあることを理解してもらうことにより、EVEに対 する事業部の支持を獲毎。► Vet のサイドレターによって、VEファンドヘの出資契約前に、VE による DemoDay(!)
開催や、ディールソースの定期的な情報提供を義務化。 当初はメディカル の 領域に 特化していたが社内の月1切事業部門から他のテーマでのべ`ノチャー企業の探索•投 資も行ってほしいとの要習}あり、対即Jていった. ・社内で複数回の説明会やワークジョッブを開 餡ノて社員の 応募を募り、社内コミュ=ケージョ ンを通じてブログラムの認知を図った。 ・ブログラムの審査員を経営陣(こすることにより、社員のモチベージョ`ノを高めブログラムに巻 き込んだ. • S81インペスト父ノトとのファンドの共同運営による`ファンド運営ノウハウの吸収及び内部 人材のスキ)し強化。 ベンチャー企業のコーポレートアクセラレーターブログラムや、社内の NikonInt『apreneu「 Programを通じ て社 員の投資の目利き力 の 向 上 や社員の事業育成能力の向上を図っ ている。 (出所)経産省、前掲(「手引き(第3版)」)、 p.76. 3)旭化成の事例 旭化成は 2008年から米シリコンバレーやボストンを拠点にコーポレートベンチャーキ ャピタル (CVC)を運営し、水処理や殺菌デバイス、正極材など多分野に渡る 15社に投資 を開始し始めた叫米国を拠点としているところに特徴があるが、オープンイノベーショ ンによる新規事業開発に向けて
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戦略を位置づけ、実施に移している(図表ー 16)。投 資対象はすべてのステージのベンチャー企業とし、数十万ドルから数百万ドルまでの規模 の投資を実施している。 2016年以降、米国現地の投資委員会で投資決定を行える体制に変更を加えた。それまで は現地で検討したうえで本社に案件を持ち帰り、本社重役を含むメンバーで投資判断を行 っていた。東京の投資委員会で決定を行うため、決定までには数ヵ月を要した。 2016年以 降は意思決定の迅速化を図るため、投資案件を現地で検索後、日本の部長クラス、現地のe
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責任者および経験豊富なメンバーで投資判断され、決定までの時間が大幅に短縮され ることとなった(図表一 17)。意思決定プロセスを変えた 2016年以降に投資が加速してい った。 2008年から 2018年 12月の 10年間で 18件の投資を実施しているが、半数以上の 12 件を 2016年以降に実施している 35)0図表ー16 旭化成のEVE戦 略 構 想
多様性を活かした当社の「技術
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事業の組合
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」で価値を創出
多彩な技術
多角的な事業
・桑材、デパイス •生産技術 ・システム •分析、解析 etc 旭化成の
強み ・楳維 ・ケミカル ・エレクトロークス ・住宅 ・建材 ・医薬・医原 ・クリティカJUTy︱
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︱ ︱ ︱ ︱曼
︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ _ ——— -4 -︱ ︱ — > — ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱1
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(出所)『旭化成グループの新事業創出戦略』(www.asahi-kasei.eo.jp/asahi/jp/ir/library/…/170412.pdf.plS.) 回表ー17 旭化成のEVEに関する取り組みの工夫 EVEの諜頑 旭 化 成 の 対 応 経営との握り ・市場(新規・既存)X技術(新規・既存)のアンゾフのマトリックスの中で、市場も技術も新規の右 上のセルは、自社にとって最も阪功確率が低心そこを自社')‘ノースだけで1テうよりも、先進的な ベンチャー企莱と連肉ノて取り組むぺき、と経宮に訴えた. ・「自社の年間R&D費が約800億円.そのうちの数%を外部1)R&Dプロジェクトである ベンチャー企莱に投資したい.」 目的 にm
ンた投資方 針 の 設 定 ・革新(市場)X革新(技術)の分野(ホワイトスペースに対する投資)が投資領域. • 1f牛あたり 5百万米ドルまで、現地(米国)の投資委員会で意思決定することができるよう投計. 意思決定ブロセスを変えた2016年以降に投資が力0速した。2018年12月までの10年間で18件の 投資を実院している。そのうち、半数以上の12件を2016年以降の2年間に冥想ノている. ・ 探索•投資したVBQ) 社内データペースを構築することで、事莱部(引閲覧の上、VB連携に取組め るようになる. ・事莱部が特定領域でのペンチャー企菓を探索したい場合、事菓部社員をEVEに派違. ( 出 所 ) 経 産 省 、 前 掲 ( 「 手 引 き ( 第3版)」)、 p.80.5.
ま と め に か え て 以上、最近のEVEの取り組み事情を簡単ではあるが考察してきた。日本のEVEは環境 が縣い戦略的にも定着して成果を上げてきているという段階には至っていないと言えよう。 投資件数や投資後の成果、最終的に M&A‘により社内に取り込み、新規事業へと育成した 成功例などは、まだ数は多くなく今後に期待する様相を呈しているといえる。 しかし、金融緩和といった情勢や次世代技術やマーケットをチャンスと見倣したベンチ ャー企業やスタートアップ企業が台頭し、IOT
やAI
などの最新のデジタル化がそうした 環境をますます促すといった様相が構造化しつつあるのが現代的特質と言えるなか、 EVE を通じたオープンイノベーションと新規事業の開拓は極めて有益な戦略手段である。 KDDIは、すでに数多くの投資案件を手掛けており、次世代の領域を意識しての投資も多 く、本業とのシナジーとも整合性が強い取り組みと言える。組織スキームも3層体制を形 成しているところなども参考になる。ニコンの事例でも、投資内容を3種類に区分しなが ら自社の成長にあった育成マネジメントを EVE戦略に組み込んでいる。投資先のノウハ ウを自社の事業部内に取り込もうとするマネジメントや人材育成のマネジメントもプログ ラム化しており、 EVE戦略は財務的な運用とは異なる、より構造的な事業改革・事業改善 マネジメントにつながるオープンイノベーション手段となっていると言える。主役は大企 業が中心であり、だからこそ実践できる戦略とも言えるが、投資先はH
本国内に限らず世 界的な視野に立っての EVE戦略を目指していく必要があろう。その点、旭化成の米国に 拠点を置いたe
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など有力な成功事例と言える。 最後にそうした前向きの動向を加味しながらの今後の課題に言及して本稿を閉じること にする。 まず、投資先企業がベンチャー企業やスタートアップ企業から新規技術やノウハウを社 内に吸収し、新規事業の実現に活かせることがしつかりできるかという点である。投資先 企業とスタートアップ企業との連携を取り持つマッチング会社やマッチングビジネスもす でに存在している。そうした仲介を活用すれば効率よく協業を模索できる。環境としては 悪いことではないが、そうした仲介ビジネスを手掛ける「eREW」の伊地知天代表取締役 は、「活動を続け社内にノウハウをためないとデジタルの発達において行かれる」とし、連 携のプログラムの後こそ肝心であることに言及している36)。財務的な運用ではなく、また ベンチャー企業を育成する役割を果たすわけでもない。自社に技術移転し吸収していく継 続的なノウハウを培う必要がある戦略がEVE戦略と言える。 第2は、技術移転と吸収のプロセスとも関連するが、 EVE部門と M&A部門との連携作 りが大切となる。日本ベンチャーキャピタル協会 (JVeA) によると、「スタートアップの 質は高まっており、買い手側はEVEとM&A部門が連動した体制整備が求められている」 と指摘している叫スタートアップの開発者をそのまま社内の事業部門の責任者に配属し、 起業家の能力を継続的に引き出すといった人材活用とe
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を行う側の連携の重要性であ る。例えば、米グーグルが提供する OSであるアンドロイドは、もともとスタートアップ の技術であったが、グーグルは買収後にアンドロイドの開発者をスマホ事業の責任者に抜 擢している。 M&Aで若い企業の技術やサービスを取り込むには、そうしたEVEを実施す る側の企業内の連携や吸収するマネジメントノウハウの確立が必要となるといえる。第3に ス タ ー ト ア ッ プ や ベ ン チ ャ ー 企 業 側 の 課 題 と 言 え る が 、 抜 群 の ア イ デ ィ ア で 起 業 し た の に 、 特 許 を 取 ら な か っ た た め に 競 合 企 業 に 真 似 さ れ て し ま い 、 ピ ン チ に 陥 る と い っ た 状 況 も 散 見 さ れ て い る 。 ス タ ー ト ア ッ プ 企 業 や ベ ン チ ャ ー 企 業 側 に 知 的 財 産 へ の 関 心 が 薄 い こ と か ら 陥 る 場 合 が 多 い 38) 。 そ う し た 知 的 財 産 管 理 に 関 し て 、 今 後 は
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側 も マ ネ ジ メ ン ト ノ ウ ハ ウ を 提 供 し 、 連 携 の 際 に は 留 意 し て い く こ と が 必 要 と い え る 。注
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1)オープン・イノベーションに関しては、チェスプロウ氏による先駆的な研究をはじめ、多くの研究が積み 重ねられている。以下の文献などを参照されたい。 2)青木義則「 EVEファンドを活用した.ベンチャー企業とのオープンイノベーション一事業シナジー創出 で押さえておくべき5つの視点ー」『eve実態調査』、2017年、p.5 (https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/ thoughtleadership/2018/assets/pdf/tmt-cvc.pdfを参照している。 3)なお、 VEとeveとのビジネスモデルの違いや資金調達の違いに関しては、国立研究開発法人新エネルギ ー・産業技術総合開発機構『研究開発型ベンチャー企業の資本政策立案の手引』2018年、 pp.8-11ならび に出縄良人「オープンイノベーションを具現化するeve(コーポレートベンチャーキャピタル)の活用と 実践」 2016年、 pp.I-11 (https://www.danvc.com/eVeF.pdf)などを参照されたい。 4)倉林 陽「コーポレートベンチャーキャピタルにおける組織とパフォーマンス」 (GraduateSchool of Policy and Management, Doshisha University、2016年、 pp.37-38.5)Kortum, S. and Lerner, J., Assessing the contribution of venture capital to innovation?, The Rand Journal of Economics, 2000, 31 (4), pp. 674-692を参照されたい。
6)Ahuja, G. and Lampert, e., Entrepreneurship in the large corporation, Strategic Management Journal 21, 2001, pp. 267-294を参照されたい。
7)倉林、前掲論文、 p.38.
8) 同上ならびに Lichtenthaler,U. and Lichtenthaler, E., A eapability-Based Framework for Open Innovation: eomplementing Absorptive eapacity, Journal of Management Studies, 2009を参照された
9)ナショナルイノベーションに関しては、 OEeDのなどが参考になる。 10)野村敦子「いま必要とされる eveへの取り組み∼既存企業とベンチャーの連携促進に向けて∼」 『ReseachFocus』(日本総研)、 2014年、 pp.2-3を参照している。 11)同上. 12)同上、 p.3. 13)倉林、前掲論文、 pp.38. 14)倉林、前掲論文、 pp.38-39を参照されたい。 15)veゃeveの歴史的な考察については、福嶋路「新規事業創造についての研究の系譜:社内ベンチャ ーと eveについての研究動向」2018年、pp.13-17を参照されたい(www.econ.tohoku.ac.jp/gakukai/ articles/No27-20180927.pdf.。) 16)同上、 p.14. 17)同上、 pp.14-15.