2−D−12
1996年度日本オペレーションズ・リサーチ学会 秋季研究発表会シーンチェンジのあるビデオデータの分析とモデル化
康朝雄 俊和幸 杉林橋 蔵小高02102310 NEC C&C研究所
01108900 NEC C&C研究所
01302440 東京工業大学
KURASUGIToshiyasu KOBAYASHIKazutomo TAKAHASHI Yukio2.シミュレーションとその結果の分析
図1は実データの一部、図2はシミュレーショ ンで作成したデータの一部、図4はそれらの自己相 関関数である。カメラを大きく振るシーンタイプで は自己回帰過程がうまく合致せず、図2ではその部 分が高い値でフラットになっているが、その点を除 けば比較的よくモデル化できている。図3はFBM の一例である。これだけからもFBMが実データ とかなり異なっていることが見て取れる。 図5は1.r.d.であるかどうかを判定するための R/S分析の結果である。先の方でグラフがほぼ1/2 の傾きになっていればそれはs.1・.d.(shortrangede− pendent)であり、傾きが1/2より大きければそれ は1.r.d.である、と判定される。この図から、実デー タとシミュレーションデータはともに1.r.d.の性質 を持つと見て取れる。参考のために掲げた2次の自 己回帰過程では傾きが1/2に近づいている。FBM も、当然1.1・.d.であることが確かめられる。 図6,7は実データ、シミュレーションデータ、 FBMに対するスペクトル密度関数である。実デー タとシミュレーションデータでは、傾きが−1より 小さくなっているのに対し、FBMでは傾きが−1 より大きくなっている。これは実際のビデオ伝送 データがFBMとはかなり異なった確率過程である ことをはっきりと示している。 さらに、シミュレーションモデルによる過程を多 数生成しそれをATM統計多重機モデルへ投入した ときの定常状態におけるセル数(待ち行列長)の分 布の裾も調べたが、これは占.1・.d.であることを前提 にして導いた近似式と比較的よくあっていた。 以上から、少なくともここで扱ったビデオ伝送 データは1.r.d.の性質を示すがMarkov的性質もも ち、FBMとはかなり異なることが確認された。 1.はじめに これからのATMネットワークにおいて、ビデオ 伝送データは最も重要・なトラヒックになると考えら れる。しかしながら、そのトラヒック特性について 知られていることは少なく、解析手段も確立してい ない。ここではVBR(Vaxiablebitrate)方式のビデ オ伝送データに対して、それを統計的に解析し、そ の結果に基づいてモデル化を試みた。また、このモ デルによるシミュレーションを実施し、各種の統計 的性質について、実データおよびFBM(Fractional Brownianmotion)過程と比較を行った。 ここでFBMと比較をしたのはつぎの理由によ る。J.Beranら(躇且g升αれβ・Commum・(1995)) は、多数のビデオ伝送データを分析して、それらが 1.r.d.(longrangedependent)な過程であり、従来 のMarlくOV型の確率過程とは本質的に異なる、と 主張した。そして1.r.d.な過程の例としてFI】Mを 紹介した。 ここでの研究の主要な目的のひとつは、この1.r.d. という性質がわれわれが解析した実データばかりで なくわれわれが導いたMarkov型のモデルにもみ られ、しかもこれらの過程は明らかにFBMとは 異なる挙動をする、ということを実際に示すことで ある。 2.解析とモデル化 ある1本の映画をH.261を拡張した方式で圧縮 したVBIもビデオ伝送データの伝送速度の変化を時 系列としてとらえ、それを統計的に解析した。ここ での解析の特徴は、映画のシーンをカメラワークと 対象物の動きによって5種類のタイプに分類し、そ れぞれのタイプごとに各シーンを統計的に解析した ことである。この統計解析に基づいて、つぎのよう なモデル化を行った。 1.シーンのタイプはあるマルコフ連鎖にしたがっ て推移する。 2.各シーンにおける伝送速度の変化は自己回帰過 程でモデル化する。そのときの次数、シーンの 長さ、平均伝送速度などのパラメータは、シー ンタイプ固有の分布にしたがってランダムに設 定する。 ●○ ●■⊃○ ヽ●○ ■00 ■■11⊃ ●00 =■t■d 一00 一■○ ●00 T」L■■■ヽ■一図3 FBM(FractionalBraownianMotion)
−216− © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.つ■.く> ●l」> ■■ く▲ こ▲ ■> il.▲> l く▲ く) ヽ′(■り ●ヽ・●■一●一一 図2 シミュレーションデータ 8 nり 〇. γ 0 1 2 3 4 5 しOgU R/S関数(実データ、シミュレー ションデータ、2次自己回帰過程) 0 1000 2000 3000 4000 5000 】 図4 自己相関関数(実データ、 シミュレーションデータ) 図5 2 1.5 u ヽ一 l h ひ 0 0.さ J O ・0.5 1 ・1.5 −2 ・2.5 こ︶ds ひOJ _− 1 l・5 2 2・5 3 3・5 ‘ ●.さ 5 L09f 図6 スペクトル密度関数(実データ、 シミュレーションデータ) 1 l・5 2 2・5 3 3・5 一 り 5 L09f 図7 スペクトル密度関数(FBM) 一217− © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.