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確率モデルによる釣銭の準備枚数の考察

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Academic year: 2021

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メモランダム

乙のコラムは .OR にかかわる概念,知識(手法,原理λ それらの図解,よい教材や問題,実学 OR の実施経験,そとから得られた知恵やアドパイス,失敗談と教訓.新しい視点,視座,フレー ムワーク,未だ解けていない問題,面白い研究テー 7 などを,“新鮮に.しかも“コンパク ~IC" 表現し,提示していただくものです.ユニークなアイディア,フレッシュな見方,発想,だれかと 意見をたたかわせたい問題提起など,ふるってど投稿ください. (原稿は,刷り上がり,半ページ から 3 ページ lζ納まるようにお書きください.簡潔 IC ノ 加筆訂正をお願いする場合があります〉

確率モデノレによる釣銭の準備枚数の考察

高田克巳,山田茂,尾崎俊治

1

.

はじめに

平成元年 4 月より消費税制度が実施されており,商店 などで買物をするさいに,代金の支払いに 1 円玉や 5 円 玉を使う場合が非常に増えてきた.このことは,客が支 払いに煩雑さを感じることもさることながら,当該商店 にとっては釣銭として i 円玉や 5 円玉をどのくらい準備 しておけばよし、かということが重要な問題となる.そこ で,この問題について考えてみることにする. この種の問題に関する研究としては,会員制の会合に おける釣銭の準備額を取り扱ったものがある(文献日 J). そこでは, 1) 支払い代金があらかじめ決められている, 2) 参加者はできるだけ釣銭がなくて済むように支払う, とし、う仮定のもとで,マルコプ連鎖を用いて議論されて いる. 本研究では,一般的な商店における買物を議論の対象 として,支払い代金および客の支払い方法に不確実性を もたせることにする.

2

.

毛デル化

2

.

1

ラ考え方 上記の問題は,吸収壁が 1 つの 1 次元ランダムウオー クとして取り扱うことができる (図 1 参照). 最初の時 点,すなわちある商店における客数が 0 人のときの釣銭 の準備枚数は,客数が増えるにつれて幾通りにも推移し ていく.ただし,本研究では釣銭として l 円玉と 5 円玉 を考え,商店におけるレジスター(以下レジと略す)を たかたかっみ,ゃまだ しげる,おさき しゅんじ 広島大学工学部 干 724 東広島市西条町大字下見 1991 年 5 月号 1) 客数 図 1 釣銭の準備枚数の推移図 1 台と仮定する.この推移状況における任意の時点で, ある確率の下で釣銭の準備枚数が吸収墜に到達し o 枚 となる. この問題では,この準備枚数が O 枚となるのが 所定の確率以下になるように,各客数に対する最初の釣 銭の準備枚数を求めればよいことになる. 今,各客の買物終了後のレジにおける 1 円玉と 5 円玉 の枚数の増減量をそれぞれ X および Y とする .X および Y はある確率をもって何通りかの値を取り得るから,離 散型確率変数となる.確率変数X および nこ対して適当 な確率関数を定め,それによって決まる平均値および分 散をそれぞれ, μX, σx2およびμy, σy2 とする . n 人 (n= 0,1,2, ...)の客が買物をすることは, X および Y の母集団 からそれぞれ n 個の標本 (X"

X2

, "',

x n )

,

(

Y

h

Y2

,

,

Yn)

を抽出することに相当する. ところで,各客の買物においては,支払い代金および 客の支払い方法(釣銭が必要であるか不必要か)は,他 の客とは独立である.したがって,各客の買物終了後に おける X および Y の値は過去の履歴に関係なく決まる. (35)

2

4

1

© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(2)

(3) (4)

u( 叶 10)|+PI(z+5)IYPJ(j)+a129PJ(J)

LJ=O j= x+‘ x+9 、 1 +lいl 一L: PJパ(jρ) 一 a

L

:

PJ以(j)汁fu叫(x+5列)川1 , }=O /=4 ~ x=O のとき Px(0)=p](0)+P](5) ー Px(5) , y=1 のとき (d) (5)

P叫町Yメ(川1り)=主

t5 {伊P町町I以山(

y= 一 1 のとき (e) (f) すなわち,標本値 (Xh X2

,

"',ら)に対応する確率変数 (X

h

X2,… , Xn) は,独立で同ーの確率分布にしたがう ものと考えることができる . (YhY2, ・・・ , Yn) についても 向様である.このとき,その標本和 TX=X1+X2+ …+ X和 Ty =Y

1

+Y

2

+ …+y.加すなわち n 人の客が買物を 終えた時点での 1 円玉および 5 円玉の枚数の総増減量の 確率分布は , n が十分大きければ,中心極限定理により近 似的にそれぞれ正規分布 N(npx, nσx2) , N(nμy, 即日) となる.ここで,平均値 μ ,分散 σ2 をもっ正規分布を N(p

,

02) と表わす. 2.2 仮定

Py(- I)=釘PM)[XPJ(j)+a芝わ(j

モデル化にあたり,以下のことを仮定する.

(

1

)

各客の支払い代金の 1 円の位を i(O~i!三 9) とし, その確率関数を p] (i) とする. (日) 客の所持金の 1 円の位を j (0~i~9) とし,その

+{l-XPJ(j)-aZん(j)

}

U

(

i

)

]

}

百 =0 のとき Py(O)=I-Py(l) ー Py( ー1). (7) 今 n 人の客が買物をしたとき円玉および 5 円玉 が不足する確率が 5%以下になるために必要な l 円玉お よび 5 円玉の準備枚数を求めることにする.これらは, X および Y の標本和の確率分布 N(nμx, nσx2) , N(nμy, nay2) の下側 5%点で評価でき,必要な I 円玉の準備枚 数 Zx およびラ円玉の準備枚数 Zy は,それぞれ Zy=nμx- 1. 65 .;万σx. Zy=nμy ー1. 65 、/瓦σy.

3

.

1

初期条件 数値計算にあたって,確率関数 P](i ), P J(j) を P](i)=O.I

,

PJ

(

j

)=O.1 と定める.すなわち,支払い代金の l 円の位 ( i ),およ び客の所持金の 1 円の位( j) は,ともにその値が 0-9 まですべて同じ確率をとり,片寄りがないことにする. この条件は,実際にすべての場合に適合するわけではな いが,一般的であると考えてよい.また,客数は 1000人 までを考えた.

3

.

2

計算結果 α をパラメータとしたときの l 円玉および 5 円玉の必 要な準備枚数を図 2 および図 3 に示す.ここで,ものぐ さ率を u(i)=0.5 としている. また ,

u

(i)をパラメータとしたときの 1 円玉および 5 円玉の必要な準備枚数をそれぞれ図 4 および図 S に示 (6) (8) (9) +p](5)1

L

:

PJ

(j)+L:

PJ (j )u( 引 1. Lj=O j=5 ~

数値例

(g) となる.

3

.

確率関数を PAi) とする.

(

l

l

i

)

客の所持金の 1 円の位が 5 円以上の人のうち, ラ 円玉を持っている人の割合を a とする.

(

i

v

)

客が支払い代金の 1 円の位に対して,その値ちょ うどに支払うことができるにもかかわらず,それをしな い確率を“ものぐさ率"と定義し u(i) で表わす.

(

v

)

客の支払い代金の 1 円の位に対して釣銭が必要な ように支払うとき,および支払い代金の 1 円の位が 0 の ときは,支払いに 1 円玉および 5 門玉は使わない. (吋)客に対する釣銭が 5 円以上のときは 5 円玉を必 ず含めることにする.

2

.

3

評価式 仮定 (v) と例)より X および Y の標本空間は,それぞれ {XI-4~X~9} および {YI ーし 0,けとなる.これらの 仮定より,確率変数 X および Y に対する確率関数は以下 のようになる. (a) 9;;':x~と 5 のとき Px(x)=p](x}[(

1-a)えPJ( j)]

[1- U(x)]

,

(

唱且

)

(2) 4;;':x 注 1 のとき

州市P州 [1-ZPJ(J)-a芝 PJ( j)]

[1-U(X)]+P山+5)[aJ=~+tJ(j )J

[1 ー仰+5)].

一!と£注 -4 のとき (b)

Px(x)=P山+川支PJ(ペムPJ(j)

(c) オベレーションズ・リサーチ

2

4

2

(36) © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(3)

釣 銭 1500.

ヰlOOO.I~

備 枚 数,,00 Zx 11(;)=0.5 α=0.25 α=0.5 α=0.75 200. 400. 600. 800. 1000. 為'数 n (人) 図 2 客数 n に対して必要な 1 円玉の準備枚数 と a の関係

!1 ゑ

jJ1二

200. 400. bOO. HOO. 1000. 平年数 11 (人) 図 4 客数 n に対して必要な 1 円玉の準備枚数 と u(i) の関係 す.ここで , a=O.5 である. 3.3 芳察 まず円玉の必要な準備枚数を示した図 2 および図 4 を比較すると,パラメータ u (i) の方が a に比べて釣 銭の準備枚数に対する影響が大きいことがわかる. そこで,何も知識がないものとして,仮に最も多く釣 銭が必要な場合を考える.織率変数X の最小値は -4 で あるから, 1000 人の客に対して l 円玉が初00 枚必要と いうことになる.一方,本研究の方法では,ものぐさ率 u(i)=0.75の場合でも, 1000人の客に対しては 1 円玉が 1500枚程度でよいことがわかる.つまり,釣銭は“意外 に"少なくて済むことがわかる. 5 円玉の場合も 1 円玉 と同様のことが言える.

4

.

おわりに 以上の議論は,釣銭を l 円玉および 5 円去に限って述 べたが,単位を置き換えれば, 10 円玉や 100 円玉といっ た,高額な釣銭でも同様な議論ができる.また,特定の 状況で支払い代金などの各パラメータがある程度確定す るような場合には,その設定値を変えることにより,よ り現実的な結果が得られる.なお,文献[1 ]にみられる 1991 年 5 月号 400. u (;)=0.5

勢制

準 α=0.25 α=0.5 a=0.75

要 200

数 ZY 100.

,

.

.

.

.

.

.

.

.

.

'

"

200. 400. 600. 800. 1000. 客数 n ( 人) 図 S 客数 n に対して必要な 5 円玉の準備枚数 と a の関係 400. l'(1)=0.15 11(i)=O.5 u (;)=0.1i u (;)=0.25 200. 400. 600. 800. 1000. ?平数 η (人) 図 E 客数 n に対して必要な 5 円玉の準備枚数 と u(i) の関係 ようなマルコフ連鎖を用いたモデル化は,本研究で取り 上げた問題を確率過程により記述する場合には,より有 効であると考えられる. 参考文献 [ 1 ] 小沢正典:“つり銭の準備額オベレーショ Y ズ ・リサーチ, Vo

l

.

30, No.12, pp.779-783 (1985). 訂正とお健ぴ 前号に次のような校正ミスと欠議がありました. 訂正してお詫び申し上げます. 1. 191 頁 (2.2)式 n n

(

n

a1)lj川ー→(

n

a lJ )1 川 j=1 j=1 2. 194 頁下 4 行(欠落,アンダーライン部分) の値の範囲外にあるものはコピーまがL 、でない と判定する.このテストにすべて残ったものを 一応コピーまがし、の候補として…・. (37)2柑 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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