日中大学奨学金制度に関しての比較研究

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− 429 − 日中大学奨学金制度に関しての比較研究 耕ト領域教育専攻 国際教育コース 病理 l 研究背景 1980年代に入札高等教育の大衆化を背景に、 世界中の多くの国では規摸の拡大、資金不足と いう大きな問題に直面している。世界の学生へ の経済的援助の主要な方向は、貸与型奨学金に なっている。 中国側では、 1980年の高等教育における課金 制度の改革により課金基準と援助方式は「学費 免除援助Jから「高学費低援助」方式に転じて いる。中国では公立大学の学費でさえ、急速に 高騰しており、学生への経済的支援には様々な 形があるが、給付型支援は非常に優秀な学生に 対して用いられ、経済的に困難な学生への経済 的支援は貸与型支援となっている。大学の学費 が年々増加する中,相応な学生支援制度がない と、学生の家庭の経済状況によっては大学への 入学は困難となる。 それに対して、日本では自国の国情に合わせ た大学学生支援システムを形成していた。日本 の「奨学金j制度は、貸与型の奨学金制度であ る。日本の高等教育は「受益者負担

J

という原 則をとっており、学生にとっては教育ローンで、 ある。日本政府が設立した独立機関(日本学生支 援機関(旧「育英会J))が国の教育ローンを経 営管理している。近年、日本の大学の学費の高 騰が進主「方で、学生への経済的支援制度は十 分に対応できていない。多くの私立大学では 様々な学費減免制度を設けているが、受けられ 指導教員 石村雅雄 る学生は非常に少ない。日本の国立大学でも学 生の教育費の負担が非常に大きしL以上のとお り、中日両国において教育機会を均等に確保す るシステムを改善する必要が生じている。 2 研究目的 奨学金制度は学生支援システムの一部であり、 高等教育研究の中で一つの重要な課題でもある。 中日両国の具体的な奨学金制度を通じて、様々 な実践モデル、運営メカニズ、ムなどの内容を比 較、分析し、そこから結果をまとめ、考察を得 る。また、日中両国お互いに参考になる部分を 吸収し、各国の具榊告な国情に合う奨学金シス テムを探索してし、く。 3研究方法 本研究は中日大学の奨学金制度に関する先行 研究や資料の収集を始め、具体的な奨学金制度 を踏まえ、それぞ、れの奨学金制度が持つ効果、 運営メカニズムなどの面から比較分析する。 また、中国でアンケート調査を行い、中国の 既存奨学金制度の合理性かっ、奨学金制度に対 して、大学生はどのような考えを持っているか を明らかにする。アンケート調査の結果を通じ て、奨学金制度における改善すべき点を明らか にし、今後の改善策を検討ずる。

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結論

中日の奨学金による学生への経済的支援策 においても、世界の他の国の大学生への経済的 支援策においても、貸与型奨学金の経済的支援 方式が重要である。貸与型奨学金制度は一方で 大額の資金を提供し、もう一方でそれを学生が 返還していくとしづ経済循環が期待できるから であり、且つ、政府の財政負担は増加させない からである。 また、国家貸与型奨学金の公益性を強jじする 必要がある。日本学生支援機構は儲句法人であ るため、政府の主導性が顕著である。それと比 べて、中国の貸与型奨学金は商業化手段で運営 しており、政府の主導性が弱い。このような状 況は、商業化手段と政府の政策目標との聞の衝 突を生みそ寸く、ひいては貸与型奨学金制度の 運営に困難を生じさせる。 最後に、回収制度の構築は奨学金制度の整備 キーワードになる。 日本では貸与型奨学金の回収率が 95%であ り、貸与型奨学金支援策の成功につながってい る。中国の貸与型奨学金の返済制度には問題が 多く、貸与型奨学金支援策が困難な状況に陥っ ている。よって今後は、貸与型奨学金の返済に 関する法律を整備して、法令上の借方と貸方の 権利と義務を明確にし、法律上の難句違反の懲 罰メカニズムを構築して、併せて、奨学金の貸 与管理と返済体制を整備する必要がある。また、 大学生の個人信用体系の構築を強化し、学生個 人の基本情報、安尉子取引信用情報、卒業後の進 路と連絡方式等の補助情報を大学生の個人基本 情報とするデータベースを作る必要がある。併 せて、個々の大学生の臓能伏況及び実際の溺霊 能力によって返済期限を設定すること、返済期 限の延長することを考えるべきである。

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