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巻頭言

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Academic year: 2021

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巻頭言

 本書は,平成10(1998)年度に開催した企画展「陶磁器の文化史」に伴う,第27回歴博フォー ラム「陶磁器が語る日本とアジア」(1998・4・19)の基調報告を成文化した原稿をべ一スに,企画 展示案の検討に参加いただいた展示プロジェクト委員・協力者の論考,本テーマに造詣の深い若干 の研究協力者へ追加依頼した分を加え編成した論文集である。  東アジアの北辺に位置する日本列島の陶業は,陶技と意匠の革新にあたり,朝鮮半島から先進的 な“人・モノ・技”を先行して導入し,中国のそれを波状的に受容して完結させるのが通例であっ た。しかし,視界をアジア全域に開いてみると,陶業の展開は,技術の交流レベルにとどまらず, 世界帝国中国を核とするアジア諸地域の王権と海商・海民集団を介する,ダイナミックな外交・貿 易,地域相互ないし内部での多様な流通と消費を鋭敏に映し出すモノ資料であったことが,近年の 研究で明らかにされつつある。  企画展とフォーラムの立案にあたり,アジアと列島の生活史・産業史・都市史とのかかわりを重 視するとともに,考古学と美術史の成果を統合した考古美術史を前面に出し,“ゲの器と“ハレ” の場を演出するステータス陶磁の社会的性格の違いを複眼的にとらえることで,学問の国際化・学 際化・市民化の要請に応えることが標榜された。ただ,上記の視点と方法を企画展,フォーラム, 論文集として実践する過程で,陶磁器の使用の場・階層と機能の実態把握の難しさをあらためて体 験し,企画展での都市と村落にみられる陶磁器消費の質・量の落差の演示を見送らざるをえないな ど,多くの未消化な課題を残すことになった。  本書に収録された論考の大半は,当初「フォーラムの記録」として出版社から刊行を計画したた め,紙数の制約と一般読者をも対象とした簡易な内容の執筆をお願いしており,追加の要望に応じ て下さった諸氏の論考とバランスを欠いたままになっている。原稿を頂戴して2年以上経過したも のも多く,編者の不手際をお詫びします。本書の編集には,高橋照彦(現奈良国立博物館)・村木 二郎(国立歴史民俗博物館考古研究部)の協力をえた。ご繁忙のなかご労作を寄せられた各位とと もに,厚くお礼を申しあげます。 平成14年3月      国立歴史民俗博物館名誉教授

      吉岡康暢

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