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生徒において部活動は居場所となり得るのか?
コミュニケーションの質と量が与える影響
人 間 教 育 専 攻
人 間 形 成 コ ー ス
白 川 祥 之
1. 問題と目的
“居場所"は, 1980年頃から注目され,重要
性も指摘されている(文部科学省, 1992)。“いじ
め"や“不登校"が起こる背景には,子どもた
ちの居場所の喪失などが危機的なもの(中村,
1998)となっているためであると考えられる。
本研究では生徒の何が“居場所"になり得るの
かと考え,生徒の学校生活の中で比重が大きい
とされる
G
可村, 201ω “部活動"に注目をした。
“部活動"は生徒の学校生活満足感に影響する
ことが確認されており(角谷, 2005),部活動へ
の意欲が学習意欲への意欲にポジティブな影響
を与えていることも確認されている(石田・亀山,
2005)。その他にも,部活動に参加することで女
子において規範爵哉が向上し, 学業の目標志向
性明勘芯にポジティブな影響を与えることや大
学生にはなるが人間関係に満足感を得ることが
できるとされている。
しかし,剖百舌動が居場所に関連していること
を示す研究は多くはない。そのため,本研究で
は部活動が居場所になり得るために何が必要な
のカヰ食討していきたい。そこで,変数として挙
げるものが“コミュニケーション"である。向
性の友人に対する会話スキルが高いと友人関係
を構築し,良好に保つことができるとされてい
る(牧野, 2012)。また,牧野包013)は,会話スキ
ルと葛藤解決スキルの向上が精神的健康の増進
指導教員 内 田 香 奈 子
に重要な役割を持つことを指摘しており,コミ
ュニケーションの中でも質的な側面が精神的健
康に適応的に関与していることが考えられる。
また,量的側面についても概観すると,田原他
(2012)は,職務チーム内のコミュニケーション
量とチームの効呆性との関連を検討し,両者に
おける正負両者の相関関係があることを指摘し
た。つまり量的な側面も何らかの影響を及ぼし
ている可能性がある。
よって,本研究では部活動が居場所となり得
る背景に,コミュニケーションの質と量がどの
ように影響するのかを検討した。
2
.
jjj法
調査対象者
:
2
県
3
校の中学生を対象とした。
有効回答者数は455名(男子 231名,女子 224
名で、あった。このうち,剖百舌動への参加者は47
名で、あった。
査定道具
心理的居場所感:則定(2016)による心理的居場
所感尺度を用いた。
4
因子からなる。
学椀直応:古市ら(1994)による学校生活享受感
尺度を用いた。
1
因子からなる。
コミュニケーションの質:町田(2009)によるコ
ミュニケーション能力尺度を用いた。3因子か
らなる。本研究では,
1
つのまとまりとして計
算した。
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コミュニケーションの量:本研究において新た
に作成し,使用した。生徒が所属している部活
動において,部員同士の会話量を生徒自身に判
断してもらい,会話量ごとに人数を記入させた。
3
.
結果
分析に先立ち,尺度ごとの内的整合性を検討
した。その結果,すべての尺度において,全体,
男女ともに, α=.
9
0
以上の高し値が確認され
た。よって,以降の分析には支障がないものと
判断された。
次に,部活動への参加が学校生活享受感に及
ぼす影響を確認するため,部活動への有無と性
別による
2要因分散分析を行った。その結果,
部活動〈参加している生徒の方が学校生活享受
感の得点は高いことが確認された。続けて,部
活動に参加している生徒の学年間および男女の
違いによって差があるかを確認するために学年
×性の
2
要因分散分析を行った。その結果,“本
来感"¥,“被受容感ぺ
がみられたため,下位検定を行った。単純主効
果の検定結果,たとえば“本来感"では,
2
年
生における性の単純主効果が有意であり仔(1,
403)
=4
.11, pく.05),2年では男子の方が女子よ
りも平均得点、が低いことが明らかlこなった。
最後に,居場所,コミュニケーション,学校
生活享受感の三者関係、を検討するため,共分散
構造分析を行った。その結果,一部の因子問に
おいては有意な値は示されず,因果関係は示さ
れなかったが,ほとんどの変数間において有意
な値もしくは,有意傾向が見られた。例えば,
コミュニケーション量から学校生活享受感への
直接の因果関係は確認されなかったが,居場所
の“本来感"において,コミュニケーション質
と量から居場所への正の影響が見られた。
4
.
考察
本研究の結果は,部活動が生徒における居場
所につながる可能性を示し,それは生徒間のコ
ミュニケーションが影響する可能性も示唆する
ものとなった。本研究の結果は,学校での教育
的アフ。ローチを考える上で,非常に有効である
と考えられる。
ただし,本研究ではしてつかのー課題も見られ
た。例えは居場所の種類によってもその因果
関係は異なる結果を示すとし、う予想とは異なる
結果で、あった。今後はより詳細な検討を行い,
本研究の結果が再現されるのか確認する必要が
あるだろう。また,部活動には例えば運動部や
文化部など,様々な鞘教があるため,多様な分
析方法が考えられる。運動部には,チームプレ
ーが主となる部、活(サッカー部や野球部)が多く
柄主し,文化部には,個人の取り組みが主とな
る部活(書道部や美術部)が多1t¥例としては,運
動部と文化部を弁別し,かっ学年別に分析を行
うことで,本研究の結果とは異なる結果が得ら
れると糊リされる。その他,部活動への教師の
負担なども含めた課題があげられる他,コミュ
ニケーション量が生徒の居場所を確立するため
の役割やコミュニケーション量の増加のための
方途などが論議された。
今後は,教育現場において,生徒のコミュニ
ケーションを行える機会を増やしていくことに
より,生徒の“居場所"が確立され,その確立
が生徒の学校生活への適応に大いに活かされる
ものと考える。そのために,生徒の学校生活の
中で比重の大きい“部活動"が活用され,生徒
たち一人一人が生き生きとした学校生活を過ご
すことが出来るような教育環境が整うことを切
に願う。