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高齢化社会における「がんと認知症の合併」問題 〜北海道旭川市における実態調査、分析と提言〜

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(1)(表紙) 平成27年9月14日 2014年度(前期)一般公募 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 理事長 住野 勇 殿. 高齢化社会における「がんと認知症の合併」問題 ~北海道旭川市における実態調査、分析と提言~. 完了報告書. 小規模多機能型居宅介護事業所グレイス 木林 節子 佐々木 啓.

(2) (本文書式) 【研究の背景と目的】 1.背景 (1)がんと認知機能障害との合併 日本が高齢化社会と言われて久しいが、その中で新たな問題が生まれています。それが、 認知症とがんの合併です。現在の日本では、認知症の人の数が増加の一途をたどっており、 最新の統計では 462 万人にも上っており、年代別に見ると、65 歳以上の 7 人に 1 人、85 歳以上では 2 人に 1 人となっています。当然、認知症の多くは高齢者ですので、様々な病 気を合併していることが多くみられます。その中でがんの合併が大きな問題になっていま す。認知症患者はがんの自覚症状を訴えづらく、検診などの具体的行動を取れない傾向に あり、その結果重症化してから発見されるケースが増えています。いくつかの統計を見て みます。 ①厚生科学研究所によると、進行性肺がんの高齢患者 116 人中 27 人に、治療の意思決定 能力に障害があった。 ②国立がん研究センター東病院によると、対象患者 141 人中(平均年齢 71 歳)認知症が 38%、軽度認知機能障害が 11%認められ、このうち 7 割は入院後に判明している。 ③読売新聞によると、全国のがん診療拠点病院 397 か所へのアンケート調査の結果、対 象患者 10,176 人のうち認知機能障害を合併していた患者は 2,080 人(20.4%)にも上り ます。 (2)ここから考えられる問題点 がんと認知症の合併から発生した事例をいくつかあげてみます。 ①アルツハイマー型認知症の患者。日常生活は 1 人でも可能でいたが、がんの診断がつ き、入院や治療といった新しい事への対応が困難で、問題行動が出現し、家族が対応に 苦慮しました。がん治療を行う病院側は、徘徊や認知症の周辺行動に慣れていないため、 医療スタッフ側も対応に苦慮しました。 ②がんの終末期の認知症の患者が、ホスピスの入院を断られてしまうケースがあった。 老人ホームや施設での入所の場合、がんの疼痛コントロールに施設側が慣れておらず、 スタッフの対応困難と、当事者の医療的対応が遅れがちになってしまった。 ③それまで遠方で家族が暮らしていたため認知機能の低下に気づかれていなかったのが、 がんの診断をきっかけに認知症の診断もつき、家族は「がん」と「認知症」を同時に告 知され、対応が非常に困難だった。 このような事例に対応するため、在宅医療に関わる医療者・福祉関係者・介護関係者が.

(3) 各地で多職種連携を始めてはいますが、在宅での高齢がん患者とその家族のケアにおいて、 質・量ともに十分とは言えないと思われます。 2.目的 高齢化に伴い、今後益々地域として認知症とがんの合併における問題への対応策を整 備することは急務であり、また、医療者・介護職などが安心して、当事者や家族をサポー トできる体制を構築していくことが必要です。そのためには、まず、認知症とがんとの合 併における問題の全体像の把握が必要です。ここには、患者・家族・医療者・介護職だけ ではなく、地域としての視点、また医療経済の視点からの検証も重要だと思います。また 同時に対応策を考えていくためには、何が実際に問題となるのかと言った、課題の抽出も 重要です。旭川市の特徴として、35 万人の人口に対して、大学病院を含め総合病院が 4 つ あり医療体制が充実しています。また医療職と介護・福祉職の連携がすすんでおり、旭川 発の多職種連携「ケアカフェ」が盛んで情報交換も活発にされています。今回の研究にあ たり、課題の抽出・分析と対応策の提案に当たり、このネットワークを活用し、有効な研 究ができるものと考えます。 【研究の計画・方法】 1.研究対象 在宅にてがん治療を受けている患者当事者および家族、またその窓口として在宅ケアに 関わる医療・介護・福祉の専門職(訪問診療・訪問看護・薬剤師・理学療法士・作業療法 士・鍼灸師・マッサージ・ケアマネージャー・ヘルパー・訪問入浴・福祉用具などのサー ビス介入者など)を研究対象とします。 2.研究方法 旭川市の人口 35 万人に対し、がん患者数を約 4,000 人と推計する。(日本全体の人口 12,800 万人に対し、がん患者数 152 万人から推計)このうち 2 割に認知機能障害があると すると約 400 人。これを仮説として、以下の方法で全体像の把握に努め、課題を抽出する。 ①家族へのアンケート 目標件数 100 件 *患者本人は認知症のため難しいと思われま す。 ②訪問医・訪問看護師へのヒアリング 目標件数 20 件 ③がん治療を行っている病院の医師・看護師へのアンケート 目標件数各 20 件 ④ヘルパーへのアンケート 目標件数 50 件 ⑤介護施設の職員へのアンケート 目標件数 50 件 ⑥介護施設、デイサービス、ケアマネージャーへの個別ヒアリング 目標件数各 20 件 ⑦月1回、多職種での座談会形式でのヒアリング、意見交換 .

(4) 3.調査期間 調査予定期間は平成26年8月~平成27年7月の1年間とし、分析・考察は平成27 年8月末としました。 4.研究実績 以下のようなスケジュールで、研究を実施しました。 ①関係各所への協力依頼 . 平成26年8月 . ②事例検討会の企画・開催(全4回) . 平成27年4月〜6月 . ③アンケートの内容検討・作成 . 平成26年6月 . ④個別ヒアリング、アンケート調査 . 平成26年10月~平成27年9月 . ⑤分析、考察、課題の抽出、対応策の検討 . 平成27年8月〜9月 . ①関係各所への協力依頼 ヒアリング協力を依頼するため、以下のようなⅰ〜ⅴの施設等に訪問して人脈を構築し ました。 ③アンケート内容を検討するために、実際に以下の方々にお話しを聞かせて頂きました。 ・旭川市社会福祉協議会の認知症分野の担当者 ・認知症家族会の事務局長 ・認知症患者の家族の方(複数) ・訪問看護ステーションの経営者 ・総合病院の看護部長 ・ケアマネージャー ④についての詳細を、以下に示します。 (a)認知症患者の家族、 (b)福祉・介護関係者、 (c)医療関係者を対象者として、それぞれアンケートを実施しました。 対象者 . 人数 . (a)認知症患者の家族 . 15 名 . (b)福祉・介護関係者 . 169 名 . (c)医療関係者 . 80 名 . 以下に、詳細の実施項目について示します。 開催等日時. 実施項目.

(5) 8月25日(月). 認知症サポーター養成講座に参加し、情報収集. 9~10月. アンケート試案を基に意見聴取 ・小規模多機能連絡会 ・グループホーム協会 ・旭川市社会福祉協議会 ・医師、看護師. 10月21日(火). 「がんと認知症の併発問題」の調査に関する、趣旨説明と協 力依頼のためのミーティングを開催① 23名の参加 場所:旭川市民活動交流センターCoCoDe. 10月26日(日). 「がんと認知症の併発問題」の調査に関する、趣旨説明と協 力依頼のためのミーティングを開催② 17名の参加 場所:旭川市民活動交流センターCoCoDe. 11月4日(火). 「がんと認知症の併発問題」の調査に関する、趣旨説明と協 力依頼のためのミーティングを開催③ 19名の参加 場所:旭川市民活動交流センターCoCoDe. 11月7日(金). 旭川市内の地域包括支援センターを訪問し、 「がんと認知症の 併発問題」の調査に関する、趣旨説明と協力依頼 ●東光・千代田地域包括支援センター ●神楽・西神楽地域包括支援センター ●神居・江丹別地域包括支援センター ●豊岡・東旭川地域包括支援センター ●中央・新旭川地域包括支援センター ●北星・旭星地域包括支援センター ●春光・春光台地域包括支援センター ●末広・東鷹栖地域包括支援センター ●永山地域包括支援センター. 11月19日(水). キャラバンメイト研修会に参加し、情報収取と協力依頼。ま たヒアリングの依頼も併せて行う。. 12月6日(土). 認知症家族会「ほっとひととき」に参加。家族の皆様から、 ご経験やご意見を伺う。. 12月15日(月). 介護技法「ユマニチュード」講演会実行委員会に参加。 「がん と認知症の併発問題」の調査に関する、趣旨説明と協力依頼。 以下の方々に協力依頼。 ・大学病院医師 ・訪問看護ステーションの経営者(ご自身は看護師).

(6) ・認知症家族会の事務局長 ・介護施設の紹介等を行っている事業者 ・行政の高齢者福祉担当者 ・ケアマネージャー(複数) ・地域包括支援センターのスタッフ(複数) ・グループホームの経営者 ・総合病院の看護師長 12月28日(日). 「がんと認知症の併発問題」の調査に関する、趣旨説明と協 力依頼のためのミーティングを開催④ 12名の参加 場所:旭川市民活動交流センターCoCoDe. 1月8日(木). 介護技法「ユマニチュード」講演会実行委員会に参加。引き 続き協力依頼。. 1月14日(水). 旭川市社会福祉協議会の認知症分野の担当者よりヒアリング 場所:小規模多機能型居宅介護事業所グレイス. 1月16日 (金). 認知症家族会の皆様からのヒアリング 場所:ときわ市民ホール. 1月19日(月). ケアマネージャーの皆様からのヒアリング 場所:ときわ市民ホール. 1月23日(金). 「がんと認知症の併発問題」の調査に関する、趣旨説明と協 力依頼のためのミーティングを開催⑤ 32名の参加 *ミーティング終了後、訪問看護ステーションの経営者と総 合病院の看護師長にヒアリング 場所:旭川市民活動交流センターCoCoDe. 1月29日(木). 介護技法「ユマニチュード」講演会実行委員会に参加。引き 続き協力依頼. 2月7日(土). 介護技法「ユマニチュード」講演会. 2月12日(木). 介護技法「ユマニチュード」講演会実行委員会に参加。引き 続き協力依頼. 2月19日(木). グループホーム職員の皆様からのヒアリング 場所:ときわ市民ホール. 3月18日(木). 介護技法「ユマニチュード」講演会実行委員会に参加。引き 続き協力依頼. 4月29日(水). 「がんと認知症併発」事例検討会① 18名の参加 場所:旭川市民活動交流センターCoCode 併せてアンケート実施.

(7) 5月12日(火). 「がんと認知症併発」事例検討会② 24名の参加 場所:あかしあ会館 併せてアンケート実施. 6月2日(火). 「がんと認知症併発」事例検討会③ 10名の参加 場所:ときわ市民ホール 併せてアンケートを実施. 6月16日(火). 「がんと認知症併発」事例検討会④ 16名の参加 場所:ときわ市民ホール 併せてアンケートを実施. 6月27日(土). 「がんと認知症併発」事例検討会⑤ 21名の参加 場所:ときわ市民ホール 併せてアンケートを実施. 4~6月. 上記事例検討会とは別に、医師・看護師等の医療関係者、福 祉・介護関係職員、家族会の方々に、直接訪問・メール・FAX・ WEB などでアンケートを依頼。. 【研究の成果】 1.事例検討会の結果 全4回、累計 96 名の方々に参加いただき、 「がんと認知症の合併症」についての具体的 な事例について議論を行いました。以下に結果を示します。 (事例検討会で使用したケース 内容やアンケート内容については、巻末に示します) (1)事例検討会の参加者の内訳 医療職は、医師・看護師・歯科衛生士・薬剤師の方などが参加、福祉・介護職は、介護 福祉師・ケアマネージャー・社会福祉士・通所介護(デイサービス)職員・地域包括支援 センター職員の方などが参加、その他は、サラリーマン・公務員・自営業・主婦の方など に参加いただきました。. 44. 23. 医療 福祉・介護 . 29. その他 .

(8) (2)事例検討会でのヒアリング結果 ①「認知症の方が、がんになった場合、あなたの立場・お仕事で対応に困る、問題にな ると考えられることはありますか?」という質問に対して、医療職、福祉・介護職のそれ ぞれ 83%、76%の方々が「問題になる」と回答しました。 医療. 82.6%. 福祉・介護. 75.9%. その他. 63.6%. ②「どんな点において、あなたの立場やお仕事で問題が発生すると考えられますか?」 という質問に対して、以下の(1)〜(6)で当てはまる項目にチェックをしてもらいました。 (1)がんの知識や対応方法について (2)認知症の知識や対応方法について (3)家族が治療法を決める場合の葛藤 (4)職種同士の連携 (5)医療機関との連携 (6)経営・仕事量が増えて、マネジメントが困難になる 職種ごとに分けると傾向が見られ、医療職は(1)、(2)、(5)に困ると回答した人の割合が 多く、福祉・介護職では(3)と回答した人の割合が他職種と比較して特に多いことがわかり ました。 . 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0. 医療 福祉・介護 その他 .

(9) ③「認知症だけ、身体疾患だけ(がんのような)の場合に比べて、合併した場合に起こり 得る問題はどんなものがあると思いますか?」という質問(自由記載)に対して、職種別 に以下のような回答をもらいました。 ◎医療者 ・どちらを主として対応していくか ・疼痛管理の難しさ ・治療方法の選択 ・家族側の負担(病院受診など) ・本人も含めて家族の病気や治療、今後を考えることをできる情報不足。 ・病気に対する本人の理解 ・本人の意思がわからず、家族が判断に困る ・認知症だと病気に対する事項がなく、自己理解できない。痛みの感じが理解できてこな いとも言われているが、どうなのでしょう。 ・意志の確認、疏通の取りにくさ、安全の確保 ・自己決定権の難しさ、治療内容の理解についての難しさ ・どちらを主として対応していくかということ ・それぞれの疾患が相互に影響し合うと色々な問題が出てくるのかな ◎福祉・介護職 ・治療の選択もちろん、意志決定の局面が増え、かつ難しい判断が多そう。家族(それす らいない場の大変さも大きそう)の負担も大きい。 ・病気の治療についての本人の理解。認知症が重い場合、家族が治療内容を選ぶ時に本人 の尊厳が保てるか。 ・仕事量に対応できなかったり、身体的にも精神的にも負担が増える。知識もない事もあ り、対応できるかが問題となる。 ・自己決定権の難しさ、治療内容の理解についての難しさ ・服薬、コントロール、不安 ・疾患の治療に対し本人の意志確認 ・本人の意志決定と医療がどう向き合っていくかが難しい ・自分の身体状態がわからず安静がとれない、治療ができない。入院すると不穏になる ・指示が入りずらく、検査がしずらいと思う ◎その他 ・医療と介護だけではなく、そこに付随する生活課題への対応。 ・生活の場、環境を将来見据えて考えること。 ・自宅介護が大変困難となる。家族の心の負担も大きくなる。.

(10) ・家族負担が精神的なものを含めて増大する。 ・治療の選択もちろん、意志決定の局面が増え、かつ難しい判断が多そう。家族(それす らいない場の大変さも大きそう)の負担も大きい。 ・本人の意志決定と医療がどう向き合っていくかが難しい ・家族間での具体的な話し合い ・治療の選択もちろん、意志決定の局面が増え、かつ難しい判断が多そう。家族(それす らいない場の大変さも大きそう)の負担も大きい。 ・自己判断が困難な状況で本人にとって何がベストなのかを決定しなければならない ・入所するときの問題 ④「認知症とがんなどの身体疾患の合併の方や、ご家族のケアを行うにあたり、今後よ り一層必要になると考えられるものはなんでしょう?」という質問(自由記載)に対して、 職種別に以下のような回答をもらいました。 ◎医療者 ・サービスの情報提供。医療・福祉の連携の必要。 ・介護する家族に対しての安心できる情報と頼れる人(ケアマネ)としくみ。 ・訪問診療・訪問介護の大切さ。 ・家族の精神的安定 ・病気になる前の本人の意志確認 ・治療の重要性を理解してもらえない。 ◎福祉・介護職 ・医療スタッフの認知症の知識と対応。 ・病気になる前の本人の意志確認 ・認知症の知識を広めなくてはならない。家族、がん患者対応する看護師など ・知識の普及、HP における認知症の対応 ・相方のニーズに限りなく沿った対応を行う仲介者の存在 ・認知症の理解を家族に伝えること、家族の健康について ・相方のニーズに限りなく沿った対応を行う仲介者の存在 ・認知症の知識を広めなくてはならない。家族、がん患者対応する看護師など ・知識の普及、HP における認知症の対応 ・認知症の理解を家族に伝えること、家族の健康について ◎その他 ・対応方法、サポート支援の有無、種類などあらゆる知識。 ・病院・家族だけでなく、ケアマネさん等、あらゆる対策を考えられる頼れる存在。.

(11) ・本人、家族が思いを吐き出させる場。サービス・相談の敷居を下げる。 ・制度への理解を深めるための学習会など。 ・医療と介護の連携。特に医療的対応が必要になることを想定して考える。 ・地域でのネットワーク ・福祉機関、医療機関との更なる連携。 ・相談に乗ってくれる人や仲間 ・情報を知る場所がわかること ・治療など医療についての知識もあり、事例などに詳しい?アドバイザーさん。受け入れ 施設。いろんな職種・立場の人が(知識・理解)を深めること。地域や家で暮らしたい人 も多そうなので、そういう中間的な場など。 ・地域の見守り、町内会、民生委員、地区写経との具体的連携、協力体制 ・完全に介護から離れることができる時間 ・看護や介護をしなくていい「時間」をとにかくあげて休んでもらうということ。 ・介護の仕方がその人に合わせてどんなものが必要か ・施設の変更(病院含む)周囲の理解(地域含む). (3)アンケート結果 事例検討会の内容・結果を踏まえて、認知症患者の家族向け、福祉・介護職向け、医療 者向けのアンケートを作成しました。その結果を(a)〜(c)示します。 (a)認知症患者の家族向けアンケート結果 i.回答者属性 以下に、回答者の属性を示します。旭川市内に在住の認知症のご家族がいる方 15 名に 回答をいただきました。 ①年齢. ②性別.

(12) ③診断名. ④認知症の診断がついてからの年数. ⑤認知症の程度. ⑥認知症以外の病気 以下に、認知症以外の病気を「a.持っている」と答えた方の疾病を示します。 ・膵臓癌 ・胃がん、高血圧 ・糖尿病 ・脳梗塞 ・大腸がん、骨盤線維腺腫 ・糖尿病 ・うつ、心臓の病気 ・心臓ステント術.

(13) ⑦現在の認知症のご家族の生活場所. ⅱ.アンケート結果 旭川市内に在住の認知症のご家族がいる方 15 名に尋ねました。.

(14) 治療法の選択や決定は、誰が行うか?という質問に対しては、 「b.家族で話し合って決め る」と答えた方は 84.6%、「a.現在の本人の意志」と答えた方は 7.7%という結果でした。. 以下に「b.家族で話し合って決める」と回答いただいた理由を示します。(「a.現在の本 人の意志」と答えた方は理由の回答はありませんでした) ・本人が判断出来ない状況なので ・本人に告知していないため ・本人の判断能力がない場合には、家族みんなで決める ・当人の認知症状から会話が難しいと思われるため ・本人の意思をよみとりつつ、家族の意見を聞いて決める ・もちろん医師の診断結果やアドバイスは大事だが、認知症の母親が、通常の判断力が あればおそらく選択したであろう方法を家族で話しあって決定したい .

(15) がんと認知症が合併した場合について、ご家族としての考えや経験を自由記載で回答し てもらいました。 ・うちは父親が末期ガン、母親はアルツハイマー型認知症なので、2 人の症状が一緒 に・・・と考えると、在宅では介護出来ないだろうなぁと思っています。 ・本人の苦痛はもちろん、家族の心痛も計り知れない。 ・まず、本人に告知するかどうかで、悩んだ。告知しないと家族と主治医で相談して決 めたが、嘘とごまかしで固めながらの介護に、精神的に疲弊していった。そして、いつも 「これでいいのだろうか」という、葛藤もあった。認知症になって、認知機能の低下があ ったが、真実を知る権利があったのではないだろうか・・?と、今でも答えがでていない。 ・家族間で意見を一致するように話し合いが必要であるし、方向性をしっかりと共有す る事。 ・本人の意思を尊重に、医師と相談し、痛みはない生活を送っていけるような方法を考 えて行く。 ・がんと認知症の合併ではないですが、どんな病気であろうと認知症との合併で外科的 な手術の苦痛はさせたくありません。内服、注射などの治療であとは本人の寿命なので楽.

(16) しくおだやかに生活して欲しいです。 ・認知症状への対応とガンの苦痛を家庭のなかだけで、特に介護を主に引き受けるもの だけで抱えるのは無理だと思う。当人と介護者の間の距離をどこかで保つのが両方にとっ て大事。・単に認知症の家族を看るのではない。「終わりがある」ような感覚は介護する側 の気持ちを楽にする一時もある。 ・余命が少なければ自宅での療養がベストと思うが、家族の試演が無理ならば受け入れ の整った施設が良いと思います。かかりつけ医、訪看、施設の連携を作って支える。 認知症があって、痛みや苦痛がある場合は、痛みがないように薬を使ってほしいです。 ・がんの進捗具合にもよるが、自力行動および介助行動が可能な場合は自宅闘病し、日 常生活に支障が出た段階で、緩和ケア病棟に入院する. (b)福祉・介護関係者向けアンケート結果 i.回答者属性 以下に、回答者の属性を示します。旭川市内の福祉・介護関係者 169 名に回答をいただ きました。 ・回答者の仕事形態(単位は%) 01.8 6.6. 13.2. 12. 4.2. A.訪問サービス B.通所サービス C.入所・入居サービス D.居宅介護事業所 E.地域包括支援センター F.福祉用具貸与事業所 . 61.8. 上記の詳細を、以下に示します。. G.その他 .

(17) ・回答者の方達が、仕事上関わる年間の該当人数 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0. a.0名 b.1〜5名 c.5〜10名 d.11〜30名 e.31名以上 .

(18) (認知症の重症度の説明) ①軽症:食事や排せつなどの生活基本動作はできるが、買い物・料理・お金や内服の管 理などの少し複雑な行動は難しい ②中等症:食事・排せつ・整容・移動などの生活基本動作に支障が出てきている ③重症:食事、排せつなどの生活基本動作もほぼできない ⅱ.アンケート結果 旭川市内の福祉・介護関係者 169 名に、「認知症とがんの合併症の方に対応すること」 ついて尋ねました。 ①仕事の内容や注意する点. ②仕事や注意点が増えるとお答えいただいた方(b と c の方)は、どのような事が増えると 思いますか? ・身体面全般の苦痛等 ・体調面や細かな変化(体重やむくみ等) ・物理療法等の禁忌を確認徹底すること ・食事、水分、睡眠、体調、表情の変化等に注意力が高まる。 ・症状の観察、医療との連携の頻度、休日中も容態変化による対応、スタッフへの指導、 往診・訪看の利用 ・認知症の状況に加え、がんの進行状況を見据えて、これからの生活をどうささえていく か、ご家族との話し合いや情報の提供を丁寧に行い、医療を交えた在宅のチームをつくっ ていく ・治療方針について本人の意向を確認することが難しくなるため、家族との連絡・調整が より一層重要となる。 ・検査、治療に際し、説明や理解を得るために時間を要す。 ・服薬管理。食事内容(食材)。体調変化 ・体調や病状を正確に伝えることができない。 ・疾患の進行によりサービス変更。 ・ご本人、ご家族がデイサービスに求めていることの意思確認.

(19) ③がんが合併した方と対応するときに心理的な負担はありますか?. 認知症の方が「がん」になった場合、認知症ではない方に比べて痛みや苦痛を感じにく いと思うか?という質問に対しては、 「a.そう思う」 「b.ややそう思う」と答えた方は 43.5%、 「c.そう思わない」の 38.8%よりも、多い結果でした。. 認知症の利用者さんががんになった場合の意思決定について、尋ねました。.

(20) 通所サービスのお仕事をされている方に、認知症のがんの合併症の方の受け入れについ て聞きました。 「認知症があり胃がんの診断がついている方が、新しく、あなたの働いてい る施設 を利用したいという希望があります。予後は半年程度と予想されており、鎮痛剤な ど胃がんによる症状は今の所ありませんが、急変の可能性がごく稀にあると 病院から言わ れています。あなたの施設の現状は以下のうちどれが一番近いですか?」. 入所サービスのお仕事をされている方に、認知症のがんの合併症の方の受け入れについ て聞きました。 「認知症があり大腸がんの診断がついている方が、新しく、あなたの働いて いる施設を利用したいという希望があります。大腸がんは腹膜転移があり、予後は 1 年程.

(21) 度と予想されています。今は大腸がんによる症状はありませんが、今後、腹膜転移による 腹痛や腸閉塞などが出てくる可能性があると病院からは言われています。あなたの施設の 現状は以下のうちどれが一番近いですか?」. 認知症の方ががんになった場合、最期の時期はどこで過ごすのがその方にとって良いと 思いますか?(本人がどこを希望しているという事前の意志表示がない場合). 認知症とがん(または身体疾患の合併)を経験されたことがある場合、 そのエピソードや 感じた課題などを自由記載で回答してもらいました。 ・痛みと恐怖を緩和できれば住み慣れた場所での生活が続けられると思います。 ・認知症は重度だった事もあり、積極的な検査もされず診断が遅れた。 ・痛みをいかにやわらげられるかと、その方の意思をどこまで汲み取り叶えられるのか。 ・本人、家族の意見の確認、医療面での体制、緊急時の対応、各専門職での情報共有方 法は必要と感じています。その上で本人、家族への意向確認前に各専門職で協議し、本人・ 家族へどのように説明し意向確認をしていくか等、顔の見える関係づくりは必要と思いま す。 ・医師の検査に本人が拒絶し、医師が怒ってしまった。 ・徐々にがんが進行していき、急激に悪化して亡くなってしまうということが多かった。 訪問診療や訪問看護、ご家族と24時間連絡をとれるようにしています。 ・介護従事者は医療の判断ができないため、どれだけ医師と連携を取れるかが大切だと 感じました。 ・身寄りがなく肺癌の末期の方に関わったが、成年後見制度の理解をしてもらうまで時.

(22) 間がかかり、病院側からも今後の治療方針の意思決定の確認も依頼された。. (c)医療関係者向けアンケート結果 i.回答者属性 以下に、回答者の属性を示します。旭川市内の医療関係者 80 名に回答をいただきまし た。 ①職業. ②職場の規模. ③勤務年数.

(23) ⅱ.アンケート結果 旭川市内の医療関係者 80 名に、今の職場で以下①〜③の疾患を 1 年間でみるおおよそ の人数について、尋ねました。認知症(軽度認知機能障害を含む)は 30 名〜101 名が一 番多く、がんと認知症の合併についても一定数いることがわかりました。 ①がんの患者さん. ②認知症の患者さん(軽度認知機能障害を含む). ③がんと認知症の合併の患者さん. 旭川市内の医療関係者 80 名に、以下①〜③の項目に関する専門性(知識や経験は十分 にあるか)ついて、尋ねました。知識の自己評価については、がんの治療や緩和ケアより も、認知症の知識の方が 20 ポイントも高いという結果であった。 ①がんの経過や治療方針.

(24) ②緩和ケア. ③認知症. 「あなたのお仕事での経験上、以前と比べ認知症の患者さんが増加してきていますか?」 という質問には、 「a. 増加してきている」、 「b. 少し増加してきている」と答えた人の割合 が 95%近くという結果でした。.

(25) 「身体疾患(がんに限らず)と認知症を合併した患者さん の対応は、認知症がない方と比 べて大変さを感じますか?」という質問には、「a.大変と感じる」、「b.少し大変と感じる」 と答えた割合が、8割という結果でした。. 「がんと認知症を合併した患者さんの対応で大変さを感じる1番目と2番目の要因」に ついて、尋ねました。個人の感覚としても、職場の現状としても、対応が大変な中で、一 番の要因は、「患者さん本人への説明や対応が難しいということが挙がりました。続いて、 「家族への説明・対応」が 35%、「不穏行動への対応が大変」20%という結果でした。.

(26) 「認知症の患者さんは、痛みを感じにくいと思いますか?」という質問については、 「わ からない」が約半数、次に「感じにくい」、 「認知症がない場合と同じ」という結果でした。 そのことに対する対応方法については、 「顔をしかめる、大声を出すなどの不快そうな反応 をみる」、「普段を知っている家族や介護者の話」を頼りにしている医療者が約半数という 結果でした。.

(27) 認知症の患者さんの治療について、「軽症〜中等症の患者さんが、「完治が難しい段階」 のがんを合併した場合、あなたならどう考えますか?」、 「重症の認知症の患者さん(寝たき り)が合併した場合、家族が強く治療を希望している場合にどうしますか?」と尋ねました。 軽度認知症の場合と比べて、重度認知度の患者さんの治療を決める際には、対応方法が分 かれました。家族が治療を強く希望される場合は、 「標準療法」、 「弱い化学療法や放射線治 療はおこなう」、 「なんの処置もおこなわない」、 「わからない」がそれぞれ 16〜20%と同程 度の割合の回答となっており、意見が分かれるところでした。.

(28) 「訪問診療で認知症とがんの合併の患者さんを診てもらえるか?」という質問に対して は、7 割近くが可能と答えるも、一定数は難しいという回答でした。訪問診療が難しいと 思う理由として、以下のようなコメントが挙げられました。 ・不穏時の対応や疼痛コントロール - 認知症状の悪化や不隠行動が多く見られると家族や施設の職員が困ったり、疲弊し て連絡の回数が多くなる ・急変時の対応、24 時間対応の難しさ.

(29) - 24 時間医療従事者が側に居るわけではないので、何かあった時の対応や家族の負担 が大き過ぎる - 24 時間体制となるため、訪問診療側が難色を示す - 訪問診療は個人や小規模が多く、夜間や休日は動けないと言われる ・(本人・家族との)意思疎通の難しさ ・マンパワーの不足 ・(在宅ケアスタッフ間や病院との)連携の難しさ - かかりつけ医や地域中間病院などとの連携が大変 - がんの悪化で看取るのは在宅で出来ると思うが、闘病中に肺炎、尿路感染などがん 以外の疾患にかかった場合は入院が必要になることもある。またイレウスや尿閉など緩和 ケアだけでは対処できないこともあると思うので緊急入院施設が確保された上でないと在 宅で治療は難しいと思う 一方で、疼痛コントロールやせん妄への対処などに精通していれば問題ないと思う、な どの回答も見られた。. 医療者が考えている「現状の介護施設で認知症とがんの合併の患者さんの看取りをして もらえる頻度」は、5 割以下がボリュームゾーンでした。 看取りの難しさにつながる理由とすると、 「医療用麻薬などの管理体制や緩和ケアの知識 が少ない」、「介護職員の基本的な医療知識が少ない」と医療知識の少なさに関する意見が トップ、続いて「介護職員の業務が多すぎる(マンパワー不足) 」、「介護職員の意識」とい う介護職側の問題、次に医療と介護の連携という結果でした。.

(30) 研修などの学びの機会について、一定の意欲が見られるが、現状は足りていないという 結果でした。また介護福祉関係者との意見交換の必要性を感じているも十分に行えていな いという意見が一番多い結果でした。. 認知症とがん(または身体疾患の合併)を経験されたことがある場合、 そのエピソードや 感じた課題などを自由記載で回答してもらいました。.

(31) ・本人が解らないまま、家族の意向で治療方針が決まっています。しかも、家族が「も し自分だったら行ってほしくないが、家族にはしてほしい」と主張する人が多い印象を受 けます。 ・①がんの診断をきっかけに認知症が判明した場合に、家族のショックがとても大きか った。受け入れも難しいように感じた。家族としても、がんと認知症のどちらに重きを置 いて考えたらよいか難しいようだった。(認知症なんてどうでもいい!となる家族もいた) ②軽度認知機能障害~軽症の認知症の方で、お一人暮らしや高齢者夫婦で暮らしている場 合、他の家族に迷惑をかけたくない気持ちが強く、重要な話があっても他の家族との連絡 を取らせてもらえないことがあり困る。 (勝手に連絡をとることで、信頼関係が崩れること も考慮し)③寝たきりで自分の意思を伝えられるか難しいように医療者からは思える方の 家族が、かなり強度の強い治療を望まれた場合、やって良いのかどうかの判断が難しい。 ④介護施設での受け入れが OK といわれ移動したが、ひどい褥瘡ができてもどってきたこ とがあったり(浮腫がある部分がずっと車いすの足の部分に当たっていた)や、化学療法 中で訪問看護も導入したが、施設側から訪問看護師に来なくて良いと言っていたことが判 明。本当に受け入れができるのか疑問になった。⑤介護施設では認知症の方の対応になれ ていて本人は楽そうだが医療的・緩和的対応が不十分、入院すると病院側では生活のよう な対応はできず、本人が不穏になりやすい。 ・化学療法を長期間行っていた方が、徐々に認知症を発症してきたことがありましたが、 すでに化学療法を行っていたので、そのまま継続したことがあります。結局、別の理由で 中止し、認知症の進行により再開することはありませんでした。一般に認知症がある方に は若年者に行うような激しい化学療法はお勧めせず、負担がかからない治療をこころがけ るようにしており、家族もだいたい同様の意見の方にしかいませんでした。 ・家族の価値観が重要視されることが多い 本人がどうしたいかが認知症の方は無視さ れる また告知されない事も多く医療者にも不信感を持つ. 病気より認知症が優先されて. しまうがんが見つかった場合、ご本人が治療するかどうかなどの判断をどこまで出来るか が分かりづらい。判断がそこそこ出来ると考えて検査や治療の相談をしていたら、御家族 への連絡が遅れてしまった。. 【研究の考察】 今回の旭川市での介護関係者、認知症家族会、医療関係者へのヒアリングとアンケー ト調査により、この地域におけるがんと認知症が合併した場合に関わる関係者の現状の意 識や、各関係者間の意識のギャップがあることが分かりましたので報告致します。 1.認知症の方ががんになった場合の意思決定についての関係者間のギャップ 認知症の方ががんになった場合、家族の 84.6%が家族で決めるという結果でした。本人 が理解できないと考え、告知もしないことを選択された方もいました。対して、介護関係.

(32) 者・医療関係者ともに 60%以上で本人の意志を可能な限り尊重するという結果がでました。 医療関係者では、決定権は家族にあると考えている人が約 40%いましたが、うち 33%は 本人にも話をすると答えました。また、告知についても、医療関係者の 53%が軽症~中等 症の認知症であれば本人に告知をした方が良いと考えていることが分かりました。 家族は、本人の意志決定の代理人という気持ちが強く、本人の意志を汲んでいる意識が強 いことによってこのような結果になった可能性はありますが、家族自身の思い込みにより 本人の自己決定が阻害される可能性、また家族が決定や責任を抱え込み、精神的負担にな る可能性もあり、注意が必要と考えられました。 2.治療についての認識のギャップ 家族は、認知症を持つ患者が何らかの症状が出た場合に、約 80%で何らかの検査を希望 されました。30%近くで内視鏡検査といった侵襲のある検査も希望され、約 30%で CT や MRI 検査などの検査は希望し、原因について調べてほしい気持ちが大きいことが分かりま した。しかし、がんの診断がついた場合の治療に関しては、積極的な治療を希望する人は 10%以下であり、90%以上の家族が緩和ケアのみを望んでいました。緩和ケアの内容に関 しても、症状をたるための人工肛門などの手術も望まない人が 70%と多くを占めました。 ヒアリングの中では、医療関係者から例え重症の認知症であっても、認知症がない時と全 く同じ治療を希望される患者家族がいた話もありましたが、今回のアンケートの回答をし てくれた方達が、認知症の家族会に所蔵している方が多く、認知症そのものを受け入れて いる方からの回答だったことも結果に反映している可能性があると考えられました。 対して、医療関係者の場合には、軽症~中等症認知症の方で、がんが治る段階であっ た場合には、50%で標準治療、44.4%で標準治療よりは弱いが治療を勧めるとの意識であ り、認知症ゆえに治療をしないと考えられたのは 2.8%に過ぎなかった。 治らない段階のがんであっても、症状緩和と延命目的の化学療法を勧める医療関係者が 51.4%、人工肛門など症状緩和のための手術を勧めるのは 13.5%と家族の希望よりも治療 方法を勧める医師が多い印象でした。 また、重症で現在の意志の表出が困難認知症の患者の場合、福祉・介護関係者は本人が 過去に希望または現在家族が希望していれば、標準療法のようにしっかりした治療をした 方が良いと考えている人が 89%と多く、治療を行わない方が良いと答えたのは 3.8%とご く少数でした。対して、医療関係者の場合には、積極的治療は行わないことを勧める人が 26%(うち 10%は症状緩和のための人工肛門などの手術も進める)、積極的治療を勧める 人が 38%という結果になり、介護関係者よりは重症認知症の患者へ勧める治療方法の強度 が少ないことが分かりました。理由としては、家族自体の希望は「本人がつらくないこと」 であり、手術や治療のデメリットのつらさに関しての評価が、家族と医療者、介護関係者 で異なる可能性が考えられました。.

(33) 3.認知症の人の痛みについての評価について 認知症の人の痛みの評価に関しては、過小評価されやすいという研究結果が発表されて います。認知症がない人と異なり、「痛い」という言語的コミュニケーションや、「不快を 表す」表情やしぐさで痛みを訴えることができない場合もあり、身近な介護者による普段 との異なる行動の評価などが重要になってくる。しかし、 「認知症の人は、痛みを感じにく い」という考えも一般的に根強くあると考えられ、現状を評価しました。 認知症の人の方が「痛みを感じやすい」または「認知症ではない人と同じ」の合計が家 族 58.4%、福祉・介護関係者 46.3%、医療者 20.9%と、家族が最も痛みについて敏感に評 価し、医療者が少ないことが分かった。医療者は「分からない」に 47.9%チェックされて おり、認知症の痛みに関する評価についての学びが必要と考えられました。しかし、家族、 福祉・介護関係者も含めて、認知症当事者の苦痛、疼痛に対しての学習の機会や研究の進 展が望まれます。 4.認知症とがんを合併した人の最期を看取る場所についてのギャップ 認知症とがんを合併した人の最期を看取る場所として、どこがベストかの質問に関して、 各関係者で意見が分かれました。 家族は、①自宅(46.2%)、②介護施設(23.1%)が上位で、療養型病院、急性期病院、 緩和ケア病棟はそれぞれ 7.7%という結果になりました。 福祉・介護関係者は、①介護施設(32.4%)、②緩和ケア病棟(29%)、③自宅(10.7%) 、 ④療養型病棟(9.2%)、⑤急性期病院(8.4%)。 医療関係者は、①緩和ケア病棟(30.1%)、②自宅(23.2%)、③療養型病棟(21.9%)、 ④介護施設(12.3%)で、急性期病院を選んだ人は0人でした。 このような結果になった理由としては、ヒアリングの中で家族は認知症になった家族に 対して「普段通りの生活をしてほしい」とう声があり、それに対応する形での自宅と介護 施設が上位にあがったと考えられました。ただ、家族の医療施設に関しての現状の認識や 理解は十分ではない可能性もありました。アンケートの結果で、認知症の方が身体疾患を 合併した場合にすぐ入院できると答えた人が 50%でした。実際には、家族会の中でのヒア リングでは、かかりつけ医がいたとしても入院施設を確保するのは難しかったという話も 多くでました。 福祉・介護関係者は、看取りが可能な介護施設に勤めている方に関しては①介護施設が 上位にきたと考えられました。自宅での介護が困難な事例をみていることからか、自宅よ りも介護施設が上位にきたと考えられました。実際に、介護施設で看取りができると答え たのが 30%。ただ、そのうち不安があると答えた人が 23%、また症状がでるまでの間まで は対応が可能で看取りができないと考えている所は 45.6%とボリュームゾーン、看取りが 現在はできない施設が 20%(うち 6%は将来的に体制を考慮)という結果となり、現実望.

(34) まれているほど十分には看取りができる体制にはまだなっていないと考えられました。 医療関係者の場合には、介護施設での看取りに関して考えている人は多くなく、他の関 係者と異なり療養型病棟を挙げた人が多かったという特徴がありました。これは、旭川市 が、国立医大が存在し、市内の開業医が多いという現状、市内のがん拠点病院のバックベ ッドとして機能している病院がすでに確立されており、現在、長期入院が必要な患者さん がそのように転院をしている現実を表していると考えられました。しかし、療養型病院で の緩和ケアが十分ではないこともあり、適切な場所を選ぶこの設問では、緩和ケア病棟や 自宅が上位にきたと考えられます。介護施設が低い理由としては、医療関係者からみて介 護関係者が医療用麻薬や身体処置に対応できるかどうか不安という声もあり、がんに関す る緩和ケアや処置についての医療者と介護関係者の意思統一がなされていない現状が見え たと考えられました。 緩和ケア病棟に関しては、旭川市ではベッド数が 20 床と少なく、現実的に認知症の患 者さんががんになった場合に緩和ケア病棟に入れるかどうかは難しい点が多いです。医療 者のうち緩和ケア病棟が問題なく受け入れてくれると考えるのは 20%、やや難色を示され ると考えるのは 25%、難しいと考えるのは 27%という結果がでており、今後緩和ケア病 棟や緩和ケア専門医との連携も望まれる結果となりました。 5.がんと認知症の合併に関しての、医療者、福祉・介護関係者の意識について 医療者、福祉・介護関係者ともにここ 10 年で認知症が増加し、がんと認知症の合併の 人も増加してきていると感じていました。ただ、多い所でも 10 名以内であり、院内や施 設としての対策をあてるほどにはいたっていないのが現状でした。 福祉・介護関係者の 85%が、認知症だけに加えてがんが合併すると仕事が増え、70%で 心理的負担が増えると感じていました。その増える仕事内容としては、身体的苦痛や身体 の状態の評価といった医療的なことと訪問看護や訪問診療といった医療関係者との連携に 伴うものが増えると感じていました。また、医療関係者の 78%~80%が、個人としてまた は病院としてがんと認知症の合併への対応に大変さを感じていることが分かりました。理 由としては、1 番が認知症の本人への説明や対応、理解してもらうのに時間がかかってし まうとのこと、2 番目が家族への説明、3 番目が不穏行動に対しての対応が原因と考えて いました。 また、ヒアリングの中で、福祉・介護関係者が医療関係者に望むこととして、もっと認 知症に関する知識をもってほしい、医療関係者から福祉・介護関係者に対しては医療用麻 薬や緩和ケアに関しての知識が必要ではという声がでており、双方に足りない部分がある ことが分かりました。 今回のアンケートの結果で、関係者間でギャップがある部分に関しては、当事者や家族 へのケアの際に注意が必要であること、また、各関係者それぞれの今後の教育に関して重.

(35) 要になってくる項目であると考えられました。 なお、今回のアンケート結果の限界として、認知症家族のアンケートが十分に集まりま せんでした。認知症家族会に出ている家族がまだ少なく、また高齢の方も多いことからア ンケートの協力のお願いが難しい結果となりました。また、医療関係者では、旭川市でが んの患者さんの訪問診療もされている 3 名の医師がいますが、彼らに協力をお願いしまし たがアンケートの回収にいたりませんでした。訪問看護師にも多くお願いすることができ ず、旭川市の現状として、訪問診療や訪問看護と病院や施設とのがんと認知症合併の場合 の看取りに関しても連携が更に必要と考えられました。このような理由から今回のアンケ ートの結果には偏りがありますが、がんと認知症の合併に関して、家族、福祉・介護関係 者、医療者に個別でのヒアリングやアンケート調査ができたことは、貴重で今後の対策を 考えていく一つのきっかけになると考えられました。 (助成元の明示) 本報告書は「公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団」の助成によります。 (感想) 今回の調査を行うことで、旭川市で働く福祉・介護関係者や医療関係者、また、地域の 異なる家族会の方達から話を聞き、新たな連携をつくるきっかけになりました。地域包括 支援センターや社会福祉協議会とも連携をし、今後の医療・介護・福祉の協働ができる仕 組み作りに一歩踏み出すことができました。この度は、本研究に助成をしていただきまし て、心から感謝申し上げます。.

(36) (アンケート書式) 以下に、本研究で用いたアンケートを添付いたします。 (a)認知症患者の家族向けアンケート.

(37)

(38)

(39) (b)福祉・介護関係者向けアンケート.

(40)

(41)

(42)

(43) (c)医療関係者向けアンケート.

(44) .

(45)

(46)

(47)

(48) 以下に、本研究「事例検討会」で用いた事例を添付いたします。 【ケース】 佐藤さん(仮名)70歳代、男性 8年前に脳出血を発症。左片麻痺と中等症の認知症。車いすでの生活で、食事は自力で 摂取可能だが、排泄は介助が必要となる。妻が介護者となりご自宅で生活されている。 2年前に腹痛で病院受診し、直腸がんの診断。腫瘍により腸が狭窄し、腸閉塞の手前の 状態であった。Miles 手術+人工肛門増設術を施行。StageⅡ。入院中は、「帰る!」と不 穏となり、常に家族の付き添いが必要であった。看護師も頻回のナースコールへの対応が 必要となった。 手術経過は良好で、ご自宅に戻られるが、介護者の妻が体調不良で一時入院。その間、 施設に短期入所。妻が退院後も、家族(長女・長男)との相談で、介護施設に入所となる。 1年前に特別養護老人ホームに入所。個室での生活で、以前の施設の時のような「帰る」 と騒ぐことがなくなり、ほぼ毎日家族が訪れ穏やかに生活。 がんの完治は困難な状態。症状緩和のために行える治療は、以下の組み合わせ。 ①化学療法 ②局所への放射線療法 ③緩和ケア。 ご家族は、本人の「もうつらい治療は嫌だ」という言葉から、治療はせず、現在の特別 養護老人ホームでの看取りを希望。.

(49)

参照

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