• 検索結果がありません。

中学校保健体育科教員の授業力量形成に関する研究 ― キャリアステージの異なる教師に対するアクション・リサーチの実践から ―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中学校保健体育科教員の授業力量形成に関する研究 ― キャリアステージの異なる教師に対するアクション・リサーチの実践から ―"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

中学校保健体育科教員の授業力量形成に関する研究

― キャリアステージの異なる教師に対する

アクション・リサーチの実践から ―

山 田 淳 子

・辻   延 浩

**

・仁 賀 志 織

***

足 立 光 憲

****

・沖 本 由佳里

*****

Development of Teaching Ability in Junior High School

Health and Physical Education Teachers:

Action Research with Teachers at Diff erent Career Stages

Junko YAMADA・Nobuhiro TSUJI・Shiori NIGA

Mitsunori ADACHI・Yukari OKIMOTO

キーワード:アクション・リサーチ,授業力量形成,キャリアステージ,中学校保健体育科 1 研究の背景と目的 近年の教職員の大量退職・大量採用の影響に より経験の浅い教員が増加する中、教育課程・ 授業方法の改革を図るために、教員の資質向上 に係る新たな体制を構築することを目的とし て、2016 年に教育公務員特例法(2016,文部科 学省)が改定された。そこには、教員育成指標 と教員研究計画等に関する規定が整備されると ともに、10 年経験者研修を改めた「中堅教諭等 資質向上研修」が設立された。小柳(2004)は、 怠を感じたり、自らの授業実践の方法に固執 してしまったりしがちな中堅期において、絶え ず教職専門性を伸ばしていくためには、授業実 践のリフレクションや知識、スキルの日々の刷 新が求められると述べている。すなわち、新任 教員や若手教員が力量を高めるための教師教育 * 草津市立老上西小学校 ** 滋賀大学大学院教育学研究科 *** 大津市立志賀中学校 **** 守山市立明富中学校 ***** 大津市立日吉中学校 に加え、ミドルリーダーとなる中堅教師の再教 育や実質的な研修が課題となってきているので ある。とりわけ、学校教育の中心は授業であり、 授業力は求められる専門的指導力の中で最も重 要なものである(2014,滋賀県教育委員会)と 提言していることから、教員のキャリアステー ジに応じた授業力量形成が急務であり、教師教 育に携わる者は、絶えずそのための研修プログ ラムや支援体制を準備していく必要があると考 えられる。教員の養成段階における授業力量形 成に関する研究として、米村(2010)は、「実 践的指導力」を高める教育実習プログラムを作 成し、その有効性を検討している。研究対象と なった大学院生に対して①大学院生と附属小教 員・学部教員の連携による授業つくり、②大学 院生と附属小教員による同一単元の授業実践、 ③授業実践の観察・分析、④授業の反省という 一連のプログラムが実践された結果、附属小教 員のもつ経験的知見と学部教員のもつ科学的知 見との両者がからみあい、大学院生の授業実践 力の向上に寄与できる可能性を指摘した。しか し、大学院生の授業観や課題意識、さらにはメ

(2)

ンター(実習指導教員)の指導(支援)の内容 については言及されておらず、大学院生の授業 実践力向上のプロセスが不明瞭である。 また、久保(2008)は、教員免許取得直後大 学院生を対象として、小学校体育科において 1 単元のマット運動の授業実践を二度行い、その 中で、メンターからの援助を受けることで、「省 察」の焦点とレベルがどのように変容するかに ついて明らかにしている。しかし、この実践は、 大学院生がティームティーティングでのT 2 と いう負担の軽い状態での参加から単独指導とい う段階を踏んだ授業実践から得られた変容の一 事例であり、2 単元とも単独指導で行った場合 の変容については検討されていない。 さらに、四方田ら(2013)は、小学校教師の 体育授業力量形成に取り組む必要性を指摘し、 小学校教師の体育授業に対するコミットメント を促す要因を報告している。また加登本・辻 (2016)は、小学校教師の体育授業力量形成の 契機に関する調査を行っている。体育主任をは じめ、地域や学校内で指導的立場にある教師の 授業力量形成のための、キャリアステージに応 じた効果的な環境要因とその適した時期につい て考察している。しかし、これらの研究はいず れも、インタビューや質問紙調査に基づくもの であり、体育授業実践を通して検証されていな い。 教師が授業力量の向上を図るためには、日々 の授業実践において、授業を計画・実施・評価 する中で課題を持ち、その改善に向けて取り組 んでいくことが重要である。そのための一つの 手 法 と し て、Kurt Lewin(1945) が 提 唱 し た アクション・リサーチを用いた実践があげられ る。岩田(2014)は修士課程段階にある保健体育 科実習生の授業についての知識と教授方法の変 容に着目し、アクション・リサーチ型の実習サ イクルの効果を検討している。そこでは、大学 教員やスーパーバイザー、同僚からの支援を受 けることによって、複合的な「授業についての 知識」や「教授方法についての知識」が変容す ることが報告されている。しかしながら、アク ション・リサーチ型実習の効果として、授業実 践力の変容に影響した具体的な要因や、リフレ クションの内実については言及されていない。 また小柳(2004)は、教員養成段階からすでに 教師の道は始まっていると捉え、各時期の指導 ポイントをおさえながら、アクション・リサー チに取り組んでいくことが必要であると述べて いるが、授業実践を通して得られた報告ではな い。 そこで本研究では、教師が自分の授業を改善 し、指導力の向上をめざすことに焦点をあてた アクション・リサーチ(佐野,2000)を通して、 保健体育を専攻する教員養成段階の大学院生お よび附属学校に勤務する中堅段階の中学校保健 体育科担当教諭の授業実践の変容を明らかにす るとともに、アクション・リサーチ型プログラ ムの効果について検討することを目的とした。 2 方法 2.1 対象 調査対象は、S大学大学院保健体育専攻(2 年 次)に所属する大学院生(以下、A院生と示 す)と、教職歴 14 年の中堅期に属するS大学教 育学部附属中学校保健体育科担当教諭(以下、 B教諭と示す)である。なおA院生は、中学校 1 種(保健体育)、高等学校 1 種(保健体育)免 許状を保有しており、2016 年度、S大学教育学 部附属中学校保健体育科担当の非常勤講師とし て勤務している。2016 年度教員採用試験に合格 し、2017 年度から中学校教員に新規採用される ことが決定している。 本研究における教師の発達段階については、 吉崎(1998)の区分に倣い、「初心期」(教職 3 年目ぐらいまで)、「中堅期」(教職 5 年目から 15 年目ぐらいまで)、「熟練期」(20 年目以降)の 3 段階に設定した。 2.2 対象とした体育授業 A院生が担当する中学一年生の、バスケット ボールの授業(全 7 単位時間)および器械運動 (マット運動)(全 8 単位時間)を対象とした。 授業の分析については、単元開始時、単元中盤、 単元終了時に絞った。バスケットボールの授業 では、1 時間目、3 時間目、5 時間目、7 時間目 を、器械運動(マット運動)の授業では 1 時間 目、4 時間目、6 時間目、8 時間目の各授業を分 析した。

(3)

またB教諭が担当する中学 3 年生のバレー ボールの授業(全 11 単位時間)を対象とした。 授業の分析については、1 時間目、3 時間目、6 時間目、7 時間目、9 時間目、11 時間目の各授 業を分析した。 2.3 アクション・リサーチの手順および調査   期間 図 1 は、本研究で用いたアクション・リサー チの流れを示したものである。調査は、2016 年 4 月上旬から 12 月上旬にかけて実施した。 なお本研究でのアクション・リサーチの流れ については、島田(2008)が用いた方法を参考 にして筆者らが修正を加えた手順を用いること にした。 ①トピックの明確化・予備調査 A院生、B教諭に「トピック絞り込みシー ト」を記入してもらい、4 月上旬にそれを用い て参与観察者(滋賀大学教育学部保健体育講座 学生)、A院生、B教諭、スーパ−バイザー(滋 賀大学大学院教育学研究科教授)を交えたカン ファレンスを実施した。続いて 4 月下旬∼ 5 月 上旬にかけて約 2 週間参与観察者による予備調 査(授業のビデオ撮り、フィールドノーツの記 述、半構造化インタビュー)を実施し、状況把 握を行った。 ②トピックの焦点化 約 2 週間の予備調査期間にA院生、B教諭 に「トピック絞り込みシート」を記入してもら い、それを用いてトピックを決定するためのカ ンファレンスを実施した。 ③第 1 アクション・プランの策定 それぞれが策定したトピックについて、A院 生がバスケットボール(全 7 単位時間:第 1 ア クション)、B教諭がバレーボール(全 11 単位 時間:第 1 アクション)において、どのように 取り組んでいくか、単元計画も含め検討した。 ④第 1 アクション・プランの実施 6 月下旬より第 1 アクションを実施しても らった。その間参与観察者は授業を観察し、ビ デオデータ、フィールドノーツをもとに分析を 行い、省察を促すためのインタビューや情報提 供を行った。 ⑤第 1 アクション・プランの評価、修正 第 1 アクション・プランの成果と課題を振り 返るために、参与観察者、A院生、スーパーバ イザーを交えた中間カンファレンスを 7 月下旬 に実施した。明確になった実践課題を第 2 アク ション・プランの策定につなげた。 ⑥中間カンファレンス、第 2 アクション・プラ ンの策定 参与観察者、A院生、スーパーバイザーを 交えたカンファレンスを実施し、第 1 アクショ ン・プランの成果と課題について振り返るとと もに、第 2 アクション・プランの検討を行った。 ⑦第 2 アクション・プランの実施 11 月上旬からマット運動(全 8 単位時間:第 2 アクション)を、A院生に取り組んでもらっ た。参与観察の内容としては第 1 アクション・プ ランとほぼ同様の内容で進めたが、質的なデー タを得るため、授業実践の前後に半構造化イン タビューを実施した。 ⑧アクション・プランの総括・まとめ アクション・プランの終了後には、A院生、 B教諭それぞれに 1 年間の授業実践を振り返っ てもらい、各実践者によるアクション・リサー チ型授業実践の成果と課題、今後の授業実践の 展望についてまとめ、考察を行った。 図 1 本研究で用いたアクション・リサーチの流れ

(4)

2.4 調査内容と方法 2.4.1 教師行動に関する調査 授業場面の分析を行うために、シーデントッ プ(1988)によって紹介され、高橋(1994)に よって修正された授業観察シート「授業場面の 期間記録法」を用いた。さらに、運動学習場面 での教師の相互作用行動の観察を行うために、 「教 師 の 相 互 作 用 行 動 の 観 察 コ ー テ ィ ン グ シート」を用いて、録画した授業の映像を見な がら、10 秒単位で観察・記録を行った。相互 作用の観察カテゴリーは、大きく「発問」、「受 理」、「フィードバック」、「励まし」の 4 つに区分 され、フィードバックについては「肯定的、矯 正的、否定的」、「一般的、具体的」の 2 次元で チェックを行った。さらに、相互作用の内容と それらが向けられた対象が個人か集団・グルー プかを判断して、各カテゴリーに記録した。 また、教師の省察能力に関する調査を、半 構造化インタビュー、フィールドノーツへの記 録、逐語記録を通して分析した。 2.4.2 学習者行動に関する調査 各単元の各授業の時間においての生徒の認 識を把握するために、形成的授業評価(長谷川 ら,1994)を実施した。なお、B教諭の実践に ついては、自尊感情測定尺度票「自己評価シー ト」(東京都教職員研修センター,2011)を用い て、生徒の自尊感情の実態を分析した。 2.5 統計処理 B教諭のアクションにおいて自尊感情の変 容を検証するため、自尊感情の因子別平均得点 の結果に関して単元前後と男女間別の一要因 (単元前後)のみ対応のある二要因分散分析を 行い、有意な交互作用が認められた場合には単 純主効果の検定を行った。

統計処理には、Microsoft Excel offi ce365 を用 い、有意水準は 5%以下とした。 3 結果および考察 3.1 A院生のアクション・リサーチの結果 3.1.1  トピックの設定 予備調査として、「トピック絞り込みシート」 を用いてカンファレンスを実施した。教育実習 におけるA院生の成果として、一定量の運動学 習量が確保できていたことを挙げられている。 しかしながら、完全に一方的な教え込みの授業 を行ってしまったため、生徒同士の協力や互い に言葉を掛け合う姿があまり見受けられなかっ たことを自己の実践課題と認識していることが うかがえた。さらにA院生は、生徒同士がコ 表 1  逐語記録におけるA院生のグループ学習にこだわる理 由の抜粋 表 2 A院生のトピックの焦点化における逐語記録の抜粋 注)A:A院生、S:スーパ−バイザー 注)A:A院生、S:スーパ−バイザー   P:参与観察者 6ࠕ࡞ࡐࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦ࢆྲྀࡾධࢀࡓ࠸࡜ᛮࡗ࡚࠾ࡽ ࢀࡲࡍ࠿ࠋࠖ $ࠕࢥ࣑ࣗࢽࢣ࣮ࢩࣙࣥࡶࡑ࠺࡛ࡍࡋࠊ࠶࡜ࡣ࡝ ࡇ࡟╔┠ࡍࢀࡤᢏ⬟ࡀ㧗ࡵࡽࢀࡿ࠿࡜࠸࠺ࡢࡶ⏕ ᚐ࡟ᩍ࠼࡚࠸ࡁࡓ࠸࡛ࡍࡋࠊ⮬ศࡀᛮࡗ࡚࠸ࡿࡇ ࡜ࢆ௚ࡢே࡟ఏ࠼ࡿࡇ࡜࡟ࡼࡗ࡚⮬ศࡢ⪃࠼࡜࠿ ࡶᩚ⌮࡛ࡁࡲࡍࡋࠊࡑ࠺࠸ࡗࡓ࡜ࡇࢆࡡࡽ࠸࡜ࡋ ࡚ࡸࡗ࡚࠸ࡁࡓ࠸࡞࠵࡜ᛮࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋࠖ 6ࠕᙜ↛㐠ືᏛ⩦㔞࡜࠿ᢏ⬟ࡢ⩦ᚓࡗ࡚࠸࠺ࡶࡢ ࡣࠊᏛ⩦ᡂᯝ࡜ࡋ࡚࠾࠸࡚࠾ࡽࢀࡿ࡜࠸࠺ࡇ࡜࡛ ࡍ࠿ࠋࠖ $ࠕᢏ⬟ᡂᯝࡶ⪃࠼࡚࠸ࡲࡍࡋࠊᛮ⪃ࡢ㒊ศࢆ኱ษ ࡟ࡋࡓ࠸࡞࡜ᛮࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋ࡛ࡶࠊࢢ࣮ࣝࣉάືࡸ ヰࡋྜ࠸࡜࠿ࡀከࡃ࡞ࡿ࡜ࠊ㐠ືᏛ⩦㔞ࡀపୗࡍ ࡿ࡜࠿ࡑ࠺࠸࠺࡜ࡇࢁࡶ࠶ࡿࡢ࡛ࠊࡑࡇࡀ㞴ࡋ࠸ ࡜ᛮࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋࠖ 3ࠕࢪࢢࢯ࣮Ꮫ⩦ࢆ⏝࠸࡚ᤵᴗࢆ⾜ࡗ࡚࠸ࡇ࠺࡜ᛮ ࢃࢀࡓ⌮⏤ࡸࠊᐇ㝿࡟ࡸࡗ࡚ࡳ࡚ࡢ㞴ࡋࡉࡣ࠶ࡾ ࡲࡍ࠿ࠋࠖ $ࠕ⪺ࡃே࡟ࢃ࠿ࡾࡸࡍ࠸ㄝ᫂ࢆࡋࡼ࠺࡜ᛮ࠺࡜ࠊ⮬ ศ⮬㌟ࡀ࣏࢖ࣥࢺࢆ⌮ゎࡋ࡚࠾࠿࡞ࡅࢀࡤ࡞ࡽ࡞ ࠸࡛ࡍࡋࠊࡑ࠺࠸࠺㒊ศ࠿ࡽྲྀࡾධࢀࡼ࠺࡜ࡋࡲ ࡋࡓࠋ௒ᅇࢪࢢࢯ࣮Ꮫ⩦ࢆ⾜࠸ࡲࡋࡓࡀࠊ୍ࡘࡢ࡜ ࡇࢁ࡛࣏࢖ࣥࢺࢆ♧ࡉ࡞࠸࡜࠸ࡅ࡞࠸ࡢ࡛௚ࡢᚅ ᶵࡋ࡚࠸ࡿ⏕ᚐ࡟ᑐࡋ࡚ࡣ┦஫స⏝ࡀ඲ࡃ࡛ࡁࡲ ࡏࢇ࡛ࡋࡓࠋࠖ 6ࠕࢪࢢࢯ࣮Ꮫ⩦ࢆࡸࡾࡓ࠸࡜࠸࠺ࡢ࡛ࡣ࡞ࡃ࡚ࠊ⏕ ᚐࡢࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦ࢆಁ㐍ࡉࡏࡿࡓࡵ࡟ࠊࣇ࢓ࢩࣜ ࢸ࣮ࢱ࣮࡜ࡋ࡚┦஫స⏝ࢆ✚ᴟⓗ࡟Ⴀࡳࡓ࠸ࠊ࡜ ࠸࠺ᛮ࠸࡛ࡣ࡞࠸࡛ࡋࡻ࠺࠿ࠋ㸦୰␎㸧⏕ᚐ࡬ࡢ㛵 ࢃࡾࡀ㉁ⓗ࡟࡝࠺ኚ໬ࡋ࡚࠸ࡃࡢ࠿ࠊࡑࡢࡇ࡜࡟ ࡼࡗ࡚⏕ᚐࡢᏛ⩦⾜Ⅽࡀ࡝ࡢࡼ࠺࡟ኚࢃࡗࡓࡾࠊ ⏕ᚐࡢᏛ⩦ホ౯ࡀ࡝࠺࡞ࡗࡓࡾࡍࡿࡢ࠿ࢆࢭࢵࢺ ࡛ᤊ࠼࡚࠸ࡃ࡜┦஫స⏝ࡢຠᯝࡀࡳࡽࢀࡿࡢ࡛ࡣ ࡞࠸࠿ᛮ࠸ࡲࡍࠋࠖ $ࠕ⏕ᚐࡢࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦ࢆಁ㐍ࡉࡏࡿࡓࡵࡢຠᯝⓗ ࡞ࣇ࢕࣮ࢻࣂࢵࢡࢆ࡝ࡢࡼ࠺࡟⾜ࡗ࡚࠸ࡃ࠿ࠊࡑ ࡢ㧗ࡲࡾࢆࡳ࡚࠸ࡃ࡜࠸࠺ࡢࢆ➨  ࢔ࢡࢩ࣭ࣙࣥ ࣉࣛࣥ࡜ࡋ࡚タᐃࡋࠊࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦࡟ࡶᛮ࠸ࡸ㛵 ᚰࡀ࠶ࡾࡲࡍࡢ࡛ࠊࡑࢀࡣ➨  ࢔ࢡࢩ࣭ࣙࣥࣉࣛࣥ ࡛୰ᚰ࡟ྲྀࡾୖࡆ࡚࠸ࡅࡓࡽ࡜࠸࠺ࡩ࠺࡟ᛮ࠸ࡲ ࡍࠋࠖ

(5)

ミュニケーションをとっていけるような働きか けとして、グループ学習を取り入れ仲間と協力 し合う、励まし合えるような工夫ができたらと 考えている。また、生徒との関わりを大事にす るために相互作用を積極的に行っていくことを 願いとして持っている。表 1 は逐語記録にみる A院生がグループ学習にこだわる理由の抜粋で ある。A院生のグル−プ学習を通して、生徒同 士の積極的なコミュニケーションを図るととも に、生徒同士互いに伝え合うことを通してポイ ントの整理を行い、技能成果の高まりに繋げて いきたいという思いが読み取れる(A1)。一方 で、グループ活動を取り入れることによって運 動学習量が低下してしまうという実践の難しさ を感じている。鈴木(2016)の、初任期の教師 の特徴として子どもに「いかに教えるのか」と いう授業の方法論を追究する傾向があるとの指 摘と同様に、A院生も授業実践の方法論につい て特に興味を示しており、経験の少ない授業実 践に向けていかに授業を展開していけばよい か、授業の方法について探究しようとしている ことが明確になった。これには、A院生の大学 院での保健体育授業論についての学びも影響し ていると推察された。次に、「トピック絞り込み シート」を用いてトピックの焦点化に向けたカ ンファレンスを行った。表 2 はA院生のトピッ クの焦点化における逐語記録の抜粋である。予 備調査段階の授業実践の中で、技能のポイント をA院生が各グループの生徒 1 名に指導し、そ れをグループに戻って生徒に伝える「ジグソー 学習」が取り入れられた。しかしA院生は、ポ イントを指導する際に他のグループを見ること ができないというジグソー学習の難しさを自覚 している(A3)。これに対してスーパーバイザー は、A院生の「グループ学習」に対する課題意 識を、相互作用におけるファシリテーターの機 能に向けるよう促し、その効果について学習成 果との関係で評価することの重要性を述べてい る。これは、表 1 の「思考の活性化とともに技 能成果にもつなげたい」というA院生の思いを 受けての焦点化であると考えられる。 以上のような流れから、第 1 アクションと して「効果的なフィードバック」を求め授業実 践を行っていくことに定まり、トピックは「生 徒のグループ学習を促進するために、効果的な フィードバック(相互作用)を行っていくこと」 に決定した。 3.1.2 第 1 アクション・プランの実施とその    結果 表 3 は、第 1 アクションを実施するバスケッ トボールの単元計画(全 7 単位時間)を示して いる。また表 4 は、バスケットボール単元の授 業組織を示している。A院生は、一つひとつの 技術のポイントを置いた授業をイメージし、授 業設計を行った。 生徒の学習評価については、形成的授業評価 (図 2)から、1 年B組は「総合評価」に関して は単元を通して 5 段階評価の「3」となってい る。特に、「成果」は単元を通して 5 段階評価の 「2」ないしは「3」であり、グループ学習が意図 的に展開されていた 3、4、7 時間目をみても評 定がやや低いことから、グループ学習が必ずし も学習成果に結びついていないことが推察され ༢ඖ⤒㐣        ࡵ࠶࡚ ࣎ ࣮ ࣝ ࡟ ័ࢀࡼ࠺ ࢳ ࣮ ࣒ ࡢ ௰ 㛫 ࡜ ༠ ຊ ࡋ ࡚ ヨ ྜࡋࡼ࠺ ࡞ ࡵ ࡽ ࠿ ࡟ ࢻ ࣜ ࣈ ࣝ ࢆ ࡋ ࡼ ࠺ ࡓࡃࡉࢇࢩ ࣮ࣗࢺࢆᡴ ࡜࠺ ᩛ ࡀ ࠸ ࡞ ࠸ ࡜ ࡇ ࢁ ࡛ ࣃ ࢫ ࢆ ࠺ࡅࡼ࠺ 㑧 㨱 ࡉ ࢀ ࡞ ࠸ ࡜ ࡇ ࢁ ࡛ ࣃ ࢫ ࢆ ࡶ ࡽ ࠾ ࠺ స ᡓ ࢆ ᐇ ⾜ࡋࡼ࠺        Ꮫ⩦ෆᐜ 㞟ྜ㸪ᣵᣜ㸪ฟḞ☜ㄆ㸪‽ഛ㐠ື࣭⿵ᙉ㸪ᮏ᫬ࡢࡵ࠶࡚☜ㄆ ࣭ ༢ ඖ ┠ ᶆࡢ☜ㄆ ࣭ ࣡ ࣮ ࢡ ࢩ࣮ࢺ 㓄ᕸ ࣭ ࢻ ࣜ ࣈ ࣝࣛࣥ ࣭ ࣎ ࣮ ࣝ ᅇࡋ ࣭๓᫬ࡢ ᚟⩦㸦ࢻ ࣜࣈࣝ㸧 ࣭ࢤ࣮࣒ ࡢ࣮ࣝࣝ 㸤ࢳ࣮࣒ ࣮࣡ࢡ  ࢝᮲ࡢ☜ ㄆ ࣭ ᫬㛫┠ࡢࢤ࣮࣒ᫎീࡢど⫈ ࣭ ࢻ ࣜ ࣈ ࣝࣛࣥ ࣭ ࢩ ࣗ ࣮ ࢺ⦎⩦ ࣭ ࣅ ࢵ ࢡ ࢦ ࣮ ࣝ ࣂ ࢫ ࢣ ࢵ ࢺ ࣎ ࣮ ࣝ ࡢ ࣝ ࣮ ࣝ 㸤 ࢳ ࣮ ࣒ ࣡ ࣮ࢡ  ࢝ ᮲ࡢ☜ㄆ ࣭ ๓ ᅇ ࡢ ࢤ ࣮ ࣒ ࡢ ࣅ ࢹ ࢜ ど ⫈㸦ಶே࡛ ⪃ ࠼ ࡚ ࠿ ࡽ ࢢ ࣝ ࣮ ࣉ ࡈ ࡜ ࡟ ཯┬఍㸧 ࣭ ࣡ ࣮ ࢡ ࢩ ࣮ ࢺ ࡢ グ㏙ ࣭ ࢻ ࣜ ࣈ ࣝ⦎⩦㸦኱ ࡁ ࡃ Ѝ ᑠ ࡉ ࡃ Ѝ ࣌ ࢔ ࡛ ࢻ ࣜ ࣈࣝ㸧 ࣭ࢭࢵࢺࢩ ࣮ࣗࢺ⦎⩦ 㸦 ṇ 㠃 㸪 r㸧 ࣭࣮࣡ࢡࢩ ࣮ࢺࢆ⏝࠸ ࡚࣏࢖ࣥࢺ ࡢ☜ㄆ ࣭෌ᗘ⦎⩦ ࣭ ࢳ ࢙ ࢫ ࢺࣃࢫ㸦ࣇ ࣮ࣟࢺࢺ ࣮ࣞࢺ࢘ ࣥࢫ㸧 ࣭ ᑐ 㠃 ࣃ ࢫ㸦ࢳ࢙ࢫ ࢺ  ࢧ ࢖ ࢻࣂ࢘ࣥ ࢻ࠿ࡽ㸧 ࣭ ࢤ ࣮ ࣒ 㸦 ྛ ⌜  ศ 㛫 ࡢ ࢤ ࣮ ࣒ ࢆ  ヨྜࡎࡘ㸧 ࣭ ࢢ ࣝ ࣮ ࣉ ࡈ ࡜ ࡢ ࢻ ࣜ ࣈ ࣝ ⦎⩦㸦Ṍ࠸ ࡚ Ѝ ㉮ ࡗ ࡚ Ѝ ࢫ ࣆ ࣮ ࢻ ࢔ ࢵ ࣉ㸧 ࣭ ࣡ ࣮ ࢡ ࢩ࣮ࢺ 㓄ᕸ ࣭ࣞ࢖࢔ࢵ ࣉࢩ࣮ࣗࢺ ⦎⩦ ࣭ࣞ࢖࢔ࢵ ࣉࢩ࣮ࣗࢺ ࡢ࣏࢖ࣥࢺ ☜ㄆ ࣭෌ᗘ⦎⩦ ࣭ YV ࡢ ࣝ ࣮ ࣝ ☜ ㄆ ࣭YV㸦 ヨྜ  ศ 㛫 㸩 ஺ ᭰  ⛊ࢆ᫬ 㛫 ࠸ ࡗ ࡥ ࠸㸧 ࣭ ࣅ ࢵ ࢡ ࢦ ࣮ ࣝ ࣂ ࢫ ࢣ ࢵ ࢺ ࣮࣎ࣝ㸦ྛ ࢳ ࣮ ࣒  ศ 㛫 ࡢ ࢤ ࣮࣒™ ヨ ྜ㸧 ࣭ ࢤ ࣮ ࣒ 㸦 ྛ ࢳ ࣮ ࣒  ศ㛫 ࡢ ࢤ ࣮ ࣒ ™㸧 ∦௜ࡅ࣭ᮏ᫬ࡢࡲ࡜ࡵ࣭ᣵᣜ ᫬㛫 ᤵᴗᵓᡂ Ꮫ⩦㞟ᅋ ᩍᖌ⾜ື  ᢏ⾡⦎⩦ ࢡࣛࢫ඲యЍಶேЍ࣌࢔ ┤᥋ⓗᣦᑟ㸦₇♧㸧 ᕠど㸪┦஫స⏝  ᢏ⾡⦎⩦Ѝ࣓࢖ࣥࢤ࣮࣒ ࢡࣛࢫ඲యЍࢢ࣮ࣝࣉ ┤᥋ⓗᣦᑟ㸪ᕠど ┦஫స⏝  ᢏ⾡⦎⩦Ѝࢻࣜࣝࢤ࣮࣒ ಶேЍ࣌࢔Ѝࢢ࣮ࣝࣉ ┤᥋ⓗᣦᑟ㸦₇♧㸧 ᕠど㸪┦஫స⏝  ᢏ⾡⦎⩦ ࢢ࣮ࣝࣉ ┤᥋ⓗᣦᑟ㸪ᕠど ┦஫స⏝  ᢏ⾡⦎⩦Ѝࢱࢫࢡࢤ࣮࣒ ࣌࢔Ѝࢢ࣮ࣝࣉ ┤᥋ⓗᣦᑟ㸦₇♧㸧 ᕠど㸪┦஫స⏝  ᢏ⾡⦎⩦Ѝࢱࢫࢡࢤ࣮࣒ ಶேЍࢡࣛࢫ඲యЍࢢ࣮ࣝࣉ ┤᥋ⓗᣦᑟ㸪ᕠど ┦஫స⏝  ヰࡋྜ࠸Ѝ࣓࢖ࣥࢤ࣮࣒ ಶேЍࢢ࣮ࣝࣉ ᕠど㸪┦஫స⏝ 表 3 A院生のバスケットボールの単元計画 表 4 A院生のバスケットボールの授業組織の実際

(6)

が「1」になっているのは、学習内容がパス練習 のみや、授業後半のタスクゲームにおいてもド リブルだけを行う単純な動きが多かったため、 学習成果に結びつかなかったと推察される。一 方で、両学級ともに「関心・意欲」や「協力」に 関しては 5 段階評価の「3」ないしは「4」であ り、中程度からやや高い評価の授業であった。 また、カリキュラム上、1 年B組の授業の後に 続けて 1 年C組の授業があり、A院生は授業間 で自己省察を行っていたことがうかがえる。し かしながら、単元全体を通してどの次元におい ても評定が横ばいであり、「成果」が低く上昇し なかったことから、省察の視点や自身の授業に ついて再度検討する必要があると考えられた。 加えて、生徒がA院生から声をかけてもらった ことへの自覚の割合(図 4)をみると、参与観 察者は、A院生は相互作用を多く行っていたと 感じていたが、生徒が自覚している割合が 4 時 間目の 1 年B組を除いては、およそ 20%以下と 低く、形式的かつ流動的になってしまっていた ことがうかがえる。教師行動の変容として、A 院生の授業場面の期間記録分析を行った。図 5 はその結果を示している。結果、A院生の授業 の傾向として、全体的にマネジメントの割合が 高く、全時間およそ 20%以上を占めている。ま た、単元経過にともなって運動学習場面が増加 しているが、単元終了時には 30%以下になって いる。吉崎(1998)は、初任期の発達課題につ いて、適切な授業ルーティンを確立することを 挙げており、A院生はその達成には至っていな いことが推察される。運動学習量が十分に確保 されている 5 時間目において学習者による評価 が高い傾向にあることから、マネジメントや学 習指導の場面を減らし、毎時間一定の運動学習 場面を保障していくことが、第 2 アクションに おける課題として認識された。 A院生のバスケットボールの単元(全 7 単 位時間)における、相互作用行動の対象とその 頻度については、全体としては単元の経過とと もに、集団から個人に向けて与えられているも のが増加しており、個々へのフィードバックの 意識が高まってきている。また、相互作用行動 と授業場面の期間記録分析(図 5)と比較する と、運動学習時間が十分に確保されている授業  図 2 1 年 B 組における形成的授業評価の変化 図 3 1 年 C 組における形成的授業評価の変化 図 4 生徒の声をかけてもらったことへの自覚の割合 図 5 A院生の授業場面の期間記録の分析結果 る。1 年C組(図 3)は、「総合評価」に関して は 2 時間目に 5 段階評価の「4」に上昇するが、 3 時間目には「2」に低下しその後は「3」を示 した。特に「成果」は、5 段階評価の「1」から 「3」と低い。その中でも 1、3 時間目に「成果」

(7)

において、量的に多くフィードバックが与えら れており、それらはおおよそ比例の関係にある ことが明確になった。相互作用行動の内容にお いては単元経過とともに、「肯定的」、「矯正的」 フィードバックが増加傾向である。また、「励 まし」の項目に関してはゲーム中心であった 7 時間目において増加している。この 7 時間目の ゲーム場面ではフィードバックの数は少なかっ たものの、積極的にモニタリングを行い、よい プレーを称賛する姿が多くみられた。 3.1.3 中間カンファレンスの実施とその結果 A院生は、第 1 アクションにおいてどのよう なことに手ごたえを感じ、改善の余地があると 認識しているのか、また、第 2 アクションにい かにつなげていくかについて、2 度にわたる中 間カンファレンスを実施し検討した。1 回目の 中間カンファレンスでは、参与観察者、A院生 の 2 人で実施し、2 回目の中間カンファレンス では、参与観察者、A院生、スーパーバイザー の 3 人で進行した。 まず、1 回目の中間カンファレンスでは第 1 ア クションを反省的にふり返ってもらった。表 5 はその逐語記録の抜粋である。A院生は、自身 の行ってきた相互作用が生徒の思考に働きかけ られたことを、手ごたえとして実感しているこ とがうかがえた(A5)。しかし、生徒のグルー プ活動を促す相互作用行動についてはまだ整理 しきれていないことが推察された。また、A院 生はグループ学習を促進するために、生徒同士 が話し合う時間を確保することと、教師の働き かけとして発問を増やすことを挙げている。し かし、A院生は自身の授業の手ごたえと学習者 による評価の間にはズレがあることや、グルー プ活動を行っているけれども学習成果には結び つていないという実践の難しさを感じている様 子が見取れた。一方、形成的授業評価の高い授 業には、共通してどのような特徴があるのかに ついて検討した結果、A院生は運動学習量が多 く、ゲーム中心に展開している授業であったと 自覚している。また形成的授業評価の低かった 3 時間目を考察したところ、動きが単純で生徒 にとって物足りない授業になってしまっていた という振り返りをしている。このことから、第 2 アクションでは教材の工夫や個々への課題提 表 5 1 回目の中間カンファレンスおける逐語記録の抜粋 表 6 2 回目の中間カンファレンスにおける逐語記録の抜粋 注)A:A院生、P:参与観察者 注)A:A院生、S:スーパ−バイザー   P:参与観察者               $ࠕᡂᯝ࡜ࡋ࡚ࡣࠊ᭱ᚋࡢ  ᫬㛫┠⤊ࢃࡗࡓᚋࡢ࣡ ࣮ࢡࢩ࣮ࢺࡢឤ᝿ࡢ୰࡟ࠊ࣮࣎ࣝࢆᣢࡓ࡞࠸ືࡁ ࡸ࡝࠺࠸࠺ືࡁࢆࡋࡓࡽࢳ࣮࣒ࡢ௰㛫࠿ࡽࣃࢫ ࡀ᮶ࡿ࠿ࢃ࠿ࡗࡓ࡜࠸࠺ឤ᝿ࡀ࠶ࡗࡓࡢ࡛ࠊࡑࡇ ࡣࢢ࣮ࣝࣉ࡟࠸ࡘࡶゝࡗ࡚ࡁࡓࡇ࡜ࡀฟࡓࡢ࠿ ࡞࠵ࡗ࡚࠸࠺ࡢࡀᡂᯝࡔ࡜ᛮ࠸ࡲࡍࠋ㸦୰␎㸧ࢢࣝ ࣮ࣉᏛ⩦ࢆಁ㐍ࡍࡿࡓࡵ࡟࡝࠺࠸࠺ኌ࠿ࡅࡀ࠸ ࠸ࡢ࠿ࡗ࡚࠸࠺ࡢࢆࡶ࠺୍ᗘ⮬ศࡢ୰࡛ᩚ⌮ࡋ ࡚࠾ࡁࡓ࠸࡞࠵࡜ᛮ࠸ࡲࡍࠋࠖ 3ࠕࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦ࡢ୰࡛ࡢኌ࠿ࡅ࡞ࡢ࠿ࠊ㐠ືᏛ⩦ሙ 㠃࡛ࡢຠᯝⓗ࡞ኌ࠿ࡅ࡞ࡢ࠿ࠊ࡝ࡗࡕ࡟ၥ㢟ព㆑ ࢆᣢࡗ࡚࠾ࡽࢀࡲࡍ࠿ࠋࠖ $ࠕ ᫬㛫┠ࡶࡑ࠺࡛ࡍࡋࠊ ᫬㛫┠ࡢࢻࣜࣈࣝࡢ᫬ ࡶ  ᫬㛫┠ࡢࢩ࣮ࣗࢺࡢ᫬ࡶࢢ࣮ࣝࣉάືࢆ⾜ࡗ ࡚࠸ࡓࡢ࡛ࠊࡶࡋᏊ࡝ࡶࡓࡕྠኈ࡛ࡋࡷ࡭ࡿሙ㠃 ࢆసࡗ࡚࠸ࢀࡤࡶ࠺ᑡࡋࢢ࣮ࣝࣉࡢ୰࡛ࡶヰࡋ ྜ࠸ࡣ࡛ࡁࡓࡢ࠿࡞࡜ᛮ࠸ࡲࡋࡓࠋ࠶࡜ࡣࠊࢢࣝ ࣮ࣉࡈ࡜࡟┦஫స⏝ࢆ⾜࠺୰࡛ࠊࡶ࠺ᑡࡋⓎၥࢆ ቑࡸࡋ࡚࠸ࡅࡓࡽ࡞࠵࡜ᛮ࠸ࡲࡍࠋࠖ                        6ࠕࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦ࡀᡂᯝ࡟⤖ࡧ௜࠸࡚࠸࡞࠸≧ែ࡛ ᒎ㛤ࡉࢀ࡚࠸ࡓ࡜⪃࠼ࡽࢀࡲࡍࡀࠊࡑࢀ࡟ᑐࡋ࡚ ࡝ࡢࡼ࠺࡟┬ᐹࡉࢀࡲࡍ࠿ࠋࠖ $ࠕࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦ࢆࡋ࡚࠸ࡿ୰࡛ࠊྛࢢ࣮ࣝࣉࡢㄢ 㢟࡟ࡘ࠸࡚ࡢゎỴࡲ࡛ࡣᣢࡗ࡚࠸ࡗ࡚࠸࡞࠸࡜࠸ ࠺࡜ࡇࢁࡣࠊ᣺ࡾ㏉ࡗ࡚ࡳ࡚ឤࡌࡓ࡜ࡇࢁ࡛࠶ࡾ ࡲࡍࠋࠖ 6ࠕཧ୚ほᐹࢆ㏻ࡋ࡚Ẽ࡙࠸ࡓࡇ࡜ࡀ࠶ࢀࡤ࠾㢪࠸ ࡋࡲࡍࠋࠖ 3ࠕ$ 㝔⏕ࡣ࡝ࡢᤵᴗ࡟࠾࠸࡚ࡶࠊᢏ⾡࡟࣏࢖ࣥࢺࢆ ⨨࠸ࡓᤵᴗࢆࡉࢀ࡚࠸ࡓࡼ࠺࡟ᛮ࠸ࡲࡍࠋࡑࡢ୰ ࡛ࠊ㌟࡟ࡘ࠸ࡓᢏ⾡ࡢ☜ㄆࡗ࡚࠸࠺ࡇ࡜࡛ࡶᐇ㝿 ࡢࢤ࣮࣒ࡢ୰࡛౑ࢃࡏ࡚ࡳࡿࡗ࡚࠸࠺ࡢࢆ✚ᴟⓗ ࡟ྲྀࡾධࢀ࡚࠸ࡗࡓࡽࠊࡶࡗ࡜ࠕ⮬ศࡶ࡛ࡁࡓࠖ ࡜࠸࠺⏕ᚐࡓࡕࡢ᪂ࡋ࠸Ⓨぢ࡟ࡘ࡞ࡀࡿࡢ࡛ࡣ࡞ ࠸࠿ࠊ࡜ᛮ࠸ࡲࡋࡓࠋࠖ 㸦୰␎㸧 6ࠕヰࡋྜ࠸ࡣ⾜ࢃࢀ࡚࠸ࡿࡅ࡝ࡶࠊᡂᯝ࡟⤖ࡧࡘ ࠸࡚࠸࡞࠸ࠊ㸦୰␎㸧Ꮚ࡝ࡶࡓࡕࡢᡂᯝḟඖࢆ㧗ࡵ ࡿຠᯝⓗ࡞ࣇ࢕࣮ࢻࣂࢵࢡࡀ➨  ࢔ࢡࢩ࡛ࣙࣥࡍ ࡡࠋ㸦୰␎㸧ᡂᯝࢆୖࡆࡿᡭ❧࡚࡜ࡋ࡚ࠊ㸦୰␎㸧⏕ ᚐࡢᢏ⬟ࢆ☜࠿࡟ఙࡤࡋ࡚࠸ࡿඛ㍮ᩍᖌ࡟Ꮫࡤ࡞ ࡅࢀࡤ࡞ࡽ࡞࠸࡜ᛮ࠸ࡲࡍࠋࠖ $ࠕᩍᮦᩍලࡢᕤኵ࡜࠿ࡶ࡛ࡍ࠿ࡡࠋࠖ 6ࠕᩍᮦᩍලࡢᕤኵࠊ⦎⩦άືࡢሙࡢタᐃࠊࡵ࠶࡚ࡢ ᣢࡓࡏ᪉ࠊࡑࢇ࡞ࡶࡢࢆྵࡵࡓᤵᴗ඲యࡢὶࢀࡀ 㛵ಀࡋ࡚ࡁࡲࡍࡡࠋ࠶࡜ࠊ཭㐩ྠኈࡢᩍ࠼ྜ࠸ࡢ ⤌⧊໬ࠊࡑࡋ࡚ᩍᖌࡢࣇ࢕࣮ࢻࣂࢵࢡࠋࡇࡢࡼ࠺ ࡞ᇶ♏ⓗ࡞㒊ศ࠿ࡽ☜ㄆࡋ࡚࠸࠿࡞ࡅࢀࡤ࡞ࡽ࡞ ࠸࡜ᛮ࠸ࡲࡍࠋ㸦୰␎㸧➨  ࢔ࢡࢩ࡛ࣙࣥࡣࠊ┠ⓗ ḟඖࢆࢢ࣮ࣝࣉᏛ⩦ࡢ⤌⧊໬࠿ࡽࠊᡂᯝḟඖ࡜࠸ ࠺ࡩ࠺࡟ኚ࠼ࡲࡋࡻ࠺ࠋࠖ

(8)

示をいかに行っていくかについて更に検討し、 生徒を飽きさせない授業を展開していくことが 重要だと考えられた。 次に 2 回目の中間カンファレンスを行った。 表 6 はその逐語記録の抜粋である。スーパーバ イザーは、第 1 アクションにおけるグループ学 習、教師の相互作用行動とともに学習成果に十 分に結びついていないという結果から、第 2 ア クションでは学習成果を上げることを目的に効 果的なフィードバックについて取り組んでいく ことに焦点化している(S6、S7)。加えてスー パーバイザーは、A院生自身が授業力量の向上 のために保健体育を専門とする先輩教員から学 ぶ視点を持ち、第 2 実践に向けて主体的に取り 組んでいくことを促している(S6)。さらにスー パーバイザーは、グループ学習の促進や効果的 なフィードバックを行っていくということの前 段階として、生徒の実態把握や教材の解釈、編 成など、授業の基礎的な部分の探究も必要であ ると指摘している(S7)。 このようなことから、「学習成果を高めるた めの効果的なフィードバックとグループ学習の 展開」を第 2 アクションの目的と設定した。 3.1.4 第 2 アクション・プランの実施とその    結果 表 7 は、第 2 アクションを実施するA院生 の器械運動(マット運動)の単元計画(全 8 単 位時間)を示している。また表 8 は、器械運動 (マット運動)単元の授業組織を示している。 学習形態としては、基本的に男女が 2 枚ずつの マットに分かれ、毎時間同じグループで活動を 行った。単元前半に接点技群の基本的な技の習 得を行い、単元中盤では課題別学習を行い、さ らに単元後半では、倒立前転や伸膝後転、補助 倒立の習得に向けて取り組むとともに、基本的 な技の洗練化に向けて練習を行った。単元終了 時にはこれまでの総括として、グループごとに 発表会を実施した。 生徒の学習評価については、形成的授業評価 (図 6)から、1 年B組は、どの項目においても 5 段階評価の「4」ないしは「5」の高い値を示し、 特に「成果」は 1 時間目が 5 段階評価の「3」で あったが、その後は「4」を示した。これは、単 元を通して新たな発見や学びが保証された授業                         ༢ඖ⤒㐣     ࡵ࠶࡚ ᅇࡿឤぬࢆ࿡ࢃ࠾ ࠺ ໃ࠸ࡢ࠶ࡿ๓㌿ࢆ ࡋࡼ࠺ ࡲࡗࡍࡄᚋ㌿ࢆࡋ ࡼ࠺ ᢏࡢ᏶ᡂᗘࢆ㧗ࡵ ࡼ࠺     Ꮫ⩦ෆᐜ 㞟ྜ㸪ᣵᣜ㸪ฟḞ☜ㄆ㸪‽ഛ㸪‽ഛ㐠ື࣭ࢫࢺࣞࢵࢳ㸪ᮏ᫬ࡢࡵ࠶࡚☜ㄆ ࣭࢚࢜ࣜࣥࢸ࣮ࢩ ࣙࣥ㸦༢ඖ┠ᶆ㸪‽ ഛࡢ௙᪉㸪ࢢ࣮ࣝ ࣉࡢ☜ㄆ㸧 ࣭ணഛ㐠ື㸦ᡭᢲࡋ ㌴㸪ࡺࡾ࠿ࡈ㸪⫼ᣦ ♧ಽ❧㸧 ࣭ணഛ㐠ື㸦ࣈࣜࢵ ࢪ㸪ᡭᢲࡋ㌴㸧 ࣭๓᫬ࡢ᚟⩦㸦๓ ㌿㸪ᚋ㌿㸧 ࣭ᑠࡉ࡞๓㌿Ѝ኱ ࡁ࡞๓㌿ ࣭ணഛ㐠ື㸦୕Ⅼಽ ❧㸧 ࣭ᚋ㌿ࡢ࣏࢖ࣥࢺ ☜ㄆ㸦᚟⩦㸧 ࣭࣏࢖ࣥࢺࢆព㆑ ࡋࡓᚋ㌿ ࣭ணഛ㐠ື㸦୕Ⅼಽ ❧㸧 ࣭࣮࣡ࢡࢩ࣮ࢺࡢ 㓄ᕸ  ࣭๓㌿ ࣭ᚋ㌿ࡢୗ఩㐠ື Ѝᚋ㌿ ࣭㛤⬮๓㌿ࡢ࣏࢖ ࣥࢺ☜ㄆ ࣭㛤⬮๓㌿ ࣭㛤⬮ᚋ㌿ࡢ࣏࢖ ࣥࢺ☜ㄆ ࣭㛤⬮ᚋ㌿ ࣭ㄢ㢟ู⦎⩦㸦๓ ㌿  ᚋ ㌿  㛤 ⬮ ๓ ㌿㛤⬮ᚋ㌿Ⓨᒎ ᢏ㸸ఙ⭸ᚋ㌿㸧 ∦௜ࡅ࣭ᮏ᫬ࡢࡲ࡜ࡵ࣭ᣵᣜ ༢ඖ⤒㐣     ࡵ࠶࡚ ୧ᡭ࡛࣐ࢵࢺࢆᢲ ࡋ࡚❧ࡕୖࡀࢁ࠺ ಽ❧㸪ఙ⭸ᚋ㌿ࡢ ᏶ᡂᗘࢆ㧗ࡵࡼ࠺ ࡁࢀ࠸࡞ಽ❧࠿ࡽ ࢫ࣒࣮ࢬ࡟๓㌿ࡋ ࡼ࠺ ௒ࡲ࡛Ꮫ⩦ࡋࡓᢏ ࢆࡁࢀ࠸࡟㐃⥆ࡋ ࡚ᐇ᪋ࡋࡼ࠺    Ꮫ⩦ෆᐜ 㞟ྜ㸪ᣵᣜ㸪ฟḞ☜ㄆ㸪‽ഛ㸪‽ഛ㐠ື࣭ࢫࢺࣞࢵࢳ㸪ᮏ᫬ࡢࡵ࠶࡚☜ㄆ ࣭ಽ❧ࡢணഛ㐠ື ࣭๓᫬ࡢ᚟⩦ ࣭๓㌿㸪ᚋ㌿㸪㛤⬮ ᚋ㌿㸪㛤⬮๓㌿ࡢ ᚟⩦ ࣭ணഛ㐠ື㸦୕Ⅼಽ ❧㸧 ࣭๓᫬ࡢ᚟⩦ ࣭ఙ⭸ᚋ㌿ࡢࢢࣝ ࣮ࣉ⦎⩦ ࣭๓㌿㸪ᚋ㌿ࡢ᚟⩦ ࣭ಽ❧๓㌿ࡢ࣏࢖ ࣥࢺ☜ㄆ ࣭ಽ❧๓㌿ࡢࢢࣝ ࣮ࣉ⦎⩦ ࣭ఙ⭸ᚋ㌿ࡢ࣏࢖ ࣥࢺ☜ㄆ ࣭ఙ⭸ᚋ㌿ ࣭⿵ຓಽ❧㸦 ே࣌ ࢔࡛㸧 ࣭⿵ຓಽ❧㸦Ⓨᒎ㸸 ಽ❧๓㌿㸧 ࣭Ⓨ⾲఍㸦๓㌿ᚋ ㌿㛤⬮๓㌿㛤⬮ ᚋ㌿ఙ⭸ᚋ㌿㸧 ∦௜ࡅ࣭ᮏ᫬ࡢࡲ࡜ࡵ࣭ᣵᣜ ᫬㛫 ᤵᴗᵓᡂ Ꮫ⩦㞟ᅋ ᩍᖌ⾜ື  ணഛ㐠ື㸦ୗ఩ᩍᮦ㸧 Ѝᢏ⾡⦎⩦ ࢡࣛࢫ඲యЍ࣌࢔㸪ಶே ┤᥋ⓗᣦᑟ㸦₇♧㸧 ᕠど㸪┦஫స⏝  ணഛ㐠ື㸦ୗ఩ᩍᮦ㸧 Ѝᢏ⾡⦎⩦ ࣌࢔㸪ಶே ┤᥋ⓗᣦᑟ㸦₇♧㸧 ᕠど㸪┦஫స⏝  ணഛ㐠ື㸦ୗ఩ᩍᮦ㸧 Ѝᢏ⾡⦎⩦ ࣌࢔㸪ಶே ┤᥋ⓗᣦᑟ㸦₇♧㸧 ᕠど㸪┦஫స⏝  ணഛ㐠ື㸦ୗ఩ᩍᮦ㸧 Ѝㄢ㢟ูᏛ⩦ ࣌࢔Ѝࢢ࣮ࣝࣉ ᕠど┦஫స⏝₇♧ Ꮫ⩦ࡢ⿵ຓⓗάື  ணഛ㐠ື㸦ୗ఩㐠ື㸧 Ѝᢏ⾡⦎⩦ ࣌࢔㸪ಶே ┤᥋ⓗᣦᑟ ᕠど㸪┦஫స⏝  ᪤⩦ᢏ⾡ࡢ᚟⩦ Ѝணഛ㐠ື㸦ୗ఩㐠ື㸧 Ѝᢏ⾡⦎⩦ ಶேЍ ேࢢ࣮ࣝࣉ ┤᥋ⓗᣦᑟ㸦₇♧㸧 ᕠど㸪┦஫స⏝ Ꮫ⩦ࡢ⿵ຓⓗάື  ணഛ㐠ື㸦ୗ఩㐠ື㸧 ЍᢏࡢὙ⦎໬㸪Ⓨᒎᢏ ࣌࢔Ѝ ேࢢ࣮ࣝࣉ ᕠど㸪┦஫స⏝  ᪤⩦ෆᐜࡢ᚟⩦ ЍⓎᒎᢏࡢ⦎⩦ЍⓎ⾲఍ ಶேЍ࣌࢔Ѝࢢ࣮ࣝࣉ ᕠど㸪┦஫స⏝ 表 7 A院生の器械運動(マット運動)の単元計画 表 8 A院生の器械運動(マット運動)の授業組織の実際 図 6 1 年 B 組における形成的授業評価の変化 図 7 生徒の声をかけてもらったことへの自覚の割合 であったといえる。加えて、生徒がA院生から の声をかけてもらったことへの自覚の割合(図

(9)

7)をみると、第 1 アクションを実施したバス ケットボールの単元のとき(図 4)よりも、増加 している。さらに、形成的授業評価における記 述内容が具体的になっているとともに、A院生 の助言に対して「役に立った」と受け止めてい る生徒の割合は第 1 アクションでは平均 27%で あったのに対して第 2 アクションでは平均 77% と著しく増加している。また、いずれの授業に おいても声をかけてもらった内容の記述数は確 保されており、その大半が矯正的フィードバッ クの内容であった。授業観察においては、A院 生が生徒一人ひとりに丁寧に関わり助言を与え る姿や、与えた後の動きの変化をしっかりと見 取り評価をする姿が増加した。 教師行動の変容として、A院生の期間記録分 析の結果(図 8)、運動学習時間が単元を通し て十分に確保されるようになったことが、形成 的授業評価の評定を上げる 1 つの要因であった と考えられる。特に、単元終了時の授業に関し て、バスケットボールの単元では 30%以下しか 確保されていなかったのが、本単元においては おおよそ 70%を占めている。また、マネジメン トの時間としても、第 1 アクションでは全授業 において 20%を越えていたところが、本単元の 授業では単元経過に伴って 15%以下となり減 少傾向にある。このように、授業の組織化とい う視点から、A院生の授業展開力の変容がみら れる。しかしながら、認知学習場面が 4 時間目、 6 時間目、8 時間目において 0 時間であるとい う結果は問題視すべき点である。以上の結果か ら、A院生は第 2 アクションにおいて学習指導 場面やマネジメント場面を減らし、運動学習場 面を増やすことで生徒が技能獲得をすることが できた授業の展開であったと推察される。 相互作用行動の対象については、個人に向け て与えられているものが単元経過とともに増加 する傾向にある。参与観察者の観察によると、 第 1 アクション・プランでは少なかった実際に 行動で示しながら助言する様子や、生徒の動き のできばえを具体的に評価する場面が多くみら れ、A院生は器械運動に対する教材の知識や教 授方法の知識が大変豊富であるという印象で あった。また、「強いて言うならもっと足を伸ば して回ってみよう」というような、技の洗練化に 向けた発展的な課題を与える場面が多くみられ た。これは生徒の実態に即して課題設定し、そ の達成に向けて効果的なフィードバックを行っ ていた。フィードバックの内容としては「肯定・ 一般」では、第 1 アクションとほとんど変わら ず、「いいね」、「きれい」などの生徒の動きに対 して一言で評価するものが多かった。一方「肯 定・具体」では、第 1 アクションではみられな かった「きれい。次は開脚前転な」、「きれい、き れい、次は膝を伸ばした状態でできるようにし といて」などの「課題の挑戦性」の要素もみら れた。しかし「矯正・一般」では、「オッケー」、 「そうそう」など第 1 アクションと内容として あまり変化はみられなかった。一方「矯正・具 体」では、第 1 アクションと同様「具体的課題 提示」を行う場面が多かったものの、つまずき を見抜いてそれを修正する方法を提示し、改善 された動きを見取り賞賛する場面が増えた。ま た、「まっすぐ回れるように」、「強いて言うな ら倒立で止まれるように、2 秒」などの、技の 洗練化に向けた声かけや挑戦的な課題提示を行 う場面が特に単元の後半において増えた。これ らの 1 つの要因に、A院生の生徒に向き合う姿 として、実際に生徒の中に入って補助的活動を 行ったり、多様な視点から生徒のつまずきや問 題を焦点化させて助言したりすることで、生徒 にできるようにさせたいという姿勢が感じられ た。 3.1.5 A院生の省察の変容 第 2 アクションである器械運動(マット運動) の授業実践を通してA院生にどのような思考の 形成がなされたかをみるために、半構造化イン タビューを行った。質問内容は、「本時の成果 と課題ついて」である。表 9 は、マット運動の 2 時間目、6 時間目、7 時間目にA院生に行った インタビュー結果の抜粋を示している。実践の 図 8 A院生の授業場面の期間記録の分析結果の推移

(10)

問題点や成果等に関する省察に加え、生徒の技 能成果につなげようとする実践的な省察がみら れる。また、生徒の進度や技能の獲得状況を見 て臨機応変に授業内容を変更できる「行為の中 の省察」(ショーン,2007)を行っていたことが うかがえる。さらに、A院生は、生徒一人ひと りの学習成果を保証するため、特に運動の苦手 とする生徒への手立てを考えられるようになっ た。その具体的な行動として、8 時間目にはクラ スの中でも特に運動を苦手とする生徒に対して 集中的に助言をする姿が見受けられ、生徒は補 助倒立で倒立の形を 2 秒間キープできるように なるという場面があった。これらのことから、 A院生は器械運動(マット運動)の単元を通し て、生徒の学習成果を高めるために、フィード バックの質、運動を苦手とする生徒への関わり 方、マネジメントの時間をいかに減らし運動学 習時間を確保するかという 3 点について主に省 察していたことが推察される。 3.1.6  A院生におけるアクション・リサーチ型 授業実践のまとめ A院生の全アクションを終え、その後全体の 総括として最終カンファレンスを実施した。カ ンファレンスは、①アクション・プラン全体を 通した成果と課題、②データ分析からみえてき た授業力量形成の実態、③今後の授業実践の展 望、の流れで進行され、そこで話し合われた内 容を踏まえて検討された。得られた結果は以下 の通りである。 (1) A院生のトピックとして、「生徒のグルー プ学習を促進するために、効果的なフィー ドバック(相互作用)を行っていくこと」 が策定された。 (2) 第 1 アクションにおいて、相互作用の量 的増加がみられたが、グループ学習の促進、 学習成果の向上には結びつかなかった。 (3)  中 間 カ ン フ ァ レ ン ス で は、「 効 果 的 な フィードバックとグループ学習を展開(促 進)することで、生徒の学習成果が向上す る」という仮説を設定した。 (4) 第 2 アクションにおいて、学習指導やマネ ジメントなどの授業運営に関する知識を獲 得し、運動学習量をどの授業においても一 定量確保できるようになった。 久保ら(2008)は、教員免許取得直後の大学 院生が、メンターからの援助が機能して「省察」 の焦点、レベルが高次に変容したことを報告し ている。本研究においても、第 1 アクションを 実施しその結果を検討した上で仮説を立て、再 度課題を持って第 2 アクションを実施する営み をしたことによって、A院生の授業運営に関わ る知識が増え、生徒の姿から省察が行えるよう になったことから、カンファレンスによるメン ターの位置付けの有効性が示唆された。また、 A院生の変容からアクション・リサーチ型の授 業実践がA院生の省察能力を高めるとともに、 採用前段階の大学院生の授業力量を形成させる ことが明らかになった。 3.2 B教諭のアクション・リサーチの結果 3.2.1 トピックの設定 予備調査として、「トピック絞り込みシート」 を用いてカンファレンスを実施した。 表 10 は、 逐語記録にみるB教諭の思考ツールにこだわる 理由の抜粋である。B教諭はこれまでの実践か ら、思考ツールを取り入れることに対して手ご たえを感じている(B1)。その理由としては、生 徒のつまずきの把握や思考の流れを視覚化する ことで動きを理解させることにつながったから である。しかし、生徒の技能成果にはつながら なかったことを挙げている(B3)。また、これ まで用いてきた思考ツールを他教材でも生かし 表 9  マット運動の 2.6、7 時間目にA院生に行ったインタ ビュー結果の抜粋                ࡸࡗࡥࡾࠊఱ࠿୍ࡘ࡛ࡁࡓࡗ࡚࠸࠺ࡶࡢࡀ࡞࠸࡜ ⏕ᚐࡣ࠶ࡲࡾ‶㊊ࡋ࡞࠸࡜ᛮࡗࡓࡢ࡛ࠊ௒᪥ࡣಽ❧ ࡀ࡛ࡁࡓࠊ࡛ࡁ࡞࠿ࡗࡓࡗ࡚࠸࠺ࡑࢀࡒࢀ࠶ࡿ࡜ᛮ ࠺ࡢ࡛ࡍࡀࠊࡑࢀࢆⱞᡭ࡜ᛮࡗ࡚࠸ࡿᏊ࡟ᑐࡋ࡚ࠊල యⓗ࡞ኌ࠿ࡅࡸఱ࠿୍ࡘ࡛ࡶ࡛ࡁࡓ࡜ᛮࢃࡏࡿࡼ࠺ ࡞ࡶࡢࡀ࡞ࡅࢀࡤ࠸ࡅ࡞࠸࡜࠸࠺ࡇ࡜ࡣ௒ᅇᛮ࠸ࡲ ࡋࡓࠋ㸦࣐ࢵࢺ㐠ື࣭7 ᫬㛫┠⤊஢᫬㸧  ௒᪥࡟㛵ࡋ࡚ࡣఙ⭸ᚋ㌿ࢆධࢀࡿணᐃ࡛ࡋࡓࡀࠊ ࡳࢇ࡞ஂࡋࡪࡾಽ❧ࡸࡗࡓࡳࡓ࠸࡛ࠊࡑࡇࡣࡕࡻࡗ ࡜᫬㛫ࢆ౑ࡗࡓ᪉ࡀ࠸࠸࠿࡞ࡗ࡚ࠊෆᐜࢆኚ᭦ࡋࡲ ࡋࡓࠋ㸦࣐ࢵࢺ㐠ື࣭6 ᫬㛫┠⤊஢᫬㸧  ᡂᯝ࡜ࡋ࡚┦஫స⏝ࡢᩘ࡜ࡋ࡚ࡣࡅࡗࡇ࠺࡛ࡁࡓ ࠿࡞࡜ᛮ࠸ࡲࡍࠋ͐㸦␎㸧͐ㄢ㢟࡜ࡋ࡚ࡣࠊ௒᪥ࡳࢇ ࡞ᅇࡿࢫࣆ࣮ࢻࡀ㐜ࡃ࡞ࡗ࡚ࡿ࡜࠸࠺ࡇ࡜ࡀ࠶ࡗࡓ ࡢ࡛ࠊࣟ࢖ࢱ࣮ᯈ࡜࠿ࢆ౑࠸࡞ࡀࡽ⦎⩦࡛ࡁࡓ᪉ࡀ Ⰻ࠿ࡗࡓ࠿࡞࡜ᛮ࠸ࡲࡍࠋ㸦࣐ࢵࢺ㐠ື࣭2 ᫬㛫┠⤊ ஢᫬㸧

(11)

ていきたいという思いを持っている(B2)。鈴 木(2016)は、中堅期の教師の授業研究は、「い かに教えるのか」という方法論の追求から、「な ぜ教えるのか」という目的論や、「なにを教える のか」という内容論を追求する傾向があること を指摘しているのと同様に、B教諭は、これま で授業実践を積み重ねる中で、具体的な授業イ メージや育てたい生徒の姿を明確に持っている ことが明らかになった。 次に、「トピック絞り込みシート」を用いてト ピック焦点化のカンファレンスを行った。表 11 はB教諭のトピックの焦点化における逐語記録 の抜粋である。B教諭は予備調査段階の授業実 践の中で、生徒の思い描いているポイントを意 識させながら動きに変えていくことの重要性を 再認識している(B4)。また、思考ツールを用 いることで、明確な視点を持って自分の動きの 細分化や分析を行わせたり、成功体験や仲間と の協力を経験させる中で、生徒の自信に繋げて いきたいという思いを持っていることが明確に なった(B5)。 以上のような流れから、B教諭のアクション の目的を「思考ツール(ペンタゴンチャート) を用いて生徒の思考に働きかけることで、動き の変化(技能成果)につなげ、生徒の自尊感情 も高めていくこと」に決定した。 3.2.2 アクション・プランの実施とその結果 表 12 は、アクションを実施するバレーボール の単元計画(全 11 単位時間)を示している。 6 月下旬から 11 月下旬までの非常に長い期間 の単元であり、6 時間目は研究発表大会で公開 授業が組み込まれていた。 生徒の学習評価については、形成的授業評価 (図 9)から、「総合評価」に関しては単元を通 して 5 段階評価の「5」を示し、非常に評価の高 い授業であった。「成果」は、6 時間目の研究発 表大会に向けて評定が「3」、「4」、「5」と上昇を 示した。また「学び方」や「協力」は単元を通 表 10  逐語記録にみるB教諭の思考ツールにこだわる理由 の抜粋 表 11 B教諭のトピックの焦点化における 逐語記録の抜粋 注)B:B教諭、S:スーパ−バイザー 注)B:B教諭、S:スーパ−バイザー   P:参与観察者              %ࠕᛮ⪃ࢶ࣮ࣝ࡜࠸࠺ࡶࡢࢆྲྀࡾධࢀࡿࡇ࡜࡛ࠊ 㸦୰␎㸧ᛮ⪃ࡢὶࢀࡀࢃ࠿ࡾࡸࡍࡃ┠࡟ぢ࠼ࡿࡼ ࠺࡟࡞ࡗ࡚࠸ࡿࡢ࡛ࠊ඲࡚ࡢ⏕ᚐࡢ⌮ゎࡋࡸࡍ࠸ ᙧ࡟࡛ࡁࡓ࠿࡞࠵ࡗ࡚࠸࠺ࡢࡣᡂᯝ࡜ࡋ࡚ᣲࡆࡉ ࡏ࡚ࡶࡽࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋࠖ %ࠕᛮ⪃ࢶ࣮ࣝࢆ⌫ᢏࡸ௚ࡢ༢ඖ࡛⏕࠿ࡋࡓ࠸࡞࡜ ࠸࠺ᛮ࠸ࡀ࠶ࡾࡲࡍࠋࠖ 㸦୰␎㸧 6ࠕᛮ⪃ࢶ࣮ࣝࡢ㝈⏺࡛ࡿ࡜࠿ࠊࡇࡢ㒊ศࢆኚ࠼࡚ ࠸࠿ࢇ࡜࠶࠿ࢇ࠿࡞࠵࡜࠸࠺ᛮ࠸࡜࠿ࠊࡑࡢ࠶ࡓ ࡾ⤒㦂ⓗ࡟ࠊ௒ఱ࠿ᥗࢇ࡛࠾ࡽࢀࡿࡼ࠺࡞ࡇ࡜ࡗ ࡚࠶ࡾࡲࡍ࠿ࠋࠖ %ࠕ୍ᗘึᖺᗘ࡟ヨࡋࡓ୰࡛ࠊ࢖࣓࣮ࢪ࣐ࢵࣉࢆ౑ ࡗࡓࢇ࡛ࡍࡼࠋࡑࡢ୰࡛⏕ᚐࡢࡘࡲࡎࡁࡀぢ࠼࡚ ࡁࡓࡼ࠺࡞㸦୰␎㸧࡛ࡁࡓ࠿ࠊ࡛ࡁ࡚࠸࡞࠸࠿࡜ ࠸ࡗࡓࡽ࡛ࡁ࡞࠸Ꮚࡶ࠸ࡿࡅࢀ࡝ࡶࠊࡑࢀࢆࣄࣥ ࢺ࡟ᤵᴗࡢḟࡢ᫬㛫ࡢ୰㌟ࢆࡕࡻࡗ࡜ኚ᭦ࡋࡓࡾ ࡜࠿ࠊࡑ࠺࠸࠺ά⏝ࡣࡋࡲࡋࡓࠋࠖ             3ࠕᫎീ࡞࡝ࡢᛮ⪃ࢶ࣮ࣝࢆ⏝࠸࡚⏕ᚐࡓࡕࡢᢏ⬟ ᡂᯝ࡟࠸࠿࡟⤖ࡧ௜ࡅ࡚࠸ࡃ࠿ࢆ᳨ドࡋ࡚࠸ࡇ࠺ ࡜࠸࠺ࡇ࡜࡛ࡼࢁࡋ࠸࡛ࡋࡻ࠺࠿ࠋࠖ %ࠕ͐௒ᅇࡣ࣌ࣥࢱࢦࣥࢳ࣮ࣕࢺࢆ⏝࠸ࡼ࠺࡜ᛮࡗ ࡚࠸ࡲࡍࠋ͐୰␎͐⮬ศࡢయࢆศᯒࡍࡿࡢ࡟ᛮ⪃ ࢶ࣮ࣝࢆ౑ࡗ࡚ࡑࢀࢆ↔Ⅼ໬ࡉࡏ࡚ࠊ࢔ࣂ࢘ࢺ࡟ ⮬ศࡢᫎീࢆぢࡿࢇࡌࡷ࡞ࡃ࡚ᐇ㝿ࡢືࡁࢆศᯒ ࡋ࡞ࡀࡽࠊᛮ⪃ࢶ࣮ࣝࢆ౑ࡗ࡚࠸ࡇ࠺࠿࡞࡜࠸࠺ ࡩ࠺࡟ᛮࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋࠖ 6ࠕ㹀ᩍㅍࡢヰࡢ୰࡟ࠊ⮬ಙࡢ࡞ࡉ࡜࠿⮬ᑛᚰࡢప ࡉࡀࡺ࠼࡟࿘ࡾࢆẼ࡟ࡋ࡚ࡋࡲ࠺࡜࠸࠺ࡇ࡜ࡀ࠶ ࡾ࠶ࡋࡓࡅ࡝ࠊ⮬ᑛឤ᝟࡛ࡍࡼࡡࠋ⮬ᑛឤ᝟ࡢኚ ໬࡟ࡶ㛵ᚰࡀ࠶ࡿ࡜࠸࠺ࡇ࡜࡛ࡍ࠿ࠋࠖ %ࠕࡑ࠺࡛ࡍࡡࠊẼᣢࡕࡢ㠃࡛ᮏᙜ࡟ࣉ࣮ࣞ࡟ᙳ㡪 ࡍࡿࡇ࡜ࡀከࠎ࠶ࡾࡲࡋ࡚ࠊᮏ༢ඖࢆ㏻ࡋ࡚ࠊ⏕ ᚐࡢ⮬ᑛឤ᝟ࡶ㧗ࡵ࡚࠸ࡅࡓࡽ࡞࠵࡜ᛮࡗ࡚࠸ࡲ ࡍࠋࠖ ༢ඖ⤒㐣    ࡵ࠶࡚ ࣮ࣛࣜࢆᴦࡋࡶ࠺ ୍ὶ㑅ᡭࡢࢫࣃ࢖ࢡࣇ࢛ ࣮࣒ࢆศᯒࡋࡼ࠺  ࣅ࣮ࢺࡢࣜࢬ࣒࡟ྜࢃࡏ ࡚㸪ࢫࣃ࢖ࢡ࡟ᚲせ࡞ᢏ ⾡ࢆ⩦ᚓࡋࡼ࠺ Ꮫ⩦ෆᐜ 㞟ྜ㸪ᣵᣜ㸪ฟḞ☜ㄆ㸪‽ഛ㐠ື㸪ᮏ᫬ࡢࡵ࠶࡚☜ㄆ ࣭ᑐ㠃ࣃࢫ㸦ぢᮏЍ⦎ ⩦㸧 ࣭ࢫࣃ࢖ࢡ㸦ぢᮏЍ⦎ ⩦㸧 ࣭࢟ࣕࢵࢳ࣮࣎ࣝ ࣭ࢫࣃ࢖ࢡࡢ࣏࢖ࣥࢺ☜ ㄆ ࣭࢟ࣕࢵࢳ࣮࣎ࣝ ࣭๓᫬ࡢ࣌ࣥࢱࢦࣥࢳࣕ ࣮ࢺࡢ᣺ࡾ㏉ࡾ ࣭ࢳ࣮࣒ศࡅ㸤࣮ࣝࣝ☜ ㄆ㸦ᐇ₇㸧 ࣭࣮ࣛࣜࢤ࣮࣒ ࣭ࢫࣃ࢖ࢡࡢືࡁศᯒ ࣭ᐇ㊶⦎⩦㸦ࢫࣃ࢖ࢡ  ࣭ ࣅ࣮ࢺࡢࢫࣃ࢖ࢡ⦎⩦ ࣭࣌࢔࡛ࡢࢫࣃ࢖ࢡ⦎⩦ ࣭ᐇ㊶⦎⩦㸦ࢫࣃ࢖ࢡ  ∦௜ࡅ࣭ᮏ᫬ࡢࡲ࡜ࡵ࣭ᣵᣜ     ࢔ࣥࢲ࣮ࣁࣥࢻࣃࢫ࡛㸪 ࣮࣎ࣝࢆ࠾ࡘ࡞ࡈ࠺ ࣮࣎ࣝࡢⴠୗⅬ࡟ධࡾ㸪 ࣮࣎ࣝࢆࡘ࡞ࡈ࠺ ࣮࣎ࣝࡢⴠୗⅬࢆぢᴟࡵ ࣮࣎ࣝࢆࡘ࡞ࡂ㸪┦ᡭࡢ ࠸࡞࠸ᡤ࡬㏉⌫ࡋࡼ࠺ ࢭࢵࢱ࣮ࡢᙺ๭ࢆ⌮ゎ ࡋ㸪ᨷᧁࢆᕤኵࡋࡼ࠺  㞟ྜ㸪ᣵᣜ㸪ฟḞ☜ㄆ㸪࢛࣮࣑࢘ࣥࢢ࢔ࢵࣉࢲࣥࢫ㸪ᮏ᫬ࡢࡵ࠶࡚☜ㄆ ࣭࢔ࣥࢲ࣮ࣁࣥࢻࣃࢫࡢ ື⏬ど    ࣭࢔ࣥࢲ࣮ࣁࣥࢻࣃࢫࡢ ぢᮏ ࣭㊊ࡢࢫࢸࢵࣉ⦎⩦Ѝ ᪉ྥࡢ࢔ࣥࢲ࣮ࣁࣥࢻࣃ ࢫ⦎⩦ ࣭࣏࢖ࣥࢺࢆព㆑ࡋࡓࣃ ࢫ⦎⩦ ࣭ᇶᮏືసࡢ⦎⩦㸦ࢪࣕ ࣥࢣࣥࢆ⏝࠸ࡓ  ே  ⤌ ࡢࢤ࣮࣒せ⣲ࢆྲྀࡾධࢀ ࡓ⦎⩦㸧 ࣭ࢳ࣮࣒ᑐᢠࣃࢫࢤ࣮࣒ ࣭࣮࢜ࣂ࣮ࣁࣥࢻࣃࢫࡢ ື⏬ど⫈  ࣭ ᪉ྥࡢࢫࢸࢵࣉ ࣭࣌࢔࡛ࣞࢩ࣮ࣈ⦎⩦ ࣭࢔ࣥࢲ࣮ࣁࣥࢻࣃࢫࡢ ࢲࣥࢫ⦎⩦ ࣭ࢳ࣮࣒⦎⩦ ࣭ᐇ㊶⦎⩦ ࣭࢛࣮࣑࢘ࣥࢢ࢔ࢵࣉࢲ ࣥࢫࡢ⦎⩦ ࣭࣑ࢽࢤ࣮࣒㸦ࢥ࣮ࢺ㸸 ே㸪ṧࡾ  ேࡣほᐹಀ㸧  ࣭ᮏ᫬ࡢࢤ࣮࣒ࡢ࣮ࣝࣝ ☜ㄆ ࣭ࢤ࣮࣒ࡢぢᮏ㸦ࣂ࣮ࣞ ⌜㸧 ࣭ࢤ࣮࣒™ ヨྜ ∦௜ࡅ࣭ᮏ᫬ࡢࡲ࡜ࡵ࣭ᣵᣜ     ࣮࣎ࣝࢆࢥࣥࢺ࣮ࣟࣝࡋ㸪  ẁᨷᧁ࡟ࡘ࡞ࡆࡼ࠺  ẁᨷᧁࢆ࠸࠿ࡋ࡚ࢤ࣮࣒ ࢆࡋࡼ࠺ ┦ᡭࡢᨷᧁࢆ㜵ࡂ㸪ⴠୗⅬ ࢆண ࡋࡼ࠺ ᵝ ࠎ ࡞ ┦ ᡭ ࡜ ࢤ ࣮ ࣒ ࢆ ᴦ ࡋࡶ࠺ 㞟ྜ㸪ᣵᣜ㸪ฟḞ☜ㄆ㸪࢛࣮࣑࢘ࣥࢢ࢔ࢵࣉࢲࣥࢫ㸪ᮏ᫬ࡢࡵ࠶࡚☜ㄆ ࣭ࢤ࣮࣒ձЍసᡓࢱ࢖࣒ Ѝ࣓ࣥࣂ࣮ࢳ࢙ࣥࢪЍࢤ ࣮࣒ղЍసᡓࢱ࢖࣒ ࣭ࣟࢣࢵࢺࢳ࣮ࣕࢺࡢ᣺ ࡾ㏉ࡾ ࣭ࢳ࣮࣒⦎⩦Ϩ࣭ࢳ࣮࣒ ⦎⩦ϩ ࣭ࢳ࣮࣒⦎⩦㸦෇㝕ࣃࢫ ➼㸧 ࣭ࣈࣟࢵࢡࡢぢᮏ㸪ࣈࣟ ࢵࢡ⦎⩦ ࣭࣮ࣝࣝㄝ᫂㸪ヨྜࢥ࣮ ࢺࡢ☜ㄆ ࣭ࢳ࣮࣒⦎⩦ ࣭ࣟࢣࢵࢺࢳ࣮ࣕࢺࡢグ ධ㸦ಶேЍࢢ࣮ࣝࣉ㸧 ࣭ࢳ࣮࣒⦎⩦ ࣭ࢤ࣮࣒㸦 ヨྜ  ศ™ 㸧 ࣭ࢤ࣮࣒ձ  ศ Ѝసᡓࢱ ࢖࣒  ศ Ѝᚲせ࡞ࢳ࣮࣒ ࡣ࣏ࢪࢩࣙࣥࢳ࢙ࣥࢪЍ ࢤ࣮࣒ղ  ศ Ѝ཯┬఍ ࣭ࢤ࣮࣒ձ㸪ղ㸪ճ ࣭సᡓࢱ࢖࣒㸦 ศ㸧 ࣭ࢤ࣮࣒մ㸪յ ࣭ࢤ࣮࣒ࡢ᣺ࡾ㏉ࡾ ∦௜ࡅ࣭ᮏ᫬ࡢࡲ࡜ࡵ࣭ᣵᣜ 表 12 B教諭のバレーボールの単元計画

(12)

して 「4」 および「5」を示しており、ゲームや チーム練習を中心とした授業の展開は、生徒同 士の協力や主体的な学びができ、深まりのある 授業であったと推察される。しかし、7 時間目 は次時の授業まで期間が空きすぎたためか、全 項目の得点が下がった。このことから、長い単 元にしすぎることで思考の連続性が失われ、既 習内容の学び直しが生じてしまうことが考えら れた。 教師行動の変容として、B教諭の授業場面の 期間記録分析の結果(図 10)から、いずれの授 業においてもマネジメントの時間が 15%以下 と少なく、7 時間目を除いては、どの授業におい てもおよそ 50%以上は運動学習時間が確保さ れている。吉崎(1998)は、中堅教師には子ど もの発達段階(学年)や学級の実態を考慮しな がら、学年の当初に授業ルーティンを確立する ことを発達課題として挙げている。B教諭の授 業は、授業展開や時間配分においてある程度パ ターン化されていることがうかがえており、中 堅教師としての課題は一定達成できていると考 えられる。一方で吉崎(1998)は、中堅教師に は毎時間安定した授業が確保されつつも自身の やり方に固執する傾向があるため、授業改善が 行われにくいことを指摘しており、この点に関 しては後述することにする。また、B教諭の授 業は学習指導場面が 11 時間目を除いて 28%以 上を超えていた。その要因は、毎時間異なるめ あてを提示していたために、活動の説明をする 時間を長く要したからであると推察される。さ らに、認知学習場面が 9%以下であり、その大 半が思考ツールの記入に費やされていた。思考 ツールの記入は 2 時間目と 4 時間目に行われ、 その内容を 6 時間目に活用している。しかし、 6 時間目以降では思考ツールが活用されず、生 徒の思考を促す授業づくりをテーマとするB教 諭の立場からは改善する必要があると考えられ る。 生徒の自尊感情の変容は、B教諭のバスケッ トットーボール(全 11 単位時間)の単元前後 に、対象学級に「自尊感情測定尺度」の質問紙 調査(東京都教職員研修センター,2011)を実 施した。表 13 は、その結果を項目別に表したも のである。男女ともに単元前後間では「自己評 価・自己受容」の項目のみ単元後の値が有意に 大きくなる主効果が認められた(F(1,76)= 6.53, p <0.05)。男女間では単元前後のどちらも 「関係の中での自己」の項目では女子の値のみ 有意に大きくなる主効果が認められた(F(1, 76)= 6.54,p<0.05)これらの結果から、バレー ボールの授業が生徒の自己評価・自己変容につ ながったことが推察される。その具体的な要因 としては、単元経過とともに仲間と協力しなが ら生徒それぞれが役割を自覚し、ゲームを行え るようになったことが考えられる。 また、参与観察者から以下の報告を得てい る。単元はじめと終わりとでは、技能レベルや ゲームの質にも変容が見受けられた。技能面に 関して 1 時間目の授業では、ボールを手だけで 打ちにいっている生徒やスパイクのタイミング がつかめていない生徒、さらには打つ際の力加 図 9 バレーボールの単元経過に伴う形成的授業評価の変化 図 10 B教諭の授業場面の期間記録の分析結果 表 13  単元前後の自尊感情の因子別平均得点および二要因 分散分析の結果           ) 3 Ȟ㸰 ⏨Ꮚ 0HDQ   ⏨ዪ    㸦Q 㸧 6'   ༢ඖ๓ᚋ  㸨 ዪᏊ 0HDQ   ஺ᕪస⏝    㸦Q 㸧 6'   ⏨Ꮚ 0HDQ   ⏨ዪ  㸨 㸦Q 㸧 6'   ༢ඖ๓ᚋ    ዪᏊ 0HDQ   ஺ᕪస⏝    㸦Q 㸧 6'   ⏨Ꮚ 0HDQ   ⏨ዪ    㸦Q 㸧 6'   ༢ඖ๓ᚋ    ዪᏊ 0HDQ   ஺ᕪస⏝    㸦Q 㸧 6'   ὀ㸧6'VWDQGDUGGHYLDWLRQ S ஧せᅉศᩓศᯒ ⮬ᕫホ౯࣭⮬ᕫኚᐜ 㛵ಀࡢ୰࡛ࡢ⮬ᕫ ⮬ᕫỴᐃ ༢ඖ๓ ༢ඖᚋ 㸨 3 㸨 )

(13)

減ができない生徒がほとんどであった。しかし ながら、単元の経過に伴って体全体を使って ボールを捉える姿や、ボールの落下点に入りタ イミングよくスパイクを打つ姿が多く見受けら れるようになった。また、ゲームに関して、単 元はじめでは誰がとるべきボールかわからずに ラリーが続かなかったり、1 回で相手コートに 返球したりする場面が多くみられた。しかし単 元終盤には、3 段攻撃が増え、ボールを落とし てはいけないという意識の高まりが、生徒の声 かけの様子やボールに向かっていく姿勢から感 じられた。さらに、単元はじめには自尊感情が 低めであった男子生徒も、ブロックやアタック 等身長を生かしたプレーを繰り広げる中で、積 極的に点数を取りチームをリードする姿が増え た。このような生徒の「わかった」、「できた」 という成功体験が、自尊感情の得点の向上につ ながったと考えられる。 3.2.3 インタビューにみるB教諭の省察 バレーボール(全 11 単位時間)の単元の中 で、B教諭がアクション・リサーチを通してど のような思考の形成がなされたか、半構造化イ ンタビューを行った。またB教諭はアクション 実施の過程で 2 度の研究授業を経験しており、 その度にスーパーバイザーとともに授業の改善 策について話し合った。 表 14 は、バレーボール 3 時間目、6 時間目、 11 時間目にB教諭に行ったインタビュー結果 の抜粋を示している。 3 時間目は校内研究会を兼ねた公開授業で あった。B教諭はスパイクの動作を 8 ビートの リズムで体得するというダンスの授業を応用し た教材の工夫を考えている。これに対して、スー パ−バイザーは、授業実践で用いた思考ツール の有効な活用方法について言及する。すなわ ち、技能習得のポイントを整理するのが目的で あるが、クラス全員に対して同一の内容を伝え ることに終始し、生徒一人ひとりの実態に応じ た技能改善に結びつく思考ツールにはなり得て いないことを指摘している。また、体育の授業 では、活動の中で思考し、気づいたことや感じ たことを整理させ、一人ひとりの動きに合った 思考ツールとして活用させていくことの必要性 を述べている。さらに、自己の動きを認識させ るために、生徒相互の観察や話し合いが必要で あることを指摘している。 6 時間目は、研究発表大会での授業公開であ る。B教諭は、単元序盤において個人技能(レ シープ、パス、スパイク)を習得させることが生 徒にとって満足感や達成感が得られると考えて いた。しかし、それではゲームにつながらないこ とを自覚するに至った。スーパーバイザーから の指摘もあり、研究発表大会の授業では、ゲー ムを中心として展開する流れに変えて実践に臨 んだ。その結果、生徒にはボールを繋げようと する意識が生まれ、ラリー回数が増え、意欲の 向上につながったと手ごたえを感じている。さ らに、次回はグループ編成や教材の工夫につい てより検討していきたいと考えるに至った。加 えてスーパーバイザーからは、体育のような身 体活動を媒介とした学習では、課題を教師が毎 時間設定するのではなく、2 ∼ 3 時間かけて解 決できるような作業課題的な内容を設定する必 表 14  バレーボールの 3、6、11 時間目にB教諭に行った インタビュー結果の抜粋                         ௒᪥ࡣࣂ࣮࣮ࣞ࣎ࣝࡢࢫࣃ࢖ࢡ⦎⩦࡜࠸࠺୰࡛ࡑ ࢀࢆศ๭ࡋ࡚ࡸࡗ࡚ࡳࡼ࠺࡜࠸࠺ࡇ࡜࡛⾜࠸ࡲࡋࡓࠋ 㸦୰␎㸧ឤぬ࡛యᚓࡍࡿࡇ࡜࠿ࡽᢏ⾡ຊࡢྥୖ࡟ࡘ࡞ ࡀࡽ࡞࠸࠿࡞࡜࠸࠺ࡇ࡜࡟ᮇᚅࡋ࡚ࠊヨࡋ࡟ࡸࡗ࡚࠸ ࡇ࠺࡜ᛮࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋ 㸦ࣂ࣮࣮࣭ࣞ࣎ࣝ3 ᫬㛫┠⤊஢᫬㸧 ಶேᢏ⬟ࢆࡶ࠺୍ᅇ⦎⩦ࡍࡿࡇ࡜࡟ࡼࡗ࡚ࠊࡼࡃ࡞ ࡿࢇࡌࡷ࡞࠸࠿࡜ᛮࡗࡓࡢ࡛ࠊඛ⾜ᤵᴗ࡟࠾࠸࡚ಶே ᢏ⬟ࡢ⦎⩦ࡢ୰࡛࿘ࡾࡢᏊࡓࡕ࡟ຓゝࢆࡶࡽ࠺ሙ㠃 ࢆタᐃࡋࡲࡋࡓࠋ㸦୰␎㸧࡛ࡶࠊ⤖ᒁࡑࢀ࡛ࡣࠊື࠸࡚ ࡜ࡿ࡜࠿࠸࠺࡜ࡇࢁ࡟ࡶࡘ࡞ࡀࡽ࡞࠸ࡋࠊࡸࡗࡥࡾ㠃 ⓑࡃ࡞࠸ࢇࡌࡷ࡞࠸࠿࡜ᛮ࠸ࡲࡋࡓࠋ⦎⩦ࡤࡗ࠿ࡾࡀ ⥆࠸࡚࠸ࡃ࡜ࠊ⏕ᚐࡓࡕࡢᴦࡋ࠿ࡗࡓ࡞ࡗ࡚࠸࠺㒊ศ ࡟ࡣࡘ࡞ࡀࡽ࡞࠸ࡋࠊࠕ࡛ࡁࡓࠖࡗ࡚࠸࠺ឤぬ࡟ࡣ⤖ࡧ ࡘ࠿࡞࠸࡞࠶࡜ᛮࡗࡓࡢ࡛ࠊ㸦୰␎㸧௒ᅇࢤ࣮࣒ࢆ୰ᚰ ࡜ࡋࡓࡶࡢ࡟ኚ࠼ࡼ࠺࡜ࡋࡓࡁࡗ࠿ࡅ࡛ࡍࠋ 㸦ࣂ࣮࣮࣭ࣞ࣎ࣝ6 ᫬㛫┠⤊஢᫬㸧 ࡇࡢᏊࡽࡢ▱㆑ࡀࠊࡔ࠸ࡪฟ࡚ࡁ࡚᣺ࡾ㏉ࡾࢆධࢀ ࡓ᪉ࡀࡼࡾពᅗࡋ࡚ᨷᧁ࡟⤖ࡧࡘࡅࡽࢀࡿࢇ࠿࡞࠵ ࡜࠸࠺ࡩ࠺࡟ឤࡌࡓࡢ࡛ࠊࡇࡢࢡࣛࢫ࡛ึࡵ࡚సᡓࢱ ࢖࣒ධࢀ࡚ࡳࡓࢇ࡛ࡍࠋࡑ࠺ࡍࡿ࡜ᑓ㛛ⓗ࡞ゝⴥ࡜࠿ ࡇ࠺ࡋࡓࡽ࠸࠸ࢇࡌࡷ࡞࠸࠿ࠊࢥ࣮ࢫ࡟ධࡗࡓࡽ࠸࠸ ࢇࡌࡷ࡞࠸࠿࡜࠿ㄡࠎࡕࡷࢇࡢᩳࡵ࡟࠸ࡓࡽ࠸࠸ࢇ ࡌࡷ࡞࠸࠿࡜࠿ࠊࡑࢇ࡞ࡩ࠺࡞ヰࡋྜ࠸ࢆࡋ࡚ࡃࢀࡿ ࡼ࠺࡟࡞ࡗࡓࡢ࡛ࠊసᡓࢆࡣࡉࢇࡔࡇ࡜ࡀ⤖ᒁ௒ࡲ࡛ ࡢᏛࢇ࡛ࡁࡓࡇ࡜ࢆ☜ㄆࡍࡿሙ࡜࠿ࠊࢳ࣮࣒඲య࡛ඹ ᭷࡛ࡁࡿᡓ⾡࡟ࡘ࡞ࡀࡗࡓࡢ࠿࡞࠵࡜ᛮ࠸ࡲࡋࡓࠋ 㸦ࣂ࣮࣮࣭ࣞ࣎ࣝ11 ᫬㛫┠⤊஢᫬㸧

(14)

要があることを指摘している。また、ゲームの 深まりとともに、個人としての思考ツールの活 用から、集団(チーム)としての思考ツールの 活用へと発展させることを提案している。 単元終了の 11 時間目は、作戦タイムを設け ることで、生徒がこれまで学んできた知識を活 用する姿がみられたことを手ごたえとして感じ ていることがうかがえる。また、作戦ボード等 を用いることを今後の実践課題として挙げてい る。 これらのインタビューにみられるように、B 教諭は授業設計において明確な意図を持って授 業に臨んでいたことがうかがえる。また、必要 に応じて、スーパーバイザーからの助言を取り 入れて授業展開を工夫していた。しかし、B教 諭が実践課題として掲げていた思考ツールの活 用に関しては、スーパーバイザーが動きの習得 や改善を図るための手立てとして工夫する必要 があると指摘したにもかかわらず、その変容が みられなかった。中坪ら(2003)は、教師が自 らを「技術的熟達者」から「反省的実践者」に 変えていくのは、決して安易なことではないと 述べている。反省的実践家になるためには、実 践者が形成してきたスキーマを必要に応じて捉 え直し、ルーティン化された授業を変えようと する意思決定が求められる。運動学習を中心と する体育授業での思考ツールの有効的な活用の 仕方については、多くの実践を積み重ねていく なかで教師が試行錯誤し明らかにしていく必要 がある。 3.2.4  B教諭におけるアクション・リサーチ型  授業実践のまとめ アクションを終え、その後全体の総括として 最終カンファレンスを実施した。カンファレン スは、①アクション・プラン全体を通した成果 と課題、②データ分析からみえてきた授業力量 形成の実態、③今後の授業実践の展望、の流れ で進行され、そこで話し合われた内容を踏まえ て検討された。得られた結果の大要は以下の通 りである。 (1) B教諭のトピックとして、「思考ツールを 用いて生徒の思考に働きかけることで、動 きの変化(技能成果)につなげ、生徒の自 尊感情も高めていくこと」が策定された。 (2) 体育の授業において思考ツールを用いる ことにより、指導内容の明確化や全体とし てのポイント整理は可能になったが、個々 の動きの改善にはつながらなかった。この ことから、生徒一人ひとりの技能に応じた 思考ツールの活用方法が工夫される必要が あると考えられる。 (3) アクションを通して、男女ともに「自己評 価・自己受容」の項目において単元後の値 が有意に大きくなる主効果が認められた。 この結果から、バレーボールの授業が生徒 の自尊感情を向上させる可能性が示唆され た。 加登本・ (2016)が「体育授業の力量形成 に影響を与えた経験」として「研究授業の実施」 や「研究発表の実施」を報告しているように、B 教諭は授業実践力の向上に関して、目標とする 研究発表会に向け課題の解決に取り組む過程に おいて、教授技術を高めていくことができたと 考えられる。このことから、附属学校教員が研 究授業において授業を公開し、他教員とともに 検討する機会を持つことは、自己の実践課題と 向き合いその解決に取り組むきっかけになり、 教員の資質向上において有効であることが認め られた。また、授業を計画・実施・評価するア クション・リサーチ型の実践の有効性が確かめ られた。一方で、中堅教員が反省的実践家にな るためには、実践者が形成してきたスキーマを 必要に応じて捉え直し、ルーティン化された授 業を変革する意思決定が必要であることが示唆 された。 4 結論 本研究では、保健体育を専攻する教員養成段 階の大学院生および附属学校に勤務する中堅段 階の中学校保健体育科担当教諭の授業実践の変 容を明らかにするとともに、アクション・リサー チ型プログラムの効果について検討することを 目的とした。その結果、本研究の対象者におい て、以下のことが明らかになった。 1. 採用前段階の学生(院生)は、単元を通し たアクション・リサーチ型授業実践と省察 を継続することによって、「マネジメント」

参照

関連したドキュメント

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

小・中学校における環境教育を通して、子供 たちに省エネなど環境に配慮した行動の実践 をさせることにより、CO 2

小学校における環境教育の中で、子供たちに家庭 における省エネなど環境に配慮した行動の実践を させることにより、CO 2

3 学位の授与に関する事項 4 教育及び研究に関する事項 5 学部学科課程に関する事項 6 学生の入学及び卒業に関する事項 7

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.