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在宅医療の継続要因に関する科学的根拠構築のための研究

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公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団

2015 年度(前期)一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書

在宅医療の継続要因に関する科学的根拠構築のための研究

申 請 者: 鈴木隆雄

所属機関: 桜美林大学老年学総合研究所

提出年月日: 2016 年 8 月 30 日

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i

在宅医療の継続要因に関する科学的根拠構築のための研究

目次

研究概要 ... 1 研究組織 ... 2 背景 ... 3 目的 ... 3 方法 ... 4 結果 ... 5 Ⅰ.在宅医療を利用した患者の特徴 ... 5 Ⅱ.38.0 度以上発熱した際に在宅医療を継続して受けた患者の特徴 ... 13 Ⅲ.38.0 度以上発熱した際に入院を選択した患者の特徴 ... 22 Ⅳ.在宅医療と入院治療の予後の比較 ... 33 まとめ ... 37

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1

在宅医療の継続要因に関する科学的根拠構築のための研究

研究概要

わが国では超高齢社会の進展により,今後,高齢者特に後期高齢者の急増が確実であ る.後期高齢者の特徴として加齢に伴う生活機能の減衰と慢性疾患の増加は不可避であ り,その主要な対策のひとつとして在宅医療の充実と普及が重要とされ推進が図られて いるところである.このような在宅医療の普及のためには,科学的根拠に基づく推進が 必須であるが,現在のわが国における在宅医療推進の科学的根拠の構築は必ずしも十分 ではないと考えられる.本研究では,在宅医療にかかわる様々な因子を考慮したうえで, 在宅医療の継続要因及び中断要因を明らかにし,在宅医療を推進するうえで不可欠な科 学的根拠を構築することを目的として実施された.本研究では,北関東に所在する医療 機関で在宅医療に取り組んでいる診療所と,その診療所と診療圏をほぼ同じくする病院 の患者データを用い,在宅医療を受けた患者の特徴に関する要因を分析するとともに, 在宅医療において最もよく遭遇し在宅医療継続あるいは中断(病院入院)の選択が発生 しやすい「(肺炎等の表現型としての)発熱」をイベントとして,在宅医療を継続した 群と,在宅医療を中断・病院入院した群との予後の比較を行い,両群における差異を分 析したものである. 具体的には以下の4 点を研究対象とした. ① A 医療法人の 3 つの診療所で在宅医療を利用した患者の特徴を把握. ② A 医療法人の 1 つの診療所で在宅医療を利用した患者のうち,「発熱」のイベントに 対し,在宅で療養を継続した患者の特徴を把握. ③ 北関東地域において在宅医療を受ける患者のうち,「発熱」のイベントに対し,病院 治療を希望し入院した患者の特徴の把握. ④ 北関東地域において「発熱」イベントを経験した患者で,在宅医療を継続した患者 (在宅継続群)と在宅医療を中断して入院・治療を受けた患者(入院患者群)の両 群の予後比較. その結果,在宅継続患者の特徴,「発熱」イベントにおける在宅医療継続患者の特徴, 「発熱」により(在宅医療を中断し)入院を選択患者の特徴などが明らかとなり,さら に④の「発熱」をイベントとして在宅継続群と入院患者群の2群間での予後状態の比較

(4)

2 (差)も明らかとなった.特に2群間の予後の差の分析では,入院患者群に比し在宅継 続群において,生活機能,認知機能等の悪化が有意に抑制されており,在宅医療におい て頻出する「発熱」イベントにおいては,患者の生活機能維持や認知機能低下予防の視 点から,在宅医療の継続に優位性の存在する可能性が明らかとなった.

研究組織

研究代表者:鈴木隆雄 桜美林大学 老年学総合研究所 所長・大学院教授 共同研究者:鄭 丞媛 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 研究員 井上祐介 岡山県立大学保健福祉学部 助教 福地将彦 医療法人アスムス 蔵の街診療所 院長 小坂由道 医療法人アスムス おやま城北クリニック 院長

謝辞

本研究を進める上で,医療法人アスムス理事長の太田秀樹先生,医療法人アスムス 生きいき診療所・ゆうきの荒井康之先生から多大なご支援をいただきました.記して 感謝申し上げます.

(5)

3

背景

現在,国は2025 年に向けて高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援のために,可能な 限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを最期まで続けることができるよう,地域で の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を進めている. こうした中で,厚労省「在宅医療・介護あんしん 2012」などでは看取りも含めた在 宅医療を担う診療所等の機能強化などを含め,地域包括ケアの中心的医療サービスの一 つとして在宅医療の推進が進められている.さらに,国民の 60%以上が在宅での療養 を希望しているという調査結果もあり(終末期医療に関する調査),今後ますます在宅 医療の重要性は増加するものと考えられている. しかし,在宅医療を推進するにあたって,実際にどのような患者像(患者因子)と患 者を取り巻く環境像(家族的・社会的・環境的因子)が,在宅医療の受療継続に関連し ているのか(継続要因),あるいは非継続の要因(中断要因)になっているのかについ て,多面的に評価した研究は十分に行われていない.その背景には,データの蓄積が十 分でなかったことが挙げられる.

目的

本研究では,在宅医療にかかわる様々な因子を考慮したうえで,在宅医療の継続要因 及び中断要因を明らかにすることで,在宅医療を推進するうえでの科学的根拠を構築す ることを目的とする. そこで,1992 年より北関東地域で在宅医療に取り組んでいる A 医療法人の 3 つの診 療所のデータと3 つの診療所のうち 1 つの診療所と診療圏をほぼ同じにする B 病院の 入院患者のデータを用い,在宅医療を受けた患者の特徴や在宅医療の継続または中断に 関わる要因を分析した. 具体的には以下の4 点である. ① A 医療法人の 3 つの診療所で在宅医療を利用した患者 1,154 人の患者台帳から在宅 医療を利用する患者の特徴を把握する. ② A 医療法人の 1 つの診療所で在宅医療を利用した患者のうち,肺炎等によって発熱 し,在宅で療養した患者の特徴を把握する. ③ 北関東地域において在宅医療を受ける患者のうち,肺炎等によって発熱し,入院し た患者の特徴を把握する. ④ 北関東地域において肺炎等によって発熱した患者で,在宅医療を受けた患者(在宅継 続群)と入院して治療を受けた患者(入院患者群)の予後に差があるかを把握する.

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4

方法

1. 用いたデータ

① 患者台帳データ:A 医療法人の 3 つの診療所で 2014 年 12 月までに受療を完結し た在宅医療患者のデータである(n=1,154). ② 在宅医療を受けた患者のカルテのデータ:A 医療法人の 1 つの診療所において 2008 年5 月から 2015 年 9 月まで在宅医療を利用した患者うち,38.0 度以上の発熱等の イベント(急性症状)を経験している患者113 人のうち,発熱時と発症後 90 日前 後の認知症高齢者の日常生活自立度と障害高齢者の日常生活自立度の変数に欠損 のないデータである(n=37). ③ 入院治療を受けた患者のカルテデータ:A 医療法人と同じ診療圏にある B 病院に おいて2015 年 7 月から 2016 年 6 月までの 1 年間に,38.0 度以上の発熱を主訴に 入院した患者のデータである(n=60).

2. 分析方法

① 患者台帳データとカルテのデータの記述統計から患者の特徴を把握した. ② 在宅医療を受けていた患者で,肺炎等によって 38.0 度以上発熱した際に,在宅医 療を中断して,入院医療を受けた患者(入院患者群)と在宅医療を継続して受けた 患者(在宅継続群)を対象として,入院患者群は入院時と退院時(平均在院日数29.5 日,標準偏差28.1),在宅継続群は発症時と発症後 90 日前後の患者の状態を比較し た.入院時・発症時と退院時あるいは発症後 90 日前後の予後の比較には,t-test, カイ二乗検定,Fisher の正確確率検定等を用いた.

3. 倫理審査

本研究は,桜美林大学,国立研究医療法人国立長寿医療研究センター,岡山県立大 学の倫理審査委員会の承認を得て行った.

(7)

5

結果

Ⅰ.在宅医療を利用した患者の特徴

A 医療法人 3 つの診療所を利用した患者で,診療開始日から 2014 年 12 月までに診 療を完結した患者台帳のデータを用い,在宅医療を利用した患者(n=1,154)の現状を 把握した. 区分 診療開始日 対象者数 診療所1 1992 年 4 月~ 662 人 診療所2 2000 年 4 月~ 335 人 診療所3 2008 年 4 月~ 157 人

1.在宅医療を利用した患者の全体像

1) 性別 性別は「男性」48.7%,「女性」51.2%であった. 男性,48.8% 女性,51.2%

性別

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6 2) 在宅医療開始時の年齢 在宅医療開始時の年齢は,「80-84 歳」が 21.6%で最も多く,次いで「85-89 歳」18.3%, 「75-79 歳」16.0%,「65 歳未満」12.7%,「70-74 歳」10.2%,「90-94 歳」8.8%,「65-69 歳」8.3%,「95 歳以上」4.0%の順であった. 3) 在宅医療開始時の主病名 在宅医療開始時の主病名は,「癌」が18.9%で最も多く,「認知症」15.1%,「循環器疾 患」11.9%,「脳血管障害(後遺症含む)」11.7%,「骨・関節疾患」8.0%,「呼吸疾患(癌 以外)」7.9%,「消化器疾患(癌以外)」4.5%,「神経難病」3.7%,「感染症」1.0%の順で あった.「その他」は17.3%であった. 65歳未満,12.7% 65-69歳,8.3% 70-74歳,10.2% 75-79歳,16.0% 80-84歳,21.6% 85-89歳,18.3% 90-94歳,8.8% 95歳以上,4.0%

在宅医療開始時の年齢

18.9% 17.3% 15.1% 11.9% 11.7% 8.0% 7.9% 4.5% 3.7% 1.0% 0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 20.0% 癌 その他 認知症 循環器疾患 脳血管障害_後遺症含む 骨・関節疾患 呼吸疾患_癌以外 消化器疾患_癌以外 神経難病 感染症

在宅医療開始時の主病名

(9)

7 4) 在宅医療開始時の要介護度 在宅医療開始時の要介護度は,「無」が26.8%で最も多く,次いで「要介護 5」19.7%, 「要介護4」17.6%,「要介護 3」13.0%,「要介護 2」11.9%,「要介護 1」8.9%,「要支 援2」1.4%,「要支援 1」0.8%の順であった. 5) 在宅医療の継続間 在宅医療の継続期間は,1 か月未満が 24.0%,1-3 か月が 23.4%であり,全体の 47.4% を占めていた.25 か月以上は 21.4%(n=246)であった. 24.0% 23.4% 7.1% 6.7% 3.6% 3.8% 4.6% 2.8% 2.6% 21.4% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

在宅医療の継続期間

.8% 1.4% 8.9% 11.9% 13.0% 17.6% 19.7% 26.8% .0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 無

在宅医療開始時の要介護度

(10)

8 6) 在宅医療受療中の入院の経験 在宅医療受療中に入院したケースは10.2%で「無」は 89.8%であった. 7) 転帰 転帰は,「死亡」が最も多く55.5%,「入院」24.8%,「入所」9.5%,「転医」5.6%,「中 止」3.2%,「転居」0.7%,「外来」0.6%の順であった. 24.8% 9.5% 55.5% .7% 3.2% 5.6% .6% 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 入院 入所 死亡 転居 中止 転医 外来

転帰

有 10.2 % 無 89.8 %

在宅医療受療中の入院の経験

(11)

9 8) 在宅医療を中止した理由 在宅医療の中止理由は,「介護上の問題(介護力の低下あるいは介護の疲弊など)」 が31.1%で最も多かった.次に「病状の進行」25.3%,「急性疾患の発生」16.8%,「経 済的問題」6.6%,「不明」6.4%,「サービス不満」0.3%の順であった.「その他」は13.6% であった. 9) 死亡場所 死亡場所は,「自宅」が90.8%で最も多く,次いで「病院」4.8%,「施設」2.5%,「そ の他」0.8%,「不明」0.6%,「搬送中」0.5%の順であった. .3% 6.4% 6.6% 13.6% 16.8% 25.3% 31.1% .0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 サービス不満 不明 経済的問題 その他 急性疾患の発生 病状の進行 介護力低下

在宅医療の中止理由

自宅

90.8 %

病院4.8 % 施設2.5 %

死亡場所

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10

2.在宅医療を受けている者のうち,入院の経験がある者の特徴

(n=113, 在宅医療患者全体の 10.2%)

1) 在宅医療開始時の主病名 在宅医療開始時の主病名は,「循環器疾患」14.0%,「癌」11.6%,「骨・関節疾患」10.4%, 「呼吸疾患(癌以外)」10.4%,「脳血管障害(後遺症含む)」10.4%,「認知症」10.4%, 「消化器疾患(癌以外)」6.4%,「神経難病」4.8%,「感染症」1.2%の順であった.「そ の他」は20.4%であった. 2) 在宅医療の継続期間 在宅医療の継続期間は,25 ヶ月以上が 38.1%であり,次に 1-3 ヶ月と 7-9 ヶ月が 11.5%ずつであった.1 か月未満は 8.0%であった. 8.0% 11.5% 8.0% 11.5% 3.5% 4.4% 5.3% 3.5% 6.2% 38.1% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0

在宅医療の継続期間

20.4% 14.0% 11.6% 10.4% 10.4% 10.4% 10.4% 6.4% 4.8% 1.2% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% その他 循環器疾患 癌 認知症 脳血管障害_後遺症含む 呼吸疾患_癌以外 骨・関節疾患 消化器疾患_癌以外 神経難病 感染症

在宅医療開始時の主病名

(13)

11 3) 転帰 転帰は,「死亡」が52.3%で最も多く,「入所」10.1%,「転医」2.8%,「中止」0.9%の 順であった.「不明(その多くは,入院にて在宅療養を中断し,その後の情報がないもので ある)」は33.9%であった. 4) 在宅医療の中断理由 何らかの理由で在宅療養の支援を終了している患者の在宅医療の中断理由は,「介護上 の問題(介護力の低下あるいは介護の疲弊など)」32.6%,「病状の進行」32.6%が最も 多く,次いで「急性疾患の発生」16.3%,「経済的問題」9.3%,「その他」7.0%,「不明」 2.3%の順であった. 不明,33.9% 入所,10.1% 死亡,52.3% 中止,0.9% 転医,2.8%

転帰

32.6% 32.6% 16.3% 9.3% 7.0% 2.3% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 介護力低下 病状の進行 急性疾患の発生 経済的問題 その他 不明

在宅医療の中断理由

(14)

12 5) 死亡場所 死亡場所は,「自宅」が83.1%で最も多く,次いで「病院」15.4%,「その他」1.5%の 順であった.死亡には,入院にて在宅療養を中断し,その後の情報がないために,入院に て死亡した症例を十分に把握できていない可能性がある. 自宅,83.1% 病院,15.4% その他,1.5%

死亡場所

(15)

13

Ⅱ.38.0 度以上発熱した際に在宅医療を継続して受けた患者の特徴

在宅医療を利用する患者で肺炎等により発熱した患者37 人を対象とし,その特徴を 把握する.なお,発熱した際に在宅医療を継続して利用した者は34 人(91.9%)であ り,在宅医療を中断し,入院した者は3 人(8.1%)であった.

1.発熱時の状況

1) 性別 性別は「男性」40.5%,「女性」59.5%であった. 男性,40.5% 女性,59.5%

性別

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14 2) 年齢 年齢は「80-84 歳」が 27.0%で最も多く,次いで「75-79 歳」16.2%,「85-89 歳」 16.2%,「65 歳未満」13.5%,「95 歳以上」13.5%,「90-94 歳」10.8%,「70-74 歳」 2.7%の順であった. 3) 在宅医療を受ける前にいた場所 在宅医療を受ける前にいた場所は,「病院」が 48.6%で最も多かった.次に「自宅」 29.7%,「施設」2.7%の順であった. 病院,48.6% 施設,2.7% 自宅,29.7% 欠損値,19%

在宅医療を受ける前にいた場所

13.5% 2.7% 16.2% 27.0% 16.2% 10.8% 13.5% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 65歳未満 70-74歳 75-79歳 80-84歳 85-89歳 90-94歳 95歳以上

年齢

(17)

15 4) 介護状況 介護状況は,「常時家にいて介護する人が1 人いる」が 24.3%で最も多く,次いで「介 護者がいるが日中は独居」が8.1%,「施設」が 5.4%であった.「常時家にいて介護する 人が2 人以上いる」は 0%であった. 5) 在宅医療開始時の主病名 在宅医療開始時の主な病名は,「脳血管障害後遺症」が29.7%で最も多かった.「加齢 に伴う活動性の低下」16.2%,「難病」10.8%,「入院を契機にした廃用」10.8%,「認知 症」8.1%,「整形外科疾患(大腿骨頸部骨折など)」5.4%の順であった.「その他」は18.9% であった. 8.1 % 24.3 % 0.0 5.4 % 62.2 % 介護者がいるが日中は独居 常時家にいて介護する人が1人いる 常時家にいて介護する人が2人以上いる 施設 欠損値 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0

介護状況

脳血管障害後遺症,29.7% 整形外科疾患(大腿骨頸部 骨折など),5.4% 入院を契機にし た廃用,10.8% 加齢に伴う活動 性の低下,16.2% 認知症,8.1% 難病,10.8% その他,18.9%

在宅医療開始時の主病名

(18)

16 6) 在宅医療への認識(本人) 在宅医療への認識(本人)は,「最期まで自宅がよいと決断している」が 27.0%で最 も多く,次いで「分からない・決めていない・考えていない」21.6%,「意思疎通ができ ない状態であるため(認知症や意識障害など)確認できない」8.1%の順であった. 7) 在宅医療への認識(家族) 在宅医療への認識(家族)は,「最期まで自宅がよいと決断している」が 24.3%で最 も多く,次いで「悪化時には入院のつもり」16.2%,「分からない・決めていない・考え ていない」16.2%,「その他」5.4%の順であった. 27.0% 21.6% 8.1% 43.2% 最期まで自宅がよいと決断している 分からない・決めていない・考えていない 意思疎通ができない状態であるため(認知症 や意識障害など)確認できない 欠損値

在宅医療への認識(本人)

24.3% 16.2% 16.2% 5.4% 37.8% 最期まで自宅がよいと決断している 悪化時には入院のつもり 分からない・決めていない・考えていない その他 欠損値

在宅医療への認識(家族)

(19)

17 8) 38.0 度以上発熱した際に在宅医療を選択した者の割合 38.0 度以上発熱した際に「在宅医療」を選択した者は 91.9%,「入院」を選択した 者は8.1%であった. 9) 発熱時の認知症高齢者の日常生活自立度 発症時の認知症高齢者の日常生活自立度は,「Ⅱ」が 28.6%で最も多く,次いで「Ⅰ」 20.0%,「Ⅲa」14.3%,「Ⅱb」14.3%,「Ⅳ」11.4%,「自立」5.7%,「Ⅲb」2.9,「M」2.9% の順であった. 在宅医療,91.9% 入院,8.1%

38.0度以上発熱した際に

在宅医療を選択した者の割合

自立, 5.7% Ⅰ, 20.0% Ⅱ, 28.6% Ⅱb, 14.3% Ⅲa, 14.3% Ⅲb, 2.9% Ⅳ, 11.4%M, 2.9%

発症時の認知症高齢者の日常生活自立度

(20)

18 10) 発熱時の障害高齢者の日常生活自立度 発症時の障害高齢者の日常生活自立度は,「B2」が 21.6%で最も多く,次いで「B1」 18.9%,「A2」16.2%,「A1」13.5%,「C1」13.5%,「C2」10.8%,「自立」5.4%の順で あった. 11) 嚥下障害の有無 嚥下障害は,「有」が24.3%,「無」が 56.8%であった. 有 24.3% 無 56.8% 欠損値 18.9%

嚥下障害

自立 5.4% A1 13.5% A2 16.2% B1 18.9% B2 21.6% C1 13.5% C2 10.8%

発症時の障害高齢者の日常生活自立度

(21)

19

2.発症から 90 日前後の状況

1) 発症から90 日前後の認知症高齢者の日常生活自立度 発症から90 日前後の認知症高齢者の日常生活自立度は,「Ⅱ」が 30.6%で最も多く, 次いで「Ⅰ」19.4%,「Ⅲa」16.7%,「自立」8.3%,「Ⅱb」8.3%,「Ⅳ」8.3%,「M」5.6%, 「Ⅲb」2.8%の順であった. 2) 発症から90 日前後の障害高齢者の日常生活自立度 発症から90 日前後の障害高齢者の日常生活自立度は,「B1」が 21.6%,「A2」18.9%, 「B2」16.2%,「C1」16.2%,「A1」10.8%,「C2」10.8%,「自立」5.4%であった. 自立, 8.3% Ⅰ, 19.4% Ⅱ, 30.6% Ⅱb, 8.3% Ⅲa, 16.7% Ⅲb, 2.8% Ⅳ, 8.3%M, 5.6%

発症から90日前後の

認知症高齢者の日常生活自立度

自立 5.4% A1 10.8% A2 18.9% B1 21.6% B2 16.2% C1 16.2% C2 10.8%

発症から90日前後の

障害高齢者の日常生活自立度

(22)

20 3) 発症から90 日前後の認知症高齢者の日常生活自立度の変化 発症から90 日前後の認知症高齢者の日常生活自立度の変化は,「維持」が91.7%で最 も多く,次いで「改善」5.6%,「悪化」2.8%の順であった. 4) 発症から90 日前後の障害高齢者の日常生活自立度の変化 発症から90 日前後の障害高齢者の日常生活自立度の変化は,「維持」が 86.5%,「改 善」8.1%,「悪化」5.4%の順であった. 悪化 2.8% 維持 91.7% 改善 5.6%

発症から90日前後の

認知症高齢者の日常生活自立度の変化

悪化 5.4% 維持 86.5% 改善 8.1%

発症から90日前後の

障害高齢者の日常生活自立度の変化

(23)

21 5) 発症から90 日前後の摂食・嚥下機能の変化 発症から 90 日前後の摂食・嚥下機能の変化は,「維持」が29.7%,「悪化」が 29.7% であった. 悪化 29.7% 維持 29.7% 欠損値 40.5%

発症から90日前後の摂食・嚥下機能の変化

(24)

22

Ⅲ.38.0 度以上発熱した際に入院を選択した患者の特徴

北関東に所在する医療機関で在宅医療に取り組んでいるA 診療所と、その診療所と診療 圏をほぼ同じくするB 病院において2015 年 7 月から 2016 年 6 月までの 1 年の間に, 38.0 度以上の発熱を主訴に入院した 65 歳以上の患者のデータ(n=60)を用い,その 患者像を把握した. 入院患者の重症度 項目 有 無 体温40 度以上 8.3% 91.7% 意識障害 8.8% 91.2% 血圧90mmHg 以下 6.7% 93.3% 脈拍数125 回分以上 13.3% 81.7% SpO2 90 以下(酸素投与なしの条件下) 18.3% 81.7% 尿素窒素BUN21mgdl 以上 41.7% 58.3% 1) 性別 性別は,「男性」48.3%,「女性」51.7%であった. 男性 48.3% 女性 51.7%

性別

(25)

23 2) 年齢 年齢は,「80-84 歳」が 30.0%で最も多く,次いで「85-89 歳」20.0%,「90-94 歳」 16.7%,「70-74 歳」13.3%,「95 歳以上」8.3%,「65-69 歳」6.7%,「75-79 歳」5.0%の 順であった. 3) かかりつけ医 かかりつけ医は,「診療所」43.3%,「自院(B 病院)」40.0%,「自院(B 病院)以外 の病院」13.3%,「かかりつけ医なし」3.3%であった. 6.7% 13.3% 5.0% 30.0% 20.0% 16.7% 8.3% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 65-69歳 70-74歳 75-79歳 80-84歳 85-89歳 90-94歳 95歳以上

年齢

自院 40.0% 自院以外の病院 13.3% 診療所 43.3% かかりつけ医なし 3.3%

かかりつけ医

(26)

24 4) 入院前の療養場所 入院前の療養場所は,「自宅」75.0%,「施設」25.0%であった. 5) 入院前の在宅医療の利用の有無 入院前の在宅医療の利用は,「有」が 16.7%,「無」が 83.3%であった. 有 16.7%83.3%

入院前の在宅医療の利用の有無

自宅, 75.0% 施設,25.0%

入院時の療養場所

(27)

25 6) 受診時間 受診時間は,「平日日中」が65.0%,「夜間・休日」は 35.0%であった. 7) 救急車利用の有無 救急車の利用は,「有」が31.7%,「無」が 68.3%であった. 平日日中 65.0% 夜間・休日 35.0%

受診時間

31.7%68.3%

救急車利用の有無

(28)

26 8) 入院理由となった主病名 入院理由となった主病名は,「肺炎・気管支炎」が 43.3%で最も多く,「尿路感染症」 16.7%の順であった.「その他」は 40.0%であった. 肺炎・気管支炎 43.3% 尿路感染症 16.7% その他 40.0%

入院理由となった主病名

(29)

27 9) 入院時の認知症高齢者の日常生活自立度 入院時認知症高齢者の日常生活自立度は,「自立」が33.3%,「Ⅰ」23.3%,「Ⅱ」18.3%, 「Ⅱb」10.0%,「Ⅲb」6.7%,「Ⅳ」3.3%,「M」3.3%,「Ⅲa」1.7%の順であった. 10) 入院時の障害高齢者の日常生活自立度 入院時の障害高齢者の日常生活自立度は,「J2」が 30.0%,「A1」25.0%,「A2」20.0%, 「B1」11.7%,「B2」8.3%,「C1」5.0%であった. 33.3 % 23.3 % 18.3 % 10.0 % 1.7 % 6.7 % 3.3 % 3.3 % 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 自立 Ⅰ Ⅱ Ⅱb Ⅲa Ⅲb Ⅳ M

入院時の認知症高齢者の日常生活自立度

30.0% 25.0% 20.0% 11.7% 8.3% 5.0% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 J2 A1 A2 B1 B2 C1

入院時の障害高齢者の日常生活自立度

(30)

28 11) リハビリテーションの実施の有無 リハビリテーションの実施は,「有」が38.3%,「無」が 61.7%であった. 12) 不穏せん妄の有無 不穏せん妄の有無は,「有」35.0%,「無」65.0%であった. 有 38.3%61.7%

リハビリテーション実施の有無

35.0%65.0%

不穏せん妄の有無

(31)

29 13) 抑制の実施 抑制の実施は,「有」25.0%,「無」75.0%であった. 14) 退院時の認知症高齢者の日常生活自立度 退院時の認知症高齢者の日常生活自立度は,「自立」が 28.3%,「Ⅰ」20.0%,「Ⅱ」 16.7%,「Ⅱb」8.3%,「M」13.3%,「Ⅲb」5.0%,「Ⅳ」5.0%,「Ⅲa」3.3%であった. 有 25.0%75.0%

抑制の実施

28.3% 20.0% 16.7% 8.3% 3.3% 5.0% 5.0% 13.3% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 自立 Ⅰ Ⅱ Ⅱb Ⅲa Ⅲb Ⅳ M

退院時の認知症高齢者の日常生活自立度

(32)

30 15) 退院時の障害高齢者の日常生活自立度 退院時の障害高齢者の日常生活自立度は,「C1」が 36.7%で最も多く,次いで「J2」 16.7%,「A2」11.7%,「B1」10.0%,「B2」10.0%,「A1」10.0%,「C2」3.3%「J1」1.7% の順であった. 16) 認知症高齢者の日常生活自立度の変化 入院時と退院時の認知症高齢者の日常生活自立度の変化をみると,維持が75.0%,悪 化が25.0%であった. 1.7% 16.7% 10.0% 11.7% 10.0% 10.0% 36.7% 3.3% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 J1 J2 A1 A2 B1 B2 C1 C2

退院時の障害高齢者の日常生活自立度

改善, 0% 維持, 75.0% 悪化, 25.0%

認知症高齢者の日常生活自立度の変化

(33)

31 17) 障害高齢者の日常生活自立度の変化 入院時と退院時の日常生活自立度の変化をみると,維持が33.3%,悪化が 63.3%,改善が 3.3%であった. 18) 摂食嚥下機能低下の有無 入院時と比べた退院時の摂食嚥下機能低下は,「有」45.8%,「無」54.2%であった. 改善, 3.3% 維持, 33.3% 悪化, 63.3%

障害高齢者の日常生活自立度の変化

45.8%54.2%

摂食嚥下機能低下の有無

(34)

32 19) 転帰 転帰は,「外来通院」が40.0%で最も多く,次いで「死亡」20.0%,「施設通院」 16.7%,「療養病棟」8.3%,「在宅医療」8.3%,「終診」5.0%,「その他」1.7%の順で あった. 40.0% 8.3% 16.7% 8.3% 20.0% 5.0% 1.7% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 外来通院 在宅医療 施設通院 療養病棟 死亡 終診 その他

転帰

(35)

33

Ⅳ.在宅医療と入院治療の予後の比較

在宅医療を受けていた患者で,肺炎等によって38.0 度以上発熱した際に在宅医療を 継続して受けた患者(在宅継続群)と,在宅医療を中断し,入院して治療を受けた患 者(入院患者群)との予後を比較した.入院患者群は入院時と退院時(平均在院日数 29.5 日,標準偏差 28.1),在宅継続群は発症時と発症後 90 日前後の患者の状態を比較 した.在宅継続群の患者数は37 人,入院患者群の患者数は 11 人である.両群間に入 院時または発症時の年齢や性別の分布,体温,SpO2,血圧,発症時・入院時の認知症 高齢者の日常生活自立度と障害高齢者の日常生活自立度に統計的に有意な差はみられ なかった. 病院(n=11) 在宅(n=37) p 年齢(平均,歳) 86.5 82.3 ns 性別 女性 8(72.7%) 22(60.0%) ns 体温40 度以上 有 0(0%) 3(8.8%) ns 無 11(100%) 31(91.2%) SpO2 90 以下 有 3(27.3%) 7(20.0%) ns 無 8(72.7%) 28(80.0%) 血圧90mmhg 以下 有 0(0%) 0(0%) ns 無 11(100%) 35(100%) 発症時・入院時の 認知症高齢者の日常生活自立度 自立 1(9.1%) 2(5.7%) ns Ⅰ 1(9.1%) 7(20.0%) Ⅱ 3(27.3%) 10(28.6%) Ⅱb 2(18.2%) 5(14.3%) Ⅲa 1(9.1%) 5(14.3%) Ⅲb 3(27.3%) 1(2.9%) Ⅳ 0(0%) 4(11.4%) M 0(0%) 1(2.9%) 発症時・入院時の 障害高齢者の日常生活自立度 自立 0(0%) 2(5.4%) ns J2 2(18.2%) 0(0%) A1 2(18.2%) 5(13.5%) A2 1(9.1%) 6(16.2%) B1 1(9.1%) 7(18.9%) B2 2(18.2%) 8(21.6%) C1 3(27.3%) 5(13.5%) C2 0(0%) 4(10.8%)

(36)

34 0.0% 18.2% 18.2% 9.1% 9.1% 18.2% 27.3% 0.0% 5.4% 0.0% 13.5% 16.2% 18.9% 21.6% 13.5% 10.8% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 自立 J2 A1 A2 B1 B2 C1 C2

発症時・入院時の

障害高齢者の日常生活自立度

入院患者群 在宅継続群 9.1% 9.1% 27.3% 18.2% 9.1% 27.3% 0.0% 0.0% 5.7% 20.0% 28.6% 14.3% 14.3% 2.9% 11.4% 2.9% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 自立 Ⅰ Ⅱ Ⅱb Ⅲa Ⅲb Ⅳ M

発症時・入院時の

認知症高齢者の日常生活自立度

入院患者群 在宅継続群

(37)

35

1.認知症高齢者の日常生活自立度の変化

入院患者群の入院前後の認知症高齢者の日常生活自立度の変化をみると,63.6% (n=7)が維持し,36.4%(n=4)が悪化していた.他方で在宅継続群は,91.7%(n=33)が維持 し,2.8%(n=1)が改善,5.6%(n=2)が悪化していた.統計的にも有意な差がみられた (p<0.05).

2.障害高齢者の日常生活自立度の変化

障害高齢者の日常生活自立度の変化をみると,入院患者群では45.5%(n=5)が維持し, 54.5%(n=6)が悪化していた.在宅継続群は,治療開始から 90 日前後に 86.5%(n=32)が 維持し,5.4%(n=2)が改善,8.1%(n=3)が悪化していた.両群の間には統計的に有意な 差が認められた(p<0.05). 0.0% 63.6% 36.4% 2.8% 91.7% 5.6% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 改善 維持 悪化

認知症高齢者の日常生活自立度の変化

入院患者群 在宅継続群 0.0% 45.5% 54.5% 5.4% 86.5% 8.1% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 改善 維持 悪化

障害高齢者の日常生活自立度の変化

入院患者群 在宅継続群

(38)

36

3.嚥下障害低下の有無の変化

治療後に嚥下障害低下の有無があったかを検証した結果,入院患者群は55.6%(n=5) が,在宅継続群は50.0%(n=11)が嚥下障害の低下が見られた.しかし,両群の間には 統計的に有意な差が認められなかった. 55.6% 44.4% 50.0% 50.0% 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 有 無

嚥下障害低下の有無の変化

入院患者群 在宅継続群

(39)

37

まとめ

わが国における高齢社会の特徴は,後期高齢者の急増にあり,それとともに加齢に基づく フレイルやサルコペニア等の特有の状態像や疾病が増大する.2025 年に向けて構築を進め ている地域包括ケアシステムの柱の一つに在宅医療が含まれていることから,この先,在宅 医療の需要も増加すると推定され,在宅医療における科学的根拠に基づいた良質なサービ スが必須となる.在宅医療における科学的根拠に基づいた良質なサービスとは,単に医 学的な側面だけではなく,介護福祉的側面や地域社会とのかかわりのなかでの複合的な サービスであろう.また,国民が在宅医療に対する理解を深めていけるように情報を提 供することも必要になってくると思われる. 本研究により明らかになった知見として,以下の6 点が挙げられる. ① 在宅医療を受ける患者の主病名は,癌,認知症,循環疾患,脳血管障害など多 様であったことから,在宅医療は様々な疾病に対応していると考えられる. ② 在宅医療の継続期間は 2 年以上利用しているのが 21.4%であり,他方で 3 ヶ月 以下の利用も47.4%あった.在宅医療は期間に関わらず対応していた. ③ 転帰が「死亡」の者が半数以上を占めていることから在宅医療は終末期医療の 一部を担っていることが示唆された. ④ 在宅医療患者の 37.3%が要介護4以上の重度の者であった.他方で,在宅医療 を中止した理由として「介護上の問題(介護力の低下あるいは介護の疲弊など)」 が31.1%であったことから,在宅医療を推進するうえでは,家族介護者への支 援も不可欠であると思われる. ⑤ 在宅医療を受けている患者の中で,肺炎等により 38.0 度以上の発熱を発症した 者のうち,91.9%は継続して在宅医療を受けていたことから,在宅医療は容態 の急変にも対応可能であることが示唆された. ⑥ 38.0 度以上の発熱によって入院して治療を受けた患者(入院患者群)と在宅医 療を受けた患者(在宅継続群)の予後を比較した結果,退院時あるいは発症後 90 日前後において認知症高齢者の日常生活自立度を維持したのは,入院患者群 の63.6%に対し,在宅継続群は 91.7%であった.障害高齢者の日常生活自立度 は入院患者群の54.5%が悪化していたのに対して,在宅医療群は 86.5%が維持 し,5.4%が改善していたことから,在宅医療は病院医療に比べて,認知症高齢

(40)

38 者の日常生活自立度と障害高齢者の日常生活自立度の維持に優位である可能性 が示唆された. 本研究では過去の在宅医療受療者について後方視的な分析が主となっているが,今後 は本研究の成果を基盤として,前方視的なコホート研究を進める予定である. 在宅医療の継続要因に関して,横断的分析及び縦断的分析の両面からアプローチする ことによって,より強固な科学的根拠を構築するとともに,在宅医療のあり方を考察す ることができると期待される. 本研究は 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成による研究成果である.

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