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地域における冠動脈疾患一次予防のための発症率予測の試み

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276 第48巻 日本公衛誌 第4号 平成13年4月15日

地域における冠動脈疾患一次予防のための発症率予測の試み

フルヤ ヒロユキ 古屋 博行 ナガオカ タ ダ シ 長岡 正 ミズシマ シュンサク 水嶋 春朔 イシカワ ノリコ 石川 典子 シバタ ノリコ 柴田 則子 オカモト ナオユキ 岡本 直幸 オカザキ イ サ オ 岡崎 勲 目的 「21世紀における国民健康づくり運動」の地域計画策定にあたり,神奈川県における虚血 性心疾患の年齢調整死亡率が全国に比べ高いことから,冠動脈疾患一次予防のために発症率 を予測し,さらに危険因子が改善したと仮定して発症率の変化を求め予防戦略について検討 した。

方法 最近,米国でFramingham Heart Studyに基づいたWeibull acceleratedfailureregression

modelにより今後2年間での冠動脈疾患発症率を予測した報告に従い,県北部の4町村にお ける平成10年度の住民基本健康診査を利用して冠動脈疾患発症率を予測するとともに,収縮 期血圧値,HDL-C値,TC値,TG値,喫煙習慣が改善したと仮定して予測発症率の変化 を求めた。 結果 1. 冠動脈疾患予測発症率は男性において心疾患の既往と現病がない場合2.79±2.17%に 対し,既往か現病があると10.25±2.17%と高かった。逆に,女性では心疾患の既往と現病 がない場合16.80±14.40%に対し,既往か現病がある場合3.66±1.09%と低かった。発症率 そのものはいずれもこれまでの日本の報告より高かった。米国での高い発症率に合わせた予 測発症率を求めるモデルなので日本における他の報告に比べ著しく高い発症率になったと考 えられた。  2. 心疾患の既往と現病がない男性にはポピュレーション予防戦略より,TC値とHDL-C値の高リスク者への介入や禁煙によるハイリスク予防戦略が有効と考えられた。心疾患の 既往と現病のない女性の場合,食事,運動療法によるポピュレーション予防戦略が最も有効 と考えられた。  3. 冠動脈疾患予測発症率が高かった心疾患の既往と現病のない60歳以上の女性につい て,発症率の違いから,高,中,低リスク群に分け検討した。その結果,高リスク群は,体 重,BMI,拡張期血圧,随時血糖で他群に比べ有意に高かった。また,他群に比べ収縮期 血圧値の改善が発症率の低下に有効と考えられた。 結論 今回の冠動脈疾患発症率の予測法を本邦に適応した場合,実際の発症率より高い値が算出 されたが,地域における冠動脈疾患発症予防の観点から具体的目標値を設定する際の一つの 参考となり得ると考えられた。また,予防戦略の計画立案の際に介入すべき集団をより効果 的に選択する際に有効と考えられた。 Key words : 冠動脈疾患,一次予防,回帰モデル,ハイリスク予防戦略,ポピュレーション予防 戦略

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