特別なニーズをもつ小学生の在籍 6 年間の教育課題の
変化と通常学級での支援について
木 村 亮 子・黒 田 吉 孝
Change of the Educational Difficulties for 6 years of
School Children with Special Needs and the Supports in a
Class of an Elementary School
Ryoko KIMURA and Yoshitaka KURODA
Ⅰ.問 題 小学校の多くの学校では、現在、個のニーズ に応じた特別支援教育を推進するために以下の ような取組がおこなわれている。実に多様な取 組であるが、これらの取組がうまくいくために は、学校としての組織的な取組と担任による個 別的な取り組が相互に関連しあう必要がある。 代表的な取組をあげてみる。年度当初、新入 学児童に関して保幼稚園との IEP や気になる 児童の引き継ぎ、在籍児童に関して学年別に新 旧担任による IEP の引き継ぎ会を実施する。 校内では、月に 1 回、特別支援部会が実施し、 教員が共通理解を図り支援策が検討する。学級 担任が行ったスクリーニングテストの結果や特 別支援部会で得た情報、日々の児童の様子をも とに支援を必要とする児童のリストを作成し、 更新しながら活用する。必要に応じてケース会 議を実施し、支援内容を考え、組織的に実施す る。ケース会議で発達検査が必要とされた児童 については、保護者への説明、検査への同意を 得て市巡回相談員に連絡を取り検査を実施する。 一方、担任は、通常学級に在籍する児童の行動 観察や学習実態を把握し児童の困り感に気づき、 発達検査や専門機関からの情報提供を得る中で、 児童の認知特性を理解し、支援の在り方につい ても巡回相談員からの助言を得、各専門機関と 連携することで通常学級や取り出し授業での具 体的支援を明確にし、児童の困り感を軽減でき るよう特別支援教育に取りくむ。また、長期休 業中には IEP の作成についての研修会や通常 学級での支援の向上を目指して特別支援教育の 研修会を行う。さらには、個別の教育的ニーズ に応じて、特別支援学級および通級による指導 の弾力的な運用 (取り出し授業や加配) も実施 する。 筆者の勤務校では、成果として、① 校内の 支援体制を整え機能していくことで関係機関と の連携や職員間の連携の中から指導の手がかり を得ることができたこと、② 学校全体で支援 の必要な児童をみていく体制ができてきたこと を挙げている。しかし一方では、① 支援のた めの情報を得てはいるものの、実際に必要とさ れる個別の具体的な支援が十分に把握しきれて いないところも現実であり、通常学級で支援を 必要とする児童に対する具体的支援や支援の推 進に向けての方策を十分に考えること、② 低 学年時期での気づきの重要性と先を見通した特 別な支援充実を今後の課題として挙げている。 先行研究においても、庄子ら (2000)、竹林 ら (2004) は、現在以上の条件整備が求められ
ることは当然のこととしながら、個別的な配慮 を要する児童の現状と指導上の課題について、 教師のアンケートをもとに、具体的な配慮を考 えるときには、成長に応じた課題の変化と児童 の学びの特性を意識した実態の把握がまず大切 であると述べている。また、最近の論調として は、佐藤 (2004) に見られるように、特別支援 教育の対象を発達障害のある児童に限定せず、 個別支援と学級経営との相補的支援が重要であ るとしている。 本研究では、勤務校で指摘された、「低学年 時期での気づきの重要性と先を見通した特別な 支援教育の充実が課題である」を基本にして、 早期からの支援と 6 年間の中での児童のニーズ の変化を明らかにする。 Ⅱ.研 究 方 法 1.担任の気づきの時期とその内容、支援状況 等についての聞き取り 筆者の勤務する小学校 (全校児童数 265 名 内特別支援学級 8 名) の通常学級に在籍する特 別な支援を必要とする児童を対象とする。各児 童の就学前からの引き継ぎに関する記録、入学 してから現在まで状況の記録、担任や特別支援 コーディネーターから聞き取り調査する。調査 の内容は、① 児童の割合 ② 支援 の状況 ③ 児 童の困難さ ④ 担任の気づきの時期 ⑤ 発達検 査の実施 ⑥ 診断の有無 ⑦ 投薬などについて 記録や担任、特別支援コーディネーターから聞 き取りをして調査する。 2.学年進行に伴う教育的課題の変化を明らか にするための全教師へのアンケート 特別な支援を必要とする児童が学校生活にお いてどのようなことでつまずいているかを学年 毎に全教師 (17 名) へアンケート調査を実施 し、学年別の児童の学校生活での困難を明らか にする。アンケートの領域は、学校での生活・ 学習の基本となる、① 友だち関係 ② 身辺整理 ③ 身の回りの整頓 ④ 生活習慣 ⑤ 学校のルー ル ⑥ 学習能力 ⑦ 行事への参加の 7 つである。 3.研究協力校の通常学級で 6 年間過ごした児 童の事例の検討 発達障害の児童の事例について、小学校 6 年 間を通して、円滑に学校・社会生活を送れるよ うになった児童とそのまま困難を示している児 童を取り上げ、両者の違いはどのような点なの か、明らかにする。通常学級に 6 年間在籍した 児童 3 名 (A 児:アスペルガー症候群、B 児: 広範性発達障害、C 児:注意欠陥多動性障害・ 学習障害・広範性発達障害) を対象とした。各 児童に関する 6 年間の行動の記録を基に、上記 の 7 つの領域を検討した。 Ⅲ 結 果 1.特別な支援を必要とされる児童の入学時か ら入学後の担任の気づきと支援状況 表 1 から以下の様に整理することができる。 ① リストのあがった児童の人数と性別 本校 (全校児童数 265 名 内特別支援学級 8 名) で「特別な支援が必要である」とリストに あげられているのは 46 名 (男子 34 名 女子 12 名) で 74% 男子が、26% が女子である。1 学級あたり 3.8 人であった ② 担任の気づきの時期 特別支援が必要との担任の気づきの時期は、 全体の 46 名中就学前が 8 名、1 年生の時期が 29 名、2 年生の時期が 1 名、3 年生の時期が 4 名であった。また、母親からの訴えで支援が必 要なことが明らかになる児童もいた。 ③ 専門機関とのつながり 専門機関 (ことばの教室や医療) との連携が できているのは、14 名であった。 ④ 児童の困り感 児童の困り感については、学力が 25 名で最 も多く、対人関係 21 名、不注意 19 名、こだわ り 15 名と続く。そのほかには、文字書きの困 難や多動、衝動性が強いなどもあげられている。 また、複数の事柄について困り感をあわせ持っ ている児童が多い。 ⑤ 支援の状況 支援の状況については、ほとんどが通常学級 の中で担任が対応している状態である。とくに 困難を示す児童 3 人には、取り出し授業がおこ
なわれている。取り出し授業が必要な児童は もっといるが、人員不足で教師の配置ができな いために十分に実施ができていない。 2.特別な支援を必要とされる児童の教育課題 ―― 教師に対するアンケート結果 ―― 学年別にアンケートを行ったが、低学年、中 学年、高学年の 3 つの学年で整理することでよ り特徴が明瞭になると思われた。表 2 はその結 果である。領域別に検討を行った。 (1) 友だち関係 低学年の間は、遊びのルールが守れない、理 解しにくいことが原因で仲間はずれになること も多いようである。トラブルを起こしたときで も、手が出たり、暴れたりするためなかなか友 だちができない傾向にある。中学年に入ると、 低学年からのトラブルの積み重ねや集団遊びが 苦手であることなどの影響からか「周りの友だ ちも離れていく」「仲間外れになる」という傾 向が見られる。また、この頃から「友だちの気 を引くための行動」も見られることがあるよう だ。高学年では、仲間外れの傾向は進み、「孤 独感を持つ」、「自暴自棄になる」こともあるよ うだ。「友だち関係」においては、自分から関 係を築いていくことはとても難しいようである。 年齢を重ねても改善することが困難である。ど んなところに原因があり、改善の方法について 考える必要があるが、周り人たちの理解や支援 することが一つの方法のように思われる。 (2) 身辺自立 低学年での問題として「排泄」「朝や帰りの 支度」「着替え」「給食」があげられている。排 泄の失敗については、ほかのことと比べても割 合が高く、低学年の間続くことが多い。また、 着替えに関しては、時間がかかったり、着替え ることを拒んだり、逆に全部脱いでしまったり と様々な困難さが見られる。「朝や帰りの支度」 についても時間がかかったりひとりではできな かったりすることが多い。しかし中学年、高学 年になっていくと、「排泄」「朝や帰りの支度」 「給食」はつまずきとしてはあがっていない。 ほかの児童と比べるとゆっくりではあるが、年 齢が進むにつれて徐々に身についてくるようで 改善が見られる。ただ、「着替え」については こだわりなのか人前で着替えることに抵抗を感 じて着替えられない児童がいる。身辺自立につ いては、年齢を重ねるごとに身につき、徐々に 改善される傾向にあるようである。 (3) 身の回りの整理整頓 「机の中やロッカーの中が整理できない」「片 づけられない」「物をよくなくす」「机の周りに ものが落ちている」の 3 つで低・中・高学年と も課題が共通している。身の回りの整理整頓に 関しては、学年が進んでも改善されない傾向に ある。 (4) 生活習慣 低学年・中学年・高学年共通している課題は、 「忘れ物が多い」「時間が守れない」があげられ ている。また、低学年でのみ見られる課題に 「偏食がある」があげられるが成長と共にある 程度改善されるようである。また、低学年で 「夜眠る時間が遅い」中・高学年で「睡眠時間 が定まっていない」があげられている。生活の リズムが取りにくいようである。 (5) 学校のルール 低、中、高学年ともに「授業中に立ち歩く」 「時間が守れない」「言葉遣いが悪い」があげら れている。「言葉遣い」に関しては、低学年の うちは、言葉の意味を知らずに攻撃的な言葉を 使っていることが多い。学年が進むにつれて、 トラブルが起こったときなど自分が抑えられな くなったときに暴言を吐き、相手を攻撃する傾 向にある。「時間が守れない」については、低 学年のうちは、やりたいことに一生懸命になり 約束の時間になっても気がつかず、授業の開始 の時間になっても教室にもどらないことがある。 中学年、高学年になってくると、授業開始の時 間には戻れるようにはなってくるが、学習活動 中、作業終了などの約束の時間になっても気が ついているが、「続けてやりたい」「すべて仕上 げたい」というこだわりも出てきて区切りをつ けられないことも多い。「授業中の立ち歩き」 については、低学年は立ち歩くことが多く、静 かに作業する時間でも、前で教師が話している ときでも何となく自分の興味がある方へ立って 歩くことが多い。中学年、高学年になっていく と立ち歩く回数は減ってきて改善はされるが、 授業中の立ち歩きがなくなるわけではない。
学校にルールについては、低学年のうちは ルール自体を理解していないことから守れてい ないことが多いようである。中、高学年になっ てくるとだんだん理解して改善の傾向にはある が、こだわりや自分が抑えられないときもある ようで、学級のほかの児童と比べると守れない ことが多いようである。 男 07B 8 WISC Ⅲ 1 年 男 06H 29 WISC Ⅲ 就学前 ○ 就学前の様子 表 1 特別な支援を必要とされる児童の入学時から入学後の担任の気づきと支援状況 K-ABC 1 年 男 07A 7 WISC Ⅲ 1 年 有 △ ことばの教室 ○ 男 06G 28 WISC Ⅲ 3 年 WISC Ⅲ 1 年 男 07K 17 5 未 1 年 ○ 女 08F 6 WISC Ⅲ 1 年 有 △ ○ 男 06F 27 WISC Ⅲ 就学前 女 08D 4 未 1 年 男 08E 男 06D 25 WISC Ⅲ 1 年 ○ 男 06E 26 男 03D 46 男 08C 3 未 1 年 男 06C 24 未 就学前 △ ○ 男 03C 45 WISC Ⅲ 3 年 男 08B 2 未 1 年 女 06B 23 未 1 年 女 03B 44 WISC Ⅲ 1 年 △ 医療とつながっていた ○ 男 08A 1 未 1 年 1 年 男 06A 22 未 1 年 未 男 03A 43 未 1 年 支 援 の 状 況 就 学 前 の 引 継 ぎ の 有 無 診 断 の 有 無 発 達 検 査 の 結 果 保 護 者 の 検 査 へ の 理 解 専 門 機 関 と の つ な が り 担 任 の 気 づ き 保 ・ 幼 性 別 氏名 未 1 年 加配 支援級をすすめられる 07N 20 未 1 年 男 07O 21 WISC Ⅲ 男 04E 41 WISC Ⅲ 母親からの訴え 女 04F 42 発 達 検 査 担 任 の 気 づ き ○ 男 07M 19 WISC Ⅲ 1 年 有 △ ○ 男 男 04D 40 WISC Ⅲ 就学前 有 ○ ことばの教室 ○ △ ○ 男 07L 18 WISC Ⅲ 1 年 有 △ 男 04C 39 WISC Ⅲ 母親からの訴え 女 07J 16 WISC Ⅲ 1 年 有 3 年次転入 男 04B 38 WISC Ⅲ 4 年次転入 1 年 女 07I 15 WISC Ⅲ 1 年 05E 36 小学校ではなし 就学前 加配 有 PDD ○ ことばの教室 ○ 男 04A 37 未 13 WISC Ⅲ 1 年 有 ことばの教室 ○ 男 07H 14 男 05D 35 未 1 年 ○ 女 男 07F 12 WISC Ⅲ 1 年 男 07G 女 05C 34 WISC Ⅲ 2 年 男 07E 11 WISC Ⅲ 1 年 有 △ ○ 男 05B 33 WISC Ⅲ 母親からの訴え ○ ○ 女 07D 10 WISC Ⅲ 1 年 31 未 1 年 女 05A 32 WISC Ⅲ 3 年 女 07C 9 WISC Ⅲ 就学前 新版 K 式 男 06I 30 WISC Ⅲ 1 年 男 06J
(6) 学習能力 低学年、中学年、高学年ともに共通してあげ られているのが、「基礎学力の積み上げの困難 さ」「音読が苦手」「漢字の書き」である。低学 年では、ひらがなやカタカナの書字からつまず く児童が多い。何となく形ではとらえているが 正しく書くことが苦手なようである。促音や長 音に関しても困難を示すことが多い。中学年で 支 援 の 状 況 ﹇ 加 配 ・ 通 級 ﹈ 現 在 の 子 ど も の 困 り 感 診 断 の 有 無 1 無 学力 1 無 学力 1 2 有 対人・不注意・こだわり・学力 医療 無 専 門 機 関 と の つ な が り 入学してからの様子 ことばの教室・医療 ことばの教室 ことばの教室・医療 ことばの教室 医療 学 年 そ の 他 I E P の 有 無 2 学力 3 学力・対人・不注意・多動 3 有 こだわり・対人・不注意 3 6 3 年から担任は気がつくが検査は 5 年 有 学力・不注意・多動 LD 3 家庭 対人 3 有 対人・不注意・多動 保護者の理解無 学力・対人・不登校 6 投薬 有 週 5 時間 対人・学力・多動・不注意 医療 ADHD・LD・PDD 有 集中力・色覚 医療 PDD 2 母子分離 対人・不注意・学力 3 有 5 母親の教育相談 有 対人・家庭での様子 6 学力・対人・不登校 6 2 投薬 書きの困難・学力 LD の疑い 5 有 対人 5 ことばの教室修了 有 学力・対人 今はない 有 学力・対人・不注意 無 5 外国籍のため日本語が苦手なこともある 有 こだわり・対人・多動・学力 5 有 4 投薬 有 対人・書き困難 医療 PDD・LD 4 学力 5 ことばの教室修了 4 投薬 有 こだわり・対人・不注意 医療 PDD・ADHD 4 投薬 有 対人 ことばの教室・医療 PDD こだわり・対人・不注意 ことばの教室・医療 PDD 3 投薬 有 学力・不注意 ことばの教室・医療 有 4 IEP は 3 年から 有 こだわり・対人・不注意 家庭 有 学力 3 有 書きの困難 3 有 対人・不注意・学力 2 投薬 有 不注意・文字 LD・PDD 投薬 有 こだわり・多動・対人 ことばの教室・医療 PDD 3 2 有 対人・不注意・こだわり・学力 2 就学指導 有 週 2 時間 学力・対人 知的遅れ 2 有 有 学力・不注意 2 有 対人 2 有 衝動性・多動 対人・不注意・意思疎通 2 有 対人・不注意・低学力・多動 2 有 学力・不注意 2 1 就学指導委員会に諮問 有 国・算・生単支援学級 学力等 2 有 対人・不注意・学力 2 有 無 学力 1 無 学力 1 有 無 対人
学習能力 ・興味があることは頑張れる。 ・興味がないとほかの子の邪魔をす る。 ・練習に参加しないのにその出来栄え に対して文句を言う。 ・参加してないことを指摘されるとす ねる ・負けること、うまくできないことに 納得がいかない ・興味があることは頑張れる。 ・うまくいかないとすねる。 ・わざとリレーやゲームに負けたりす る。 ・負けること、上手くできないことに 納得がいかない ・音が苦手なことがある。 ・興味があることは頑張れる。 ・目立ちたいこともある。 ・集団行動に遅れる。 ・隣の人との間隔が取りづらくくっつ きがち 行事への 参加 ・高学年まで来ると検査は受けてもら えにくい ・物音に敏感で一度気になるとおさま りにくい ・急な予定変更を嫌がる ・常識的なことが理解できない 例「なぜともだちをつくらなければ ならないのか ・学習面の心配から検査を受けられる ことがある ・保護者の方が心配されることもある が、検査を受けるか否かについては 二極化される (拒否されるとなかな か前へは進まない) その他 低学年 中学年 高学年 領域 表 2 教師へのアンケートによる低学年・中学年・高学年の児童の教育課題 身辺自立 ・机の中やロッカーの中が整理できな い。片づけられない。 ・周りにものが落ちていることが多い ・机の中やロッカーの中が整理できな い。片づけられない。 ・物をよくなくす ・机の周りにものが落ちている ・机の中やロッカーの中が整理できな い。片づけられない。 ・物をよくなくす ・同じ場所や同じ形にしまわないと気 が済まない 身の回りの 整理整頓 ・忘れ物が多い。 ・時間が守れない。 ・朝起きられない。遅刻が多い ・思い通りにいかないと納得しない ・登校を渋ることが増える ・忘れ物が多い。 ・時間が守れない。 ・睡眠時間が定まっていないことが多 い ・登校を渋ることがある ・忘れ物が多い。 ・時間が守れない。 ・偏食が多い ・夜が遅いため、授業中居眠りをする ことがある ・手洗いやうがいの習慣が身に付かな い時も多い ・挨拶が苦手 ・時々登校を渋る 生活習慣 ・授業中立ち歩く。 ・時間が守れない。 ・言葉遣いが悪い ・いけないとわかっていてもルールが 守れない ・反省はするが、また繰り返す ・こだわりが強く、時間を守れない ・授業中立ち歩く。 ・時間が守れない。 ・言葉遣いが悪い ・自分のやりたいことを時間がきても やり続ける ・授業中立ち歩く。 ・時間が守れない。 ・言葉遣いが悪い ・ルール自体わかっていない ・授業開始のチャイムが鳴っても教室 に帰ってこない 学校の ルール ・基礎学力の積み上げが苦手。 ・音読が苦手。 ・意欲が減退する ・文字を書くことが苦手で対抗感があ る ・読解力がない ・気が散る ・歴史や宇宙などの生活にかけはなれ たことには詳しいのに日常的に使う 言葉がわかっていない。 ・基礎学力の積み上げが苦手。 ・音読が苦手。 ・漢字ではへんとつくりが反対になる ことが多い ・ひらがなやカタカナは書けるが、漢 字が覚えられない ・基礎学力の積み上げが苦手。 ・ひらがなやカタカナがなかなか覚え られない ・音読が苦手。 ・漢字の読み書きに課題が多い。 ・促音も身に付きにくい ・仲間外れ。友だちがいない。 ・喧嘩のときに手が出る ・友達からは、冷たい目で見られる。 味方がいないことが多い ・孤独感を持つ ・自暴自棄になる ・仲間外れになる。 ・気をひくための行動 (物をあげる 友達の悪口を言う。) ・集団遊びが苦手 ・周りの友達も離れていくことが多く だんだん一人になる ・ルールが守れない。 ・順番が守れない ・カッとなって手をだす ・被害者的思考 ・友達と同じことができないと不安に なる ・自分から友達の輪に入りづらい 友だち関係 ・基本的なことは身についてくる ・人前で着替えることを嫌がる ・朝や帰りの支度に時間がかかる ・人前で着替えることを嫌がる ・服装が乱れていることがある。 ・身に付きにくい ・排泄の失敗 ・朝や帰りの支度に時間がかかる ・着替えることに時間がかかる ・着替えることに抵抗がある、または 全く気にせず裸になる
は、ひらがなやカタカナの書字については身に つくようだが、「漢字の書字」「文を書く」「読 解力」への困難がある。低学年から苦手であっ た漢字の書字については、細かいところまで見 られていないことや、形が整わないことが原因 でますます苦手になっている。高学年になって も改善されることが難しいようで、学年相応の 学習内容の理解が難しくなっている。学習意欲 が下がっていったり、文字や文を書くことに抵 抗感を持つこともあるようだ。 (7) 行事への参加 どの学年でも共通しているのは、興味がある ことについてはがんばれるようである。しかし、 運動会や音楽会などの学校行事の練習は、進度 や天気によって急な予定変更、連続しての長い 練習時間など過酷なことが多く、支援が必要な 児童たちにとっては、多くの困難がある。 3.通常学級で 6 年間過ごした特別なニーズが 必要であった事例の比較 (1) A 児、B 児、C 児について ① A 児:就学前に市の療育教室に通ってい た。1 年生のころから担任が気になる子として あげていた。2 年生の終わりに発達検査を受け る。市巡回相談を経て医療にかかる。3 年生 10 月にアスペルガー症候群と診断され、リタリン を服用する。通級教室に月 1 回通うようになる。 取り出しの指導時間を設けずに通常学級で学習 を続ける。医療にかかり、薬の服用、特別支援 を受けるようになり徐々に友だちとのトラブル はなくなる。学年相当の学習内容を理解できる ようになった。現在中学 2 年生。友人関係も良 好で、部活にも参加できている。 ② B 児:同級生とのトラブルで転園したこと がある。入学してから多動で授業がまともに受 けることが出来ない。スクリーニングでチェッ クされ、1 年生 2 月に発達検査を受ける。市巡 回相談を通して一度医療にかかるが、それ以降 の受診を保護者が拒否する。医療にかかったと きに PDD、不安障害の疑いがあると診断され る。校内での特別支援対象児として 3、5、6 年 生のとき週 5 時間程度個別指導を受ける。専門 機関とのつながりは保護者が拒否。現在中学 1 年生。不登校になっている。 ③ C 児:入学当初から同級生とのトラブルが 絶えない。多動で授業中に歩き回る。3 年生の ときスクリーニングでチェックされ、9 月に発 達検査を受ける。ADHD、LD、PDD (疑い) と診断されるが、てんかんの薬を飲んでいるた めリタリン、コンサーダの服用は見送られる。 4 年生から毎日 1 時間個別指導の時間を設ける。 5 年生途中にてんかんが完治し、コンサーダを 服用するようになる。現在 6 年生。教室に居場 所がなく、登校を嫌がることが増えた。 (2) A、B、C 児の教育課題の変化 表 3、4、5 は、対象事例毎の 6 年間の教育課 題の変化であり、表 6 は 3 事例の特徴を比較整 理したものである。 ① 友だち関係 A 児、B 児、C 児ともにトラブルを起こすこ とが多く、仲間に入れなかったり、暴力を振 るったりすることが目立った。B 児と C 児に ついては、低学年の間はトラブルを起こしなが らも一緒に遊ぶ友だちはいたようだが、学年が 進むにつれて仲間外れになり同学年の中に友だ ちがいない状態になっている。A 児は中学年 ごろから関係の改善がみられ、放課後も一緒に 遊ぶ友だちもできた。 ② 身辺自立 3 人とも共通していることは、特に低学年の とき身だしなみが乱れがちであるということで ある。また、体育などのときの着替えが遅かっ たり、次の日の準備を母親にやってもらったり していることなども共通している。B 児は高学 年になっても衣服の乱れがなかなか改善されな かった。B 児、C 児は、低学年でのトイレの失 敗もあったようである。 ③ 身の回りの整頓 低学年までは 3 人共に持ち物が散乱している ことが多い、昇降口に靴を脱いだままなど身の 回りの整頓が苦手である。A 児は中、高学年、 C 児は高学年後半になってくると身の回りの整 頓ができるようになってきたが、B 児について は高学年になっても身の回りの整頓は、苦手な ままであった。 ④ 生活習慣 A 児については、低学年の間、B、C 児につ いては高学年になっても就寝時間が遅くなかな
学習能力 ・初めの予定とずれることがあるの で、対応することが難しい。 ・人前に立つことが苦手で、極度に緊 張する。 ・発表で失敗したことをいつまでも気 にする。 ・時間通りに行動し、練習することが 苦手である。 ・音楽会など人前に立つような発表 は、緊張が強い。 ・時間通りに行動し、練習することが 苦手である。 行事への 参加 ・出来ないことがあるとイライラして 物や人にあたる。担任を殴ることも ある。 (3 年) ・他からの刺激に反応し気が散ってし まう。 その他 低学年 中学年 高学年 領域 表 3 A 児 (アスペルガー症候群) の教育課題の変化 身辺自立 ・声かけがなくても整頓ができるよう になってきたが、苦手である。 ・机の周りに物が散乱している。(3 年) ・身の回りの整頓は苦手ではあるが、 声かけにより片付けられるように なってきた (4 年)。 ・身の回りの整頓が苦手。 ・服や手が汚れることは嫌だが、整理 整頓が苦手。 身の回りの 整頓 ・生活の中の手順にこだわる ・就寝時間が一定でなく、生活のリズ ムを崩しやすい。 ・朝は起きられるようになり、遅れる ことも少なくなった。 ・日課の順番にこだわりが少なくなっ てきた。(宿題、夕食、お風呂、就 寝の順番) ・就寝時間が遅い。 ・朝が起きにくく、登校時間に間に合 わないことがある。 ・日課の順番にこだわる (宿題、夕 食、お風呂、就寝の順番) 生活習慣 ・当番や係の仕事を忘れることが少な くなった。忘れても言い逃れをしな くなった。 ・休み時間が時間通りに始まらないと 納得がいかない。 ・当番や係の仕事を忘れてしまうこと が多い。 ・休み時間が終わっても教室に戻って こないことがある。 ・係の仕事を忘れてしまいやらないこ とが多い。言い逃れすることもある ・日課が変更されると不安になる。 ・授業中席を離れることがよくある。 学校の ルール ・興味があることは頑張ってできる。 (3 年) ・不注意による計算ミスがおおい (3 年) ・漢字の細かい部分に間違いが多い (3 年) ・聞き違いが多い (3 年) ・音読などの読み違いが多い。文の内 容の読み取りが苦手である (3 年) ・落ち着いて授業を受ける時間が増 え、意欲的に学習に取り組むことが できるようになってきた (4 年) ・算数では計算ミスは減ったが、図形 の理解や操作は困難である (4 年) ・漢字はマスにおさめることができ、 細かな部分にも配慮して覚えられる ようになってきた (4 年) ・体の動きもスムーズになり、苦手で あった体育 (特に走ること) に自信 が持てるようになった (4 年) ・想像して絵を描くことや文を作るこ とは苦手である (4 年)。 ・宿題などは保護者の協力がないと やってこられない ・ひらがなやカタカナは、形が取りづ らい。 ・漢字の細かい部分を間違えて書く ・促音を間違ったり、転化させて書い たりする (花だん→花ざん) ・視写に時間がかかる ・細部に注意を向けることができず、 学習でも不注意な誤りが多い。 ・周りは、仲間外れにしていないが自 分から入っていけない。 ・小さなトラブルはあるが、少しずつ 気持ちをコントロールすることがで きるようになってきた ・相手の気持ちも少しずつ考えられる ようになってきた。 ・友だちや教師との会話が増えてき た。会話の内容もかみ合うように なってきた ・心から安心できる友だちがいない。 ・仲間外れになる。 ・友だちとのトラブルが多い。トラブ ル時の様子を話せなくて、いつも悪 者扱いをされる。(3 年) ・いったんトラブルとなると、暴言を 吐いたり暴力を振るったり泣きわめ いたりする (3 年) ・思い通りにならないとイライラする こともあるが、自分で抑えようと努 力している。また、周りの友だちも 本児を気遣い手助けしてくれるよう になった (4 年) ・友だちとの会話で相手の意図はわか りにくいようでトラブルを起こすこ ともある (4 年) ・些細なことで泣いたり、怒ったりし て仲間に入れない。 ・怒って友だちに手を出すことが多 い。 ・遊びの中仲間外れになる。 ・自分から仲間に入れない。 ・勘違いも多く、悪口を言われている と思い怒り出すことも多い。 友だち関係 ・忘れ物が多い。 ・翌日の用意が一人でできるように なってきた。 ・着替えが遅い。 ・忘れ物が多い。 ・時間割は、お家の人に揃えてもらう。 ・着替えが遅い。 ・持ち物がそろわない。
か熟睡できないことがあったようだ。その影響 で朝が起きられないなどの生活のリズムが崩れ やすい。また、B、C 児ともに長期休業中に生 活が乱れ、学期が始まっても調子が戻しにくい。 ⑤ 学校のルール 3 人共に集団登校、授業中の着席や私語、パ ニック、チャイムの合図での行動など学校の ルールを守ることが困難である。A 児は学年 が進むと徐々に改善されているが、B 児は高学 年になってもなかなか改善されていない。C 児 は、授業中の着席、教室の飛び出しなど高学年 の後半から改善の兆しが見られた。 ⑥ 学習能力 3 人共に共通していることは、国語では、書 字が苦手、漢字を覚えることが苦手、読み違い 書き違いが多い、算数では文章題が苦手という ことがあげられる。A 児は、取り出し授業は 実施せず、通常学級での一斉授業と月 1 回のこ とばの教室への通級 (3 年生途中から) を実施 した。中学年ごろから、学年相当の学習能力が ついてきた。C 児については、4 年生から取り 出し授業を開始し算数の計算については、学年 学習能力 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ・並んだり、何回も同じ練習をするこ とが苦手。 ・勝負がかかる競技は勝ちたいが参加 することは嫌がることが多い。 ・保護者が来ると真面目に参加しよう とする。 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ・並んだり、何回も同じ練習をするこ とが苦手 ・勝負がかかる競技は勝ちたいが参加 することは嫌がることが多い。 ・保護者が来ると真面目に参加しよう とする。 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ・並んだり、何回も同じ練習をするこ とが苦手 ・勝負がかかる競技は勝ちたいが参加 することは嫌がることが多い。 ・保護者が来ると真面目に参加しよう とする。 行事への 参加 低学年 中学年 高学年 領域 表 4 B 児 (広範性発達障害、多動症) の教育課題の変化 身辺自立 ・机やロッカーの中がバラバラである ・持ち物が散乱している ・昇降口にくつを脱ぎっぱなしである ・物がそろわないことが多い。 ・机やロッカーの中がバラバラである ・持ち物が散乱している ・昇降口にくつを脱ぎっぱなしである ・物がそろわないことが多い。 ・机やロッカーの中がバラバラである ・持ち物が散乱している ・昇降口にくつを脱ぎっぱなしである ・物がそろわないことが多い。 身の回りの 整頓 ・朝早く起きられないことが多い。 ・長期休みの中は生活が乱れ、新学期 は登校を嫌がることが多い。 ・夜更かしが多い。 ・朝早く起きられないことが多い。 ・長期休みの中は生活が乱れ、新学期 は登校を嫌がることが多い。 ・夜遅くまで起きている。 ・朝早く起きられないことが多い。 ・偏食がある。 ・長期休みの中は生活が乱れ、新学期 は登校を嫌がることが多い。 生活習慣 ・登校班でのトラブルが多い。 ・窓のひさしにおりる ・授業中に歩きまわる。教室から出て 行く。 ・登校班でトラブルが多く通学できな い ・チャイムが鳴っても教室に戻ってこ られない ・窓のひさしにおりる ・授業中に歩きまわる。教室から出て 行く。 ・登校班でトラブルが多く通学できな い ・チャイムが鳴っても教室に戻ってこ られない ・授業中に歩きまわる。教室から出て 行く。 学校の ルール ・どの教科も学年相当の内容が理解で きない ・書 字 が 苦 手 で、マ ス に 入 ら な い。 ノートがぐちゃぐちゃである ・読み違い、聞き違い、勘違いが多い ・人前で話すことが苦手 ・ひらがな、カタカナの表記があやふ やである ・どの教科も学年相当の内容が理解で きない ・書 字 が 苦 手 で、マ ス に 入 ら な い。 ノートがぐちゃぐちゃである ・読み違い、聞き違い、勘違いが多い ・人前で話すことが苦手・ひらがな、 カタカナの表記があやふやである ・ひらがな、カタカナの表記があやふ やである ・どの教科も学年相当の内容が理解で きない ・書 字 が 苦 手 で、マ ス に 入 ら な い。 ノートがぐちゃぐちゃである ・読み違い、聞き違い、勘違いが多い ・人前で話すことが苦手 ・ちょっとしたことでもすぐに怒る。 ・仲間外れになる。遊んでいても必ず トラブルになる。 ・他の学年の児童からも特別視される ・友だちの気持ちが理解できない。 ・ちょっとしたことでもすぐに怒る。 ・仲間外れになる。遊んでいても必ず トラブルになる。 ・友だちの気持ちが理解できない。 ・ちょっとしたことでもすぐに怒る。 ・仲間外れになる。遊んでいても必ず トラブルになる。 ・相手にケガをさせるほど暴力をふる う暴言が絶えない。 ・友だちの気持ちが理解できない。 友だち関係 ・身だしなみも乱れていることが多 い。 ・髪の毛を切ることを嫌がる。いつも 乱れている。 ・身だしなみも乱れていることが多 い。 ・髪の毛を切ることを嫌がる。いつも 乱れている。 ・身だしなみも乱れていることが多 い。 ・給食のときには口や机の周り、服を 汚す。 ・トイレを失敗することがあった。 ・着替えが遅い。
相当の力がついてきたが、漢字や文章力、読解 力についてはまだ困難がある。B 児は、取り出 し授業を 3、5、6 年生で実施し、簡単な四則計 算はできるようになったが、漢字や文章力、読 解力については低学年程度の力しかついていな い。 ⑦ 行事への参加 A 児、B 児、C 児の共通点は、運動会や音楽 会など学校行事の練習の参加を嫌がること、行 事当日の異常な緊張、自分が並ぶ位置を覚えら れない、勝負への異常なこだわり、行事当日は 何事もなかったように参加することがあげられ る。A 児は中学年ごろから、C 児は高学年ごろ からは練習にも参加できるようになってきたが、 行事へ参加することへの緊張は高学年になって も続いている。B 児は、学年を追うごとに参加 しづらくなってきている。 ⑧ その他 精神面で A 児、B 児、C 児に共通して出て いる特徴は、学年を追うごとに神経質でマイナ ス思考が出てきたことが共通している。また、 B、C 児は、自分に自信が持てなくて「自分は 学習能力 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ・並んだり、何回も同じ練習をするこ とが苦手。 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ・並んだり、何回も同じ練習をするこ とが苦手。 ・リーレーなどの競技は好きで参加し たがる。自信がある。 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ・リーレーなどの競技は好きで参加し たがる。自信がある。 行事への 参加 ・自信がなく「自分はだめなやつだ」 と口にするようになる。 ・同級生には相手にされず教室での居 場所がなくなり、登校を嫌がること 目立つようになった。 ・てんかん治療のため ADHD の投薬 は 4 年生の後半からであった。 その他 低学年 中学年 高学年 領域 表 5 C 児 (広範性発達障害、注意欠陥多動性障害、学習障害の疑い) の教育課題の変化 身辺自立 ・持ち物が散乱していることが少なく なった。 ・靴を靴箱に入れるようになった。 ・机やロッカーの中がバラバラであ る。 ・持ち物が散乱している ・昇降口にくつを脱ぎっぱなしであ る。 ・物がそろわないことが多い。 ・机やロッカーの中がバラバラであ る。 ・持ち物が散乱している ・昇降口にくつを脱ぎっぱなしであ る。 ・物がそろわないことが多い。 ・持ち物が散乱していることが少なく なった ・靴を靴箱に入れるようになった。 身の回りの 整頓 ・夜が遅いためか、朝が起きられな い。 ・眠れないことがある。 ・長期休みの後は、生活リズムが乱れ る。 ・夜が遅いためか、朝が起きられな い。 ・眠れないことがある。 ・夜が遅いためか、朝が起きられな い。 ・眠れないことがある。 生活習慣 ・教室で座っている時間が増える。 ・取り出し授業では落ち着いて学習で きるようになる。 ・チャイムで行動することが難しい。 ・授業中に立ち歩く。教室から出てい く。 ・チャイムで行動することが難しい。 ・授業中に立ち歩く。教室から出てい く。 学校の ルール ・書字が苦手で形が整わない。 ・漢字を覚えることが苦手。細かいと ころを間違える。 ・読み違いが多い。 ・計算はできるが、文章題が苦手。 ・文章を書くことが苦手。 ・書字が苦手で形が整わない。 ・漢字を覚えることが苦手。細かいと ころを間違える。 ・読み違いが多い ・計算はできるが、文章題が苦手。 ・文章を書くことが苦手。 ・書字が苦手で形が整わない。 ・漢字を覚えることが苦手。細かいと ころを間違える。 ・読み違いが多い ・計算はできるが、文章題が苦手。 ・文章を書くことが苦手。 ・仲間外れになることが多い。 ・友だちに一緒に万引きをするように 強要する ・同級生には相手にされず下級生へ ちょっかいを出す。 ・友だちに遊びを強要して無理やり一 緒に遊ぶ。 ・友だちのものをとる、手を出すなど リトラブルが多い。 ・仲間外れになることが多い。 ・友だちに一緒に万引きをするように 強要する。 ・友だちに遊びを強要して無理やり一 緒に遊ぶ。 ・友だちのものをとる。 ・怒ると手を出すなどリトラブルが多 い。 友だち関係 ・服が汚れていることが多い。シャツ が出ていることが多い。 ・給食のときには口や机の周り、服を 汚す。 ・トイレを失敗することがあった。 ・靴下をはいていないことが多い。 ・服が汚れていることが多い。シャツ が出ていることが多い。 ・給食のときには口や机の周り、服を 汚す。 ・トイレを失敗することがあった。
学習能力 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ○低○中○高 ・並んだり、何回も同じ練習をするこ とが苦手。○低○中○高 ・リーレーなどの競技は好きで参加し たがる。自信がある。○低○中 ・音楽会や運動会の練習を嫌がる。 ○中○高 ・並んだり、何回も同じ練習をするこ とが苦手。○低○中○高 ・勝負がかかる競技は勝ちたいが参加 することは嫌がることが多い。○低 ○中○高 ・保護者が来ると真面目に参加しよう とする。○中○高 ・運動会の練習を嫌がる。○低 ・並ぶ場所が分からない。○低○中 ・勝負がかかった競技への異常な緊 張。○高 ・音楽会のとき耳をふさぐ。○低○中 ・行事前は異常に緊張する。○中○高 行事への 参加 ・てんかん治療のため ADHD の投薬 は 4 年生の後半からであった。 ・自信がなく「自分はだめなやつだ」 と口にするようになる。○中 ・同級生には相手にされず教室での居 場所がなくなり、登校を嫌がること 目立つようになった。○高 ・自分の世界に入り込みすぎて、周り がついていけない。現実と創造の世 界が区別できない。○低○中○高 ・髪の毛を切ることや体に触られるこ とを異常に嫌がる。○低○中 ・神経質でマイナス思考が目目立つよ うになった。○高 その他 A 児 B 児 C 児 ○低は低学年、○中は中学年、○高は高学年である。 領域 表 6 A,B,C 児の教育課題の整理比較 身辺自立 ・机やロッカーの中がバラバラであ る。○低○中○高 ・持ち物が散乱している。○低○中○高 ・昇降口にくつを脱ぎっぱなしであ る。○低○中 ・物がそろわないことが多い。○中○高 ・持ち物が散乱していることが少なく なった○高 ・靴を靴箱に入れるようになった○高 ・机やロッカーの中がバラバラであ る。○低○中○高 ・持ち物が散乱している。○低○中○高 ・昇降口に靴を脱ぎっぱなしである。 ○低○中○高 ・物がそろわないことが多い。○低○中 ○高 ・机やロッカーの中がバラバラであ る。○低○中 ・持ち物が散乱している。○低○中 ・4 年生ごろから自分のものの管理が できてくる。 ・昇降口にくつを脱ぎっぱなしであ る。○低 ・机の中やロッカーの整理が出来るよ うになる。○高 身の回りの 整頓 ・夜が遅いためか、朝が起きられな い。眠れないことがある。○中○高 ・朝早く起きられないことが多い。 ○低○中○高 ・偏食がある。 ・長期休みの中は生活が乱れ、新学期 は登校を嫌がることが多い。○低○中○高 ・夜遅くまで起きている。眠りが浅 い。朝が起きられない。○低 生活習慣 ・チャイムで行動することが難しい。○中 ・授業中に立ち歩く。教室から出てい く。○低○中○高 ・教室で座っている時間が増える。○高 ・取り出し授業では落ち着いて学習で きるようになる。○高 ・登校班でトラブルが多く通学できな い。○低○中○高 ・チャイムが鳴っても教室に戻ってこ られない。○中 ・授業中に歩きまわる。教室から出て 行く。○低○中○高 ・窓のひさしにおりる。○中○高 ・登校班でトラブルが多い。○低 ・チャイムで戻れない事がたびたび あった。○低 ・授業中にパニックになりわめく事が ある。○低 学校の ルール ・書字が苦手で形が整わない。 ・漢字を覚えることが苦手。細かいと ころを間違える。○低○中○高 ・読み違いが多い○低○中 ・計 算 は で き る が、文 章 題 が 苦 手。 ○中○高 ・文章を書くことが苦手。 ・ひらがな、カタカナの表記があやふ やである。○低○中 ・どの教科も学年相当の内容が理解で きない。○低○中○高 ・書 字 が 苦 手 で、マ ス に 入 ら な い。 ノートがぐちゃぐちゃである。○中○高 ・読み違い、聞き違い、勘違いが多 い。○低○中○高 ・人前で話すことが苦手。○中○高 ・書字が苦手である○低○中 ・画数の多い漢字が覚えにくい○中○高 ・繰り上がり、繰り下がりの計算がで きない。○低 ・ノートを書くことが苦手である。 ○中○高 ・文字の読み違い、聞き違いが多い。 ○低○中 ・人前で話すことが苦手。○低○中○高 ・友だちに遊びを強要して無理やり一 緒に遊ぶ○低○中 ・友だちのものをとる、手を出すなど リトラブルが多い○低○中 ・仲間外れになることが多い○中○高 ・友だちに一緒に万引きをするように 強要する○中○高 ・同級生には相手にされず下級生へ ちょっかいを出す○高 ・ちょっとしたことでもすぐに怒る。 ・仲間外れになる。遊んでいても必ず トラブルになる ・相手にケガをさせるほど暴力をふる う暴言が絶えない ・他の学年の児童からも特別視される ・友だちの気持ちが理解できない○低 ○中○高 ・些細なことで泣いたり怒ったりして 仲間に入れない。○低 ・遊びの中で仲間外れになる。○低 ・自分から仲間に入れない。4 年生ご ろからは周りの友だちが声をかけて 仲間にはいれるようになる○中 ・一緒に遊ぶ友だちができてきた○高 友だち関係 ・靴下をはいていないことが多い○低 ○中 ・服が汚れていることが多い。シャツ が出ていることが多い。○低○中 ・給食のときには口や机の周り、服を 汚す。○低○中○高 ・トイレを失敗することがあった。 ○低 ・髪の毛を切ることを嫌がる。いつも 乱れている。○低○中 ・身だしなみも乱れていることが多い ○低○中○高 ・給食のときには口や机の周り、服を 汚す。○低○中○高 ・トイレを失敗することがあった。 ・着替え遅い。○低○中○高 ・時間割は、お家の人に揃えてもら う。○低○中 ・着替えが遅い。○低○中 ・持ち物がそろわない。○低 ・シャツがよく出ている。○低 ・臭いが気になりトイレに入れない。 ○中○高
だめなやつだ」というようになった、登校を嫌 がることが多くなったことが共通事項として挙 げられる。 Ⅳ.考 察 1.担任の気づきの時期と支援の状況等につい て まず、勤務校で特別な支援を必要とされる児 童の割合については 15% であったが、文部科 学省が行った「通常学級に在籍する特別な支援 を要する児童生徒の実態調査」(2002 年) の結 果での通常学級に在籍する LD 等の児童生徒の 割合 ( 6 %) よりも多かった。その理由は、文 部科学省からの「今後の特別支援の在り方につ いて (2003 年)」の「通常学級に在籍する特別 な教育的ニーズをもつ児童に対する教育システ ムの構築をめざし、通常学級に在籍する学習障 害・注意欠陥多動性障害・高機能自閉症等をは じめとする特別な教育的ニーズのある児童・生 徒に対して積極的な支援をする必要性」を受け、 勤務校のある地域で特別支援推進体制モデル事 業が進められ、市全体や現場の小・中学校等で 独自の取り組みが行われたこと、近年の特別支 援への教師の関心や知識が高まってきているこ と、そして、特別な支援に対するシステムの整 備されたことと関係していると思われる。 特別支援が必要だと担任が気づいた時期につ いては、全体の 46 名中就学前が 8 名、1 年生 の時期が 29 名、2 年生の時期が 1 名、3 年生の 時期が 4 名であった。教師は小学校の 2 年生ま でにほぼ気づいているようである。しかしなが ら、個別の指導計画 (IEP) 作成までには、家 庭等との協力の問題もあり、時間を要すること もある。病院等での専門機関へのつなぎにも時 間を要するようである。多くの学校では、診断 を待つことなく、教育的判断と指導計画により、 児童への支援態勢を作っていると思われる。今 回の調査から、1 年生の終了時点で児童への教 師の共通理解と理解の深まりをおこない、2 年 生以降の支援を継続的におこなっていくことが、 家庭の理解を図りながら必要であると考える。 児童の教育課題として、教師があげている課 題で最も多いのは、学力に関するものであり、 対象児童 46 名中 25 名が学力の課題をもってい た。就学前では気がつきにくい書字や数の扱い での困難や授業中に座っていることの困難さな ど、学力の課題が目立つようになってくるよう だ。また、対人関係 21 名、不注意 19 名、こだ わり 15 名と、行動上の課題も多くあがってい る。就学前と比べ集団のルールが求められ、 ルールにしたがった活動が多くなるからであろ う。 また支援の状況については、ほとんどが通常 学級の中で担任が対応している状態である。取 り出し授業が必要な児童はいるが、人員不足で 教師の配置ができないために十分に実施ができ ていない状態である。支援の状況については、 ほとんどが通常学級の中で担任が対応している 状態である。特別に困難を示す児童 3 人へは取 り出し授業がおこなわれている。取り出し授業 が必要な児童はさらにいるが、人員不足で教師 の配置ができないために十分に実施ができてい ない。 2.特別な支援を必要とする児童の学校生活で の具体的な困難さと経年変化について 学校生活の困難さにおいては、年齢を重ねる と改善されていく事柄と、年齢を重ねても改善 されにくい事柄にわけられる。 ① 年齢を重ねると改善されていく行動 「身辺自立」については低学年、中学年、高 学年と進むにつれてつまずきとしてアンケート にあがってこなくなり、高学年では、「基本的 なことは身についてくる」との回答がある。毎 日必ず自分でしなければならないものでくり返 し続けているから身につきやすいものなのであ ろうか。 ② 年齢を重ねても改善されにくい事柄 「友だち関係」においては、自分から関係を 築いていくことはとても難しいようである。低 中学年では、ルールが守れなかったり、怒って 手が出たりすることが多く、仲間外れになりや すく、中高学年になっても関係の悪さは、改善 することが困難である。いろいろな原因がある と思うが、相手の気持ちが分からないなどの対 人関係の苦手さが原因の 1 つだと考えられる。 「学校のルール」についても改善されにくい
ようである。学校のルール自体が理解できてい ないこともある。また、ルールは分かっていて もなかなか守れなかったりするようである。支 援が必要とされる児童の中には、自分なりの ルールやこだわりを持っている子が多いため、 改善されにくいのであろうか。また、言葉づか いに関してもカッとしたりパニックに近い状態 になると悪くなるようで、気持ちのコントロー ルの困難さからくるものだと考える。 「身の回りの整理整頓」も低学年、中学年、 高学年と進んでも改善が見られにくいようであ る。支援が必要な児童は、共通して不注意とい う特性を持っていることの現れであろうか。整 理整頓が苦手だと学校生活を送る上で困難が生 じやすいので教師が強い印象を持ってしまって いるのかもしれない。 「生活習慣」については、偏食や手洗いうが いなどについては改善されているが、生活リズ ムについては高学年になっても改善されていな い。夜十分に睡眠を取って朝起きるというリズ ムが定着しづらいようである。時間か守れない ことやこだわりとも関係しているのであろうか。 3.特別な支援が必要とされた A 児、B 児、C 児の児童の事例の 6 年間の比較について A、B、C 児は共に低学年で多くの困難を示 していたが、中学年以降、A 児は困難を少し ずつ改善しながら円滑に学校生活を送れるよう になってきた。しかし、B,C 児は、6 年間困 難があまり改善されず、学校生活でも不適応を 起こしていた。A 児、B 児、C 児にはどんな違 いがあるのか考えてみた。 A 児が困難を示した事項について改善の兆 しが見えてきたのは中学年頃からである。ちょ うど A 児に対する支援が 3 年生から始まった 時期と一致する。A 児の保護者も児童の困難 さを理解し、学校、保護者、専門機関と連携し て支援に取り組みを始めた時期から少しずつで はあるが、円滑に学校生活を送ることができる ようになってきた。特に友だち関係の改善が見 られる。低学年の頃は、気持ちのコントロール が苦手で、些細なことでトラブルになり、手が 出ることも多く、仲間外れになることも頻繁に あった。しかし、中学年に学校、保護者、専門 機関と連携して発達段階や障害の特性を理解し た支援を始めるようになってからは、徐々に改 善の兆しが見えてきた。高学年になると自分の 気持ちをコントロールする方法も身につけつつ あり、友だちとの関係もよくなってきた。校内 の支援については、学級での支援のみで個別指 導は、休み時間などに担任が行う程度であった。 B 児は、どの事柄においてもなかなか改善が みられなかった。B 児へ校内での支援は、毎日 二時間個別指導が行われた。そのため、学習に ついては卒業までに 4 年生程度の学力は身につ けることができた。しかし、そのほかの事柄に ついては、困難のままであった。先に考察で改 善される項目として述べた「身辺自立」につい ても高学年の時まで困難がみられた。また、保 護者も専門機関 (特に医療) とかかわることを 拒否し続けていた。最後まで発達障害への理解 が得られなかった。 C 児は、中学年から校内での支援が始まり毎 日二時間の個別指導が行われた。学習について は、卒業までに四年生程度の力は身につけるこ とはできたが、そのほかの項目については、あ まり変化はなかった。高学年の初めごろから発 達障害への保護者の理解が得られ、学校、保護 者、専門機関 (医療を含む)、の 3 つが連携し て支援を始めることができた。 高学年になってから身辺自立、身の回りの整 頓、生活習慣、学習能力、行事への参加で改善 の傾向がみられるようになった。しかし、友だ ち関係においては、全くといっていいほど改善 されず、学級や学年でも全くといっていいほど 友だちがいなかった。 次に、A、B、C 児の違いを考えてみた。大 きな違いは、早い時期から、学校、保護者、専 門機関 (医療も含む) の 3 つが連携して支援で きたかということである。 A、B、C 児の支援の種類や時期について比 較してみると校内での支援が始まった時期は 3 名ともに中学年という同じ時期に始まっている。 A 児は学級での指導のみで、B 児、C 児は毎日 二時間の個別指導である。A 児については、 学力に関して学級で対応できる程度だったので 個別指導は行われなかった。学校、保護者、専 門機関 (医療も含む) の 3 つが連携しての支援
については、A 児は中学年、C 児は高学年、B 児はなしであった。学習については、三名とも 校内支援である程度の力をつけることが、その ほかの項目については、連携しての支援が行わ れなかった B 児が改善された部分が少なかっ た。A 児と C 児を比べると、A 児に関しては、 すべての項目において改善がみられたが、C 児 については、友だち関係に関してのみ B 児と 同様にあまり改善はみられなかった。その要因 の一つに学校、保護者、専門機関 (医療も含 む) の 3 つが連携しての支援の時期の違いがあ るのではないか。友だち関係は、人と人との長 年の積み重ねが影響することなのですぐに改善 することは難しい。しかし、学校生活を送る上 で一番の大切な事柄なので、困難を示すと精神 面や学校生活全体に多大なる影響を与えると考 えられる。佐藤ら (2002 年) が「小学校にお いて支援が必要な児童への教育的支援」のなか で述べている小学校における早期支援は重要な ことである。保護者の理解を早い時期に得て、 学校、保護者、専門機関が連携して適切な支援 をしていくことが児童の困難を軽減するために 必要なことと考える。発達障害をもつ児童を含 めた学級での支援の在り方や保護者への支援の 在り方を考えていくことは小学校での学級経営 で必要不可欠なものであると考える。 4.低学年における通常学級での教育支援の考 察 ― 1 年から 3 年までの事例の検討から ― 筆者が今年取り組んだ、3 年生 N 児の実践 を通して、小学校低学年で重要と考える教育支 援の内容を検討する。1、2 年時の N 児の担任 からは、生活面では、「相手の気持ちを考える ことが苦手」「自分の気持ちが抑えられない。 そのために友だちとのトラブルが多い。」「自分 の思い通りにならないことがあると暴れたり、 パニック状態になったりして気持ちの切り替え ができない。」「身の回りの整頓が苦手である。」、 学習面では、「漢字を正しく書くことや覚える ことが苦手である。」「日記などの文を書くこと が苦手である。」等があげられていた。乳幼児 健診で発達について問題があると言われたこと はないが、言葉が遅かった。4 歳から保育園に 2 年間通う。保育園では、集団に慣れにくかっ たり、友だちの輪に入れなかったりすることも あった。担任から特に指摘をされることはな かった。専門機関での診察をこれまで受けてい ない。以下では、紙数の関係で、友だち関係を 基盤にした N 児の課題にる絞るが、N 児を通 して他の児童への支援の参考になるとも考える。 N 児は、普段は、穏やかで授業中もきちん と着席し、授業を受けることができる。友だち とも仲良く遊んだり、会話をしたりすることも できる。しかし、トラブルになってしなうと暴 れたり、暴言を吐いたりすることが毎日のよう に続いていた。普段穏やかな N 児がいったん トラブルになると豹変してしまう。N 児が暴 れたときに様子を伺っていると、友だちとの遊 びの中で自分なりのルールがあり、その通りに 行かないとき思いを相手に伝えることができな くてパニック状態になっているようであった。 そのことを踏まえ、月森 (2006 年) を参考に N 児の支援を考えた。① トラブルが起きたと きその場を離れさせる ② 落ち着かせてから 原因や思いを聞く ③ N 児自身がどうすれば トラブルにならなかったかを考えさせる (トラ ブルの回避方法) ④ N 児の思いをクラスの友 だち伝えるを N 児への支援の 4 つの柱とした。 4 つの支援は、すべて初めからうまくいった わけではない。① トラブルが起きたときその 場を離れさせるについては、支援を始めた当初 からすぐに効果が現れた。泣いていたり、暴れ ていたりしていても違う場所に行くと落ち着い て話すことができるようになった。しかし、② 落ち着かせてから原因や思いを聞く ③ N 児 自身がどうすればトラブルにならなかったかを 考えさせる (トラブルの回避方法) については、 なかなかうまくいかなかった。 ② 落ち着かせてから原因や思いを聞くは、 初めのうちは、落ち着くことはできるが、トラ ブルの原因を聞いてもすべて相手のせいにして 自分の非を全く認めることができなかった。し かし、よく N 児の話を聞くとトラブルが起 こったときのあまり状況をあまり覚えていない、 理解してないことが多かった。そこで、トラブ ルの状況を周りの友だちに聞き、N 児に説明 してから、N 児の思いを聞くようにした。そ うすると、回を重ねるごとに少しずつ自分が
思っていることを話したり、自分の非を認める ことができるようになったりという変化が見ら れた。③ N 児自身がどうすればトラブルにな らなかったかを考えさせる (トラブルの回避方 法) についても状況をあまり理解していないた め支援としてはうまくいかなかった。「どうす ればトラブルにならなかったのか」を考えるこ とは、N 児の発達年齢を考えると難しいので はないかと考え、途中から支援の方法を「N 児自身がどうすればトラブルにならなかったか を考えさせる」のではなく、「トラブルになら ない方法を教師が話す」ことにした。そうする と、N 児はトラブルを起こす中で自分の気持 ちを少し抑えてコントロールしたり、トラブル が起こる前に回避したりする姿も見られるよう になってきた。しかし、まだまだ時間が必要で ある。④ N 児の思いをクラスの友だちに伝え ることに関しては、トラブル起こったときには、 担任の願い (指導上の課題・問題の契機) 学級経営案 (学級経営での支援) 実態把握 状況判断が苦手 言葉だけでの理解が 難しいときがある。 総 合 所 見 教科での配慮・支援(配慮・支援が特に必要な教科) 教科 国語 親や本人の願い (聞き取りまとめる) 表 7 N 児の IEP (3 年生) 目標設定 具体的な手だて 結果、手だての評価・考察 基本的な配慮・支援(各教科・生活で共通すること,または行動面) 全体指導の中で、耳 からの情報を理解で きる。 適度な視覚情報を与える。 具体的にやってみせる。一 緒にする。 写真や具体物を見せて全体指導の中で指導することを 心がけた。次の行動への移しやすくなり、そのことに 対する知っていることの発言も多くなった。 回りの状況や今すべ き こ と を 理 解 で き る。 指示は、2 つまでにして指 示したことができてから次 の指示を出すようにする。 一つ、二つ先のことを伝え、理解できると行動に移し やすい。それをほめると嬉しい表情でたくさん話しか けてくる。 目標設定 具体的な手だて 結果及び手だての評価・考察 一斉指導の中で、彼のスピードに合わせて学習を進めたり、思いをくみ取りながら進めたりする ことが難しい。学力的な面は高いものがあるが、対人関係やこだわりの面で課題が多い。できた ことやがんばったことをほめること、達成感を味わわせること、課題把握や目標設定がしやすい ようにしてあげることで、彼の取り組みへの抵抗感が低くなると考える。 宿題でうまく書けなかったり、間違ったりしたときに、すねて投げ出すことを相談された (5 月頃) のが契機。同時期に、朝の身支度やご飯の内容ですねて泣くこともあり、当初は厳しく叱 るなどの指導を家でもされておられた。10 月頃、友だちとのトラブルで納得がいかず、泣きなが ら休み時間に家まで帰ったことをきっかけに、母親が検査を受けることに前向きになり、相談に 来校されることも増えた。母親自身、ことばの教室で相談されたことを家庭で実践されたり、M 先生や学校の教師のアドバイスを実践されたりするようになり、児童の現状を受け止めようとす る気持ちが高まってきている。 目と心で聴きあえる関係を作る。基礎基本の定着を目指す繰り返し反復学習と分かりやすい授 業の展開。一人一人を大切にできる心を育てる。温かい言葉をかけあったり、友だちのよさを認 め合ったり、思いやりの心の大切さを感じ取ったりできるような機会・励ましを大切にする。 落ち着いたあと、腹が立ったことやいやだったことを 思い出して話せるようになってきた。自分の反省でき るもようになってきており、自宅に帰ってしまう行動 はしないことも約束し、その後も守ろうとするが、で きずにイライラすることもある。 イライラしたときの対処法を書いた紙を見せて、自分 で落ち着ける方法を見つけられるように試している。 トラブルがあった後、その 場を離れさせて、落ち着い てから状況を思い出し、今 後の行動に生かせる振り返 りをしていく。 自分の中や友だちと 折り合いをつけられ る 対人関係でのトラブル 学校生活に慣れ、文字の書き取りの力も伸びてきたこともあり、宿題への取り組みの問題は軽減されてきて いる。ただし、文章を書くときに何を書いて良いか分からなかったり、めんどうがったりすることもあり、こ れまで同様の課題は残る。その際、一つ一つ思い出ややったことをかみくだいで話しかけたり、思い出したり する支援をしていくことで、解決することもあった。それは、M 先生からの診断結果分析から、いろいろなこ とを試してきた一つでもある。今後もそれらを鑑みた個別支援の必要性を感じている。 彼のこだわりや対人関係でのトラブル (納得がいかないときに怒る、泣く) は今後課題が大きくなることも 考えられる。 字や文章を 書くことに 苦手意識が ある。 漢字の練習 や日記を嫌 がらずに最 後まででき る。 きれいに書けたこと をほめる。 書きたいことを聞き 出し話をさせてから 書くようにする。 気分によって書けないことが多く、それは集団の中で集中するこ とが困難なことと関係があるようである。書くときに、回りの友 だちや状況が気になることで進まないことも多いので、落ち着い て集中して書ける場所で取り組ませる方法も試している。 がんばって書いた字が上手だということを少しずつ分かってきて いる。ほめて伸ばすことが大切。 単元領域 実態把握