宇宙輸送に関わる
国外の主要動向
令和
2(2020)年11月5日
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構
資料
1-3
研究開発局宇宙開発利用課 革新的将来宇宙輸送システム実 現に向けたロードマップ検討会 (第1回) R2.11.5目次
1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.1 アメリカ 1.2 ヨーロッパ 1.3 中国 1.4 ロシア 1.5 インド2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
1.1 アメリカ 1.2 ヨーロッパ 1.3 中国 1.4 ロシア 1.5 インド1
1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
概論
各国とも自国で宇宙にアクセスする手段として、自立的持続可能な宇宙輸送システムを確保するため、 主力となるロケットの開発・運用に対する政策的な支援を行っている。 (例)新しいロケット開発、打上げ等に使用するインフラ提供、打ち上げサービス調達によるアンカーテナ ンシー 等 小型ロケットのベンチャー企業等、宇宙輸送システムへの新規参入者に対する支援を各国実施してい る。 (例)技術成熟度に応じた政府支援、技術開発を促進する懸賞コンテスト 等 将来の宇宙輸送システムに向けた中長期的な戦略的な研究開発にも取り組んでおり、革新的イノベー ションへの挑戦を推進しつつ、次世代を担う人材の育成にも貢献している。 (例)NASA、AFRL、等の技術ロードマップに基づく中長期的な研究開発、DARPAによるハイリスク・ハイ リターン型の研究開発支援・技術実証プログラム、欧州の将来輸送システムに関わる中長期的な 研究開発2
1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.1 アメリカ
3
国の政府衛星は原則として米国のロケットで打上げることが定められている。(NSTP) 国家宇宙輸送計画(U.S. National Space Transportation Policy NSTP)
米国の国家・国土安全保障、官需、科学、商業目的での宇宙へのアクセス及び宇宙利用を確保するための国家政策。 米国の宇宙輸送プログラムに関する国家政策や指針、実施アクションを規定 2013年策定の方針概要 • 政府は、国内の航空宇宙産業を支援。国内企業の商業宇宙輸送サービスを介し、政府のニーズを満たす先進的な技術・概念の創出を支 援。関連産業とのパートナーシップを活用し、技術革新を促進。 • 政府は、同国商業宇宙産業分野の支援を介し、米国経済力の強化推進、質の高い雇用の創出、ハイテク分野に於ける高度技能労働者の 維持、競争力のある産業基盤の確立の実現。 • 科学分野等の機能拡大や宇宙への容易な輸送の実現、及び税金の合理的な使用につながるホステッドペイロードの活用に於いて、国内 企業とのパートナーシップを促進。 • 米国の宇宙への輸送手段の確立の重要性を再認識し、現行及び次世代の同国宇宙輸送システムの信頼性、即時性、機能性、及び費用 対効果を向上するための研究開発を主導。 • 2010年のNASA授権法で定められている重量級ロケット開発プログラム、及びISSへの米国製商業宇宙機によるクルー・物資輸送の開発プ ログラムを引続き支援。 • 米国に於ける商業有人宇宙飛行市場の発展・拡大に向けたガイドラインの策定で宇宙産業分野との連携を促進する。 国家安全保障輸送プログラム(National Security Space Launch: NSSL)
米空軍(USAF)と産業界が共同で実施するプログラム。旧EELV、打上げ実施企業:ULAとSpaceX社 NASA戦略的宇宙技術投資計画(Strategic Space Technology Investment Plan SSTIP)
20 年以内の将来を見据えつつ、NASA ミッションの発展と米国の目標達成に必要な宇宙技術の優先の優先度や 投資比率を定める。最新は2017年版。
• 「推進および打上げシステム」が8つの核心領域のうちの一つに識別
・Propellants、Integrated Solid Motor Systems、・LH2/LOX Based、・RP/LOX Based、Launch Abort Systems、・Liquid Cryogenic、・Electric Propulsion、・Thermal Propulsion、・Propellant Storage and Transfer 、・Active Thermal Control、・Heat Rejection and Energy Storage 有人宇宙探査・国際宇宙ステーション有人物資輸送
1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.1 アメリカ
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大型ロケットに関わる政策等
⚫ 周回軌道打上げについては、米国空軍がNational Security Space Launch(NSSL)プログラム(旧EELL)に基
づき Atlas V, DeltaIV Heavy, Falcon9/Heavyに よる宇宙輸送の自立性を堅実に確保する一方、NASAは Commercial Resupply Services(CRS)、Commercial Crew Development(CCP)により、民間におけるISSへの 物資・人員輸送に対し、資金・技術的に支援。いずれもアンカーテナンシーをベースとした調達方式を採用。
⚫ 現在、複数の民間会社による輸送サービスが展開され、宇宙へのアクセス手段を確保しつつ、新興勢力も含
めた国内企業の技術革新を下支えしており、ロケット再使用化・有人輸送などの技術革新・価格競争力の強
化がこれまでにないスピード感で行われてきている。
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NSSL:National Security Space Launch (旧Evolved Expendable Launch
Vehicle (EELV)プログラム) CRS:Commercial Resupply Services CCP:Commercial Crew Development DoD:Department of Defense(アメリカ合衆 国国防総省)
NRO:National Reconnaissance Office(アメ リカ国家偵察局。偵察衛星の設計、運用 などを行う国防総省の諜報機関。)
1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.1 アメリカ
小型ロケットに関わる政策等
政府の積極的な資金的・技術的支援もあり、無数のベンチャー企業が小 型ロケットの開発に取り組んでいる。 NASAは技術成熟度に応じて多様な支援プログラムを実施。 ⁻ Flight Opportunities(FO):サブオービタル・小型衛星打上げ市場投 入加速に必要な技術開発と実証機会創出が目的として、サービス提 供者とユーザーの選定・マッチング・Award(年間予算は約$15M)を 実施。⁻ Venture Class Launch Services(VCLS):小型衛星打上能力実証・機 会を提供。 (対象)Rocket Lab:$6.9M、Virgin Orbit:$4.7M
⁻ SBIR/STTR:米国政府が実施する中小企業の技術開発促進制度。
全ての政府機関は、外部委託研究予算の一定割合を中小企業の研 究助成に使用。
» SBIR( Small Business Innovation Research):外部委託研究予算が1億 ドルを超える全ての連邦政府機関が対象。2017年度は3.2%以上。
» STTR(Small Business Technology Transfer): 外部委託研究予算が10億 ドルを超える全ての連邦政府機関が対象。2016年度は0.45%以上。 DARPAは、柔軟性・即応性を備えた打上げ能力実証コンテスト
「DARPA Launch Challenge(DLC)」を実施中。
⁻ 2020年前半、数日前に通知された射場からペイロードを打ち上げ、その数日後 に別の射場から打ち上げることを競う。
⁻ Vector SpaceとVox Spaceと匿名のスタートアップの3社が参加。
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図A-15. NASAの支援プログラム
1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.1 アメリカ
将来宇宙輸送システムの研究開発に関わる政策等
NASAでは、2010年14の技術分野について技術ロードマップを作製。その後、2012年、2015年の維持・改 訂を経て、2020年にはAIなどの新しい技術動向も加味し、17の技術分野に再構成し更新中。 米国空軍研究所(AFRL)は、ロケットエンジン等10の技術分野について、基礎研究から応用研究、実用開 発を行い、その成果を様々なロケット等に対し技術移転。 米国国防高等研究計画局(DARPA)は、固定観念に囚われない自由度の高く、極めてハイリスクであるが インパクトの大きい研究開発プロジェクトを立ち上げ、資金支援 を実施。ロケット分野では、再使用性・即 応性を目指した有翼ブースタ(1段)XS-1の開発を実施。6
AFRLにおけるロケットエンジンの研究開発例
NASAにおける技術ロードマップ例(2015年)
1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.2 ヨーロッパ
ロケットに関わる政策等
<政策>欧州宇宙政策(European Space Policy、2007年)
• 自立的で効率的な宇宙へのアクセスは、欧州にとっての戦略的目標であり続ける必要がある。
• 欧州のプログラムを定義・実施するに当っては、コスト効率、信頼性及びミッション適合性を踏まえ、まず自らの打上げ リソースを活用する。
⁻ Ariane 5 に加え、ESA 開発のVega ロケット、ロシアのSoyuz ロケットを段階的に追加 ⁻ 欧州の射場であるギアナ宇宙センターの単一運用者による柔軟な打上げ体制の整備
<主な戦略>欧州宇宙戦略(Space Strategy for Europe、2016年)
• 主なアクション:欧州委員会は、宇宙への自立的な(autonomous)アクセスに対するEU支援を下記により集約する。 ⁻ 打上げサービスへの需要をまとめ、産業界に可視性を提供し、実装コスト削減 ⁻ 破壊的な変化(再利用性、小型ロケット)を予測し対応できる、欧州の能力確保のための研究および革新的な取組みの支援 ⁻ EUの政策目標またはニーズを満たすために必要な欧州の発射インフラ施設をサポートする方法の検討 ⁻ 新たな宇宙活動のための商業市場の発展を促進
将来宇宙輸送システムの研究開発(
ESA)
Future Launchers Preparatory Programme (FLPP) において、将来輸送システムの検討および必要な要素技術の研究
を2003年から複数段階に分けて継続的に実施中。 ⁻ 長期的な産業の競争力を確保しつつ、市場投入を5年以内、リカリングコストの削減、開発リスクの低減を目的として、システムの競争 力と開発するべき技術を特定および準備する。 ⁻ 開発コストを削減するために既存技術の再利用と新規技術開発の促進する。 ⁻ 運用中の輸送機の進化,将来輸送機のアーキテクチャ、先進的なコンセプトを評価し、必要な技術を選択し、技術的な要求を抽出する ためのシステム検討を実施する。 ⁻ 既存の輸送機の安全な利用と宇宙空間へのアクセスを保証するために必須な欧州の産業能力を保護する。 ⁻ 環境適合性の高い技術を開発する。 国際的な競争力を持つ企業の育成を目的とし、FLPPを通して小型ロケット等の新興企業を主契約企業として実施するこ とで、間接的に新興企業の支援。
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1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.3 中国
ロケットに関わる政策等
国主導で計画的に多様なロンチャーを運用・開発。将来技術の獲得に向けた研究を積極的に推進。新たなプレイヤーの 参入奨励。
<政策>「2016年中国的航天(China‘s Space Activities in 2016)」┃国務院が約5年ごとに発表する白書
今後5年間の主要タスク/輸送関連 ・無毒・無汚染の中型打上げロケットを開発し、新世代ロケット系列を整備し、信頼性を向上させる。 ・重量級打上げロケットの重要技術を追求および実現し、同ロケット計画を始動する。 ・低コストの打上げロケット・新型上段ロケット・再利用可能な輸送システム等の技術研究を行う。 発展政策と措置/関連部分のみ ・宇宙科学技術のイノベーション能力を大幅に向上する。 ・宇宙産業の変革とアップグレードを全面的に促進する。(民間資本および機関等の宇宙活動への参加奨励など) <主な戦略>中国ロケット技術研究院(CALT) 「2017-2045年宇宙輸送システム開発ロードマップ」 ・2020年まで:主要ロケットである長征(LM、CZ)シリーズによる商業打上げサービスの全世界への提供。 (低コスト中型打上げロケット「長征8号」の初打上げ実現、インテリジェント化の実施等を含む) ・2025年頃:再使用型サブオービタル打上げ機の開発成功。サブオービタル宇宙旅行の実現。 ・2030年頃:重量級打上げロケットの初打上げ実現、有人月探査や火星SRミッションに十分な輸送能力を提供。 ・2040年頃:将来型の利用開始、再使用型打上げ機の開発成功、原子力輸送機のための重要技術の獲得。 ・2045年まで:新たな推進システムの実用的な開発、宇宙エレベータ及びその地球駅、宇宙駅の建設を実現。
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1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.4 ロシア
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ロケットに関わる政策等
「宇宙活動に関する2030年まで及びそれ以降の長期的な開発基本方針」において、「ロシアからの打上 げを確実に行うための方策の確立」等を課題として挙げている。 現在、旧ソ連時代に開発した3種類の軌道投入ロケット(プロトンロケット、ソユーズロケット、ロコットロ ケット)を運用中。 アンガラロケット(プロトンの後継機)、エルティシロケット(旧ソユーズ5ロケット。ゼニットロケットの後継 機)を開発中。 「2016年-2025年連邦宇宙計画」として、以下が計画されている。 • 地球軌道にある有人・無人宇宙機の維持や月・火星軌道に向かう宇宙機の開発継続 • 打上げロケットや衛星等の製造における外国製部品に代わる国産部品の供給 • ボストーチヌイ射場における重量級ロケット射点の建設 • 新世代有人輸送船の開発および飛行試験の実施(3回以上)、超重量級および中型打上げ機の主要 素の開発1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1.5 インド
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ロケットに関わる政策等
インド宇宙研究機関(ISRO)が開発した小型ロケット(SLV、ASLV)、中型ロケット(PSLV)、大型ロケット (GSLV, GSLV MkIII)を運用中。 2019年2月、インド政府は、インド宇宙庁(Department of Space:DOS)傘下に新会社の設置を承認。 ISRO、DOSの傘下部署の研究・開発成果の商業的活用が目的として以下を実施。• 民間企業との協力による小型衛星打上げロケット(Small Satellite Launch Vehicle: SLV)の製造 • 産業界を介した小型極軌道打上げロケット(Polar SLV)の製造 • 打上げ及び利用分野を含む • 宇宙関連製品の製造やサービスの提供、及び市場開拓
将来宇宙輸送システムの研究開発
DOS、ISROは、再使用輸送システム、新しいエンジン開発、有人宇宙飛行等の研究開発を実施。 プロジェクト名称等 研究開発内容 Semi-Cryogenic Project 将来の重量級ロケット用エンジン(200トン級、液体酸素/ケロシン)を開発 中。Reusable Launch Vehicle
-Technology Demonstrator (RLV-TD)
輸送系の抜本的な打上げコスト削減を目指した完全再使用型の有翼宇宙 輸送システムの開発に向けた技術を開発。2016年にサブオービタル実験 を実施し、現在は軌道上からの再突入実験を構想中。
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
概論
各国、宇宙への自立的輸送手段として、直接的・間接的に主力となるロケットを政策的に維持・発展させ ている。 米国民間企業SpaceXによる1段ステージ再使用の実用化が進む中、米国、ヨーロッパ、中国で同様の1 段再使用化の研究開発が行われている。特に、ヨーロッパ、中国では、政府が積極的・計画的に再使用 化に関わる研究開発を推進。 上段ステージ等の再使用化や宇宙往還機の研究開発も欧米で進められている。特に、SpaceXでは、完 全再使用輸送システムであるStarship/Super Heavyを急速なピッチで開発中。 有人ロケットは、現在、ロシアのソユーズロケットと中国の長征2Fが運用中であるが、米国は政府の政 策の下、複数の有人ロケット/宇宙船を開発中。SpaceXは2020年には有人飛行を計画。 欧米では、小型ロケット等のベンチャー企業を支援。 エアーブリージングエンジンについては、米中露では安全保障用途での研究開発が政府主導で行われ ている。欧州では宇宙輸送システム、2地点間高速輸送システムを目指したエアーブリージングエンジン SABREの開発が進められている。11
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1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1. 各国の運用中の主要な大型ロケット一覧
20m 40m 60m ロケット名 デルタ4 Heavy アトラス5 ファルコン9 /Heavy アリアン5 ECA/ES ソユーズ CSG プロトンM アンガラA5 ゼニット3 SLB/SL GSLV Mk.II Mk.III 長征3 H-IIA/B 国名 米国 欧州 ロシア ウクライナ/ロシア インド 中国 日本製造 ULA ULA SpaceX Airbus ProgressTsSKB- Khrunichev KBKhA Yuzhmash ISRO CALT MHI
GTO打上能力 (ΔV=1500m/s) 10.1t 2.7~6.9t 3.6~26.7t 10.5t 3.2t 6.2t 5.4-7.3t 3.6~6.1t 2.7-4t 2.6~ 5.5t※1 2.9~5.5t 成功数/ 打上げ数 9/10 80/81 80/82 101/106 1037/106 8 22/23(CSG ) 98/109 1/1 71/84 12/17 106/109 47/48 打上げ成功率 90% 99% 98% 95% 96%(CSG)97% 90% 100% 85% 71% 97% 98% 初打上げ年 2004年 2002年 2010年 1996年 1966年 2001年 2014年 1999年 2001年 1984年 2001年 機体再使用 1段/ブースタ /フェアリング 推薬種 LOX/LH2 LOX/LH2
LOX/RP-1 LOX/RP-1 LOX/LH2 LOX/RP-1 N2O4/UDMH LOX/RP-1 LOX/RP-1 LOX/LH2
N2O4/UDMH LH2/LOX LOX/LH2 80m 71.6m 60.6-75.5m 70m 54.8m 49.5m 58.2m 49m 52.5-56.3m 53m 56.6m 58.3-69.5m GTO:静止トランスファ軌道(遠地点が高度36,000kmの楕円軌道。気象衛星や通信・放送衛星等を打上げる軌道) ※1:ΔV(衛星をロケットから分離後、静止軌道に投入するのに必要な増速量)=1800m/s (2020年1月11日時点) 59m 43m
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1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1. 各国の開発中の主要な大型ロケット一覧
20m 40m 60m 80m 100m 118m 59.8m 不明 63m 63m 58.3-69.5mロケット名 SLS Vulcan Starship/Super Heavy New Glenn OmegA (Soyuz-5)Irtysh Ariane6 長征9 H3ロケット
国名 米国 ロシア 欧州 中国 日本 製造 Boeing, Orbital ATK, Aerojet Rocketdyne
ULA SpaceX Blue Origin
Northrop Grumman Innovation Systems RKK Energia,
TsSKB-Progress Arianespace CALT MHI
GTO打上能力 (ΔV=1500m/s)
不明
(LEO:130t) 7.4-16.3t※1
不明
(LEO:250t) (2段式)13t※2 4.9-10.1t5.25-7.8t (LEO:16-18t)5t 4.5-12t (LEO:140t)66t 6.5t以上
初打上げ年 2021年 2021年 2022年 2021年 2021年 2024年 2020年 不明 2020年度 機体再使用 1段エンジン 完全再使用 一段 推薬種 LOX/LH2 LOX/LCH4 LOX/LH2 LOX/LCH4 LOX/LCH4 LOX/LH2 HTPB
LOX/LH2 LOX/RG-1 LOX/LH2 不明 LOX/LH2
※1:ΔV=1800m/s ※2:ΔV=不明 95m 111m 不明 62m 66m (2020年1月11日時点)
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1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1. 各国の運用中の主要な小型ロケット一覧
ロケット名 Electron Pegasus Vega Dnepr PSLV OS-M1 イプシロン SS520
国名 欧州 ウクライナ インド 中国 日本
製造 Rocket Lab GrummanNorthrop Avio ISRO OneSpace IA
SSO打上能力 150-225kg 325kg 1,430kg 2,300kg 1,750kg 112kg 590kg以上 4kg以上 成功数/ 打上げ数 9/10 39/44 14/15 21/22 47/50 0/1 4/4 3/4 打上げ成功率 90% 89% 93% 95% 94% 0% 100% 75% 初打上げ年 2017年 1994年 2012年 1999年 1993年 2019年 2013年 2017年 16m 16.9m 34.3m 44m 29.9m 10m 20m 30m 40m 50m 14.8m 9.5m 26.0m (2020年1月11日時点)
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1. 国外の宇宙輸送システムに関わる政策動向
1. 各国の開発中の主要な小型ロケット一覧
ロケット名 Alpha1.0 Launcher-One TERRAN1 SSLV VegaC Miura-5 SpaceOne ZERO
国名 米国 インド 欧州 日本
製造 AerospaceFirefly Virgin Orbit Relativity Space ISRO Avio PLD Space SpaceOne インターステラテクノロジズ
SSO打上能力 600kg 300-500kg 700kg 300kg 2,200kg 83kg 150kg 100kg 初打上げ年 2020年 2020年 2021年 2020年 2020年 2022年 2021年度 2022-2023年 29m 35m 10m 20m 30m 40m 50m 34m 25m (2020年1月11日時点) 18m 20.7m 22m 29m
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.1 アメリカ
もともとは国策である旧EELVにより、2種類の異なる主力ロケットとしてATLAS、Deltaをそれぞれロッキードマー チン、ボーイングが開発・運用していたが、現在は両社のジョイントベンチャーであるULAが打ち上げサービスを 実施。 Falcon9は私企業としてFalcon9を開発。NASAのISS補給プログラムや空軍のNSSLによる衛星打上げ等を行う 一方、打上価格の安さ等を武器に多数の商業衛星を打ち上げ。2018年は商業打ち上げ市場の58%を占めてい る。 SpaceX社は2015年Flacon9の1段ステージの再使用に成功。その後、改良を続け、2018年より最終形態 Block5(第1段ステージを点検のみで10回再使用可能、補修を行うことで100回以上の再使用可能)を運用開 始。また、2019年にはフェアリングの洋上回収にも成功している。 2018年より、再使用ブースタ×2機を付加し能力を大幅に向上したFalcon Heavy(図A-6)を運用中。それま で世界最大の打上能力を誇っていたDelta IVと比較して、打上能力2倍、価格1/3を実現。16
(1) 運用中の大型ロケット
ULAが運用中の代表的なロケット左:Atlas V 中央:Delta IV 右: Falcon 9
すべて Falcon 9
2018年における商業衛星打上げ
実績BRYCE、 “2018 Orbital Launches Year in Review”
©SpaceX
©SpaceX ©SpaceX©SpaceX
Falcon Heavyの打上げとブースタおよび衛星フェ
アリング回収の様子
©ULA ©ULA
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.1 アメリカ
部分再使用システムについては、SpaceX社に続き各社が精力的に開発を進めている。
Blue Originは、2021年の初打上げを目指し、1段コア再使用の大型ロケットNew Glennを開発中。1段コア 再使用と効率的な再整備を前提とした、システムを検討中。(左下図) 大型のフェアリングを活かし,静止軌道へのデュアルローンチや多数のコンステレーション衛星の展開が可能。 ULAは、AtlasV、Delta IVの後継機として、2021年の運用開始を目指し、Vulcanを開発中。最も製造費 のかかる1段エンジン部のみを再利用することですることで打上能力を落とさず効率的にコストを削減。 (中央図) DARPAは、2021年の試験飛行を目指し、有翼の再使用ブースタ「XS-1」の開発を実施中。(右下図) 母機にはスペースシャトル・メインエンジンの派生型AR-22を採用。2018年、10日間に10回の燃焼試験を成功。 ※ 2020/1/22情報 ボーイングは本プログラムからの脱退を決定
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(2) 開発中の大型ロケット (周回衛星打上げ)
©Boeing ©Boeing Blue originが開発中のNew Glennと1段再使用のコンセプト ULAが開発中のVulcanロ ケットと1段エンジン部の 再利用のコンセプト DARPAが開発中の有翼再使用ブースターXS-1と使用予定 のエンジン(スペースシャトルメインエンジンの派生型)の燃 焼試験の様子©Blue Origin ©ULA ©Aerojet Rocketdyne ©Blue Origin
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.1 アメリカ
SpaceXは、次世代のロケットとして、完全再使用の2段式ロケットStarship[上
段]/Super Heavy[1段](旧Big Falcon Rocket: BFR)を2020年前半の軌道投入の試 験打上げに向けて開発中。(中央左図) 用途は、地球上の軌道投入のほか、月・火星等の惑星への航行、地上での高速 2地点間輸送にも使用する計画。 LEO100~150トンの打上能力。 これまでの開発経緯は以下の通り 2016年以降、1000回再使用可能なメタンエンジンRaptor(2,000 kN/基、フルフロー2段燃 焼サイクル)の実機試験を実施。 2019年8月、Starhopper (Raptor×1基)による着陸実験(高度150 m)に成功。
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(2) 開発中の大型ロケット (周回衛星打上げ)
StarshipとSuper Heavy ©SpaceX St ar sh ip Su p er H ea vy Raptorエンジンの燃焼試験の 様子 Starhopperの飛行実験の様子 18. 4 m 118 m ©SpaceX ©SpaceX ©SpaceX ©SpaceX2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.1 アメリカ
米国を中心とした、月面回帰、その後火星へとの動き(宇宙探査)が急速に進展。月面、火星へと活動 領域が拡大していく中で、ロケットの役割として地球周回軌道への輸送だけでなく、有人輸送・軌道間輸 送等、新たな輸送需要が生まれてくる可能性が出ている。
月面有人探査計画「アルテミス」においては、2020年にSpace Launch System(SLS)による無人の宇宙 船オリオンを打上げ、2022年以降は定期的な有人飛行が予定されている。月面探査の拠点として開発 するGatewayは2024年までに最小構成が完成する計画であるが、その構成モジュールや宇宙飛行士の 輸送にはNASAのSpace Launch System(SLS)が使用される予定。一方、燃料等の物資補給には
SpaceX社のFalcon 9(使い切り使用)等、民間ロケットが活用される計画であり産業の活性化にも貢献。
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(2) 開発中の大型ロケット (探査対応)
Block1 無人 2020年~ Block1B Crew 有人 2028年~ Block1B Cargo 無人(貨物) 2028年~ Block2 Crew 有人 TBD Block2 Cargo 無人(貨物 TBD 26t 34-37t 37-40t >45t >45t 月遷移軌道打上能力 なし※ 286m3 ※ 537m3 ※ 286m3 ※ 905m3 ※ ペイロード搭載能力 ※宇宙船Orion/ サービスモ ジュールの容 積は含まない。2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.1 アメリカ
従来、小型衛星の打上げは大型衛星との相乗りが主流であったが、昨今では、100㎏級の小型衛星を 専用に打ち上げる小型ロケットの需要が増大。政府の積極的な資金的・技術的支援もあり、無数のベン チャー企業が小型ロケットの開発に取り組んでいる。
Rocket Lab社は、 3Dプリンタ、複合材タンク、電動ポンプ等を採用した小型ロケットElectronを開発し 2018年に打上げ成功。その後、11回の商業打上げに成功。高頻度打上げ対応のため1段再使用に向 けた技術開発中。
また、同社は、Electronのキックステージを活用した、小型衛星プラットフォームPhoton(質量170㎏)も開発中であり、 2020年の初打上げを目指している。
Virgin Orbit社は、米国だけではなく、イギリス、日本等からもLauncherOneの打上げを検討中。
Relativity space社はロケット全体を3Dプリンタで製造するTerran 1を開発中であり、独自開発の3Dプリ ンタStargateを活用し、人の手を介さない自動製作を推進。機体製作着手から打上げまでを60日間に短 縮。
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(3) 小型ロケット
Rocket Lab社のElectronロケットとキックステー ジを活用した小型衛星プラットフォーム Virgin orbit社の空中発射ロケット LauncherOne Relativity Space社が開発中の Terran 1ロケット2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.1 アメリカ
月探査および将来探査に向けてLunar Gatewayを中心とした活動を計画中であり、人員輸送、物資輸送、 探査活動に必要な輸送機の研究開発を実施中。 人員輸送のための輸送機として、Orion宇宙船(左下図)をESAと共同で開発中であり、2019年に試験飛 行が実施された。 Gateway以降の活動として、 2030年代の有人火星着陸を実現するため、 NASAは火星探査活動に必要 になる軌道間輸送機の研究を実施中であり、ミッション期間が長く推進剤の長期保存が要求されること などから、LNG(液体メタン)を推進剤とする軌道間輸送機を研究中。 再使用可能な軌道間輸送機・軌道上サービス機の研究開発が官民双方で進められており、官(USAF、 NASA、 DARPA)が再使用可能な宇宙機の技術実証のために、X-37Bによるフライト実験・軌道上実験 を実施中である。 民間企業が再使用可能な宇宙機としてDream Chaserを開発中であり、2017年に着陸実験が実施された。 2021年へISSへ物資輸送を計画中。21
(4) 軌道間輸送機・往還機
開発中のOrion宇宙船 研究中の地球-火星間の軌道間輸送機の例 DARPAが運用中のX-37B 民間企業が開発中のDream Chaser
©NASA
©DARPA ©SNC
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.1 アメリカ
Robust Scramjet計画で、徐々に寸法・機能を付加しながら、段階に応じた社会実装(安全保障目的中 心)を進めている。 米空軍を中心にした、スクラムジェットエンジンを鍵として、徐々に寸法・機能(他のエンジンとの複合 含む)を拡大して、アプリケーションを拡大する構想ターボジェットとスクラムジェットを組み合わせたTurbine Based Combined Cycle(TBCC:左下図)につい ての研究開発が行われている。 Lockheed Martin社はTBCCを2機搭載した無人偵察機SR-72(飛行マッハ数6程度)の構想を発表し、 2025年頃の飛行を目指し研究開発中。(下中央図) 2018年にはBoeing社がターボジェットとラムジェットの切替え式の推進装置を搭載した極超音速旅客 機の構想(右下図)を公開している。
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(5) エアブリージングエンジン搭載の宇宙輸送システム
LM社提案の無人偵察機SR-72 ©Lockheed Martin TBCCの概要(例) Boeing社の極超音速機旅客機構想 ©Boeing2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.2 欧州
現在、ペイロードの質量、投入軌道により、Ariane5,Soyuz,Vegaの3 種類のロケットを使い分けている。 Ariane 5 、Soyuz の後継機として Ariane 6 を 2020 年初打上げに向けて開発中。
Ariane 6はAriane5に比べ半分のコストで年間9基の打上げを予定。
GTO 5ton以上、SSO800km 5.5ton以上の打上げ能力を有するA62形態とGTO11ton以上の打上げ能力を有する A64形態の2種類。 複数の小型衛星を相乗りで静止軌道(GEO)に直接投入する「定期便」の打上げサービス(搭載量4.5トン以上)を計画。 静止軌道の活性化・新たな利用を目指す。 市場需要に合わせて Vega の打上能力を向上させるVega C を 2020 年初打上げに向けて開発中。4 段 式ロケット( 1~3 段:固体、 4 段:液体)であり、1 段を Ariane 6 の固体ブースタと共通仕様としてコスト ダウンを目指す。 Ariane 5 GTO:10.5t (ΔV=1.5km) Soyuz SSO:4.4t (820km) Vega SSO:1.3t (800km) Ariane 62 SSO:6.0t (800km) Ariane 64 GTO:11.5t (ΔV=1.5km) Vega-C SSO:2.08t (800km) © ArianeSpace
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(1) 運用・開発中のロケット
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.2 欧州
Ariane6開発と並行して、再使用型輸送機や低コストメタンエンジンの適用などを想定したAriane 6以降の 輸送機の形態を複数検討中。
CALLISTO, Prometheus, Themisなどの1段再使用化に向けた段階的な実証研究を加速している。
要素研究開発を実施の上、2025年頃までに1段再使用等の有効性を見極め、打ち上げ機の開発方針を判断する予定。
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Prometheus(プロメテウス)エンジン: ESAプログラムとして、仏CNESが中心となって 開発している再使用可能なメタンエンジン。 CALLISTO(カリスト): CNES/DLR/JAXAの共同で実施する1段再使 用に必要な技術のサブスケール実証試験。 Themis(テミス)実証機: CNESとArianeGroupがCALLISTOの次段階と して検討中の,Prometheusを用いたフルス ケール実証機。 Icarus(イカルス): Ariane 6の上段ステージであり,複合材タンク 等の軽量化技術を研究中. 欧州の輸送系技術のロードマップ (Jean Marc ASTORG(CNES/DLA)“CNES FUTURE LAUNCHER ROADMAP”)
(2) 将来輸送系技術の開発
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.2 欧州
欧州においても,米国と同様に複数の新興企業による小型ロケットの開発が精力的に進められている. FLPP(Future Launcher Preparatory Program)により、複数社と小型ロケットの研究開発契約を締結。
PLD Space社やORBEX社などにより100~300kg級のペイロードを持つ小型ロケットが開発されている スペインに拠点を置くPLD Space社はサブオービタル機(MIURA 1)と300kg程度の小型衛星を打ち上げるロケット (MIRUA 5)を開発中。 ORBEX社は150kg程度の打ち上げ能力を持つPrimeロケットを開発中。 • バイオプロパンを燃料として利用、エンジンの全体を3Dプリンタで製造、フライト実績のあるアビオニクスの利用など を特徴としている。 スコットランドにSutherland spaceportを建設予定であり,Orbex社やRocketLab社が利用を計画している。 Spaceportの運用は,英国宇宙局によってなされる予定
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PLD Space社が開発中のMIURA 5 と関連するエンジン試験の様子 ORBEX社が開発中のPrimeロケット とエンジン試験の様子 スコットランドに建設予定の Sutherland spaceport(3) 小型ロケット
英国政府や航空機メーカ、航空エンジンメーカからの出資を受け、水素を燃料する予冷ターボジェット複合サイ クルエンジン「SABRE」が開発中。
英国政府から80億円以上、Boeing、Rolls Royceから36億円以上の資金が投入
SABREエンジン適用した宇宙輸送システム「Skylon」や「LAPCAT II」(Long-Term Advanced Propulsion Concepts and Technologies II )」の研究開発が行われている。
【Skylon】 離陸からマッハ数5.4(高度26km)までは大気中の空気を使うエアーブリージングモードにより比推力3,000~ 5,000sを実現し、その後はロケットエンジンモードで増速. 打上能力は、LEO 17トン、GTO 7.3トンであり,ターンアラウンド期間2日間、200回以上の再使用を目指している. 【LAPCAT II】 Reaction Engines社により提案された、SABREの派生型エンジンScimitarを搭載予定のマッハ5で巡行する300 人乗りの極超音速旅客機。
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水素を燃料する予冷ターボジェット複合 サイクルエンジン「SABRE」 © Reaction Engines SABREエンジンやその 派生型を適用予定 LAPCAT-A2 ナセル 超音速 インテーク プリクーラー 圧縮機 タービン © Reaction Engines プリクーラ ノズル ラムジェット ロケットエンジン ラムジェット Skylon2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.2 欧州
(4) エアーブリージングエンジン搭載の宇宙輸送システム
© EC月・惑星探査に使用する軌道間輸送機や再使用可能な往還機を研究開発中である。 米国と協力し、ATVの技術を活用したOrion宇宙船用のサービスモジュールを開発中であり,2020~2021年 に打上げを計画中。(左下図) 再突入時の空力設計技術、航法・誘導・制御技術、熱防護技術の実証を目的にIntermediate eXperimental Vehicle(IXV)が2015年に打上げられており、フライト実験を実施。(下中央図) IXVで実証した技術を基に再使用可能な宇宙機であるSpace Riderを研究開発している。 Space RiderはVEGA-Cの上段と組み合わせることで高頻度な宇宙空間へのアクセス手段を確保することを目 的として研究開発が進められている。(右下図) 軌道上実験、微小重力環境実験、地球観測などをミッションとして計画中である。 ATVの技術を活用してOrion宇宙船 のサービスモジュールを開発
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再突入技術実証機であるIXV 計画中のSpace Rider
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.2 欧州
(5) 軌道間輸送機・往還機
© ESA © ESA
中国では長征ロケットの開発をシリーズ的に進め、現在の宇宙開発の基礎を確立。目的に合わせ、様々な 軌道・打上げ能力を大型・中型・小型ロケットで実現しており、近年は打ち上げ機数が急増している。
2019年末までに323回長征ロケットが打ち上げられており、うち308回の打ち上げに成功。
2018年は37回、2019年は21回の打ち上げが実施されており、近年は年間打ち上げ回数で世界一となっている。 2003年以降、長征2Fにより有人打上げを実施。
月等の探査ミッションを担う大型ロケット「長征5型」(GTO:14 ton LTO:8.2 ton)や固体燃料小型ロケット 「長征11号」(SSO:350 kg)など、運用中。 長征5号は、2019年末までに3回打ち上げられ、うち2回の打ち上げに成功。2020年後半に打上げ予定の4号機では火 星ミッション、5号機では月のサンプルリターンミッションを計画中。 長征11号は、2019年6月に海上プラットフォームからの打上げに成功。
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0 10 20 30 40 19 70 19 74 19 78 19 82 19 86 19 90 19 94 19 98 20 02 20 06 20 10 20 14 20 18 打ち上げ回数 成功 失敗 合計:323回 成功:308回 失敗:15回 成功率:95% 大型ロケット長征5型(左)と海上から打ち上げ られた長征11号 長征ロケットのシリーズ 中国によるロケットの打ち上 げ回数の変遷2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.3 中国
(1) 運用中のロケット
© CALT © CALT1段再使用化の技術開発や有人月探査等に向けた大型ロケットの研究開発も精力的に進められている。 1段再使用化を目指した「長征8号」 の研究開発が進められていた。 コア(グリッドフィン・脚により回収)、固体ブースタ(パラシュートにより回収)を再使用するロケットで市場進出後は年間10-20機 を想定。 2019年12月に第2段エンジンの燃焼試験が終了したが、再使用性についての言及はない。 中国のスペースステーションのモジュールを打上げる目的で「長征5型」の派生型の大型ロケット5B型 (LEO 25ton)の開発も進められている。 2020年前半の打上げでは、無人にて、深宇宙探査が可能な有人飛行船をペイロードとする予定。 2030-2050年に実施予定の有人月探査等に使用される計画のSLSと同規模の超大型ロケット「長征9型」(GTO
66ton LEO 140ton LTO 50ton)の開発が進められており、2028年打上げを目指した開発が進行中。
長征9型 (参考)長征9型はSLS block1とほぼ同じ大きさ 長征8号の1段再使用化の検討例と開発中の長征8号
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©CCTV2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.3 中国
(1) 開発中の大型ロケット
2014年に中国政府が民間企業の宇宙産業への進出を許可して以来、数多くのベンチャー企業が打ち上 げ市場に参入し、様々なロケットの開発が進められている。 政府も宇宙産業分野への投資を奨励しており、民間企業による打ち上げ施設等の使用を認めている模様。 2019年7月には、中国の民間企業としては初めてiSpace社が小型固体ロケットHyperbola-1の打ち上げに 成功した。 2019年には、Linkspace社、Space Transportation社が、それぞれ小型ロケットの再使用化実験飛行に成 功している。 Linkspace社:1段再使用可能なロケットのプロトタイプの飛行・着陸実験(高度300m)に成功(2019年8月) Space Transportation社:有翼再使用ロケットの実験機の飛行・着陸実験(高度26.2km)に成功(2019年8月) ispace社の小型ロケットHyperbola-1の打ち 上げの様子 © ispace Linkspace社の再使用ロケット のプロトタイプと飛行試験の様子 ©LinkSpace Space Transportation社 「嘉庚1号」
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.3 中国
(2) 運用中の小型ロケット
© ispace ©LinkSpace © Space Transportation
国有企業CASC(China Aerospace Science and Technology Corporation︓中国航天科技集団公司) は、 再使用宇宙輸送システムの実現に向け、段階的な計画をしている。 2025年頃、再使用可能なサブオービタル輸送機による宇宙旅行の実現を計画。 2030年頃までに1段・2段が再使用可能なロケットを完成させ、2035年までに上段も含めた完全再使用輸送シス テムの実現を計画。 2040年頃には、更なる高信頼性化・低コスト化・高性能化を目指した、複合サイクルエンジンを用いた完全再使 用輸送システムを実現する計画。
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©中国航天科⼯集団2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.3 中国
(3) 国が行っている技術開発
国有企業、大学において、エアーブリージングエンジンおよび輸送システムの研究開発が進められている。 国有企業「中国航天科⼯集団(CASIC)」は、母機にエアーブリージングエンジンを搭載した2段式宇宙輸 送システム「Tengyun」を開発中。 国有企業「中国航天科技集団公司CASC」は複合サイクルエンジンTEREを開発中。 廈門大学はエアーブリージングエンジンXTERの飛行実証を2019年4月に実施。
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XTER
• 国有企業「中国航天科⼯集団 (CASIC)」2段式の再使用型 宇宙輸送システム「Tengyun」を 開発中。 • 打上能力は、2トンまでの貨物ま たは5人の宇宙⾶行⼠とのこと。 • 国有企業「中国航天科技集団公司 CASC」が進める複合サイクルエンジン Turbo-aided Rrocket-augmented Ram/scramjet Eengine(TRRE)。 • 2020年までに本エンジンの技術を確立し、 2030年には極超音速スペースプレーンと して⾶行させる計画。Tengyun
TRRE
• 廈門大学がマッハ数4~6で作動するエ アーブリージングエンジン(TBCC)を開発。 • 2019年4月「嘉庚1号」により打ち上げ られ、マッハ数3.5まで加速した模様。2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.3 中国
(4) エアーブリージングエンジン搭載の宇宙輸送システム
© CASIC © CASC © Space Transportation2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.4 ロシア
これまでソビエト連邦時代に開発されたプロトンロケット、ソユーズロケット、ゼニットロケット、ロコットロケッ トを主力ロケットとして維持・運用してきた。 昨今、アンガラロケット、エルティシロケット(ソユーズ5)の開発が進められている。 今後、ソユーズ、アンガラの2系統に統合していく計画。33
Soyuz2.1a/b 10m 20m 30m 40m 50m Soyuz2.1v Soyuz FG Fregat Soyuz FGCrewed ProtonM MediumProton (Soyuz 5.1/5.3)Irtysh
2段 3段 Angara 1.2 AngaraA3 AngaraA5 プロトンロケット • 1967年から運用 • 静止軌道打上げを主 目的としたProtonM、 およびその派生の ProtonMedium/ Lightがある。 アンガラロケット • プロトンロケットの後継 機として開発。 • 2014年、アンガラ1.2の サブオービタル試験打 上げ、重量級アンガラ A5の初試験を実施。 ソユーズロケット • 1966年から運用しており、有人用、物資補給 船用、衛星打上げ用等のバリエーションあり。 ⁻ Soyuz FG:国際宇宙ステーションへの要 員・物資の輸送用と ⁻ Soyuz2.1:低軌道軌道打上げ • 2011年よりギアナ宇宙センターから欧州版打 上げ開始。 エルティシロケット • ゼニットロケットの後継 機として開発中。 • 5ton(GTO)、17.3t(LEO) • 次世代有人宇宙船 「Federation」打上げに 使用予定。
2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.5 インド
軌道投入ロケット
極軌道衛星打上げ用にPolar Satellite Launch Vehicle (PSLV) 、静止衛星打上げ用にGeosynchronous Satellite Launch Vehicle (GSLV) Mk II/ MK IIIを運用中。また小型ロケットSSLVを開発中。
2022年、GSLV MKIIIによる有人打上げを計画中。
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10m 20m 30m 40m 50m GSLV Mk II PSVL-XL PSLV(運用中) • 4段式使い切りロケット(1、3段:固 体ロケット、2、4段:液体エンジン) • 打上能力は1.86ton(475kmSSO)。 • 1機$30M程度の価格。2種類の固 体ブースタを使い分け、幅広い打 上能力に対応。 SSLV(開発中) • 直径2m、全長34m、打上げ時重 量120t、3段固体ロケットで上段 (第4段)に液体推進モジュールを 搭載。 • 高度500km、軌道傾斜角45度の LEOへ質量500kg、SSOへ300kg のペイロード投入が可能。 GSLV Mk III SSLV GSLV Mk II/Mk III(運用中) • PSLV N2O4/UH25液体ブースタと LOX/LH2エンジンの第3段を加える事で 打上能力を向上させた3段式の使い切 りロケット。 • 打上能力は以下の通り。 ⁻GSLV MkII: 2.2ton(GTO) ⁻GSLV MkIII: 4.0ton(GTO) • 2022年にMkIIIによる有人飛行を計画。2. 国外の宇宙輸送システムに関わる技術動向
2.5 インド
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再使用宇宙輸送システム技術実証機
(RLV-TD)
低コストでの宇宙アクセスを可能とする完全再使用型ロケットの実現に向けた研究開発を実施中。 2016年5月、ISROにより、小型ロケットにより打ち上げた有翼形態の実験機を高度65kmからマッハ数5 で飛行させ、自律的な航法誘導制御則、再使用可能な熱防護システム等の要素技術を検証した。スクラムジェットエンジン
(Scramjet Engine Technology Demonstrator)
エアブリージングエンジンの研究開発を実施中。 2016年8月、水素を燃料としたスクラムジェット(超音速エアーブリージング)エンジンを固体ロケットで加 速し、マッハ6で極超音速(マッハ6)飛行試験を実施(スクラムジェットエンジンの飛行実証を行った国とし ては世界で4番目)。 RLV-TDのフライトプロファイル(左)と小型ロケット で打上げる前の様子(右)
RLV-TD: Reusable Launch Vehicle-Technology Demonstrator
Scramjet Engine Technology Demonstrator
の機体概要(左)と打上げ前の様子(右)