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戦前における死因分類別脳卒中死亡に関する研究

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(1)

〔原 著〕 (東京女医大回第28巻第8号頁570一一584昭禾033年8月)

戦前におけろ死因分類別脳卒申

死亡に関する研究

1 緒 東京女子医科大学衛生学教室(主任 吉岡博人教授) 言

キン 銀 ギン (受付『昭1和33年7月2日) :辱近において脳卒中がわが国における死亡原因 の・一一一一位を占めていることに注目し,著者はすでに 本邦脳歯質死:亡率の推移について,各方面より究 明し,発逃してきたI」∼8。 今回はさらに戦前におけるわが国の脳卒中死亡 について,これを死因分類別に死亡の状態,およ び年次的推移について観察を行ってみたσ H 資料および研究方法 資料:昭和12年∼昭和18年 人口動態統計 昭和15年 国勢調査報告 研究方法:死因分類は昭和12年目り昭和18年にい たる間に適用された小分類によった。これによれば脳 卒中を惹起せしむる原因と考えられる脳出血,脳栓塞 下目」血栓は(イ)脳出血,(n)脳栓塞及脳血栓,(ハ) 原因不明ノ麻痺の三型に分けられている。 これにしたがって,昭和12年より昭和18年までの 各年次における全国男子および女子の脳卒中,ならび に上記三型の四病型別死亡率および男女それぞれにお いて各型死亡率が脳卒中死亡率中において占める割合 についての百分率を算出した。これに加え,昭和12 年より14年までの各年次は全国男女別年令別推計人 口がえられ,また昭和15年には国勢調査が行われたの で金国男女別年令別入口が判明せるため,上記各年次 における脳卒申および三型別性別年令別死亡率,およ び各年令階級における一型死亡率の脳卒中死亡率中に おいて占める割合を百分率でeSlllした。きらに脳卒巾 ならびに各型死亡率の季節による変化をみるべく,一ヒ 記期間における全国総数の月別死亡率を算出し観察し 滋 ジ た。但し,今回の研究にあたっては,用いた全国人口 はすべて沖縄を含む。

皿 研究結果

1. 全国男女別死亡について 表一1に各年次男女別の脳卒中わよび潔癖別死 亡率,ならびに百分率をあらわした。また図一1 は脳卒中および砂型別死亡率の年次的推移をみる べく,半対数図表にしめしたものである。 (1)死亡率について 1)男子について 表一1ならびに図一1にしめすごとく,脳卒中 死亡率の年次的推移は昭和14年中やや高率をしめ し,9♪10以後やや低下する傾向をしめすも,と くに著しい変化はしめしていない。 同じく表一1,図一1によって各型の死亡率に ついて観察してみる。 「脳出血」については,各年次死亡率は他の各型 にくらべ極めて高率で,死亡率は入ロユ0万に対し 150∼190台をしめしている。年次的推移は全く脳 卒中死亡率の推移と同じく,昭和14年に最高率を しめし,以後低下する傾向をしめす。昭和18年は 昭和12年より18. 3(178.0(昭和12年)一159. 7 (昭和18年))だけ低下している。なお脳回申死亡 率の推移は図にしめすごとく,脳出血によるもの が大きく影響していることがわかる。 「脳栓塞及脳血栓」についてみるど,各年次とも 上記型よりははるかに低い死亡率をしめし,4.1∼ 4.8をしめすのみである。年次的推移は昭和17年

Gjnji KIN (Department of Hygiene, Tokyo Women’s Medical College.) : Studies on the deaths of apoplexia by classification of causes of death before World War ll (1937tv1943)

(2)

表一1 脳卒中死亡率及び各型別死亡率(人口10万対)昭和12年∼昭和18年(1937∼1943) 並びに各型別死亡率が脳卒中死亡:率中において占める割合(%) 「.く. i ....... 1年 昭和12年 脳 出 」血

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(3)

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図一1脳卒中及び各型別死亡率(人口10万対)

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(4)

死亡例数が極めて小数なるためにこのような現象 をしめしているものと考えられる。’なわ本型死亡 率は各年次いずれも男子が女子より高率となって いる。 (2)百分率について 各熱熱死亡率が脳卒中死亡率中において占める 割合を,各年次について百分率で算出し,その年 次による変化をみるべく図一Hに男子について, 図一:一皿に女子について表した。 1)男子について 百 OO%F l

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図一■ 各型別死亡率の脳卒中 死亡率において占める割合(%) 図一H,ならびに前掲せる表一1により,各年 玖の各回死亡率が脳卒中死亡率中に占める割合を 観察してみる。‘ 「脳出血」は各年次ともその占める割・含について は,他の三型に比し極めて高率で,全型死亡のほ とんど大部を占め97%前後である。この率は年 次においてあまり動揺をしめさず推移している。 「脳栓塞及脳血栓」は,各年次とも脳卒中死亡率 中に占める割合は少く,2∼3%前後にすぎな い。この率も年次によってほとんど変化をしめし ていない。 巧 あ

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図一一m 一型別死亡率の脳卒中 死亡率において占める割合(%) 「原因不明ノ麻痺」は,三型1・略つとも低率で, ほとんどこの率は0にちかく,問題とするにあた らないi数催をしめしている。すなわち昭和15年 は0%で,その以外の年次はすべて0.1%となっ ている。 2) 女子について 表」一1,ならびに図一HΣによって観察してみ る。 「脳出血」による死亡が,脳卒中死亡中において 占める割合は高率で,各年次とも97%をしめして いる。この率は男子同様年度による変化はない。 n’m’ LE;7S ’Tm

(5)

「脳栓塞及脳1血栓」についてみると,本型の占め る割合は低く,3。0%をしめすにすぎず,その数 値は年次的変化をしめきない。 「原因不明ノ麻痺:」についてみると,男子同様に ほとんどその占める余地をみず,昭和14年だけ 0.1%で,その他の年次はすべて0%になってい る∩ 3) 男女の比較について 表一1ならびに図一H,図一皿によって,男女 それぞれの各自死亡率が脳卒中死亡率中に占める 割合を各年次の各型について比較してみる。 「脳出」血」についてみると,本型死亡の六型死亡 中にわいて占める割合は,男女とも極めて高率 で,本疾患による死亡が脳卒中死亡の原因の代表 であるといっても過言ではない。また年次による 変化が少いことは共通である。各年次いずれも男 子が女子より高率となっている。 「脳栓塞及脳血栓」については,各年次男女とも 低率をしめし,各年次とも著しい変化をしめさな い。本型の占める割合は各年次いずれも女子の方 が男子より高い。 「原因不明ノ麻痺」は,各年次男女とも本型の占 める割合は最低率をしめし,ほとんどの年次とも 0にちかい数値をしめしている。年次による変化 はみられ.ず,昭和14年間除いた外,各年次は男 子の方が女子より高率となっているが,その差け きわめて僅少である。 2,性別年令別死亡について (1)死亡率について 脳卒中ならびに各病型別の性別年令別による死 亡率の変化,および年次的推移をみるべく,観察 せる昭和12年より昭和15年までの各年代を代表 して,初期の12年および末期の15年の2力午の 性別年令別死亡率を表一Hならびに図一IVに脳卒 中死亡率について,図一V,二一VIおよび三一V[ には四病型別についてそれぞれ図示した。 三一■ 脳卒中および各病型別性別年令別死亡率(人口10万対)昭和12年,昭和15年・ 年度 性別

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図一IV年令別脳卒中死亡率(人口10万対)

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図V年令別「脳出血」による死亡率(人口10万対)

次的に低下する傾向をしめしているが,高年層に おいでは明らかに年次的に死亡率は上昇している ことを男女とも共通に観察した1)∼7)。「』 2)各型別死亡率について (A)「脳出血」による死亡率について 表・一Hおよび図一Vに「脳出血」による性別年 令別死亡率をしめしたσ a)男子について 表S−llおよび図一一Vによってみると,各年次各 年令とも他の各型死亡率中で最高死亡率をしめし 一 576 一・

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図一一VI年令別「脳栓塞及脳.血栓」による死亡率(人口10万対) ている。各年次とも同様な死亡曲線をしめし,年 令の増加とともに急激に上昇しており,この死亡 曲線は脳卒中年令別死亡曲線と全く同じ傾向をし めしている。年次的推移は,ほとんどすべての年 令階級において,年次とともに上昇する傾向をし めしている。 b)女子について 男子と同じく他の病型にくらべ高率をしめし, また死亡曲線も男子とほとんど同様で,年令の増 加とともに急激に上昇している。年次的推移も男 子と同様である。 C)男女の比較について 男女年令別死亡率を比較すると,各年次大体同 様な状態をしめしている。すなわち,若年層の一 部の年令階級を除き,他のすべての年令階級にお いて男子は女子より高率である。このことは脳卒 中と全く同様な現i象である。 (B)「脳栓塞及脳血栓」による死亡率について 表一nおよび図一VIにしめした。 a)男子について 一一H,図一VIによってみると,各年次各年令 とも脳出血の死亡率より低率をしめしている。年 令別死亡率の死亡曲線の推移をみると,各年次と も大体同様な状態をしめし,脳卒中の死亡曲線と 同様に高年層になると年令とともに上昇する。死 亡率は極めて低く,大体0∼30才までは1前後, 30∼50才位までは3∼5をしめし,60∼70才は15 ∼30,70才以上になると50前後をしめしている。 b)女子について 男子と同様に各年次とも低率をしめしている。 死亡曲線の推移は年令とともに上昇する。年次的 推移をみると,昭和15年においては昭和12年よ り,若年層はやや低下するも,高年層においては 上昇する傾向をしめしている。 C)男女の比較について 各年次とも大体同様な状態をしめしている。す 一 577 一

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(10)

表一皿年令別条型死亡率の脳卒中死亡率中1こおいて占める割合(%)昭和12年・昭和15年

旧名「冨出⊥]E癖疲脳三三∴京唾∵巫三

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(11)

(A)「脳出血」による死亡について a):男子について 表一皿ならびに図一皿,図一IXによってみると, 本型の占める割合は,各年次ともほとんどすべて の年令階級において各飛型中で最高率をしめし, その百分率数値は年令により若干の相異はあるも 約53∼98%をしめしている。 年令による変化をみると,各年次とも大体同様 な状態をしめし,O’∼4才は80∼90%台をしめ しているが,、年令とともにやや低率となり,15∼ 19才において最:も低率で50∼60=%育をしめし最 低の割合となっている。以後年令が増すにっオt増 興し,40才以上になると90%台をしめし,80才 以上になると98%となり,ほぼ100%にちかく, 脳卒中の最大原因となっている。 b):女子について isv ?o 百 20 7e 6e

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表一皿,一一X,図一XIにより女子についてみ ると,各年次各年令とも高率をしめし,男子と同 様にほとんどすべての年令において,本型死亡の 占める割合は各病型中腎高率をしめしている。 年令による変化をみると,0∼4才は80%台を しめしたが,5∼9才まではやや高率で約82%を しめし,20∼24才では最:も低率で,約45∼65% となり,1つの谷をつくる。この後年令が増すに つれ増曝し,40才以上では90%台になり,・80才 以上では更に高率で98%以上をしめしている。 C)男女の比較について 各年次とも5∼9才,70才の年令階級を除き, 他のすべての年令階級において男子が女子より高 率となっている。男女とももっとも低率をしめす % ・ 日召ネρ1嬉 々} ioor 90 80 百

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図一M 年令別薄型死亡:率の脳卒中死亡率中 において占める割合(%) のは若年層で,男子では15∼19才,女子では20 ∼24才となっている。 (B)「脳栓塞及脳血栓」による死亡について a)男子について 表一皿,図一皿,図一IXによって,本型死亡の 占める割合を各年次各年令についてみる。 年令の変化による状態は各年次ともやや低率 で,0∼4才では17%前後をしめし,その後漸次 増加しつつ,15∼19才で最も高率で,約25∼・40 %をしめし,以後年令の増加とともに再び漸次減 少している。すなわち40才ではわずかに3%, 80才以上になるとさらに低率となり,約1.5%に 低下している。 b)女子について』 一 S80 一一一

(12)

表一皿ならびに図一一X,図一XIによってみると, 各年次ども,男子とほとんど同様な傾向をしめし ている。すなわち0∼4才では10∼20%前後で あったが,年令とともに増率し,20∼24才で最高 となり35∼55 %ICなる。以後再び減少の傾向を しめし,40才で6%,80才以上になると1.6% と男子同様に極めて低率となる。 C)男女の比較について 各年次いずれも,大体70才以上の高年層を除い た他の年令階級において,本型死亡の全型死亡中 に占める割合は女子の:方が男子より高率となって 9跡・1夕芽 いる。 (C)「原因不明ノ麻痺」による死亡について a)男子について Fk一 ll,図一皿,図一IXによってみると,本型 による死亡は各年令とも極めて低率で,・その占め る割合は各年令ともわずか3%以下,あるいは全 くその死亡例数なく0をしめす年令階級もある。 すなわち,O∼4才,10∼24才,30∼50才,55ん 65才が3%以下をしめし,その他の年令階級は0 となっている。 b)女子について

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(13)

表一H,図一一X,図一XIによってみると,・0∼ 4才までは16%以下,40∼50才は0.1%で,他の すべての年令階級は大体0となっている。 C)男女の比較について 各年次いずれも0∼4才,25∼29才は女子の方 が男子より高く,30才より50才まではやや男子 が高いが,50才以上になるとほとんど0%が多く 比較できない。. 3,月別死亡率について 脳卒中ならびに調歩鷲別死亡の季節による変化 を観察するために昭和12年,13年,14年および 昭和15年について,それぞれの年次の全国総数の 脳卒中ならびに各署型の月別死亡率を観察した。 観察せる年次のうち最後の年度である昭和15年 を各年次の代表として三一湿に半対数図表で図示 した。 脳卒中死亡率の季節による変化は全体的にみ て,冬期において死亡率は高く,夏季においては {氏率となる1D・∼18)o 各型についての変化をみると,各年次とも大体 同様な状態をしめしているっ 「脳出血」についてみると,各年次とも脳卒中月 別死亡率の推移と全く同じであって,7月の夏期 にもっとも低く,12月∼2月までの冬期に最も高 くなっている。なお各月とも三型中最高率をしめ している。 「脳栓塞及脳血栓」についてみると,各年次とも 7月に最も低く,12月∼2月までがもっとも高く なっている。 「原因不明ノ麻痺」についてみると,各年次各月 とも死亡数は0かあるいは僅少なるたあに死亡率 は0,またはきわめて低い。本疾患の月別死亡率 の推移は他疾患のごとく一一一解した状態をしめさ ず,各年度とも特記すべき状態をあらわしていな い。 N 総 括 死因分類の小分類によって昭和12年より昭和 18年までについて,戦前におけるわが国の死因分 類別荘卒中死亡の状態を観察した。これを総括す ると次のごとくである。 1,全国男女別死亡について (1)死亡率について 脳卒中死亡率の年次的推移は,男女とも昭和14 年にやや高率をしめすも,全体としての推移はや や低下する傾向をしめす。 「脳出血」については,各年次死亡率は,男女とも 他の各型にくらべきわめて高率であ・る。年次的推 移は全く脳卒中の推移とおなじ傾向をしめす。 「脳栓塞及脳血栓」についてみると,男女とも低 い死亡率をしめし,年次的推移は全体としてあま .り著しい変化をしめしていない。 「原因不明ノ麻痺:」については,各年次男女とも 三型中最低死亡率をしめし,年次的推移は昭和14 年にやや高率で,15年には低下するも,以後漸次 上昇する傾向をしめしている。 男女を比較すると,脳卒中死亡率においては全 年次とも男子が女子より高率である。「脳出.血」, 「原因不明ノ麻痺」は男子の:方が女子より高率であ り,「脳栓塞及脳」血.栓」は昭和12年より16年まで の5高年は女子が男子より高率で,昭和17年,18 年の2力年のみは男子が女子より高率である。 (2)百分率について 「脳出拍Uは各年次男女とも他の各型に比し極め て高率で,97%前後をしめす。 「脳栓塞及脳血栓」は各年次男女とも2∼3%前 後をしめす。上記二型とも年次によってほとんど 変化をしめさない。 「原因不明ノ麻痺」についてみると,男女とも三 型中もっとも低率で,ほとんどこの率は0にちか く,聞題とするにあたらない数値をしめす。 男女を比較すると,「脳出1血」,「原因不明ノ麻痺」 は男子の方が女子より高率であり,「脳栓塞及脳血 栓」のみは逆に女子の:方が男子より高率となって いる。 2,性別年令別死亡について CD 死亡率について 脳卒中死亡率についてみると,各年次の男女と も老人性疾患としての特微をしめし,死亡曲線は 年令の増加とともに急激に上昇している。なお若 年層における一部の年令階級のみ女子が男子’より 高率で,他のすべての年令階級においては男子が 女子より高率である。 「脳出血」についてみると,各年次各年令男女と も本型は三型死亡率中で最高をしめし,年令の増 加とともに急激に上昇している。なおほとんどす べての年令階級において年次とともに上昇する傾 向をしめす。 「脳栓塞及脳1肛栓」についてみると,各年次各年 一 or82 一

(14)

令男女とも低率をしめしている。死亡率の推移は 高年層になるにつれて年令とともに上昇する。 「原因不明ノ麻痺」についてみると,男子におい ては各年次とも死亡曲線は年令による一定した死 亡率の推移をしめさず,不規則に上下している。 その年次的推移は,80才以上を除く,他の年令に おいては死亡率が低下している。女子についてみ ると,死亡曲線は40才まではほとんど0である が,以後上昇し60∼80才で最:高となり峰をつく る。年次的推移はあまり著明な変化をしめさない が,80才以上の死亡率は昭和12年にやや下降す るも,15年には0となる。 男女を比較すると,「脳出血」,「脳栓塞及脳.TfiT.栓」 は若年層の一部の年令階級を除き,他のすべての 年令階級においては男子が女子より高率である。 「原因不明ノ麻痺:」は昭和12年においてはほとんど すべての年令階級において男子が女子より高率で あるが,15年では50才代,70才代で女子が男子 より高率で,その他の年令階級では男子が女子よ り高率となっている。 C2)百分率について 「脳出血」についてみると,男女とも本型の占め る割合は,各年次ともほとんどすべての年令階級 において,各病西中で最:高率をしめしている。年 令による変化は男子は15∼19才,女子では20∼ 24才で最も低率をしめし,その後年令が増すにつ れ増固している。 「脳栓i塞及脳.血栓」についてみると,年令による 変化は各年次とも男子では15∼19才,女子では 20∼24才で最:高となり,以後再び減少傾向をしめ す。 「原因不明ノ麻痺」は各年令男女とも極めて低率 で,その占める割合はわずか3%以下,あるいは 0をしめす。 男女を比較してみると,「脳出血」は各年次とも 5∼9才,70才の年令階級を除き,他のすべての 年令階級においては男子が女子より高率である。 「脳栓塞及脳血栓」においては各年次とも70才以上 の高年層を除き,他の年令階級において女子が男 子より高率である。「原因不明ノ麻痺」は各年次と も0∼4才,25∼29才は女子が男子より高く,30 才より50才まではやや男子が高いが,50才以上 になるとほとんど0が多く比較できない。 以上を通じて,死亡率についてみると,「脳出 血」以外の二型は死亡率が極めて低く,脳卒中 死亡の推移はほとんど脳出血によるといっても過 言ではない。年令階級別にみても同じである。百 分率についてみると,三型互譲年次とも脳出血は 97%以上を占めており,脳卒中の原因の大部分を しめておる。これを年令階級別にみると,10才 台,20才台では脳栓塞及脳.血栓による死亡が約1/2 ∼1/3をしめているが,その他の年令階級において は大部分が脳出、血である。原因不明ノ麻痺は死亡 率がきわめて少く問題にならない。 3,月別死亡率について 脳卒中死亡率の季節による変化は全体的にみ て,冬期において死亡率は高く,夏季においては 低率となる。 「脳出麺回,「脳栓塞及脳血栓」についてみると, 各年次とも:夏期に低く,冬期に高い。 「原因不明ノ麻痺.」についてみると,各年次各月 とも死亡率は0,またきわめて低く,他疾患のご とく一定した状態をしめさない。 以上三型死亡率中「脳出血」がもっとも高率で脳 卒中の大部分をしめし,他の二型中の「脳栓塞及 脳血栓」は死亡率が低いが,月別に脳卒中と同じ 傾向をしめしている。しかし「原因不明ノ麻痺」は 0にちかい死亡率で問題とするにあたらない。 稿を終るに臨み終始御懇切なる御指導,御校閲を賜 った吉岡博人教授,ならびに諸岡妙子助教授に幽しん で謝意を表す。 女 献 1)金 銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究 第1報 一昭和(戦後)における死亡率について一東京女 医大誌27,144(昭32) 2)金 二四:本邦脳卒中死亡率の研究 第H報 一昭和(戦前)における死亡率について一東京女 医大言志,27,232 (日召32) 3)金銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究第H【報 一大正における死亡率について一 東京女医大 誌, 27, 358 (日召 32) 4)金 銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究 第IV報 一明治における死亡率について一 東京女医大 誌, 27, 676 (日召32) 5)金 銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究 第V報 一全国総数における死亡率の年代的推移につい て一東京女医大誌,28,215(昭33) 6)金 銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究 第VI報 一全国男女別死亡率の年代的推移}こついて一 一 58S 一

(15)

東京女医大誌,28,296(昭33) 7)金銀滋:本邦脳卒中死亡率の研究第四報 一腐県別死亡率の年代的推移について一東京女 医大誌,28,365(昭33) 8)金 鎭滋:本脳卒中死亡率に関する一考察 一昭和25年度地方区別死亡率について一東京女医 大誌,28,458(昭33) 9)渡辺 定:日本人の脳卒中死亡の動向日本臨床, 10, 920 (目召 27) 10)一色嗣武:人自動態統計および保険医学からみ た脳卒中の疫i学内科,1,204(昭32) 11)松岡修吉:季節と脳卒中 目新医学39,571, (昭27) 12)山本 汀・高瀬利彦:統計」はりみたる脳卒中 の動態 現代医学,4,341(昭31) 13)佐々木直亮:食塩摂取の地域差および脳卒中死 亡率との関係について 医学と生物学,44, 1(1), 1 (目召 32) 14)丘幾司・他三名:熊本地方における脳盗鋤死 亡の統計 体質医学研究所報告,5,(1),44 (昭27) 15)前田正交・小玉次郎:脳出血による死亡統計 臨床医学,25, .1271(昭12) 16)高田他家雄;脳盗血死亡者の統計的研究 保険 医学雑誌,30,309(昭6) 17)氣谷章次・他六名:卒中死亡の原因に関する研 究保険医学雑誌,44,(1),6(昭21) 18)畑 一郎・平井達人:脳潅血及び脳軟化症の統 計rl勺観察 瓢腔究条己要, 4, 37 (日召 27) 一 or84 一一一

参照

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